結論
ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングスは、販売員の派遣会社という出発点から、ECサイト運営、アパレル卸売、空港の地上業務まで広げた営業支援企業である。筆者の結論は「やや割高」だ。現場に人を送り出す仕事には長い寿命があるが、事業を増やしたことが株主の利益の増加につながっているとは言い切れない。
2026年8月期の売上高は621億円で、営業利益は11.5億円に落ち込んだ。空港業務では減便と先行採用した人員の固定費が重なり、アパレル卸売では中国からの仕入れ価格の上昇を大手小売店へ転嫁できなかった。EC運営でも大手スポーツメーカーの公式サイト契約を失っている。いずれも事業環境の一時的な悪化だけではなく、顧客との交渉力の弱さを示す出来事である。
一方、希望はある。空港では新規受託便が増え始め、デジタル技術による勤務計画の改善余地も大きい。通信・家電の販売支援、スポーツ施設運営、訪日客向け業務も、人が実際に働く限り一定の需要が残る。ビービーエフは150以上のECサイトを運営しており、物流と決済まで一体で任される関係には相応の強みがある。
それでも、優良企業に求めたいのは売上規模ではなく、稼いだ資本を高い利回りで再投資し続ける能力である。直近の減益と買収に伴うのれん、顧客の内製化やAIエージェント代替を踏まえると、10年後の利益がかつての好況期へ戻ると決めつけられない。5つの筋書きから見た現在の価値は約106億円で、基準時価総額の約151億円を3割弱下回る。現状では、長期保有に必要な安全域が不足している。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主なら、第一に「この会社は10年後も必要か」と問うだろう。答えは、かなりの部分で必要だ。空港で航空機を誘導し、売場で商品を説明し、イベント会場で安全を確保する仕事には人の体と現場経験が要る。人口減少は働き手の確保を難しくするが、そのこと自体が業務委託の需要を残す。反対に、オンライン営業、注文処理、広告運用を人の時間で請け負う部分は、10年後に同じ形で残るとは考えない。
次に問うのは、顧客が値上げを受け入れるかである。2026年のアパレル卸売では、大手小売店への価格転嫁が進まず利益を削った。空港でも、減便時の固定人件費をすべて航空会社に負担させることはできなかった。売上を増やしても価格決定権が弱ければ、追加で雇う人や仕入れる商品の費用が先に増える。規模の拡大だけでは、長期保有に値する堀にならない。
第三に、買収資金が生んだ利益を見る。買収で得たEC、IP商品、航空業務にはそれぞれ魅力があるが、現状は3つの収益源が同時に苦戦した。のれんの償却は現金支出を伴わないものの、かつて株主の資金を使って取得した事業の対価である。償却前利益だけを見て買収の成否を判定するわけにはいかない。今後の設備更新、採用、基盤開発、買収を賄った後に残る現金が本当のオーナー利益だ。
最後に値段を考える。現在の時価総額は帳簿上の自己資本を下回るが、自己資本の中にはのれんなど換金しにくい資産があり、現金にも給与支払いや借入返済という用途がある。帳簿の割安さだけで安全域があるとは言えない。空港の黒字化と利益の回復を確認できるまでは、優良企業に払うような高い値段を正当化しない判断になる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、メーカーや通信会社、商業施設に代わって人を集め、教育し、現場の業務を遂行することである。家電量販店の販売応援、通信サービスの加入促進、観光案内、スポーツ施設の運営など、顧客が自社で人員を抱えたくない仕事を引き受ける。顧客が支払う費用と人件費・採用費・管理費の差が利益になるため、人手不足そのものは需要を増やすが、賃金上昇を請求価格へ反映できなければ利益は減る。
この事業をデジタル営業支援と区別すると、2026年8月期のヒト・コミュニケーションズグループの売上311.40億円のうち、現場型の販売・イベント・旅行・施設運営が約294.42億円、事務・オンライン営業支援が約16.98億円となる。後者にはSALES ROBOTICSなどのインサイドセールスや業務運営が含まれ、人の工数で売る部分ほどAIエージェントの代替を受けやすい。現場型にも事務作業はあるが、商品の実演、会場運営、安全確保まで画面上のソフトに置き換わるわけではない。
ビービーエフはブランドの公式ECサイトを構築するだけではない。注文受付、販促、決済、在庫連携、物流、顧客対応まで運営し、サイト売上に応じた成果報酬を得る。2026年10月の取引先発表では、同社が150以上のECサイトを運営していると確認できる。売上高93.24億円は単純なソフト利用料ではなく、取扱商品の販売やテレビ通販も含むため、サイト数と売上の対応には大口顧客の影響が大きい。
ブランチ・アウトはキャラクターやブランドの権利を活用した衣料品・雑貨を企画し、製造を委託して小売店へ卸す。年間売上156.39億円はグループの約4分の1である。商品の魅力が売上を決める一方、中国に偏る調達と大手小売店の購買力に利益が左右される。FMGは空港で旅客対応や航空機周辺作業を担い、売上60.21億円に対して営業赤字4.81億円だった。受託便数が減っても資格を持つ職員をすぐ減らせないことが、この事業の難しさである。
優良さと弱いところ
最も評価できる強みは、現場を運営する組織能力だ。登録人材の確保だけでなく、教育、勤務管理、顧客からの苦情対応、複数拠点の一括受託をこなせる会社は限られる。通信販売支援や大規模イベントでは、過去の履行実績が次の受注につながる。ただし、この実績が恒久的な価格決定権を生むわけではない。顧客は契約更新時にパーソル、パソナ、販売支援専門会社などを比較できる。
ビービーエフの150サイト超という運営規模と、決済・物流まで結ぶシステムは単なる人材派遣より強い。2026年には外部メール配信基盤とAPI接続する改善も実行した。しかし、大口スポーツブランドの公式サイトが離脱した事実は、乗り換えが不可能ではないことを示す。解約率5%未満、年単位の移行負担、法改正のたびの値上げ実績など、「記録の正本」に相当する堀の証拠は2つ以上確認できない。長期の高い成長率を保証できる事業とは評価しない。
ブランチ・アウトは人気IPの企画力に価値があるが、権利者から独占的な永久契約を与えられているわけではない。2026年に円安による仕入れ高を転嫁できなかったことは、値決め力を測る明確な反証だ。FMGには空港業務の安全管理、教育、資格という参入障壁がある。ただし参入が難しいことと、高い利益率で働けることは別である。
利益の安定性もまだ十分ではない。2019年から2026年までの営業利益は30億円前後から57億円まで増えた後、11.5億円まで下がった。2022年の高収益にはコロナ関連業務の特需があり、これを通常の実力にしてはならない。利益に対する現金創出力や買収後の増分ROICが資本コストを超えるかについても、直近の数字は確信を与えない。堀は全体として弱めであり、事業ごとの履行能力はあるが、その幅が拡大している証拠は乏しい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の労働者派遣市場は大きいが、競争も非常に細かく分かれている。日本人材派遣協会によれば2024年度の年間売上高は9兆9,005億円、許可事業所は2025年6月時点で44,110か所である。同社の2026年8月期の派遣事業売上約82.66億円をこの広い市場と比較すると約0.08%にすぎない。ただし販売業務を丸ごと請け負うアウトソーシングは派遣と市場の範囲が異なり、同じ分母でシェアを合算することはできない。パーソル、パソナ、バックスグループなどと競合するが、店頭販売支援だけの厳密な各社シェアは開示されていない。
国内の物販ECは拡大してきたが、サイトの取扱高と運営代行会社の売上は別物である。ビービーエフの93億円をEC市場全体で割ってシェアと呼ぶのは誤りだ。競合にはアイル、トランス・コスモス、EC専業運営会社、Shopifyなどの基盤を利用した内製チームがある。サイト構築の難しさは下がり、顧客企業自身が注文処理や広告運用をAIエージェントへ移せるようになれば、運営代行に払う手数料と必要な人員の両方が縮む。市場全体が伸びても受託会社が同じ率で伸びるとは限らない。
卸売ではサンリオやバンダイナムコなどIP権利者の交渉力が強く、衣料品・雑貨の調達では大手小売店が価格を主導する。推し活消費の拡大は追い風だが、商品のヒット率は変動し、権利料や在庫処分費用が増えれば販売数量が増えても利益は残らない。ブランチ・アウトの売上を広義の推し活市場と直接比較してシェアとすることもできない。
空港の地上業務は訪日客と国際線の再拡大に支えられるが、空港ごとの発着枠と航空会社の契約で市場が決まる。ANA・JAL系の地上支援会社、スイスポートなどが競合し、FMGの全国一律のシェアは確認できない。現場作業はAIに代替しにくい半面、便数の減少中も人員を維持する必要がある。今後10年は、業界全体の需要増加よりも、どの航空会社の便をいくつ受託し、一便当たりの労務費をどれだけ下げられるかが収益を決める。
資本政策と M&A
経営の最大の課題は、買収で増やした事業の利益率と資本効率を回復することだ。2017年にビービーエフとブランチ・アウトを傘下に収め、2019年にはSALES ROBOTICSなどを加え、その後はFMGの空港事業へ進出した。事業の幅は広がったが、2026年8月期にはEC運営の大口契約終了、卸売の仕入れ高、空港の赤字が同時に現れた。現在も約54億円ののれんを抱え、年間約8億円ののれん償却が生じている。買収価格に見合う継続的なオーナー利益を生んでいるか、まだ合格とは言えない。
2024年11月公表の中期経営計画2025―2029は、2029年8月期の売上高710億円、営業利益40億円、EBITDA50.2億円、ROE10%以上、ROIC10%以上を目標とする。2025~2029年の資本配分ではM&Aに約100億円、株主還元に30億円以上、事業資金などに約40億円を示した。配当性向30%以上の方針はあるが、DOE、総還元性向、自社株買い金額について具体的な数字の約束はない。営業利益が目標の3割にも達していない2026年の実績からは、計画達成に相当な改善が必要だ。
配当は2026年8月期まで増配を続けたが、同年度は純利益1.67億円に対して年間配当総額が約6.7億円と、利益を大幅に超えた。2027年8月期の配当予想は据え置きである。支配株主側の影響力は強いものの、増配実績があるため、余剰現金の回収率を機械的に半分へ下げる理由はない。一方で継続的な大規模自社株買いの実績も乏しく、10年でたまる余剰現金の株主への戻り方は75%とみる。今後のM&Aは売上の拡大額ではなく、取得価格を含めた増分ROICが資本コストを上回ったかで判断すべきである。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社の最も大きな価値は、複数の成長市場で実務を引き受けられることにある。通信・家電の販売現場からスポーツ興行、観光施設、空港まで、人を採用して訓練し、一括で業務を遂行する仕組みがある。顧客企業が人員を固定費として抱えたくない時代には、この運営能力が選ばれる理由になる。競争は厳しいが、巨大企業だけでは埋められない地域や専門領域の需要もある。
FMGの赤字は、契約を失ったというより、減便に備えた人員と実際の運航便数が合わなかったことが大きい。2027年8月期には新規受託便と運航回復を見込んでおり、会社も黒字転換を計画する。空港の勤務計画へAIを使い、必要なチーム数を減らす取り組みもある。安全基準を満たしたうえで一便当たりの作業効率を改善できれば、売上以上に利益が増える。空港事業は一度体制を整えれば、追加便の利益貢献が大きくなりうる。
ビービーエフにも簡単には消えない強みがある。150以上の公式ECサイトを支え、サイトの見た目だけでなく物流、決済、在庫連携、顧客対応をまとめて引き受けている。2026年には外部の高速メール配信システムを共通基盤へ接続した。顧客がこの一式を自社で作り直すには手間がかかる。AIで顧客対応の工数が減っても、その節約分を成果報酬の競争力に変えられる可能性がある。
ブランチ・アウトでは、人気IPを使った独自企画商品やコンビニくじなど高付加価値品の比率が高まれば、単なる衣料品卸売から一歩抜け出せる。収益性の高い案件へ資金を集中し、FMGの固定費を正常化できれば、買収した事業群の利益は再び積み上がる。営業利益の長期的な回復が実現すれば、今の時価総額を十分に上回る価値を生める。
慎重な見方
これまでの拡大の結果を見ると、売上の柱が増えた割に株主の利益は安定していない。2022年の営業利益57億円には特殊需要があり、2024年には最終赤字、2026年には売上621億円に対して純利益がわずか1.67億円になった。複数事業へ分散したことが、景気や顧客の都合に左右されない利益を保証していない。むしろ経営資源が薄く広がり、各事業の改善に時間がかかる危険がある。
ビービーエフの150サイトという規模は魅力的でも、すでに大手スポーツメーカーの公式サイト契約を失っている。サイト構築、販促、注文管理、問い合わせ対応はAIエージェントが横断して行える仕事だ。ブランド側が運営を内製化したり、汎用EC基盤に切り替えたりすれば、サイト数だけでなく一サイト当たりの手数料も縮む。インサイドセールスも、人員を増やすほど売上が伸びる従来の仕組みが維持されるとは限らない。独自データと契約継続率の裏付けがない部分を、永続的な高収益事業として扱うのは危険だ。
ブランチ・アウトはさらに厳しい。商品を製造する中国側の費用が上がっても、大手小売店に十分転嫁できないことが2026年の決算で実証された。IPの人気は移り変わり、商品在庫には値下げや廃棄のリスクがある。コンビニくじなどの新事業が伸びても、権利者との契約条件が厳しくなれば利益を奪われる。空港では政治情勢や燃料価格で便数が急減しうるのに、安全のため必要な熟練職員を簡単には削れない。
さらに買収には大きな資金を使う計画がある。既存の買収事業が利益を十分に生んでいない段階で、新たな100億円規模の投資を急げば、のれんと負債が再び増える。2026年には営業キャッシュフローがマイナスとなり、増配も利益から十分には賄えていない。少数株主にとって最も怖いのは、価値を生まない拡大が続き、現金と時間だけが失われることである。
どちらに重みを置いたか
事業が10年後も存在するという点では強い見方に分がある。しかし、その事業が高い資本効率で稼ぎ続けるかという点では慎重な見方が勝る。2026年に確認された空港の赤字、卸売の価格転嫁失敗、ECの大口契約終了を一過性として片づけられないからだ。
確率は楽観側25%、中立36%、悲観側39%と、下側へ14ポイント寄せた。AIエージェント代替の影響は既に中立の数量と長期成長率に織り込んだため、確率で二重に減点していない。下に寄せた理由は、現実の収益悪化とM&Aの回収不確実性である。その結果、配当を含めた長期価値は基準時価総額を約29.7%下回る。評価は「やや割高」だが、割高との境界に近い。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/08 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 839 円150 億円(+ 還元の換算額還元の合計 334 円60 億円)。 今の値に割り戻すと 593 円106 億円、今との差 −22.4%、 期待の年率 +5.2%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,036 円363 億円 | 532 円95 億円 | +235.8% | +15.1% | 180 円32 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,271 円227 億円 | 448 円80 億円 | +124.8% | +10.1% | 310 円55 億円 |
| 中立 | 36% | 697 円124 億円 | 370 円66 億円 | +39.4% | +4.2% | 384 円69 億円 |
| やや悲観 | 26% | 568 円101 億円 | 258 円46 億円 | +7.9% | +0.9% | 215 円38 億円 |
| 悲観 | 13% | 532 円95 億円 | 123 円22 億円 | −14.3% | −1.7% | 85 円15 億円 |
| 加重平均 | 100% | 839 円150 億円 | 334 円60 億円 | +53.4% | +5.2% | 1,173 円209 億円 |
今の株価時価総額 765 円136 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 現場と空港の収益力が復活 利益 30 億円 · PER 12.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,036 円363 億円
空港では中国便の回復に加え、新規航空会社との契約が広がる。FMGは勤務計画と作業チームの編成を改善し、便数が増えても必要人員を比例的には増やさずに済む。2036年には年間3万3,000便相当を扱い、現場の教育・資格・安全管理が競争上の強みになる。赤字事業から、増収分が利益へ大きく残る事業に変わる。
店頭や施設の運営では、通信会社の大型案件、スポーツ興行、観光施設からの受託が続く。ブランチ・アウトは単純な量販店向け衣料品を減らし、人気IPの高付加価値商品やくじの比率を高める。調達先の分散と商品企画力により、2026年に弱点となった価格転嫁の問題を克服する。
ビービーエフは150サイト規模を維持し、物流・決済・販促を一体で運用する能力で契約を守る。AIは自社の工数削減に活用されるが、外部向けAIエージェント売上が実証されていないため、受託サイト数が現在を超えて増える前提にはしない。経営は追加の買収にも慎重で、投資収益率が資本コストを超える案件だけを実行する。結果として営業利益は過去の好況期を超え、資本効率も改善する。
- 店頭販売・イベント・旅行・施設運営:数量 6,900(年間スタッフ稼働人年相当(人・年、推定))× 価格 0.06(稼働人年相当当たりの顧客売上(億円・年、名目))→ 売上 446 億円・営業利益 22 億円。稼働6,900人年、請求単価は現状の1.36倍。受託規模拡大と現場管理の効率化で営業利益率5%。
- デジタル営業・インサイドセールス・事務BPO:数量 390(年間稼働席・人年相当(席・年、推定))× 価格 0.06(1席・人年相当当たり顧客売上(億円・年、名目))→ 売上 22 億円・営業利益 2 億円。AI代替下でも390席相当を維持。単価は物価上昇の範囲にとどめる。
- ビービーエフのEC・TC運営:数量 150(運営ECサイト相当数(サイト・年、テレビ通販等を含む便宜上の尺度))× 価格 0.83(1サイト相当当たり売上(億円・年、名目))→ 売上 125 億円・営業利益 10 億円。現状の150サイト相当を維持し、顧客のEC売上と運営効率が改善。
- ブランチ・アウトのIP衣料品・雑貨卸:数量 19,000,000(衣料品・雑貨の年間卸売点数(点、推定))× 価格 0.00(1点当たり平均卸売額(億円・名目))→ 売上 255 億円・営業利益 20 億円。1,900万点を販売。高付加価値IP商品の構成比上昇で利益率8%。
- FMG空港グランドハンドリング:数量 33,000(年間受託航空便数相当(便、推定))× 価格 0.00(1便当たりグランドハンドリング売上(億円・名目))→ 売上 119 億円・営業利益 17 億円。年間3万3,000便相当。便数増加と勤務効率改善が重なり利益率14%。
倍率:k8.5%、2036年ROE約13.18%、moat=weakの残存割合3分の1からRONIC約10.06%。g_long1.8%を用い、正当化PER=(1−0.018÷0.1006)÷(0.085−0.018)≒12.25倍とする。直近・過去・同業の市場PERは根拠にしない。
確率:空港の便数回復と省人化、卸売の付加価値化、EC顧客維持、現場事業の拡大が同時に成功する必要がある。大きな上振れはありうるが、直近の収益実績から実現確率は高くしない。
やや楽観 18% 空港の黒字化と卸売の改善が定着 利益 19 億円 · PER 11.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,271 円227 億円
空港の新規便受託が着実に進み、FMGは赤字体質を脱する。航空会社との関係を深め、繁忙時間に合わせた人員配置を工夫することで、便数が少し減っても赤字へ転落しにくくなる。2036年の扱い便数は2万9,000便相当となり、作業品質と安全管理が次の契約につながる。
店頭販売支援では、メーカーの販促予算が大きく増えるわけではないが、地域をまたぐ一括受託で取扱高を伸ばす。スポーツ施設や旅行関連は景気に左右されながらも事業の柱に育つ。ブランチ・アウトはIP商品と高付加価値品への転換を進め、中国調達費用の上昇を吸収する。2026年のような大幅な利益率悪化は繰り返さない。
EC運営はAIエージェントの普及で人の工数が減るため、受託サイト相当数は現在より少なくなる。それでも残った顧客には物流・決済まで担う価値が認められ、単価と利益率が改善する。会社はM&Aを続けても小規模案件に絞り、既存事業の改善へ資金を優先する。営業利益は45億円前後へ回復するが、景気にかかわらず高収益が続く会社とまでは評価しない。
- 店頭販売・イベント・旅行・施設運営:数量 6,500(年間スタッフ稼働人年相当(人・年、推定))× 価格 0.06(稼働人年相当当たりの顧客売上(億円・年、名目))→ 売上 410 億円・営業利益 16 億円。稼働6,500人年、物価程度の単価改善、利益率4%。
- デジタル営業・インサイドセールス・事務BPO:数量 328(年間稼働席・人年相当(席・年、推定))× 価格 0.06(1席・人年相当当たり顧客売上(億円・年、名目))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。AIにより席数は18%減。残る複雑業務で単価を確保。
- ビービーエフのEC・TC運営:数量 132(運営ECサイト相当数(サイト・年、テレビ通販等を含む便宜上の尺度))× 価格 0.83(1サイト相当当たり売上(億円・年、名目))→ 売上 109 億円・営業利益 7 億円。132サイト相当を維持。収益連動型の案件構成が改善。
- ブランチ・アウトのIP衣料品・雑貨卸:数量 17,500,000(衣料品・雑貨の年間卸売点数(点、推定))× 価格 0.00(1点当たり平均卸売額(億円・名目))→ 売上 219 億円・営業利益 13 億円。1,750万点、高付加価値商品の増加で利益率6%。
- FMG空港グランドハンドリング:数量 29,000(年間受託航空便数相当(便、推定))× 価格 0.00(1便当たりグランドハンドリング売上(億円・名目))→ 売上 101 億円・営業利益 10 億円。2万9,000便相当と現場生産性の改善で利益率10%。
倍率:k8.5%、2036年ROE約9.76%、超過利益の残存割合3分の1からRONIC約8.92%。g_long1.8%を適用した正当化PERは約11.91倍で、事業価値の上限をそのまま用いる。現在の市場評価による調整はしない。
確率:2027年に会社が見込む空港の黒字化が定着し、卸売も商品構成の見直しで改善する筋書き。現実的な上振れだが、ECの大口契約維持を当然視しない。
中立 36% 現場需要は残るが、資本効率は低いまま 利益 11 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 697 円124 億円
店頭販売と施設運営は10年後も必要とされる。だが国内人口の減少、量販店の省人化、メーカーによる営業の内製化によって、稼働人数は現在からやや減る。大型のスポーツ大会や観光案件がある年には利益が増えるものの、それを毎年の通常収益にはできない。受託単価は人件費上昇をおおむね反映するが、競争入札のため物価全体より少し弱い上昇にとどまる。
ビービーエフは自社EC基盤を維持するが、顧客の内製化とAIエージェント代替で、サイト運営の人手に相当する数量が約3割減る。インサイドセールスなどの人月型業務は、それ以上に工数を削られる。顧客のEC取扱高は増えても、運営代行会社が獲得できる取り分は伸びにくい。
ブランチ・アウトは商品点数が減る一方で、IP商品とくじ関連の構成比が高まる。価格は上がるが、小売店や権利者との交渉力の差によって利益率は4%前後にとどまる。FMGでは新規便の獲得と人員配置の改善で黒字化するが、航空会社から受け取る料金は急には上げられない。2036年の営業利益は約26億円、純利益は約11億円となる。営業利益率は過去の特需期を下回り、資本コストに届くROEも回復しない。
- 店頭販売・イベント・旅行・施設運営:数量 6,000(年間スタッフ稼働人年相当(人・年、推定))× 価格 0.06(稼働人年相当当たりの顧客売上(億円・年、名目))→ 売上 360 億円・営業利益 12 億円。実働6,000人年、単価は現状の約1.26倍。利益率3.4%。
- デジタル営業・インサイドセールス・事務BPO:数量 260(年間稼働席・人年相当(席・年、推定))× 価格 0.05(1席・人年相当当たり顧客売上(億円・年、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で数量は現状の0.65倍、価格は1.27倍。人月・工数型の中立範囲内。
- ビービーエフのEC・TC運営:数量 105(運営ECサイト相当数(サイト・年、テレビ通販等を含む便宜上の尺度))× 価格 0.80(1サイト相当当たり売上(億円・年、名目))→ 売上 84 億円・営業利益 3 億円。AI・内製化でサイト相当数量は0.70倍、単価は約1.28倍。利益率4%。
- ブランチ・アウトのIP衣料品・雑貨卸:数量 14,000,000(衣料品・雑貨の年間卸売点数(点、推定))× 価格 0.00(1点当たり平均卸売額(億円・名目))→ 売上 168 億円・営業利益 7 億円。1,400万点、単価は1.20倍。顧客の値下げ要求で利益率4%。
- FMG空港グランドハンドリング:数量 26,500(年間受託航空便数相当(便、推定))× 価格 0.00(1便当たりグランドハンドリング売上(億円・名目))→ 売上 93 億円・営業利益 6 億円。2万6,500便相当を受託し、運営効率改善で利益率6%。
倍率:2036年ROE約6.4%は資本コスト8.5%を下回る。再投資で超過利益を生めないため長期の成長価値は付けず、利益の稼ぐ力の上限PER=1÷0.085=11.76倍とする。帳簿のPBRが1倍未満であることも、倍率の根拠にはしない。
確率:2027年の会社計画から一定の改善を認める一方、2029年の営業利益40億円目標の完全達成は前提にしない。現場業務の存続とEC運営の縮小、卸売の低い価格決定権を同時に織り込む。
やや悲観 26% 顧客流出と固定費負担が続く 利益 1 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 568 円101 億円
販売支援では大口メーカーが販促予算を削減し、店舗の省人化も進む。大型案件を受注しても厳しい価格競争にさらされ、実働人員は5,400人年相当まで減る。会社は全国の拠点を維持するため管理費を大幅には落とせず、売上の減少が利益を圧迫する。
EC運営では、公式サイトの一部が顧客自身のシステムや汎用プラットフォームに移る。人手を使う注文管理や広告運用はAIエージェントが処理するため、受託の席数と料金が細る。ビービーエフは物流を伴う案件で生き残るものの、過去の収益性を保てない。ブランチ・アウトではライセンス更新と輸入費用の負担が増え、小売店の価格交渉力を覆せない。
FMGは便数が伸びず、採用・教育・設備維持に必要な費用だけが残る。会社は不採算案件の撤退と事業の縮小を進めるが、営業利益は全社で5億円を下回る。配当は減額され、資産の売却や事業整理が株主価値の主な回収手段になる。黒字は維持してもROEは資本コストを大きく下回り、継続企業としての成長価値は小さい。
- 店頭販売・イベント・旅行・施設運営:数量 5,400(年間スタッフ稼働人年相当(人・年、推定))× 価格 0.06(稼働人年相当当たりの顧客売上(億円・年、名目))→ 売上 297 億円・営業利益 4 億円。稼働5,400人年、値上げは人件費増を吸収しきれず利益率1.5%。
- デジタル営業・インサイドセールス・事務BPO:数量 210(年間稼働席・人年相当(席・年、推定))× 価格 0.05(1席・人年相当当たり顧客売上(億円・年、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。AI代替と競争による減収で赤字化。
- ビービーエフのEC・TC運営:数量 83.0(運営ECサイト相当数(サイト・年、テレビ通販等を含む便宜上の尺度))× 価格 0.71(1サイト相当当たり売上(億円・年、名目))→ 売上 59 億円・営業利益 1 億円。サイト相当数量は半分近くに縮小。利益率1%。
- ブランチ・アウトのIP衣料品・雑貨卸:数量 12,000,000(衣料品・雑貨の年間卸売点数(点、推定))× 価格 0.00(1点当たり平均卸売額(億円・名目))→ 売上 132 億円・営業利益 1 億円。1,200万点、値上げ不足と権利料負担で利益率1%。
- FMG空港グランドハンドリング:数量 22,000(年間受託航空便数相当(便、推定))× 価格 0.00(1便当たりグランドハンドリング売上(億円・名目))→ 売上 66 億円・営業利益 0 億円。便数が伸びず、固定費で利益が消える。
倍率:利益1.40億円の永続価値は低く、継続利益より事業整理・資産回収が株主価値を支える。倍率の分母は10年後の自己資本140億円ではなく、2026年8月期の親会社帰属自己資本168.87億円とする。約95億円の回収可能資産を床に、薄い事業価値を加えた約101億円を評価する。過去の株価やPBRの谷は参照しない。
確率:2026年の空港損失、EC大口契約終了、卸売の価格転嫁難が部分的に長期化する筋書き。現実の悪化要因を基礎とするため、上側の個別筋書きより高い確率とする。
悲観 13% 買収事業の価値が傷み、資産回収が中心になる 利益 −11 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 532 円95 億円
通信販売支援は人員削減が進み、店舗に配置するスタッフ数が大幅に減る。短期のイベント案件を確保しても、固定管理費を十分に回収できない。オンライン営業や注文処理の仕事ではAIエージェントが人の操作を肩代わりし、受託席数と顧客からの請求額がともに減る。ビービーエフは自社の基盤を維持しても大口ブランドの離脱を止められず、サイト相当数量は60まで縮む。
ブランチ・アウトでは人気IPのライセンス更新が難しくなり、大手小売店からの発注が減る。輸入商品の在庫処分で利益を失い、従来の卸売の規模を縮めざるをえなくなる。FMGは国際線の減便が再び起こり、訓練済み人員の固定費を吸収できない。安全を犠牲にした省人化はできず、赤字が続く。
経営は買収の拡大を断念し、不採算案件や事業の売却、固定費の削減へ方針を切り替える。配当も大幅に縮小する。2036年時点の営業損益は赤字で、通常の利益倍率では値付けできない。残された売掛金、現金、設備、事業売却代金の回収が価値の中心になる。買収に伴うのれんや換金困難な資産を厳しく控除したうえで、現在から残る実体資産の保守的な回収額を評価する。
- 店頭販売・イベント・旅行・施設運営:数量 4,300(年間スタッフ稼働人年相当(人・年、推定))× 価格 0.05(稼働人年相当当たりの顧客売上(億円・年、名目))→ 売上 232 億円・営業利益 1 億円。稼働4,300人年。人件費上昇を転嫁できずほぼ損益均衡。
- デジタル営業・インサイドセールス・事務BPO:数量 150(年間稼働席・人年相当(席・年、推定))× 価格 0.04(1席・人年相当当たり顧客売上(億円・年、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 −1 億円。人月需要の崩れで150席相当へ縮小し赤字。
- ビービーエフのEC・TC運営:数量 60.0(運営ECサイト相当数(サイト・年、テレビ通販等を含む便宜上の尺度))× 価格 0.65(1サイト相当当たり売上(億円・年、名目))→ 売上 39 億円・営業利益 −2 億円。顧客内製化とAI代替で60サイト相当。運営固定費が残り赤字。
- ブランチ・アウトのIP衣料品・雑貨卸:数量 8,000,000(衣料品・雑貨の年間卸売点数(点、推定))× 価格 0.00(1点当たり平均卸売額(億円・名目))→ 売上 84 億円・営業利益 −3 億円。800万点、ライセンス失効・在庫処分で利益率マイナス4%。
- FMG空港グランドハンドリング:数量 17,000(年間受託航空便数相当(便、推定))× 価格 0.00(1便当たりグランドハンドリング売上(億円・名目))→ 売上 48 億円・営業利益 −4 億円。1万7,000便相当へ減少。安全確保に必要な職員を維持し赤字。
倍率:営業・純利益とも赤字であるためPERは使わない。現在確認できる親会社帰属自己資本168.87億円を分母にし、売却しにくいのれん等を控除した回収可能資産約95億円を時価総額とする。PBR約0.56256は回収資産から導いたものであり、過去の株価やPBRの底から決めた数字ではない。
確率:AIによる事務・EC業務の置き換えに、空港の減便、IP商品の失速、買収投資の失敗が重なる複合シナリオ。全事業が同時に傷むことは必然ではないが、事業間の利益補完が機能しなかった2026年の実績から無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
店頭販売・イベント・旅行・施設運営
通信・家電の販売支援、観光案内、スポーツ・エンタメ施設、公共業務など、人が現場で働くことで価値を提供する受託・派遣事業。AI分類は現場の体を使う業務であり、間接事務だけに代替リスクがある。
| 数量年間スタッフ稼働人年相当(人・年、推定) | 価格稼働人年相当当たりの顧客売上(億円・年、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 6,200 | 0.05 | 294 | 7 |
| 10 年後 中立 | 6,000 | 0.06 | 360 | 12 |
取り方:2026年8月期決算説明資料のヒト・コミュニケーションズG売上311.40億円から、セクター別デジタル営業支援110.22億円とBBFグループ93.24億円との差16.98億円を引くと294.42億円となる。会社は稼働人年を公表していない。2025年有報の派遣・受託就業者数約7,053人を参考に、FMGや間接業務を除いた実働換算を6,200人年と仮定し、売上を割って約475万円/人年とした。営業利益7.21億円は同Gの営業利益7.63億円からデジタル部分への推定配賦0.42億円を除いたもの。いずれも正式な開示セグメントではなく、数量・利益配賦は分析上の推計である。派遣市場の分母は日本人材派遣協会 https://www.jassa.or.jp/know/data/ を参照する。
デジタル営業・インサイドセールス・事務BPO
SALES ROBOTICSなどによるオンライン営業、営業支援、事務・広告関連運用。人月・工数で売る部分にAIエージェント代替を適用し、画面操作や定型営業を10年で縮小させる。
| 数量年間稼働席・人年相当(席・年、推定) | 価格1席・人年相当当たり顧客売上(億円・年、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 400 | 0.04 | 17 | 0 |
| 10 年後 中立 | 260 | 0.05 | 14 | 0 |
取り方:2026年8月期説明資料のデジタル営業支援セクター110.22億円からBBFグループ93.24億円を除いた16.98億円を、ヒトG側のオンライン営業・BPO相当と推定した。稼働席数と単価は非開示のため、1席年間約424.5万円の受託請求を仮定して400席相当とした。営業利益はヒトG全体の利益率を参考に0.42億円を推計配賦した。全額が事務BPOではない可能性があり、分類の誤差は業務構成の開示で再検証する。AI分類は人月・工数型で、中立数量の10年倍率0.65、価格倍率1.27、2036年より先の名目成長率0%を採用する。
ビービーエフのEC・TC運営
ブランド公式ECの構築、販促、決済、受注、物流、顧客対応、テレビ通販支援。独自基盤と成果報酬に強みがあるが、人手による運営と画面中心の作業はAI代替の対象とする。
| 数量運営ECサイト相当数(サイト・年、テレビ通販等を含む便宜上の尺度) | 価格1サイト相当当たり売上(億円・年、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 150 | 0.62 | 93 | 3 |
| 10 年後 中立 | 105 | 0.80 | 84 | 3 |
取り方:会社の2026年8月期資料ではBBFグループ売上93.24億円、営業利益3.28億円。2026年10月7日のエンバーポイント社発表 https://emberpoint.com/news/release/release20260930-bbf-email-api.html はBBFが150以上のECサイトを運営すると明記している。150サイトを保守的な最小数量として売上を割り、1サイト相当0.6216億円とした。テレビ通販、物販売上、顧客ごとの取扱高差を含むので、これは固定のシステム利用料ではない。大手スポーツメーカーの契約終了を踏まえ、AI分類はEC運営のBPO・画面型であり、記録の正本型にはしない。中立数量は150の0.70倍、価格は現状の約1.28倍、2036年以降の当該運営工数の成長率は0%とする。
ブランチ・アウトのIP衣料品・雑貨卸
ライセンス契約に基づくキャラクター衣料・雑貨の企画、製造委託、輸入、卸売。商品そのものを売る事業であり、AIの直接的な人月代替ではないが、デザイン制作と間接事務には効率化・価格競争が及ぶ。
| 数量衣料品・雑貨の年間卸売点数(点、推定) | 価格1点当たり平均卸売額(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 15,639,000 | 0.00 | 156 | 7 |
| 10 年後 中立 | 14,000,000 | 0.00 | 168 | 7 |
取り方:2026年8月期会社資料のブランチ・アウトグループ売上156.39億円、営業利益6.54億円を採用する。会社は点数・平均卸売単価を開示していないため、衣料品・雑貨・くじ関連商品の混合卸売単価を1点1,000円と仮定し、逆算して約1,564万点とした。これは物理的な商品点数の推定であり、単なる売上指数ではない。単価の正確性には限界がある。2026年に中国仕入れ費用を大手小売店へ転嫁できなかった実績を受け、中立の10年価格上昇を物価1.34倍より低い1.20倍とする。商品そのものはAI人月型には該当しない。
FMG空港グランドハンドリング
航空機の旅客対応、ランプ作業、地上支援など、資格と現場人員が必要な業務。物理作業の需要は存続するが、便数減少と人員固定費の不一致が収益を大きく左右する。
| 数量年間受託航空便数相当(便、推定) | 価格1便当たりグランドハンドリング売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 22,300 | 0.00 | 60 | −5 |
| 10 年後 中立 | 26,500 | 0.00 | 93 | 6 |
取り方:2026年8月期決算説明資料のFMGグループ売上60.21億円、営業損失4.81億円を採用する。同資料には翌期の新規受託約2,913便と売上増約7.86億円の関係が示され、1便約27万円と試算できる。この単価で2026年の売上を割って年間約22,300便相当とした。便数は会社公表の実処理便数ではなく、旅客・ランプの複数作業を単一便に換算した推定値である。AI分類は現場の体を使う業務であり、勤務表作成などの間接業務のみ代替を織り込む。
リスクと懸念
AIエージェント代替によるEC運営・人月業務の縮小
ビービーエフのECサイト運営、SALES ROBOTICS等のオンライン営業、広告運用、注文処理、事務受託は、人の工数と画面操作を顧客が買っている部分がある。AIエージェントが複数システムをまたいでこれらを実行すれば、必要な席数・受託サイト相当数と請求単価がともに圧迫される。150以上のサイトを支える共通基盤は強みだが、大口契約離脱の実例があり、低解約率などの継続的な堀は未確認である。
空港の固定費と国際線の減便
2026年のFMGは売上60億円に対し営業赤字4.81億円だった。政治情勢、航空燃料価格、航空会社の減便判断は自社で制御できない。一方で旅客対応や航空機周辺の安全作業に必要な人員と資格は簡単に減らせず、稼働率が少し落ちるだけで利益が消える。新規便獲得だけでなく、契約ごとの人員生産性が持続的に改善するかを確認する必要がある。
卸売の値決め力と中国調達への依存
ブランチ・アウトは中国での製造・調達への依存が高く、2026年には仕入れ費用の上昇を大手小売店へ転嫁できなかった。IP商品の人気が続いても、仕入れ、権利料、在庫処分の負担が上回れば利益は増えない。キャラクター商品の販売点数よりも、1点当たりの粗利益、権利契約の更新条件、低採算案件の撤退実績が長期価値を左右する。
M&Aと約54億円ののれん
EC、卸売、空港への進出は主に買収で実現した。2026年ののれん残高は約54億円に上り、年間約8億円の償却が生じている。中期計画には約100億円の追加M&A枠があるが、既存の事業群から十分な利益が出ないまま新たな買収をすれば、将来の償却・減損と資金負担が増える。買収対象の売上規模より、取得価格を含めた増分ROICを重視する。
利益を上回る配当と資金繰り
2026年8月期は純利益1.67億円に対し配当総額が約6.7億円となり、営業キャッシュフローもマイナスだった。2025年の純現金35億円超という印象は、2026年の借入増加を反映すると弱まる。派遣事業では給与の先払い、空港では人員・設備、卸売では商品在庫が資金を拘束する。増配実績だけでは将来の配当余力は保証されず、借入で還元を維持する期間が長引けば株主価値を損なう。
人口減少・顧客の内製化・案件の一時性
国内の量販店販売員需要は人口減少、省人化、メーカーの直接販売によって徐々に細る可能性がある。大阪・関西万博のような大型案件は売上に寄与しても恒常的な利益ではない。スポーツ施設や観光案件への移行が遅れれば、固定の採用・営業拠点費用だけが残る。ECやオンライン営業では顧客による業務内製化が進み、契約更新のたびに採算を見直さざるをえなくなる。
今後の分かれ目
- FMGの年間受託便数と一便当たり売上が増え、営業利益率8%以上が複数期続いたら
- 勤務配置の改善と固定費吸収が実証されたと判断する。中立の空港利益率と全社純利益を引き上げ、やや楽観側の重みを増やす。ただし新規契約による先行採用費も併せて確認する。
- 中国便などの減便が長期化し、FMGの営業赤字が2027年以降も解消しなかったら
- 空港の受託便数と利益率を下方修正する。資金流出を伴うため、やや悲観・悲観の確率を増やし、会社全体の余剰現金を改めて確認する。
- ビービーエフの運営ECサイト相当数が今後3年で15%以上減り、大口顧客の離脱が続いたら
- AIエージェント代替と顧客内製化による構造的な需要減と判断する。長期のサイト数と売上連動収益を引き下げ、共通EC基盤の堀の評価をさらに弱める。
- ブランチ・アウトの高付加価値品構成比が計画どおり上昇し、営業利益率6%以上が定着したら
- IP企画力が卸売の価格決定力につながった証拠として、商品単価と利益率の見通しを上げる。販売点数を伴わない名目売上だけの増加では判断しない。
- 新たな大型買収を実施し、取得価格を含む増分ROICが8.5%を下回ったら
- 事業規模が拡大しても価値創造にはならないと判断する。新規のれん、借入、償却負担を反映し、株主に帰属する10年後の価値を減額する。
- 営業キャッシュフローが継続的に黒字化し、配当支払後にも純現金が増え始めたら
- 利益の質と株主還元の持続性を上方評価する。逆に、純利益が低迷したまま配当を借入で賄う状態が続けば、将来の還元総額を引き下げる。
見ておくもの
- FMGの新規受託便数、運航回復便数、一便当たり売上、営業利益率
- FMGの勤務配置改善による必要チーム数と一便当たり労務費
- ビービーエフの実運営サイト数、大口サイトの解約・新規獲得、売上連動料率
- SALES ROBOTICS等の人月・工数型売上とAI自動化の販売実績
- ブランチ・アウトの高付加価値品比率、粗利益率、為替コスト転嫁状況
- 2029年中期計画の営業利益40億円、ROE10%以上、ROIC10%以上への進捗
- のれん残高、営業キャッシュフロー、純現金、借入残高、配当の原資
- 買収案件ごとの取得価格、投下資本、追加営業利益、事後ROIC
倍率と資本コストの決め方
まず2026年8月期に公表された4つの中核グループを、物理的な現場業務、人月型デジタル営業、EC運営、IP商品、空港業務の5つに組み直した。正式に数量が開示されない部分は、スタッフ人年、席数、実運営ECサイト数、商品点数、契約増便から逆算した受託便数という実物単位で推定し、数量と単価を区別した。物価3%の10年倍率は価格側にのみ反映し、数量には入れていない。
倍率は現在・過去・同業の市場PERではなく、資本コスト8.5%、ROE、超過収益の残存割合、AI代替を織り込んだ長期成長率1.8%から決めた。中立のROEは資本コスト以下なので、PERは稼ぐ力の上限11.76倍とした。悲観は赤字のためPBRを使い、現在の自己資本からのれんなどを控除した約95億円の回収可能額を床とした。2025年の純現金をそのまま足さず、2026年の借入増加を考慮している。
10年の配当は各筋書きの利益と資金余力に合わせ、悲観ほど減らした。自己資本は直近約168.87億円を起点に、その後の損益の累積と還元を反映した概算である。2027年4月以後開始年度からの新リース会計による表示変更は、家賃を含む従来の営業利益の経済的負担と区別し、リース負債と家賃を二重計上していない。添付の株価と株数は最後の比較だけに用いた。確率加重価値は約105.9億円、基準時価総額150.6億円との差は約マイナス29.7%である。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債利回り3%、株式リスクプレミアム4.5%の基本7.5%に、利益変動と低い価格転嫁力の調整1.0%を加える。赤字が恒常化した会社ではなく、翌期の黒字計画もあるため経営危機の追加上乗せはしない。