結論
SOLIZEは、自動車メーカーの開発の現場に技術者を出し、設計や解析を請け負う会社だ。3Dプリンタで試作品や部品を造る工場も持つ。筆者の結論は「割高」である。
一番の理由は、稼ぎの大半が人の時間、つまり人月で売る仕事だからだ。AIエージェントが図面の手直しや解析の設定を引き受けるようになると、自動車メーカーが外に出す人月は減る。過去10年の伸びは、10年先の目安にならない。
利益も薄い。2025年12月期の売上は258億円と伸びたが、営業利益は0.8億円、純利益は赤字だった。新しい事業の赤字と、技術者を急いで増やした費用が重い。ホンダ一社が売上の27%を占めるのも気になる。
一方で、借金は無く、現金を46億円持つ。時価総額71億円の6割を超える。株価は自己資本の0.6倍ほどで、帳簿の上では安く見える。
それでも、事業の稼ぐ力が資本の重さに見合わない。筆者は、自己資本利益率が10年先でも5%前後にとどまり、資本のコストを下回ると見る。
現金の厚みが値段を支える床にはなるが、その現金も買収に回る。安全域は、現金を差し引いた事業の値段の中に見当たらない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の目で見ると、この会社は「財務は安全だが、事業の稼ぐ力が弱く、先も読みにくい」型だ。借金が無く現金が厚いので、すぐに困ることは無い。だが、安全なことと、株主にお金を増やすことは別だ。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は小さい。営業利益率は過去の山で4%台、今は1%を切る。自己資本の6割を超える現金は利息をほとんど生まず、事業の部分の稼ぎもわずかだ。
人の時間で売る事業は、AIエージェントの時代に一番形が変わる。わからないものには高い値を払わない、というのが長く持つ株主の考え方だ。SOLIZEがAIを自社の売り物にして稼いだ実績が開示されるまでは、楽観の値は払えない。
安全域は、帳簿の上では大きく見える。株価は自己資本の0.6倍だ。だが、その自己資本の多くは利益を生んでいない。筆者は、10年先の事業の価値と現金の戻りを合わせても、今の値段に届かないと見る。
もし営業利益率が5%を超える年が続き、AIの製品の売上が数字で示されたら、見方を変える。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、エンジニアリング・マニュファクチャリングのセグメントだ。2025年12月期の売上は188億円で、全体の7割を占める。自動車メーカーの開発の現場に技術者を出し、車体や部品の設計、強度や流れの解析、試作を請け負う。国内の技術者は1,639人で、1年で250人増えた。
同じセグメントに、3Dプリンタの造形がある。大和と豊田の2つの工場に43台を並べ、光で固める方式、粉を焼き固める方式、金属の方式を使い分ける。試作品だけでなく、量の少ない最終部品も造る。国内でこの規模の造形の工場を持つ会社は多くない。
コンサルティング・エンジニアリングは売上46億円、利益3億円。開発の進め方を変える助言、AIの製品、車のソフト化(SDV)や車のサイバーセキュリティの支援を売る。利益率はこの区分が一番高い。
ビジネスインキュベーションは売上23億円で、損失が8億円あった。ソフトの開発や、2024年に買った学童保育のALQなどが入る。新しい事業を育てる区分だが、今は全社の利益を食っている。
最大の顧客は本田技研工業で、売上の27%を占める。ホンダの研究所との付き合いは長く、SOLIZEの技術者が開発の現場に深く入っている。
会社は2027年に売上400億円、2033年に1,000億円という目標を掲げ、毎年500人の技術者を採る体制を作った。2024年にはCAEのSiM24、2025年にはフューレックスを買った。人を増やして売上を増やす、人月の型の成長だ。
優良さと弱いところ
強みは、自動車の開発の現場に長く入ってきた技術者の層と、3Dプリンタの造形の工場だ。ホンダとの深い関係は、他社がすぐにまねできない。造形の工場は設備と運用の知恵が要り、新しく作るには時間とお金がかかる。
だが、堀、つまり長く超過の稼ぎを守る力としては弱い。人を出して設計や解析を請け負う仕事は、同業の会社が多く、単価は自動車メーカーが決める。技術者を増やせば売上は増えるが、利益率は低いままだ。2023年12月期の営業利益率4.4%が過去の山で、2025年12月期は0.3%まで下がった。
AIエージェントの影響は、この会社の一番大きな不確かさだ。図面の手直し、解析の条件の設定、報告書の作成は、AIが得意な仕事だ。SOLIZEはAIの製品も売るが、その売上の額は開示されていない。
財務は健全だ。借金は無く、自己資本比率は72%、現金は46億円ある。ただ、自己資本利益率は過去5年で中央が2%台と低い。
経営は、人を増やし、会社を買って売上を伸ばす道を選んでいる。売上の目標は大きいが、利益の目標は売上ほど強く語られない。株主から見ると、規模より一人あたりの稼ぎを上げる方が大事だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
自動車の開発の外注は、長く伸びてきた市場だ。自動車メーカーは電動化、自動運転、車のソフト化を同時に進め、自社の技術者だけでは足りない。設計・解析の受託や技術者の派遣の会社は、この人手の不足を埋めてきた。
これからの10年は、AIエージェントが前提を変える。設計の図面の手直し、解析の条件の設定、試験の報告書は、人の時間を使う仕事の典型だ。AIがこれを引き受ければ、自動車メーカーが外に出す人月は減る。過去10年の伸びは、10年先の目安にならない。筆者はAIエージェント代替の決まりに沿い、人月の部分の中立の量を10年で0.75倍と置いた。
一方で、物を造る仕事は残る。3Dプリンタの造形は、試作品や量の少ない部品を早く造る道具で、AIがそのまま置き換えるものではない。学童保育も人の現場の仕事だ。SOLIZEの中で、この部分がAIの影響を和らげる。
顧客の側も揺れている。ホンダは電動化の投資の計画を見直し、自動車メーカー各社は開発費の配分を変えている。開発の外注は、景気と各社の投資の判断で年ごとに大きく振れる。
同業には、技術者派遣の大手や、設計の受託の専業が多くある。人の取り合いは激しく、技術者の給料は上がる。単価を上げられなければ、利益は削られる。
物価が年3%で上がる世界では、技術者の給料も物価並みに上がる。単価を物価並みに上げられるかが利益を決めるが、人月の値付けはAIの道具が安くなるほど下げの圧力を受ける。
資本政策と M&A
財務は厚い。2025年12月期末の現金は46億円、借金は無く、自己資本は113億円ある。時価総額71億円の6割を超える現金だ。
配当は、前の期末の純資産の2.5%ほどを払う方針で、2025年12月期は総額2.9億円だった。利益が赤字でも配当を払う形で、株主への還元の約束としては分かりやすい。自社株買いはしていない。
現金の使い道は、配当より買収が中心だ。2024年にALQとSiM24、2025年にフューレックスを買い、フューレックスだけで10.8億円を払った。筆者は、事業に要る運転資金と人件費の手当てを除いた25億円を余った現金とし、株主への戻り方を0.75とした。
上位の株主には投資育成の会社などが並ぶ。親会社は無く、市場の目が経営の規律になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
財務の安全さは本物だ。借金は無く、現金が46億円、自己資本比率は72%ある。時価総額71億円の6割を超える現金があり、株価は自己資本の0.6倍しかない。事業がほとんど稼がなくても、下値は現金が支える。
業績は底を打った。2026年12月期の会社の予想は売上305億円、営業利益5億円、純利益3億円で、前の期の赤字から戻る。技術者を急いで増やした費用は一巡し、増えた人が稼ぎ始める。
自動車の開発の仕事は減らない。電動化、自動運転、車のソフト化は、どれも人と知恵が要る。SOLIZEはホンダの開発の現場に深く入り、車のセキュリティやSDVの支援のような新しい仕事も取っている。
3Dプリンタの造形の工場は、国内で珍しい規模だ。AIが置き換えられない物の造りで、試作から量産の部品まで広がる余地がある。
AIエージェントも、使う側に回れば味方になる。SOLIZEはAIの製品を自ら売っており、設計と解析の生産性を上げられれば、技術者1人あたりの稼ぎは上がる。人月が減っても、成果で値を付ける形に移れる。
慎重な見方
稼ぎの大半は人の時間で売る仕事だ。AIエージェントが図面の手直しや解析の設定を引き受ければ、自動車メーカーが外に出す人月は減る。SOLIZEはAIの製品を売るが、その売上の額は開示されていない。証拠の無い期待に値は払えない。
利益は薄い。2025年12月期の営業利益は0.8億円、純利益は赤字で、営業利益率は過去の山でも4%台だ。2026年12月期の上期も営業利益は0.8億円にとどまり、通期の予想5億円には後半の大きな伸びが要る。
ホンダ一社が売上の27%を占める。ホンダが電動化の投資を見直せば、開発の外注は一度に減る。顧客を選べない受託の弱さだ。
現金は厚いが、使い道は買収だ。学童保育やCAEの会社を買い、新しい事業の区分は8億円の赤字を出した。現金が株主に戻る保証は無い。
売上1,000億円の目標は、技術者を毎年500人増やす前提だ。人を増やすほど、AIに置き換えられる人月の量も増える。規模を追う戦略は、AIの時代には逆風を大きくする。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。現金の厚みは下値を支えるが、事業の稼ぐ力は資本のコストに届かない。人月の仕事がAIエージェントに削られる先は、中立の筋書きに既に入れた。確率は中立を37%、悲観側に40%、楽観側に23%を置いた。現金を含めても、今の値段に見合う価値は見当たらないと判断した。楽観の側の言う業績の底打ちは会社の予想どおりなら起きるが、それでも営業利益率は過去の山の4%台に戻るだけで、自己資本の重さに見合う稼ぎにはならない。AIの製品の売上が数字で出るまでは、楽観の値は払わない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,621 円87 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 580 円31 億円)。 今の値に割り戻すと 1,124 円60 億円、今との差 −15.1%、 期待の年率 +5.2%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 4,182 円225 億円 | 1,117 円60 億円 | +300.6% | +14.9% | 318 円17 億円 |
| やや楽観 | 17% | 2,939 円158 億円 | 838 円45 億円 | +185.5% | +11.1% | 642 円34 億円 |
| 中立 | 37% | 1,712 円92 億円 | 596 円32 億円 | +74.5% | +5.7% | 854 円46 億円 |
| やや悲観 | 25% | 631 円34 億円 | 465 円25 億円 | −17.1% | −1.9% | 274 円15 億円 |
| 悲観 | 15% | 527 円28 億円 | 223 円12 億円 | −43.3% | −5.5% | 113 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,621 円87 億円 | 580 円31 億円 | +66.3% | +5.2% | 2,201 円118 億円 |
今の株価時価総額 1,323 円71 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 6% 車のソフト化の波に乗り、技術者を増やして稼ぐ 利益 17 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 4,182 円225 億円
車のソフト化と電動化で、自動車メーカーの開発の仕事は減らない。AIエージェントが設計や解析の手間を減らしても、SOLIZEはその道具を自分で使いこなし、技術者1人あたりの売上を物価より速く上げる。技術者の数は今と同じ1,639人を保つ。
3Dプリンタの造形は、試作だけでなく最終部品の量産にも広がり、工場の稼働が上がる。コンサルは物価並みに単価を上げ、学童保育のALQなど新しい事業も黒字になる。
営業利益率は7%台、純利益は17億円になる。ホンダ以外の顧客も増え、一社に頼る度合いは下がる。
配当は純資産の2.5%の方針どおり増え、10年で60億円を戻す。中期経営計画の売上1,000億円には届かないが、利益の質は今よりずっと良くなる。
- エンジニアリング・マニュファクチャリング:数量 1,639(国内の技術者数(人))× 価格 16(技術者1人あたりの売上(百万円・3D造形を含む))→ 売上 260 億円・営業利益 18 億円。技術者1.0倍・単価1.38倍・利益率7%
- コンサルティング・エンジニアリング:数量 100(案件の量(2025/12期を100))× 価格 0.64(量1あたりの売上(億円))→ 売上 64 億円・営業利益 6 億円。量1.0倍・単価1.38倍・利益率9%
- ビジネスインキュベーション:数量 150(事業の量(2025/12期を100))× 価格 0.31(量1あたりの売上(億円))→ 売上 47 億円・営業利益 2 億円。量1.5倍・単価1.34倍・利益率5%
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.1% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.9%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)19 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 225 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AIエージェントを自社の売り物にした売上の開示は無いので、楽観でも技術者の数は今と同じまで。利益率7%は2023/12期の4.4%を大きく超えるので6%とした。
やや楽観 17% 技術者の数は少し減るが、単価と新事業で持ち直す 利益 12 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 2,939 円158 億円
AIエージェントが設計と解析の一部を置き換え、同じ仕事に要る技術者は少しずつ減る。SOLIZEは採用を絞り、技術者は10年で1割減る。それでも車のソフト化やセキュリティの仕事が増え、技術者1人あたりの売上は物価並みに上がる。
3Dプリンタの造形は試作の需要を保ち、利益を下支えする。ビジネスインキュベーションは赤字の事業を整理し、学童保育などが小さな黒字になる。
営業利益率は6%前後、純利益は12億円になる。ホンダへの依存は3割弱のまま続く。
配当は純資産の2.5%で着実に増え、10年で45億円を戻す。現金は買収にも使うが、大きな失敗はしない。会社としては、今より稼ぐ力の戻った姿だ。
- エンジニアリング・マニュファクチャリング:数量 1,475(国内の技術者数(人))× 価格 15(技術者1人あたりの売上(百万円・3D造形を含む))→ 売上 227 億円・営業利益 12 億円。技術者0.9倍・単価1.34倍・利益率5.5%
- コンサルティング・エンジニアリング:数量 85.0(案件の量(2025/12期を100))× 価格 0.62(量1あたりの売上(億円))→ 売上 53 億円・営業利益 4 億円。量0.85倍・単価1.34倍・利益率8%
- ビジネスインキュベーション:数量 130(事業の量(2025/12期を100))× 価格 0.31(量1あたりの売上(億円))→ 売上 41 億円・営業利益 1 億円。量1.3倍・単価1.34倍・利益率3%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.8% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)19 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 158 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の2026/12期の予想は営業利益5億円と回復の途中で、上期の実績はまだ0.8億円。回復が続く姿として17%とした。
中立 37% AIエージェントに人月が削られ、薄い利益が続く 利益 6 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,712 円92 億円
AIエージェントが設計の図面の手直しや解析の設定を引き受け、自動車メーカーが外に出す人月は年に3%ずつ減る。SOLIZEの技術者は10年で4分の3になる。単価は物価に少し届かない。
3Dプリンタの造形は物を造る仕事で、人月ほどは減らない。コンサルはAIの道具が安く手に入るようになり、案件の量が3分の2になる。学童保育などの新しい事業は赤字を止めるが、利益はほとんど出ない。
営業利益率は4%前後、純利益は6億円台にとどまる。
配当は純資産の2.5%の方針で続き、10年で32億円を戻す。現金は大きく減らないが、買収に使った分のもとは取れない。会社は続くが、株主に残る稼ぎは小さい。
- エンジニアリング・マニュファクチャリング:数量 1,229(国内の技術者数(人))× 価格 15(技術者1人あたりの売上(百万円・3D造形を含む))→ 売上 184 億円・営業利益 7 億円。技術者0.75倍・単価1.30倍・利益率4%
- コンサルティング・エンジニアリング:数量 65.0(案件の量(2025/12期を100))× 価格 0.60(量1あたりの売上(億円))→ 売上 39 億円・営業利益 2 億円。量0.65倍・単価1.30倍・利益率6%
- ビジネスインキュベーション:数量 100(事業の量(2025/12期を100))× 価格 0.31(量1あたりの売上(億円))→ 売上 31 億円・営業利益 0 億円。量1.0倍・単価1.34倍・利益率0%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)19 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 92 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:設計・解析の受託は人の時間で売る仕事で、AIエージェント代替の決まりでは中立の数量が0.55〜0.75倍。3D造形と学童保育は物と人の現場なので上寄りの0.75倍を置いた。最も起こりやすい姿として37%とした。
やや悲観 25% 人月が大きく減り、ホンダの開発の外注も細る 利益 2 億円 · PER 11.5 倍 · 株価時価総額 631 円34 億円
AIエージェントの普及が速く、自動車メーカーは設計と解析を自社の道具で回す。外に出す人月は10年で4割減る。ホンダが電動化の投資を絞った年には、開発の外注が一度に減る。
単価は物価に届かず、技術者の稼働も下がる。3Dプリンタの造形は試作の需要が細り、工場の設備が重くなる。コンサルの案件も半分になる。
営業利益率は2%前後、純利益は2億円にとどまる。配当は純資産の2.5%の方針を守るが、利益を超える配当で現金が減る。
買った学童保育やCAEの会社は思うように伸びず、のれんの価値も目減りする。会社は借金が無いので倒れないが、持っている現金と設備の価値で値が決まる姿に近づく。
- エンジニアリング・マニュファクチャリング:数量 983(国内の技術者数(人))× 価格 14(技術者1人あたりの売上(百万円・3D造形を含む))→ 売上 141 億円・営業利益 3 億円。技術者0.6倍・単価1.25倍・利益率2%
- コンサルティング・エンジニアリング:数量 50.0(案件の量(2025/12期を100))× 価格 0.58(量1あたりの売上(億円))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。量0.5倍・単価1.25倍・利益率3%
- ビジネスインキュベーション:数量 80.0(事業の量(2025/12期を100))× 価格 0.28(量1あたりの売上(億円))→ 売上 22 億円・営業利益 −1 億円。量0.8倍・単価1.2倍・利益率−3%
倍率:ROEは約2%でk 8.25%を大きく下回る。稼ぐ力は純利益÷kで20億円ほどで、PERは1÷kの上限近くの11.51倍。現金は谷で一部を食うので、余った現金は今の0.75倍の約19億円に戻り方0.75を掛けて足した。
確率:2025/12期は営業利益0.8億円、純損失だった。ホンダが売上の27%を占め、ホンダの開発費の削り方ひとつで利益が消える。やや悲観と悲観で40%を置いた。
悲観 15% 受託の人月が半分になり、赤字が続く 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 527 円28 億円
AIエージェントが設計と解析の大半を置き換え、自動車メーカーは外の技術者をほとんど使わなくなる。SOLIZEの人月の売上は10年で半分になり、技術者を減らす費用もかかる。
ホンダが開発の外注を大きく減らし、3Dプリンタの造形も試作の需要が落ちる。コンサルと新しい事業は赤字が続く。営業赤字の年が続き、現金は赤字と人を減らす費用に消える。
配当は途中で減らす。残るのは手元の現金の一部と、3Dプリンタの工場の設備くらいになる。
会社は借金が無く、すぐには倒れない。それでも、人の時間で売る事業が縮む時、帳簿の自己資本の多くはのれんと人に紐づいた資産で、売っても値が付かない。
- エンジニアリング・マニュファクチャリング:数量 820(国内の技術者数(人))× 価格 13(技術者1人あたりの売上(百万円・3D造形を含む))→ 売上 104 億円・営業利益 −1 億円。技術者0.5倍・単価1.10倍・利益率−1%
- コンサルティング・エンジニアリング:数量 40.0(案件の量(2025/12期を100))× 価格 0.51(量1あたりの売上(億円))→ 売上 20 億円・営業利益 0 億円。量0.4倍・単価1.10倍・利益率−2%
- ビジネスインキュベーション:数量 60.0(事業の量(2025/12期を100))× 価格 0.26(量1あたりの売上(億円))→ 売上 15 億円・営業利益 −1 億円。量0.6倍・単価1.10倍・利益率−5%
倍率:赤字でROEは負。床は純現金と売れる資産の約28億円で、2025/12期末の自己資本113億円に0.25倍を掛けて同じ値にした。余った現金はこの床に含めたので別に足さない。
確率:AIエージェント代替の決まりでは、悲観は売上が10年で半分前後。ホンダへの依存と2025/12期の純損失を考え、15%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
エンジニアリング・マニュファクチャリング
自動車メーカーなどの開発の現場に技術者を出し、設計・解析・試作を請け負う。3Dプリンタで試作品や最終部品を造る工場を大和と豊田に持つ。
| 数量国内の技術者数(人) | 価格技術者1人あたりの売上(百万円・3D造形を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,639 | 11 | 188 | 4 |
| 10 年後 中立 | 1,229 | 15 | 184 | 7 |
取り方:セグメント売上188.28億円(有報)を国内の技術者1,639人で割った、1人あたり約11.5百万円。3Dプリンタの造形の売上もこの中に入っており、技術者1人あたりに含めた。人×百万円×0.01で億円。
コンサルティング・エンジニアリング
開発の進め方を変えるコンサル、AI製品、車のソフト化(SDV)や車のサイバーセキュリティの支援を売る。
| 数量案件の量(2025/12期を100) | 価格量1あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.46 | 46 | 3 |
| 10 年後 中立 | 65.0 | 0.60 | 39 | 2 |
取り方:セグメント売上46.17億円(有報)。人数や案件数の開示が無いので、量を100と置き、1あたり0.4617億円とした。
ビジネスインキュベーション
新しい事業を育てる区分。ソフトの開発、学童保育のALQ(2024年に買った)などが入る。
| 数量事業の量(2025/12期を100) | 価格量1あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.23 | 23 | −8 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.31 | 31 | 0 |
取り方:セグメント売上23.33億円、損失8.34億円(有報)。中身が雑多なので、量を100と置き、1あたり0.2333億円とした。
リスクと懸念
AIエージェント代替
設計の図面の手直し、解析の設定、報告書の作成は、AIエージェントが得意な仕事だ。自動車メーカーが外に出す人月が減れば、技術者の数と単価の両方が下がる。AIの製品の売上は開示されていない。
ホンダへの依存
本田技研工業が売上の27%を占める。ホンダが電動化や開発の投資を見直せば、外注の量が一度に減る。
新しい事業の赤字
ビジネスインキュベーションは2025年12月期に8億円の損失を出した。買った学童保育やソフトの事業が育たなければ、のれんの価値も目減りする。
買収に使う現金
現金は厚いが、使い道は買収が中心だ。2025年にはフューレックスに10.8億円を払った。高い値で買えば、株主に戻るはずの現金が減る。
技術者の取り合い
技術者の給料は物価並みに上がる。毎年多くの人を採る体制は、採用と教育の費用を重くし、単価を上げられなければ利益を削る。
今後の分かれ目
- AIの製品やAIを使った受託の売上が金額で開示され、伸びている
- 楽観側の確率を上げ、技術者1人あたりの単価を上げる。
- 営業利益率が5%を超える年が2年続いた
- やや楽観の確率を上げる。
- ホンダ向けの売上が大きく減った
- やや悲観の確率を上げる。
- 大きな自社株買いや増配で現金を株主に戻した
- 余った現金の戻り方を1.0に上げる。
- 会社の買収や非公開化の提案が出た
- 買付けの値段で評価が決まる。本質価値の計算は止め、分析の対象から外す。
見ておくもの
- 国内の技術者数と稼働率
- 技術者1人あたりの売上
- AIの製品の売上の開示
- ホンダ向けの売上の割合
- ビジネスインキュベーションの損益
- 現金の使い道(買収・配当)
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見ずに決めた。中立のROEは約5%でk 8.25%を下回るので、PERは1÷kより下の9.5倍。人月の型なので10年より先の伸びは名目0%とした。余った現金25億円は利息分を引き、戻り方0.75を掛けて時価総額に足した。悲観は純現金と売れる資産の床で測り、稼ぐ力の床は使っていない。株価が自己資本の0.6倍という過去の値は使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→12.12 倍・やや楽観 PER 10→12.12 倍・中立 PER 9.5→12.12 倍・やや悲観 PER 10→11.51 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityの+2.0%を足した(決まりv2)。AIエージェント代替は中立の数量を主に、寿命の+1.0%に限って重ねた。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.25%。