結論
ウィルグループは、販売・工場・介護・建設の現場に人を送り、豪州とシンガポールでも派遣・人材紹介を営む会社である。長く持つ株主の目では、現場人材という残る需要を評価できる一方、現時点の値付けは大きな安全域を示すほど安くない。2026年3月期の売上は1469億円、営業利益は33億円で、利益率は2%台にすぎない。利益率が少し変わるだけで株主の取り分は大きく動く。
国内では建設技術者の正社員派遣、外国人雇用支援、介護の継続需要が伸びる。採用と定着を一緒に担える点は顧客にとって便利だが、人材会社が値段を自由に決められる強い堀ではない。実際、2022年3月期の営業利益55億円から2025年3月期には23億円へ落ち込み、昨期回復しても以前の水準に届いていない。
最も重い不確実性は、事務・電話応対・人材紹介の工程をAIエージェントが代替する速度である。海外事業は連結売上の約4割を占め、為替を固定しても雇用市況と仲介機能の変化を受ける。国内の現場派遣がこれを埋めて、10年後に利益を増やす余地はある。しかし、2029年目標の達成や将来の買収が資本コストを上回る成果に結び付かなければ、今の株主が十分な超過収益を得るとは限らない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に評価するのは、実際に人がその場にいなければ完結しない仕事を会社が握っている点だ。介護施設での身体介助、工場での作業、建設現場の安全確認には、書類を作るだけのAIでは代わりが務まらない。採用した人を教育し、必要な日に送り、離職させない仕組みが機能するほど、顧客との関係は深まる。この堀は細いが、事業の寿命を支える。
次に問うのは、売上ではなくオーナー利益である。派遣の売上の大半には働く人への給料が含まれる。利益率が2%台では、採用広告費や待機人員の負担が少し増すだけで株主の残余が細る。正社員を増やす再投資が営業利益とキャッシュを増やすなら歓迎できるが、稼働率を維持するために常に新しい採用費を投じ続けるなら、その利益の自由度は小さい。建設技術者を高単価で安定稼働させる能力が、増分資本利益率の試金石になる。
経営者が買収する際は、営業利益を増やしたという説明より、買収価格とのれんに見合う営業キャッシュが返ったかを確かめたい。帳簿上ののれんと無形資産は、顧客の採用予算が冷えた局面では清算価値の裏付けにならない。一方、累進配当と30%以上の還元は規律として評価できる。大きな借金を背負って急拡大するより、事業の稼ぐ力を高めて資本を戻す方が、小規模株主には望ましい。
最後は値段だ。現場派遣の強さを完全には否定しないが、海外の人材紹介と事務系派遣を10年先まで予測する確信も持てない。中立の利益回復と還元を含めれば価値は今の評価から遠く離れない。したがって企業の存続を疑うのではなく、割安だと断言するには安全域が十分かという一点を厳しく見る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は、顧客が必要な場所と期間に人を配置し、派遣料金と人件費の差から採用・教育・管理コストを支払った残りを利益にするものだ。国内のセールス、コールセンター、工場、介護、建設技術者の5領域が中心で、外国人雇用支援と人材紹介がこれに続く。売上の見かけは大きいが、派遣では人件費も売上と一緒に大きく動くため、営業利益率はもともと薄い。
国内では子会社ウィルオブ・ワークなどの拠点網と求人登録者を生かし、顧客の採用難を埋める。採用した人材の配置だけでなく、職場での定着や雇用管理まで引き受ければ契約は続きやすい。建設技術者の正社員派遣は、稼働していない社員にも給与を支払うため、稼働率と勤続年数が利益率を左右する。外国人支援は人数に応じた料金を取り、在留や生活の支援も受け持つが、書類作成や翻訳の手間はAIで薄くなる。
海外では豪州とシンガポールの派遣・紹介が売上の柱である。豪州だけで連結売上の約4分の1を占め、景気後退や企業の採用停止が収益へ直結する。紹介は採用1件ごとの手数料で利益率が高い反面、成約件数が消えると費用が残る。海外を含め固定費となる採用担当者、営業拠点、本社管理を抱え、セグメント利益の合計から約27億円の共通費が差し引かれる点を見落とせない。
会社は国内約1.9万人の稼働スタッフ、約97万人の登録者、約5400社の取引先を示している。これらは受注を集める規模の強みではあるが、会社別の職種別稼働人数は全面開示されていない。以下の数量と単価には、会社公表の建設技術者2731人、外国人支援4626人、国内人材紹介入社4741人を除き、売上構成と同業料金に基づく分析上の推計が含まれる。
優良さと弱いところ
同社の競争上の強みは、仕事を探す人と必要な現場を地域ごとに結び、採用後の定着まで責任を持つ運営能力である。建設技術者では期末稼働2731人、稼働率95%台、定着率約7割という運営指標がある。国内Working事業の売上総利益率は前中期計画の開始前から3.2ポイント改善した。これは採用した正社員を稼働させ、顧客へより高い単価を請求する工夫が利益を生んだ証拠である。
ただし、堀は狭い。働く人も派遣先も競合へ移りうる。登録者の数は供給能力を示すが、その全員が独占的に働くわけではない。介護や建設では許認可、法令対応、職場での教育と安全管理が必要だが、会社だけが保持する独占ライセンスではない。販売・コールセンターでは顧客が単価を比べやすい。豪州とシンガポールの紹介事業には、AI時代でも解約率が低い独自データ基盤や規制上の排他的な記録を持つという証拠がない。
資本効率も慎重に見る。ROEは過去10年の中央値20%に対し直近11%台まで下がり、連結自己資本が増えるほど利益率の回復だけでは高いROEへ戻りにくい。2026年3月期の純現金は約20億円で、自己資本202億円の1割に満たない。買収で計上したのれんやその他の無形資産は、事業が苦しくなったとき額面で売れる資産ではないため、帳簿上の厚みをそのまま下値の保証とはできない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の派遣・ホワイトカラー紹介・再就職支援を合わせた市場は、矢野経済研究所によると2024年度で約9.8兆円、2025年度見込みで約10.1兆円である。国内売上約883億円を機械的に当てると約0.9%だが、会社には介護・請負・外国人支援も混在するため、厳密な派遣市場シェアではない。顧客と働く人が分散した巨大市場では、全国大手のパーソル、リクルート、UTグループ、オープンアップ、コプロなどと職種別に競い合う。
会社の領域別市場順位はセールスで2位、コールセンターで1位、介護で3位、製造で8位、建設技術者で7位とされる。これは会社が示す特定調査の順位であって、共通の母集団に対する正確な売上シェアではない。施工管理人材では建設の安全管理や対面調整が残り、高齢化による介護の需給ひっ迫も続くだろう。一方、国内の生産年齢人口は減る。人数を増やすには、市場全体の量が伸びるというより、他社や顧客の直接雇用から仕事を獲得し続けなければならない。
AIエージェントは求人広告の文章作成だけでなく、応募受付、履歴照合、候補者探索、電話対応、シフトの自動調整まで担いうる。コールセンター・事務派遣や紹介業の価値の一部が消えれば、派遣人数と仲介手数料の両方が下がる。現場で身体を使う介護・工場・施工管理はこの影響が限定されるため、会社の事業構成が徐々に両極化する。
豪州とシンガポールは景気循環、就労資格や最低賃金、採用規制の変更に弱い。豪州の求人空席数は2023年の約41万件から2025年約33万件へ減少したという会社資料もあり、回復を既定としない。海外市場全体の金額と同一基準の事業売上の対応がないため、同社の海外シェアは算出できない。10年の数量は採用予算の変化を織り込み、物価と為替は人員ではなく請求単価の側で扱う。
資本政策と M&A
2026年5月公表の中期経営計画「WILL-being 2029」は、2029年3月期の一過性損益を除いた連結営業利益47億円、ROE15%以上を目指す。成長投資や買収で営業利益55億円への上振れも探るが、47億円と55億円は約束の強さが違う。公表資料に連結売上高の数値目標はなく、実現済みの単価・人員改善を10年間ずっと延ばしてはいけない。
株主還元は累進配当と総還元性向30%以上が明文化されており、自社株買いはその時々に判断する方針で金額の約束はない。2023年3月期から直近まで年間配当は維持されているが、2019年以降の大規模な自己株買いは確認できない。業績悪化期にも配当を保ったため一時的に還元性向が跳ね上がった。10年間の還元額は利益の流れに応じて増減させ、深刻な赤字局面では累進配当の例外的な見直しが必要になると考える。
過去には海外人材会社を買収して事業を広げ、2025年10月には医療・福祉の人材紹介会社HR CAREERの議決権59.8%を取得した。2029年計画では3年間のM&A予算100億円を示し、戦略投資は買収後3年以内に資本コストを上回ることを規律とする。予算は利益の約束ではなく、のれんを増やすだけの買収は価値を生まない。株主優待は300〜499株に5000ポイント、500株以上に1万ポイントを付与する。対象人数は非開示で、年間約0.7億円、10年で約6.5億円の便益を暫定的に還元へ算入したが、実際の発行費用は継続確認する。業績連動の有償ストックオプションには最大で約91万株の潜在的希薄化がある。上振れした筋書きでは払込資金が入る利益も踏まえ、既存株主の取り分を調整した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
正社員派遣の採用・研修・稼働管理で培った仕組みは、国内でまだ拡大余地がある。建設技術者の稼働率95%台を維持し、未経験者を育成して経験者の請求単価へ上げられれば、売上の伸び以上に営業利益が増える。介護・工場・販売の現場でも、顧客は人手不足と採用コストの上昇に悩んでいる。ウィルグループが単なる人材紹介から継続的な現場運営へ仕事を広げれば、応募者と顧客の両方にとって切り替えの手間が増す。
会社の新中計は2029年の調整後営業利益47億円を掲げ、55億円の上振れを視野に入れている。海外採用市況が回復し、豪州とシンガポールの顧客基盤を維持できれば、為替を動かさずとも稼働率と紹介成約の戻りが見込める。AIエージェントで案件管理コストを下げ、その節約分を競争力ある現場派遣へ投じられれば、現場に強い事業への構成転換が進む。ただし、AIを売上として外販した定量的な実績は確認できないため、事務系人数の増加を前提にしない。
人材企業は装置投資の負担が軽い。買収案件を高値でつかまず、育成・定着という日常業務の改善を続けられれば、追加の自己資本から資本コストを超える利益を出しうる。業績条件付きの株式報酬は既存株主を薄めるが、条件達成の利益そのものが希薄化の不利益を上回る可能性もある。
慎重な見方
大きな売上があっても会社が弱くなりうる理由は、仲介する人の数と請求価格を顧客が支配しているからだ。豪州・シンガポールでは事務・専門職の仕事の多くが自動化され、採用担当者がAIで候補者探索や一次面接を内製すれば、人材紹介の成約件数が減る。企業がコールセンターや定型事務をAIへ置き換えると、派遣の席そのものが消える。収益を失った後も拠点と採用担当者の固定費は急には減らない。
国内現場でも安心はできない。工場のロボット導入や建設の省人化が進み、高齢化で介護需要があっても事業者の支払能力が追い付かないことがある。建設技術者の採用人数だけを増やし稼働率が低下すると、未稼働の正社員給与が利益を一気に食いつぶす。大口顧客が料金引き上げを拒否し、働く人の賃上げだけが先行すれば、粗利益率は下がる。
さらに、過去の海外買収がもたらしたのれんは不振時に減損されうる。買収を繰り返しても、追加取得の利回りが資本コストを下回れば、帳簿の資産は増えても一株当たり価値は減る。累進配当を優先するうちに再投資余力が不足するか、逆に配当を減らせば少数株主への還元実績が傷む。営業利益がかつての山へ戻るだけで10年先が安泰だと考えるのは危険である。
どちらに重みを置いたか
現場の労務提供は10年後も必要で、国内建設・介護での改善には証拠がある。それでも売上の約4割を占める海外の雇用市況と、事務系・仲介のAI代替を無視できない。中立自体に事務・紹介の稼働数量減少を織り込んだため、悲観確率は同じAI要因を二重に課すものではなく、買収・雇用規制・稼働率崩れという独立した失敗を重く見た。確率は上側27%、下側41%とした。最終的な価値は今の時価総額から大きく離れず、明確な割安を示すだけの安全域はない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,981 円454 億円(+ 還元の換算額還元の合計 528 円121 億円)。 今の値に割り戻すと 1,277 円293 億円、今との差 +11.3%、 期待の年率 +9.4%(資本コスト 8.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 5,452 円1,249 億円 | 882 円202 億円 | +452.2% | +21.0% | 633 円145 億円 |
| やや楽観 | 17% | 3,252 円745 億円 | 714 円164 億円 | +245.7% | +15.1% | 674 円154 億円 |
| 中立 | 32% | 2,293 円525 億円 | 611 円140 億円 | +153.2% | +11.3% | 929 円213 億円 |
| やや悲観 | 26% | 470 円108 億円 | 384 円88 億円 | −25.5% | −3.7% | 222 円51 億円 |
| 悲観 | 15% | 177 円40 億円 | 153 円35 億円 | −71.3% | −14.2% | 49 円11 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,981 円454 億円 | 528 円121 億円 | +118.7% | +9.4% | 2,508 円575 億円 |
今の株価時価総額 1,147 円263 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 現場へ集中し収益構造が一変 利益 90 億円 · PER 13.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,452 円1,249 億円
国内の建設技術者が高稼働を維持し、経験者への育成と単価上昇が進む。建設稼働人数は約4600人、介護は約5400人となり、工場・販売でも大手顧客から仕事を獲得する。外国人の現場定着支援は約9700人まで増え、書類作業をAIに委ねながら対面支援の価値を高める。2029年に調整後営業利益55億円を超え、その後も採用・育成の投資効率が改善する。
豪州・シンガポールでは雇用市況の回復を取り込むが、AIに置き換わりやすい派遣・紹介の実質取扱人数は現在を超えない。仲介人数の増大ではなく、コスト削減と専門職案件への移行が営業利益率を押し上げる。M&Aは紹介の専門性を補う小規模案件にとどめ、投じた資本の採算を厳しく管理する。海外事業の収益性と国内現場の成長が同時に進み、営業利益率は6%台へ上がる。
この成功には、現場採用の供給網の拡大に加えて、未稼働人員を抑える規律が要る。業績条件を満たした既存の有償ストックオプションと2026年発行分が行使され、既存株主に希薄化が起こるが、達成した利益増で吸収する。
- 国内セールスアウトソーシング:数量 5,865(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 357 億円・営業利益 23 億円。現場販売の実質人年1.15倍、請求額1.43倍
- 国内コールセンター・オフィス:数量 2,300(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.07(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 154 億円・営業利益 8 億円。AI代替のため稼働人数は増えず単価1.34倍まで
- 国内ファクトリーアウトソーシング:数量 5,576(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 358 億円・営業利益 25 億円。現場契約拡大で人数1.36倍
- 国内介護人材:数量 5,440(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 316 億円・営業利益 27 億円。身体介助の需給ひっ迫で人数1.60倍
- 国内建設技術者派遣:数量 4,643(建設技術者稼働人数(公表期末人数を代理使用))× 価格 0.10(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 446 億円・営業利益 40 億円。稼働人数1.70倍、高技能単価1.50倍
- 国内外国人雇用・定着支援:数量 9,715(支援対象者数(期末、代理数量))× 価格 0.00(支援対象1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 42 億円・営業利益 8 億円。外国人支援2.10倍、対面支援の拡大
- 国内人材紹介・IT等その他:数量 4,741(国内人材紹介入社人数(会社公表、年間件数))× 価格 0.01(紹介入社1件当たり代理売上(億円、名目))→ 売上 44 億円・営業利益 3 億円。紹介件数は横ばいが粗利改善
- 豪州人材派遣・請負:数量 4,465(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.09(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 410 億円・営業利益 23 億円。AI対象の人員は0.95倍以下
- 豪州人材紹介:数量 1,840(紹介・成約件数(年間推計))× 価格 0.03(紹介1件当たり手数料(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 53 億円・営業利益 13 億円。紹介成約0.92倍、専門職高付加価値化
- シンガポール人材派遣:数量 3,072(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.07(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 221 億円・営業利益 17 億円。人員0.96倍でAI置換は残る
- シンガポール人材紹介:数量 903(紹介・成約件数(年間推計))× 価格 0.03(紹介1件当たり手数料(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 29 億円・営業利益 7 億円。成約0.95倍、採用業務を省人化
- 海外その他人材サービス:数量 380(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.08(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。他国展開は小幅、拡大を過大評価しない
倍率:2036年純利益90.13億円、自己資本482億円、ROE18.70%。資本コスト8.0%、通常の堀の超過利益持続割合1/2からRONIC13.35%、名目長期成長率1.5%で、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.66倍。上限そのものを使用し、市場のPERを根拠としない。
確率:現場派遣の採用と単価改定、海外コスト改革、資本配分がそろって成功する場合に限定する。2022年の全社最高営業利益率を大きく超えるため実現確率は10%にとどめる。
やや楽観 17% 正社員派遣の生産性が継続改善 利益 54 億円 · PER 13.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,252 円745 億円
建設技術者が約4000人、介護の稼働は約4800人まで伸びる。地域の人手不足を背景に、正社員派遣の教育と定着が顧客への料金改定に結び付く。工場の仕事も他社から少しずつ獲得し、現場派遣は物価と同じかやや上回る単価で契約できる。外国人雇用支援は支援人数を約7900人へ増やし、既存顧客との関係を太くする。
コールセンター、事務、紹介の数量は減るが、現場事業の利益増が上回る。豪州・シンガポールもAI代替を免れず、紹介成約は今の8割前後に細る。一方で採用コンサルタントの生産性を高め、海外での営業利益率は維持する。2029年の営業利益47億円という会社目標は達成し、その後55億円の条件も満たす。その後2030年代前半には営業利益65億円を超えるため、二つの有償ストックオプションが行使されると見込む。
収益の伸びは新しい買収による売上の上乗せより、既存拠点の生産性改善による。配当は累進方針で続け、自社株買いは利益との釣り合いを見ながら実施する。
- 国内セールスアウトソーシング:数量 5,457(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 321 億円・営業利益 18 億円。現場の稼働者1.07倍、単価1.38倍
- 国内コールセンター・オフィス:数量 1,886(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 122 億円・営業利益 4 億円。AI対象人数0.82倍、単価1.30倍
- 国内ファクトリーアウトソーシング:数量 4,879(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 309 億円・営業利益 17 億円。現場人数1.19倍、単価1.38倍
- 国内介護人材:数量 4,828(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 276 億円・営業利益 19 億円。介護人数1.42倍、単価1.38倍
- 国内建設技術者派遣:数量 3,960(建設技術者稼働人数(公表期末人数を代理使用))× 価格 0.09(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 362 億円・営業利益 27 億円。建設人数1.45倍、単価1.43倍
- 国内外国人雇用・定着支援:数量 7,864(支援対象者数(期末、代理数量))× 価格 0.00(支援対象1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 33 億円・営業利益 5 億円。支援人数1.70倍、単価1.38倍
- 国内人材紹介・IT等その他:数量 4,077(国内人材紹介入社人数(会社公表、年間件数))× 価格 0.01(紹介入社1件当たり代理売上(億円、名目))→ 売上 37 億円・営業利益 2 億円。仲介数量0.86倍、単価1.30倍
- 豪州人材派遣・請負:数量 3,901(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.09(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 353 億円・営業利益 14 億円。AI対象人数0.83倍、単価1.32倍
- 豪州人材紹介:数量 1,560(紹介・成約件数(年間推計))× 価格 0.03(紹介1件当たり手数料(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 43 億円・営業利益 8 億円。紹介成約0.78倍、単価1.27倍
- シンガポール人材派遣:数量 2,720(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.07(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 191 億円・営業利益 11 億円。派遣人数0.85倍、単価1.32倍
- シンガポール人材紹介:数量 760(紹介・成約件数(年間推計))× 価格 0.03(紹介1件当たり手数料(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 24 億円・営業利益 5 億円。紹介成約0.80倍、単価1.29倍
- 海外その他人材サービス:数量 328(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.08(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。代理数量0.82倍、単価1.31倍
倍率:2036年純利益53.91億円、自己資本421.6億円、ROE12.79%。資本コスト8.0%、通常の堀の超過利益持続割合1/2からRONIC10.39%、名目長期成長率1.5%を用い、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.16倍の上限そのもの。
確率:新中計の47億円・55億円を達成し国内現場で選別的なシェアを得る見込みはある。ただし海外紹介数量はAIで縮む前提を崩さず17%にとどめる。
中立 32% 現場の成長がAIの侵食を補う 利益 36 億円 · PER 12.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,293 円525 億円
国内の建設技術者は約3400人、介護は約4300人、工場は約4350人となる。人数そのものが伸びる理由は国内人口の増加ではない。他社の派遣人員を獲得し、常勤雇用と定着の仕組みで採用難の顧客へ深く入り込むからだ。料金は物価3%をおおむね転嫁するが、値上げで一方的に利益率を上げられるほどの支配力はない。
コールセンターと事務は人材稼働が10年で約65%に、国内の人材紹介関連も約67%に縮む。豪州派遣は約70%、豪州紹介は約63%、シンガポール派遣は約72%、同紹介は約65%へ減る。AIエージェントが電話、書類、候補者探索、一次選考を代替し、人手を使うサービスは少数の高度な案件へ集中するためだ。現場の外国人支援は増えるが、定型事務の自動化を受けて価格の上伸は物価程度にとどまる。
会社が掲げる2029年の調整後利益47億円への道はおおむね進むが、その先は事業構成の入れ替えに時間がかかる。2036年の連結営業利益は61億円程度となり、名目売上は約1770億円に増える。ただし自己資本の蓄積によってROEは10%前後にとどまり、10年先までかつての20%台を前提にすることはできない。
- 国内セールスアウトソーシング:数量 4,998(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 283 億円・営業利益 13 億円。現場人数0.98倍、単価1.33倍
- 国内コールセンター・オフィス:数量 1,495(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 93 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替で人数0.65倍、単価1.25倍
- 国内ファクトリーアウトソーシング:数量 4,346(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 267 億円・営業利益 13 億円。現場人数1.06倍、単価1.34倍
- 国内介護人材:数量 4,318(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 244 億円・営業利益 15 億円。介護人数1.27倍、単価1.36倍
- 国内建設技術者派遣:数量 3,386(建設技術者稼働人数(公表期末人数を代理使用))× 価格 0.09(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 301 億円・営業利益 22 億円。建設技術者1.24倍、単価1.39倍
- 国内外国人雇用・定着支援:数量 6,569(支援対象者数(期末、代理数量))× 価格 0.00(支援対象1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 26 億円・営業利益 3 億円。支援人数1.42倍、単価1.34倍
- 国内人材紹介・IT等その他:数量 3,176(国内人材紹介入社人数(会社公表、年間件数))× 価格 0.01(紹介入社1件当たり代理売上(億円、名目))→ 売上 28 億円・営業利益 1 億円。AIによる仲介省力化で入社人数0.67倍、単価1.28倍
- 豪州人材派遣・請負:数量 3,290(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.09(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 288 億円・営業利益 11 億円。豪州派遣人数0.70倍、単価1.28倍
- 豪州人材紹介:数量 1,260(紹介・成約件数(年間推計))× 価格 0.03(紹介1件当たり手数料(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 35 億円・営業利益 6 億円。豪州成約件数0.63倍、単価1.25倍
- シンガポール人材派遣:数量 2,304(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.07(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 160 億円・営業利益 8 億円。シンガポール派遣人数0.72倍、単価1.30倍
- シンガポール人材紹介:数量 618(紹介・成約件数(年間推計))× 価格 0.03(紹介1件当たり手数料(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 19 億円・営業利益 3 億円。シンガポール成約0.65倍、単価1.27倍
- 海外その他人材サービス:数量 288(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.08(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 24 億円・営業利益 1 億円。海外その他数量0.72倍、単価1.30倍
倍率:2036年純利益36.155億円、自己資本358億円、ROE10.10%。資本コスト8.0%と通常の堀の超過利益持続割合1/2からRONIC9.05%。AIエージェント代替を含む名目長期成長率1.5%により、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.83倍の上限そのもの。過去と同業のPERによる補正はしない。
確率:建設や介護の実績成長と海外紹介の減少を同時に織り込む最頻の筋書き。AIを追加の成長収入源と仮定せず、中立でも仲介人数を35%前後減らす。
やや悲観 26% 事務縮小と現場コストが重なる 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 470 円108 億円
企業が採用予算を削り始めたところへ、事務の自動化と採用仲介の内製化が重なる。国内コールセンターの人員は約4割、国内紹介も4割、豪州の派遣は約5割まで減る。最低賃金や社会保険の負担は上昇するが、顧客が請求額の転嫁を拒み、AIに削られる事務系の料金は10年間で物価を大きく下回る伸びにとどまる。
国内の現場も無傷ではない。工場ではロボット化が進み、建設技術者は案件の遅れで待機する人が増える。介護は必要人数が残っても、施設の人件費予算が利益率を抑える。豪州とシンガポールの紹介会社はコンサルタントの人員削減に踏み切るが、費用削減には時間がかかる。新しいM&Aの採算が資本コストを下回り、のれん減損への懸念が増す。
2036年の事業は約1200億円の売上が残るが、営業損益は小幅の赤字となる。累進配当は前半に維持しても、後半には維持できず見直す。完全な解散ではないため、国内拠点と現金を抱えながら株主が資産を回収するには長い時間がかかる。
- 国内セールスアウトソーシング:数量 3,978(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.05(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 203 億円・営業利益 5 億円。店頭現場人数0.78倍、単価1.20倍
- 国内コールセンター・オフィス:数量 989(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 55 億円・営業利益 −2 億円。AI代替で人数0.43倍、単価1.12倍
- 国内ファクトリーアウトソーシング:数量 3,403(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 195 億円・営業利益 5 億円。工場人数0.83倍、単価1.25倍
- 国内介護人材:数量 3,400(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.05(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 180 億円・営業利益 6 億円。介護人数1.00倍、単価1.28倍
- 国内建設技術者派遣:数量 2,485(建設技術者稼働人数(公表期末人数を代理使用))× 価格 0.08(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 207 億円・営業利益 8 億円。建設人数0.91倍、単価1.30倍
- 国内外国人雇用・定着支援:数量 5,089(支援対象者数(期末、代理数量))× 価格 0.00(支援対象1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 19 億円・営業利益 2 億円。外国人支援1.10倍、単価1.23倍
- 国内人材紹介・IT等その他:数量 1,896(国内人材紹介入社人数(会社公表、年間件数))× 価格 0.01(紹介入社1件当たり代理売上(億円、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 −1 億円。国内紹介件数0.40倍、手数料単価1.12倍
- 豪州人材派遣・請負:数量 2,256(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.08(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 184 億円・営業利益 4 億円。豪州派遣人数0.48倍、単価1.19倍
- 豪州人材紹介:数量 840(紹介・成約件数(年間推計))× 価格 0.02(紹介1件当たり手数料(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。豪州紹介成約0.42倍、単価1.10倍
- シンガポール人材派遣:数量 1,664(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 105 億円・営業利益 3 億円。シンガポール派遣人数0.52倍、単価1.18倍
- シンガポール人材紹介:数量 380(紹介・成約件数(年間推計))× 価格 0.03(紹介1件当たり手数料(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。シンガポール成約0.40倍、単価1.14倍
- 海外その他人材サービス:数量 180(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.07(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。海外その他数量0.45倍、単価1.16倍
倍率:2036年は経常的利益がほぼ消えるため利益の永続PERを使わない。現在の自己資本202.4億円にPBR0.50を掛けた稼働会社の回収価値101.2億円。中立のPBR約1.30より低く、赤字でも事業の縮小後に残る物的・金融資産を慎重に評価する。
確率:下に寄せる理由:海外売上約4割の求人市況、国内のコールセンター・紹介の仲介収益、約160億円の買収関連無形資産を抱える。事務AIの数量減は中立に計上済みなので、こちらは価格交渉失敗と固定費対応の遅れの追加リスクに26%。
悲観 15% 紹介機能を失い資産価値が毀損 利益 −24 億円 · PBR 0.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 177 円40 億円
事務・電話窓口だけでなく、国内外の求人探索と選考の大半がAIエージェントへ移る。国内コールセンター人員は現在の約28%、国内紹介は約25%となり、豪州・シンガポールの派遣と紹介も3分の1以下に縮む。顧客企業は人手の仲介料を払わず、自ら必要な人を採用する。現場の人材不足は続くが、工場の自動化、建設投資の縮小、介護施設の支払余力低下が重なり、そこでも稼働人数を失う。
固定費を削っても利益を守れず、国内外の事業所統廃合と採用停止が進む。過去の海外買収で生じたのれんを約95億円減損するほど、期待した現金収入が見込めなくなる。正社員派遣の待機費用と退職費用、海外の労働規制への対応が利益を圧迫し、全社売上は約766億円、営業赤字は30億円超まで悪化する。
累進配当の約束は途中で断念し、追加の自社株買いも止まる。帳簿の自己資本には買収時ののれんや無形資産が含まれ、清算しても戻るとは限らない。最終的な株主価値は純現金と売却可能な純資産の床に近づくが、現場需要が少し残るからといって赤字事業に高い値を払えない。
- 国内セールスアウトソーシング:数量 2,856(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.05(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 138 億円・営業利益 2 億円。店頭人数0.56倍、単価1.13倍
- 国内コールセンター・オフィス:数量 644(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.05(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 33 億円・営業利益 −3 億円。AI代替で人数0.28倍、単価1.02倍
- 国内ファクトリーアウトソーシング:数量 2,255(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.05(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 120 億円・営業利益 −2 億円。工場人数0.55倍、単価1.16倍
- 国内介護人材:数量 2,584(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.05(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 126 億円・営業利益 2 億円。介護人数0.76倍、単価1.18倍
- 国内建設技術者派遣:数量 1,529(建設技術者稼働人数(公表期末人数を代理使用))× 価格 0.08(稼働1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 118 億円・営業利益 −2 億円。建設人数0.56倍、単価1.21倍
- 国内外国人雇用・定着支援:数量 3,331(支援対象者数(期末、代理数量))× 価格 0.00(支援対象1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。外国人支援人数0.72倍、単価1.14倍
- 国内人材紹介・IT等その他:数量 1,185(国内人材紹介入社人数(会社公表、年間件数))× 価格 0.01(紹介入社1件当たり代理売上(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。国内紹介人数0.25倍、手数料1.03倍
- 豪州人材派遣・請負:数量 1,551(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.08(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 119 億円・営業利益 −1 億円。豪州派遣人数0.33倍、単価1.12倍
- 豪州人材紹介:数量 560(紹介・成約件数(年間推計))× 価格 0.02(紹介1件当たり手数料(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 13 億円・営業利益 −2 億円。豪州紹介成約0.28倍、単価1.02倍
- シンガポール人材派遣:数量 1,088(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.06(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 65 億円・営業利益 −1 億円。シンガポール派遣人数0.34倍、単価1.12倍
- シンガポール人材紹介:数量 247(紹介・成約件数(年間推計))× 価格 0.03(紹介1件当たり手数料(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 6 億円・営業利益 −1 億円。シンガポール紹介成約0.26倍、単価1.05倍
- 海外その他人材サービス:数量 120(年平均稼働人数(推計人年))× 価格 0.07(稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。海外その他数量0.30倍、単価1.08倍
倍率:利益が赤字でのれん約98.6億円・その他無形資産約63.8億円が大きく毀損する筋。いまの自己資本202.4億円×0.20=40.48億円。現在の純現金約19.9億円と売れる残余純資産約20億円の床40億円を下回らず、今後積むと仮定した自己資本にはPBRを掛けない。
確率:下に寄せる理由:複数地域の採用内製化と現場派遣の稼働率崩壊、海外買収ののれん減損が同時に起きた場合を15%。通常のAI数量縮小だけではここまでの連結赤字にしない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内セールスアウトソーシング
家電量販店や通信販売拠点の販売員を派遣・請負で供給する。店頭接客という現場仕事に加え、案件の採用・育成・シフト管理で稼ぐ。
| 数量年平均稼働人数(推計人年) | 価格稼働1人年当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5,100 | 0.04 | 217 | 9 |
| 10 年後 中立 | 4,998 | 0.06 | 283 | 13 |
取り方:会社説明資料のセールス領域売上構成14.8%×全社1468.6億=217.3億円。会社開示は領域別稼働数を示さないため、国内約1.9万人の派遣稼働者と領域別売上の大きさから年間平均5100人・年間単価426万円と逆算した分析用推計。販売接客は対人現場型でAI置換は限定。
国内コールセンター・オフィス
電話窓口、受付、事務処理の人員を供給する。顧客対応と定型事務がAIエージェントで代替されやすい。
| 数量年平均稼働人数(推計人年) | 価格稼働1人年当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,300 | 0.05 | 115 | 4 |
| 10 年後 中立 | 1,495 | 0.06 | 93 | 2 |
取り方:コールセンター・オフィス構成7.8%×全社売上=114.6億円。単価は業界の派遣料金の水準を参照して年稼働2300人・年約498万円と仮定した推計で、会社による人員開示ではない。AIエージェント代替の事務・通話業務型に分類。
国内ファクトリーアウトソーシング
食品・工業製品の製造現場に作業人員を供給する。品質管理と現場への定着が契約維持の鍵となる。
| 数量年平均稼働人数(推計人年) | 価格稼働1人年当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,100 | 0.05 | 188 | 6 |
| 10 年後 中立 | 4,346 | 0.06 | 267 | 13 |
取り方:ファクトリー構成12.8%×全社売上=187.9億円。現場派遣の年間平均4100人、年当たり458万円は総人員約1.9万人と売上から逆算した推計。販売先は製造・食品工場、職場での人手が要る現場型に分類。
国内介護人材
高齢者施設・医療介護現場に介護職員を供給する。身体的な支援と資格要件を含むため、AIの直接代替が難しい。
| 数量年平均稼働人数(推計人年) | 価格稼働1人年当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,400 | 0.04 | 141 | 8 |
| 10 年後 中立 | 4,318 | 0.06 | 244 | 15 |
取り方:介護構成9.6%×全社売上=141.0億円。介護施設への年間平均3400人、年414.7万円は売上と国内派遣稼働人数から逆算した推計。介護の身体業務は事務BPOではなく現場型として扱う。
国内建設技術者派遣
建築・土木の施工管理補助や技術者を正社員として採用し派遣する。採用、稼働率、勤続年数、請求単価が利益の柱。
| 数量建設技術者稼働人数(公表期末人数を代理使用) | 価格稼働1人年当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,731 | 0.06 | 175 | 7 |
| 10 年後 中立 | 3,386 | 0.09 | 301 | 22 |
取り方:建設技術者構成11.9%×全社売上=174.8億円。会社が公表する期末稼働人数2731人を採用し、1人当たり年間売上640万円に逆算。会社開示の経験者月額請求約71.4万円、未経験者月額46.9〜57.4万円と単価水準がおおむね整合。期末と年間平均の差は推計誤差。
国内外国人雇用・定着支援
特定技能など外国人を受け入れる企業に採用・在留管理と生活定着支援を提供する。手続きの定型部分はAI代替される。
| 数量支援対象者数(期末、代理数量) | 価格支援対象1人年当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,626 | 0.00 | 14 | 2 |
| 10 年後 中立 | 6,569 | 0.00 | 26 | 3 |
取り方:国内その他3.2%の約47億円のうち、外国人雇用支援を約13.9億円と分析上分解。会社公表支援人数4626人を使い、年間料金約30万円で計算。採用・定着と規制対応を含むが、定型的な申請・翻訳はAI代替対象。国内その他の厳密な商品別売上は非開示。
国内人材紹介・IT等その他
国内人材紹介とIT人材関連・その他手数料。求人と求職者の仲介、選考補助、案件成約で収益が生まれる。
| 数量国内人材紹介入社人数(会社公表、年間件数) | 価格紹介入社1件当たり代理売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,741 | 0.01 | 33 | 1 |
| 10 年後 中立 | 3,176 | 0.01 | 28 | 1 |
取り方:2026年5月公表の中期経営計画説明会34ページに、人材紹介入社人数が2026年3月期4741名と明記される。この人数を国内人材紹介の代理数量として採用。国内その他売上約47億円から外国人雇用支援推計13.9億円を引いた33.1億円を割ると、1件約69.8万円となる。ただし紹介事業の売上は介護・建設など他の領域にも含まれうるため、領域横断の正確な単価ではない。IT関連サービスもその他に含まれる。AIエージェント代替の仲介型として扱う。
豪州人材派遣・請負
豪州の企業に事務・専門職等の派遣・契約人材を供給する。企業の採用予算と景気に敏感。
| 数量年平均稼働人数(推計人年) | 価格稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,700 | 0.07 | 322 | 11 |
| 10 年後 中立 | 3,290 | 0.09 | 288 | 11 |
取り方:海外事業の豪州構成24.9%×連結1468.6億≒365.7億円から、人材紹介約12%を差し引いた派遣約321.8億円。豪州の年稼働者数4700人と単価685万円は代理推計であり、会社の人数開示ではない。海外売上は円換算だが為替は150円一定とし実質人数と料金に分離。事務・専門人材部分にAI代替リスクが高い。
豪州人材紹介
豪州の採用企業に専門職を紹介し、採用成立時に報酬を得る。採用景気と仲介手数料率で決まる。
| 数量紹介・成約件数(年間推計) | 価格紹介1件当たり手数料(億円、円換算、為替150円固定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,000 | 0.02 | 44 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,260 | 0.03 | 35 | 6 |
取り方:豪州売上365.7億円×人材紹介売上比率推計12%で43.9億円。年2000件、紹介1件当たり約219.5万円は年収の約25〜35%の料率と整合する代理件数で、会社開示の成約数ではない。高技能・専門職と低付加価値仲介が混在し、AIに弱い人月仲介型。
シンガポール人材派遣
シンガポールで事務・専門人材などの派遣契約を提供する。就労規制・産業構成・AI代替の影響を受ける。
| 数量年平均稼働人数(推計人年) | 価格稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,200 | 0.05 | 171 | 7 |
| 10 年後 中立 | 2,304 | 0.07 | 160 | 8 |
取り方:シンガポール構成13.2%×連結1468.6億≒193.9億円、その88%を派遣として約170.6億円。稼働3200人・年間単価533万円は現地事務・サービス人材の料金水準に合わせた代理推計。会社からは人数の開示がなく、AIの影響を受ける事務派遣を含む。
シンガポール人材紹介
シンガポールで採用成約に伴う紹介料を得る。候補者の探索・選別工程はAIに置き換えられやすい。
| 数量紹介・成約件数(年間推計) | 価格紹介1件当たり手数料(億円、円換算、為替150円固定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 950 | 0.02 | 23 | 2 |
| 10 年後 中立 | 618 | 0.03 | 19 | 3 |
取り方:シンガポール売上193.9億円×人材紹介比率約12%として23.3億円。年950件、1件約245万円は市場慣行の年収連動手数料から組み立てた代理件数。採用企業のAI内製マッチングに仲介数量が左右される。
海外その他人材サービス
海外の小規模派遣・紹介拠点等。豪州・シンガポールの大きな市場に比べて開示が少ない。
| 数量年平均稼働人数(推計人年) | 価格稼働1人年当たり売上(億円、円換算、為替150円固定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 400 | 0.06 | 25 | 1 |
| 10 年後 中立 | 288 | 0.08 | 24 | 1 |
取り方:海外その他構成1.8%×全社売上=約25.4億円。海外小拠点の稼働・紹介を年400人相当、年635万円に置いた合成単位。拠点別の実稼働数・派遣と紹介の構成が非開示のため、最も不確実な推計。AI代替の人月型として数量を保守的に扱う。
リスクと懸念
AIエージェント代替と人材仲介の中抜き
電話応対、事務処理、候補者検索、履歴照合、一次面接、選考管理はAIが連続して実行できる。コールセンターの座席数や海外紹介の成約手数料が減れば、人月を販売する収益モデルが根底から変わる。中立でも対象数量を約55〜75%へ縮めており、売上減と固定費の残存が同時に起きる時は悲観が深まる。
建設技術者の稼働率と先行採用費
正社員として先に採用・育成した建設技術者の待機が増えると、給与負担だけが残る。稼働率が95%台から数ポイント落ちるだけでも利益率に影響が大きい。建設投資の延期、協力会社の工程変更、人材採用競争の激化が同時に起きると、請求単価を上げても増分利益が残らない。
豪州・シンガポールの雇用循環と換算差
海外は連結売上の約4割であり、豪州の採用景気、シンガポールの就労政策、最低賃金、専門職の需給に業績が左右される。予測では円換算の為替を150円で固定して数量と単価だけを動かしたが、実際のキャッシュは通貨と政策によって変わる。海外事業の縮小時にはのれん減損の可能性も高まる。
買収価格と無形資産の回収可能性
過去の海外拡大でのれん約98.6億円とその他無形資産約63.8億円が残る。これらは派遣社員の労務契約や顧客関係から将来利益が出ることを前提とした帳簿額であり、資金回収が止まれば売却額の床にはならない。2029年の買収拡大で資本コストを下回る案件を増やすと、営業利益が伸びても一株当たり価値は薄まる。
労務法規、請求価格と給与のずれ
社会保険、同一労働同一賃金、外国人労働者の在留・支援義務、豪州・シンガポールの雇用規制の変更は、採用コストと一人当たりの人件費を押し上げる。顧客への請求単価に完全転嫁できなければ、利益率は小さな差で急減する。外国人雇用支援は実体ある需要でも、定型申請にかかる料金はAIによる引下げ圧力を受ける。
資本還元の持続性と潜在希薄化
累進配当と総還元性向30%以上は長期株主にとって意味のある規律だが、赤字が続く局面では維持が難しくなる。2025年・2026年に設定した有償ストックオプションの最大約90.6万株は、高い利益を実現した時に既存株主の取り分を約3.8%薄める。自社株買い額の定量目標もなく、利益を再投資する際の買収採算が鍵を握る。
今後の分かれ目
- 建設技術者の稼働率が95%前後を保ち、人数増と顧客への請求単価改定が2年続いたら
- 現場への再投資利回りが資本コストを超える証拠として、建設・介護の数量と営業利益率を引き上げ、やや楽観の重みを増やす。
- 国内のコールセンター・事務派遣の稼働者数が年率5%を超えて減り続けたら
- AIエージェント代替が中立で想定した数量の縮小より速いとみて、中立より低い数量と本社費負担を反映し、悲観の可能性を再評価する。
- 豪州・シンガポールの紹介売上が回復しても成約数が減り手数料率だけが上がっていたら
- 持続的な数量回復ではないと判断し、海外人材紹介に10年超の成長価値を認めず、海外でのシェア拡大にも慎重になる。
- 2029年3月期の調整後営業利益47億円とROE15%以上をともに達成したら
- 単なる費用削減ではなく増分利益を伴う経営改革が進んだと確認する。ただし55億円以上の報酬行使条件と株式希薄化も同時に評価する。
- 買収後3年間の投下資本利益率が資本コスト8%を継続して下回ったら
- M&Aの成長分に超過価値を付けず、のれん減損と既存株主の資本効率低下を悲観側へ組み込む。
- 累進配当を維持しつつ5年間で発行済株式が5%以上減少したら
- 余剰現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ引き上げる根拠となる。買戻し価格と事業投資の機会費用を併せて確認する。
見ておくもの
- 国内建設技術者の期末稼働人数、稼働率、離職・定着率、経験者の月額請求単価
- 国内Workingの正社員派遣人数・外国人雇用支援人数と職種別売上総利益率
- 国内コールセンター・事務派遣の稼働人数、AI自動化による顧客の契約縮小
- 豪州・シンガポールの稼働人数、紹介成約件数、求人空席数、営業利益率
- 2029年3月期の調整後営業利益47億円、上振れ55億円、ROE15%目標の達成度
- 海外買収ごとの資本投下額とのれん、3年後の営業キャッシュ創出、ROIC
- 配当総額、自社株取得、潜在株式90.6万株の行使条件、株主優待の実コスト
倍率と資本コストの決め方
本質価値を見積もる際に2026年10月16日の株価や過去・同業PERを10年後の倍率に使っていない。国内外12領域の人員・成約件数と名目単価を独立に積み上げた。事務・紹介・海外派遣はAIエージェント代替を中立の数量0.55〜0.75倍と価格最大1.34倍、10年より先の低い成長にだけ織り込む。資本コストには寿命上乗せを重ねていない。楽観〜中立のPERはk8%、g1.5%、希薄化前ROEと通常の堀のRONICによる正当化式の上限そのものである。悲観では過去のPBRの谷を使わず、今の有形純資産相当40億円を床として検算した。現在の純現金約20億円は派遣給与・社会保険・海外拠点の運転資金に必要で余剰現金として二重に足さず、将来積み上がる現金の株主への戻り方を75%とする。豪州・シンガポールの人数は会社開示ではなく代理推計であり、細かな点推計が強い確信を意味するものではない。IFRS16で既にリース負債が載っているため、新リース基準の適用による国内他社との貸借対照表比較の差にも留意した。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。長期国債3%と株式リスクプレミアム4.5%に、弱い値決め力0.5%だけを加える。雇用景気やM&Aの個別失敗は営業利益とシナリオの確率へ反映。