結論
環境管理センターは、空気、水、土、アスベスト、放射能を測って証明する会社だ。法律で測定が義務づけられた仕事が多く、需要は景気よりも規制に支えられる。工場、ゼネコン、自治体が顧客になる。
結論から言う。筆者は、10 年後の本質価値は今の時価総額 21 億円を 4 割ほど下回ると見る。仕事は堅いが、儲けが小さい。営業利益率は過去 10 年で 5〜6% の山にとどまり、赤字の年も 3 回あった。
2026 年 6 月期は、売上が 8% 減ったのに営業利益は 2.4 倍になった。原価を削った結果だ。ただし受注残は 49 億円と前年の 1.8 倍に積み上がり、会社は次の期に売上 62 億円を見込む。数字は上向いている。
足を引っ張るのは資本の効率だ。ROE は資本コストの 8% に届かない年が多く、利益をためても価値が増えにくい。借入も 17 億円あり、利払いが利益を削る。会社は第 2 次中期計画で売上 70 億円を掲げるが、利益率は薄いままだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社の問題は「堅いが儲からない」ことだ。規制が需要を作り、受注残も積み上がっている。それでも営業利益率は 5% 前後で、ROE は資本コストに届かない。
筆者がまず気にするのは、利益がためる価値を生むかどうかである。利益の 6 割以上を内部に残しながら、ROE は 6% 台にとどまる。残した利益は額面を下回る価値にしかならない。
次に、堀の薄さだ。分析は同業が多く、値上げを通しにくい。顧客の熊谷組への依存も、工事の波を大きくしている。
安全域は小さい。借入が 17 億円あり、現金は 8 億円ほど。悪い年は赤字になる。大きく負ける形は限られるが、大きく勝つ形も見えない。結論は「割高」で、差は 4 割ほどだ。規制の追い風と受注残は評価できるが、それを利益として株主の手元に残す力が弱い。
何で稼ぐ会社か
事業は環境計量証明業が土台だ。大気、水質、土壌、アスベスト、放射能を測り、その結果を法的に有効な形で証明する。売上の約 8 割が民間、約 2 割が官公庁だ。
分野は 13 に分かれる。2025 年 6 月期の売上 61 億円のうち、工事が 19 億円、アセスメントが 8 億円、土壌・地下水が 8 億円、政策コンサルが 6 億円。工事は土壌汚染の対策やアスベストの除去で、ゼネコンの熊谷組向けが売上の約 2 割を占める。
工事は波が大きい。2025 年は前年から 10 億円近く増えたが、受注残は 3 億円まで細り、2026 年は売上が減った。反対に、2026 年 6 月末の受注残は 49 億円に増えている。
福島県では、2013 年から放射能の測定を続けており、事業所は 2022 年に富岡町へ移った。連結の従業員は 288 人で、臨時を含めると 360 人ほど。分析は人と機械の稼働で稼ぐ。売上は受注で決まり、4〜6 月に官公庁の仕事が集中する。農業関連の検査や省エネの支援など、新しい分野にも手を広げている。
優良さと弱いところ
堀は弱めだ。強みは計量証明の登録と、長年の分析の実績、福島での放射能測定の経験だ。だが、分析は同じ資格を持つ同業が全国に多く、会社自身も市場を過当競争と見ている。値段を自分で決める力は乏しい。
資本の効率は低い。過去 10 年の ROE の中央値は 8% 弱だが、赤字の年が 3 回あり、2025 年は 0.3%、2026 年は 5% だった。営業利益率の山は 5.9%。1990 年代の 11% には戻っていない。
財務は普通。自己資本比率は 44%、借入は 17 億円ある。営業利益は利息の約 9 倍。
経営は第 2 次中期計画で売上 70 億円、経常利益 3.5 億円、ROE 10% を掲げる。2026 年 6 月期の経常利益は 2.3 億円と、年初の予想を 25% 下回った。計画の達成には、受注残の消化が要る。配当は増配の予定だが、性向は 3 割台にとどまる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場は環境の測定・調査・コンサルで、需要は規制が作る。水質汚濁防止法、土壌汚染対策法、大気汚染防止法、アスベストの規制が、測定の義務を生む。2023 年には、解体工事の前のアスベスト調査に資格者が要るようになった。PFAS(有機フッ素化合物)の規制強化も、分析の需要を増やす。
供給は過剰に近い。計量証明の登録事業者は全国に多く、入札と民間の相見積もりで値段が決まる。人件費の上昇を価格に転嫁しにくい。いであのような上場の環境コンサルとも、一部で競合する。
工事は、土壌汚染対策法の届出の件数と、解体・再開発の動きで決まる。再開発が続く都市部では堅いが、案件の波は避けられない。
逆風は AI だ。測定と分析は機械と人の手が要るので守られるが、報告書の作成やデータ整理は自動化が進む。ここでは、単価が物価に届かない形で入れる。需要の足元は悪くなく、2026 年 6 月末の受注残は大きく積み上がった。ただし分析の業界は、人手の確保が難しい。若い技術者の採用競争は激しく、技術者の賃金上昇も続く。官公庁の入札は年度の前半に集まり、受注の波もできる。
資本政策と M&A
還元は安定配当が基本だ。2026 年 6 月期の配当は総額 0.4 億円。次の期は増配の予定で、総額は 0.6 億円。連結の性向は 3 割台にとどまる。自社株買いは見当たらない。
最大の株主は水落憲吾社長で、約 12%。ほかに投資会社、従業員持株会、銀行、生命保険が並ぶ。支配株主はいない。
資本の使い道は、分析機器の更新と工事の運転資金が中心だ。借入は短期が増えており、コミットメントライン 20 億円を更新している。M&A は目立たない。時価総額が小さく、同業や建設会社が株を取る可能性はあるが、発表は見当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
規制が需要を作る数少ない事業だ。環境の測定は、企業が自分でやらずに外部へ出す仕事で、一度取引が始まると長く続く。アスベストの事前調査の義務化、PFAS の規制強化、土壌汚染対策法の運用の厳格化と、測定の需要は増える一方である。景気に関係なく、法律が仕事を生む。
受注残は 49 億円と前年の 1.8 倍。2027 年 6 月期の売上は 62 億円と過去最高を見込み、営業利益は 3.4 億円に増える。原価の削減が定着すれば、利益率は 5.5% から 6% 台へ上がる。官公庁の受注も安定している。
工事は土壌汚染の対策で再開発と結びつく。熊谷組との関係は深く、案件が積み上がる。中期計画は ROE 10% を掲げ、経営は資本効率を意識している。配当も増やす方針で、株主への姿勢は前向きだ。借入は会社の利益で十分に返せる水準にある。時価総額 21 億円は、2027 年の純利益 1.6 億円の 13 倍にすぎない。受注が積み上がる局面では、小さな会社ほど利益の伸びが大きく出る。
慎重な見方
営業利益率の山は 5.9% で、過去 12 年のうち 3 回は赤字だった。利益が出る年は、原価の削減や工事の特需といった一時の要因が多い。会社は福島の復興需要にも支えられてきたが、それは年々細る。2026 年 6 月期の経常利益も予想を 25% 下回っている。
分析は同業が多く、会社自身が過当競争と認めている。人件費は物価で上がるが、価格は入札で決まり、転嫁しきれない。ROE は過去 12 年のうち半分が 5% 以下で、資本コストに届かない。
工事は熊谷組向けが売上の 2 割で、受注残が一時は 3 億円まで細った。波が大きすぎる。借入は 17 億円あり、金利が 3.5% に上がると利払いが重くなる。報告書づくりなどは AI で自動化され、単価を押し下げる。時価総額は小さく、悪い知らせで大きく下げる。会社が掲げる ROE 10% は、過去 10 年で超えた年が少なく、達成の裏づけがない。福島の仕事も、復興の需要が薄れれば減りうる。
どちらに重みを置いたか
規制が需要を支える点は強気の言い分が正しい。だが、利益率が薄く、ROE が資本コストに届かないため、倍率は上げられない。そのため確率は中立と、やや悲観に厚めに置いた。強気の言い分の受注残は確かだが、利益になるかは原価の管理次第で、会社の予想も外れた。やや悲観と悲観で 35%、楽観は 5%。差は大きく割高と出た。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 458 円22 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 134 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 292 円14 億円、今との差 −32.0%、 期待の年率 +3.3%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 829 円40 億円 | 188 円9 億円 | +137.1% | +9.0% | 51 円2 億円 |
| やや楽観 | 20% | 672 円32 億円 | 167 円8 億円 | +95.7% | +6.9% | 168 円8 億円 |
| 中立 | 40% | 541 円26 億円 | 152 円7 億円 | +61.6% | +4.9% | 277 円13 億円 |
| やや悲観 | 25% | 201 円10 億円 | 104 円5 億円 | −28.8% | −3.3% | 76 円4 億円 |
| 悲観 | 10% | 150 円7 億円 | 42 円2 億円 | −55.2% | −7.7% | 19 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 458 円22 億円 | 134 円6 億円 | +37.9% | +3.3% | 592 円28 億円 |
今の株価時価総額 429 円21 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 5% 再開発と規制強化で、工事と分析がそろって伸びる 利益 3 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 829 円40 億円
アスベスト調査の義務化と PFAS の規制強化で、分析の需要が増え続ける。再開発の流れで土壌汚染の対策工事も伸び、工事部門の売上は今の 2 倍近くに戻る。数量は分析が 1.1 倍、工事が 1.8 倍。
価格は物価並みの 1.34 倍が通る。会社は原価の管理を覚え、営業利益率は 7% に乗る。過去の山 5.9% を超えるのは、2026 年に原価削減で利益が 2.4 倍になった実績と、受注残が厚いことが根拠だ。
営業利益は 6 億円、純利益は 3.4 億円。ROE は 8.5% と、資本コストをわずかに超える。ただし分析の同業の多さは変わらない。
- 環境計測・分析・調査・コンサル:数量 270(技術者・分析員の人員(人、推定))× 価格 2,565(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 69 億円・営業利益 5 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 7%
- 土壌汚染対策・アスベスト除去などの工事:数量 72.0(工事部門の人員(人、推定))× 価格 3,015(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。数量 1.80 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 6%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 40 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:アスベスト、PFAS、再開発が重なり、工事の受注が毎年 2 割ずつ積み上がる筋書き。利益率が過去の山の 5.9% を超えるため 5% に絞った。
やや楽観 20% 受注残が売上に変わり、利益率が 6% に乗る 利益 3 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 672 円32 億円
2026 年 6 月末の受注残 49 億円が着実に売上へ変わる。工事は 6 割増、分析は 5% 増える。規制の追い風が続き、価格も物価に近い 1.32 倍が通る。
営業利益率は分析が 6.2%、工事が 5%。全社で 6% と、過去の山の 5.9% とほぼ並ぶ。配当は 8 億円ほどに増える。
営業利益は 5 億円、純利益は 2.7 億円。ROE は 7% 台で資本コストに届かない。この筋書きでも、堀の薄さと熊谷組への依存は残る。受注が積み上がり、小さな会社として堅実に伸びる姿だ。工事は熊谷組以外の顧客も増え、波が少し和らぐ。分析は官公庁の仕事も安定し、技術者の定着が進む。
- 環境計測・分析・調査・コンサル:数量 257(技術者・分析員の人員(人、推定))× 価格 2,527(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 65 億円・営業利益 4 億円。数量 1.05 倍・価格 1.32 倍・営業利益率 6.2%
- 土壌汚染対策・アスベスト除去などの工事:数量 64.0(工事部門の人員(人、推定))× 価格 2,970(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。数量 1.60 倍・価格 1.32 倍・営業利益率 5%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.3% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 32 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注残 49 億円が売上に変わり、利益率が山の水準に戻る筋書き。規制の追い風が確かなので 20% を置いた。
中立 40% 需要は堅いが、価格が物価に届かず利益率は 5% 台 利益 2 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 541 円26 億円
規制が需要を作るので、分析の数量は横ばいを保つ。人件費の上昇は価格に転嫁しきれず、価格は物価に届かない 1.30 倍。AI エージェントが報告書づくりの工数を削るが、機械と人の手が要る測定は残る。
工事は 2025 年の山と 2026 年の谷の平均に戻る。数量は 1.4 倍、営業利益率は 4%。分析の営業利益率は 5.5% と、過去の山の 5.9% の下に置く。
売上は 77 億円、営業利益は 4 億円、純利益は 2.2 億円。ROE は 6% 台。配当は毎年 0.7 億円ほどで続くが、利益の 6 割は内部に残る。残した利益は価値を生みにくい。
- 環境計測・分析・調査・コンサル:数量 245(技術者・分析員の人員(人、推定))× 価格 2,488(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 61 億円・営業利益 3 億円。数量 1.00 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 5.5%
- 土壌汚染対策・アスベスト除去などの工事:数量 56.0(工事部門の人員(人、推定))× 価格 2,925(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。数量 1.40 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 4%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.2% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 26 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:規制が需要を支える一方、過当競争で価格が物価に届かない流れの中心の筋書き。数量と価格に入れた AI エージェント代替の影響を、確率でさらに重ねて引いていない。この筋書きを 40% とした。
やや悲観 25% 過当競争で値下げ圧力が強まり、工事の波が谷に入る 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 201 円10 億円
分析の入札が厳しくなり、価格は物価に届かない 1.22 倍にとどまる。数量も 8% 減る。人件費は物価で上がるので、営業利益率は 4% に落ちる。工事は谷が続き、利益率は 2%。
借入の金利が 3.5% へ上がり、純利益は営業利益の 5 割強にとどまる。営業利益は 2.3 億円、純利益は 1.3 億円。配当は 0.5 億円ほどに抑えられる。
稼ぐ力では値が付きにくく、床の側の価値に近づく。赤字の年が過去に 3 回あった会社なので、起こりうる筋書きだ。技術者の賃金は上がり続けるが、価格は入札で抑えられる。
- 環境計測・分析・調査・コンサル:数量 225(技術者・分析員の人員(人、推定))× 価格 2,335(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 53 億円・営業利益 2 億円。数量 0.92 倍・価格 1.22 倍・営業利益率 4%
- 土壌汚染対策・アスベスト除去などの工事:数量 40.0(工事部門の人員(人、推定))× 価格 2,700(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。数量 1.00 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 2%
倍率:稼ぐ力は ROE 3.8% で資本コストを大きく下回り、事業の純利益 1.3 億円の PER で測ると床を下回る。そこで床の側で置いた。今の自己資本 24 億円に対する PBR 0.33 倍。悲観より利益が少し残る分だけ厚い。
確率:分析の入札が厳しくなり、人件費の上昇を転嫁できず、工事も谷に入る筋書き。赤字の年が過去に 3 回あるので、やや悲観と悲観で 35% とした。
悲観 10% AI と値引き競争で分析が縮み、工事も赤字になる 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 150 円7 億円
AI が報告書づくりとデータ整理の大半を自動化し、発注側は単価を下げる。分析の数量は 2 割減、価格は 1.10 倍にとどまる。熊谷組が工事を絞り、工事部門は 4 割減って赤字になる。
営業利益はほぼゼロ。借入 17 億円の利払いで純利益はほとんど残らない。配当は大きく削られる。
こうなると稼ぐ力では値が付かない。床は分析機器・土地建物・債権の回収から借入を返したあとに残る分で置く。測定の義務が残るため、事業は小さくなっても続き、清算にはならない。のれんや機器の減損も入り、自己資本は目減りする。配当は無配に近づくが、借入の返済が先になる。
- 環境計測・分析・調査・コンサル:数量 196(技術者・分析員の人員(人、推定))× 価格 2,105(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 41 億円・営業利益 0 億円。数量 0.80 倍・価格 1.10 倍・営業利益率 1%
- 土壌汚染対策・アスベスト除去などの工事:数量 24.0(工事部門の人員(人、推定))× 価格 2,250(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。数量 0.60 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 −3%
倍率:稼ぐ力は崩れ、利益はほぼ出ない。床は今の自己資本 24 億円に対する PBR 0.30 倍。借入を返したあとに残る機器・不動産・債権の回収見込みが支える。稼ぐ力がほぼ無く EV ÷ 営業利益の倍率は意味を持たないため、純負債 8 億円は床の側で差し引いて見た。
確率:AI による報告書づくりの自動化と値引き競争が重なり、主要顧客の熊谷組も工事を絞る筋書き。規制が需要を支えるため、10% にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
環境計測・分析・調査・コンサル
大気・水質・土壌・アスベスト・放射能の測定と分析、環境アセスメント、政策コンサル。
| 数量技術者・分析員の人員(人、推定) | 価格1 人当たりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 245 | 1,914 | 47 | 2 |
| 10 年後 中立 | 245 | 2,488 | 61 | 3 |
取り方:2025 年 6 月期の有報では、工事を除く分野の売上は約 42 億円。2026 年 6 月期の売上 55.9 億円から工事を約 9 億円(推定)と置き、残る約 46.9 億円を調査・分析・コンサルとした。営業利益 2.67 億円のうち 2.37 億円をこちらに充てたのも推定。人員は連結 288 人(臨時除く)のうち工事部門を 40 人と置き、残りの約 245 人としたのも推定。先の価格は人件費の上昇を転嫁しきれず、中立で 1.30 倍。AI エージェント代替の型:計量証明は機械と人の手が要る現場の体で守られ、報告書づくりなどの事務部分(作業の 2 割と仮定)だけが縮む。決まりに従い、今の置き方を基本とした。AI エージェントを売り物にした売上の開示は確認できない。
土壌汚染対策・アスベスト除去などの工事
土壌汚染の対策工事、アスベスト除去、給排水・空調設備工事。ゼネコンからの受注が中心。
| 数量工事部門の人員(人、推定) | 価格1 人当たりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 40.0 | 2,250 | 9 | 0 |
| 10 年後 中立 | 56.0 | 2,925 | 16 | 1 |
取り方:2025 年 6 月期の工事は売上 18.6 億円(前期比 +9.7 億円)で、期末の受注残は 3.2 億円に細った。2026 年 6 月期はその反動で約 9 億円(推定)とし、営業利益 0.3 億円も推定した。工事部門の人員 40 人は推定。ゼネコン向けの請負で外注費が多く、1 人当たり売上は高めに出る。先の数量は、2025 年の山と 2026 年の谷の平均に近い 1.4 倍(中立)に置いた。受注残は 49 億円に増えており、戻りの根拠になる。価格は物価に届かない 1.30 倍。
リスクと懸念
過当競争と値上げの難しさ
分析は同業が全国に多く、会社自身も市場を過当競争と見ている。人件費は物価で上がるが、入札と相見積もりの価格に転嫁しきれない。中立で価格を物価に届かない 1.30 倍に置いた。
工事の波と熊谷組への依存
工事は熊谷組向けが売上の約 2 割。2025 年 6 月期に 18.6 億円まで伸び、受注残は 3.2 億円まで細って 2026 年は反動減になった。波が大きく、特定の顧客を失うと穴が深い。
AI エージェント代替
報告書づくりやデータ整理は自動化が進み、発注側が単価を下げる圧力になる。測定と分析は機械と人の手が要るので守られる。中立では事務部分だけを縮む前提で、価格を物価に届かない形で入れた。
借入と金利
有利子負債は約 17 億円。借り換えで金利が 3.5% に上がると利払いが利益を削る。短期借入が増えており、コミットメントラインで資金をつないでいる。
利益の質
2026 年 6 月期の営業利益 2.4 倍は原価削減による面が大きく、経常利益は予想を 25% 下回った。持続するかは、受注残の消化と利益率の維持で確かめる必要がある。
小規模さ
時価総額 21 億円の小さな会社で、売買が細い。連結 288 人の技術者の採用と定着が成長の天井になる。
今後の分かれ目
- 受注残 49 億円が計画どおり売上に変わり、営業利益が 3.4 億円を超える
- 原価削減が定着したと確認でき、中立の利益率を上へ見直す余地が出る。
- PFAS やアスベストの規制が強化され、分析の受注が目に見えて増える
- 分析の数量が上振れし、楽観の確率を引き上げる。
- 熊谷組向けの工事が次の期に大きく減る
- 工事の数量が谷に入り、やや悲観の筋書きに重みが移る。
- 会社が自社株買いか配当性向 50% 以上の方針を示す
- ためた利益が株主に戻る形になり、戻り方を 1.0 へ上げる余地が出る。
- 借入の金利が 3.5% に上がり、利払いが営業利益の 3 割を超える
- 純利益が大きく削られ、やや悲観の確率が上がる。
見ておくもの
- 受注高・受注残(特に工事)
- 営業利益率(5.5% 超が続くか)
- 熊谷組向けの売上比率
- 借入残高と金利
- 配当性向と自社株買いの有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は式だけで置いた。基本の k 7.5% に quality +0.5% を足して 8.0%。ROE が k に届かない筋書きでは PER の上限は 1÷k = 12.5 倍で、ROE÷k に応じて 7 割ほどに下げた。今の PER や同業の倍率は使っていない。2026 年 6 月期の営業利益 2.67 億円は原価削減で膨らんだ年として、中立は過去の山 5.9% の下の 5.2% に置いた。新リース会計基準で BS が変わるが、10 年後の数字は今と同じ形にそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→11.76 倍・やや楽観 PER 9→11.76 倍・中立 PER 8.7→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。