結論
かがやきホールディングスは、中小企業向けコンサルティングと士業法人向け人材派遣を組み合わせた企業である。筆者の結論は「割高」だ。税理士法人などとの密接な連携には価値があるものの、売上のかなりの部分が特定の外部法人との取引に依存し、今の収益を10年間そのまま維持できるとは考えにくい。
事業の最大の特徴は、税務・会計の専門家と中小企業の経営課題を結び付ける仕組みにある。顧問先から経営改善や事業承継の相談が生まれ、その仕事を上場会社のコンサルティング子会社が受ける。同時に、上場会社は提携する士業法人へ経理や労務に詳しい人材を派遣する。この相互依存は営業上の強みだが、提携先の士業法人そのものは上場会社の所有物ではない。
2026年6月期の売上高は約20.1億円、営業利益は約2.2億円だった。売上はほぼ横ばいなのに、人件費の増加などで営業利益は前年から23%余り減った。人を採用し、育成して提供する従来型の成長方法には、既に採算面の制約が現れている。さらに、AIエージェントは記帳、給与計算、調査、資料作成の必要工数を減らす。専門家の判断は残っても、人の稼働時間を売る会社の取り分まで保証されるわけではない。
2026年9月の上場と10月の増資で財務基盤は厚くなった。しかし、外部株主への配当は未定であり、創業者側の議決権支配も強い。蓄積した資本が少数株主にどれほど戻るかは未知数である。10年後の価値を考えると、成長する中小企業支援市場を持つことと、その成長をこの会社の株主が享受できることは別問題だ。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主として第一に問うべきことは、10年後に顧客がこの会社を必要とする理由が残っているか、という点である。中小企業には税務、後継者、人事、資金繰りの悩みが残る。その相談相手である士業法人を支える事業も必要だろう。だが、社会に必要なサービスであることと、現在の提供会社が高い利益率を保てることは同義ではない。
現時点の営業利益は、人の専門知識と稼働を顧客に売ることで生まれている。業務の質を落とさず必要時間を半減できる技術が普及すれば、同じ人数の派遣や同じ時間数の受託業務に従来と同額を払う理由は弱くなる。経営判断や交渉の仕事に移れば生き残れるが、その移行に成功した実績を確認するまでは、現在の高いROEを将来に延長しない方がよい。
堀、つまり競合が簡単に奪えない強みとして評価できるのは、アソシエイツとの案件紹介と人材供給の連鎖である。反対に、その提携先は上場会社の所有下になく、収益の集中先でもある。独占的な技術や許認可を握っている場合とは、利益を守る仕組みが違う。会社資料が掲げる継続売上の高さだけで、強い値上げ力まで認めることはできない。
もう一つの論点は資本の使い道だ。採用や研修に投じる資本が高い利回りを生めるなら、内部留保は株主に利益をもたらす。しかし、売上が伸びないまま人件費だけ増えるなら、留保によって自己資本が膨らんでも利益は増えず、資本効率が下がる。少数株主への配当もまだ約束されていない。
この会社に価値がないわけではない。継続契約、紹介経路、専門家との関係には明確な事業価値がある。ただし、安全域を判断するなら、好調な派遣需要と現在の関係性が何十年も続くという前提では買えない。株主が保有するのは提携士業法人ではなく、あくまで上場会社の利益と将来の還元請求権である。その違いを価格に反映することが不可欠だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は二つある。第一のコンサルティング事業は、経営改善、事業承継、M&A支援、不動産仲介、記帳・給与計算の業務受託、自治体向け公会計支援などを扱う。2026年6月期の外部売上高は10.68億円で、連結売上の約53%を占めた。顧問契約による継続収入に加え、M&Aや不動産売買の成立時に得る単発の手数料があるため、景気や案件の成否でも利益が動く。
第二の人材派遣事業は、専門知識を持つ事務職員を税理士法人、社会保険労務士法人などへ派遣する。売上高は9.20億円で、全体の約46%である。一般の派遣会社と違い、派遣先の中心は「かがやきアソシエイツ」と呼ぶ連携士業法人だ。人材を送り込むことが提携先との関係を深め、そこから別のコンサルティング案件が紹介される仕組みになっている。
この関係の経済的な重さは、数字に明瞭に表れている。2026年6月期のかがやき税理士法人向け売上高は約9.72億円で、連結売上の48.4%に達した。関連するアソシエイツ各法人との取引を広く合計すると、売上全体に占める比率はさらに高い。しかし、アソシエイツは連結子会社ではなく、資本関係も役員の兼務もない独立した法人である。税務の資格、顧問契約、士業法人自身の企業価値が、そのまま上場会社の株主に帰属するわけではない。
残りは水戸事務所の不動産賃貸などで、外部売上高は約0.17億円と小さい。2026年10月には、従来の連結子会社6社を3社へ統合する方針を発表した。経営コンサルティングと自治体支援、M&Aと不動産、人材派遣と業務受託をそれぞれ集約する計画だ。管理費の削減には合理性があるが、合併するだけで最終顧客の数が増えるわけではない。価値を決めるのは、統合後に案件単価と顧客獲得力が実際に改善するかどうかである。
優良さと弱いところ
同社の強みは、顧客に継続して接触できる経路を持っていることだ。会社資料によれば、2026年6月期の売上の82.6%が安定的・長期的なサービスに区分される。また、2023年7月から2026年6月までにグループ内外から紹介された案件は累計1,993件あり、そのうち996件が成約した。紹介経路が実際の取引につながっている点は評価できる。
しかし、継続売上と経済的な堀は同じではない。契約が続いても、AIで処理時間が短くなれば、人材派遣の必要人数や受託業務の単価は減りうる。中小企業が専門家に相談する必要は残っても、定型作業に支払う対価まで残るとは限らない。値上げを何度も通した実績、解約率が低いことを示す十分な時系列、顧客が移行できない独自基盤の証拠は確認できない。
2025年6月期のROEは約54%、2026年6月期も約26%と高い。ただし、これは自己資本が小さかった上場前の数字であり、資本を追加投入しても同じ利回りで稼げる証明ではない。直近期には採用と昇給に伴って販管費が増え、営業利益率は14.2%から10.9%へ低下した。人件費を先に負担する収益構造は、稼働率が下がる局面で弱い。
2026年10月の子会社統合には、管理業務の重複を減らす余地がある。一方で、紹介元の士業法人を所有していないという構造は変わらない。顧客との関係には一定の粘着性があるが、値決め力と独立性は限定的だ。現段階では、長期に高い超過利益を守れる強固な堀を備えた会社とまでは評価できない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内では中小企業の後継者不足、人手不足、税制変更、経理業務の複雑化が続く。経営者が外部の専門家に相談する需要自体は、今後もなくならないだろう。同社の2026年9月の事業説明資料は、IDC Japanの予測を基に、国内ビジネスコンサルティング市場が2023年の7,240億円から2029年には1兆2,832億円へ拡大すると紹介している。ただし、これは広いコンサルティング市場の金額予測であり、AI導入後の必要人員を示す数字ではない。
同社のコンサルティング売上10.68億円は、2023年の広義の市場規模と単純に比べると約0.15%に相当する。しかし、同社の売上には経理受託や不動産仲介なども含まれるため、この値は厳密なシェアではない。中小企業向けでは船井総研ホールディングスや山田コンサルティンググループが競合し、M&A分野では日本M&Aセンターホールディングスなどが競争相手になる。各社の対象業務が重なるため、同一市場に限定した信頼できる競合シェアは算定できない。
人材派遣市場について、日本人材派遣協会の統計では2024年度の事業規模は約9.9兆円である。同社の派遣売上9.20億円はその約0.009%にすぎない。ただし、士業法人向けの専門人材という狭い市場の規模と競合別シェアは公表資料から確認できず、一般派遣市場の比率をそのまま専門市場の占有率とは呼べない。競合にはパーソル、スタッフサービス、パソナなどがあり、採用・育成や派遣契約の運営では規模の差が大きい。
最も大きな構造変化はAIエージェントである。従来は担当者が入力し、集計し、画面を操作していた記帳、給与計算、調査、帳票作成を、ソフトが横断して実行するようになる。企業の経営課題が増えても、必要な人月が同じ比率で増えるとは限らない。士業の法律上の責任や複雑な判断は残るため、全業務が消えるわけではないが、価格競争は強まると考える。
逆に、公営企業の会計制度対応、事業承継の利害調整、複雑な買収交渉などは、依頼者との信頼や責任の所在が重要であり、人の判断が残りやすい。市場の総額が拡大する中でも、定型業務から高付加価値の判断業務へ移れる会社と、工数販売にとどまる会社の差が広がる10年になるだろう。同社が後者から脱するには、AIを自社の収益源として売り、実際の売上で示す必要がある。
資本政策と M&A
資本配分で最初に見るべきことは、上場によって得た資金を何に使うかである。2026年9月の公募増資に続き、10月20日にはオーバーアロットメントに対応する3万株の第三者割当増資が行われた。上場前の自己資本約5.14億円に対し、この二つの増資による資本増加は合計約1.13億円となる。調達資金の主な使途は人的資本への投資であり、現時点で余剰現金として株主に配る資金ではない。
同社はM&Aを成長戦略の一つに掲げ、経理受託、経営支援、不動産、自治体支援などの事業を組み合わせてきた。ただし、会社資料に登場する士業法人の過去7件の経営統合は、資本関係のないアソシエイツ側の実績である。これを上場会社自身が買収した事業として評価してはならない。買収後にどれだけ増分利益を得たかの検証可能な長期実績も限られ、追加買収が資本コストを上回るとはまだ断定できない。
2026年10月15日には連結子会社を6社から3社へ統合する計画を発表し、効力発生日を2027年7月1日とした。管理費削減の方向は合理的だが、定量的な利益改善額は公表されていない。公表資料に独立した数値入りの中期経営計画は確認できず、中期の売上高、営業利益、ROEについては「数字の約束なし」である。2027年6月期の単年度予想は売上高21.88億円、営業利益2.58億円、純利益1.32億円だが、これは中期目標ではない。
株主還元についても、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額はいずれも「数字の約束なし」である。有価証券報告書では配当の可能性や開始時期は未定としている。創業者とその関係法人の保有比率は上場後も高く、蓄積利益を少数株主に還元するかどうかは経営側の裁量が大きい。そのため、将来積み上がる余剰資本は額面どおりには評価せず、株主に戻る可能性を慎重に見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
中小企業は人手不足と後継者不足の両方に苦しんでおり、会計や労務だけでは解決できない経営課題が増えている。独立した税理士法人を入口に、経営改善、M&A、資産管理、給与計算まで提案できる同社の仕組みは、単一の専門サービス会社にはまねしにくい。継続的な売上が全体の82.6%を占め、グループ内外から紹介された案件の成約率も約半分に達する。営業のために毎回新しい顧客を探す必要が小さく、既存関係を深めるほど追加収入が期待できる。
2026年10月に発表した子会社再編では、似た機能を持つ6社を3社にまとめる。経営者や専門人材の兼務が減り、顧客情報の共有や営業提案が速くなれば、同じ人員でも提供できるサービスが増える。すでに地域金融機関9行との紹介契約もあり、アソシエイツ以外の顧客を増やす足掛かりが存在する。上場によって信用力と採用力が高まれば、地方の中小企業にも進出できる。
AIは必ずしも脅威だけではない。記帳や資料作成の工数を削れれば、専門家が経営判断に時間を使えるようになる。人材派遣先との契約を維持しつつ、より複雑な仕事へ収益の中心を移すことができれば、営業利益率の回復余地が生まれる。上場で得た資金を採用と教育に使い、買収よりも既存顧客への追加提案を優先すれば、現在の会社規模を超える利益を生む可能性がある。
慎重な見方
最も重大な事実は、売上の48.4%が一つの外部税理士法人に向かっていることである。しかも、その税理士法人を含むアソシエイツには、上場会社との資本関係も役員兼務もない。相互に利益のある関係が続くことは期待できても、株主は相手の顧問契約や資格を所有していない。契約条件が変わるだけで、派遣売上や紹介案件の採算が大きく変わりうる。取引の妥当性を点検する委員会があること自体も、独立した取引の条件が重要であることを示している。
AIによる代替は、単なる事務作業の効率改善ではない。従来は一人が行っていた給与計算や記帳を少人数で処理できるようになると、派遣先は同じ人数を必要としなくなる。業務受託でも請求できる工数が減り、顧客は新しい技術による節約分の価格転嫁を求める。会社がAIを使いこなしたとしても、顧客側にも同じ技術を使う選択肢があるため、生産性の改善がすべて会社の利益として残るわけではない。
2026年6月期には、売上がほぼ横ばいであるにもかかわらず、営業利益が23%余り減った。人材採用と昇給という通常の経営判断だけで利益率が落ちるほど、事業の固定費負担は軽くない。子会社統合には費用を削る効果が期待できるものの、実際の削減額は未公表である。これを確実な利益として先取りすることはできない。
配当開始時期は未定で、支配株主の持分も大きい。稼いだ利益を留保し続けても、増分投資が資本コストを下回れば少数株主の価値は増えにくい。さらに新株予約権による希薄化の可能性もある。事業が存続しても、売上、利益率、資本効率、既存株主の取り分が同時に弱くなる10年は十分に考えられる。
どちらに重みを置いたか
紹介経路と継続契約の存在は評価できるため、事業そのものが短期間で消滅するとは考えない。しかし、上場会社が所有しない士業法人への売上集中、採用費による直近の減益、還元方針の不確実さは無視できない。AIによる工数減少は既に中立の数量に反映したため、確率の面で同じ理由を重ねて過度に悲観してはいない。下側の確率を上側より厚くしたのは、この会社固有の契約集中と資本配分上の不透明さがあるためだ。利益の確実性に対して、現在の時価総額はなお高いと判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 805 円10 億円(+ 還元の換算額還元の合計 33 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 378 円5 億円、今との差 −58.5%、 期待の年率 −0.8%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,944 円25 億円 | 104 円1 億円 | +124.8% | +8.7% | 205 円3 億円 |
| やや楽観 | 16% | 1,507 円19 億円 | 69 円1 億円 | +73.0% | +5.8% | 252 円3 億円 |
| 中立 | 32% | 919 円12 億円 | 35 円0 億円 | +4.7% | +0.5% | 305 円4 億円 |
| やや悲観 | 27% | 217 円3 億円 | 0 円0 億円 | −76.1% | −13.3% | 59 円1 億円 |
| 悲観 | 15% | 114 円1 億円 | 0 円0 億円 | −87.4% | −18.7% | 17 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 805 円10 億円 | 33 円0 億円 | −8.0% | −0.8% | 838 円11 億円 |
今の株価時価総額 911 円12 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 専門判断への転換と統合効果が定着 利益 2 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,944 円25 億円
2027年に予定される子会社再編が計画どおり実施され、共通管理費が減る。かがやきアソシエイツからの案件紹介に加え、地域金融機関との連携を通じて、独立した中小企業の顧客が増える。経営改善、公営企業の会計対応、M&Aの利害調整など、専門家の責任と判断が必要な仕事に事業の中心が移る。
記帳や給与計算の定型作業はAIに置き換えられるが、その分を複雑な相談への対応に振り向けられる。人月の必要量が増えることまでは想定せず、既存の人員規模を維持しながら、名目単価の改善と仕事の組み合わせで売上を伸ばす。派遣先との関係も維持され、業務量が減った分を追加の専門サービスで補う。
売上の拡大に伴い、グループの営業利益率は再び二桁台半ばに近づく。新規買収は小規模にとどめ、既存事業の統合効果を優先する。利益の一部を株主に還元しながら、残りを人材教育や顧客開拓に使う。成長は会社が保有する顧客接点から生まれ、提携先の拡大を自社の利益へ結び付けることに成功する。
- コンサルティング・BPO・M&A支援:数量 35.0(コンサルティング事業の常用従業員相当人数(人、2026年6月期の開示人数を数量の代理変数とする))× 価格 0.41(従業員1人相当が年間に生み出す事業売上(億円、人件費ではなく名目の実現売上))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。数量は現状35人相当を維持。実現単価は物価に沿って1.34倍。高付加価値案件への構成変化と統合による本社費削減が利益率に寄与する。
- 士業法人向け専門人材派遣:数量 92.0(人材派遣事業の常用従業員相当人数(人、年間平均の派遣稼働人数の代理変数))× 価格 0.13(従業員1人相当の年間派遣売上(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。派遣人数は現状を維持する上限的な楽観。単価は物価相当の1.34倍とし、顧客によるAI導入後も専門人材の需要が残る。
- その他・不動産賃貸:数量 1,213(水戸事務所の賃貸に供する面積の代理指標(平方メートル))× 価格 0.00(面積1平方メートル当たりの年間外部賃貸売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。賃貸面積は維持、賃料は物価に沿って上昇。内部取引を含むセグメント利益の性格を考慮した。
倍率:資本コストk=8.5%、長期名目成長率g_long=0%。ROEは2.03÷21.80=約9.3%でkを上回るが、AI代替下では10年以降の人月需要に永続的な名目成長を認めない。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷0.085=11.7647倍とし、倍率を恣意的に縮めない。時価総額は純利益2.03億円×11.7647倍=23.8823億円。将来の余剰現金の戻り方は別途0.5を適用する。
確率:子会社統合による費用削減、金融機関からの顧客紹介、顧問先への追加販売がそろって成功する場合である。人月の数量はAIによる圧力の下で現状を維持するまでとし、未確認のAI製品売上による数量成長は織り込まない。実現には高い実行力が必要なため10%とした。
やや楽観 16% 顧問関係を守り高付加価値へ移行 利益 2 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,507 円19 億円
中小企業の経営課題は増え続け、税務や労務の専門家から経営改善の相談が流れ込む仕組みも維持される。顧問先との関係を通じて事業承継やM&A支援を受注でき、案件獲得の効率は比較的高い。子会社再編は混乱なく進み、重複する管理業務の一部が削減される。
ただし、業務を受託するために必要な人数は今より少なくなる。給与計算や記帳の一部は自動化され、同じ契約売上でも工数が減る。派遣先は人員を見直し、従来の職員をすべて置き換えることはできなくても、新しい採用を絞る。相談や交渉の仕事がその減少を部分的に補う。
利益率は現状を少し上回る水準まで改善し、資本を傷めるような大型買収は避けられる。利益の一部は配当として還元されるが、経営陣が留保を重視するため、自己資本は増え続ける。稼ぐ力は残るものの、上場前の高いROEがそのまま続くわけではない。
- コンサルティング・BPO・M&A支援:数量 29.8(コンサルティング事業の常用従業員相当人数(人、2026年6月期の開示人数を数量の代理変数とする))× 価格 0.41(従業員1人相当が年間に生み出す事業売上(億円、人件費ではなく名目の実現売上))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。実質数量は現状の0.85倍。定型工数減少を高付加価値相談でかなり補い、実現単価は1.34倍とする。
- 士業法人向け専門人材派遣:数量 82.8(人材派遣事業の常用従業員相当人数(人、年間平均の派遣稼働人数の代理変数))× 価格 0.13(従業員1人相当の年間派遣売上(億円、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。人数相当は0.90倍。専門性を保った派遣の需要が残り、実現単価は1.32倍になる。
- その他・不動産賃貸:数量 1,213(水戸事務所の賃貸に供する面積の代理指標(平方メートル))× 価格 0.00(面積1平方メートル当たりの年間外部賃貸売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。賃貸面積は変わらず、賃料は物価相当。内部取引を含む利益の性格は継続する。
倍率:10年後ROEは1.52÷20.13=約7.6%で、資本コスト8.5%を下回る。長期名目成長率を0%としたため、超過成長を評価せず正当化PERは1÷0.085=11.7647倍が上限になる。純利益1.52億円にこの倍率を適用し、時価総額17.8823億円とする。将来の余剰現金は別途扱う。
確率:継続契約と金融機関の紹介網が一定の防御力を発揮する可能性はある。しかし、定型業務の数量縮小を完全に避けることは難しく、上場後の子会社再編にも実行リスクがあるため16%とする。
中立 32% 相談は残るが人月の販売量が縮小 利益 1 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 919 円12 億円
2036年になっても中小企業には経営改善、事業承継、資金繰りの相談がある。かがやきアソシエイツとの関係も続き、顧問契約からコンサルティング案件が生まれる。ただし、2026年当時と同じ数の人材を必要とするかという問いへの答えは否定的になる。AIが記帳や給与計算、調査、帳票作成を引き受け、顧客が必要な派遣人数を減らしていく。
コンサルティング事業では、専門家の判断が必要な業務を残しながら、販売できる人月相当量が現在の7割になる。人材派遣では、士業法人が事務作業を自動化するため必要人数が現在の約3分の2に減る。名目の単価は上がるものの、物価の上昇を上回る値決め力はない。業務量の減少を単価だけで補うことはできない。
子会社統合は実施されるが、大きな独占的優位を生み出すわけではない。大型M&Aによる売上の押し上げも前提としない。人件費を需要の減少に合わせて調整することで営業黒字は維持するが、利益は上場前の最高水準に戻らない。内部留保で自己資本が厚くなる半面、その資本が生む利益の割合は大きく低下する。
- コンサルティング・BPO・M&A支援:数量 24.5(コンサルティング事業の常用従業員相当人数(人、2026年6月期の開示人数を数量の代理変数とする))× 価格 0.40(従業員1人相当が年間に生み出す事業売上(億円、人件費ではなく名目の実現売上))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替の人月・工数型。人数相当量は35人から24.5人の0.70倍、実現単価は1.31倍。公会計・交渉業務が定型作業の減少を部分的に補う。
- 士業法人向け専門人材派遣:数量 60.7(人材派遣事業の常用従業員相当人数(人、年間平均の派遣稼働人数の代理変数))× 価格 0.13(従業員1人相当の年間派遣売上(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。事務系人材派遣の数量は92人から60.72人相当の0.66倍。単価は1.30倍だが、派遣先の省人化を補い切れない。
- その他・不動産賃貸:数量 1,213(水戸事務所の賃貸に供する面積の代理指標(平方メートル))× 価格 0.00(面積1平方メートル当たりの年間外部賃貸売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。賃貸面積は固定し、名目賃料は1.30倍。実物賃貸はAIによる人月減少を適用しない。
倍率:10年後のROEは0.85÷16.73=約5.1%で資本コスト8.5%を下回る。長期名目成長率g_longは0%であり、成長による超過価値を認めない。正当化PER=1÷k=11.7647倍の上限そのものを採用する。事業純利益0.85億円×11.7647倍=時価総額10.0000億円で、将来積み上がる余剰資本の戻り方と既存株主の希薄化は別に反映する。現在や同業の市場倍率は根拠にしていない。
確率:下に寄せる理由:連携する外部税理士法人への売上集中、2026年6月期の採用費増加による減益、数値入りの株主還元約束の不在が、この会社固有の不確実性である。一方、顧問関係と士業の対面相談は残るため、AI代替は数量0.70倍と0.66倍に反映して中立32%を中心とする。AIという同じ理由で確率を二重に引き下げない。
やや悲観 27% 外部法人への依存が利益を圧迫 利益 0 億円 · PER 11.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 217 円3 億円
かがやきアソシエイツとの連携自体は続くが、税務・会計事務所がAIを使った省人化を進め、派遣職員の必要数を大幅に減らす。派遣契約の一部は残るものの、同じ売上規模を維持するための値上げには応じてもらえない。派遣先は自社で人材を育てることもできるため、上場会社の交渉力は弱まる。
コンサルティング事業でも、AIによる資料作成の自動化と中小企業の内製化が進む。自治体向けの制度対応など専門性の高い業務は続くが、顧客が時間単価で購入する仕事は減る。M&Aや不動産仲介の一時的な手数料を補うほどの継続契約も獲得できない。従業員の配置転換に時間がかかり、固定的な人件費が利益を圧迫する。
会社は新たな大型投資を控え、人員と拠点を縮小して赤字転落を避ける。自己資本はこれまでの利益留保で厚くなっているものの、それを十分な収益に変えられない。外部株主への還元は実施されず、財務上は存続可能でも、株式の経済的な価値は乏しい水準になる。
- コンサルティング・BPO・M&A支援:数量 17.5(コンサルティング事業の常用従業員相当人数(人、2026年6月期の開示人数を数量の代理変数とする))× 価格 0.35(従業員1人相当が年間に生み出す事業売上(億円、人件費ではなく名目の実現売上))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。数量は現状の半分、単価は1.15倍にとどまる。事業承継や公会計は残るが、採算の悪い案件の比率が上がる。
- 士業法人向け専門人材派遣:数量 48.8(人材派遣事業の常用従業員相当人数(人、年間平均の派遣稼働人数の代理変数))× 価格 0.12(従業員1人相当の年間派遣売上(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。必要人員は0.53倍。派遣先の省人化と契約交渉で実現単価は1.20倍にとどまる。
- その他・不動産賃貸:数量 1,213(水戸事務所の賃貸に供する面積の代理指標(平方メートル))× 価格 0.00(面積1平方メートル当たりの年間外部賃貸売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。面積は維持するが、賃料は1.20倍にとどまり、修繕費負担が増える。
倍率:事業純利益0.14億円、資本コスト8.5%から求める成長なしの稼ぐ力の上限は0.14÷0.085=約1.647億円。提携先への依存が深まり超過利益の回復を見込めないため、正当化PERの上限11.7647倍をわずかに下回る11.0倍とし、時価総額は0.14億円×11.0倍=1.54億円とする。資産の処分可能価値約1.50億円も下回らない。将来自己資本11.33億円に低いPBRを掛けて資産価値を水増しする方法は用いない。
確率:特定の士業法人に売上が集中し、契約更新時に派遣人数や取引単価の交渉力を失う可能性がある。定型BPOの減少に加え、M&Aと不動産仲介の案件不振が長引く筋書きで27%とする。中立のAI縮小を確率で重複加算するのではなく、特定顧客への依存が解消しないことを下振れの主因とする。
悲観 15% 人月モデルが構造的に敗れる 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 114 円1 億円
士業法人がAIを業務の中核に据え、記帳、給与計算、資料の照合などに必要な職員数を大きく減らす。既存の派遣契約は縮小され、紹介案件も独立した士業法人が内製する割合を増やす。上場会社には顧客の税務記録や専門資格の所有権がないため、その変化を止められない。
コンサルティング事業では、経営改善や自治体向けの専門業務の一部を維持するものの、資料作成や定型的な助言は値下げ競争に巻き込まれる。事業承継やM&Aの成立報酬も減り、顧客獲得にかけた費用を回収できなくなる。子会社統合の管理費削減効果は想定を下回り、人員整理や拠点縮小に伴う費用も発生する。
売上は2026年当時の半分を大きく下回り、営業段階で赤字となる。利益を生まなくなった事業ののれんや将来税効果には大きな価値を認められない。会社が直ちに倒産するとまでは想定しないが、増資後の資本の一部を損失で失い、残る価値は換金可能な現預金、債権、不動産を負債と整理費で差し引いた水準に近づく。少数株主に配当はなく、10年後は事業の稼ぐ力より資産の回収可能性が主要な評価軸となる。
- コンサルティング・BPO・M&A支援:数量 12.3(コンサルティング事業の常用従業員相当人数(人、2026年6月期の開示人数を数量の代理変数とする))× 価格 0.32(従業員1人相当が年間に生み出す事業売上(億円、人件費ではなく名目の実現売上))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。販売できる人月相当量は0.35倍に縮小。単価は10年で1.05倍にしかならず、人員整理費や維持費で営業赤字となる。
- 士業法人向け専門人材派遣:数量 36.8(人材派遣事業の常用従業員相当人数(人、年間平均の派遣稼働人数の代理変数))× 価格 0.11(従業員1人相当の年間派遣売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。派遣人数は0.40倍。顧客のAI導入と人材の内製化が進み、単価は1.08倍にとどまり利益を残せない。
- その他・不動産賃貸:数量 1,213(水戸事務所の賃貸に供する面積の代理指標(平方メートル))× 価格 0.00(面積1平方メートル当たりの年間外部賃貸売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。賃貸面積を維持できても実質賃料の弱さと修繕負担で利益が減る。
倍率:2036年の事業純利益はマイナス0.28億円であり、PERによる正の継続価値を評価できない。現時点の自己資本約5.14億円を基準とし、そこから換金可能な資産と負債・整理費を吟味した床約1.50億円を採用する。PBR0.2918288倍×基準自己資本5.14億円=約1.50億円。将来の利益留保を積み上げた資本に床のPBRを掛けていない。
確率:AIによる定型事務の自動化だけでなく、主要な外部士業法人との取引条件悪化、顧問先の流出、買収・統合の失敗が重なる深刻な筋書きである。複数の悪材料が同時に起こる必要があるため15%にとどめるが、売上集中の大きさから無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
コンサルティング・BPO・M&A支援
経営顧問、経営改善、事業承継、記帳・給与計算受託、DX、公会計、M&A、不動産仲介などを扱う。人の判断を伴う業務と、AIで処理時間が減りやすい事務・資料作成業務が混在する。
| 数量コンサルティング事業の常用従業員相当人数(人、2026年6月期の開示人数を数量の代理変数とする) | 価格従業員1人相当が年間に生み出す事業売上(億円、人件費ではなく名目の実現売上) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 35.0 | 0.31 | 11 | 1 |
| 10 年後 中立 | 24.5 | 0.40 | 10 | 1 |
取り方:有価証券報告書のコンサルティング事業の常用従業員35人と外部売上高1,068,246千円を使用し、10.68246億円÷35人=1人当たり約0.30521億円とした。パートタイマー7人、外注費、案件報酬、経営顧問料を含むため、これは開示された請求単価や請求人月ではなく数量・単価を分けるための代理指標である。公開資料で案件種類別の実契約数と平均報酬は十分に確認できない。AIエージェント代替の型は『人月・工数で売るコンサルティング・BPO』であり、中立の実質数量を0.70倍、価格を1.31倍とする。顧問契約が存在しても自社所有の会計記録原本や規制上の独占基盤は確認できないため、『記録の正本』の型には移さない。
士業法人向け専門人材派遣
会計・税務、給与計算、人事労務、登記などの知識を持つ事務職員を派遣する。売上の中心は資本関係のないかがやきアソシエイツ向けである。
| 数量人材派遣事業の常用従業員相当人数(人、年間平均の派遣稼働人数の代理変数) | 価格従業員1人相当の年間派遣売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 92.0 | 0.10 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 60.7 | 0.13 | 8 | 0 |
取り方:有価証券報告書の人材派遣事業の常用従業員92人と外部売上高920,483千円から、9.20483億円÷92人=1人当たり約0.10005億円と推計した。別途パートタイマー35人が記載されているため、92人は実際の全派遣稼働人数でも請求人数でもない。顧客別の時間単価、稼働時間、必要人数が未開示なので、人数と売上の関係を示す代理指標である。AIエージェント代替の型は『事務系人材派遣』であり、中立数量を0.66倍、価格を1.30倍とする。士業資格自体は派遣先の独立法人にあり、上場会社の独占的な記録原本とは認めない。
その他・不動産賃貸
水戸事務所などに関連する土地・建物の賃貸収入が中心である。外部売上は小さく、人月・席課金のAI代替類型には直接該当しない。
| 数量水戸事務所の賃貸に供する面積の代理指標(平方メートル) | 価格面積1平方メートル当たりの年間外部賃貸売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,213 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,213 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:有価証券報告書には水戸事務所のうち賃貸に供する土地・建物1,213平方メートルと、その他事業の外部売上高17,292千円が記載されている。これを面積で割って約1万4,256円/平方メートル・年とした。賃貸対象物件がすべて同一条件であることを示す資料ではないため、面積と単価は推定値である。その他事業のセグメント利益22,641千円には内部取引の影響があり、外部売上だけを分母にした利益率を独立した不動産の収益利回りとして使わない。実物不動産の賃貸部分はAIエージェント代替の対象外である。
リスクと懸念
かがやきアソシエイツへの取引集中
かがやき税理士法人一社向けの売上だけで全体の48.4%を占める。連携する士業法人には資本関係も役員兼務もなく、上場会社は相手の顧客基盤を所有していない。派遣契約の人数や単価、紹介条件が変更されれば、売上と営業利益の両方に大きく影響する。連携が長く続いた実績だけでは、取引条件が今後も変わらない保証にならない。
AIエージェント代替
記帳、給与計算、帳票照合、調査、資料作成などは、従来必要だった人月を大幅に減らす可能性がある。同社の主要二事業は、どちらもその工数や人数の販売に関わる。専門家の判断業務が残っても、顧客が節約できた人件費相当を会社がすべて受け取れるとは限らない。10年の数量縮小と長期成長率0%にこのリスクを反映し、資本コストには重ねて加算していない。
採用・昇給と固定費負担
2026年6月期は売上がほぼ横ばいだったにもかかわらず、採用と昇給などの影響で営業利益が前年より23%余り減少した。売上原価より販管費に人件費が厚く計上されるため、売上総利益率の高さだけでは人件費の弾力性を測れない。顧客が人員削減を進めた時に、会社が配置転換や退職に伴う費用をどれほど負担するかが利益率を左右する。
M&Aと子会社再編の実行
2026年10月に発表した6社から3社への子会社再編は、2027年7月1日の実施を予定している。部門の組み合わせが変わるだけでは顧客単価は上がらず、情報共有や管理費削減の実行が必要である。今後の買収でも、買収価格に見合う増分利益を生めなければのれん減損と低い資本効率につながる。社外アソシエイツの買収実績を上場会社の資産と誤認しないことも重要だ。
少数株主への還元と希薄化
創業者とその関係法人の保有比率が高く、配当開始時期や配当性向についての数値約束はない。会社が利益を留保しても、少数株主がその価値を額面どおり回収できるとは限らない。2026年10月の第三者割当増資に加え、新株予約権による潜在的な希薄化もあるため、会社全体の利益と現在の株主が最終的に受け取る利益を分けて評価する必要がある。
資産の換金価値と負債
2026年6月末には現金預金約3.02億円に対して有利子負債約4.40億円があり、上場資金が入る前は純現金企業ではなかった。売掛金は額面で回収できるとは限らず、保有する不動産も売却価格と解約費用によって手取りが変わる。のれん約0.34億円は、事業が不振に陥った時に現金化できる床とは見なさない。借換金利が上がれば営業外費用にも影響する。
今後の分かれ目
- 2027年7月の子会社再編後、管理費削減額が具体的に開示され、営業利益率が継続して14%以上に戻ったら
- 再編による増分利益が資本コストを上回っているか確認し、中立の営業利益率を上方修正する。ただし、人月需要の縮小という別の論点はそのまま残す。
- かがやき税理士法人向け売上比率が下がり、代わりに資本関係のない多数の新規顧客から継続収入が増えたら
- 顧客集中のリスクが薄まるため、中立から上側の筋書きへ確率を移す。売上の分散だけでなく、新規顧客の粗利と契約継続も確かめる。
- 派遣人数や平均請求単価、稼働率が開示され、AI普及後も人員需要と単価が持続的に増加したら
- 士業法人向け人材派遣の数量と価格を実績で見直す。定型業務以外への移行が実証された範囲で、AI代替による縮小前提を緩和する。
- 自社のAIサービスについて外部顧客からの有料売上や継続契約金額が明示されたら
- 人月・工数の代替だけでなく、自社が新しい付加価値を販売できる部分を別の数量と価格で評価する。製品導入事例だけでは成長を加算しない。
- 配当性向、DOE、自社株買いの金額について具体的な方針が公表され、実際の還元が継続したら
- 余剰資本が株主へ戻る確度を見直し、excess_cash_returnを0.5から0.75または1.0に引き上げる条件を検討する。約束だけでなく、実行額を重視する。
- 特定のアソシエイツとの派遣契約の規模縮小や条件変更が公表されたら
- 外部顧客との契約によって守られていた売上の継続性を下方修正し、やや悲観・悲観の可能性を引き上げる。変更された契約の売上と利益への影響を個別に計算する。
- 増資や新株予約権の行使により、基準株数からの増加が予想より大きくなったら
- 会社全体の時価総額ではなく、既存株主に帰属する持分割合を再計算する。同時に払込資金による自己資本増加を反映し、希薄化だけを一方的に引かない。
見ておくもの
- かがやき税理士法人およびアソシエイツ各社への売上高・売上構成比・契約条件
- 人材派遣事業の派遣人数、稼働率、平均請求単価、派遣先のAI導入状況
- コンサルティング事業の継続契約件数、解約率、顧問単価と実際の値上げ実績
- トスアップ件数、成約件数、成約率と独立した顧客からの売上比率
- 2027年7月予定の子会社再編の実施状況、削減された管理費、統合後の利益率
- AI関連サービスの外部有料売上高と人月課金から成果課金への移行状況
- 営業キャッシュフロー、借入金の借換金利、のれんと売掛金の推移
- 配当開始、配当性向、自社株買い、第三者割当増資および新株予約権の行使状況
倍率と資本コストの決め方
売上は2026年6月期の開示された三つの事業区分を起点に、コンサルティング35人、人材派遣92人、賃貸面積1,213平方メートルという実体のある数量と、それぞれの実現売上単価に分けた。従業員数は厳密な請求人月ではなく、外部売上を割った代理指標であり、その限界をhowに明記した。10年の物価上昇は価格の側だけに反映し、数量に二重計上していない。AIエージェント代替は中立の数量とg_long=0%に反映し、資本コストの寿命や確率で同じ減価を重複させていない。
倍率は現在のPER、PBR、同業の市場倍率を参照せず、資本コスト8.5%と長期成長率0%から正当化した。ROEが資本コストに届かない筋書きに、高い成長価値を加算していない。やや悲観は低い稼ぐ力と売却可能資産の床から評価し、悲観のPBRは将来の累積留保によって膨らんだ自己資本ではなく、2026年6月末の自己資本を基準にした。床ではのれん約0.34億円を売却可能資産から除外し、債権の回収減価と整理費を差し引いた。
自己資本は、2026年6月末の約5.14億円に2026年9月の公募増資約0.927億円と10月の第三者割当約0.199億円を加えた6.27億円を起点にした。10年間の純利益合計は、楽観16.37億円、やや楽観14.20億円、中立10.30億円、やや悲観5.06億円、悲観マイナス1.13億円を想定する。そこから配当・自社株買いの累計を控除し、上側三筋書きには新株予約権行使による払込資金約0.66億円を加えて、2036年の各自己資本を整合させた。現時点では配当の数値約束がないため、10年間の還元額は会社計画ではなく仮定である。
株数については資料間の相違がある。basisには添付factsの1,277,228株を指定どおり使用したが、2026年10月15日の適時開示には10月20日の第三者割当後の発行済株式総数1,311,900株が明記されている。この差はholder_shareで調整し、将来の新株予約権約132,200株も上側の筋書きだけに反映した。潜在株式数と実際の行使状況は今後の開示で更新が必要である。日本の新リース会計基準によって今後の貸借対照表表示が変わる可能性があるが、将来の営業利益は賃料を営業費用とする現在と比較可能な形で評価した。現在の時価総額約11.89億円と本質価値を比べたのは、事業の数量、利益、倍率、確率を決めた後である。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%による基礎7.5%に、事業循環と値決め力の合計1.0%を加えた。規模や株価のβによる加算はしない。継続赤字や継続企業の前提に関する注記を確認できる状態ではないため、事業存続危機の特別な上乗せは設けない。