結論
NISSOホールディングスは、日本の自動車・半導体工場へ技能者を送り、製造工程を請け負う会社だ。筆者は現時点の価値を「やや割安」と見るが、競争上の堀が浅いため、安全域は厚くない。売上の約8割を占める製造生産系では、技能のある人を育てて工場へ配置する仕事は10年後も必要だ。一方、単純な組立工程は自動化され、人数の伸びがそのまま成長になる時代は終わりつつある。
2026年3月期は売上が増えても営業利益が減った。製造・エンジニア部門で単価を上げられた一方、採用と教育、買収後の運営費が利益を削ったためである。翌期第1四半期には技術者の単価と人数が改善したが、これは長年続く堀の証明にはならない。製造現場の派遣はAIエージェントに直ちには置き換わらない。しかし事務BPOや製造系システムの受託は、顧客がAIを使って仕事自体を減らしうる。
10年後の中立では、工場の稼働人数は少し減り、設備保全の技術者は増える。人手の値段は上がっても、薄い利益率が大きく変わるとは考えない。現在の純現金も給与の支払いに要るため、すべてを株主に返せる資産とは扱わない。配当と優待を含む10年間の取り分を見込むと、確率加重した価値は現在の時価総額を1割台半ば上回る。ただし工場の無人化、のれんの減損、教育投資の空振りが重なれば、その差は簡単に消える。
バリュー投資の観点から
長く保有する株主なら、まず「10年後に客がこの会社を必要とするか」を確かめる。工場が高度化しても機械を調整し、品質を守り、トラブルに対応する人は要る。日総工産が教育し、必要な地域へ配置できる力は価値がある。一方、誰でもできる組立作業を人月で売る仕事は、顧客から見れば省力化したい費用でもある。業界の人手不足という言葉だけで、派遣人数の永続的な増加を約束してはならない。
本当の堀は、顧客が競争入札をやめてでも継続を選ぶ理由に現れる。教育施設や請負ノウハウは差別化になるが、製造派遣で全国的に独占的なシェアも、長期解約率が極端に低い証拠もない。単価上昇が賃金と採用費の上昇を上回り、営業利益率を押し上げるまでは、利益の質を高く評価できない。純現金は心強いが、未払給与、賞与、施設運営費を支払うための資金でもあり、全額を事業と切り離すこともできない。
次に問うのは、留保した利益を何に使うかである。技術者を育てて高い料金で継続配置できれば再投資利回りは資本コストを超える。逆に買収先の顧客や技能が定着せず、のれんだけ残れば、一見成長してもオーナー利益は小さくなる。配当と優待を続け、不要な現金を積み上げ過ぎない姿勢は望ましい。今の時価総額にはいくらかの安全域があると判断するが、幅は小さい。将来の事業予測に確信を持ちすぎない株主にとって、買収成果と現場の実質人数を見続けることが欠かせない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は製造生産系人材サービスである。日総工産、Man to Man、ベクトル伸和が自動車・半導体・電子部品メーカー向けに派遣と工程請負を営み、2026年3月期には約864億円を売り上げた。顧客へ請求する金額は、働く人の数と稼働時間、それぞれの技能に応じた月額単価で決まる。工場の生産が止まれば請求時間が減り、定着率が落ちれば採用や教育の費用が増える。請負でも現場責任者の配置と人員管理が必要で、売上が増えても利益が残りにくい。
エンジニア系は約131億円で、半導体製造装置の保全や生産技術に関わる人材が多い。2027年3月期第1四半期には在籍2,323名、月間一人当たり売上53.6万円となり、前年から数量と単価がともに上昇した。技能が増えれば同じ派遣人数でもより高い金額を請求でき、ここに全社の利益率を改善する可能性がある。もっとも設計・プログラミングの受託部分は事務仕事と同じくAIの影響を受けるため、エンジニアという名前だけで全量を成長事業とはみなさない。
残りには事務派遣・BPO、ニコン日総プライムや日総ぴゅあの人材関連サービス、日総ニフティの介護、警備、テックポートなどのシステム受託がある。介護施設の入居者は374名で入居率93.0%と高く、稼働施設を増やさなければ数量は伸びにくい。会社が開示する売上区分は5つであり、本分析ではAIの影響を分けるため、最後の「その他のサービス」だけ現場業務と開発受託に仮分解した。仮分解の売上は会社の確定した内訳ではない。
優良さと弱いところ
強みは、採った人を教育して顧客の工程へ送り出す仕組みにある。最新の製造設備を使う研修施設を持ち、熊本などの産学官連携や現場での訓練を続けてきた。2027年3月期第1四半期には、製造生産系の一人当たり月間請求額が前年より3.7%上がり、エンジニア系は7.2%上がった。単なる賃金上昇の転嫁と技能に対する上乗せを区別する必要はあるが、顧客が一定の値上げを受け入れた事実は評価できる。
ただし独占的な技術や更新不能の契約を持つわけではない。大口顧客は複数の派遣会社を比較でき、採用した人も離職する。2026年の会社資料では製造生産系の月平均離職率がおおむね3.7%、エンジニア系は約1.9%であり、継続率が極端に高いサービスとは言い難い。UTグループやワールドホールディングス、パーソルなどが工場の人材を取り合う。顧客の工程を理解しても、それだけで自由に値上げできるほどの乗り換え費用は生まれない。
資本効率は悪くないが、優秀とも言い切れない。2026年3月期のROEは下調べの定義で10%台、営業利益率は2.9%に低下した。会社開示のROICは約11%で、同社が見込む資本コストを上回るものの、買収と教育投資を含む増分の利回りが同水準を保てるかは未証明だ。人員の確保に毎年採用費が要り、買収で増えたのれんには実体のある処分価値がない。堀は狭く、経営が採用と顧客配置を着実に回すことで辛うじて保たれる性質だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
人手不足は追い風だが、人材派遣市場全体の成長をそのまま同社へ当てはめるのは危険である。日本人材派遣協会がまとめた2024年度の派遣事業売上高は約9兆9,000億円、2025年の派遣就業者は約156万人で、製造関連は約38万人だった。製造請負・製造派遣に絞ると、同業の公表資料では2024年度の市場規模は約2兆4,420億円、2027年度は約2兆5,920億円と見込まれている。NISSOの製造生産系売上はこの市場の約3.5%に当たるが、工程請負やサービス範囲の定義差があるため概算に過ぎない。国内製造派遣で先行するUTグループや、技術者に強いオープンアップグループ、ワールドホールディングスが競争相手となる。
市場の数量は、雇用人口の減少、工場ロボットによる省人化、国内半導体工場への投資という逆向きの力で決まる。今後10年の国内工場の人員需要が一様に増えるとはみない。むしろ単純作業者が減り、半導体装置の保全、品質管理、工程改善の仕事に移ると考える。今後の国内製造派遣市場の名目拡大は、多くを物価と人件費上昇による請求単価に頼る。シェアは中立で約3~4%を維持し、飛躍的に伸ばすのは楽観の時だけだ。
事務派遣とBPOは事情が違う。顧客がAIエージェントへ給与処理や報告書作成を任せれば、派遣人数や委託時間そのものが減る。受託ソフトも定型的な開発・試験・運用から代替が始まる。介護は身体への支援が残り、国内の介護費用は2025年度に約12.2兆円に達したが、国が決める介護報酬は物価並みに上がる保証がない。事業ごとに数量と価格の将来が大きく違う会社である。
資本政策と M&A
経営陣は人材教育の強化と買収による顧客基盤の取得を両輪にしている。2023年の持株会社化以降、アイズ、Man to Man関連会社、警備会社などを取り込み、2026年にはグループ内の吸収合併も進めた。9月には日総工産が仮想空間サービスを手掛けるUrthの議決権44%を取得すると発表した。事業領域は広がったが、同じ期間にのれんは約9億円から約23億円に増えた。売上の伸びに対して営業利益が落ちた現状では、買収の資本配分を成功と断じるのは早い。
2024年公表の中期経営計画は2028年3月期に売上1,500億円、営業利益75億円、営業利益率5%を目標とする。計画期間の平均ROEは20%以上、平均ROICは15%以上、財務レバレッジ2.5倍以下、配当性向30%以上も示した。しかし2026年3月期の営業利益は約32億円で、2027年3月期の会社予想も35億円であり、計画どおりの利益率改善は確認できていない。自社株買いの定額約束やDOEの数値目標はない。
実際の配当は増配が続き、2026年3月期の配当性向は44.3%、2027年3月期予想は40.1%である。300株以上の株主を対象とするポイント優待もあり、2026年3月期末の株主優待引当金約2億円を年間費用規模の目安とした。10年間の還元予想には配当に加え優待の相当額を含めた。上位10株主の持株比率は約58.6%で、議決権に強い影響力を持つNSホールディングスの保有は約41%だが、これだけで余剰現金が半分しか戻らないとは決めない。還元の実績に照らし、将来の余剰現金の価値には75%を反映する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
製造業で人が不足するのは、単なる一時的な景気循環ではない。少子高齢化で採用が難しくなり、顧客は自社だけで工場の操業を維持しにくくなっている。NISSOには全国に人を集め、教え、配置する経路がある。実際に請求単価は製造系で上がり、エンジニアではそれ以上に上がった。半導体装置を扱える人材は急に量産できないため、技能の蓄積が利益の源泉になりうる。製造請負の工程が増えれば、個人を派遣するより現場管理ノウハウが効き、競争を少し避けられる。
Man to Manなどの買収も、既存営業網へ新しい職種や顧客を乗せられれば、人員獲得にかかる費用を下げられる。介護・警備は規模こそ小さいが、景気に左右されにくい現場の需要を支える。AIエージェントの普及で事務管理費を節約できる可能性はあるものの、それを根拠に新たな売上を先取りする必要はない。技能の高い人を継続配置できるだけで、現在の薄い利益率が改善し、株主に配分できる現金は増える。
慎重な見方
顧客から見れば派遣会社へ支払う料金は変動費であり、増やすより減らしたい費用だ。製造生産系は売上の約8割に達し、特定の自動車・電子部品の生産動向に経営が左右される。単価の引き上げが確認できても、同時に採用費、賃金、寮や研修施設の維持費が増えれば利益は膨らまない。2026年3月期が増収減益だったことは、まさにその難しさを示す。中期計画の利益率5%は会社の希望であって実績ではない。
AIエージェントが事務や受託開発を減らす一方、工場ではロボットや遠隔監視が人手を削る。後者は現場業務だからAIから安全という意味ではない。派遣労働者の離職も続き、教育の投資が必ず顧客の値上げに結び付くとは限らない。大型買収で増えたのれんは工場の設備のようには売れず、期待した相乗効果が不発なら減損が必要になる。純現金を余剰資金だとみて事業価値に全額加えれば、賃金支払いや取得済み事業の運転資金を二重計上してしまう。
どちらに重みを置いたか
現場で必要な技能は残るため、会社全体がAIエージェントで置き換わるという見方には賛成しない。ただし収益の大半は競争の激しい製造派遣に依存し、利益率は計画を下回っている。将来価値は現在の時価総額を1割台半ば上回るが、本物の強い堀として高く評価できる段階ではない。確率は上側25%に対し下側40%と慎重に寄せた。これはAIの減少を確率で二重に引いたのではなく、買収成果が未確定で、顧客の自動化と景気循環が重なる可能性を重視したためだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,213 円409 億円(+ 還元の換算額還元の合計 312 円105 億円)。 今の値に割り戻すと 774 円261 億円、今との差 +22.9%、 期待の年率 +10.6%(資本コスト 8.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,888 円974 億円 | 593 円200 億円 | +452.6% | +21.6% | 278 円94 億円 |
| やや楽観 | 17% | 2,075 円700 億円 | 460 円155 億円 | +302.3% | +17.2% | 431 円145 億円 |
| 中立 | 35% | 1,232 円416 億円 | 344 円116 億円 | +150.1% | +11.2% | 552 円186 億円 |
| やや悲観 | 26% | 561 円189 億円 | 222 円75 億円 | +24.4% | +2.6% | 204 円69 億円 |
| 悲観 | 14% | 371 円125 億円 | 59 円20 億円 | −31.8% | −4.0% | 60 円20 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,213 円409 億円 | 312 円105 億円 | +142.0% | +10.6% | 1,525 円514 億円 |
今の株価時価総額 630 円213 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 高技能化で利益率が一段上がる 利益 64 億円 · PER 14.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,888 円974 億円
人材の不足が技能の不足へ変わり、同社の教育設備が収益力の差となる。半導体メーカーの新工場だけでなく、設備保全や電池工程で熟練のある派遣社員を増やし、製造生産系は約1万8,500人、エンジニア系は3,850人の通年換算稼働を確保する。採用後の配属待ちを短縮し、現場監督や品質保証を含む請負範囲を広げて値上げを維持する。生産設備の保全は人の判断と実作業を要するため、デスクワークを置き換えるAIエージェントは直ちに代替できない。
一方、事務と開発受託はAIによって工数が増えず、最大限好調でも稼働換算人数は現在以下に抑える。Man to Manやアイズの統合で案件紹介と教育ノウハウを共有でき、買収後の利益率が改善する。自動車の投資サイクルに山谷は残るが、製造現場の粗利が持続的に改善し、本社管理費と優待コストを吸収できる。高い再投資利回りを長期にわたって実現した場合に限る筋だ。
- 製造生産系人材サービス:数量 18,500(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 65(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 1,443 億円・営業利益 72 億円。現場人員増と高技能化の単価改善、営業利益率5.0%
- エンジニア系人材サービス:数量 3,850(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 79(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 365 億円・営業利益 33 億円。保全技術者の増員と高単価業務、営業利益率9.0%
- 事務派遣・BPO:数量 480(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 43(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 25 億円・営業利益 0 億円。AIで案件工数は増えない、微益
- その他の人材サービス:数量 1,400(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 53(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 89 億円・営業利益 4 億円。現場の物流受託・紹介を拡大
- 介護・福祉・警備等の現場サービス(推計):数量 1,020(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 42(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 51 億円・営業利益 3 億円。介護・警備は配置増、介護報酬は規制下
- 製造系システム開発受託(推計):数量 45.0(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 72(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替があるため人数は増やさない
倍率:資本コスト8.0%、弱い堀で超過利回りの残存割合は1/3、2036年以降の名目g=2.5%。その時点の事業ROE 21.0%、増分RONIC 12.3%から上限PER=14.49倍。現金由来の税後利息は累積余剰100億円の1.4%を純利益から外し、事業純利益×14.48倍に余剰現金×戻り方0.75を足した。
確率:8%。自動車工場と半導体設備の両方で人材が増え、教育投資が値上げ・粗利益率に結び付く必要がある。2026年の単価改善は根拠だが、全社の5%超利益率定着には複数年の実績がない。
やや楽観 17% 半導体・保全人材の比率が高まる 利益 46 億円 · PER 14.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,075 円700 億円
2027年に表れた半導体関連の需要が一過性で終わらず、工場の新設と装置更新に合わせてエンジニアが増える。製造生産系の通年換算人数も約1万7,300人に増え、足元で確認できる請求単価の引き上げを続ける。エンジニアの月額単価は装置保全の技能や夜間対応を反映し、採用と教育への支出を上回る粗利益が得られるようになる。
M&Aは主として既存顧客を持つ中小派遣会社の取得にとどまり、のれんの再膨張を防ぐ。介護・警備は利用者・配置人数を緩やかに増やすが、価格は制度と入札に縛られる。事務BPOと製造系ソフト受託はAIによる工数圧縮を織り込み、増えた利益のほとんどは製造現場と保全技術者から生まれる。顧客から見た高い品質と定着率が単価を支えるなら、薄利体質は部分的に克服できる。
- 製造生産系人材サービス:数量 17,300(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 63(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 1,308 億円・営業利益 55 億円。受託工程拡大、営業利益率4.2%
- エンジニア系人材サービス:数量 3,400(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 76(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 310 億円・営業利益 23 億円。半導体保全への高技能化、7.5%
- 事務派遣・BPO:数量 410(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 41(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 20 億円・営業利益 0 億円。AIのため人数は現状以下
- その他の人材サービス:数量 1,250(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 51(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 77 億円・営業利益 3 億円。現場案件が中心で紹介事務は縮む
- 介護・福祉・警備等の現場サービス(推計):数量 950(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 40(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 46 億円・営業利益 2 億円。既存施設で小幅拡大、利益率4%
- 製造系システム開発受託(推計):数量 38.0(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 69(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人月の縮小を織り込む
倍率:資本コスト8.0%、弱い堀で超過利回りの残存割合は1/3、2036年以降の名目g=2.5%。その時点の事業ROE 17.0%、増分RONIC 11.0%から上限PER=14.05倍。現金由来の税後利息は累積余剰90億円の1.4%を純利益から外し、事業純利益×14.04倍に余剰現金×戻り方0.75を足した。
確率:17%。2027/03第1四半期にエンジニア在籍と月間請求額がともに増えた。ただし大きな市場シェア拡大はM&Aや現場管理能力の追加成功を要し、この程度の重みが上限と考える。
中立 35% 現場派遣は残り、薄利を少し改善する 利益 28 億円 · PER 13.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,232 円416 億円
10年後も工場は人を雇うが、単純作業に必要な人数は今より少ない。製造生産系は実質稼働人数を約1万5,100人まで減らす一方、月当たりの請求額は技能と賃金の上昇を映して60万円となる。2026年に事業の主力を占めていた自動車の比重は徐々に低下し、半導体装置の保守と電子部品工程が補う。エンジニア系は設備保全を軸に約2,950人へ拡大するが、その多くは顧客の工場で働く現場型の技能者だ。
事務BPOはAIエージェント代替で稼働換算人数が現在の約7割となり、ソフト受託も約7割に縮む。そこに物価3%の全額は転嫁できない。介護は入居率がすでに高く、警備を合わせても仕事量はほぼ横ばいとする。教育、採用、介護施設維持などの負担で会社の利益率は中計目標に達しないが、適度な値上げで現状よりは改善する。買収による急成長も巨額の毀損も基本線に織り込まない。
- 製造生産系人材サービス:数量 15,100(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 60(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 1,087 億円・営業利益 34 億円。現場人数は96%・月額単価は1.31倍、営業利益率3.1%
- エンジニア系人材サービス:数量 2,950(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 70(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 248 億円・営業利益 16 億円。現場技能者数1.38倍・単価1.38倍、6.3%
- 事務派遣・BPO:数量 340(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 40(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:人数0.68倍・単価1.14倍
- その他の人材サービス:数量 1,150(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 49(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 68 億円・営業利益 2 億円。混在型:現場7割、事務や紹介3割と推計
- 介護・福祉・警備等の現場サービス(推計):数量 840(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 39(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 39 億円・営業利益 1 億円。施設は高稼働で数量伸長乏しく、報酬単価はCPI未満
- 製造系システム開発受託(推計):数量 31.0(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 65(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:人月0.69倍、単価1.17倍
倍率:資本コスト8.0%、弱い堀で超過利回りの残存割合は1/3、2036年以降の名目g=2.5%。その時点の事業ROE 11.8%、増分RONIC 9.3%から上限PER=13.29倍。現金由来の税後利息は累積余剰75億円の1.4%を純利益から外し、事業純利益×13.28倍に余剰現金×戻り方0.75を足した。
確率:35%。2026/03は増収でも営業減益で、研修と採用の固定費を負担していた。人手不足による価格転嫁は続くが、現場の自動化と採用難が数量を相殺する筋を中心とした。
やや悲観 26% 生産自動化と単価競争が重なる 利益 15 億円 · PER 11.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 561 円189 億円
完成車工場の自動化が進み、特定メーカーの生産ラインが海外に移る。Man to Manを含む人員供給の規模は大きくても、仕事量が減れば日々の請求時間は減る。製造生産系は通年換算で約1万2,000人に減り、賃金の上昇を価格へ十分に移せなくなる。半導体関連の工程も設備投資の一巡で保守要員の採用が鈍り、エンジニアの在籍は現在と大差ない。
事務派遣とBPOではAIエージェントが顧客の事務処理を直接担う。オフィス系の数量を約6割、システム開発の人月を約5割に落とし、価格も一般物価ほど上げられない。製造請負の現場責任者と教育拠点の維持費を急には減らせず、利益率の改善が失われる。資産を売るほどの窮状ではないが、純利益が薄く、株主還元も縮小する。
- 製造生産系人材サービス:数量 12,000(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 55(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 792 億円・営業利益 22 億円。ロボット・工場移転で実質人数0.76倍
- エンジニア系人材サービス:数量 2,200(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 63(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 166 億円・営業利益 8 億円。設備投資鈍化で人員横ばい
- 事務派遣・BPO:数量 290(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 36(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。AIで人月0.58倍・価格1.03倍
- その他の人材サービス:数量 950(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 43(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 49 億円・営業利益 0 億円。現場縮小と紹介事務の代替
- 介護・福祉・警備等の現場サービス(推計):数量 720(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 36(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 31 億円・営業利益 0 億円。規制料金と採用難で低採算
- 製造系システム開発受託(推計):数量 21.0(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 57(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIで人月0.47倍、受託単価も鈍い
倍率:ROEが資本コスト8.0%を下回るため利益の伸びを評価せず、稼ぐ力の上限1/k=12.5倍以下の11.0倍。事業純利益から余剰現金50億円の利息0.7億円を引き、現金の戻り方75%を別に加算した。
確率:26%。下に寄せる理由:売上の約78%が製造生産系で、完成車生産の停滞、顧客内製化、工場の人員省力化が同時に効く。中計利益率5%の達成はすでに初年度に遅れが出た。
悲観 14% 現場人員の恒常的削減と買収減損 利益 −7 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 371 円125 億円
自動車・電子部品の国内工場で無人化と海外移管が重なり、派遣人員の再配置が追い付かなくなる。製造生産系の通年換算人数は約8,700人となり、価格を引き上げても稼働の減少を埋められない。半導体装置の保全も遠隔監視と顧客内製化が広がり、エンジニア事業の案件が減る。事務BPOと受託ソフトの大半はAIエージェントや顧客の内製ツールに置き換わり、会社は手掛ける工数そのものを失う。
買収した事業の売上と利益が予定に届かず、のれんや顧客関連無形資産を減損する。介護・警備でも介護報酬・最低賃金・採用難に挟まれ、売上総利益を守れない。生産設備を自社で大量保有していなくても、人を雇い続ける固定費と過去の買収負担は残り、10年末の営業損益は赤字となる。資産価値が事業価値を下支えするが、経営が換金を実行する保証はない。
- 製造生産系人材サービス:数量 8,700(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 50(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 522 億円・営業利益 2 億円。国内生産減と工程無人化、営業利益率0.3%
- エンジニア系人材サービス:数量 1,400(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 58(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 97 億円・営業利益 1 億円。顧客内製と遠隔監視、営業利益率1.5%
- 事務派遣・BPO:数量 215(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 32(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で人月0.43倍
- その他の人材サービス:数量 700(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 40(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 34 億円・営業利益 0 億円。紹介の中抜きと現場派遣減
- 介護・福祉・警備等の現場サービス(推計):数量 620(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 33(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 25 億円・営業利益 −1 億円。介護の人件費負担・警備入札
- 製造系システム開発受託(推計):数量 12.0(年間平均の有償稼働・契約人数換算(人))× 価格 53(1人当たり月間請求・売上単価(万円/月))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェントが設計・運用を代替
倍率:2036年は営業赤字でPERが使えない。2026/03現在の自己資本183.8億円に対して換金可能資産を慎重に測り直した床125億円を採用し、PBRは125÷183.8=0.6801倍。2036年の自己資本125億円を分母にせず、過去の市場PBRにも依拠しない。
確率:14%。下に寄せる理由:M&Aに伴ってのれんが膨らみ、事務・ソフト受託にAIエージェント代替がある。工場ではAIエージェントではなくロボット・無人化が人員を減らす可能性もあり、両者の構造的悪化が重なる尾を残した。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
製造生産系人材サービス
自動車・半導体・電子部品工場に人員を派遣し、工程の一部を請け負う。日総工産、Man to Man、ベクトル伸和などが担う。
| 数量年間平均の有償稼働・契約人数換算(人) | 価格1人当たり月間請求・売上単価(万円/月) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 15,700 | 46 | 864 | 26 |
| 10 年後 中立 | 15,100 | 60 | 1,087 | 34 |
取り方:2026/03会社説明資料の製造生産系売上863.74億円と、2026/03末在籍15,902名、月間一人当たり請求額の四半期推移44.9万~46.3万円を基礎に、年度平均稼働約15,700名×45.846万円/月×12か月と推計。年度平均人数は公表の期末在籍数そのものではない。製造請負も人員換算に含める。売上総利益率は約17%、営業利益は共通費を配賦した筆者推計。
エンジニア系人材サービス
半導体製造装置の保全・生産技術・装置立ち上げを中心に、技能を育てた技術者を派遣する。設計・情報系も一部混ざる。
| 数量年間平均の有償稼働・契約人数換算(人) | 価格1人当たり月間請求・売上単価(万円/月) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,138 | 51 | 131 | 7 |
| 10 年後 中立 | 2,950 | 70 | 248 | 16 |
取り方:2026/03会社説明資料で売上130.58億円、期末在籍2,248名、月間売上50.0万~51.4万円。年度の平均換算2,138名×50.897万円/月×12か月とした。2027/03第1四半期は期末在籍2,323名・月間53.6万円と単価実績が改善した。営業利益は製造系との共通費を配賦した推計。
事務派遣・BPO
日総ブレインを中心とする一般事務の派遣、受託事務、BPO。工数や稼働人数に料金が連動する。
| 数量年間平均の有償稼働・契約人数換算(人) | 価格1人当たり月間請求・売上単価(万円/月) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 500 | 35 | 21 | 0 |
| 10 年後 中立 | 340 | 40 | 16 | 0 |
取り方:2026/03会社説明資料の事務系売上21.06億円を採用。就業人数の独立開示が見つからないため、全国の事務派遣単価と整合する月35.1万円を仮定して年間500名相当を逆算。実人数ではなく稼働換算。AIエージェント代替の人月・BPO型で中立の数量を減らす。
その他の人材サービス
ニコン日総プライム、日総ぴゅあ、Man to Man関連の現場派遣・紹介・物流受託等。現場就労が主だが紹介・受託管理には事務的な仕事もある。
| 数量年間平均の有償稼働・契約人数換算(人) | 価格1人当たり月間請求・売上単価(万円/月) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,300 | 40 | 62 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,150 | 49 | 68 | 2 |
取り方:2026/03会社説明資料で「その他の人材」62.26億円。ニコン日総プライム等の現場紹介・人材派遣に基づき月39.91万円×通年約1,300名の派遣・紹介換算とした推計。職種別実人数の非開示により精度が低い。現場型約7割・紹介や事務関連約3割という仮定で、中立数量は縮小を組み込む。
介護・福祉・警備等の現場サービス(推計)
日総ニフティの介護施設・在宅介護とオールジヤパンガードの警備等。顧客との現場での対応が価値の中心。
| 数量年間平均の有償稼働・契約人数換算(人) | 価格1人当たり月間請求・売上単価(万円/月) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 850 | 33 | 34 | 1 |
| 10 年後 中立 | 840 | 39 | 39 | 1 |
取り方:2026/03会社説明資料ではその他のサービス合計36.64億円のみを開示。2025/03は30.86億円、2026/03に警備とシステム受託を連結。筆者は内訳の大半33.64億円を介護・警備の現場と暫定推計し、通年稼働約850人×月約32.98万円で換算した。実際に開示された介護施設入居者は374名、入居率93.0%であり、850人は入居者数ではなく警備を含む売上換算人員である。
製造系システム開発受託(推計)
テックポート等の製造系システム開発受託。工数による販売に当たる部分を分離し、AIによる生産性向上と価格下落を反映する。
| 数量年間平均の有償稼働・契約人数換算(人) | 価格1人当たり月間請求・売上単価(万円/月) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 45.0 | 56 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 31.0 | 65 | 2 | 0 |
取り方:その他のサービス36.64億円のうちシステム開発受託部分を暫定3.0億円(同区分の約8%)と仮定し、45人×月55.56万円×12か月で換算。会社はテックポート単独の売上・工数を分けていない。アイズ単体の17.23億円は製造・FAを含みテックポート単独売上ではないため転用しない。3.0億円の区分は確定値ではなく感応度試算。人月工数型としてAIエージェント代替を適用する。
リスクと懸念
AIエージェント代替と人月契約
事務派遣・BPOおよび製造系システム開発受託は、顧客がAIエージェントで入力、照合、報告書作成、コードの定型作業を内製化すれば、派遣人数や受託工数が減る。中立では事務の数量を現在の0.68倍、開発受託を約0.69倍に落とし、価格上昇も物価3%を下回らせた。現場系と同じ成長率を当てはめるべきではない。
工場の省人化・生産海外移管
売上の約78%を占める製造生産系は、AIエージェントではなく産業ロボット、遠隔監視、工程の無人化、生産拠点の海外移管によって縮小する。完成車メーカーの国内稼働や半導体設備投資の反動で人数と請求時間が同時に減ると、給与・採用・寮費などの固定的な負担が利益を圧迫する。
買収・のれんの減損
Man to Manを含む買収と事業再編によって売上の連結範囲が広がったが、のれんは2026年3月期末に約23億円ある。期待した顧客の共有、技能者の育成、管理費の統合が進まなければ、増分ROICは資本コストを下回り得る。悲観ではのれんと顧客関連資産に換金価値を与えない。
採用難・賃金上昇・高い離職
月次離職率は製造生産系で約3.7%、エンジニア系で約1.9%であり、従業員を確保し続ける費用がかかる。2026年3月期には売上が増えても営業利益が減った。会社が請求単価を上げても賃金と教育費がそれ以上に増えれば、増収はオーナー利益を増やさない。
使える現金と財務の見かけの厚さ
純有利子負債は約マイナス49億円だが、2026年3月期末の現金は約59億円、未払費用は約75億円、賞与引当金は約17億円ある。給与支払いの期ずれを無視して現金をすべて余剰資金とみなすのは危険だ。介護施設・営業所の家賃も固定的な約束であり、2028年以降の新リース基準でBSの表示は変わる。
介護報酬・派遣法・職場の安全
介護の価格は国の報酬改定の影響を受け、最低賃金と採用費だけが先に上昇する危険がある。派遣・請負の適法な区分、労働者派遣法上の管理、労働災害や不適切な請負が問題になれば許可と顧客の信頼を失う。現場を請け負うほど責任も増えるため、利益率の上昇をそのまま維持できるとは限らない。
今後の分かれ目
- 製造生産系の一人当たり月間請求額の伸びが賃金・採用費の伸びを2年連続で上回り、粗利率が改善したら
- 中立の現場部門利益率を上げる。数量が伸びなくても価格の実質上昇が株主利益につながる証拠となる。
- エンジニア系の在籍が3,000名を超え、離職率が約2%を下回って安定したら
- 中立からやや楽観へ重みを移す。半導体装置保全で育成投資の回収が始まったと評価できる。
- 2028年3月期の営業利益が中計の75億円を大きく下回ったら
- 中立の利益率を引き下げ、増分ROICを再点検する。売上1,500億円の未達だけでなく採用・M&A資金の使い方を調べる。
- 事務BPOやシステム受託の請求工数がAIエージェント導入で急減したら
- 該当部分の数量を悲観側へ近づけ、契約を成果報酬へ変更し実際に売上が発生した場合だけ上方修正する。
- 製造生産系の通年換算稼働が1万2,000人を割り、主力工場の自動化が進んだら
- やや悲観の確率を上げる。単価の上昇が人数減と固定費を補えているかを先に見る。
- 買収関連ののれんに大きな減損が発生するか、株式発行による買収が繰り返されたら
- 買収成果と既存株主の取り分を見直し、純資産と悲観時の売却可能資産を引き下げる。
- 余剰資金による自社株買いが実施され、発行済み自己株控除後株数が5%以上減ったら
- 将来現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ改善する根拠となる。ただし買い戻した時の本質価値との関係も検証する。
見ておくもの
- 製造生産系の四半期末在籍人数・月間一人当たり売上高・稼働率・月平均離職率
- エンジニア系の四半期末在籍人数・一人当たり月額単価・売上総利益率
- 主要自動車工場の国内生産・半導体工場の設備保全要員の需要
- 中計2028年3月期の売上1,500億円・営業利益75億円・営業利益率5%との乖離
- 連結ROICと会社試算WACCの差・買収のれん23億円の推移
- 事務BPO・開発受託のAIエージェント代替に伴う工数・単価の動き
- 純現金・未払給与・賞与引当金・優待引当金・配当性向
- 国内製造請負・派遣市場での売上シェアと大手競合の採用動向
倍率と資本コストの決め方
現時点の株価や同業PERから10年後の利益を逆算していない。2026/03の5区分売上と2027/03第1四半期の人数・請求単価を起点とし、その他のサービスの開発受託だけ推計分解した。製造の数量は実際の人、価格は月額の名目請求額とし、物価3%を人数に混ぜていない。営業利益は各区分の利益の推計に本社費を加減し、法人税・金融収支後の利益へつないだ。
長期gは2.5%、資本コスト8%、弱い堀として増分超過利回りの残存を3分の1とし、楽観~中立は事業ROEから出した正当化PERの上限近傍とした。期間中に生じる余剰現金は事業ROEの分母から外し、その利息と元本を二重計上していない。悲観は今の純資産から換金不能資産を除いた床で測り、現在や過去のPBRには依存しない。新リース会計で見かけの負債・営業利益が変わっても、家賃を費用とした比較可能な稼ぐ力を基準にする。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に事業品質+0.5%。会社固有の買収・顧客集中リスクは数量・営業利益率・確率に入れ、kに別の上乗せをしない。