結論
ウチヤマホールディングスは、北九州を地盤に介護付き有料老人ホームを全国で営み、カラオケ店「コロッケ倶楽部」も持つ会社だ。筆者の結論は「需要は伸びるのに株主の取り分が育たない会社で、今の値段は割高」である。
介護の事業は売上の 8 割を占め、2026 年 3 月期に 18 億円の利益を出した。施設の入居率は 94% 近くで安定している。ところが全社の営業利益は 5.5 億円しか残らない。本社の費用が 12 億円ほどかかり、カラオケは赤字すれすれだからだ。
時価総額 71 億円は、自己資本 143 億円の半分にすぎない。安く見えるが、ROE は過去 10 年の中央値で 1% 余りだ。稼がない資本に、帳簿どおりの価値はない。施設の多くは借りて営み、家賃は売上が落ちても減らない。
10 年後の価値を今に引き直すと、確率で重みづけた値は今の時価総額を 4 割以上下回る。
見方を変えるのは、本社の費用が軽くなるか、カラオケを手放すなど、介護の利益がそのまま株主に届く形に変わった時だ。今はその兆しがまだ見えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ウチヤマは「需要は約束されているのに、株主が報われない会社」だ。
高齢者の住まいは、10 年後も必ず要る。入居率も高い。事業がなくなる心配は小さい。ここまでは長く持てそうに見える。
だが、オーナーとして受け取れる利益が細い。介護の現場が稼いだ利益の多くを、本社の費用とカラオケが食う。自己資本は 143 億円あっても、そこから生まれる純利益は 3 億円前後だ。稼がない資本は、帳簿の半分の値段でも高い。
家賃の約束も重い。施設を借りて営む以上、入居や報酬が崩れても家賃は払い続ける。借金が少なく見えても、実際の固定の負担は大きい。
筆者は、PBR 0.5 倍という数字に安全域はないと見る。事業の構造が変わり、本社の費用が薄まるか、カラオケを手放すまで、値段の安さは罠に近い。
何で稼ぐ会社か
柱は介護だ。子会社のさわやか倶楽部が、介護付きと住宅型の有料老人ホームを中心に、116 の拠点で 195 の事業所を営む。デイサービス、訪問介護、障がい児の通所支援も手がける。2026 年 3 月期の介護の売上は 245 億円、利益は 18 億円だった。
稼ぎ方は、入居者からの家賃・食費と、介護保険から入る介護報酬の組み合わせだ。介護報酬の値段は国が 3 年ごとに決め、会社が自分で上げることはできない。入居率を高く保ち、職員の配置を効率よく回すことで利益を出す。
カラオケは 64 店の「コロッケ倶楽部」で、売上は 41 億円。飲み物や食べ物の持ち込みを認めて客を増やしたが、利益はほぼゼロだ。ほかに居酒屋 9 店、賃貸ビルなどの不動産、外国人材の職業訓練がある。
施設は自前で建てるものもあるが、多くは家主が建てた建物を 30 年ほどの契約で借りる。毎年の家賃は固定の約束で、入居が減っても下がらない。
地盤は九州だが、関東・関西・中部にも施設を持ち、全国に広がる。インドネシアに子会社を置き、現地で介護の職業訓練をして日本の施設に人を送る仕組みも作っている。人手の確保を自前で進める狙いだ。
優良さと弱いところ
堀は浅いと見る。介護付きの有料老人ホームは、自治体の公募でしか新しく建てられない。この総量規制は既存の施設を守る壁になる。ただ、医療法人や社会福祉法人も同じ公募を争い、入居者は近くの施設を比べて選ぶ。値段も国が決める。
利益率は低い。介護の事業の利益率は 7% 台あるが、本社の費用とカラオケを含めると、全社では 2% に満たない。最良だった 2015 年 3 月期でも 6% だった。人件費は物価とともに上がり、介護報酬の改定は後から追う。
資本の使い方にも課題がある。カラオケは何年も赤字と黒字の境目を行き来し、介護とのつながりも薄い。それでも店を閉めきらず、賃貸不動産の取得にも資金を回す。内山家の 2 人で株の約半分を持ち、外から方針を変えさせる力は弱い。
まとめると、施設の場所と規制が少しの守りになるが、値段も費用も自分で決めにくい事業だ。稼いだ利益を高い率で再投資できる型ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
介護の需要は確実に伸びる。85 歳以上の人口は 2030 年代半ばまで増え続け、65 歳以上は 2042 年に約 3,950 万人でピークを迎えるとされる。要介護の人が住む場所の需要は、少なくとも 15 年は細らない。
それでも業界は楽ではない。最大の壁は人だ。介護職員の給料は他の業種より低く、採用は年々難しくなる。会社はインドネシアなどから外国人材を受け入れ、介護ロボットや記録の電子化で職員の負担を減らそうとしている。人件費は物価並み以上に上がり、介護報酬がそれに追いつくかが利益を決める。
競争相手は、SOMPOケアやベネッセスタイルケアのような大手、チャーム・ケア・コーポレーションのような都市部の高級路線、そして地域の医療法人や社会福祉法人だ。大手は規模で本社の費用を薄め、高級路線は値段で利益を取る。地方の中堅は、その間で利益率が低くなりやすい。
カラオケの市場は縮んでいる。参加人口は長く減り、コロナで店が減ったあと、客は戻りきっていない。第一興商のビッグエコーなど大手の値下げにも押される。
資本政策と M&A
還元は配当で、総額は年 約 2 億円、配当利回りは 3% に近い。安定配当を掲げ、利益が少ない年も配当を保ってきた。自己株買いはほぼしていない。株主優待は 900 株以上の株主にポイントを贈る形で、費用は年 1 億円に届かないとみて還元の計算には足していない。
借入は 125 億円ほどあり、手元の現金 105 億円を引いた純負債は 21 億円だ。ほかに投資有価証券を 15 億円ほど持つ。施設の家賃の約束は帳簿の借金より大きく、2028 年 3 月期からの新しいリース会計で表に出てくる。
大株主は内山家の 2 人で約 49%、カラオケの機器を供給する第一興商も 2.6% を持つ。外からの買収は起きにくく、資本の使い方は経営に任される。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
需要の伸びは確実だ。85 歳以上の人口は 2030 年代半ばまで増え、介護付きホームは総量規制で新しく建てにくい。既存の施設を持つ会社の値打ちは上がる。入居率は 93.9% と前の年より上がった。会社は年 200 床の開設を掲げ、埼玉など首都圏にも施設を広げている。
利益は底を打った。2021〜2023 年の赤字はコロナのカラオケが原因で、2026 年 3 月期は営業利益が 2.6 倍に増えた。カラオケは店を絞り、赤字がほぼ消えた。介護報酬の改定で人件費の上昇が報われれば、介護の利益率は 9% に届く。
そして値段は自己資本の半分だ。介護の事業だけで年 18 億円の利益を生む。本社の費用を削り、カラオケを売るだけで、会社の利益は何倍にもなりうる。投資有価証券や賃貸ビルの価値も、時価総額の一部を支える。
大株主の内山家は配当を減らさずに守ってきた。介護の施設は一度入居すると長く住む人が多く、売上は景気に左右されにくい。この安定に対して、今の値段は低すぎるという見方になる。
慎重な見方
介護の利益は本社とカラオケに食われ続けてきた。全社の営業利益率は 10 年で 6% から 2% 未満に落ちた。本社の費用は 12 億円あり、物価とともに増える。カラオケは市場が縮み、店を閉めても赤字と黒字の間を行き来する。
介護も楽ではない。人件費は物価並み以上に上がるが、介護報酬は国が 3 年ごとに決め、後から追うだけだ。職員を集められなければ、施設を開けても入居者を受け入れられない。総量規制は、新しい施設を建てたい会社にとっても壁になる。
家賃の約束は重い。施設を 30 年ほどの契約で借りており、入居や報酬が崩れても家賃は減らない。借金の 125 億円に、帳簿の外の家賃の約束が重なる。
そして資本は稼がない。ROE の中央値は 10 年で 1% 余り。PBR 0.5 倍でも、稼がない資本には高い。
利益が戻ったという 2026/03 期も、純利益は 3 億円にとどまり、減損や評価損が毎年のように出る。施設を増やすほど借入と家賃が積み上がり、金利が上がれば利払いも重くなる。安定した売上が、そのまま安定した株主の利益にはならない。
どちらに重みを置いたか
需要が伸びることは両者とも認める。分かれるのは、その需要が株主の利益になるかだ。10 年の実績は慎重な見方を支えており、悲観側を楽観側より厚く置いた。
本社の費用が売上の 4% を切る、カラオケを売却する、といった構造の変化が見えれば楽観側を厚くする。介護報酬の改定が人件費に負ければ、悲観側をさらに厚くする。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 341 円66 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 107 円21 億円)。 今の値に割り戻すと 226 円44 億円、今との差 −38.0%、 期待の年率 +2.1%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 842 円164 億円 | 154 円30 億円 | +173.1% | +10.6% | 80 円15 億円 |
| やや楽観 | 20% | 543 円105 億円 | 129 円25 億円 | +84.0% | +6.3% | 134 円26 億円 |
| 中立 | 40% | 312 円61 億円 | 108 円21 億円 | +15.1% | +1.4% | 168 円33 億円 |
| やや悲観 | 22% | 144 円28 億円 | 93 円18 億円 | −35.1% | −4.2% | 52 円10 億円 |
| 悲観 | 10% | 89 円17 億円 | 51 円10 億円 | −61.6% | −9.1% | 14 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 341 円66 億円 | 107 円21 億円 | +22.8% | +2.1% | 448 円87 億円 |
今の株価時価総額 365 円71 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:介護報酬が人件費に追いつき、施設も増える。全社の利益率は 5% 台へ 利益 14 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 842 円164 億円
介護報酬の改定が人件費の上昇に追いつき、介護の利益率は 9% に乗る。年 200 床の開設が進み、入居者は 3 割近く増える。首都圏の新しい施設も埋まる。
カラオケは店を絞って黒字が定着する。本社の費用は物価ほどには増えず、売上に対する重さが下がる。
営業利益は 25 億円、利益率は 5% を超える。配当は増え、10 年で 30 億円を払う。
それでも ROE は 7% 弱で、資本コストには届かない。施設を増やすための資本が要り、利益の多くは再び施設に回る。株主にとっては、利益が増えても資本の効率は大きくは良くならない筋だ。
- 介護(有料老人ホームほか):数量 8.8(入居者・利用者の数(千人換算・推定))× 価格 480(1 人あたりの年間の売上(万円。家賃・食費・介護報酬))→ 売上 422 億円・営業利益 38 億円。人数 1.29 倍・単価 1.33 倍
- カラオケ(コロッケ倶楽部):数量 260(来店客数(万人・推定))× 価格 0.21(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 53 億円・営業利益 2 億円。客数 0.95 倍・単価 1.37 倍
- 飲食・不動産・その他:数量 1.0(事業の数(一式))× 価格 15(一式あたりの売上(億円))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。一式
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 164 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:全社の利益率 5% 台は 2015/03 期以来で、10 年近く届いていない。介護報酬の改定と本社の費用の圧縮が両方そろう必要があり、1 割に満たない重みとした。
やや楽観 20% やや楽観:介護の利益率が 8% 近くに上がり、カラオケは黒字に 利益 9 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 543 円105 億円
高齢者の増加で入居者は 2 割強増える。介護報酬は人件費の上昇をおおむね埋め、介護の利益率は 8% 近くに上がる。
カラオケは不採算の店を閉め終え、小さな黒字を続ける。飲食と不動産も少しずつ利益を出す。
本社の費用は物価とともに増えるが、売上の伸びがそれを上回る。営業利益は 17 億円、利益率は 3% 台に戻る。
純利益は 9 億円近くになり、配当も少し増える。ROE は 5% 前後で、資本コストにはまだ届かない。
首都圏の新しい施設が埋まるまでには数年かかり、その間は開設の費用が利益を押し下げる。回復は続くが、速くはない。
- 介護(有料老人ホームほか):数量 8.4(入居者・利用者の数(千人換算・推定))× 価格 475(1 人あたりの年間の売上(万円。家賃・食費・介護報酬))→ 売上 399 億円・営業利益 31 億円。人数 1.24 倍・単価 1.32 倍
- カラオケ(コロッケ倶楽部):数量 245(来店客数(万人・推定))× 価格 0.20(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 49 億円・営業利益 1 億円。客数 0.89 倍・単価 1.33 倍
- 飲食・不動産・その他:数量 1.0(事業の数(一式))× 価格 14(一式あたりの売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。一式
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.9% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 105 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026/03 期は営業利益が 2.6 倍に戻り、カラオケの赤字もほぼ消えた。この回復が続く筋として 2 割とした。
中立 40% 中立:入居者は 2 割増えるが、本社の費用と人件費で全社の利益率は 3% に届かない 利益 5 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 312 円61 億円
高齢者の増加で、入居者は 10 年で 2 割増える。介護報酬は上がるが人件費の上昇に少し遅れ、1 人あたりの売上は物価に届かない 1.30 倍にとどまる。介護の利益率は 6.8% と今より少し下がる。
カラオケは客が減り続け、店を閉めながら小さな黒字を守る。本社の費用は物価とともに 1.3 倍に増える。
営業利益は 10 億円強、利益率は 2% 台だ。借入の金利が上がり、利払いも増える。純利益は 5 億円前後にとどまる。
配当は年 2 億円ほどで、10 年で 21 億円。自己資本は 160 億円に増えるが、ROE は 3% 前後のままだ。
- 介護(有料老人ホームほか):数量 8.2(入居者・利用者の数(千人換算・推定))× 価格 470(1 人あたりの年間の売上(万円。家賃・食費・介護報酬))→ 売上 384 億円・営業利益 26 億円。人数 1.20 倍・単価 1.31 倍
- カラオケ(コロッケ倶楽部):数量 230(来店客数(万人・推定))× 価格 0.20(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 46 億円・営業利益 0 億円。客数 0.84 倍・単価 1.33 倍
- 飲食・不動産・その他:数量 1.0(事業の数(一式))× 価格 13(一式あたりの売上(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。一式
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.1% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 61 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:需要の伸びと、人件費・本社費の重さが打ち消し合う姿で、過去 10 年の実績に近い。いちばん起きやすい筋として 4 割を置いた。
やや悲観 22% やや悲観:人手不足と報酬の据え置きで介護の利益が細り、全社はほぼ利益が出ない 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 144 円28 億円
介護職員が集まらず、新しい施設を開けても受け入れを絞る。入居者の伸びは 1 割にとどまる。介護報酬の改定は人件費の上昇に負け、介護の利益率は 6% を割る。
カラオケは客離れが続き、再び赤字に戻る。施設と店の家賃は固定で、売上が伸びなくても減らない。
本社の費用は物価とともに増え、営業利益は 2 億円台に落ちる。利払いを引くと、純利益はほとんど残らない。
配当は保つが、自己資本はほぼ増えない。価値の支えは、介護の事業そのものを他社に譲る値と、投資有価証券、賃貸ビルくらいになる。市場は稼がない資本に低い値しか付けず、今の時価総額の半分を割る。
- 介護(有料老人ホームほか):数量 7.5(入居者・利用者の数(千人換算・推定))× 価格 455(1 人あたりの年間の売上(万円。家賃・食費・介護報酬))→ 売上 341 億円・営業利益 20 億円。人数 1.10 倍・単価 1.26 倍
- カラオケ(コロッケ倶楽部):数量 200(来店客数(万人・推定))× 価格 0.19(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 38 億円・営業利益 −1 億円。客数 0.73 倍・単価 1.27 倍
- 飲食・不動産・その他:数量 1.0(事業の数(一式))× 価格 11(一式あたりの売上(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。一式
倍率:PBR 0.196 倍を今の自己資本 143 億円に掛けた。稼ぐ力はほぼ無く、価値は床の資産(floor_assets_oku)で決めた。市場の値付けからは置いていない。EV でも見た:営業利益 2 億円台に純負債 21 億円を足すと EV÷営業利益は 20 倍を超えるが、利益が細った年の値で、価値は利益の倍率ではなく床の資産で見ている。
確率:介護職員の採用難は年々強まり、報酬の改定が人件費に負ける年もある。施設の家賃は固定で、入居が鈍れば利益はすぐ消える。2021〜2023 年に赤字が続いた実績もあり、楽観側より厚い 2 割強とした。
悲観 10% 悲観:介護報酬の抑制と人手不足が重なり、家賃の固定費で赤字が続く 利益 −8 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 89 円17 億円
介護報酬が抑えられ、人件費の上昇に負け続ける。職員が集まらない施設は受け入れを減らし、入居者は今より減る。介護の利益率は 4% まで落ちる。
カラオケは市場の縮小に勝てず、閉店の費用がかさむ。施設の家賃は売上が落ちても減らず、全社は赤字が続く。減損で自己資本も削られる。
配当は減らし、10 年で 10 億円にとどまる。
残る価値は、投資有価証券と賃貸ビル、そして借金の返済に使える手元の現金だけになる。介護の施設は借り物なので、売って現金に変えることも難しい。家賃の約束を解くには違約の費用がかかり、撤退も簡単ではない。
- 介護(有料老人ホームほか):数量 6.5(入居者・利用者の数(千人換算・推定))× 価格 430(1 人あたりの年間の売上(万円。家賃・食費・介護報酬))→ 売上 280 億円・営業利益 11 億円。人数 0.96 倍・単価 1.19 倍
- カラオケ(コロッケ倶楽部):数量 150(来店客数(万人・推定))× 価格 0.17(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 −2 億円。客数 0.55 倍・単価 1.13 倍
- 飲食・不動産・その他:数量 1.0(事業の数(一式))× 価格 9.00(一式あたりの売上(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。一式
倍率:PBR 0.12 倍を今の自己資本 143 億円に掛けた。赤字なので PER は使わず、価値は床の資産(floor_assets_oku)で決めた。
確率:国の財政の都合で介護報酬が抑えられ、人件費の上昇に負け続ける筋。施設の家賃は 30 年の約束で減らせない。構造的に負ける筋として 1 割とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
介護(有料老人ホームほか)
介護付き・住宅型の有料老人ホームを中心に、デイサービス・訪問介護・障がい児の通所支援など。116 拠点 195 事業所。
| 数量入居者・利用者の数(千人換算・推定) | 価格1 人あたりの年間の売上(万円。家賃・食費・介護報酬) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6.8 | 360 | 245 | 18 |
| 10 年後 中立 | 8.2 | 470 | 384 | 26 |
取り方:売上 244.6 億円・利益 17.73 億円は有報。人数は開示が無く、ホームの入居者 1 人の年間売上を約 360 万円(月 30 万円)として、通所なども含めた換算で 6,800 人と推定。
カラオケ(コロッケ倶楽部)
64 店のカラオケ店。飲食物の持ち込み可で客を集める。
| 数量来店客数(万人・推定) | 価格1 人あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 274 | 0.15 | 41 | 0 |
| 10 年後 中立 | 230 | 0.20 | 46 | 0 |
取り方:売上 41.1 億円・損失 0.18 億円は有報。客数は開示が無く、客単価 0.15 万円と推定して逆算。
飲食・不動産・その他
居酒屋 9 店、賃貸ビルなどの不動産、外国人材の職業訓練。
| 数量事業の数(一式) | 価格一式あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.0 | 10 | 10 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 13 | 13 | 0 |
取り方:飲食 5.8 億円(損失 0.04)・不動産 3.3 億円(利益 0.42)・その他の合計。小さいので一式で置いた。
リスクと懸念
人手不足と人件費
介護職員の採用は年々難しくなり、給料は物価並み以上に上がる。介護報酬の改定がそれに追いつかなければ、入居率が高くても利益は細る。外国人材の受け入れに頼る部分も増えている。
介護報酬の改定
値段は国が 3 年ごとに決める。財政の都合で報酬が抑えられれば、会社の努力では埋められない。改定の内容ひとつで、介護の利益率が 1〜2 ポイント動く。
施設の家賃の約束
施設の多くは 30 年ほどの契約で借りており、家賃は売上が落ちても減らない。帳簿の借金より実際の固定の負担は大きい。2028/03 期から新しいリース会計で表に載る。
カラオケの縮小
カラオケの市場は縮み、大手の値下げにも押される。64 店は店を閉めながら赤字すれすれで、本業の介護とのつながりも薄い。
本社の費用の重さ
全社の費用は年 12 億円ほどあり、介護の利益の 3 分の 2 を食う。物価とともに増えれば、売上が伸びても全社の利益は増えにくい。
今後の分かれ目
- カラオケの事業を売る、または大きく縮める
- 全社の利益の振れが減り、本社の費用も軽くなる。中立の利益率を上げ、やや楽観を厚くする。
- 介護報酬の改定が人件費の上昇を上回る
- 中立の介護の利益率を 6.8% から 8% に上げる。
- 全社の営業利益率が 2 期続けて 4% を超える
- 楽観側の確率を上げる。本社の費用の重さが薄まった証拠になる。
- 介護職員の不足で施設の開設を延期する
- 入居者の伸びを 1.2 倍から 1.1 倍に下げ、やや悲観を厚くする。
- 配当を大きく増やす、または自己株買いを始める
- 還元の額を見直す。価値の大きさは事業の利益で決まるので、大きくは変えない。
見ておくもの
- 介護の利益率と既存施設の入居率
- 介護報酬の改定率と人件費
- カラオケの店数と損益
- 全社の費用(本社費)
- 新しい施設の開設の数
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE と k から式で置いた。中立の ROE は約 3% で k 8.25% を大きく下回り、PER の上限は 1÷k の 12.5 倍。その 7 割にした。PBR 0.5 倍という今の値段は使っていない。施設の家賃は今と同じく営業費用に入れた形で 10 年後もそろえ、新リース会計で 2028/03 期から形が変わることは数字に混ぜていない。株主優待は年 1 億円未満と見て還元に足していない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→12.12 倍・やや楽観 PER 9.5→12.12 倍・中立 PER 8.75→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.5% を足して 8.0%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 8.25%。