結論
市進ホールディングスは、千葉と東京東部で集団塾と個別指導、映像授業を営み、首都圏で介護も手がける会社だ。学研ホールディングスが株の約半分を持つ。筆者の結論は「割高」。塾の稼ぎは 10 年で細り、今の値段はその細りを織り込みきれていない。
強みは地域の知名度と、映像授業を他の塾に配る「ウイングネット」だ。弱みは利益率の薄さである。売上の 8 割を占める教育の営業利益率は 4% にとどまり、家賃と講師の人件費がほとんどを食う。
筆者がいちばん気にしているのは AI だ。生成 AI が解説と学習計画を安く出せば、補習の需要は細る。少子化と重なり、塾の生徒数は 10 年で 3 割減ると見る。介護は高齢化で伸びるが、全体を支えるほど大きくない。
前期の純利益が倍増したのは、持っていた株を売った一度きりの益による。ならした稼ぎで見る必要がある。
10 年後の姿は、塾が縮み、介護がやや育つ会社だ。学研が残りを買い取る道もあるが、それは事業の価値とは別の話になる。筆者の見立ての中心はそこにある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社を長く持ちたい事業とは言いにくい。稼ぐ力が薄く、それを高める手立ても限られているからだ。
塾は人の時間を売る商売だ。値上げには限度があり、講師の給与と校舎の家賃は物価とともに上がる。売上が 1 割落ちれば、利益はほぼ消える。こうした事業に高い値は払えない。
今の値段は、ならした純利益 4 億円の 9 倍ほどだ。一見安いが、資本コストを上回る稼ぎはなく、10 年後の利益は今を下回ると筆者は見る。待つ間の配当も薄く、払う値段に見合う中身は乏しい。
安全域、つまり見立てが外れても損をしにくい余裕は薄い。借入と家賃の約束が重く、悲観の筋書きでは株主の取り分が大きく削られる。上振れは学研による買い取りくらいで、それは事業の価値ではない。
筆者なら、塾の生徒数が下げ止まる証拠を見るまで、高い値は払わない。借入を減らし、配当を厚くする姿勢が見えれば評価は変わる。
何で稼ぐ会社か
事業は教育と介護の 2 本だ。教育は売上 156 億円で全体の 8 割を占める。中身は、市進学院の集団授業、個別指導教室、高校生向けの予備校、そして映像授業の「ウイングネット」である。
塾は千葉県の市川・船橋を中心に、東京東部と茨城に校舎を密に置く。稼ぎ方は単純だ。生徒 1 人から月謝と季節講習の代金を受け取り、校舎の家賃と講師の給与を払う。春と夏と冬の講習が利益の山をつくる。
ウイングネットは、自社で撮った映像授業を他の塾や学校に配る事業だ。加盟校が増えるほど、撮影の費用が薄まる。2025 年には市川市に撮影と配信の拠点を開いた。人の時間で売る塾の中で、ここだけは型が違う。
介護は売上 30 億円で、訪問介護、有料老人ホーム、グループホーム、デイサービスを首都圏の 6 社で営む。営業利益率は 8% と、教育の倍ある。
親会社の学研ホールディングスは、学習塾と教材、高齢者住宅を持つ。市進はその塾と介護の一角を担う位置にある。
利益の 3 割近くは介護が稼ぐ。売上の比重より利益の比重が大きいのは、塾の薄さの裏返しである。
校舎はほとんどが借り物で、土地を持つのは一部に限られる。
優良さと弱いところ
優良さは低い、と筆者は見る。教育の営業利益率は 4% 台で、塾として見ても薄い。値上げをすれば生徒は大手や個別指導に移る。値段を自分で決める力は弱い。
堀、つまり他社がまねできない強みは、地域の知名度と合格実績にとどまる。千葉の公立高校の受験では名が通るが、10 年先も続く参入の壁とは言いにくい。ウイングネットの映像資産は数少ない強みだが、AI が解説を無料で出す時代には、その価値も削られる。
財務は見かけより重い。自己資本比率は 18% で、借入金は 60 億円近い。現金と定期預金がほぼ同じ額あるので、差し引きの借金は小さい。ただ校舎はほとんど借りており、家賃は毎年必ず払う約束だ。
経営は学研の意向の中で動く。資本の使い方は保守的で、配当は長く据え置きが続き、配当性向は 2〜3 割にとどまる。
強みを挙げるなら、地盤の千葉で 50 年近く続く名前と、映像授業の蓄積だろう。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
塾の市場は、子どもの数とともに細る。出生数は 70 万人を割り、10 年後の中学生は今より 1 割以上少ない。一方、1 人あたりの教育費は増える傾向にあり、市場の金額はゆっくり縮む程度で済んできた。
構造の変化は 2 つある。1 つは個別指導と映像授業への移行だ。集団授業は大手と地域の老舗が残り、中堅は個別指導に押される。もう 1 つが生成 AI である。AI は解説と演習の採点を一瞬で返す。補習としての塾の価値は、そこから削られていく。
筆者は、受験の指導そのものは残ると見る。志望校の情報、緊張感、自習の場は、AI だけでは置き換えにくい。ただ、そこに払う値段と生徒の数は減る。塾は人の時間で売る商売で、その型ほど AI に弱い。
介護は逆に需要が伸びる。首都圏の後期高齢者は 10 年で 2 割近く増える。ただ介護報酬は国が決め、物価に遅れて上がる。人手不足で施設を増やす速さも縛られる。伸びる市場だが、利益率は国の値付けに抑えられる。
競合は、千葉では早稲田アカデミーや臨海セミナー、個別では明光義塾や東京個別指導学院が並ぶ。
資本政策と M&A
還元は控えめだ。配当は長く同じ額を続け、年 0.8 億円ほど。配当性向は 2〜3 割にとどまる。自己株は発行済の 2 割強を抱え、一部を社員向けの制度などに回している。
株主優待は受講料の割引券と、長く持つ株主へのカタログギフトだ。自社の講習の割引が中心で、会社の費用は年 1 億円に届かないと見る。
資本政策の鍵は学研である。学研は持株比率を 10 年で 2 割から約 5 割へ引き上げた。親子上場の解消を求める流れの中で、学研が残りを買い取る道は十分ありうる。ただし今は発表も観測記事もない。
前期は、持っていたウィザス株を公開買付けに応じて売り、7 億円の益を得た。この資金は借入の返済に回っている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
市進はただの集団塾ではない。映像授業のウイングネットを持ち、他の塾に授業を配っている。AI の時代でも、教える中身を持つ会社は強い。自前の映像に AI の採点や学習計画を組み合わせれば、加盟校への売り物はむしろ増える。
塾の生徒数も見かけほど減らない。千葉と東京東部は人口の減りが緩い。小学校低学年の専門教室や高校生の予備校で在籍が増えた実績もある。中学受験の熱は首都圏で続いており、受験の情報と自習の場には値段が付く。
介護は高齢化で需要が伸び、教育の倍の利益率がある。施設を少しずつ足せば、10 年で売上の 3 割近くを介護が占める。教育の縮みを介護が埋める形だ。
そして学研がいる。持株比率を 5 割まで上げてきた親会社が、残りを買い取る可能性は小さくない。財務も、現金と定期預金を合わせれば借入とほぼ見合い、危うくはない。
中学受験の情報と、合格実績で集める地域の評判は、AI では作れない資産だ。
首都圏の受験熱は、地方より長く続くはずだ。
慎重な見方
塾の利益率は 4% しかない。この薄さで少子化と AI を迎えるのは厳しい。生徒が 1 割減れば、家賃と講師の給与が残り、利益はほとんど消える。過去 15 年で赤字の年が 4 回あるのは、その脆さの表れだ。
ウイングネットの映像授業も安泰ではない。生成 AI は解説を無料で出し、問題ごとに説明を変えられる。録画した授業を配るという型は、AI がいちばん得意な分野と重なる。加盟校の塾そのものも少子化で減っていく。
介護も楽ではない。介護報酬は国が決め、物価に追いつかない改定が続く。人手不足で人件費は上がり、利益率は今の 8% を保てない。
財務も軽くない。借入は 60 億円近く、自己資本比率は 18% だ。校舎の家賃は固定の約束で、売上が落ちても下がらない。学研の買い取りを期待しても、値段を決めるのは親会社で、少数株主に有利な値になるとは限らない。
映像授業を持つという強みも、少子化の中では加盟先の減りで薄まっていく。
親会社が買い取るなら、それは安い時になりやすい。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の方がやや強い。塾の利益率の薄さと AI の置き換えは、数字の上で避けにくい。ウイングネットの強みも、AI がいちばん得意な分野と重なる。介護の伸びは本物だが、全体を支えるには小さい。確率はやや悲観と悲観に合わせて 4 割弱を置き、中立は塾の生徒が 3 割減る姿にした。
楽観側は介護の伸びと学研の存在に頼るが、どちらも塾の稼ぎの細りを止める話ではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 699 円57 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 117 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 430 円35 億円、今との差 −1.0%、 期待の年率 +6.5%(資本コスト 7.2%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,342 円110 億円 | 221 円18 億円 | +260.0% | +13.7% | 125 円10 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,084 円89 億円 | 159 円13 億円 | +186.6% | +11.1% | 211 円17 億円 |
| 中立 | 38% | 826 円67 億円 | 123 円10 億円 | +118.5% | +8.1% | 360 円29 億円 |
| やや悲観 | 25% | 316 円26 億円 | 86 円7 億円 | −7.4% | −0.8% | 100 円8 億円 |
| 悲観 | 12% | 121 円10 億円 | 37 円3 億円 | −63.6% | −9.6% | 19 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 699 円57 億円 | 117 円10 億円 | +88.1% | +6.5% | 816 円67 億円 |
今の株価時価総額 434 円35 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 8% 映像と AI を売り物にし、介護が育つ 利益 6 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,342 円110 億円
ウイングネットが映像授業に AI の採点と学習計画を組み合わせ、加盟校を増やす。塾の生徒数は少子化と AI で 15% 減るが、授業料は物価並みに上がる。高校生の予備校と中学受験の教室が伸び、教育の営業利益率は 5% まで戻る。
介護は施設を足し、利用者は 3 割増える。介護報酬の改定も物価に近づく。介護の利益が全体の 3 分の 1 を占めるようになる。
借入は利益で返し、自己資本は倍を超える。配当は少しずつ増える。学研が残りの株を買い取る話も出るが、ここでは事業の価値だけで見る。
この姿では、塾の薄さを介護とウイングネットが補い、ROE は資本コストを上回る。
- 教育サービス:数量 30,600(在籍生徒数の換算(人・推定))× 価格 0.01(生徒 1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 178 億円・営業利益 9 億円。生徒 0.85 倍・単価 1.34 倍・利益率 5.0%
- 介護福祉サービス:数量 1,560(利用者の換算(人・推定))× 価格 0.03(利用者 1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 51 億円・営業利益 4 億円。利用者 1.30 倍・単価 1.30 倍・利益率 8.5%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.1% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.2%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 86 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI を自社の売り物にして売上が出ている開示はまだ無い。人の時間で売る事業の型なので、楽観でも塾の生徒数は 1 倍を超えない筋書きにとどめ、確率も低く置いた。
やや楽観 17% 生徒の減りは人口並み、介護が下支え 利益 5 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,084 円89 億円
塾の生徒数は 10 年で 22% 減る。少子化の分に加え、AI の学習アプリに補習の一部が流れる。授業料は物価をやや下回り、1.32 倍にとどまる。教育の営業利益率は 4.3% と、今とほぼ同じだ。
介護は利用者が 2 割増え、営業利益率は 8% を保つ。全体の営業利益は 10 億円台に乗る。
校舎の統廃合は小さく済み、閉校の損失も限られる。借入は少しずつ減り、配当は据え置きから小さな増配に移る。親会社の学研との関係は変わらない。
全体の ROE は資本コストとほぼ同じ水準に落ち着く。借入はゆっくり減っていく。
- 教育サービス:数量 28,080(在籍生徒数の換算(人・推定))× 価格 0.01(生徒 1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 161 億円・営業利益 7 億円。生徒 0.78 倍・単価 1.32 倍・利益率 4.3%
- 介護福祉サービス:数量 1,440(利用者の換算(人・推定))× 価格 0.03(利用者 1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 47 億円・営業利益 4 億円。利用者 1.20 倍・単価 1.28 倍・利益率 8.0%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.1% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.7%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 66 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI の置き換えが補習の一部にとどまり、生徒の減りが少子化に近い筋書き。介護の伸びは高齢化の実需で裏づけがあるので、楽観よりは厚く置いた。
中立 38% 少子化と AI で塾の生徒が 3 割減る 利益 3 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 826 円67 億円
塾の生徒数は 10 年で 3 割減る。子どもの数の減りに、AI の学習アプリへの流出が重なる。授業料は物価をやや下回る 1.30 倍にとどまる。家賃と講師の給与は物価で上がるので、教育の営業利益率は 3% に下がる。
校舎は少しずつ減らすが、閉校のたびに費用がかかる。ウイングネットは加盟校の減りと AI の無料の解説に押され、伸びが止まる。
介護は利用者が 15% 増え、営業利益は 3 億円台を保つ。全体の営業利益は 7.5 億円と、今より少し下がる。配当は年 0.8 億円の据え置きが続き、借入はゆっくり返す。学研の子会社という立場も変わらない。
- 教育サービス:数量 25,200(在籍生徒数の換算(人・推定))× 価格 0.01(生徒 1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 142 億円・営業利益 4 億円。生徒 0.70 倍・単価 1.30 倍・利益率 3.0%
- 介護福祉サービス:数量 1,380(利用者の換算(人・推定))× 価格 0.03(利用者 1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 44 億円・営業利益 3 億円。利用者 1.15 倍・単価 1.25 倍・利益率 7.5%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.4% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.8%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 47 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:少子化で 1 割、AI による個別学習への置き換えで 2 割、合わせて生徒が 3 割減る標準の姿。人の時間で売る事業の型(AI エージェント代替)の中立の範囲 0.55〜0.75 倍の中ほどに当てた。
やや悲観 25% AI 学習が定着し、塾の値段が崩れる 利益 2 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 316 円26 億円
塾の生徒数は 10 年で 4 割減る。AI が解説と学習計画をほぼ無料で出し、補習と講習の需要が細る。授業料は物価に追いつかず 1.22 倍にとどまる。
校舎の家賃と正社員の給与は下がらず、教育の営業利益率は 1.5% まで落ちる。閉校と人員の整理に費用がかかり、純利益はさらに削られる。
介護は利用者がわずかに増えるが、報酬の改定が物価に遅れ、利益率は 6% に下がる。全体の営業利益は 4 億円まで落ちる。配当は今の額を守れず減る。借入の返済も遅れる。
校舎の整理で家賃は減るが、敷金の回収より閉校の費用が先に出る。
学研が支える形になる。
- 教育サービス:数量 21,600(在籍生徒数の換算(人・推定))× 価格 0.01(生徒 1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 114 億円・営業利益 2 億円。生徒 0.60 倍・単価 1.22 倍・利益率 1.5%
- 介護福祉サービス:数量 1,260(利用者の換算(人・推定))× 価格 0.03(利用者 1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 38 億円・営業利益 2 億円。利用者 1.05 倍・単価 1.18 倍・利益率 6.0%
倍率:ROE 3.8% で k を大きく下回る。PER の上限 1÷k = 11.8 倍に対し、利益の質が崩れる筋書きなので約 75% の 9 倍。PBR は 0.34 倍で中立より低い。
確率:AI の個別学習が補習の標準になり、生徒が 4 割減る筋書き。人の時間で売る型の悲観側。やや悲観と悲観で 37% と、決まりの 35% 以上に置いた。
悲観 12% 塾が赤字に沈み、介護と資産が支え 利益 −2 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 121 円10 億円
構造的に負ける。AI の個別学習が受験の補習の標準になり、塾の生徒数は半分になる。授業料は物価に追いつかず、1.10 倍にとどまる。
教育の売上は 86 億円まで縮むが、校舎の家賃と正社員の固定費は残る。教育は赤字になり、閉校と人員の整理の費用で純損失が続く。
ウイングネットも、AI の無料の解説に押されて加盟校を失う。介護は残るが、報酬の伸びが鈍く、利益率は 4% に下がる。
値の支えは介護の事業の売れる価値と、敷金や土地の回収くらいだ。学研が安い値段で残りを買い取る形も考えられる。
配当は大きく減り、事業の稼ぎでは値が付かない。
- 教育サービス:数量 18,000(在籍生徒数の換算(人・推定))× 価格 0.00(生徒 1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 86 億円・営業利益 −3 億円。生徒 0.50 倍・単価 1.10 倍・赤字
- 介護福祉サービス:数量 1,140(利用者の換算(人・推定))× 価格 0.03(利用者 1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。利用者 0.95 倍・単価 1.10 倍・利益率 4.0%
倍率:赤字なので PER は当てない。稼ぐ力では値が付かず、売れる資産の床(約 10 億円)に合わせ、閉校の減損で 22 億円に減った自己資本に 0.45 倍。
確率:構造的に負ける筋書き。AI エージェント代替の悲観の型で、教育の売上が 10 年で半分近くに縮む。借入と家賃の約束が重いので、早稲田学習研究会よりやや控えめな 12% にとどめた(中立が既に縮む筋書き)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
教育サービス
集団授業の市進学院、個別指導、高校生の予備校、映像授業のウイングネット、家庭教師。千葉・東京東部・茨城が地盤。
| 数量在籍生徒数の換算(人・推定) | 価格生徒 1 人あたりの年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 36,000 | 0.00 | 156 | 6 |
| 10 年後 中立 | 25,200 | 0.01 | 142 | 4 |
取り方:教育のセグメント売上 156.1 億円(内部 1.0 億円込み)・営業利益 6.43 億円(2026/02 短信)。在籍生徒数は開示を拾えなかったため、生徒 1 人の年間売上を月謝と講習で約 43 万円と見て 36,000 人の換算とした推定。ウイングネットの加盟校の売上もこの換算に含む。
介護福祉サービス
訪問介護・有料老人ホーム・グループホーム・デイサービスを首都圏 1 都 4 県の 6 社で営む。
| 数量利用者の換算(人・推定) | 価格利用者 1 人あたりの年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 1,200 | 0.03 | 30 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,380 | 0.03 | 44 | 3 |
取り方:介護のセグメント売上 30.4 億円・営業利益 2.55 億円(2026/02 短信)。利用者数は開示がないため、施設と在宅を合わせて 1 人年 253 万円の換算で 1,200 人とした推定。
リスクと懸念
AI エージェントによる代替
生成 AI が解説と学習計画を安く出し、補習と講習の需要が細る。塾は人の時間で売る型で、生徒数と授業料の両方が押される。中立で塾の生徒は 10 年で 3 割減ると置いた。映像授業のウイングネットも、AI の得意な分野と重なる。
少子化
出生数は 70 万人を割り、10 年後の中学生は 1 割以上少ない。千葉と東京東部は減りが緩いが、塾の数も多く、生徒の奪い合いが続く。
利益率の薄さと固定費
教育の営業利益率は 4% 台で、家賃と講師の給与がほとんどを食う。生徒が 1 割減るだけで利益はほぼ消える。過去 15 年で赤字の年が 4 回ある。
借入と家賃の約束
借入は 60 億円近く、自己資本比率は 18%。現金と定期預金がほぼ同じ額あるが、校舎の家賃は固定の約束で、新しいリースの会計基準では負債に載る。金利が上がれば借り換えの利払いも増える。
介護報酬と人手
介護の売上は国の報酬で決まり、物価に遅れて上がる。介護職の不足で給与は上がり、利益率 8% を保てない恐れがある。
親会社との利害
学研が約半分を持つ。親会社が残りを買い取る時の値段は親会社が決め、少数株主に有利とは限らない。グループ内の塾との棲み分けも学研の意向で変わりうる。
今後の分かれ目
- 塾の在籍生徒数が 2 年続けて 5% 以上減ったら
- AI と少子化の置き換えが中立より速いとみて、やや悲観と悲観の確率を上げる。
- ウイングネットが AI の採点や学習計画を売り物にして、加盟校の売上を開示したら
- 映像の資産が AI の時代にも値段を取れる証拠として、やや楽観の確率を上げる。
- 学研が残りの株の公開買付けを発表したら
- 事業の価値ではなく買付けの値段で決まる。分析は止め、値段が本質価値に見合うかだけを見る。
- 介護の施設を買収などで大きく増やしたら
- 介護の比重が上がり、AI の影響が薄まる。払った値段と利益率を見て中立を見直す。
- 教育の営業利益率が 2% を割ったら
- 家賃と人件費の固定費に押される姿が早く来たとみて、やや悲観を中立寄りに見直す。
見ておくもの
- 塾の在籍生徒数(学年別)
- 教育の営業利益率
- ウイングネットの加盟校数と売上
- 介護の利用者数と報酬改定
- 学研の持株比率と親子上場の扱い
- 借入金の残高と借り換えの金利
倍率と資本コストの決め方
倍率は人月の型として g を名目 0% とし、ROE が k を下回る中立は正当化 PER の上限 1÷k = 11.8 倍の約 75% の 9 倍にした。今の PER(予想で約 10 倍)は根拠にしていない。前期の純利益 6.3 億円は株の売却益を含むので起点に使わず、10 年の純利益は営業利益に過去の比 0.45 前後を掛けて出した。新リース会計基準で 2028/02 期から家賃が負債に載るが、10 年後の数字は今と同じ形(家賃を費用に入れた形)で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→13.79 倍・やや楽観 PER 10→13.79 倍・中立 PER 9→13.79 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% + quality 1.0% = 8.5%。同じ領域の早稲田学習研究会と同じ値だが、内訳が違う(寿命は介護の分だけ軽く、借金は重い)。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.00%。