結論
アルプス技研は、メーカーの設計・開発の現場へ技術者を送り出す会社だ。顧客は自動車・半導体・電機の大手で、技術社員は約 4,800 人いる。筆者の結論は割高だ。事業は堅実だが、売っているのは技術者の時間であり、AI エージェントの時代には縮む側に立つ。10 年の本質価値は、今の時価総額を 5 割ほど下回る。
売上の 9 割は設計技術者の派遣・請負だ。人数は毎年 200 人ほど増えてきたが、若い人が減る国で採り続けるのは楽ではない。そこへ、設計の下書きや解析の準備を AI エージェントが肩代わりする流れが重なる。顧客が外部に頼む時間は減るので、数量は今の 0.65 倍と置いた。単価は物価の 1.34 倍に届かない 1.28 倍とした。
営業利益率は 10% 前後で、同じ技術者派遣のメイテックより低い。固定費の重さは同じなので、売上が縮めば利益はそれ以上に縮む。中立の 10 年後は、売上が今の 8 割余り、純利益は 7 割に細る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、これは堅実だが、持ち続けたい商売とは言いにくい会社だ。純現金があり、利益の半分以上を配当で返す方針は誠実だ。技術者と大手顧客との信頼も、長い取引の積み重ねである。
ただ、売っているのは人の時間だ。堀、つまり他社がまねできない強みは普通で、メイテックのような単価の高さも無い。AI エージェントが設計の定型作業を担えば、顧客は外部に頼む量を減らす。成果で値段を決める契約へ移れた証拠も、AI を自社の売り物にして金額が出た開示も無い。
オーナー利益は純利益に近いが、その水準は先で下がる。安全域は、今の値段にはない。わからない未来には慎重な確率を置いた。会社の計画する ROE 20% 以上は、自己資本を小さく保つ資本政策の結果で、成長の裏づけにはならない。利益の半分以上を配当で返す姿勢は、少数株主にとって評価できる。
何で稼ぐ会社か
事業の中心は、設計技術者の派遣と、技術プロジェクトの請負だ。機械・電気・情報処理の技術者を正社員として雇い、顧客メーカーの開発現場で働かせる。顧客は時間や月単位で料金を払う。2025 年 12 月期の売上は約 526 億円で、このうち約 479 億円がこのアウトソーシング事業だ。
技術社員は 4,766 人で、1 年で 202 人増えた。売上の伸びは、人数・稼働率・単価の積で決まる。稼働率は高い水準を保ち、契約単価は上がっている。ただ人数が増えなければ、売上は賃金の上昇分しか伸びない。
グローバル事業は売上約 46 億円と小さい。プラント設備の設計・製作・据付や、上海・台湾・ミャンマーでの人材サービスを手がける。営業利益は約 5 億円で、前の年より 5 割以上増えた。
そのほかに、事務の派遣、農業分野の派遣、訪問介護、高齢者向け住宅などを持つ。どれも小さい。会社は工業用ロボット「D-Telass」や農業ロボットを、次の収益の柱に育てようとしている。ただ、売上を左右するのは今も技術者の派遣だ。
連結の従業員は 6,265 人で、外国籍が 529 人いる。人材の確保が、成長の速さを決める事業である。
顧客との契約は、1 人ひとりを時間単位で送り出す形が基本だ。数人のチームで送り、プロジェクトごと請け負う形も増やしている。後者は単価が高く、利益率を上げやすい。ただ、成果の責任を負うため、失敗したときの損も大きい。
優良さと弱いところ
筆者は、アルプス技研を「堅実だが飛び抜けてはいない」会社と見る。顧客は自動車・半導体・電機の大手メーカーで、1 社に偏らない。2010 年 12 月期以降は赤字の年がなく、営業利益率は 10% 前後で安定している。
堀は普通だ。技術者は社員として雇うので、顧客は育った担当者に長く頼れる。この定着が単価の交渉力を支える。ただ、規模も単価もメイテックには及ばない。10 年ほど前の比較では、営業利益率はメイテックの 12.9% に対し 10.9% だった。値決めの力は、業界の最上位とは言いにくい。
資本の使い方は堅い。自己資本比率は 69.5% で、純現金が増え続けている。ROE は 20% 前後を保つが、これは利益の伸びと、配当で現金を外へ出す方針の両方の結果だ。配当は連結配当性向 50% 以上を目安とし、業績が悪くても年間の下限額を割らない方針だ。
弱点は 2 つある。1 つは採用だ。技術者を増やせなければ売上は伸びない。もう 1 つは AI だ。設計の下働きが機械に移れば、顧客が外へ頼む量が減る。グローバルや農業・介護の新事業は、まだ利益の柱とは言えない規模にとどまる。
経営の面では、中期計画の数値を毎年見直すローリング方式をとる。2025 年 12 月期は、売上と営業利益が前の計画をわずかに下回った。計画を守る力は、並みと見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
技術者派遣の市場は、国内ではっきりした数字を取りにくい。資料によって 1 兆円台から 2 兆円台まで開く。筆者は市場の大きさでなく、技術者の人数で会社を測る。主な競合はメイテック、テクノプロ、アウトソーシング、オープンアップ(旧夢真)だ。
需要の背景は、メーカーの開発人材の不足だ。自動車の電動化、半導体、ソフトウェアで、開発の仕事は増えている。大手メーカーは、人を自前で抱えるより外部の技術者を使う比重を高めてきた。これは今後も続くと見る。
ただ供給に壁がある。若い人は減り、同じ人を各社が奪い合う。賃金は年 3% 前後で上がり、派遣会社は単価の引き上げでそれを吸収する。人数が増えた会社だけが、物価を超えて伸びる。
循環にも注意が要る。顧客の開発費が絞られると、外部の技術者は先に減らされる。2009 年 12 月期は営業赤字だった。2026 年の上期も、前の年の大型案件の反動で営業利益が減った。
10 年の構造論点は、生成 AI だ。設計や解析の定型作業を AI が肩代わりすれば、1 人が担える範囲が広がる。それが単価の上昇につながるのか、外部に頼む量の減少につながるのかは、まだ決まっていない。この 1 点が、業界の分かれ目になる。
賃金の上昇は、派遣会社にとって両刃だ。技術者の給料は上がるが、顧客に転嫁できれば利益率は守れる。転嫁できなければ、利益率が削られる。需要が強い間は転嫁できる。景気が悪い年は、単価の交渉が難しくなる。
AI エージェントとの関係では、技術者派遣は人月で売る型に当たる。設計の下書き、解析の準備、試験の自動化はエージェントが得意で、数量は 10 年で今の 0.65 倍を中立とした。価格は物価の 1.34 倍に届かない 1.28 倍とした。売上の全部がこの型に当たる。
資本政策と M&A
配当を重んじる会社だ。連結配当性向 50% 以上を目安にし、年間の下限額を決めている。2025 年 12 月期の配当性向は約 53% だった。2023 年 5 月には自社株買いも行った。2026 年 6 月末を基準に 1 株を 3 株にする株式分割を実施し、株を買いやすくした。
会社は株主資本コストを約 7% と認識し、ROE 20% 以上を目標にしている。純現金は 130 億円に増えた。給与は毎月払いで賞与もあるため、現金の多くは運転の資金だ。ただ、これを超えて積み上がる分は、配当や自社株買いで戻すのが筋だと筆者は考える。
M&A は、大きな買収をする会社ではない。グローバル事業や介護・農業の周辺事業を小さく広げてきた。今の計画に具体的な買収の方針は見当たらない。
買われる側になる可能性は、時価総額が約 530 億円と小さく、技術者を一度に増やせる点で、同業から見て魅力はある。ただ、確かな材料は見当たらない。個人株主が約半分を占める点も、動きにくさにつながる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
技術者の需要は構造的に伸びる。自動車の電動化、半導体、ロボット、宇宙と、メーカーの開発の仕事は広がり続ける。大手は人を自前で抱えず、外の技術者を使う。アルプス技研は毎年 200 人ずつ技術社員を増やしてきた。このペースを保てば、10 年で 7,000 人近くになる。
単価も上がる。宇宙・生成 AI・環境といった高い技術の分野に人を育て、チームで派遣する形を広げれば、物価を超えて単価を取れる。プロジェクトの請負が増えれば、利益率も 12% 台に上がる。2026 年の上期の減益は、前の年の大型案件の反動にすぎない。
グローバル事業は売上が伸び、利益率が 2 桁に定着した。次の柱が立てば、会社の計画(2028 年 12 月期に純利益 43 億円)を上回る。
配当は純利益の半分以上を保つ。現金が積み上がり過ぎないよう、配当性向を高めれば、ROE は 20% に近づく。外国籍の社員が 529 人いる点も、日本の採用難を和らげる材料だ。
AI は人の仕事を奪わない。AI を使える技術者の単価が上がり、外部に頼む量も増える。この会社の需要は、むしろ強まる。
会社には、技術者を育てる仕組みがある。新卒を採って社内で教え、現場へ出す。人数を増やす力は、同業の中でも悪くない。
エージェントを使いこなす技術者は少ない人数で多くを回せる。時間でなく成果で値段が付く契約へ移れば、人数が減っても売上は守れる。現場に常駐して信頼を築いた強みが活きる。
慎重な見方
この事業の利益率は 10% 前後で、もう伸びしろが小さい。2025 年 12 月期の営業利益は、アウトソーシングで前の年より 1% しか増えなかった。2026 年の上期は営業利益が 9% 減り、通期の予想も進みが遅い。会社の計画は、いつも下期に集中して達成する前提になっている。
人数の伸びは今がピークかもしれない。若い人は減り、採用の費用は上がる。技術者の確保で、メイテックやテクノプロに負ければ、増員のペースは落ちる。人が増えない会社の売上は、賃金の上昇分しか伸びない。
顧客は自動車と電機が中心で、景気と開発費の波を受ける。関税や電動化の遅れで開発が絞られれば、外部の技術者から先に減らされる。2009 年 12 月期の営業赤字は、その実例だ。
AI のリスクも大きい。設計・解析の定型作業を AI が担えば、顧客は外部の技術者を減らす。単価は下がり、待機の技術者が増えて利益率は一気に落ちる。グローバルや農業・介護の新事業は小さく、その穴を埋められない。
会社が掲げる ROE 20% は、現金が積み上がる 10 年では保てない。人数も利益率も、今が頂点という見方には根拠がある。
株価が 3 分割で買いやすくなっても、事業の質が変わるわけではない。足元の減益が続けば、見直しが入る。
売っているのは人の時間で、エージェントが最初に置き換えるのは設計の下書きや解析の準備だ。人数も単価も下がると、固定費の重さが利益を削る。利益率が低めの会社ほど、その減り方が大きい。
どちらに重みを置いたか
堅実な経営と顧客基盤では強気の見方が上だが、人月で売る型が AI エージェントに縮む点では慎重な見方が上だ。メイテックのような単価の高さが無いぶん、置き換えへの耐性は低いと見た。やや悲観と悲観を合わせて 40% とし、中立が既に縮む姿なので確率でまでは重ねなかった。採用の壁は数字で確かめられており、人数の頭打ちも織り込んだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 781 円460 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 343 円202 億円)。 今の値に割り戻すと 654 円385 億円、今との差 −27.2%、 期待の年率 +2.3%(資本コスト 6.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,411 円831 億円 | 452 円266 億円 | +107.2% | +7.6% | 112 円66 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,215 円715 億円 | 409 円241 億円 | +80.6% | +6.1% | 276 円163 億円 |
| 中立 | 37% | 904 円532 億円 | 348 円205 億円 | +39.3% | +3.4% | 463 円273 億円 |
| やや悲観 | 27% | 512 円301 億円 | 310 円183 億円 | −8.6% | −0.9% | 222 円131 億円 |
| 悲観 | 13% | 132 円78 億円 | 262 円154 億円 | −56.2% | −7.9% | 51 円30 億円 |
| 加重平均 | 100% | 781 円460 億円 | 343 円202 億円 | +25.1% | +2.3% | 1,124 円662 億円 |
今の株価時価総額 899 円529 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 6.8% を下回るほど割高。
楽観 6% エージェントを使いこなす側に残る 利益 49 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 1,411 円831 億円
AI エージェントを使いこなす技術者が育ち、顧客は外部の人数を急には減らさない。人数は今の 0.9 倍にとどまり、単価は物価並みの 1.34 倍まで上がる。数量が今を超えないのは、AI エージェントを売り物にして金額が出た開示が無いからだ。10 年後の売上は 642 億円(今の 1.22 倍)、純利益は 49 億円。海外とプラントの分野は今より少し広がる。配当は利益に連れて増える。 内訳はアウトソーシングサービス(売上 578 億円・数量 0.90 倍・価格 1.34 倍)、グローバル(売上 64 億円・数量 1.03 倍・価格 1.34 倍)。 営業利益は 66 億円(利益率 10.3%)、10 年の還元は計 266 億円、時価総額は 726 億円になる。
- アウトソーシングサービス(設計技術者の派遣・請負):数量 0.4(技術社員数(万人))× 価格 1,348(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 578 億円・営業利益 60 億円。人月・工数で売るの型。数量 0.90 倍・価格 1.34 倍・利益率 10.3%(AI エージェント代替で置き直し)
- グローバル(プラント設計・据付と海外の人材サービス):数量 0.0(従業員数(万人))× 価格 1,699(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 64 億円・営業利益 7 億円。人月・工数で売るの型。数量 1.03 倍・価格 1.34 倍・利益率 11.5%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:事業の純利益 49 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.9% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.8%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍。全体の PER 14.81 倍、時価総額 726 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI エージェントを売り物にして金額が出た開示は無い。楽観でも数量は今を超えず、6%。
やや楽観 17% 人数は減るが難しい設計は残る 利益 40 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 1,215 円715 億円
人数は今の 0.8 倍まで減り、設計の下請けの一部はエージェントに移る。それでも試作や立ち会い、解析の判断など、人が責任を負う仕事は残る。単価は 1.31 倍。AI の導入は進むが、顧客の側にも使いこなす人材が足りず、移る速さは緩やかだ。10 年後の売上は 558 億円(今の 1.06 倍)、純利益は 40 億円。採用の費用は上がるが、利益率は保たれる。 内訳はアウトソーシングサービス(売上 502 億円・数量 0.80 倍・価格 1.31 倍)、グローバル(売上 56 億円・数量 0.92 倍・価格 1.31 倍)。 営業利益は 54 億円(利益率 9.8%)、10 年の還元は計 241 億円、時価総額は 598 億円になる。
- アウトソーシングサービス(設計技術者の派遣・請負):数量 0.4(技術社員数(万人))× 価格 1,317(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 502 億円・営業利益 49 億円。人月・工数で売るの型。数量 0.80 倍・価格 1.31 倍・利益率 9.8%(AI エージェント代替で置き直し)
- グローバル(プラント設計・据付と海外の人材サービス):数量 0.0(従業員数(万人))× 価格 1,661(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 56 億円・営業利益 6 億円。人月・工数で売るの型。数量 0.92 倍・価格 1.31 倍・利益率 10.9%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:事業の純利益 40 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.7% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.2%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍。全体の PER 14.81 倍、時価総額 598 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:難しい設計や立ち会いが残り、置き換えが緩やかな筋書き。17%。
中立 37% 売上は 8 割余り、純利益は 7 割 利益 29 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 904 円532 億円
採用難で人数は増えず、定型の設計や解析はエージェントが肩代わりする。人数は今の 0.65 倍(海外は 0.75 倍)、単価は 1.28 倍。固定費は残るので、利益率は今の 10% から 8% 台へ下がる。10 年後の売上は 443 億円(今の 0.84 倍)、純利益は 29 億円。配当は利益に連れて減る。人数の純増が止まれば、売上の伸びは単価だけになる。 内訳はアウトソーシングサービス(売上 399 億円・数量 0.65 倍・価格 1.28 倍)、グローバル(売上 44 億円・数量 0.75 倍・価格 1.28 倍)。 営業利益は 39 億円(利益率 8.7%)、10 年の還元は計 205 億円、時価総額は 424 億円になる。
- アウトソーシングサービス(設計技術者の派遣・請負):数量 0.3(技術社員数(万人))× 価格 1,287(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 399 億円・営業利益 35 億円。人月・工数で売るの型。数量 0.65 倍・価格 1.28 倍・利益率 8.7%(AI エージェント代替で置き直し)
- グローバル(プラント設計・据付と海外の人材サービス):数量 0.0(従業員数(万人))× 価格 1,623(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 4 億円。人月・工数で売るの型。数量 0.75 倍・価格 1.28 倍・利益率 9.8%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.1% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.9%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍。全体の PER 14.81 倍、時価総額 424 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:採用難とエージェントの肩代わりが重なる筋書きを中立とし 37%。
やや悲観 27% 定型の設計が顧客に内製される 利益 16 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 512 円301 億円
大手メーカーが定型の設計をエージェントで内製し、外部に出す時間を 4 割以上減らす。人数は今の 0.55 倍、単価は 1.15 倍にとどまる。固定費が重く、利益率は 6% 台に落ちる。10 年後の売上は 337 億円(今の 0.64 倍)、純利益は 16 億円。顧客の内製化は大手から始まる。稼働しない技術者の人件費が、利益を圧迫する。 内訳はアウトソーシングサービス(売上 303 億円・数量 0.55 倍・価格 1.15 倍)、グローバル(売上 34 億円・数量 0.63 倍・価格 1.15 倍)。 営業利益は 22 億円(利益率 6.6%)、10 年の還元は計 183 億円、時価総額は 243 億円になる。
- アウトソーシングサービス(設計技術者の派遣・請負):数量 0.3(技術社員数(万人))× 価格 1,156(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 303 億円・営業利益 20 億円。人月・工数で売るの型。数量 0.55 倍・価格 1.15 倍・利益率 6.7%(AI エージェント代替で置き直し)
- グローバル(プラント設計・据付と海外の人材サービス):数量 0.0(従業員数(万人))× 価格 1,458(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 34 億円・営業利益 3 億円。人月・工数で売るの型。数量 0.63 倍・価格 1.15 倍・利益率 7.5%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:正当化 PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 5.4%・k 6.75%・RONIC 8.5%(残る割合 0.50)、名目 g +0.0%(設計技術者の工数売りで、エージェントが置き換える型)で 14.81 倍
確率:大手が定型設計を内製する筋書き。27%。
悲観 13% 工数売りが成り立たない 利益 4 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 132 円78 億円
設計と解析の大半をエージェントが処理し、技術者を送って時間で稼ぐ売り方が成り立たなくなる。人数は今の 0.45 倍、単価は 1.0 倍。売上は 10 年で半分前後の 240 億円、純利益は 4 億円まで細る。値は稼ぐ力でなく、純現金と売れる資産の床で測る。採用した人材の受け皿が足りなくなり、人員の整理も出る。 内訳はアウトソーシングサービス(売上 216 億円・数量 0.45 倍・価格 1.00 倍)、グローバル(売上 24 億円・数量 0.52 倍・価格 1.00 倍)。 営業利益は 6 億円(利益率 2.4%)、10 年の還元は計 154 億円、時価総額は 78 億円になる。
- アウトソーシングサービス(設計技術者の派遣・請負):数量 0.2(技術社員数(万人))× 価格 1,006(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 216 億円・営業利益 6 億円。人月・工数で売るの型。数量 0.45 倍・価格 1.00 倍・利益率 2.6%(AI エージェント代替で置き直し)
- グローバル(プラント設計・据付と海外の人材サービス):数量 0.0(従業員数(万人))× 価格 1,268(1 人あたり年間売上(万円・名目))→ 売上 24 億円・営業利益 1 億円。人月・工数で売るの型。数量 0.52 倍・価格 1.00 倍・利益率 2.9%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:悲観の床は稼ぐ力でなく、純現金と売れる資産の税後(floor_assets_oku 78 億円)を今の自己資本 204 億円で割った 0.38 倍。
確率:工数売りそのものが成り立たない筋書き。13%、やや悲観と合わせて 40%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
アウトソーシングサービス(設計技術者の派遣・請負)
機械・電気・情報処理の設計技術者を社員として雇い、自動車・半導体・電機の大手メーカーの開発現場へ送る。事務派遣・農業・介護も含む。
| 数量技術社員数(万人) | 価格1 人あたり年間売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.5 | 1,006 | 479 | 49 |
| 10 年後 中立 | 0.3 | 1,287 | 399 | 35 |
取り方:2025 年 12 月期のセグメント売上 479.25 億円を、技術社員 4,766 人(前年から 202 人増)で割り、1 人あたり約 1,006 万円とした。事務派遣・農業・介護の売上も含むので、技術者だけの単価ではない。人数は実質の量、1 人あたり売上は名目で、賃金に連れて物価並みに上がる。同じ領域のメイテックと同じ積み方。【AI エージェント代替】人月で売る型(売上の 91%)。10 年の数量は中立で今の 0.65 倍、価格は 1.28 倍。
グローバル(プラント設計・据付と海外の人材サービス)
プラント設備の設計・製作・据付・保守と、上海・台湾・ミャンマーでの人材サービス・人材育成。
| 数量従業員数(万人) | 価格1 人あたり年間売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 1,268 | 46 | 5 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 1,623 | 44 | 4 |
取り方:セグメント売上 46.14 億円を、従業員 364 人で割り、1 人あたり約 1,268 万円とした。請負やプラント工事の売上を含むので、人材サービスだけの単価ではない。営業利益は 5.33 億円(前年の 3.4 億円から増加)。【AI エージェント代替】人月で売る型(売上の 9%)。プラント設計と据付を含むので縮みをやや緩く、数量は中立で今の 0.75 倍、価格は 1.28 倍。
リスクと懸念
AI エージェント代替で工数の売り上げが縮む
売っているのは技術者の時間だ。設計の下書き、解析の準備、試験の自動化は AI エージェントが得意な仕事で、顧客が外部に頼む時間は減る。人数は今の 0.65 倍、単価は物価の 1.34 倍に届かない 1.28 倍と中立で置いた。成果で値段を決める契約へ移れた証拠は無い。利益率が低めなので、売上が縮むと利益の減り方が大きい。
採用の壁
若い人が減るなかで、技術者の採用競争は厳しさを増す。人数が増えなければ、売上は賃金の上昇分しか伸びない。採用費の増加で、利益率が下がる可能性もある。外国籍社員や新卒の採用を広げられるかが、成長の速さを決める。
顧客の開発費の波
顧客は自動車・半導体・電機の大手に集まる。景気が悪化すると、開発費が絞られ、外部の技術者から先に契約が減る。2009 年 12 月期は営業赤字になった。待機の技術者を抱えれば、利益率は一気に落ちる。
生成 AI による置き換え
設計や解析の定型作業を AI が肩代わりすれば、顧客が外へ頼む量が減る。技術者の単価が下がり、人数も減る。逆に AI を使いこなす技術者の価値が上がる面もあり、どちらに振れるか、10 年では確定しない。
派遣法など制度の変更
労働者派遣法が変われば、派遣の条件や費用が変わる。会社自身も有価証券報告書で、法改正を主なリスクに挙げている。同一労働同一賃金のような規制が強まれば、利益率を圧迫する。
利益率が伸びにくいこと
営業利益率は 10% 前後で、10 年以上ほとんど動いていない。グローバル事業の利益率は上がっているが、全体への影響は小さい。上期の営業利益は 9% 減り、計画の進みも遅れている。
新規事業の収益化
工業用ロボット・農業ロボット・介護・高齢者向け住宅などの新事業は、まだ小さく、利益の柱ではない。投資がかさむ割に収益が育たなければ、資本の使い方への評価が下がる。
今後の分かれ目
- AI エージェントを組み込んだ設計サービスで、金額の開示を伴う受注が出る
- 工数売りから成果売りへ移れた証拠になり、価格を物価並みに戻せる。やや楽観に近づく。
- 技術社員が年 200 人超のペースで増え続ける
- 人数の伸びが 10 年続く筋書きに近づき、やや楽観・楽観の確度が上がる。
- 技術社員の増加が止まる、または減る
- 売上は物価の上昇分しか伸びず、やや悲観に近づく。
- 稼働率や単価が下がり、営業利益率が 8% を割る
- 待機の技術者が増えている証拠で、悲観の筋書きに近づく。
- 生成 AI で顧客が設計の外注を減らす動きが広がる
- 単価と人数の両方が弱まり、やや悲観・悲観の確度が上がる。
- 配当性向を高め、現金を積み上げずに戻す
- ROE が高く保たれ、中立〜やや楽観の筋書きを後押しする。
見ておくもの
- 技術社員数の増減(四半期と期末)
- 稼働率と契約単価の開示
- 2026 年 12 月期の通期の達成(下期に営業利益が戻るか)
- 配当性向と自社株買いの方針
- グローバル事業の営業利益
倍率と資本コストの決め方
今の株価や過去・同業の倍率は見ずに、型ごとの数量・価格・利益率から 10 年後の利益を積み、倍率は式(正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g))で置いた。k は 7.5% に quality +1.00% を足した 8.50%、名目 g は人月・席の型で 0% 以下(設計技術者の工数売りで、エージェントが置き換える型)。自己資本は今の値に期間の純利益を足して還元を引いて流した。悲観の床は純現金の 6 割で、売れる資産の売却益は足していない。リースの会計は新基準で 2028/03 期から BS に載るが、10 年後の数字は今と同じ形にそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.76→14.81 倍・やや楽観 PER 11.76→14.81 倍・中立 PER 11.76→14.81 倍・やや悲観 PER 11.76→14.81 倍)。
資本コスト 6.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。