結論
城南進学研究社は、個別指導塾「城南コベッツ」と映像授業の校舎、27 園の保育園、大田区のスポーツクラブを営む教育の会社だ。売上は 56 億円、営業利益は 0.8 億円。前の期は 2 億円を超える赤字だったので、2 期ぶりの黒字である。筆者の結論は「割高」。事業は回復途上で、今の値段はその回復をかなり先取りしている。
回復の中身は固定費の削減だ。人件費、家賃、消耗品を絞った。売上は伸びていない。塾は教室の整理で減収が続き、増えているのは保育だけである。
筆者が評価するのは保育だ。定員がほぼ埋まり、公定価格(国が決める単価)で売上が読める。会社は園を 27 から 40〜60 へ増やす計画を持つ。ただ、買収で増やす分は価格の高さと運営の質に左右される。
塾は逆風が強い。少子化に加え、生成 AI が補習の需要を削る。この会社は過去 10 年で赤字の期が 9 回あり、利益を積み上げた実績がない。10 年で営業利益が 3 億円ほどになる姿を中立と置いても、現金と自己資本の厚みを考えると、今の時価総額には届かない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社に払うべき値段は「回復の確かさ」で決まる。
オーナーになって持ち続けたい事業かと問えば、答えは保育だけだ。保育は公定価格と定員で売上が見え、利益が安定する。塾は人手と家賃で稼ぐ商売で、AI の置き換えと少子化が重なる。10 年後に強くなっている保証がない。
利益の質も弱い。黒字化の原因は費用の削減で、売上の伸びではない。削れる費用は有限だ。
安全域は、純現金の 7 億円と自己資本 14 億円にある。ただ、現預金には前受けの授業料や保育の預り金が含まれ、すべてが株主のものではない。
経営の資本配分は、赤字の間に配当をやめ、黒字に戻して再開した。堅実だが、攻めの成果はこれから問われる。
筆者は、今の値段が 10 年先の回復の大半を前払いしていると見る。確かな堀が見えるまで、強気にはなれない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は三つある。塾、保育、スポーツクラブだ。
塾は売上の 3 分の 2 を占める。中心は個別指導の城南コベッツで、全国に 185 教室ほどある。直営に加え、フランチャイズ(加盟店)の教室が多い。加盟店からは、教材や商標の使用料が入る。中学生向けは 5 教科の指導を売り、小学生向けは「りんご塾」、高校生向けは推薦入試の対策を足す。映像授業の校舎もある。一方で、かつての基幹だった集団指導の城南予備校は 2020 年に終えている。
保育は売上の 4 分の 1 強で、小規模保育を中心に 27 園を運営する。定員の充足率は 99.8% と会社は説明し、全園が黒字だ。英語教室や育能教室もここに入る。
スポーツは子会社の久ケ原スポーツクラブが担う。東京都大田区で会員制のクラブを営み、学童保育も手がける。売上は 4 億円足らずだが、利益率は 12% と三つの中でいちばん高い。
セグメントは「教育」と「スポーツ」の二つしか開示されない。塾と保育の内訳は筆者の推定である。従業員は 394 人で、平均年収は 443 万円と低い。人件費を抑えて黒字を作った構図がここにも出る。
優良さと弱いところ
優良さは「並の下」と見る。堀と呼べるものは薄い。
個別指導は参入が容易な商売で、教室の質は講師と立地に左右される。コベッツは補習型から合格実績型へ衣替えを進めているが、まだ証明されていない。売上は 10 年で縮み、営業利益率は 2020 年以降、ほぼゼロの近辺だった。
強みは保育である。定員が埋まり、全園黒字という。公定価格で利益率は低いが安定する。もう一つの強みは財務で、現預金 18 億円に対し有利子負債は 13 億円と、純現金が 7 億円ある。
弱みは三つ。過去 10 年に赤字が 9 回。塾の教室整理が続いていること。リース債務や教室の家賃という固定費が重いことだ。
経営は赤字の続いた間に人員と家賃を削り、黒字へ戻した。収益構造の改革は評価できる。ただ、次に必要なのは削減でなく増収で、そこはまだ見えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
学習塾の市場は、子どもの数が減る中で成熟している。出生数は年に 1 〜 2% ずつ減る。それでも一人あたりの教育費は増えており、市場全体は横ばいが続いてきた。
個別指導は、集団塾よりも需要が底堅いとされる。学校の補習から受験対策まで幅が広いからだ。競合は、明光義塾、東京個別指導学院、ステップなど、規模の大きい同業が並ぶ。城南コベッツの 185 教室は、そうした大手の背中が遠い小さな規模である。
筆者が最も警戒するのは生成 AI だ。学校の宿題の解説と学習計画を、AI が安く出す。補習型の個別指導は、真っ先に置き換えを受ける。合格実績を売る塾は残るが、会社はその型に移る途中にある。
保育は別の世界だ。待機児童が減り、都市部でも定員割れの園が出る一方、小規模保育は公定価格で収入が決まる。人件費の上昇は、国の処遇改善で単価に反映されることが多い。ただ改定は遅れ、利益率は薄い。
業界の 10 年は、塾が縮み、保育が横ばいから緩やかな伸びという図になる。分かれ目は、人が付き添う指導にどこまで値が付くかだ。
資本政策と M&A
還元は小さく、方針も弱い。2025 年 3 月期は無配で、2026 年 3 月期は記念配を含めて再開した(総額 0.6 億円ほど)。配当性向は低く、利益で支える水準ではない。株主優待はクオカードで、5 単元以上が対象。費用は年 0.1 億円ほどと見る。
買収は保育に集中する。中期計画は 2028 年までに園を 40〜60 へ増やすと言う。買収の値段が高ければ、純現金 7 億円が先に減る。
借入は 13 億円で、保育園の取得と運営に使ってきた。金利が 3.5% へ上がると利払いは増えるが、現金も 2% で回るので、差し引きの影響は小さい。
最大の株主は有限会社シモムラで、32% を持つ。学研ホールディングスも 5% 弱を持つ。支配株主が大きく、第三者による買収は起きにくい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
保育の拡大が計画どおり進めば、利益の質が変わる。27 園が 50 園になり、定員充足率 99% 台が続けば、売上は 3 倍近くなる。小規模保育は設備が軽く、買収した園は黒字を続ける実績がある。待機児童が減っても、都市部の保育の質を求める親は多い。
塾は、合格実績を売る型へ変わることで底を打つ。推薦ラボは、総合型選抜(推薦入試)の対策で、大学受験の変化に合う。AI が一般の解説を安くするほど、人が付き添う指導の価値は相対的に上がる。コベッツのフランチャイズが 222 教室へ増えれば、固定費の少ない使用料収入が増える。
スポーツクラブは定員に近く、学童保育の需要も伸びている。これは営業利益率 12% を保つ。
会社は 2029 年 3 月期に営業利益率 10% を目指す。固定費を削った後の事業は、増収が利益に直結する。10 年で営業利益が 7 億円を超える姿は、荒唐無稽ではない。
配当も、利益が積み上がれば今の数倍になりうる。支配株主は還元に反対していない。
慎重な見方
黒字は削減の成果であり、事業の力ではない。売上は 10 年で 70 億円から 56 億円へ縮み、教育事業の営業利益率は 0.6% しかない。削る費用が尽きれば、赤字に戻る。
塾の需要は、少子化と AI の両方から削られる。個別指導は補習型が中心で、AI が最も早く置き換える分野だ。合格実績型へ移ると言うが、実績を出すには講師の質への投資が要り、削減の路線と相反する。
保育は買収で増やす計画だが、売り手は高い値段を求める。待機児童は減り、今後は定員割れの園が増える。公定価格の改定は人件費の上昇に遅れ、利益率は 1 桁の前半にとどまる。
園の運営は人が命で、保育士の採用難が続けば、定員を埋めても利益が出ない。
現預金の一部は前受けと預り金で、純現金 7 億円は見かけほど自由ではない。無配の期を挟み、10 年で赤字が 9 回ある会社に、高い倍率を払う根拠はない。回復が数字で確かめられてから評価しても遅くない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強いと判断した。保育の伸びは本物だが、塾の縮みと過去の赤字の多さが重い。確率は、中立に 38% を置き、やや悲観と悲観を合わせて 39% とした。強気はやや楽観まで含めて 23%。回復が確かめられれば上へ寄せるが、今は証拠が足りない。保育の拡大に株主の資本が使われる点も、慎重に見る材料である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 307 円25 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 76 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 194 円16 億円、今との差 −18.7%、 期待の年率 +4.9%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 889 円71 億円 | 149 円12 億円 | +336.4% | +15.9% | 73 円6 億円 |
| やや楽観 | 16% | 555 円45 億円 | 112 円9 億円 | +180.4% | +10.9% | 107 円9 億円 |
| 中立 | 38% | 330 円26 億円 | 87 円7 億円 | +75.2% | +5.8% | 158 円13 億円 |
| やや悲観 | 27% | 86 円7 億円 | 44 円4 億円 | −45.7% | −5.9% | 35 円3 億円 |
| 悲観 | 12% | 62 円5 億円 | 19 円2 億円 | −66.0% | −10.2% | 10 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 307 円25 億円 | 76 円6 億円 | +60.7% | +4.9% | 383 円31 億円 |
今の株価時価総額 238 円19 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 保育が 50 園に育ち、塾も底を打つ 利益 5 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 889 円71 億円
保育が 50 園に達し、売上は 37 億円を超える。公定価格は物価に近い 1.34 倍で改定され、小規模保育の黒字が積み上がる。
塾は合格実績型へ衣替えが成功し、生徒数の減りは 1 割にとどまる。フランチャイズが 220 教室を超え、使用料収入が固定費を覆う。
スポーツクラブは会員が定員に近く、価格が物価並みに上がる。営業利益は 7 億円台に乗り、会社が目標にした営業利益率 10% には届かないが近づく。
資本の使い方は、買収を続けながら配当も増やす形になる。AI が解説を安くするほど、人が付き添う指導の価値が上がる。
10 年後の会社は、保育と塾が並ぶ教育の中堅として、営業利益率 8% 台に近づいている。
- 学習塾(城南コベッツ・映像授業):数量 11,250(在籍生徒の延べ人数(推定・人))× 価格 0.00(生徒 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 45 億円・営業利益 3 億円。学習塾 数量 0.90 倍・価格 1.34 倍、利益率 7.0%
- 保育・幼少教育:数量 50.0(運営園数(園))× 価格 0.74(1 園あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 37 億円・営業利益 4 億円。保育・幼少教育 数量 1.85 倍・価格 1.34 倍、利益率 10.0%
- スポーツ・学童(久ケ原スポーツクラブ):数量 4,625(会員・利用者の延べ人数(推定・人))× 価格 0.00(1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。スポーツ・学童 数量 1.00 倍・価格 1.34 倍、利益率 13.0%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 20.9% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.4%、10 年より先の名目の伸び g 1.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.3 倍、時価総額 68 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:保育の拡大が計画どおりに進み、合格実績型の塾が育つ筋書き。過去の赤字の多さと AI の影響を考え、5〜10% の下の側に置いた。
やや楽観 16% 保育は伸び、塾は小さく縮む 利益 3 億円 · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 555 円45 億円
保育は 40 園ほどに増え、買収は計画より遅れる。公定価格は物価をわずかに下回って上がる。
塾の生徒数は 2 割減る。教室を整理して利益率は 5% に戻る。フランチャイズは緩やかに増え、使用料収入が下支えする。
スポーツクラブは今の水準を保つ。営業利益は 5 億円ほどで、10 年で今の 6 倍になる。
配当は今の水準から緩やかに増える。AI の影響は受けるが、合格実績型の教室に生徒が残る。
会社の中期計画は達成できないが、方向は正しかったと評価される姿である。園の買収は、価格の見合う案件に絞られる。
- 学習塾(城南コベッツ・映像授業):数量 10,000(在籍生徒の延べ人数(推定・人))× 価格 0.00(生徒 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 40 億円・営業利益 2 億円。学習塾 数量 0.80 倍・価格 1.34 倍、利益率 5.0%
- 保育・幼少教育:数量 40.0(運営園数(園))× 価格 0.73(1 園あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 2 億円。保育・幼少教育 数量 1.50 倍・価格 1.32 倍、利益率 8.0%
- スポーツ・学童(久ケ原スポーツクラブ):数量 4,394(会員・利用者の延べ人数(推定・人))× 価格 0.00(1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。スポーツ・学童 数量 0.95 倍・価格 1.34 倍、利益率 12.0%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.8% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.4%、10 年より先の名目の伸び g 1.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.0 倍。全体の PER 13.03 倍、時価総額 43 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:保育の拡大が計画の 7 割ほど進み、塾の縮みが抑えられる筋書き。回復の証拠が出始めているため 16% とした。
中立 38% 保育が支え、塾は縮む 利益 2 億円 · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 330 円26 億円
保育は 35 園ほどに増える。買収は計画より遅れ、公定価格は物価よりやや低く 1.30 倍になる。保育士の処遇改善は単価に反映されるが、反映は遅れる。
塾は AI と少子化で生徒数が 25% 減る。授業料は物価並みに上がるが、教室の固定費は減りにくい。営業利益率は 2.5% までしか戻らない。
スポーツクラブは会員が 1 割減り、価格が 1.34 倍。
営業利益は 3 億円で、会社の中期計画(2029 年 3 月期に営業利益率 10%)には届かない。配当は小さいまま、現金は園の買収に回る。
塾の教室は整理が進み、コベッツは加盟店が中心の軽い形になる。10 年先の会社は黒字を保つが、増収の力は弱い。
- 学習塾(城南コベッツ・映像授業):数量 9,375(在籍生徒の延べ人数(推定・人))× 価格 0.00(生徒 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 38 億円・営業利益 1 億円。学習塾 数量 0.75 倍・価格 1.34 倍、利益率 2.5%
- 保育・幼少教育:数量 35.0(運営園数(園))× 価格 0.72(1 園あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 25 億円・営業利益 2 億円。保育・幼少教育 数量 1.30 倍・価格 1.30 倍、利益率 6.5%
- スポーツ・学童(久ケ原スポーツクラブ):数量 4,162(会員・利用者の延べ人数(推定・人))× 価格 0.00(1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。スポーツ・学童 数量 0.90 倍・価格 1.34 倍、利益率 12.0%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.5% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 1.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.7 倍。全体の PER 12.74 倍、時価総額 26 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の 10% 目標に届かず、保育だけが伸びる中立の姿。過去の実績が弱いため、最も厚い確率を置いた。
やや悲観 27% 塾が縮み、保育も伸びない 利益 1 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 86 円7 億円
塾の生徒数は 35% 減る。授業料の値上げは物価に届かず 1.25 倍。教室の家賃は減らないため、営業利益率は 0.5% 前後に沈む。
保育は買収が止まり、34 園で足踏みする。公定価格の改定が人件費に追いつかず、利益率は 4% に下がる。
スポーツクラブは会員の減少と値上げの鈍化で利益率が 8% になる。営業利益は 1.4 億円。
配当は今より小さくなり、純現金は赤字の穴埋めと教室の撤退費用に使われる。
中期計画の目標は未達に終わり、保育の園数は計画の半分にも届かない。会社は黒字を保つが、資本の使い方の評価は下がる。
- 学習塾(城南コベッツ・映像授業):数量 8,125(在籍生徒の延べ人数(推定・人))× 価格 0.00(生徒 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 31 億円・営業利益 0 億円。学習塾 数量 0.65 倍・価格 1.25 倍、利益率 0.5%
- 保育・幼少教育:数量 32.0(運営園数(園))× 価格 0.69(1 園あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。保育・幼少教育 数量 1.20 倍・価格 1.25 倍、利益率 4.0%
- スポーツ・学童(久ケ原スポーツクラブ):数量 3,931(会員・利用者の延べ人数(推定・人))× 価格 0.00(1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。スポーツ・学童 数量 0.85 倍・価格 1.20 倍、利益率 8.0%
倍率:ROE 5% で k を下回り、ためた利益は額面未満の価値。稼ぐ力は式の上限 11.4 倍より低く、構造的に弱い姿として 7.5 倍。
確率:塾の縮みが速く、保育の買収が進まない筋書き。赤字の多さと AI の影響を重く見て、27% とした。
悲観 12% 塾が崩れ、赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 62 円5 億円
AI が補習の標準になり、塾の生徒数は 6 割減る。授業料は 1.10 倍にとどまる。教室の撤退と家賃の約束が残り、塾は赤字が続く。
保育は買収した園の運営がつまずき、園を減らす。利益はゼロ近辺。
スポーツクラブは黒字を保つが、規模は小さい。営業損益は 1 億円ほどの赤字で、自己資本は減損で減る。
稼ぐ力に値は付かず、現金と売れる資産が床になる。配当はほぼ出なくなる。
支配株主が会社を非公開にする、あるいは事業を売却するという展開もありうる。ただ、その際の値は純現金と資産の売却額に近く、今の時価総額を下回る。
- 学習塾(城南コベッツ・映像授業):数量 5,000(在籍生徒の延べ人数(推定・人))× 価格 0.00(生徒 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 −1 億円。学習塾 数量 0.40 倍・価格 1.10 倍、利益率 -6.0%
- 保育・幼少教育:数量 24.0(運営園数(園))× 価格 0.61(1 園あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。保育・幼少教育 数量 0.90 倍・価格 1.10 倍、利益率 0.0%
- スポーツ・学童(久ケ原スポーツクラブ):数量 3,238(会員・利用者の延べ人数(推定・人))× 価格 0.00(1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。スポーツ・学童 数量 0.70 倍・価格 1.10 倍、利益率 3.0%
倍率:稼ぐ力では値が付かず、売れる資産が床になる。減損で自己資本を 9 億円に落とし、PBR 0.55 倍で床の近くに置いた。
確率:構造的に負ける筋書き。AI が補習を置き換え、保育の買収が失敗に終わる。赤字が 9 回ある実績から 12% とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
学習塾(城南コベッツ・映像授業)
個別指導の城南コベッツ(直営とフランチャイズ)と、映像授業の校舎。補習から合格実績型へ軸足を移している。
| 数量在籍生徒の延べ人数(推定・人) | 価格生徒 1 人あたり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 12,500 | 0.00 | 38 | −1 |
| 10 年後 中立 | 9,375 | 0.00 | 38 | 1 |
取り方:教育事業の売上 52.5 億円(開示)のうち、保育・幼少教育を 15 億円と推定して残りを学習塾とした。生徒数は開示がなく、1 人あたり年 30 万円の推定で割った人数。フランチャイズの収入も混ざるため、数量は目安。営業利益は教育事業全体の 0.33 億円を保育の黒字 0.83 億円との差で配分した推定。
保育・幼少教育
小規模保育を中心に 27 園を運営し、英語教室や育能教室も持つ。定員がほぼ埋まり、全園黒字と会社は説明する。
| 数量運営園数(園) | 価格1 園あたり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 27.0 | 0.56 | 15 | 1 |
| 10 年後 中立 | 35.0 | 0.72 | 25 | 2 |
取り方:運営 27 園(会社資料)。保育・幼少教育の売上は開示がなく 15 億円と推定し、1 園あたり 0.56 億円とした。園の売上は公定価格(国が決める単価)と定員で決まる。営業利益は 5.5% 前後の推定。
スポーツ・学童(久ケ原スポーツクラブ)
東京都大田区の会員制スポーツクラブと学童保育。会員は定員に近い。
| 数量会員・利用者の延べ人数(推定・人) | 価格1 人あたり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,625 | 0.00 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4,162 | 0.00 | 5 | 1 |
取り方:スポーツ事業の売上 3.7 億円、営業利益 0.44 億円(開示)。会員数は開示がなく、1 人あたり年 8 万円の推定で割った人数。
リスクと懸念
赤字への逆戻り
黒字は人件費と家賃の削減で得た。削れる費用は有限で、売上が伸びなければ営業損益はすぐにゼロ近辺へ戻る。過去 10 年に赤字が 9 回あり、自己資本は 10 年で 44 億円から 14 億円へ減った。
AI エージェントによる補習の置き換え
個別指導の補習は、解説と学習計画を AI が安く出すことで需要を失う。人の時間で売る型の事業で、生徒数が減るだけでなく、授業料の値上げもしにくくなる。
少子化
出生数は年に 1〜2% ずつ減る。個別指導は一人あたりの単価で補ってきたが、教室の固定費は生徒が減っても減らない。都市部以外では教室の整理が続く。
保育の買収の実行
園を 27 から 40〜60 へ増やす計画は、買収が中心だ。買収価格が高く、運営の質が保てなければ、純現金 7 億円が減る。待機児童が減り、定員割れの園が増える点にも注意が要る。
現金の自由度
現預金には前受けの授業料と預り金が含まれる。有利子負債と家賃の約束もあり、純現金の 7 億円を自由に使えると見ない。
支配株主と少数株主
有限会社シモムラが 32% を持つ。経営の方向は支配株主の意向で決まり、少数株主は買収の機会にも還元の拡大にも期待しにくい。
今後の分かれ目
- 保育園が 2028 年までに 40 園を超え、全園黒字を保つ
- 利益の質が上がり、やや楽観以上の筋書きへ確率を寄せる。
- 城南コベッツの教室数が減り続け、新規のフランチャイズが増えない
- 塾の縮みが加速する筋書きに寄る。固定費が残り、営業損益は赤字に戻る。
- 営業利益率が 2029 年 3 月期に 5% を超える
- 削減でなく増収で稼ぐ力が出たと判断でき、中立の利益を上げる。
- 保育園の買収で多額の借入や特別損失が出る
- 純現金が減り、悲観の床が下がる。
- 合格実績型への転換が数字(実績・生徒数)に出る
- 補習型の AI 代替リスクが薄れ、塾の数量を上方に見直す。
見ておくもの
- 保育園の運営園数と定員充足率
- 城南コベッツの教室数と生徒数
- 営業利益率(中期計画の 10% への道筋)
- 有利子負債と現預金の差
- 配当と株主優待の方針
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から決めた。g は 0 とし、ROE が k を超える筋書きでは 1÷k を下限・上限に置いた。AI による置き換えと少子化を g に入れ、数量と k にも入れたので、重ねすぎないよう寿命は +1.0% にとどめた。今の株価は倍率の根拠にしていない。中立の ROE は k のすぐ上になったが、利益率を逆算して置いたものではない。新リース会計基準で教室の家賃が BS に載る影響は、今と同じ形にそろえて置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.8→13.3 倍・やや楽観 PER 11.5→13.03 倍・中立 PER 11.4→12.74 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.25% = 8.75%。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 9.00%。