結論
WASHハウスは、コインランドリーの出店をフランチャイズ方式で支援し、開業後の清掃、遠隔監視、機器保守を一括して引き受ける会社である。筆者の結論は「割高」だ。店舗管理料が積み上がる仕組みは魅力的だが、店舗数が減り、稼いだ利益も資本コストを大きく下回っている。2035年末までの利益と株主還元を現在に引き直すと、本質価値は約7.8億円となり、基準時点の時価総額約18.1億円を大きく下回る。
2025年末の国内店舗数は571店だった。2026年9月末には561店となり、2026年上期のFC新規出店は1店にとどまった。会社は年度内30店の新規FC出店を掲げるものの、既存店の退出と直営化も進んでいる。新規パッケージ販売が増えるだけでなく、開業後の長期契約を増やせるかが10年先の価値を左右する。
2025年の売上高25.3億円には、新しく始めたコンテナ事業の4.0億円が含まれる。本来のランドリー事業はほぼ損益均衡で、2026年上期には赤字に転じた。アプリの広告、海外展開、自社製ランドリー機器は上振れの種だが、利益を証明した柱とはまだ言えない。事業が続くことと、株主の資本が十分に増えることを分けて判断したい。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、ランドリー事業の良さは需要の寿命の長さにある。洗濯物を乾燥させる行為そのものがAIに代替されることはなく、便利な立地、清潔な店、確実に動く機械には十年後も対価が支払われる。オーナーに代わり店を管理する仕組みも一度築けば簡単には消えない。ただし「店が必要である」ことと「この本部が高い利益率を保てる」ことは別である。
筆者が最も重視するのは、新たなFC1店から得る開業時利益と、その後の管理料の現在価値が、営業活動・保守・本部人件費と必要資金をどれだけ上回るかだ。これが資本コストを超えなければ、増店は売上の拡大であって株主価値の拡大ではない。直営店舗やコンテナ施設の更新には現金が必要で、会計上の償却よりも実際の再投資支出が重くなる年もある。
管理店舗の減少とROEの低さは、現在の経営に厳しい答えを出している。アプリ利用者数は資産だが、広告主の継続支出、利用当たり収益、解約率の数字が揃うまで高い価値を付けない。海外FCの成功も、契約数と利益で証明されるまでは上振れにとどめる。目先の純資産の厚さを根拠に買うのでなく、株主に現金が残る経済性が確認され、価格にも十分な安全域があるかを問う会社である。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの入口は二つある。加盟希望者が開業するときに、洗濯機・乾燥機、内装などを組み合わせた「WASHハウスパッケージ」を販売するのがFC部門だ。開業後はFC本部がオーナーに代わり、毎日の清掃、洗剤補充、点検、24時間のコールセンター、機器の遠隔操作を担う。FCオーナーからの定額管理料などに加え、直営店では来店客から洗濯・乾燥料金を受け取る。
2025年のFC部門売上は3.59億円で、新規7店と改装20店が主な販売機会だった。店舗運営部門は17.66億円を稼いだ。FC管理にかかる月額料金の標準例は1店約14万~15万円であり、直営店の利用料金や消耗品、光熱費関連の手数料、アプリ広告なども店舗運営部門に含まれる。したがって全店の売上をそのまま親会社の売上と見るのは誤りである。FC店の洗濯料金は原則として加盟店側の経済活動だ。
第二の柱を目指すコンテナ事業では、トレーラー型ホテル「1NLDK」や復興工事作業員向け宿舎を販売・運営する。2025年に4.02億円の売上を計上したが、2026年上期は施設の引渡し遅延もあり0.46億円に減った。資本を使う案件販売と小口の運営収入は、同じ売上でも継続性が違う。
WASHハウスアプリは決済、予約、クーポン、スポンサー広告を備え、2026年上期末で累計127万ダウンロードに達した。これは店頭の実需から利用者との接点をつくる仕組みであり、一般の広告代理店や席課金ソフトとは収益の性質が異なる。ただし広告収入は独立開示されず、全社利益を押し上げる実力はまだ測りにくい。
優良さと弱いところ
競争上の長所は、無人店舗を有人店に近い品質で運営する仕組みにある。遠隔カメラ・機器制御、清掃人員の手配、24時間の問合せ対応を加盟店ごとに一から整えるのは手間がかかる。FCオーナーが運営を丸ごと任せられることは、本部を変えにくくする一定の強みだ。店舗網が密な九州では巡回や広告の共同化にも利点がある。
しかし、これは独占的な堀ではない。無人機器や決済システムは他社も購入でき、消費者は近い店や料金の安い店を選べる。2025年に新規7店に対して退店19店、2026年上期もFC店舗が499店から484店に減った事実は、契約の粘着性と新規獲得力が万能でないことを示す。値上げしても加盟店が離れないという定量的な実績も確認できない。
より厳しいのは資本効率だ。2019~2021年には連続して営業赤字を出し、2025年の営業利益率は1%未満、ROEも1%に満たない。自己資本が約17億円あるのに、そこから継続して十分な利益を稼げていない。全店運営の仕組みが本物の堀なら、増分の出店が高い投下資本利益率につながる証拠が要る。現段階では「仕組みはあるが、経済的な堀は狭い」と評価する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のコインランドリーは、共働き、布団・大型洗濯物の乾燥需要、花粉や長雨への対処で長く必要とされる。会社の事業説明では国内約2万8,000店、利用率約9%としている。ただし市場全体の店舗数の伸びが、そのまま各店の利益を増やすわけではない。新店が既存店の商圏に重なれば、1店あたりの利用回数は減り、オーナーの投資採算が悪化する。
WASHハウスの国内シェアは2025年末の店舗数で約2%にすぎない。独立店が多く、コインランドリーピエロは2026年10月時点で約740店超、マンマチャオは約530店、ブルースカイランドリーも400店超を展開する。ピエロやブルースカイが増店した期間に、WASHハウスの管理店舗数は減少した。したがって中立では市場が緩やかに広がっても同社のシェアは低下すると考える。
料金は物価上昇を転嫁できる余地があるが、水道、ガス、電力、家賃、機械の更新費も上がる。加盟店が負担する固定費が重くなるほど本部の管理料にも見直し圧力がかかる。旧設備の減価償却費は過去の取得原価のままでも、新規設備の償却と将来の更新投資は高い価格になる。国内人口の縮小に加えて、家庭用乾燥機の普及や店舗の過密が顧客数を抑える可能性がある。
中国・青島での出店やタイへの展開は市場を広げる選択肢だが、現地の水質、電源、洗濯習慣、規制に合わせる必要がある。国内で通用したFCの採算が海外でも通用するとは限らない。広告による洗濯料金の無料化も、スポンサーが継続的に支払うだけの実利用と効果測定が確立して初めて価値になる。
資本政策と M&A
資本配分は今の会社を評価する最大の難所である。上場前後に店舗を増やしたが、その後の営業赤字と店舗網の縮小で、投下した資本に見合う株主利益を継続して生んでいない。近年は自社製洗濯機、宮崎の関連設備、中国・タイの事業基盤、コンテナホテルへ再投資先を広げている。分散が新しい収益源を生む可能性はある一方、利益率の薄い本業から資金と経営資源を奪う危険もある。大型買収の確定案件は確認できず、現段階では買収による急拡大を中心筋書きにしない。
2026年3月公表の事業計画で示された定量目標は、2026年12月期の売上高34.39億円、営業利益1.95億円、純利益0.86億円、FC新規出店30店と期末総数601店である。複数年の売上・ROEの確約、配当性向・DOE・総還元性向、自社株買い額については数字の約束がない。2026年の予想配当もゼロであり、株主還元を成長の当然の結果として織り込まない。
2026年9月には最大135万株相当の第14回新株予約権を、行使実績ゼロのまま取得・消却する方針を決めた。これは既存株主にとって希薄化懸念の後退である。一方、2026年上期には借入が増え、営業・投資キャッシュフローがともに流出した。社長と資産管理会社の保有比率は合計約50%であり、少数株主には設備投資の規律と将来の資金調達方針の監視が欠かせない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
全店一括管理運営方式は、個人オーナーが最も苦手とする日々の清掃、故障対応、クレーム処理を本部が肩代わりする。直営とFCを同じ水準で管理できる網を持つことは、地方の小規模な競合が模倣しにくい。九州で築いた巡回管理の密度を関西や新興地域に移せれば、店舗数の増加に比例して管理料が増える一方、コールセンターや本社の費用はそれほど増えず、利益率が改善する。
標準的な開業パッケージは約1,900万円で、FC1店の出店は機器販売の利益と将来の管理料を同時に生む。過去のように多数の店を一度に開くことができなくても、年間20~35件程度へ戻すだけで利益の姿は大きく変わる。自社開発の洗濯機・乾燥機が機器調達費を下げ、消耗品と修繕の内製化も進めば、加盟店にも本部にも利益が残る。
アプリの累計ダウンロードは既に100万件を超え、洗濯という目的を持った利用者に直接届く広告面がある。一般のネット広告と違い、実店舗で機器を使うたびに接点が生まれる。広告主との取引が継続し、海外の青島・タイでも現地の生活習慣に合う店を展開できれば、10年後には機器販売だけに依存しない事業へ変わる。
慎重な見方
この会社の店舗網はすでに縮んでいる。2025年は新店7に対して退店19、2026年上期はFC新店が1にとどまり、9月末の全店数も前年末を下回った。投資家にとって問題なのは景気による一時的な足踏みではなく、加盟オーナーが投資額に見合う収益を得られず更新や再出店を見送る構造が続く可能性だ。FC本部は加盟店が減ると継続管理料を失い、清掃・巡回やシステムの固定費だけが残りやすい。
2025年の営業利益はわずか0.19億円だった。2026年上期には営業損失0.94億円を計上し、通期目標を達成するには下期の急回復が必要となった。直営店の家賃と設備費、加盟店支援の人件費、中国・タイ・コンテナの立上げ費が同時に膨らめば、売上増は現金増を伴わない。親会社が保有する貸付債権や店舗資産も、額面どおりに自由に株主へ戻せる現金ではない。
全国のコインランドリーは近くて安い店を選ぶ商売であり、大きなシステムの特許だけで利用者を囲い込めない。首都圏ではピエロ、地方ではブルースカイランドリーなどが出店を増やす。AIによって遠隔問い合わせ対応が安くなれば自社の効率化に役立つ半面、他社も同じ技術を買える。加盟店が月額の運営受託料の値下げを求めれば、既存の管理収益の優位は薄れる。
どちらに重みを置いたか
実店舗の需要とFC管理の継続性は評価する。ただし、長期の出店実績、低いROE、2026年上期の赤字という実証的な材料は慎重な見方を強く支持する。確率は楽観側30%に対し、やや悲観と悲観を合わせて37%とし、中立33%を厚くした。会社計画を丸ごと信じるのではなく、回復しても資本コストに届かない場合を中心に考える。株主価値が大幅に増えるには、出店回復と利益率改善の両方を実績で示す必要がある。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 248 円17 億円(+ 還元の換算額還元の合計 5 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 113 円8 億円、今との差 −54.6%、 期待の年率 +0.2%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 718 円50 億円 | 29 円2 億円 | +199.9% | +11.9% | 90 円6 億円 |
| やや楽観 | 18% | 391 円27 億円 | 7 円1 億円 | +59.8% | +4.9% | 72 円5 億円 |
| 中立 | 33% | 195 円14 億円 | 0 円0 億円 | −21.5% | −2.4% | 64 円4 億円 |
| やや悲観 | 23% | 79 円6 億円 | 0 円0 億円 | −68.1% | −10.8% | 18 円1 億円 |
| 悲観 | 14% | 65 円5 億円 | 0 円0 億円 | −73.8% | −12.5% | 9 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 248 円17 億円 | 5 円0 億円 | +1.7% | +0.2% | 253 円18 億円 |
今の株価時価総額 249 円17 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 管理網を再拡大し、機器と媒体でも採算改善 利益 4 億円 · PER 12.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 718 円50 億円
関西の営業拠点が成果を上げ、国内FCの新規出店は年35件、更新は45件へ広がる。閉店を差し引いても管理店舗数が840店まで増え、直営店を含めた全店一括管理の効率が向上する。自社開発の洗濯・乾燥機が調達費を抑え、保守の標準化でオーナーも本部も利益率を高める。
アプリは単なる決済用から実需に直結した広告媒体として認められ、スポンサー収入が店舗維持費を一部肩代わりする。青島・タイでは数十店規模のFC事業に育ち、国内の成長を補う。ただし広告制作を人月で受託する事業へ変わるわけではなく、自社媒体枠と店舗の利用接点が収入源となる。
コンテナ事業は単発販売に偏らず、ホテルと宿舎の運営を広げる。店の建物や機器は更新投資を要し、2035年の償却費を約2.6億円まで見込むが、費用の規模を超えて管理料と開業パッケージの利益が増える。株主還元も部分的に始まり、利益を伸ばしながら自己資本効率が資本コストを超える。
- FC新店・更新パッケージ:数量 80.0(新規出店+全面改装・機器更新の実行件数(件/年))× 価格 0.20(1件当たり本部売上(億円/件、案件構成により変動))→ 売上 16 億円・営業利益 3 億円。新規35件+改装45件。パッケージ平均単価は2025年の標準新店・改装の混合に物価を反映。
- FC一括管理・直営店舗・自社アプリ媒体:数量 840(期末の管理・直営店舗数(店、全店を一括管理))× 価格 0.04(1管理店舗当たり年間連結売上(億円/店、FC・直営構成込み))→ 売上 35 億円・営業利益 3 億円。国内外を含む840店の管理網とアプリの利用率向上。混合単価は名目で約34%増。
- コンテナホテル・宿舎販売と運営:数量 6.0(代表的施設群の等価件数(案件群/年、推計))× 価格 1.42(施設群1件当たり販売・運営収入の混合値(億円/件、推計))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。販売・宿泊運営の年間6施設群相当。案件進行が順調で利益率12%。
倍率:ROE=4.00÷32.0=12.5%、k=8.5%、弱い堀の残存率1/3でRONIC約9.83%。g_long=2.5%からPER=(1−g/RONIC)/(k−g)=12.43倍の上限を採用。自己資本は期首17.4+累計純利益16.6−還元2.0≒32.0億円。
確率:海外と国内のFC開拓、機器内製化、店舗管理の採算改善が同時に進む必要がある。直近の出店低迷と投資負担から、可能性は認めつつ低めの12%とする。
やや楽観 18% 国内のFC回復と経費改善が定着 利益 2 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 391 円27 億円
新規FC出店は年20件、改装と機器更新は年32件となる。退店を抑えて管理店舗数を680店まで増やし、加盟店からの定額管理収入を積み上げる。直営店の立地を選別し、採算の悪い店の改装を急がないことで営業キャッシュを守る。設備更新費用は物価上昇により増えるが、既存設備の償却は過去の取得価格で続くため、短期的には利益率が回復する。
アプリ広告と自社機器は本業の補完にとどまるものの、実店舗を使う利用者への継続的な接点が顧客の維持に貢献する。新しいホテルや宿舎も案件を選別し、コンテナ施設群が年5件相当となる。海外FCは進むが、新しい地域を一気に埋めるほどの速度にはならない。
管理部門の人件費・システム費を売上より緩やかに増やし、ランドリー事業の赤字を抜ける。2035年の償却費は約2.2億円、更新投資はその額を上回る年もあり、株主還元は小規模にとどまる。株主価値は改善するが、画期的な独占利益までは見込めない。
- FC新店・更新パッケージ:数量 52.0(新規出店+全面改装・機器更新の実行件数(件/年))× 価格 0.19(1件当たり本部売上(億円/件、案件構成により変動))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。新規20件+改装32件。名目価格は新店・改装の構成差込みで計算。
- FC一括管理・直営店舗・自社アプリ媒体:数量 680(期末の管理・直営店舗数(店、全店を一括管理))× 価格 0.04(1管理店舗当たり年間連結売上(億円/店、FC・直営構成込み))→ 売上 27 億円・営業利益 2 億円。管理680店。料金は物価上昇分の一部を転嫁し、実質収入は大きく伸びない。
- コンテナホテル・宿舎販売と運営:数量 5.0(代表的施設群の等価件数(案件群/年、推計))× 価格 1.24(施設群1件当たり販売・運営収入の混合値(億円/件、推計))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。年間5施設群相当。販売と運営の構成が安定し、営業利益率10%。
倍率:ROE=2.30÷28.1=8.2%がk=8.5%を下回るため、PERは稼ぐ力の上限1÷k=11.765倍。2025年末自己資本17.4+期間累計純利益約11.2−還元0.5=28.1億円。市場の倍率からは決めない。
確率:出店と更新案件の回復は現実的にありうるが、2026年上期の低迷から利益率回復には時間がかかるため18%とする。
中立 33% 店数はおおむね横ばい、利益率が部分回復 利益 1 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 195 円14 億円
国内全体のランドリー店舗数は緩やかに増えるが、出店の激しい競争が続く。WASHハウスは新規FCを年12件、既存改装を24件まで立て直す。しかし、退店も続くため、管理店舗は2035年でも約570店と現在並みにとどまる。市場全体に対するシェアは少し下がり、従来のような規模拡大を成長の中心にはできない。
FC向けパッケージは改装案件の比率が高いままで、売上は名目価格上昇と案件数回復で増える。店舗運営では人件費と光熱費が上昇する一方、値上げと共通費の抑制が効き、赤字部門を黒字に戻す。アプリ広告は小さな付帯収入となるが、洗濯料金の無料化を実現するほどの広告主負担は得られない。コンテナも継続収入と単発の販売案件を合わせた補完事業にとどまる。
2026年上期の赤字を出発点として回復に数年を要し、2035年の営業利益率は約6.6%になる。償却費は約1.8億円、設備と施設の更新に必要な現金は別に確保する。純利益は資本コストを上回るには小さく、当面無配のまま自己資本がゆっくり増える。
- FC新店・更新パッケージ:数量 36.0(新規出店+全面改装・機器更新の実行件数(件/年))× 価格 0.19(1件当たり本部売上(億円/件、案件構成により変動))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。新規12件+改装24件。会社の開示を上回る量的回復だが、かつての多数出店には戻らない。
- FC一括管理・直営店舗・自社アプリ媒体:数量 570(期末の管理・直営店舗数(店、全店を一括管理))× 価格 0.04(1管理店舗当たり年間連結売上(億円/店、FC・直営構成込み))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。約570店と現状維持、名目1店当たり売上は約29%増。価格は物価をやや下回る。
- コンテナホテル・宿舎販売と運営:数量 4.0(代表的施設群の等価件数(案件群/年、推計))× 価格 1.12(施設群1件当たり販売・運営収入の混合値(億円/件、推計))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。年間4施設群相当。単価は案件構成の悪化で物価ほど上昇しない。
倍率:ROE=1.15÷21.8=5.3%とk=8.5%を下回るため、成長に超過利益を付けずPER上限1÷k=11.765倍。自己資本は17.4+10年累計純利益4.4−還元0≒21.8億円。販売金融の金利、管理部門固定費、償却費を純利益に反映。
確率:会社の過去3年の出店数は少なく、2026年上期も新店1にとどまった。急拡大を中心にせず、更新と管理収入で利益を回復する道筋を最も厚い33%とする。
やや悲観 23% 退店が続き、管理収益の回復が遅れる 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 79 円6 億円
新規FC出店は年4件に低迷し、既存店の更新は年16件にとどまる。閉店と直営への引取りが新規店を上回り、管理店舗は470店まで減る。巡回清掃や遠隔センターの固定費が残り、店舗運営から得られる利益はほとんどない。加盟店が収益性を守るために管理料の引下げや契約条件の変更を求め、名目単価も物価上昇を十分に追えない。
広告主は利用者の実数と購買効果を厳しく測り、アプリのダウンロード数だけでは収入が増えない。コンテナ事業は販売物件の入替りが大きく、運営収入の増加では大型案件の不足を補えない。海外FCへの投資は継続するが、十分な加盟店数を得られず、累積費用が重いままとなる。
2035年にかろうじて黒字化するが、10年間の損益累計はマイナスで、自己資本は減少する。更新投資を抑えるため機器が古くなり、次の10年の競争力にも疑問が残る。事業の存続価値だけでなく、回収可能な貸付金と店舗資産を基礎に資産価値を慎重に見る。
- FC新店・更新パッケージ:数量 20.0(新規出店+全面改装・機器更新の実行件数(件/年))× 価格 0.17(1件当たり本部売上(億円/件、案件構成により変動))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。新規4件+改装16件。加盟店の投資採算悪化で案件数が減る。
- FC一括管理・直営店舗・自社アプリ媒体:数量 470(期末の管理・直営店舗数(店、全店を一括管理))× 価格 0.04(1管理店舗当たり年間連結売上(億円/店、FC・直営構成込み))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。470店。管理料値上げの難しさと直営既存店の客数減を考慮。
- コンテナホテル・宿舎販売と運営:数量 3.0(代表的施設群の等価件数(案件群/年、推計))× 価格 0.92(施設群1件当たり販売・運営収入の混合値(億円/件、推計))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。年3施設群相当。高額の販売案件が乏しく単価が低下する。
倍率:2035年のROEは純利益0.05億円÷自己資本15.4億円で約0.3%にとどまり、純利益÷資本コスト8.5%による稼ぐ力は約0.59億円しかない。収益倍率ではなく売却可能資産の税・処分費控除後の純回収価値約5.5億円を採用する。表示上のPBR0.3161倍は2025年末の自己資本17.4億円を分母とした結果であり、2035年までに積み上げた自己資本や過去の市場PBRを基準にしていない。
確率:退店超過と低調な新店、進出投資の負担が継続する可能性は具体的にある。会社固有の下振れ要因から23%とする。
悲観 14% 管理基盤の縮小と投資失敗で優良さを喪失 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 65 円5 億円
FC加盟希望者が戻らず、新規出店は年1件、更新も年10件となる。既存加盟店の設備更新負担が重くなり、採算の悪い店舗から閉鎖が続く。管理店舗は350店まで減り、九州の密集地域でも共同巡回の効率が落ちる。直営店では利用料金を十分に上げられず、家賃、清掃、電力、機械の故障対応費が利益を圧迫する。
アプリのスポンサー広告は他の店に移る客や加盟店の減少とともに細る。遠隔サポートの一般化で他社との差も縮まる。青島・タイでの拡大は損失を生み、コンテナ施設は十分な売却益を得られず減損を伴う。継続的な新規開店と多角化の両方に失敗したため、競争優位を前提にした値付けはできない。
2035年も営業赤字で、資金の流出が自己資本を減らす。事業の利益に永久の成長倍率を掛ける価値はなく、建物や貸付金の処分可能額から保証金・借入などの債務を差し引いた残余だけを考える。会社が持続する可能性は残すが、少数株主が帳簿純資産をそのまま回収できるとは考えない。
- FC新店・更新パッケージ:数量 11.0(新規出店+全面改装・機器更新の実行件数(件/年))× 価格 0.16(1件当たり本部売上(億円/件、案件構成により変動))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。新規1件+改装10件。構造的なFC離れにより売上が縮小。
- FC一括管理・直営店舗・自社アプリ媒体:数量 350(期末の管理・直営店舗数(店、全店を一括管理))× 価格 0.03(1管理店舗当たり年間連結売上(億円/店、FC・直営構成込み))→ 売上 11 億円・営業利益 −1 億円。350店。利用者を失い名目単価もほぼ据置、実質は大きく下落。
- コンテナホテル・宿舎販売と運営:数量 2.0(代表的施設群の等価件数(案件群/年、推計))× 価格 0.75(施設群1件当たり販売・運営収入の混合値(億円/件、推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。年2施設群相当。販売不振と稼働率低下で赤字化。
倍率:純利益▲1.25億円で収益倍率は使えない。清算可能価値約4.5億円を下限として、2025年末の親会社自己資本17.4億円×PBR0.26=4.524億円で評価する。今の自己資本を分母に使い、期間損失で減った2035年の帳簿6.8億円には掛けない。
確率:加盟店の退店が止まらず、海外やコンテナの投資損が重なる複合的な失敗であり、必然ではないが14%は残す。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
FC新店・更新パッケージ
新規開業時の機器一式・加盟金と、既存店舗の改装・機器更新等を販売するフロー収入。
| 数量新規出店+全面改装・機器更新の実行件数(件/年) | 価格1件当たり本部売上(億円/件、案件構成により変動) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 27.0 | 0.13 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 36.0 | 0.19 | 7 | 1 |
取り方:2025年のFC部門売上359百万円、新規開業7店、改装20店(2025年度決算説明資料・有報)。2026年の成長可能性資料には郊外型パッケージの例として1,900万円/新店を明示。7件×0.19億円=1.33億円、差額2.26億円を20件の改装・増設、加盟金その他の売上にまとめた等価額として計算し、全27件当たり0.133億円とした。改装の実際の契約単価は非開示である。op_okuはランドリー全体営業損失0.06億円をFC0.30、運営▲0.36と推計配賦したもので、部門別営業利益の会社開示ではない。
FC一括管理・直営店舗・自社アプリ媒体
FC管理の定額料金、清掃・補充、直営店の洗濯利用料、手数料および自社アプリ広告・決済の関連収入。
| 数量期末の管理・直営店舗数(店、全店を一括管理) | 価格1管理店舗当たり年間連結売上(億円/店、FC・直営構成込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 571 | 0.03 | 18 | 0 |
| 10 年後 中立 | 570 | 0.04 | 23 | 1 |
取り方:2025年店舗運営部門売上1,766百万円。期末のFC499店・直営72店、合計571店。FC1店の本部への月額標準費用約14万~15万円から中点14.5万円×12×499店≒8.68億円、残り約8.98億円を直営の利用料金、物販・手数料、自社アプリ広告等とみなす。広告売上は独立非開示であるため事業分割を仮装しない。全571店で割った年0.030928億円はFCと直営の混合単価。FC受託は人月ではなく1店定額で、清掃・保守を含む現場サービス。コールセンターの事務部分にはAIエージェント代替による価格圧力があり、アプリ広告は自社媒体広告枠の型に該当する。
コンテナホテル・宿舎販売と運営
ホテルや復興工事宿舎のコンテナ施設の販売・運営・貸付収入で、引渡しの時期に左右される。
| 数量代表的施設群の等価件数(案件群/年、推計) | 価格施設群1件当たり販売・運営収入の混合値(億円/件、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3.0 | 1.34 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 1.12 | 4 | 0 |
取り方:2025年のコンテナ事業売上402百万円・セグメント営業利益25百万円が実績。2025年開業のホテル1NLDK2拠点と輪島市の復興作業員宿舎を、実際の引渡し棟数ではなく代表的な3施設群とみなす推計単位を使用。1施設群当たり1.34億円は開示価格ではない。施設別売上・契約棟数が非開示のため、受注・開業実績を使った幅の大きい数量仮定であり、将来の案件数と単価の両方に大きな不確実性がある。
リスクと懸念
FC出店とオーナー採算の停滞
2025年に新規7店に対し退店19店、2026年上期には新規1店でFC残高は15店減った。管理料は店舗数に連動するため、オーナーの投資採算が悪化して新規開業・更新が止まれば、売上のフロー収入と継続収入が同時に減る。住宅地の商圏重複や空き物件不足も加盟店の利回りを下げる。
固定費、更新投資と金利
直営店の賃料・清掃費・コールセンター費用は、利用回数が減ってもすぐには消えない。2025年の償却費約1.59億円に対し、物価が上がった後の機器交換には名目でより大きな現金が必要になる。2026年上期には現預金が減って借入が増えた。今後の借換金利3%台も資金繰りを圧迫する。
コンテナの案件偏重
2025年に4.02億円の売上を生んだコンテナ事業は、2026年上期には0.46億円に減収した。施設の完成と引渡しが少しずれるだけで売上が変わり、売却時の粗利益率と宿泊運営時の粗利益率も大きく違う。成長事業として継続的な高収益を先取りすると、ホテル在庫や稼働率の悪化を見逃す。
AI エージェント代替と媒体価値
遠隔コールセンター、顧客対応、機器操作の案内はAIエージェントで自動化され得る。これは本部のコスト削減機会だが、同じ技術を他社が導入すれば加盟店から定額管理料の値下げを求められる。自社アプリの広告は制作・運用の人月請負ではなく自社媒体枠だが、利用者の操作動線が変われば広告接触数も低下する。
海外事業と資本配分
中国・青島の1号店は現地の規制、水質、洗濯の習慣に合わせる必要があり、タイも準備段階だ。現地FCの採算を検証する前に設備・人材を増やすと資本効率が悪くなる。コンテナ、海外、機械内製化を同時に進める経営陣に、撤退基準と資金配分の透明性が求められる。
担保価値を過大評価しやすい貸借対照表
2025年末の現金約10.85億円には、借入約10.04億円が対応する。営業貸付金約8.20億円がある一方、預り金と預り保証金は約10.85億円あり、会社を清算してもそのすべてを少数株主が受け取れるわけではない。ROEが低い状況では帳簿の自己資本17.4億円をそのまま株式価値の床としない。
今後の分かれ目
- FC新規開業が年間15店超へ戻り、退店を差し引いた純増が2年以上続いたら
- 管理店舗数の増加と機器販売の継続性が確認される。やや楽観の確率を上げ、追加営業拠点の費用を控除した増分利益を検証する。
- 管理店舗数が550店を割り、同時にFC管理料の値下げが進んだら
- 本部の固定費回収力が弱まり、やや悲観・悲観に重みを移す。広告の成長だけで穴埋めできるという見込みは採用しない。
- 2026年下期のFC出店数が通期30店の目標に遠く及ばなかったら
- 2026年利益計画の未達を出発点として、中立の新規案件数と資金繰りを下方修正する。単年の見込みだけで10年先の利益を押し上げない。
- アプリ広告の売上と広告主継続率が金額付きで開示され、更新投資後のキャッシュも増えたら
- 実店舗で生まれる固有の媒体価値を独立採算として評価し、上振れの利益率と長期の再投資収益率を引き上げる。
- 中国・タイの海外FCが累計数十店に達し、現地の店舗管理利益が黒字化したら
- 海外を実証された第二の成長軸として数量に含める。現時点で計上しなかった大きな海外展開の価値を追加する。
- 営業貸付金の回収遅延や保証金返還の増加で現預金がさらに減少したら
- 財務余力の評価と悲観の資産床を下げ、借入の金利と増資による既存株主持分の希薄化を厳しく評価する。
見ておくもの
- 会社公表の月次全店数・既存店売上前年同月比と雨天影響
- 新規FC出店・退店・直営化・全面改装の四半期件数
- FC運営部門の売上・粗利益率と店舗当たり受託料
- 2026年12月期の業績予想達成度と営業キャッシュフロー
- コンテナの受注残・施設引渡し件数・ホテルの稼働率
- アプリ広告収入の金額・広告主継続率・有料利用者当たり収益
- 中国・タイの出店数と現地採算、営業貸付金の延滞・預り保証金残高
倍率と資本コストの決め方
数量の起点は2025年のFC新店7件と更新20件、国内管理571店、代表的コンテナ施設群3件である。FCの標準新店価格約0.19億円、FC管理の月額14万~15万円は一次資料で確認し、開示されていない直営・改装・コンテナの混合単価は推計である。数量には物価を混ぜず、2035年の名目単価には物価上昇と競争・案件構成を反映した。2026年上期のFC縮小と赤字を悲観確率に織り込み、会社の通期計画をそのまま長期に外挿していない。
資本コストは8.5%で、長期名目成長率は2.5%、堀は弱いと判断した。楽観では10年後ROE12.5%から新規投資のRONIC9.83%を導き、PER上限約12.43倍を採用。やや楽観と中立はROEが資本コスト以下なので上限1÷8.5%=約11.76倍を用いた。やや悲観・悲観は現在の自己資本と売却可能資産を基準にしたPBRである。2028年12月期から想定される新リース会計の表示変更は、家賃を営業費用に含める現在の経済実態へそろえた。現在の市場PER・PBRも株価も倍率の根拠にせず、最後に時価総額約18.1億円と比較した。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%+株式リスクプレミアム4.5%+事業品質1%。2026年上期の損失や事業分散の不確実性はシナリオに反映し、distress上乗せは行わない。