結論
ディーエムソリューションズは、企業のダイレクトメールを大量に発送し、通販商品の保管や出荷も引き受ける会社である。筆者の結論は「やや割安」だ。ただし、紙の広告市場が伸びるからではない。縮小する市場で中小の発送会社から仕事を集め、そこで築いた物流基盤を通販商品の発送にも使えることに価値がある。
2026年3月期の売上高は約256億円、営業利益は約9億円に達した。最近の利益改善は確かだ。約5,700社の取引基盤、年間約1億6,200万通の取扱実績、全国の営業拠点とメールセンター、通販向け物流施設の積み上げは、小規模な競合がすぐに再現できるものではない。2027年3月期第1四半期も大幅な増収増益となっており、足元の受注には勢いがある。
ただし、2026年3月期には特定の大口顧客が売上高の12.2%を占めた。この取引が継続するかどうかで利益の景色は変わる。さらに、既存のインターネット事業はAI検索の普及によって収益が減少している。新しく始めた人材紹介やIP関連事業は、まだ利益を長期的に支えると判断できない。
10年後の価値は、発送通数がどこまで維持され、通販物流の稼働率が上がるかで決まる。中立では郵便関連の数量をほぼ横ばい、通販物流の処理数量を約1.9倍と見る。慎重側に厚い確率を配分しても、将来の利益と留保資金の価値を合わせれば、現在の時価総額約64億円には一定の安全域があるという判断になる。ただし、余剰資金が株主に戻る度合いを低く見ると、その安全域はかなり薄くなる。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の立場で最初に確かめたいのは、10年後も顧客がこの会社に発注しているかである。DMの発送は、情報を紙で届ける需要がある限りなくならない。しかし、需要総量が減る以上、業界全体の成長に乗って儲かる事業ではない。残る仕事を集め、他社より安く確実に処理する会社だけが生き残る。ディーエムソリューションズにはその候補となる実績があるが、永久に高い利益率を守れるほどの独占力はない。
通販物流には、もう少し長い寿命を期待できる。荷主が商品を売れば、最後には誰かが商品を保管し、梱包し、届けなければならない。注文画面や広告運用がAIに置き換わっても、この物理的な仕事は残る。だからこそ、新しい倉庫への投資が顧客の定着と高い稼働率につながるなら、再投資の価値がある。反対に、競争に勝つために賃料と設備費ばかり増えるなら、会計上の利益が伸びても株主の手元にはお金が残らない。
過去の利益の再投資については、現時点まで概ね合格点を与えられる。直近数年間の増分資本利益率は資本コストを上回ると推計される。ただし、物流施設の新設直後は需要が好調でも、更新費用が重なる時期には現金収支が細る。減価償却だけでなく、借りた倉庫の家賃、仕分けロボットの更新、運転資金もオーナー利益から考えなければならない。
最後の判断は価格である。現在の時価総額は、強気の将来だけを買っている水準ではない。中立でも物流の成長と適度な還元が続けば、株主価値は現在を上回る余地がある。しかし、余剰資金を次々と新規事業へ振り向け、利益率の低い買収を重ねれば、その差は消える。保有し続ける理由は新しい事業の名前ではなく、発送代行と通販物流に投じた資金が、今後も資本コストを上回って回収されるという実績にある。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心はダイレクトメール事業である。企業から宛名データや発送物を預かり、企画、印刷、封入、仕分け、配送手配まで引き受ける。顧客にとっては、自社で人員や機械を抱えず、発送の繁忙期にも対応できることが利点だ。同社にとっては、多くの顧客の発送物をまとめることで郵便・物流会社への交渉力が増し、単価競争力が次の受注につながる。2026年3月期のDM発送代行サービスの売上は約198億円で、連結売上の大部分を占める。
同じ報告セグメントの中に、通販物流のフルフィルメントサービスがある。「ウルロジ」の名称で、商品の入庫、在庫管理、受注処理、梱包、発送を請け負う。会社は国立や八王子の物流施設に投資し、2026年7月には鶴ヶ島に6拠点目を開設した。発送作業そのものは現場の設備と人員が必要であり、AIエージェントが画面操作を自動化しても消えない仕事である。一方、倉庫賃料、作業人員、仕分け設備への投資が必要で、売上が増えた分だけ利益が増える軽い事業ではない。
インターネット事業はSEO支援、広告運用、サイト制作などを引き受けるデジタルマーケティングサービスと、自社の比較サイトなどから収益を得るバーティカルメディアサービスからなる。2026年3月期の売上は約11億円で、前期より減少した。検索の入口がAIへ移るなか、同社自身も従来型のSEOや比較サイトの収益化に苦戦していると説明し、SNS運用や動画制作へ軸足を移している。しかし、その新しい仕事もAIによって制作費や運用手数料が下がる可能性がある。
アパレル事業は、子会社ビアトランスポーツが衣料品などを輸入し、卸売やECで販売する。近年は取り扱う商品を絞り、グループの物流施設を利用して採算を改善した。さらに高度外国人材を紹介するオリジネーターを2026年2月に買収し、同年からIP関連の飲食店や海外グッズ販売にも着手した。ただし、これらの新領域は今の利益を支える柱ではない。将来の選択肢として評価するが、収益の裏付けがない成長を中立の数字には大きく含めない。
優良さと弱いところ
同社の強みは、独占的な技術ではなく、現場の規模と営業の積み重ねにある。発送物をまとめるほど仕入れ条件が良くなり、その価格を武器に新規顧客を獲得できる。取引社数は2023年3月期の約4,900社から2026年3月期の約5,700社へ増えた。営業担当者を介さないオンライン受注も拡大し、DM発送案件の約4割を占める。受注の取りやすさと処理の効率には、一定の好循環が見える。
物流には別の参入障壁がある。倉庫の立地、作業動線、在庫管理の仕組み、誤出荷を防ぐ運用は、契約を取ってから短期間で整えられるものではない。荷主が物流会社を変更すれば、在庫移管やシステム接続、配送品質の確認に手間がかかる。もっとも、これを強い堀と呼ぶには慎重である。ヤマト運輸、SBSグループ、スクロール360などは規模や資金力で勝り、大口顧客なら複数社に見積もりを取れる。値上げに成功し続けた証拠も十分ではない。
資本効率は見た目以上に注意が必要だ。直近のROEは約17%だが、倉庫への投資が増えれば固定資産と運転資金も増える。2023年3月期から2026年3月期までに、自己資本と純有利子負債の合計は約21億円から約45億円へ増え、営業利益は約5億円から約9億円に増えた。追加投下資本に対する税引後の利益増加は概算で年率14%程度となり、資本コストを超える。ただし、この期間には大型顧客の獲得や投資直後の施設も含まれ、持続する増分利回りが証明されたわけではない。
筆者は堀を「普通」と評価する。取引規模と現場能力は残るが、郵便市場の縮小、競合の価格攻勢、顧客の内製化によって削られる面がある。デジタル広告の制作、運用、SEO支援には、物流とは異なるAIエージェント代替リスクがある。価値を守るのは派手な新規事業より、既存顧客が繰り返し発注する理由と、倉庫を高い稼働率で動かす能力である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ダイレクトメール市場は構造的に縮んでいる。電通による2025年の国内DM広告費は2,708億円で、前年から5.4%減少した。制作関連市場を含めると3,829億円になる。日本郵便の2025年暦年の国内郵便物数も前年比6.9%減だった。郵便料金が上がれば発送代行会社の売上単価は上がりうるが、顧客が発送件数そのものを絞れば、物価上昇だけで成長することはできない。10年後には紙の郵便物の総量が今よりかなり少ないと考えるべきだ。
同社と競うのは、ディーエムエス、印刷・発送を一括で手掛ける大手印刷会社、地域の発送代行会社である。ディーエムエスの2026年3月期のDM事業売上は約248億円で、同社のDM発送代行売上約198億円を上回る。両社の売上を電通の制作関連込み市場3,829億円と単純比較すると、それぞれ約6.5%と約5.2%に相当する。ただし、郵便料金の扱いや対象サービスの範囲が異なるため、これは正式な市場シェアではなく規模感の物差しである。正確な発送通数ベースの競合シェアは開示されていない。
市場が縮むなかでも、受託会社への集約は続く可能性がある。郵便料金の契約、封入設備の更新、個人情報管理への対応には規模が必要だからだ。ただし、全国の郵便物数が10年で半減するなら、同社が発送通数を維持するには、広い郵便市場に対する取扱比率をほぼ倍にする必要がある。近年の受注実績はその可能性を示すが、当然に続くものではない。紙からデジタルへの移行と、発送代行会社への集約を別々に考える必要がある。
成長市場は通販物流だ。経済産業省が2026年10月21日に公表した調査では、2025年の国内物販系BtoC-EC市場は約15.8兆円で、前年より4.0%拡大した。国土交通省による2024年度の国内宅配便取扱個数は約50.3億個だった。同社のフルフィルメント出荷件数は非開示だが、売上から仮に年425万件と推計すると、国内宅配便全体の0.1%に届かない。ただし宅配便全体は物流代行市場そのものではなく、この比率も厳密な受託シェアではない。
競合のスクロール360は、2024年末時点で月間120万件以上の発送を公表している。同社が通販物流を大きく伸ばす余地はあるが、競合との規模の差も大きい。倉庫を増やすたびに借入、賃料、人手の負担が先行する。広告市場ではインターネット広告費が2025年に4兆円を超えたものの、その拡大がSEO受託や比較サイトの利益を守るわけではない。AIによって広告制作と運用の単価が圧迫されるため、成長する市場と儲かる会社を取り違えてはならない。
資本政策と M&A
資本配分の主役は、これまでの大型物流施設への投資と、近年増えた小規模な買収である。国立や八王子のフルフィルメントセンターは実際に稼働率が高まり、受注拡大に寄与した。2018年には自動車関連メディアを取得し、2021年にはビアトランスポーツを子会社化した。2026年2月には外国人材紹介のオリジネーターを買収した。アパレルでは在庫と物流を見直して利益を改善した一方、インターネット事業は減収となっており、買収や多角化の成果が一様に優れているとは言えない。
2026年3月期の配当総額は約1.05億円で、自己株式の取得も約0.32億円あった。会社は2027年3月期に前期比増配を計画し、2026年7月の株式分割後の基準では年間21円相当となる。株主優待は半年以上保有する400株以上の株主を対象に、年2回のデジタルギフトへ変更した。優待の会社負担額は詳細が分からないため、対象株主数と贈呈額から年約0.1~0.2億円と概算し、10年間の還元に含めた。
2027年3月期の業績予想は売上高275億円、営業利益11億円、純利益6.8億円である。一方、複数年の中期経営計画としての売上高、営業利益、ROEの数値目標や、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額の明確な数値の約束は確認できない。したがって、利益成長に応じて還元が増えるとは見るが、高配当性向が確約されているとは扱わない。
大株主上位10名の持株比率は約72%と高く、少数株主には経営への影響力が限られる。ただし、近年は増配と自社株買いを実行したため、余剰資金が全く戻らないと決めつける理由もない。10年で積み上がる余剰資金のうち株主に価値として戻る割合は75%と判断する。現時点では純有利子負債が約6.5億円あり、余剰現金を別枠で加えることはしない。2026年3月期末ののれん約3.53億円は、買収先の収益性が悪化すれば減損の対象となる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
縮む市場で売上を伸ばす会社には、数字以上の強みがある。2026年3月期のDM発送代行売上は前年の約161億円から約198億円に増えた。郵便広告費全体が減る中で、業務を集約する力を示したと言える。約5,700社の顧客と100人を超える営業体制は、小さな発送会社が設備更新を諦めるほど効いてくる。オンライン発注案件も増えており、営業人員を比例的に増やさずに受注を伸ばす道が見えている。
さらに価値があるのは通販物流である。国立、八王子、鶴ヶ島への投資によって、取扱能力が着実に拡大している。物流センターに商品と情報システムを預けた荷主は、配送品質が安定すれば簡単には別の会社に移りにくい。物販EC市場は成熟しつつもまだ成長しており、同社の推定シェアはごく小さい。市場全体が爆発的に成長しなくても、既存の大手から一部の荷主を獲得するだけで売上を倍以上にできる。
資本効率にも希望がある。過去数年の利益増加は、単なる郵便料金の値上げだけではない。顧客数の増加、倉庫の稼働率改善、アパレル事業の採算改善が伴っている。2027年3月期第1四半期の増収増益も、受注が一時的な需要だけではない可能性を示す。利益を成長分野へ再投資しても、近年のような増分利回りを維持できれば、自己資本は積み上がり、将来の配当原資も増える。
AIの影響も会社全体では限定的だ。広告運用やSEO支援には厳しい逆風があるが、売上の約9割は物理的な発送と物流に由来する。制作や受注入力の自動化は、主業ではむしろコスト削減にもつながる。ただし、AI関連サービスの新規売上は確認できていないため、その期待を直接利益には加えない。長期的には、紙の発送から通販物流への構成変化が実現するだけで、会社全体の寿命を延ばせる。
慎重な見方
最近の好業績をそのまま10年間伸ばしてはいけない。DM広告費は2025年にも減少し、郵便物の取扱数はさらに速いペースで縮んでいる。同社が取扱数を維持するには、縮む市場で他社の顧客を奪い続ける必要がある。しかも、2026年3月期には大和心向けが連結売上の12.2%に達した。仮に大口案件の一部が失われれば、最近の成長率から受ける印象は大きく変わる。大量案件ほど値段の交渉力を持つのは顧客の側である。
物流は成長市場だが、必ずしも高収益市場ではない。スクロール360や大手物流会社は、施設の規模、配送網、システム投資で上回る。同社の施設が高稼働でも、契約更新時に単価を引き下げなければ荷主を維持できないかもしれない。倉庫を借りる契約は景気が悪くなっても簡単に消せない。荷物が減れば人件費と家賃が残り、固定費の負担が一気に利益を削る。
インターネット事業では、将来のリスクが既に現実になっている。AI検索が比較サイトへの流入を奪い、SEOや広告の制作、運用もAIエージェントが安く実行できるようになる。SNS運用へ移るだけでは価格競争を避けられない。人材紹介でも候補者の探索や書類作成は自動化される。独自データや法律上の記録基盤、極めて低い解約率など、AIに代替されにくい堀を裏付ける数値は確認できない。
資本配分にも不確実性がある。買収したアパレルや人材紹介にはのれんがあり、IP事業や海外グッズ販売は物流の延長とはいえ、需要の読みが難しい。経営者側に株式が集中し、余剰資金を配当に回す強い数値目標もない。利益を留保しても、その後の買収や新規出店で低い利回りしか得られなければ、帳簿上の自己資本の増加は株主価値の増加にはならない。将来の現金を満額で株主のものとみなすのは危険だ。
どちらに重みを置いたか
物理的な物流事業が利益の中心であるため、AI代替だけで会社全体を悲観する必要はない。近年の顧客獲得と施設稼働率の改善には実績がある。ただし、郵便市場の縮小、大口顧客への依存、倉庫投資の固定費、買収資金の使い方は簡単には解消しない。確率は楽観側27%に対して慎重側41%と、慎重側を14ポイント厚くした。下に寄せる理由は、2026年の売上に大口顧客が占める比率が高く、過去の高成長をそのまま延長する根拠が足りないためである。それでも現時点の時価総額が極端に高くないことと、通販物流の伸びしろから、株主価値にはやや割安の余地が残る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,370 円137 億円(+ 還元の換算額還元の合計 276 円16 億円)。 今の値に割り戻すと 1,286 円74 億円、今との差 +25.9%、 期待の年率 +10.7%(資本コスト 8.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 5,416 円313 億円 | 658 円38 億円 | +494.9% | +21.5% | 607 円35 億円 |
| やや楽観 | 17% | 3,853 円222 億円 | 450 円26 億円 | +321.5% | +16.8% | 732 円42 億円 |
| 中立 | 32% | 2,654 円153 億円 | 294 円17 億円 | +188.7% | +12.0% | 943 円54 億円 |
| やや悲観 | 26% | 945 円55 億円 | 121 円7 億円 | +4.5% | +0.5% | 277 円16 億円 |
| 悲観 | 15% | 527 円30 億円 | 52 円3 億円 | −43.3% | −5.7% | 87 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,370 円137 億円 | 276 円16 億円 | +159.2% | +10.7% | 2,646 円153 億円 |
今の株価時価総額 1,021 円59 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 発送代行の集約で勝ち、通販物流も主力化 利益 22 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,416 円313 億円
紙のダイレクトメール市場は縮小するが、資材費と設備更新費に耐えられない中小の発送代行会社から仕事が移る。同社は全国の営業網と一括発送によるコスト優位を利用し、年間取扱通数を約2億1,500万通へ増やす。2026年に獲得した大口顧客との関係も安定し、1社への依存度は他の顧客の増加によって下がる。価格競争力を保ちながら小口と大口の案件を併せ持ち、発送業務の利益率が改善する。
通販物流では、鶴ヶ島を含む拠点の高い稼働率が続き、追加拠点への投資も成果を上げる。ウルロジの出荷量は現在の約2.6倍となり、物流代行の売上は100億円を超える。仕分けロボットや自動化設備により、作業量が増えても人員を同じ比率では増やさずに済む。拠点への再投資は多いが、顧客の定着によって資本コストを上回る利益を確保する。
インターネット事業はAIの影響を免れない。SEO制作や広告運用の工数は減り、楽観でも受託数量が現在を上回ることを前提にしない。一方、残った顧客への高度な支援やSNSとの組み合わせで一定の利益は維持する。アパレルは物流の効率化が進み、IP事業や人材紹介の試みも大きな損失を出さない。営業利益は34億円程度に達し、利益の相当部分が配当や自社株買いに回る。
- DM発送代行:数量 2.2(年間DM取扱通数(億通))× 価格 165(DM1通当たり包括売上高(円、郵便料金・印刷・作業代金を含む推計))→ 売上 355 億円・営業利益 28 億円。発送通数は現在比1.33倍。市場縮小のなかで大幅なシェア獲得に成功し、単価は物価と高付加価値化に沿って上昇。営業利益率8%。
- フルフィルメント・通販物流:数量 1,100(年間出荷処理件数(万件、売上と仮定した平均単価からの推計))× 価格 0.10(1万件当たり包括売上高(億円、配送費・保管・作業料金を含む))→ 売上 113 億円・営業利益 13 億円。出荷処理数量約2.6倍、単価約1.29倍。設備自動化と高稼働率で利益率11.5%。更新償却・家賃負担も含む。
- デジタルマーケティング受託:数量 430(年間受託契約・案件換算数(件、推定))× 価格 0.02(1契約・案件換算当たり年間売上(億円、推定))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替の下でも残る高度な受託案件。数量は現在以下、手数料は横ばい。
- 自社バーティカルメディア:数量 18,000(年間広告送客・成約換算件数(件、推定))× 価格 0.00(1成約換算当たり媒体売上高(億円、推定))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。検索流入は現在より少ないが、送客品質と自社媒体の改善で単価を維持する。
- アパレル・輸入卸売:数量 60.0(年間販売点数(万点、推定))× 価格 0.46(1万点当たり売上高(億円、推定))→ 売上 28 億円・営業利益 2 億円。商品点数1.5倍、名目単価1.37倍。在庫管理と物流統合で利益率8%。
倍率:2036年のROEは約15.5%、資本コスト8.0%。通常の堀の残存割合1/2からRONICは約11.7%。ただし2036年以降の全社名目成長率g_longは0%であり、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷8.0%=12.5倍。上限を追加で割り引かない。物流拠点の増設に伴う減価償却は10年後に年6億円程度まで増える想定で、利益率に反映済み。
確率:DM市場が縮むなかで業界の仕事を大きく集約し、通販物流も強い競合から荷主を奪い続ける必要がある。複数の条件が同時に成立する上振れであるため10%にとどめる。デジタル受託はAIで増えない。
やや楽観 17% 郵便のシェア拡大と物流成長が両立 利益 15 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,853 円222 億円
国内DM広告市場は縮小するが、同社は大口案件とオンライン受注の両方で取引先を増やす。小規模な発送代行会社が設備更新を見送るたびに、郵便料金の調達力と作業品質が差別化につながる。年間発送通数は約1億8,800万通となり、広告主の発送量減少をシェア上昇が上回る。平均売上単価は郵便料金と作業費の上昇を概ね転嫁できるが、制作・受注事務のAI自動化による手数料の目減りも含む。
フルフィルメントは既存拠点の稼働率向上と新設施設の拡張によって、年間約900万件を処理する。大手物流会社に比べれば規模は小さいままだが、EC事業者へのきめ細かな対応が評価される。利益率は改善し、従来のDM発送代行に並ぶ収益の柱に育つ。商品保管と発送の作業はAIが直接代替できないため、事業の持続性は高い。
インターネット事業は受託制作と比較サイトが縮小し、利益額は大きく伸びない。それでも収益性の低い案件から撤退することで赤字化は避ける。アパレルでは商品選定と在庫管理が定着し、グループ物流との相乗効果が続く。新規事業への投資は節度を保ち、10年間の純利益の一部を着実に株主へ返す。成熟した2036年の純利益は約15億円になる。
- DM発送代行:数量 1.9(年間DM取扱通数(億通))× 価格 161(DM1通当たり包括売上高(円、郵便料金・印刷・作業代金を含む推計))→ 売上 303 億円・営業利益 22 億円。発送通数は現在比1.16倍。競合からの顧客獲得が続き、平均単価も概ね物価に沿って上昇。
- フルフィルメント・通販物流:数量 900(年間出荷処理件数(万件、売上と仮定した平均単価からの推計))× 価格 0.10(1万件当たり包括売上高(億円、配送費・保管・作業料金を含む))→ 売上 92 億円・営業利益 10 億円。処理数量は2倍を超える。倉庫稼働率と仕分け効率が高まり、利益率10.5%。
- デジタルマーケティング受託:数量 400(年間受託契約・案件換算数(件、推定))× 価格 0.02(1契約・案件換算当たり年間売上(億円、推定))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。広告制作・運用のAI代替により、楽観側でも数量と手数料の拡大は見込まない。
- 自社バーティカルメディア:数量 16,000(年間広告送客・成約換算件数(件、推定))× 価格 0.00(1成約換算当たり媒体売上高(億円、推定))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。自社媒体の送客は減少するが、収益率の高い案件が残る。
- アパレル・輸入卸売:数量 50.0(年間販売点数(万点、推定))× 価格 0.46(1万点当たり売上高(億円、推定))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。販売点数25%増、単価は物価に沿う。商品統廃合により利益率6.5%。
倍率:2036年のROE約12.6%とk8.0%から、通常の堀の残存割合1/2を用いるRONICは約10.3%。g_longを名目0%とするため、正当化PERは1÷kの12.5倍。市場の過去倍率から調整しない。10年後の年間減価償却は物流施設の追加投資により約5.5億円を想定し、セグメントの利益率に含める。
確率:発送代行会社への集約とEC物流の拡大には実績がある。ただし、通数の増加を今後10年維持するには競合からの継続的な顧客獲得が必要なため17%とする。
中立 32% 発送通数を維持し、通販物流で利益を積み上げる 利益 10 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,654 円153 億円
国内のDM広告費と郵便物数は減り続ける。しかし、同社の一括発送能力とオンライン受注の便利さは、中小の発送代行会社から仕事を集める要因になる。年間発送通数は約1億6,000万通となり、現在の規模をほぼ維持する。これは市場全体の縮小を考えれば、相応のシェア拡大を伴う見通しである。単価は上がるが、郵便料金の上昇を顧客に全額転嫁できるわけではない。受注入力や販促物制作のAI自動化によって、付加サービスの工数収入は減る。
成長の柱は通販物流である。既存施設の能力を生かし、必要に応じて拠点を増やすことで、年間出荷処理件数は推定約800万件となる。売上は現在の約34億円から80億円へ拡大する。ただし、荷主が増えるほど配送単価の交渉も厳しくなり、倉庫賃料と人件費の負担も増す。自動化による改善を織り込んでも、利益率は急に高まらない。
デジタルマーケティングの受託数量はAIエージェント代替によって約65%へ縮み、比較サイトの送客件数も70%へ減る。アパレルは大きな成長事業にはならないが、物流効率化によって収益を維持する。2026年に取得した人材紹介会社とIP関連の新事業については、明確な収益実績が不足するため、大幅な利益上乗せを見込まない。結果として売上高は約357億円、営業利益は約15億円、純利益は約10億円となる。配当は増えるが、利益の多くは物流設備と運転資金、会社内の留保資金に回る。
- DM発送代行:数量 1.6(年間DM取扱通数(億通))× 価格 156(DM1通当たり包括売上高(円、郵便料金・印刷・作業代金を含む推計))→ 売上 250 億円・営業利益 16 億円。市場は縮むがシェア拡大で通数をほぼ維持。1通単価は1.28倍で、物価1.34倍より低い。制作工数のAI代替と価格競争を反映。
- フルフィルメント・通販物流:数量 800(年間出荷処理件数(万件、売上と仮定した平均単価からの推計))× 価格 0.10(1万件当たり包括売上高(億円、配送費・保管・作業料金を含む))→ 売上 80 億円・営業利益 8 億円。処理数量は現在の約1.88倍。単価は1.25倍にとどまり、物流競争で物価を完全転嫁できない。
- デジタルマーケティング受託:数量 286(年間受託契約・案件換算数(件、推定))× 価格 0.02(1契約・案件換算当たり年間売上(億円、推定))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替型。案件換算数量は0.65倍、手数料単価は1.02倍で物価を大きく下回る。
- 自社バーティカルメディア:数量 14,000(年間広告送客・成約換算件数(件、推定))× 価格 0.00(1成約換算当たり媒体売上高(億円、推定))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。AI検索の普及で送客件数が0.70倍。成果報酬単価の伸びも物価未満。
- アパレル・輸入卸売:数量 45.0(年間販売点数(万点、推定))× 価格 0.45(1万点当たり売上高(億円、推定))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。販売数量は約1.13倍、単価は物価に沿って1.34倍。仕入れと在庫管理の改善は一部定着する。
倍率:10年後ROE約9.8%、k8.0%、通常の堀の残存割合1/2からRONICは約8.9%。郵便需要の縮小とAIエージェント代替により2036年以降の名目成長率g_longを0%とし、正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(0.08−0)=12.5倍をそのまま採用。10年後の減価償却費は新規物流設備の更新分を含め年間約4.5億円を想定。既存設備の簿価や償却額には物価上昇を一律に掛けず、新設・更新設備だけ取得時の価格上昇を反映する。
確率:DM市場の数量減少と競合からの受注獲得が概ね相殺され、物流の成長は続くが利益率改善は限定的という中心的な見通し。下に寄せる理由:2026年3月期に特定顧客が売上の12.2%を占め、直近の高成長を恒常的と判断しにくい。
やや悲観 26% 大口受注が鈍り、倉庫の固定費が重くなる 利益 2 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 945 円55 億円
郵便料金の上昇で広告主が発送先を厳しく選別し、大口顧客も契約条件を見直す。競合からの顧客獲得は続くが市場縮小を埋められなくなり、年間DM発送通数は約1億2,300万通へ減少する。値上げも部分的にしか通らず、発送代行売上は現在より少なくなる。小口案件で強い会社の特徴は残るものの、大量発送による調達力は弱まり、営業利益率も下がる。
通販物流は物理的な仕事であるため消えない。しかし、ECの成長が鈍り、競合が大型物流施設を増やすと、荷主は低い料金を要求する。出荷数量は増えても、価格と倉庫稼働率の両面で想定に届かない。賃借した倉庫の費用、人員、保守費用が固定的に残り、物流の利益率は6.8%まで低下する。新たな設備投資を絞っても、既に投じた資金の回収には時間がかかる。
受託広告制作とSEO関連サービスはAIエージェント代替の影響が強まり、収益を圧迫する。自社比較メディアの送客件数も大きく減る。アパレル事業では価格競争と在庫費用が利益を細らせる。売上高は名目で現在とほぼ変わらないが、営業利益は約3億円まで低下する。利益が細るため還元も抑えられ、余った現金が十分に株主へ戻るとは限らない。会社は存続しても、株主が期待した高い資本効率を失う10年間である。
2036年の帳簿上の自己資本には、悪化する前の利益を留保した資金も含まれる。しかし、ROEが資本コストを大きく下回った会社では、その帳簿価額をそのまま株主価値とは認められない。実体のないのれんを除いた現在の資産価値を慎重な下支えとし、そこからさらに高い値段を付ける根拠はない。
- DM発送代行:数量 1.2(年間DM取扱通数(億通))× 価格 146(DM1通当たり包括売上高(円、郵便料金・印刷・作業代金を含む推計))→ 売上 180 億円・営業利益 10 億円。発送通数は現在の76%。大口受注の一部を失い、単価上昇は物価以下。
- フルフィルメント・通販物流:数量 585(年間出荷処理件数(万件、売上と仮定した平均単価からの推計))× 価格 0.10(1万件当たり包括売上高(億円、配送費・保管・作業料金を含む))→ 売上 56 億円・営業利益 4 億円。処理数量は増えるが倉庫賃料と価格競争が重く、利益率6.8%。
- デジタルマーケティング受託:数量 248(年間受託契約・案件換算数(件、推定))× 価格 0.01(1契約・案件換算当たり年間売上(億円、推定))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で案件数量が現在の約56%へ縮み、単価も下落。
- 自社バーティカルメディア:数量 7,500(年間広告送客・成約換算件数(件、推定))× 価格 0.00(1成約換算当たり媒体売上高(億円、推定))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。検索経由の送客件数が約38%まで減り、固定費を十分吸収できない。
- アパレル・輸入卸売:数量 36.0(年間販売点数(万点、推定))× 価格 0.41(1万点当たり売上高(億円、推定))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。販売数量は約1割減。価格改定は仕入・物流コストに追いつかない。
倍率:2036年の自己資本75億円に対し、純利益は2.15億円、ROEは約2.9%で資本コスト8.0%を大きく下回る。このため、10年間に積み上がった自己資本75億円にPBRを掛けて株主価値を求めることはしない。稼ぐ力の価値は純利益2.15億円×正当化PER上限12.5倍=26.875億円にとどまる。一方、現在の自己資本38.0億円から、売却価値を認めないのれん3.528億円を差し引くと約34.47億円となる。資産床34.47億円の方が稼ぐ力の価値を上回るため、こちらを採用する。PBR0.9071倍は現在の自己資本38.0億円に対する倍率であり、34.47÷38.0=約0.9071である。将来自己資本75億円には掛けない。
確率:DM市場の縮小に加えて大口案件の一部喪失、物流の値下げ圧力が起きる可能性を重視する。足元に大口顧客への集中とインターネット事業の減収という具体的な弱点があるため、中立の下側に26%を配分する。
悲観 15% 紙需要の急減と物流失速で事業の優良さを失う 利益 −6 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 527 円30 億円
大口のDM発送案件を複数失い、紙の販促市場も縮小を速める。顧客は広告費をデジタル施策へ移し、郵便料金の上昇は発送件数の一段の削減につながる。競合からの仕事の集約も止まり、同社の取扱通数は8,400万通程度まで減少する。発注が少なくなるにつれて機械と作業場の稼働率も下がり、かつての調達力と価格競争力が失われる。
通販物流は倉庫の供給過剰と価格競争に巻き込まれる。荷主の一部は大手の物流ネットワークへ移り、残った顧客も料金の引き下げを要求する。既存倉庫の契約を短期間では解約できず、人員整理や設備の減損が必要になる。物理的な物流需要そのものは残るが、同社がそこから十分な利益を得られなくなる。
インターネット事業はAIエージェント代替によって受託制作・広告運用の数量が半分程度まで縮み、検索由来の比較サイト収益も大幅に減少する。アパレルは在庫評価損や仕入費用の上昇で赤字に転落する。人材紹介やIP関連の買収・新規事業も収益源にならず、のれんの一部または全部を減損する。初期の数年間に得た利益によって自己資本は一時増えるが、後半に競争力を失い、2036年には営業赤字となる。配当は初期の利益が出ている期間に限られ、将来にわたる継続配当は期待できない。
この場合は利益を永続的に資本還元する価値を認めず、現在の売却可能資産から負債と換金費用を差し引いた価値を下支えとする。物流施設の設備や在庫は必ずしも簿価では売れず、撤退費用も生じる。やや悲観より深い資産毀損を想定し、帳簿に残る自己資本が将来の株主価値へそのまま転化すると考えない。
- DM発送代行:数量 0.8(年間DM取扱通数(億通))× 価格 134(DM1通当たり包括売上高(円、郵便料金・印刷・作業代金を含む推計))→ 売上 113 億円・営業利益 4 億円。発送通数は現在の約52%。価格転嫁が進まず、固定費負担で利益率3.5%。
- フルフィルメント・通販物流:数量 430(年間出荷処理件数(万件、売上と仮定した平均単価からの推計))× 価格 0.09(1万件当たり包括売上高(億円、配送費・保管・作業料金を含む))→ 売上 38 億円・営業利益 1 億円。出荷量は現在並みで停滞し、物流単価は小幅上昇のみ。借りた倉庫の固定賃料が残り利益率2.5%。
- デジタルマーケティング受託:数量 220(年間受託契約・案件換算数(件、推定))× 価格 0.01(1契約・案件換算当たり年間売上(億円、推定))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替によって数量が半減し、手数料単価も下落。
- 自社バーティカルメディア:数量 5,500(年間広告送客・成約換算件数(件、推定))× 価格 0.00(1成約換算当たり媒体売上高(億円、推定))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI検索によって送客件数が現在の約28%へ低下し、媒体維持費を賄えない。
- アパレル・輸入卸売:数量 30.0(年間販売点数(万点、推定))× 価格 0.39(1万点当たり売上高(億円、推定))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。販売数量は現在の75%。輸入・在庫コストと競争で営業赤字。
倍率:2036年に営業赤字・純損失となり、PERによる継続利益の資本還元価値は採用しない。現在の自己資本38.0億円からのれん3.528億円を控除し、さらに売掛金・棚卸資産・物流設備の換金損失や倉庫撤退費用などについて合計約4.07億円の追加減額を仮定する。これにより悲観の売却可能な純資産の床は約30.40億円となる。現在の自己資本38.0億円にPBR0.80倍を掛けた30.40億円を採用する。2036年の自己資本56億円には掛けない。追加減額4.07億円は開示された清算見積額ではなく、構造的な事業失敗の際の回収費用を保守的に推定した金額である。過去のPBRの谷は倍率の根拠に用いない。
確率:大口顧客の喪失、郵便市場の縮小加速、物流施設の稼働率低下、AIによる広告受託収入の大幅減少が重なる構造的な失敗。複数の要因の同時発生なので中立ではないが、固定費の多い事業の下振れは深いため15%を配分する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
DM発送代行
企業のダイレクトメールの企画、印刷、封入、仕分け、配送手配を一括で請け負う中核サービス。実際の通数を扱う現場と、AIによる代替余地のある制作・受注事務が混在する。
| 数量年間DM取扱通数(億通) | 価格DM1通当たり包括売上高(円、郵便料金・印刷・作業代金を含む推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.6 | 122 | 198 | 13 |
| 10 年後 中立 | 1.6 | 156 | 250 | 16 |
取り方:2026年5月20日の決算説明資料にあるDM発送代行売上19,763百万円を採用。会社のDMサービス紹介に記載された年間取扱実績約1億6,200万通で除し、1通当たり売上約122円を求めた。取扱通数は厳密な2026年3月期の年間実績として日付が確定していないため、単価は概算であり郵便料金表そのものではない。営業利益は会社が開示するDM事業全体の15.26億円を、発送代行12.50億円とフルフィルメント2.76億円に分析上配分したもので、両サービス別利益は非開示。制作・データ入力などAI代替可能な工数相当を売上の約1割と仮定するが、この割合も非開示。AIエージェント代替によりその部分の中立数量を10年で0.65倍、手数料の名目伸びをゼロとし、物理的な発送部分は概ね物価に沿う価格を想定する。発送通数の予測と制作工数の減少を同じ数量に二重計上しない。
フルフィルメント・通販物流
EC事業者向けに在庫保管、受注処理、梱包、発送を行う「ウルロジ」などの物流代行。倉庫・仕分け設備・現場作業を必要とする物理的サービス。
| 数量年間出荷処理件数(万件、売上と仮定した平均単価からの推計) | 価格1万件当たり包括売上高(億円、配送費・保管・作業料金を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 425 | 0.08 | 34 | 3 |
| 10 年後 中立 | 800 | 0.10 | 80 | 8 |
取り方:会社開示のDM事業売上約231.65億円からDM発送代行売上約197.63億円を差し引き、フルフィルメント売上約34.02億円を推定。出荷件数は非開示のため、配送代、梱包、保管、受注処理を含む契約上の平均売上を1件約800円と仮定して年間約425万件を逆算した。平均600~1,000円なら件数は約340万~570万件となり、数量の推定誤差は大きい。競合スクロール360は2024年末時点で月間120万件以上の出荷を公表しており、処理規模の比較材料とした。現場作業自体はAIエージェント代替の事務・広告型には当てはまらないが、受注入力や顧客対応には自動化余地がある。営業利益2.76億円はDM事業内の推定配分。
デジタルマーケティング受託
SEOコンサルティング、広告運用、Webサイト制作、SNS運用など、顧客企業から制作・運用業務を受託する。人の工数と運用手数料で収益を得る部分。
| 数量年間受託契約・案件換算数(件、推定) | 価格1契約・案件換算当たり年間売上(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 440 | 0.02 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 286 | 0.02 | 4 | 0 |
取り方:2026年3月期のインターネット事業売上は全体で約10.56億円。デジタルマーケティング受託と自社メディアの最新の内訳は開示資料だけでは確定できない。前期の受託サービス約6.71億円、自社メディア約5.03億円という内訳と、2026年のSEO低迷・運用型広告の伸長に関する会社説明から、2026年の受託売上を約6.60億円と仮置きした。年150万円相当の案件440件という数量・単価は分析上の換算であり、実際の契約件数や平均請求額の開示ではない。AIエージェント代替の型は『人月・工数で売るBPO・コンサルおよび広告制作運用』とし、中立の受託数量は0.65倍、名目単価はほぼ横ばいとする。
自社バーティカルメディア
比較サイトなどの自社運営媒体を通じた広告・送客収入。媒体を持つ利点はあるが、検索からの流入がAI回答に奪われる危険が大きい。
| 数量年間広告送客・成約換算件数(件、推定) | 価格1成約換算当たり媒体売上高(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 20,000 | 0.00 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 14,000 | 0.00 | 3 | 1 |
取り方:インターネット事業全体の売上10.56億円から、分析上の受託サービス売上6.60億円を差し引いて約3.96億円を推定した。成約件数や成果報酬単価の公表値はなく、年2万件、1件1万9,800円は収益構造を可視化するための換算値にすぎない。営業利益もインターネット事業利益約1.456億円を受託0.40億円、媒体1.056億円に推定配分。媒体の型は『自社媒体の広告枠』だが、検索流入、広告主の継続率、独自データなど強い堀を示す定量開示が乏しい。AI検索による流入減を織り込み、中立の送客数量は0.70倍、単価の伸びも物価以下にとどめる。
アパレル・輸入卸売
子会社ビアトランスポーツの衣料品・スポーツ用品などの輸入卸売とEC販売。グループ物流施設との連携で保管・配送コストを抑える。
| 数量年間販売点数(万点、推定) | 価格1万点当たり売上高(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 40.0 | 0.33 | 13 | 1 |
| 10 年後 中立 | 45.0 | 0.45 | 20 | 1 |
取り方:2026年3月期の開示売上約13.39億円、セグメント利益約0.681億円を採用。販売点数は非開示のため、年間40万点、1点平均約3,348円という商品構成を想定して数量と単価に分けた。為替は全筋書きで1ドル150円に固定し、輸入商品の仕入価格、物流費、在庫評価の負担は営業利益率に反映。実物商品の販売であるため、事業全体はAIエージェント代替の人月・広告型に直接は該当しない。
リスクと懸念
大口顧客への依存と売上の再現性
2026年3月期の有価証券報告書では、株式会社大和心向けの売上が31.2億円となり、連結売上高の12.2%を占める。近年のDM発送代行の増収を、そのまま広範な顧客への競争優位の証拠と見ることはできない。契約の更新条件、発注数量、利益率は詳細に開示されていないため、売上を維持しても大口顧客の値下げ要求で利益が減る可能性がある。
紙のDM需要減少と郵便料金の値上げ
2025年のDM広告市場は前年比5.4%減で、郵便物数の減少も続く。郵便料金の値上げは発送代行会社の名目売上を押し上げることがあるが、発送量が減れば仕分け設備の稼働率は落ちる。現在の年間取扱通数を10年間維持するには、縮む市場で競合から相当の仕事を奪い続けなければならない。
物流拠点の固定費と設備更新
物流施設の拡張は成長機会であると同時に、家賃、従業員、保守、仕分け設備更新の長期的な支払いを増やす。新リース会計基準の適用で貸借対照表に使用権資産とリース負債が計上されても、家賃を営業費用として見た本質的な収益力は急には変わらない。悲観では荷物が減っても費用が残ることを利益率に反映し、純有利子負債だけで財務の安全性を判断しない。
AIエージェント代替
SEOコンサルティング、Web制作、広告運用、SNS運用、人材紹介の書類作成・候補者探索は、人間の工数をAIエージェントが代替しやすい。自社比較サイトも、AIによる検索結果の要約によって利用者が直接訪問しなくなる可能性がある。これらは本業の物理的な発送・保管とは区別し、中立の受託案件数量を65%、比較サイトの送客件数を70%へ減らした。会社独自の規制基盤や解約率の低さを示す定量的な堀は確認できない。
買収・多角化とガバナンス
ビアトランスポーツの取得後は収益改善が進んだが、インターネット事業の買収資産は構造的な逆風に直面している。2026年には外国人材紹介、IP関連レストラン、海外グッズ販売にも領域を広げた。物流事業との相乗効果はありうるものの、買収額や投資収益率に十分な規律がなければ資本が分散する。大株主への保有集中と明確な総還元率目標の不在も少数株主の不確実性となる。
希薄化、資金繰り、実質的なオーナー利益
過去には新株発行や新株予約権の行使によって株数が増えた時期がある。直近の株価と株数は2026年7月の株式分割後で統一したが、今後の新株予約権の行使による希薄化は追加的な監視が必要だ。また、営業利益が増えても倉庫設備の更新費用や運転資金が増えれば自由現金は少なくなる。2026年3月期の自己資本比率約39%と純有利子負債約6.5億円だけでは、固定的な賃貸契約を含む財務余力を十分に測れない。
今後の分かれ目
- DM発送代行の年間取扱通数が減少市場に逆行して継続的に増え、顧客数も増え続けたら
- 業界内での集約力と価格競争力が実績で確認できる。中立の発送通数を引き上げ、やや楽観・楽観の確率を増やす。売上だけでなく郵便料金を除いた粗利益の動きも確かめる。
- 大和心などの大口顧客の発注額が大きく減少したり、更新時に採算が悪化したら
- 足元の増収が恒常的なシェア拡大ではなかった可能性が高まり、DM発送通数と利益率を引き下げる。やや悲観の確率を増やし、固定費削減の実行状況を確認する。
- 鶴ヶ島を含むフルフィルメント拠点の高稼働率が続き、出荷量の伸びが投下資本の増加を上回ったら
- 物流の増分資本利益率が資本コストを超えている証拠となる。物流売上と営業利益率の見通しを上方修正し、新規施設への投資を価値創造として評価する。
- 物流事業の売上が増えても倉庫賃料と設備投資が先行し、営業キャッシュフローから投資を引いた額が細ったら
- 会計利益よりオーナー利益が低いと判断する。物流利益率と将来の還元額を下方修正し、留保資金の評価も保守的に見直す。
- AI検索の普及によって自社比較サイトの収益減少が続き、広告制作・運用サービスの単価も下がったら
- デジタル事業の数量・価格をやや悲観に近づける。ただし物理的な物流収入に同じ縮小率を一律に適用せず、事務作業の削減と現場作業を分けて評価する。
- 人材紹介、AI履歴書支援、IP事業などの新領域で、開示された売上と利益が継続的に積み上がったら
- 確認できた利益額だけを新たな収益源として評価する。新規事業の名称や発表件数だけで楽観側の成長を追加せず、投資額、粗利益、顧客継続率を条件とする。
- 利益の増加に伴って配当性向が継続的に高まり、自己株式取得による株数減少も明確になったら
- 留保資金の株主への戻り方を現行の75%から100%へ引き上げる余地がある。反対に、利益の多くを低収益の買収へ使い続ける場合は、還元可能な資金の価値を再検討する。
見ておくもの
- DM発送代行の売上高と年間取扱通数、郵便料金改定による単価変化
- 取引社数とオンライン受注案件数、オンライン受注比率
- 株式会社大和心など主要顧客の売上集中度と契約継続
- フルフィルメント各センターの稼働率、出荷件数、延床面積、新設施設の投資額
- DM事業の営業利益率と、物流を含む増分投下資本利益率
- インターネット事業の売上と利益、SEO・比較サイト・広告運用の収益構成
- 営業キャッシュフロー、設備投資、減価償却、純有利子負債、リースの約束
- 買収先の売上と利益、のれんの償却・減損、株主還元方針
- 2027年3月期の業績進捗と、2026年7月の株式分割後の発行済株式数・新株予約権の動向
- 電通のDM広告市場、国土交通省の宅配便取扱個数、経済産業省の物販EC市場の更新
倍率と資本コストの決め方
株価や現在のPERから将来の売上を逆算していない。まずDM発送通数と包括単価、通販物流の推定出荷件数と処理単価、広告受託の案件換算数と手数料、自社媒体の送客件数、アパレル販売点数から2036年の売上を作った。郵便市場の縮小、EC物流の競争、AIエージェント代替を数量と価格に分け、本社費用も物価上昇を考慮した。減価償却は既存設備の帳簿価額を一律に物価で増やさず、更新・増設分だけ上乗せした。倉庫家賃は営業費用に含め、2028年3月期以降の新リース会計基準による表示変更で利益を二重に変えない。倍率はk8%、2036年以降のg0%、通常の堀に基づくRONICから算出した。楽観から中立は正当化PERの上限12.5倍そのものを用い、過去の市場倍率で割り引いていない。留保利益のうち事業に必要な資本を超える分については、株主に戻る割合を75%とし、その利息を事業利益から控除して別途評価する前提である。やや悲観の稼ぐ力は2.15億円×12.5倍=26.875億円であり、以前の40.5億円という時価総額はこの値と資産床の両方を超えていた。修正後は現在の自己資本38億円からのれん3.528億円を控除した34.47億円を資産床とし、PBR0.9071倍を現在の自己資本に掛ける形にした。悲観はさらに約4.07億円の資産換金損失・撤退費用を仮定した30.40億円を床とする。どちらも将来の自己資本75億円または56億円に床のPBRを掛けていない。これらの床は貸借対照表からの概算であり、実際の清算価値が開示されているわけではない。将来の新株予約権行使による追加希薄化は不確実であり、既存株主の取り分を過大評価する可能性が残る。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を基本に、値決め力の弱さ0.5%を加えた8.0%。規模や株価ベータによる加算は行わず、顧客集中、M&A、AI代替の影響は各筋書きの数量、利益率、確率に反映する。