結論
RSC はサンシャインシティを足場に、ビルの警備・清掃・設備管理を請け負う会社だ。筆者の結論は「割高」で、一番の理由は、利益率 3% 前後の薄い受託の稼ぎに比べて、今の値段が高すぎることにある。
強みは契約の粘りだ。売上の 6 割弱は毎年更新される契約で、景気が悪くても簡単には切られない。筆頭株主のサンシャインシティが大口の顧客でもあり、足場は固い。純現金は時価総額の 4 割にあたり、借金の心配はまず無い。
弱みは、仕事のほとんどが人の手に頼ることだ。警備員も清掃員も集まりにくく、賃金の上昇に値段が遅れると利益はすぐ細る。2027 年 3 月期は AI とロボットへの投資で、営業利益が半減する見込みだ。
10 年の中立では、受託は 1 割弱増え、利益率は今の水準にとどまる。本社の費用も物価で増えるので、全社の営業利益率は 3% 弱から抜け出せない。
現金をすべて足しても、今の時価総額には届かない。今の値段は、ロボット警備で利益率が大きく上がる筋を先に織り込んでいると筆者は見る。その筋が実る証拠は、まだ決算に出ていない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、RSC は「つぶれにくいが、増えにくい事業」だ。
オーナーとして見ると、良い点ははっきりしている。大きな設備が要らず、稼いだ利益はほぼそのまま手元に残る。毎年更新される契約が半分を超え、景気の谷でも売上は大きく崩れない。
しかし、払う値段に見合う稼ぎが無い。年 1〜2 億円の純利益に対して、時価総額は 37 億円だ。純現金をすべて差し引いても、事業に 20 億円を払う計算になる。利益率 3% の受託業で、人手と賃金という自分では決められない要因に利益を握られている。
筆者は、この会社を持ち続けたいとは思うが、今の値段で買いたいとは思わない。安全域、つまり見込み違いに備えた値段の余裕が無いからだ。
現金の扱いも気になる。純現金は厚いが、配当は据え置きで、自社株買いもほとんど無い。使われない現金は、株主にとって額面ほどの値打ちを持たない。値段が今の半分近くまで下がれば、事業の稼ぎと現金の両方に見合う水準になる。
何で稼ぐ会社か
事業は 2 つに分かれる。売上 82 億円(2026 年 3 月期)のうち 9 割強が建物総合管理で、残りが人材サービスだ。
建物総合管理は、警備・清掃・設備管理・受付などのオフィスサービスを、ビルの持ち主から請け負う。売上の 6 割は毎年更新される年間の契約で、残り 4 割が臨時の仕事だ。臨時には大阪・関西万博のイベント警備や、サンシャインシティのシャッター改修のような修繕工事が入る。セグメントの利益率は 9% 弱で、ここが会社の稼ぎのほぼすべてだ。
人材サービスは、情報管理やファイリング、機器の操作を担う事務系の派遣と職業紹介だ。前の期は大型の周年イベントで売上が膨らんだが、今期はその反動で 3 分の 1 に縮んだ。
会社の利益が薄いのは本社の費用が重いからだ。2 つのセグメントで 6.8 億円を稼いでも、管理部門の費用 4.6 億円を引くと営業利益は 2.2 億円しか残らない。2025 年には 2 号警備専門の子会社を作り、ソフトバンクロボティクスと資本業務提携を結んだ。中部と関西にも拠点を持ち、名古屋のアジア競技大会の選手村の警備も受注している。
優良さと弱いところ
優良さは「契約は堅いが、値決めの力は弱い」と見る。ビル管理は一度入れば何年も続く仕事で、鍵や設備の引き継ぎの手間があるので、持ち主は簡単に業者を替えない。サンシャインシティのような大口の顧客を持つのは強みだ。
ただし、この堅さは利益の厚さにつながっていない。全社の営業利益率は過去 12 年で 4% を超えたことが無い。全国に数千社がひしめく業界で、規模の大きいセコムや ALSOK、日本管財と比べると、値段を自分で決める力は乏しい。
資本の効率も低い。ROE は 6〜9% で、資本コストの 8% 前後をなかなか超えない。純現金が厚いぶん、自己資本が膨らんで ROE を押し下げている。経営は堅実だが、現金の使い道は見えにくい。
弱い所をもう一つ挙げると、規模の小ささだ。本社の費用は売上が増えても大きくは減らず、売上 80 億円台では管理部門の重さが利益を食い続ける。同業を買って規模を足す動きも、今のところ見えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ビルメンテナンスの市場は約 4 兆円とされ、成熟しているが縮んではいない。新しいビルが建たなくても、今あるビルは警備も清掃も要るからだ。
最大の論点は人手だ。警備員と清掃員は高齢の人が多く、引退とともに人が足りなくなっていく。最低賃金は年 3% を超えて上がり、値段に転嫁できない会社から脱落する。逆に、人を集められる会社には仕事が集まる。外注に回るビルが増えるのは追い風だが、受けきれなければ意味がない。
もう一つの論点は技術だ。巡回警備のロボットや、カメラと AI による遠隔の監視が広がっている。セコムや ALSOK は自前の監視網を持ち、人の数を減らして安く請ける力がある。RSC はソフトバンクロボティクスと組んで追いかけるが、規模では見劣りする。
大阪・関西万博やアジア競技大会のような大型イベントは臨時の警備を押し上げるが、毎年続くものではない。筆者は、10 年で受託の数はわずかに増える程度と見る。
業界の再編も進む。後継者のいない地方の小さな会社は、大手や中堅に買われて消えていく。買う側に回れるのは、人を集める力と資金を持つ会社だけだ。RSC は資金を持つが、買収の実績は小さく、再編の主役になるかはまだ見えない。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。配当の総額は年 0.7 億円ほどで、2026 年 3 月期の配当性向は 5 割だった。2027 年 3 月期も同じ額を据え置く予定で、利益が半減すれば性向はさらに上がる。自社株買いは小さい。
現金は厚い。3 か月を超える定期預金を含めた現金預金は 18 億円あり、借入 2.4 億円を引いても 16 億円近くが残る。人件費の立て替えに要る分を除いても、8 億円ほどは事業に要らないと筆者は見る。
株主はサンシャインシティが約 24%、三菱地所が約 6%、ソフトバンクロボティクスが約 6% を持つ。三菱地所グループの側から見れば、ビル管理の機能を取り込む再編の対象にもなりうる。ただ、TOB や MBO の動きは調べた範囲では無かった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
人手不足は、この会社にとって追い風だ。ビルの持ち主が自前で警備員や清掃員を雇えなくなれば、外注に回すしかない。サンシャインシティという大口の顧客を持ち、池袋の巨大な複合施設を長年守ってきた実績は、新しい大型ビルの受注でも効く。2025 年 3 月期には受託の拡大と料金の改定で過去 10 年で最高の利益を出した。
ソフトバンクロボティクスとの提携は、小さな会社が技術の壁を越える近道になる。警備ロボットを現場に入れれば、同じ人数でより多くのビルを守れる。人を集める競争から一歩抜けられる。
財務も堅い。純現金は時価総額の 4 割あり、借金はほとんど無い。投資で一時的に利益が落ちても、会社が傾くことはない。中計の投資が実れば、利益率は 4% 台に戻り、今の値段は正当化される。
株主の顔ぶれも心強い。サンシャインシティと三菱地所は、池袋の大型施設を長く任せてきた相手だ。三菱地所グループの開発が続く限り、新しいビルの管理を任される機会はある。資本業務提携で入ったソフトバンクロボティクスも、技術を売り込む先として RSC の現場を必要としている。
慎重な見方
利益が薄すぎる。売上 82 億円に対して営業利益は 2 億円で、過去 12 年で利益率が 4% を超えた年は無い。本社の費用が稼ぎの 7 割を食う構造は、規模が倍にでもならない限り変わらない。
2027 年 3 月期の会社予想は、営業利益が半減だ。1Q の営業利益はほぼゼロだった。AI とロボットへの投資が回収できる保証は無く、ロボットを先に使いこなすのはセコムや ALSOK だ。彼らが人の数を減らして安く請ければ、RSC の値決めの力はさらに弱まる。
事務系の派遣は AI に置き換わる仕事そのものだ。臨時の警備も、万博のような大型イベントが毎年あるわけではない。純現金は厚いが、配当は据え置きのままで、現金が株主に戻る道筋は細い。
筆頭株主が大口の顧客を兼ねる形も、両刃の剣だ。サンシャインシティが管理の条件を見直せば、RSC には断る力が無い。親しい株主がいることは、少数株主への還元を急ぐ理由を弱める。この値段は、稼ぎではなく期待を買っている。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の方が強い。契約の堅さは本物だが、それが利益の厚さにつながった実績が過去 12 年で一度も無い。会社自身が来期の減益を見込み、1Q もそれを裏づけた。確率は中立を軸に悲観側へ寄せ、やや悲観と悲観で 35% を置いた。楽観は技術提携が実った時だけの筋として 7% にとどめた。純現金の厚さは悲観の床を支えるが、値段を正当化するほどではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,321 円40 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 244 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 794 円24 億円、今との差 −25.5%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 3,057 円92 億円 | 407 円12 億円 | +224.7% | +12.5% | 242 円7 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,069 円62 億円 | 318 円10 億円 | +123.6% | +8.4% | 477 円14 億円 |
| 中立 | 38% | 1,376 円42 億円 | 252 円8 億円 | +52.5% | +4.3% | 619 円19 億円 |
| やや悲観 | 22% | 531 円16 億円 | 199 円6 億円 | −31.6% | −3.7% | 160 円5 億円 |
| 悲観 | 13% | 414 円13 億円 | 99 円3 億円 | −51.9% | −7.1% | 67 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,321 円40 億円 | 244 円7 億円 | +46.7% | +3.9% | 1,565 円47 億円 |
今の株価時価総額 1,067 円32 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 7% AI 警備で人手の壁を越え、受託が 2 割強増える 利益 5 億円 · PER 17.9 倍 · 株価時価総額 3,057 円92 億円
ソフトバンクロボティクスと組んだ AI 警備が現場に根づく。巡回や受付の一部をロボットが受け持ち、同じ人数でより多くのビルを請けられるようになる。人手が集まらない中小の同業から、池袋や丸の内の大型ビルの契約が流れてくる。
受託の物件は 2 割強増え、賃上げは契約の更新ごとに値段へ乗る。臨時の警備や修繕も、再開発やイベントの増加で厚くなる。建物管理の利益率は 9.5% まで上がり、全社の営業利益率は 5% 近くに届く。配当は性向 4 割ほどで増え、手元の現金は厚いまま残る。ロボット警備の仕組みを同業へ売る道も開け、利益の柱が一つ増える。
- 建物総合管理(警備・清掃・設備管理・オフィスサービス):数量 1,875(受託物件(件、推定))× 価格 0.07(1 物件あたり年額(億円・名目))→ 売上 132 億円・営業利益 13 億円。受託 1.25 倍 × 年額 1.40 倍、利益率 9.5%
- 人材サービス(事務系の派遣・職業紹介):数量 135(派遣の稼働人数(人・年平均、推定))× 価格 0.06(1 人あたり年額(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。稼働 0.9 倍 × 1.34 倍、利益率 3%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.6% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)6 億円。全体の PER 17.9 倍、時価総額 89 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計「RSC Challenge 2030」とソフトバンクロボティクスとの提携は始まったばかりで、ロボット警備で利益を出した実績はまだ無い。人手の制約を技術で外す筋なので 1 割に届かない 7% にとどめた。
やや楽観 20% 値上げが通り、受託がゆっくり増える 利益 3 億円 · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 2,069 円62 億円
人手不足でビルの持ち主が自前の管理をやめ、外注に回す流れが続く。RSC はサンシャインシティを足場に、首都圏と中部、関西で受託を 15% 増やす。最低賃金の上昇は契約の更新で値段に乗り、1 物件の年額は物価を少し上回って上がる。
建物管理の利益率は 9% 強を保ち、AI とロボットへの投資は人の配置を減らす形で回収される。事務系の人材派遣は AI に仕事を削られて縮むが、全体に占める割合は小さい。配当は性向 4 割で増える。本社の費用は物価で増えるが、売上の伸びがそれを上回り、全社の営業利益率は過去の山の 4% 弱まで戻る。
- 建物総合管理(警備・清掃・設備管理・オフィスサービス):数量 1,725(受託物件(件、推定))× 価格 0.07(1 物件あたり年額(億円・名目))→ 売上 119 億円・営業利益 11 億円。受託 1.15 倍 × 年額 1.37 倍、利益率 9.1%
- 人材サービス(事務系の派遣・職業紹介):数量 120(派遣の稼働人数(人・年平均、推定))× 価格 0.06(1 人あたり年額(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。稼働 0.8 倍 × 1.34 倍、利益率 2.5%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.0% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)6 億円。全体の PER 16.38 倍、時価総額 60 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2025 年 3 月期に受託の拡大と契約料金の改定で過去 10 年で最も高い利益を出した実績がある。人手不足で外注に回る流れは続くので、やや楽観に 2 割を置いた。
中立 38% 受託は少し増え、利益率は今の水準 利益 2 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 1,376 円42 億円
受託の物件は外注化の追い風で 1 割弱増える。ただ、警備員と清掃員が集まらず、伸びはそこで止まる。1 物件の年額は物価並みに上がり、賃上げはおおむね値段へ乗る。建物管理の利益率は 8.6% と今に近い。
本社の費用も物価で増え、全社の営業利益率は 3% 弱で落ち着く。事務系の派遣は AI に仕事を削られ、稼働は 3 割強減る。純現金の利息が利益を少し支える。配当は性向 4 割前後で、ROE は資本コストとほぼ同じ水準にとどまる 10 年になる。AI とロボットの投資は人の不足を埋める分にとどまり、利益率を押し上げるまでには至らない。
- 建物総合管理(警備・清掃・設備管理・オフィスサービス):数量 1,620(受託物件(件、推定))× 価格 0.07(1 物件あたり年額(億円・名目))→ 売上 110 億円・営業利益 9 億円。受託 1.08 倍 × 年額 1.34 倍、利益率 8.6%
- 人材サービス(事務系の派遣・職業紹介):数量 97.5(派遣の稼働人数(人・年平均、推定))× 価格 0.06(1 人あたり年額(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。稼働 0.65 倍 × 1.34 倍、利益率 2%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.8% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)6 億円。全体の PER 14.52 倍、時価総額 39 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ビルの管理は毎年更新される契約が半分を超え、急には崩れない。一方で人が集まらず受けきれない仕事も出る。今の延長を中心に 4 割弱を置いた。
やや悲観 22% 人が集まらず、賃金に値段が追いつかない 利益 1 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 531 円16 億円
現場の人が集まらず、受託の物件は今の数から増えない。最低賃金の上昇に契約の値上げが遅れ、1 物件の年額は物価ほど上がらない。建物管理の利益率は 7.6% に下がる。
AI とロボットへの投資は費用が先に立ち、人の配置を思ったほど減らせない。事務系の派遣は採算が合わず、稼働が 4 割減る。本社の費用は物価で増え続け、全社の営業利益率は 1% 強にとどまる。配当は維持するが、ROE は 3% 前後に沈む。手元の現金は配当と投資で少しずつ減り、株主に戻る額は細る。それでも契約の多くは残り、会社が傾くほどではない。
- 建物総合管理(警備・清掃・設備管理・オフィスサービス):数量 1,500(受託物件(件、推定))× 価格 0.07(1 物件あたり年額(億円・名目))→ 売上 98 億円・営業利益 7 億円。受託 1.0 倍 × 年額 1.30 倍、利益率 7.6%
- 人材サービス(事務系の派遣・職業紹介):数量 90.0(派遣の稼働人数(人・年平均、推定))× 価格 0.06(1 人あたり年額(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。稼働 0.6 倍 × 1.32 倍、利益率 0%
倍率:ROE 4.1%(現金を除く事業の純利益÷自己資本)が k 7.75% に届かないので PER の上限は 1÷k の 12.5 倍。ためた利益の目減りを見て 10.75 倍に置いた。
確率:2027 年 3 月期の会社予想は営業利益が半減で、1Q も利益がほぼ出ていない。賃金の上昇に値段が遅れる年が続けばこうなるので 2 割強を置いた。
悲観 13% 大手と技術に挟まれ、赤字に沈む 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 414 円13 億円
警備はセコムや ALSOK が遠隔監視とロボットで人の数を減らし、安い値段で大型ビルを取りにくる。RSC は人を集める力でも技術でも見劣りし、受託の物件は 15% 減る。値上げは通りにくく、建物管理の利益率は 5.5% に落ちる。
事務系の派遣は AI に置き換わり、ほぼ消える。本社の費用は簡単には削れず、全社は営業赤字になる。配当は大きく減らし、手元の現金を取り崩して払う。価値は事業の稼ぎでなく、残った純現金で測る 10 年になる。その現金も、少数株主には使い道を決められず、赤字を埋めるために少しずつ削られていく。
- 建物総合管理(警備・清掃・設備管理・オフィスサービス):数量 1,275(受託物件(件、推定))× 価格 0.06(1 物件あたり年額(億円・名目))→ 売上 80 億円・営業利益 4 億円。受託 0.85 倍 × 年額 1.25 倍、利益率 5.5%
- 人材サービス(事務系の派遣・職業紹介):数量 60.0(派遣の稼働人数(人・年平均、推定))× 価格 0.06(1 人あたり年額(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。稼働 0.4 倍 × 1.30 倍、利益率 −3%
倍率:赤字で稼ぐ力の床は使えない。純現金と投資有価証券の税後に戻り方 0.75 を掛けた床を、今の自己資本 24 億円に対する PBR 0.52 倍で書いた。
確率:サンシャインシティという大口の顧客と株主に支えられ、契約が一気に消える形は考えにくい。ただ小さな受託会社が人と技術の両方で負ける筋は現実にあるので 1 割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建物総合管理(警備・清掃・設備管理・オフィスサービス)
ビルの持ち主から警備・清掃・設備管理を請け負う。年間の契約が 6 割、臨時の仕事が 4 割。
| 数量受託物件(件、推定) | 価格1 物件あたり年額(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,500 | 0.05 | 76 | 7 |
| 10 年後 中立 | 1,620 | 0.07 | 110 | 9 |
取り方:物件数の開示は無いので推定。セグメント売上 75.7 億円(年間契約 45.2 億・臨時 30.5 億)を約 1,500 物件・1 物件年約 500 万円(臨時の仕事を含む)と置いた。利益はセグメント利益 6.69 億円(全社費の配賦前)。AI エージェント代替は「現場の体」の行で、警備・受付の一部だけ数量と k に入れた。
人材サービス(事務系の派遣・職業紹介)
情報管理・ファイリング・機器操作などの事務系の派遣と有料職業紹介。
| 数量派遣の稼働人数(人・年平均、推定) | 価格1 人あたり年額(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 150 | 0.04 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 97.5 | 0.06 | 6 | 0 |
取り方:稼働人数の開示は無いので推定。セグメント売上 6.6 億円を約 150 人・1 人年約 440 万円と置いた。前の期の大型周年イベントの反動で売上は 3 分の 1 に縮んでいる。事務系派遣は AI エージェント代替の表の「人月・事務系人材派遣」の行(中立の数量 0.55〜0.75 倍)で 0.65 倍に置いた。
リスクと懸念
賃金の上昇に値段が追いつかない
最低賃金は年 3% を超えて上がり続ける。契約の更新で値上げが通らなければ、利益率 9% 弱の建物管理でもすぐに採算が細る。全社の営業利益率は 3% 前後しかなく、少しの遅れで赤字に近づく。
人が集まらず受注できない
警備員と清掃員は高齢の人が多く、引退で毎年人が減る。外注の需要があっても、人を配置できなければ受けられない。人を集める競争で賃金がさらに上がり、利益を削る。
ロボットと遠隔監視で大手に負ける
セコムや ALSOK は自前の監視網とロボットで人の数を減らし、安い値段で大型ビルを取りにくる。RSC はソフトバンクロボティクスと組むが、投資の規模で見劣りし、技術で値決めの力を失う恐れがある。
AI 投資が回収できない
2027 年 3 月期は AI・ロボット・DX への投資で営業利益が半減する見込みだ。投資が人の配置の削減につながらなければ、費用だけが残り、利益率は下がったまま戻らない。
大口の顧客と臨時の仕事への依存
筆頭株主のサンシャインシティは大口の顧客でもあり、契約の条件が変われば影響が大きい。売上の 4 割は臨時の仕事で、万博のような大型イベントが無い年は売上が落ちる。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期の営業利益が会社予想の 1.2 億円も下回ったら
- 投資の費用が重く、値上げも追いついていないとみて、やや悲観に重みを移す。
- 建物管理のセグメント利益率が 10% を超えて 2 期続いたら
- ロボットと値上げで人の配置が減った証拠とみて、やや楽観に重みを移す。
- ソフトバンクロボティクスとの AI 警備が外部の顧客に売れ始めたら
- 技術で人手の壁を越える筋が現実になったとみて、楽観の確率を上げる。
- 三菱地所グループが RSC を取り込む動きを見せたら
- 再編で現金と契約が評価される筋として、本質価値とは別に値段が動く。
- 配当を据え置いたまま現金がさらに積み上がったら
- 現金が株主に戻らないとみて、余った現金の戻り方を下げる。
見ておくもの
- 建物管理のセグメント利益率(9% 前後を保てるか)
- 年間契約の売上の伸び
- AI・ロボット投資の回収(人の配置の削減)
- サンシャインシティとの取引の条件
- 配当と現金の使い道
倍率と資本コストの決め方
倍率は k 7.75% と各筋書きの ROE から正当化 PER の式で出し、ROE が k を下回る筋は 1÷k の 12.5 倍を上限にした。今の PER(約 26 倍)や同業の倍率は使っていない。利益率は過去 12 年の山(3.8%)を中立で超えないように置いた。余った現金 8 億円は戻り方 0.75 で足した。悲観は赤字で、純現金と投資有価証券の床で測った。新リース会計基準で事務所の賃借が載っても、10 年後の数字は今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.1→17.9 倍・やや楽観 PER 12.9→16.38 倍・中立 PER 11.2→14.52 倍・やや悲観 PER 10→10.75 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 0.5%。同じ領域のビケンテクノ(0.5%)と同じ重さ、ハリマビステム(0.25%)より臨時の仕事の多さで 0.25% 重い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.75%。