結論
セントラル警備保障(CSP)は、ビルや商業施設に警備員を置く常駐警備と、センサーで見守る機械警備の会社だ。売上の約 97% が警備で、国内ではセコム、ALSOK、綜合警備保障に次ぐ中堅にあたる。筆頭株主はJR東日本で、持株比率は約 26% に及ぶ。
筆者の結論は「適正」だ。10 年後の中立で、時価総額は今の約 1.7 倍になる。ただし利益の伸びは物価の分が大半で、事業の質は上がらない。自己資本利益率(ROE)は 7% 台と資本コストに届かず、貯めた現金も株主に戻りにくい。割安に見えるのは、時価総額の約 3 割に当たる純現金が厚いためだ。
足元は強弱が入り混じる。2026 年 2 月期は、高輪ゲートウェイシティと大阪・関西万博の特需で売上が過去最高になった。ところが 2027 年 2 月期は営業利益が 45 億円から 35 億円に減る見通しで、最低賃金の引き上げも重い。
筆者が気にするのは、人手不足と省人化の挟み撃ちである。人手が足りず賃金が上がる一方、顧客は警備員を減らして機械に替えたい。値上げで賃金を転嫁できるか、機械警備で利益率を保てるかが、10 年の評価を決める。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、CSP は「安定しているが、資本をうまく使えていない」会社だ。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、純利益に近い。警備は設備投資が小さく、人件費が主な費用だからだ。ただし、人件費の上昇を価格に載せられなければ、利益は増えない。
堀は狭い。セコムのような規模と家庭用のブランドを持たず、特定の顧客との関係に支えられる。10 年先に今より強くなっているとは言いにくい。
資本配分には課題がある。純現金が時価総額の 3 割に及ぶのに、ROE は 6〜7% と低い。買収は小さく、のれんの減損も出た。株主還元は進み始めたが、JR東日本が 26% を持つため、現金の使い道が少数株主の思い通りにならない。
安全域は一定ある。現金の厚さが下値を支え、悲観の筋書きでも今の時価総額を大きく割りにくい。ただ、これは「失わないための安全域」であり、「増やすための余地」ではない。結論は、適正な値段で、期待を超えない会社である。
何で稼ぐ会社か
CSP の稼ぎは、警備を月額・時間単位の契約で提供するストック型だ。契約が続く限り、毎月決まった料金が入る。
常駐警備は、ビルや商業施設、再開発エリアに警備員を派遣する。2026 年 2 月期は高輪ゲートウェイシティの常駐開始と万博の臨時警備で伸びた。利益率は低く、売上の約半分を占めながら利益への貢献は限られる。
機械警備は、顧客先にセンサーとカメラを付け、異常があればセンターから警備員を出動させる。人手に頼る度合いが低く、利益率が高い。2025 年に山梨の日本連合警備を子会社にし、契約を積み増した。
工事・機器販売は、防犯カメラや入退室管理の設置工事と販売。単年で初めて 100 億円を超えたが、特需の反動で来期は大きく減る。
これに、ビル管理・不動産の小さな事業が加わる。
顧客には鉄道会社(JR東日本グループ)や大手ビルが多く、駅や再開発の警備を受ける関係が強みになっている。最近は、エリア全体を管理する基盤「梯」、カウンタードローン、スマート駐車場など、人を減らす商品にも広げている。これらは人手不足の時代に、警備員の数に頼らず売上を増やす狙いの事業である。
優良さと弱いところ
CSP の優良さは、中くらいだ。警備は景気に左右されにくく、契約が続くため利益は安定する。上場来、赤字の期はなく、純現金を 100 億円以上持つ。
ただし堀、つまり他社がまねできない強みは、広くない。業界は上位のセコムとALSOKが大きく、CSP は特定の顧客との関係(JR東日本グループ)に頼る部分が大きい。値段は顧客との交渉で決まり、賃金の上昇を転嫁する力は弱い。2026 年の改定では、4 割の顧客と折衝して 75% の同意を得たが、改善は平均 4.9 ポイントにとどまった。
資本効率も弱い。過去 10 年の ROE の中央値は 8.9% だが、直近は 6% 台まで下がった。営業利益率は 6% 前後で、純現金の積み上がりが ROE を押し下げている。
経営面では、買収の目利きに課題がある。日本連合警備は、取得時ののれん 13 億円余りを 2026 年に減損した。京三製作所との訴訟は 4.5 億円で和解し、保険会社とも 4 億円で和解した。大きな問題にはならないが、統制の甘さを示す。
一方、配当は安定しており、2027 年は配当性向 37% を見込む。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
警備業の市場は 2024 年末で約 3.4 兆円、警備員は約 58.8 万人。1972 年の統計開始から増え続けてきた。ただし人手不足は深刻で、警備業の有効求人倍率は 6.7 倍と、全職業の 1.1 倍を大きく上回る。警備員の 3 分の 1 が 65 歳以上である。
賃金は上がり続ける。警備員の給与は過去 10 年で約 22% 上がったが、それでも低い。東京都の最低賃金は 2025 年度に 5.4% 上がった。ここは物価の 3% を上回る。顧客に料金を上げてもらえるかが、収益を左右する。
構造としては、機械化が進む。機械警備の契約は 2024 年に 342 万件、前年比 6.4% 増で、5 年で 8% 近く増えた。警察庁も 2025 年末に省力化投資のプランを出し、ロボットやドローンの活用を促した。
競合は、セコムとALSOKが大手で、綜合警備保障が続く。CSP はその次の層にあたる。セコムは家庭用と大型の法人で圧倒的な規模を持ち、CSP は法人向けと再開発エリアで戦う。
10 年の中立は、数量が横ばい、価格が賃金に押されて物価より少し速く上がる構図だ。機械化の進み方で、常駐警備と機械警備の比率が動く。
資本政策と M&A
還元は、配当性向 33% 前後を目指す方針で、DOE も意識する。2027 年 2 月期の配当は 2026 年並みの水準を見込み、配当性向は 37% になる。自社株買いは 2026 年 2 月期に約 13 億円と、直近で初めて目立つ額を実施した。
中期計画「想い2030」は、2030 年 2 月期に売上 900 億円、営業利益 54 億円、利益率 6.0% を目標とし、ROE は資本コスト(5〜8%)を安定的に上回ることを掲げる。数値の ROE 目標はない。
買収は、日本連合警備(山梨)、阪急阪神ハイセキュリティサービスの常駐警備事業、総和防災(茨城)と続く。小さな買収を重ねる方針だが、日本連合警備は減損した。セーフィーとは資本提携して AI カメラの活用を探る。
株主は、JR東日本が約 26% を持つ筆頭株主で、日本マスタートラスト信託銀行が続く。JR東日本の持株が厚い分、第三者の買収は起きにくく、純現金を株主へ戻すかどうかも、JR東日本の考え方に左右される。
10 年の還元は、中立で純利益の合計の約 45%(350 億円のうち約 160 億円)と見た。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
警備は景気に左右されず、契約が続くストック型の事業だ。人手不足が深刻なほど、警備員を確保できる会社に顧客が集まる。CSP は鉄道と再開発に強みがあり、高輪ゲートウェイシティの全体警備を受注した。梯(エリアを一括して管理する基盤)が他の街に広がれば、エリアごとに長い契約が取れる。
料金改定も効き始めている。常駐警備では 4 割の顧客と折衝し、75% から見直しの同意を得た。値上げが通る土壌ができたことは、人手不足で顧客が代わりを見つけにくい現状を映す。
機械警備の契約は業界全体で年 6% 増えており、AI の画像解析で誤報が減れば利益率はさらに上がる。工事・機器も、年 100 億円を超える水準に初めて達した。
財務は盤石で、純現金は時価総額の 3 割。自社株買いも始まり、配当性向は 37%、DOE も意識すると明言した。中期計画の 6.0% の利益率は、過去の 7.5% の山より低く、現実的な目標である。日本連合警備の減損という失敗から学び、買収は規律を強める。
慎重な見方
2027 年 2 月期の営業利益は 45 億円から 35 億円に落ちる。最低賃金は 5.4% 上がり、物価の 3% を超える。値上げの同意は 75% でも、改善は平均 4.9 ポイントにとどまり、賃金の上昇を吸収し切れない。
常駐警備は利益率が 3% 前後と低く、賃金が 1% 上がるだけで利益が大きく動く。省人化が進めば、顧客は警備員を減らし、料金の下げ圧力がかかる。機械警備の大口契約の期間満了も、一部減収の要因だ。
ROE は 6% と資本コストに届かない。純現金が積み上がっても、JR東日本が 26% を持つため、少数株主が現金の使い道を決められない。自社株買いは 13 億円と小さく、PBR は 1 倍付近にとどまる。
買収では失敗が目立つ。日本連合警備ののれんを 13 億円余り減損し、訴訟も続けて和解した。経営の統制と買収の目利きに疑いが残る。
10 年の技術変化は、常駐警備の需要を直接侵す。ドローンや AI カメラが警備員の仕事を置き換えれば、規模の小さい会社ほど投資負担に耐えにくい。
どちらに重みを置いたか
契約の安定と現金の厚さでは強気の見方に分があり、資本効率と人件費の転嫁力では慎重な見方が強い。ROE が資本コストと同じ水準にとどまるので、倍率は中立で 1÷k(約 13 倍)、悲観側はそれより下に置いた。現金は戻り方を 0.5 に割り引いた。中立を最大の確率にしつつ、人件費の先行と無人化の筋書きに厚みを持たせ、悲観側の合計を楽観側より重くした。結果は、今の値段にほぼ近い。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 4,227 円592 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,087 円152 億円)。 今の値に割り戻すと 2,808 円393 億円、今との差 +11.3%、 期待の年率 +7.7%(資本コスト 7.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 7,370 円1,032 億円 | 1,450 円203 億円 | +249.6% | +13.3% | 617 円86 億円 |
| やや楽観 | 20% | 6,066 円849 億円 | 1,293 円181 億円 | +191.7% | +11.3% | 1,472 円206 億円 |
| 中立 | 38% | 4,777 円669 億円 | 1,136 円159 億円 | +134.4% | +8.9% | 2,247 円315 億円 |
| やや悲観 | 25% | 2,384 円334 億円 | 950 円133 億円 | +32.1% | +2.8% | 833 円117 億円 |
| 悲観 | 10% | 864 円121 億円 | 579 円81 億円 | −42.8% | −5.4% | 144 円20 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,227 円592 億円 | 1,087 円152 億円 | +110.6% | +7.7% | 5,314 円744 億円 |
今の株価時価総額 2,523 円353 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 省人化と料金改定が両立し、利益率が上がる 利益 63 億円 · PER 15.8 倍 · 株価時価総額 7,370 円1,032 億円
常駐警備の料金改定が定着し、最低賃金の上昇を価格に載せ切る。同時にセンサー・カメラ・ドローンの組み合わせで「同じ人数で 2 倍の受注」という目標が実現し、常駐警備の利益率が 4% まで上がる。機械警備は AI の画像解析で出動の無駄が減り、契約は年 1% 台で増えて利益率 12.5% を保つ。工事・機器は高輪のようなエリア開発案件が次々に出て、梯(エリア管理の基盤)が他の街にも広がる。M&A は小粒で当たり、のれんの減損は出ない。売上は 1,240 億円、営業利益は 88 億円と、中期計画の 6.0% を超える。JR東日本グループの案件が牽引役になる。
- 常駐警備(運輸警備を含む):数量 1,200(警備の稼働時間(万時間・年、推定))× 価格 4,742(1 時間あたりの請求単価(名目))→ 売上 569 億円・営業利益 23 億円。警備の稼働 1200 万時間 × 1 時間あたりの単価(今の 1.47 倍)、営業利益率 4.0%
- 機械警備:数量 34.0(機械警備の契約件数(万件、推定))× 価格 137,886(1 件あたりの年間料金(名目))→ 売上 469 億円・営業利益 59 億円。機械警備の契約 34.0 万件 × 1 件あたりの年間料金(今の 1.41 倍)、営業利益率 12.5%
- 工事・機器販売:数量 4.6(年間の工事・機器の案件数(千件、推定))× 価格 3,545,640(1 件あたりの金額(名目))→ 売上 163 億円・営業利益 15 億円。工事・機器の案件 4.6 千件 × 1 件あたりの金額(今の 1.41 倍)、営業利益率 9.0%
- ビル管理・不動産:数量 280(受託する物件数(棟、推定))× 価格 0.14(1 棟あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 39 億円・営業利益 4 億円。受託 280 棟 × 1 棟あたりの年間売上 0.141 億円(今の 1.41 倍)、営業利益率 11.0%
倍率:事業の純利益 62 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.4% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 15.8 倍、時価総額 1,032 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:カメラ・ドローンで人手を減らしつつ、料金を物価と賃金以上に上げ続けるという両立が要る。直近も料金改定は進むが、最低賃金の上昇が先に利益を削っており、連続して当たる確度は低い。
やや楽観 20% 中期計画どおりに進み、利益率は 6% 台 利益 55 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 6,066 円849 億円
特需の反動が一巡し、2030 年 2 月期に営業利益 54 億円が達成される。料金改定は賃金の上昇分を概ね価格に載せ、常駐警備の利益率は 3.5% に戻る。機械警備は日本連合警備の統合が進み、契約が緩やかに増える。工事・機器はエリア開発の案件で年 140〜150 億円を保つ。のれんの減損の教訓から、買収は価格を絞る。JR東日本グループの駅・再開発の警備を取り込みつつ、民間の大型ビルでも拡大する。売上は 1,170 億円、営業利益は 76 億円まで伸びる。警備員の確保には賃金の引き上げと働き方の整備を続け、採用難による取りこぼしを最小限にとどめる。機械警備の契約は緩やかに増え続け、機器の更新需要も安定した収益源になる。
- 常駐警備(運輸警備を含む):数量 1,175(警備の稼働時間(万時間・年、推定))× 価格 4,613(1 時間あたりの請求単価(名目))→ 売上 542 億円・営業利益 19 億円。警備の稼働 1175 万時間 × 1 時間あたりの単価(今の 1.43 倍)、営業利益率 3.5%
- 機械警備:数量 33.0(機械警備の契約件数(万件、推定))× 価格 133,946(1 件あたりの年間料金(名目))→ 売上 442 億円・営業利益 53 億円。機械警備の契約 33.0 万件 × 1 件あたりの年間料金(今の 1.37 倍)、営業利益率 12.0%
- 工事・機器販売:数量 4.3(年間の工事・機器の案件数(千件、推定))× 価格 3,444,336(1 件あたりの金額(名目))→ 売上 148 億円・営業利益 12 億円。工事・機器の案件 4.3 千件 × 1 件あたりの金額(今の 1.37 倍)、営業利益率 8.0%
- ビル管理・不動産:数量 270(受託する物件数(棟、推定))× 価格 0.13(1 棟あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 36 億円・営業利益 4 億円。受託 270 棟 × 1 棟あたりの年間売上 0.134 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 10.5%
倍率:事業の純利益 54 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 14.99 倍、時価総額 849 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期計画(2030 年 2 月期に売上 900 億円・営業利益 54 億円)は、特需の反動が出る 2027 年を底に回復するという筋書き。直近の料金改定の同意率は 75% と進んでおり、実現の確度は高めに見る。
中立 38% 物価と賃金並みに伸び、利益率は今の水準 利益 46 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 4,777 円669 億円
常駐警備は人手不足の中でも稼働時間をほぼ維持する。最低賃金が物価を上回って上がるため、料金も物価より少し速く改定する必要があり、利益率は 3% で横ばい。機械警備は契約が年 0.8% ほど増え、単価は物価並み。工事・機器は高輪の特需が剥がれ、年 130〜140 億円に戻る。本社費は物価で増える。売上は 1,100 億円、営業利益は 63 億円で、利益率は 5.7% 前後と、直近の水準を保つにとどまる。株主還元は配当性向 33〜37% に自社株買いを足す形で続く。ROE は 7% 台で、資本コストをやや下回る。
- 常駐警備(運輸警備を含む):数量 1,150(警備の稼働時間(万時間・年、推定))× 価格 4,526(1 時間あたりの請求単価(名目))→ 売上 520 億円・営業利益 16 億円。警備の稼働 1150 万時間 × 1 時間あたりの単価(今の 1.41 倍)、営業利益率 3.0%
- 機械警備:数量 31.5(機械警備の契約件数(万件、推定))× 価格 131,320(1 件あたりの年間料金(名目))→ 売上 414 億円・営業利益 46 億円。機械警備の契約 31.5 万件 × 1 件あたりの年間料金(今の 1.34 倍)、営業利益率 11.0%
- 工事・機器販売:数量 4.0(年間の工事・機器の案件数(千件、推定))× 価格 3,376,800(1 件あたりの金額(名目))→ 売上 135 億円・営業利益 10 億円。工事・機器の案件 4.0 千件 × 1 件あたりの金額(今の 1.34 倍)、営業利益率 7.5%
- ビル管理・不動産:数量 260(受託する物件数(棟、推定))× 価格 0.13(1 棟あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 35 億円・営業利益 4 億円。受託 260 棟 × 1 棟あたりの年間売上 0.134 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 10.0%
倍率:事業の純利益 45 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.1% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 13.97 倍、時価総額 669 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:特需の反動で 2027 年は営業利益が 35 億円に減る見通し。料金改定は進むが賃金上昇に追いつく程度で、利益率は 5% 台にとどまるとみて、中心に最大の確率を置く。
やや悲観 25% 賃金が先行し、料金転嫁が追いつかない 利益 30 億円 · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 2,384 円334 億円
最低賃金の上昇が料金の改定を上回る状態が続き、常駐警備の利益率は 2% まで下がる。大口の機械警備の契約が満了を迎えて、単価も下がる。工事・機器は特需が消えて年 110 億円台に落ちる。買収の失敗、訴訟和解の費用、のれんの減損がさらに出て、本社費が重い。売上は 960 億円と物価の伸びを下回り、営業利益は 42 億円に減る。還元は配当性向を保てても、自社株買いは続かない。余った現金は、買収や設備に使われて目減りする。特需の案件がなくなったあとは、工事・機器の稼ぎも細り、本社の費用を吸収する力が弱まる。
- 常駐警備(運輸警備を含む):数量 1,050(警備の稼働時間(万時間・年、推定))× 価格 4,311(1 時間あたりの請求単価(名目))→ 売上 453 億円・営業利益 10 億円。警備の稼働 1050 万時間 × 1 時間あたりの単価(今の 1.34 倍)、営業利益率 2.2%
- 機械警備:数量 29.0(機械警備の契約件数(万件、推定))× 価格 124,754(1 件あたりの年間料金(名目))→ 売上 362 億円・営業利益 34 億円。機械警備の契約 29.0 万件 × 1 件あたりの年間料金(今の 1.27 倍)、営業利益率 9.5%
- 工事・機器販売:数量 3.6(年間の工事・機器の案件数(千件、推定))× 価格 3,207,960(1 件あたりの金額(名目))→ 売上 116 億円・営業利益 7 億円。工事・機器の案件 3.6 千件 × 1 件あたりの金額(今の 1.27 倍)、営業利益率 6.0%
- ビル管理・不動産:数量 250(受託する物件数(棟、推定))× 価格 0.13(1 棟あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 34 億円・営業利益 3 億円。受託 250 棟 × 1 棟あたりの年間売上 0.134 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 8.0%
倍率:ROE 5.8% が k 7.5% 以下なので、ためた利益は額面未満の価値で、正当化 PER の上限は 1÷k=12.9 倍。やや悲観は伸びと堀の持ちを低く見て、上限の 8.00 割の 10.3 倍に置いた。余った現金 45 億円は戻り方 0.5 を掛けて足した。
確率:人手不足の中で最低賃金は物価を上回って上がり続けている。顧客が値上げを受け入れない案件が一定数あり、2027 年の営業減益もその圧力を映している。
悲観 10% 無人化と値下げ圧力で常駐警備が縮む 利益 11 億円 · PER 9.7 倍 · 株価時価総額 864 円121 億円
ドローンと AI カメラの普及で、顧客が常駐警備員を減らす。他社も同じ技術で安い機械警備を売り、単価の値下げが続く。CSP の常駐は 900 万時間まで縮み、利益率は 1% に落ちる。機械警備も大口が解約し、利益率は 6% にとどまる。工事・機器は 3 千件の水準に細る。売上は 750 億円、営業利益は 16 億円まで落ち、会社の価値は稼ぐ力ではなく、手元の現金と資産に近づく。JR東日本が筆頭株主のため、再編や売却は選びにくい。会社は事業の縮小に合わせて費用を削るが、警備員の確保と教育の費用は減らせず、利益は薄いまま残る。
- 常駐警備(運輸警備を含む):数量 900(警備の稼働時間(万時間・年、推定))× 価格 3,880(1 時間あたりの請求単価(名目))→ 売上 349 億円・営業利益 4 億円。警備の稼働 900 万時間 × 1 時間あたりの単価(今の 1.21 倍)、営業利益率 1.0%
- 機械警備:数量 25.0(機械警備の契約件数(万件、推定))× 価格 111,622(1 件あたりの年間料金(名目))→ 売上 279 億円・営業利益 17 億円。機械警備の契約 25.0 万件 × 1 件あたりの年間料金(今の 1.14 倍)、営業利益率 6.0%
- 工事・機器販売:数量 3.0(年間の工事・機器の案件数(千件、推定))× 価格 3,039,120(1 件あたりの金額(名目))→ 売上 91 億円・営業利益 4 億円。工事・機器の案件 3.0 千件 × 1 件あたりの金額(今の 1.21 倍)、営業利益率 4.0%
- ビル管理・不動産:数量 230(受託する物件数(棟、推定))× 価格 0.13(1 棟あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 29 億円・営業利益 2 億円。受託 230 棟 × 1 棟あたりの年間売上 0.127 億円(今の 1.27 倍)、営業利益率 6.0%
倍率:ROE 2.2% が k 7.5% 以下なので、ためた利益は額面未満の価値で、正当化 PER の上限は 1÷k=12.9 倍。無人化で稼ぐ力が細り、利益の質も低いので、上限の 7.50 割の 9.7 倍に置いた。余った現金 30 億円は戻り方 0.5 を掛けて足した。
確率:AI カメラ・ドローン・ロボットで常駐警備の需要そのものが縮み、同時に価格競争が起きる複合の筋書き。10 年の技術変化としては現実的だが、一度に起きる確度は高くない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
常駐警備(運輸警備を含む)
ビル・商業施設・再開発エリア・鉄道関連に警備員を派遣し、時間単位で料金を受け取る。
| 数量警備の稼働時間(万時間・年、推定) | 価格1 時間あたりの請求単価(名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 1,150 | 3,217 | 370 | 11 |
| 10 年後 中立 | 1,150 | 4,526 | 520 | 16 |
取り方:連結売上 787 億円のうち、工事・機器が 100 億円台、ビル管理が 26 億円(開示)。残りを常駐と機械に分け、常駐(運輸を含む)を約 370 億円と推定。1 時間あたり 3.2 千円強(警備員の人件費と諸経費の上乗せ)として稼働時間を約 1,150 万時間に置いた推定で、開示の実額ではない。稼働時間は実質の数量、賃金・物価の上昇は単価に入れる。営業利益率は 3% と見た。
機械警備
センサー・カメラで異常を知らせ、センターから警備員を出動させる月額契約。
| 数量機械警備の契約件数(万件、推定) | 価格1 件あたりの年間料金(名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 29.0 | 98,000 | 284 | 31 |
| 10 年後 中立 | 31.5 | 131,320 | 414 | 46 |
取り方:売上の残りから機械警備を約 284 億円と推定(日本連合警備の寄与を含む)。契約を約 29 万件、1 件あたり年間 9.8 万円とした推定値。契約件数は実質の数量、物価の上昇は料金に入れる。営業利益率は常駐より高い 11% とした。
工事・機器販売
防犯カメラ・入退室管理などの設置工事と機器の販売、保守。
| 数量年間の工事・機器の案件数(千件、推定) | 価格1 件あたりの金額(名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 4.2 | 2,520,000 | 106 | 9 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 3,376,800 | 135 | 10 |
取り方:2026 年 2 月期に単年で初めて 100 億円を超えたとの説明から約 106 億円と置いた。高輪ゲートウェイシティなどの特需を含むため、案件数 4.2 千件、1 件あたり約 250 万円という推定値。営業利益率は 8% と見た。
ビル管理・不動産
ビルの管理受託と不動産の賃貸。
| 数量受託する物件数(棟、推定) | 価格1 棟あたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 260 | 0.10 | 26 | 3 |
| 10 年後 中立 | 260 | 0.13 | 35 | 4 |
取り方:セグメント開示のビル管理・不動産 25.7 億円(売上の 3.2%)。1 棟あたり約 1 千万円として物件数を約 260 棟と推定。営業利益率は 10% と見た。
リスクと懸念
最低賃金が料金改定を上回る
東京都の最低賃金は 2025 年度に 5.4% 上がり、物価を超えた。顧客の同意は 75% でも改善は平均 4.9 ポイントで、賃金上昇を吸収し切れない。常駐警備は利益率が低く、数ポイントの差が利益を左右する。
省人化技術による常駐警備の縮小
ドローン、AI カメラ、ロボットで、顧客が警備員を減らす動きが進む。警察庁も省力化を後押ししている。常駐警備が縮めば、売上の約半分を占める事業の収益基盤が揺らぐ。
特需の反動と大型案件への依存
2027 年 2 月期の営業利益は、高輪ゲートウェイシティや万博の反動で 35 億円に減る見通し。再開発エリアの案件が出なければ、工事・機器販売の水準を保てない。
買収の失敗
日本連合警備ののれんを 13 億円余り減損した。小粒の買収を重ねる方針だが、目利きと統合の力に疑いが残る。
JR東日本グループへの依存と少数株主の立場
JR東日本が約 26% を持つ筆頭株主で、駅・再開発の警備は関係の深さに支えられる。ただし資本政策の主導権は少数株主にない。
訴訟・不祥事の費用
京三製作所の訴訟は 4.5 億円、保険会社との訴訟は 4 億円で和解した。警備は事故やミスの賠償リスクを常に抱える。
純現金が株主に戻らない可能性
純現金は時価総額の約 3 割だが、ROE は低く、自社株買いも 13 億円と小さい。現金が事業の投資や買収に消えれば、帳簿の厚さほどの価値は残らない。
今後の分かれ目
- 最低賃金の上昇が物価を上回る状態が 3 年以上続いたら
- 料金改定が追いついているかを常駐警備の利益率で確かめる。追いつかなければ、やや悲観に確率を寄せる。
- 2030 年 2 月期に営業利益 54 億円の計画が見えてきたら
- 中立の利益率を上方修正してよい。逆に 2027〜2028 年に 35 億円を割れば、やや悲観の確率を上げる。
- 自社株買いを 50 億円規模に引き上げ、DOE の目標を示したら
- ROE が 8% を超える道筋が見える。余った現金の戻り方を 1.0 に近づけてよい。
- 梯(エリア管理の基盤)が高輪以外の街で採用されたら
- 楽観側の確率を上げる。人を減らしても売上が伸びるモデルの実証になる。
- 常駐警備の契約を、ドローンや AI カメラが置き換える事例が広がったら
- 悲観の確率を上げ、常駐警備の稼働時間の前提を下げる。
- JR東日本が持株比率を引き上げる、または売却したら
- 引き上げは再編・TOB の余地、売却は需給の悪化とみて、現金の戻り方と確率を見直す。
見ておくもの
- 最低賃金の改定と常駐警備の料金改善率
- 機械警備の契約件数と解約率
- 工事・機器販売の受注残
- 自社株買いと配当性向・DOE の発表
- 日本連合警備ののれんと新規買収
倍率と資本コストの決め方
数量は実質(稼働時間・契約件数・案件数・棟数)で置き、賃金と物価は価格の側に入れて売上を積んだ。セグメントの今の実額は常駐・機械の内訳が開示にないため推定である。利益率は、過去の山 7.5% と中期計画 6.0% を超えない位置に中立を置いた。倍率は k 7.5% と g 4% の式から出し、ROE が k 以下の中立〜悲観は上限 1÷k=12.9 倍の範囲で置いた。今の PER や PBR に合わせてはいない。純利益÷営業利益は過去の中央値 0.68〜0.71 と、純現金の利息の増加を見て 0.72 を置いた。リースは今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。余った現金はJR東日本が約 26% を持つため戻り方 0.5 で足した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.41→15.8 倍・やや楽観 PER 12.9→14.99 倍・中立 PER 12.9→13.97 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。