結論
カーブスは女性専用の 30 分サーキットジムを、フランチャイズ(加盟店)方式で全国に広げる会社だ。国内の会員は 86 万人、店舗は 2,000 を超える。月会費は 7 千円から 8 千円台で、退会率は月 2% 前後と低い。
筆者の結論は、事業は優れているが今の値段には安全域が乏しい、というものだ。会員は 10 年で 110 万人まで増えると見るが、それを織り込んでも今の時価総額をわずかに下回る。
稼ぎの中身は意外に物販だ。連結売上の約 6 割は、加盟店が会員に売るプロテインなどを本部が卸す収入である。会費そのものより、会員が通い続けて買い続けることが稼ぎの源になる。会員数が増えれば卸も増え、本部の固定費は薄まる。この構造が、営業利益率を 4 年で 5% 台から 17% まで押し上げた。
弱みは、同じ品を売る競争が激しいことだ。24 時間型のコンビニジムは会員 100 万人を超え、価格で挑んでくる。カーブスは今のところ食い合っていないが、10 年先まで保証はない。筆者は、会員の積み上がりと低い退会率という強みを高く買う一方、堀は強いとまでは言えないと見る。
資本は軽く、還元も厚い。10 年後の中立は営業利益 130 億円、純利益 89 億円で、確率をかけて今に割り戻した本質価値は、今の時価総額の 1 割ほど下になる。やや割高だが、はっきり高いわけではない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、カーブスは「続けることに意味がある事業」だ。会員が通う習慣を作り、それが年々積み上がる。家庭の中の小さな習慣が堀になる、という点を筆者は高く買う。退会率が低く、会員が積み上がる事業は、複利で増える。
資本の軽さも魅力だ。本部は店を持たず、加盟店の資金で広がる。自己資本利益率(ROE)は 20% 前後と高い。稼いだお金の多くを配当と自社株買いに回しているので、株主にお金が戻ってくる。経営が資本を無駄にしない点は評価できる。
気になるのは、物販への依存だ。売上の 6 割が商品の卸という構造は、加盟店が会員に商品を売り続けることに支えられている。会員が増える間は強いが、競争や値上げが重なると、ここから崩れやすい。
オーナー利益(再投資を引いた株主の取り分)は、会員数が増えるほど積み上がる。ただ、筆者が払える値段は、10 年後に会員 110 万人まで増え、利益が 2 倍に伸びる姿を織り込んだところまでだ。今の値段は、それをほぼ織り込んでいる。事業は好きだが、値段に安全域がない。
わからない部分もある。海外の中身、物販の粗利、加盟店の収益力は、外から見て確かめきれない。その分、確信は少し割り引く。
何で稼ぐ会社か
カーブスの本部は、自分でジムを運営するより、加盟店に看板・運営の型・商品を提供して稼ぐ。国内の店舗は大半がフランチャイズで、加盟企業は 350 を超える。本部の収入は、加盟店からのロイヤルティ、加盟店への商品の卸、少数の直営店の売上でできている。
会員の月会費は 0.7 万〜0.8 万円台(税込)、入会金は 1.65 万円だ。狭い店に機械を円形に並べ、30 分で全身を動かす。女性専用で、50 代以降の主婦層や高齢の女性が主な客になる。通う習慣が根づけば、その人は何年も通う。
連結売上の約 6 割は、会員向けの物販(プロテインなど)だ。会費は加盟店の収入になり、本部には商品の卸とロイヤルティが入る。このため会員が増えると、本部の売上は会員数以上に伸びる余地がある。2025 年 8 月期の連結売上は 376 億円で、チェーン全体の売上は 856 億円だった。
今期の上期は、国内の営業利益が 49 億円(前年同期比 11% 増)、海外は 2 億円の赤字だった。海外は売上が 3 億円台とまだ小さく、国内の稼ぎを使って育てている段階だ。ほかに、のれんや商標権の償却などが利益から約 9 億円(上期)引かれる。
会社は 2030 年 8 月期に会員 120 万人・営業利益 103 億円、2035 年 8 月期に会員 150 万人・営業利益 200 億円を掲げる。店舗は 3,500 まで増やす計画だ。
優良さと弱いところ
堀の中心は、店舗網と会員の習慣だ。2,000 を超える店が全国にあり、通い始めた人の退会率は月 2% 前後と低い。女性専用で、運動が苦手な人でも続けやすい。この「やめにくさ」が、筆者の見る最大の強みだ。
物販の稼ぎも堀の一部だ。会員が店で買う商品を本部が卸すため、会員 1 人あたりの本部の稼ぎは、会費だけのジムより太い。会員が増えれば固定費が薄まり、営業利益率は伸びる。実際に 4 年で 3 倍以上に上がった。
ただし、堀は強いとまでは言えない。新しい店は、ほかの女性専用ジムや 24 時間型のジムがまねできる。コンビニ型のジムは会員 100 万人を超え、価格が安い。今のところカーブスの会員は増えているが、客層や目的が違う間は食い合わない、という前提の上にある。
経営は筆頭株主が 3 割ほどを持つ形で、決断は速い。ガバナンス報告書は、政策保有株を持たない方針を示している。資本の使い方も素直で、配当性向は 5 割台、今年は自社株買いも行った。
弱みは、物販に偏った収入構造だ。商品の仕入れ値の上昇や、加盟店との関係が損なわれる事態は、利益を直撃する。また、今期の上期に海外は 2 億円の赤字で、海外が育つかは未知数だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のフィットネス市場は、人口が減る中でも、運動する中高年が増えて底堅い。カーブスの会員は 1 年で約 5 万人ずつ増え、2026 年 6 月には 90 万人に達した。50 歳以上の女性は 3,000 万人台いるので、110 万人でもその 3% 台にすぎない。伸びる余地はまだある。
競争は、価格帯と客層で分かれる。チョコザップに代表される 24 時間型のジムは、会員 100 万人を超えた。月会費は低く、手軽さが売りだ。一方カーブスは、女性専用・30 分・スタッフの声かけで、高齢の女性が通い続ける形を作った。直接の食い合いの裏付けは見つからず、両社とも会員を増やしている。
10 年先の論点は 3 つある。人口減で新しい会員の入り口が細らないか。店を 3,500 まで増やす計画で、同じ地域の店同士が会員を奪い合わないか。そして物販の稼ぎが、競争や値上げで薄まらないか。
物価が 3% で上がる世界では、会費も商品も値上げが続く。ただ、高齢の客層は値上げに敏感で、会費を物価より上げ続けるのは難しい。筆者は、会員数の伸びを中心に据え、価格は物価並みに置く。
海外は売上がまだ 10 億円に届かず、今は育てる段階だ。国内の成長が主役で、海外は 10 年で損益を均衡に近づければ上出来と見る。
資本政策と M&A
還元は厚く、安定している。2026 年 8 月期の配当は前期より増える予想で、20 周年の記念分を含む。配当性向は 57% で、中長期の目標は 50% だ。2026 年 7 月には自社株買いも実施した。株主優待も、持つ株数と期間に応じた形に改めた。
大型の買収は行っていない。会社の成長は、加盟店を増やす自前の拡大が中心だ。会社の財務目標は ROIC(投下した資本に対する稼ぎ)12% 以上で、軽い資本で稼ぐ形を前提にしている。
純現金は 30 億円と小さく、時価総額の 3% ほどだ。事業に使う現金や、加盟店との取引で動く資金があるため、余った現金としては分けない。
筆頭株主は持株比率 3 割ほどで、浮動株は多くない。時価総額が 1,000 億円規模と小さく、TOB(株式の公開買付け)の対象になる可能性はゼロとは言えない。ただ、それを前提に価値を置くことはしない。
株主優待は、100株以上でQUOカード等1,000〜2千円相当(年1回)。会社は優待の費用を開示していないため、株主 約2.2万人(QUOカードは額面そのものが費用)から年3億円と推定した。優待は株主が受け取る現物の還元なので、10年の還元に年額×10年を、中立1.0・やや悲観0.75・悲観0.5の係数で足した(費用は販管費として利益から引き済みで、自己資本の流れには入れない)。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会員は 1 年で約 5 万人ずつ増え、退会率は月 2% まで下がった。通い始めた人が続け、新しい人が入る。この循環は、店を増やすほど太くなる。会社は 2035 年に 150 万人を掲げるが、国内の 50 歳以上の女性は 3,000 万人台で、150 万人でもその 5% に満たない。需要の余地は十分にある。
利益は会員より速く伸びる。本部の固定費は会員が増えても大きく増えず、営業利益率は 4 年で 5% 台から 17% まで上がった。会社の計画どおり 24% に届けば、営業利益は 200 億円になる。
新しい客層を広げる余地もある。海外は赤字だが、黒字化すれば、国内に続く第 2 の柱になる。
競合のコンビニ型ジムは、会員 100 万人を超えて成長しているが、カーブスの会員も増えている。両社は客層が違い、食い合っていない。ROE は 20% 前後と高く、配当性向は 5 割台と、株主への還元も厚い。こうした質の高さに、10 年の安定した成長が加われば、倍率は今より高くなってよい。
慎重な見方
カーブスの稼ぎは、売上の約 6 割が物販という、偏った構造に乗っている。プロテインなどの商品を加盟店が売り続けてくれて初めて成り立つ。商品の競争が激しくなれば、本部の稼ぎは真っ先に細る。高齢の客層は値上げに敏感で、会費を物価並みに上げ続けるのは難しい。
会社は 2035 年に会員 150 万人を掲げるが、国内の人口は減る。店を 3,500 まで増やせば、同じ地域の店が会員を奪い合う。店の増加に会員が追いつかなければ、加盟店の収益は悪化し、加盟店が離れる。
競合のコンビニ型ジムは会員 100 万人を超えた。月会費は低く、手軽だ。カーブスの会員が増えているのは、競合がまだ高齢の女性に届いていないだけかもしれない。ここに参入されれば、価格で太刀打ちできない。
海外は今期の上期に 2 億円の赤字で、育つ保証はない。のれんや商標権の償却も、利益から毎年引かれる。今の時価総額は、会員 110 万人と利益倍増を前提に置いても、割り引くと見合う程度だ。倍率の縮みと競合の台頭が重なれば、株価は大きく下がる。
どちらに重みを置いたか
事業の質では強気の見方が強い。会員が積み上がる構造と低い退会率は本物だ。ただ、今の時価総額は、会員 110 万人と利益の倍増をほぼ織り込んでおり、安全域が乏しい。物販依存と競争の懸念は消えない。
確率は、中立に 4 割近くを置き、楽観とやや楽観で 3 割ほど、悲観側で 3 割強とした。悲観は、競合の台頭で会員の伸びが止まり、価格競争で稼ぐ力が落ちる筋書きで、1 割に置いた。10 年の本質価値は、今の時価総額を 1 割ほど下回る。やや割高と見る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/08 期)
確率で加重した株価時価総額 1,761 円1,600 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 470 円427 億円)。 今の値に割り戻すと 1,159 円1,053 億円、今との差 +13.7%、 期待の年率 +8.2%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 3,366 円3,058 億円 | 706 円641 億円 | +299.5% | +14.9% | 407 円370 億円 |
| やや楽観 | 22% | 2,502 円2,273 億円 | 577 円524 億円 | +202.2% | +11.7% | 677 円615 億円 |
| 中立 | 36% | 1,932 円1,755 億円 | 483 円439 億円 | +137.0% | +9.0% | 869 円790 億円 |
| やや悲観 | 22% | 727 円660 億円 | 355 円323 億円 | +6.1% | +0.6% | 238 円216 億円 |
| 悲観 | 10% | 187 円170 億円 | 208 円189 億円 | −61.2% | −9.0% | 40 円36 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,761 円1,600 億円 | 470 円427 億円 | +119.0% | +8.2% | 2,231 円2,027 億円 |
今の株価時価総額 1,019 円926 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 会員 140 万人に届き、客層を広げて海外も黒字になる 10 年 利益 150 億円 · PER 20.3 倍 · 株価時価総額 3,366 円3,058 億円
店は 3,200 近くまで増え、会員は 140 万人に届く。50 歳以上の女性の 5% 近くが通う計算だ。退会率は低いまま、通う習慣が地域に根づく。新しい店でも、近所の友人どうしで誘い合って通う形が定着し、開店から会員が集まるまでの期間が短くなる。
商品の値上げと新しいサービスで、会員 1 人あたりの稼ぎは物価を上回って伸びる。固定費が薄まり、国内の営業利益率は 26% まで上がる。会社が掲げる営業利益 200 億円を超える水準だ。
海外は店が増え、黒字に転じる。コンビニ型のジムとは客層がはっきり分かれ、食い合いは起きない。会社が理想とする 10 年が、ほぼ実現する筋書きだ。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3億円×10年×1.0=30億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 国内カーブス(加盟店向けの卸・ロイヤルティ・直営):数量 140(年間の平均会員数(万人))× 価格 63,700(会員 1 人あたり年間の連結売上(円))→ 売上 892 億円・営業利益 232 億円。会員 140 万人×1 人あたり 6.4 万円・利益率 26%
- 海外(育成中):数量 8.0(会員数(万人、推定))× 価格 44,220(会員 1 人あたり年間の連結売上(円、推定))→ 売上 35 億円・営業利益 4 億円。海外が 8 万人まで増え黒字化
倍率:事業の純利益 150 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 25.7% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 16.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.3 倍。全体の PER 20.3 倍、時価総額 3,045 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会員が会社の計画に近い 140 万人まで増え、物販の値上げと新しい客層の開拓も重なる必要がある。競合の参入と人口減の中で全部が揃う確率は高くない。
やや楽観 22% 会員 125 万人まで増えるが、競争で値上げは物価並みにとどまる 10 年 利益 114 億円 · PER 19.8 倍 · 株価時価総額 2,502 円2,273 億円
会員は 125 万人まで増える。店は 3,000 に届き、増え方は年々緩やかになる。同じ地域の店の間で、会員の奪い合いが少し出る。
商品も会費も物価並みに値上げでき、会員 1 人あたりの稼ぎは増える。利益率は 24% まで上がるが、そこから先は競争で伸びにくい。
海外は黒字化の入り口に立つ。会員の通う習慣は変わらず、既存店では退会が少ない状態が続く。コンビニ型のジムは成長を続けるが、カーブスの客層とは重ならず、会員の流出は限られる。会社の計画には届かないが、質の高い成長が 10 年続く筋書きだ。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3億円×10年×1.0=30億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 国内カーブス(加盟店向けの卸・ロイヤルティ・直営):数量 125(年間の平均会員数(万人))× 価格 60,600(会員 1 人あたり年間の連結売上(円))→ 売上 758 億円・営業利益 182 億円。会員 125 万人×1 人あたり 6.1 万円・利益率 24%
- 海外(育成中):数量 6.0(会員数(万人、推定))× 価格 44,220(会員 1 人あたり年間の連結売上(円、推定))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。海外が 6 万人で黒字の入り口
倍率:事業の純利益 114 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 23.2% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.8 倍。全体の PER 19.77 倍、時価総額 2,254 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会員の増加は続くが、競合の参入と人口減で会社の計画ほどは伸びない。利益率の上昇も途中で頭打ちになる、強気寄りの落ち着いた筋書き。
中立 36% 会員 110 万人まで伸び、利益が倍近くになる 10 年 利益 89 億円 · PER 19.4 倍 · 株価時価総額 1,932 円1,755 億円
会員は 110 万人まで増える。店は 2,700 まで広がり、1 店あたりの会員は今より少し減る。国内の 50 歳以上の女性が、運動を始める入り口としてカーブスを選び続ける。
会費も商品も物価並みに値上げされ、会員 1 人あたりの稼ぎは 10 年で 1.3 倍になる。会員が増える分、固定費は薄まり、国内の営業利益率は今と同じ 22% 台を保つ。
海外は赤字を脱し、損益はほぼ均衡する。のれんなどの償却は続き、利益から毎年 16 億円ほど引かれる。コンビニ型のジムとは共存し、競争は静かに続く。会員が積み上がる強みを保ちながら、成長は会社の計画より穏やかになる、というのが筆者の標準の見方だ。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3億円×10年×1.0=30億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 国内カーブス(加盟店向けの卸・ロイヤルティ・直営):数量 110(年間の平均会員数(万人))× 価格 58,870(会員 1 人あたり年間の連結売上(円))→ 売上 648 億円・営業利益 146 億円。会員 110 万人×1 人あたり 5.9 万円・利益率 22.5%
- 海外(育成中):数量 4.0(会員数(万人、推定))× 価格 44,220(会員 1 人あたり年間の連結売上(円、推定))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。海外が 4 万人で損益均衡
倍率:事業の純利益 89 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 21.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.4 倍。全体の PER 19.37 倍、時価総額 1,724 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会員の積み上がりと低い退会率という実績を、競合と人口減の逆風が相殺する。最も重みを置くのは、会社の計画の 7 割ほどで会員が伸びる筋書き。
やや悲観 22% 店の増やし過ぎと競争で、会員の伸びが止まる 10 年 利益 56 億円 · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 727 円660 億円
会員は 92 万人にとどまる。店を 2,600 近くまで増やしたが、同じ地域の店同士で会員を取り合い、1 店あたりの会員が減る。加盟店の収益が悪化し、新しい店の出店が鈍る。
価格は物価に追いつけない。高齢の客層は値上げに敏感で、競合の安いジムに流れる人も出る。会員 1 人あたりの稼ぎは、物価の上昇率を下回る。
物販の稼ぎは、競争で粗利が薄くなる。本部は加盟店を支えるため、販促費や支援費を増やす。海外は伸びず、赤字が続く。会員の数だけを見れば今より少し増えるが、増え方は店の数に見合わない。ブランドと店舗網は残るが、成長のエンジンは止まった形だ。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3億円×10年×0.8=22.5億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 国内カーブス(加盟店向けの卸・ロイヤルティ・直営):数量 92.0(年間の平均会員数(万人))× 価格 54,900(会員 1 人あたり年間の連結売上(円))→ 売上 505 億円・営業利益 96 億円。会員 92 万人×1 人あたり 5.5 万円・利益率 19%
- 海外(育成中):数量 2.0(会員数(万人、推定))× 価格 39,600(会員 1 人あたり年間の連結売上(円、推定))→ 売上 8 億円・営業利益 −1 億円。海外は伸びず赤字が続く
倍率:ROE 13.8%。ROE は k 7.75% を上回るが、新しく投じるお金の稼ぎが薄れ、競争で会員の伸びが止まる筋書き。正当化 PER の上限は 15.9 倍だが、成長が止まり利益の質が下がるので、上限の約 7 割(11.0 倍)に置いた。
確率:店を増やしても会員が追いつかず、競合のジムとも競り合って、会員が 92 万人で止まる。10 年のうちにどこかで起きても不思議ではない、現実味のある筋書き。
悲観 10% 競合に会員を奪われ、物販の稼ぎも崩れて、優良ではなくなる 10 年 利益 17 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 187 円170 億円
コンビニ型のジムなどが、高齢の女性にも手を伸ばす。月会費が安く、手軽さで勝つ。カーブスの会員は減り始め、70 万人まで落ちる。退会率が上がり、新しい会員も入らない。
価格は競争で上げられず、物価に大きく遅れる。会員 1 人あたりの稼ぎは、10 年でほとんど増えない。加盟店は店を畳み、本部はロイヤルティと卸の両方を失う。
本部の固定費は会員の減少に追いつかず、国内の営業利益率は 12% まで落ちる。海外は撤退し、費用だけが残る。かつて 17% の利益率を誇った会社が、固定費の重い普通の会社になる筋書きだ。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3億円×10年×0.5=15億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 国内カーブス(加盟店向けの卸・ロイヤルティ・直営):数量 70.0(年間の平均会員数(万人))× 価格 48,300(会員 1 人あたり年間の連結売上(円))→ 売上 338 億円・営業利益 41 億円。会員 70 万人×1 人あたり 4.8 万円・利益率 12%
- 海外(育成中):数量 0.0(会員数(万人、推定))× 価格 33,000(会員 1 人あたり年間の連結売上(円、推定))→ 売上 0 億円・営業利益 −3 億円。海外は撤退し費用だけが残る
倍率:ROE 5.5% は k 7.75% 以下で、正当化 PER の上限は 1÷k = 12.5 倍。稼ぐ力(純利益 17 億円 ÷ k 7.75% = 約 220 億円)の約 8 割(PER 10 倍)に置いた。床は簿価でなく、会員が減る中での稼ぐ力で測る。
確率:競合の台頭で会員が減り、物販の稼ぎが崩れる構造的な負け。起きれば大きいが、会員が積み上がる実績と低い退会率を考えると、確率は 1 割に抑えた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内カーブス(加盟店向けの卸・ロイヤルティ・直営)
女性専用 30 分ジムのフランチャイズ本部。加盟店への物販の卸、ロイヤルティ、少数の直営店の売上。
| 数量年間の平均会員数(万人) | 価格会員 1 人あたり年間の連結売上(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 84.0 | 43,930 | 369 | 83 |
| 10 年後 中立 | 110 | 58,870 | 648 | 146 |
取り方:2025 年 8 月期の国内会員は期末 86.3 万人、期初は 80 万人前後で、平均を約 84 万人とした(期初は推定)。連結売上 376 億円から海外を除いた約 369 億円を割ると、会員 1 人あたりの年間の連結売上は約 4.4 万円(月 0.37 万円ほど)になる。チェーン全体の売上 856 億円は加盟店の会費まで含むため、本部の連結売上はその 4 割強にあたる。営業利益 83 億円は、上期の国内 49 億円と前年の水準から推定した。
海外(育成中)
海外の店舗とライセンス。上期は売上 3 億円台、営業損失 2 億円。
| 数量会員数(万人、推定) | 価格会員 1 人あたり年間の連結売上(円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 2.0 | 33,000 | 7 | −4 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 44,220 | 18 | 0 |
取り方:海外の会員数は開示が見つからないので推定する。上期の売上 3.4 億円の 2 倍を年間とし、会員 1 人あたり 3.3 万円とすると約 2 万人になる。営業損失は上期 2.1 億円の 2 倍から約 4 億円とした。 数量は実物(会員数)で、名目の市場の伸びからは置いていない。
リスクと懸念
物販への依存
連結売上の約 6 割は、加盟店が会員に売る商品の卸だ。商品の競争や仕入れ値の上昇、加盟店が会員に売れなくなる事態は、本部の稼ぎを直接削る。会費だけで稼ぐジムより、構造が偏っている。
コンビニ型ジムなどとの競争
24 時間型のジムは会員が 100 万人を超え、月会費も安い。今のところ客層が違い、食い合いは見えないが、高齢の女性まで取りにこられると、価格では勝てない。
店の増やし過ぎ
会社は店を 3,500 まで増やす計画だ。同じ地域に店が重なると、1 店あたりの会員が減る。加盟店の収益が悪化すれば、出店が止まり、加盟店が離れるおそれがある。
人口減と高齢客の価格感度
国内の人口は減り、主な客層の高齢の女性は年金で暮らす人も多い。会費を物価並みに上げ続けると、退会が増える。10 年で価格を物価以上に上げる力は弱い。
海外の赤字
海外は売上がまだ 10 億円に届かず、今期の上期は 2 億円の赤字だ。育たなければ、国内の稼ぎを食う。撤退すれば、費用だけが残る。
のれん・商標権の償却
利益から、のれんや商標権などの償却が年に十数億円引かれる。会社の営業利益の 2 割ほどに当たる。事業の稼ぐ力が落ちれば、減損の形で出る可能性がある。
筆頭株主の持株比率
筆頭株主が 3 割ほどを持つ。経営の安定には役立つが、売却や再編があれば株価が揺れる。浮動株は多くない。
今後の分かれ目
- 会員が 100 万人を超え、退会率が月 2% 前後を保つ
- 本部の固定費が薄まり、営業利益率が会社の計画どおり 20% を超える。10 年のやや楽観・楽観に近づく。
- コンビニ型ジムが高齢の女性向けのメニューを広げる
- 価格で太刀打ちできず、会員の伸びが止まる。やや悲観・悲観に近づく。
- 月次の退会率が 2.5% を超える
- 会員の積み上がりが崩れ、物販の稼ぎも減る。悲観側の確率を上げて見る。
- 1 店あたりの会員数が 400 人を大きく割る
- 店の増やし過ぎが表に出ている。加盟店の収益が悪化し、出店が止まる。
- 海外が黒字に転じる
- 第 2 の柱が立ち、10 年の筋書きの上振れ要因になる。
- 物販の粗利が下がり始める
- 本部の稼ぎの根幹が崩れる。やや悲観以下の筋書きに近づく。
見ておくもの
- 月次の会員数と退会率
- 1 店あたりの会員数
- 物販の売上と粗利の動き
- 海外の損益
- チョコザップなど競合の客層の広がり
倍率と資本コストの決め方
自己資本は今の値に期間の純利益を足し、還元を引いて流した(ROE は結果)。資本コストは基本 7.5% に 4 つの目安で +0.5% を足した 8.0% で、強い堀とは見ず残る割合は 1/2 とした。長期の g は 4%(k−g ≥ 3.5% を満たす)。中立〜楽観は正当化 PER の 8〜8.5 割、やや悲観は約 7 割、悲観は稼ぐ力の約 8 割に置いた。今の株価や過去・同業の PER は倍率の根拠にしていない。10 年の数字は家賃を営業費用に入れた今と同じ形でそろえた(新リース会計の適用で形が変わる)。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 16→20.3 倍・やや楽観 PER 14.6→19.77 倍・中立 PER 14→19.37 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。