結論
Zenkenは、企業の集客を助ける専門メディアの制作・運用、海外人材の紹介と定着支援、語学教育、東京都内のオフィス賃貸を組み合わせた会社である。筆者の結論は「割高」だ。保有不動産には大きな含み益があり、事業が多少苦しくなっても価値が直ちに消える会社ではない。しかし、10年先に株主が得る利益を考えると、現在の時価総額94.5億円には十分な安全域がない。
最大の論点は、売上の約65%を占めるマーケティング事業が、今後も同じ対価を顧客から得られるかである。専門メディアを通じて見込み客を集める仕組みは、検索エンジンからの流入を前提として発展してきた。AIによる回答や購買支援が普及すると、顧客が必要とするのは記事の本数や検索順位ではなく、実際に獲得できた商談や売上になる。会社もこの変化を認め、営業支援や人的資本マーケティングへ事業を広げているが、従来型の収益を完全に置き換えられる証拠はまだない。
成長の希望は海外人材事業にある。国内の介護・宿泊現場には人手不足が残り、インドの理工系大学や海外送出機関との関係、日本語教育、入職後の定着支援は、単なる情報サイトより代替されにくい。ただし、2026年6月期の紹介実績と2030年の経営目標には大きな距離がある。事業拡大には採用先の開拓、入国手続き、教育、定着支援を同時に増やす必要がある。
もう一つの特徴は不動産である。保有するオフィスビルの2026年6月末の帳簿価額は約75億円、開示時価は約130億円に達する。ただし、金利3%の世界で低い賃貸利回りを永続させるわけにはいかない。さらに、賃貸利益はすでに全社の純利益に含まれるため、不動産の推定売却価値をそのまま追加すれば二重計上になる。通常の継続企業価値は利益の稼ぐ力から評価し、不動産は悲観時の資産回収能力として重視する。
10年後の中立では、マーケティングの縮小を海外人材の成長が一部補うものの、営業利益は現在を下回る。現在の純現金は強みだが、保有不動産を担保にした大型M&Aによって将来の財務構造が変わる可能性もある。5つの筋書きの加重平均を資本コスト8.5%で現在に割り戻すと、既存株主の本質価値は約54億円、現在の時価総額を約42%下回る。長期保有に値するかを左右するのは、不動産の含み益そのものより、海外人材で高い資本収益率を実現し、広告事業の縮小と買収の失敗を抑えられるかである。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の目で最初に問うのは、10年後も顧客がこの会社のサービスを必要とし、価格を上げても契約を続けるかである。Zenkenの専門メディアは、約20年の実績と顧客の業界理解に価値がある。しかし、その収益の一部は検索エンジンからの流入と人手による制作・運用に依存している。顧客が買っているのは記事そのものではなく、商談と売上だ。AIが前者を安く供給できるようになれば、後者に対する成果を示せない部分の価値は縮む。
海外人材の紹介と定着支援は、より理解しやすい将来需要を持つ。介護や宿泊では、働く人そのものが必要だからである。インドの大学や送出機関との関係、言語教育、地域の受入企業との信頼が積み重なれば、紹介後も収入を得られる事業に変わりうる。ただし、これまでの紹介人数はまだ小さく、成長する過程で採用費や教育費も先にかかる。売上だけが増え、現金が残らない事態を避けられるかを見極めたい。
不動産には明瞭な価値があるが、価値を生む方法も問われる。賃貸を続ければ安定収益になる一方、帳簿上の含み益を現金化することはできない。これを担保に借りた資金で買収を重ねれば、安定資産がリスクの源へ変わることもある。重要なのは、経営陣が借りられるだけ借りることではなく、資本コスト以上で運用できる金額だけを投じる規律だ。
会社の中期計画には高い目標があるものの、ROEは直近で4%程度にとどまる。配当強化は評価できるが、利益を留保して成長するなら、追加投資の利回りが8.5%を上回ることを示す必要がある。筆者が安全域を確認する際、今のPBRが1倍を下回ること自体は根拠にしない。価値が高いのは帳簿上の自己資本ではなく、将来株主が受け取れる現金である。
今回の評価では、保有不動産の開示時価を事業利益とは別に全額加算していない。すでに賃貸収入が利益に含まれているためである。資産を売却しないまま事業を続ける株主にとって、保有不動産の価値を受け取るには経営陣の資本配分が介在する。たとえ売れる資産を持っていても、その資産を担保にして収益性の低い買収を行えば株主の取り分は減る。少数株主として大きな安全域を求める理由はここにある。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、特定の業種や用途に絞ったWEBメディアの制作と運用である。Zenkenは顧客企業の強みを調べ、競合との差を言語化したうえで、集客に適した専門メディアを制作する。制作時の収入に加え、公開後の運用・保守から継続収入を得る。累計制作・運用実績は8,600メディア以上に及び、2026年6月期末の運用件数は931件、平均継続期間は47.7か月だった。
同社は検索経由の集客だけでなく、営業支援や企業の採用力強化にも領域を広げている。社員の声を掲載する「VOiCE」、仕事の魅力を伝える職業ブランディングメディア、組織づくりを支援する「エンゲージメンター」は、その代表例である。2026年6月期のトータルコンサルティング提供企業数は792社で、会社が示す対象顧客の年間平均売上高は383万円だった。ただし、これはマーケティング売上全体の顧客単価ではなく、サービス範囲の違う複数の収益を区別して読む必要がある。
海外人材セグメントには、紹介・定着支援を行う人材事業と、法人語学研修・留学斡旋・日本語教育を担う教育事業がある。人材事業では、インドの大学との提携を通じたエンジニア紹介と、介護・宿泊等の特定技能人材の紹介を手がける。2026年6月期にはエンジニアの内定受領者149人、介護の紹介173人、宿泊・外食等の紹介27人を開示した。紹介時の収入だけでなく、就労後の生活支援や教育から継続収入を得る仕組みを育てている。
教育事業は創業以来の蓄積を持つが、法人向け語学研修にはAI翻訳やAI会話学習との競争が生じている。人が教える価値を残せるのは、実際の業務場面での指導、資格取得、文化の違いを踏まえた教育などに限られてくる。単に受講時間を増やすだけでは長期成長を見込みにくい。
不動産事業は「全研プラザ」と「Zenken Plaza Ⅱ」という東京都新宿区の保有ビルを賃貸する。2026年6月期の売上高は約4.68億円、セグメント利益は約3.21億円であり、全社の利益を支える重要な部分である。会社の本社は別途賃借しているため、保有ビルと本社賃借に伴う固定費を混同してはいけない。2026年6月期には本社移転による費用負担の解消も利益回復に寄与した。
優良さと弱いところ
Zenkenの強みは、特定業種の顧客課題を掘り下げる企画力と、制作後も運用を続ける顧客関係にある。平均メディア継続期間が47.7か月まで伸びたことは、単発制作だけの会社ではない証拠だ。ただし、長い継続期間は解約率の低さを保証しない。価格を引き上げても顧客が離れなかった実績や、独自データを競合が再現できないという証拠も十分ではなく、強い堀とは判定しない。
AIの影響は事業ごとに違う。マーケティングの文章制作、情報収集、広告運用、営業資料作成は、自動化によって人の工数に対する対価が減りやすい。VOiCEなどの顧客接点には独自性があるものの、法令上の記録の正本でも、業界共通の不可欠な基盤でもない。確認できる開示には、低解約率、規制対応に伴う移行費用、継続的な値上げ実績という強い堀を裏づける複数の証拠がそろっていない。
海外人材事業には、より長く残る強みがある。インドの理工系大学との関係、政府系機関や送出機関との接点、日本語教育の経験、自社で介護施設を運営して受入側の問題を理解する姿勢は、海外人材を単に検索して紹介する会社との差になる。フルキャストホールディングスや地方銀行との提携も、採用企業への販路を広げる材料だ。しかし、それらの関係を利益率の高い反復取引に変えられるかは、まだ検証の途中である。
財務は現時点では堅い。2026年6月期の自己資本は約127.5億円、純現金は約30.4億円で、営業赤字も過去の対象期間にはない。一方で、2022年6月期のROE約13%から2026年6月期は約4%へ低下し、資本を増やしても利益が十分に増えなかった。2026年6月期には売掛金の増加などで営業キャッシュフローもマイナスとなった。利益の回復をそのまま株主が使える現金の回復と考えるべきではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のインターネット広告市場は拡大している。電通によれば、2025年のインターネット広告費は約4兆459億円であり、制作費、媒体費、物販系ECプラットフォーム広告費を含む大きな市場となった。ただし、Zenkenの売上約37.7億円を単純に割った約0.09%は、同じ商品だけで比較した市場シェアではない。Zenkenの主な競争相手は、大手の電通デジタルやHakuhodo DY ONE、セプテーニに加え、SEO専門会社、制作会社、顧客企業の内製組織である。特定業界の専門メディアについて、比較可能な各社の公表シェアは確認できない。
この市場では、広告費全体の成長と制作会社の利益成長を分けて考えなければならない。AI検索によって検索結果を経由しない回答や推薦が増えれば、記事を読ませて問い合わせにつなげる従来の導線は細る。広告運用や文章制作の単価にも引き下げ圧力が生じる。Zenkenが取り組む営業支援や採用支援も、業務全体の成果を引き受ける契約に移行できなければ、同じ自動化圧力を受ける。
海外人材の需要はこれと異なる。厚生労働省が公表した2025年10月末の外国人労働者数は約257万人で、前年比約27万人増えた。国内の生産年齢人口が減り、介護・宿泊など人が現場で働く職種が不足する構造は10年後も続きやすい。ただし、Zenkenの年間紹介実績をこの労働者数で割って市場シェアとすることはできない。採用形態、在留資格、年間の流入人数、継続雇用の人数が異なるからだ。競合にはONODERA USER RUN、ウィルグループ、リクルート系、地域の登録支援機関などがあり、受入企業との接点を奪い合う。
人材紹介の実質数量は市場全体として増えうるが、制度変更と人材供給国の競争を受ける。円の購買力が相対的に弱くなれば、日本で働く魅力が低下する可能性もある。エンジニア紹介ではAIによる仕事の変化が採用需要を左右する一方、介護・宿泊の仕事そのものは残りやすい。Zenkenに必要なのは、成長する市場にいることではなく、その中で紹介人数と支援継続人数のシェアを実際に上げることだ。
語学教育市場は矢野経済研究所が2025年度に約7,933億円規模と推計しているが、対象には多様な語学関連サービスが含まれる。Zenkenの教育売上約7.1億円との単純比較は約0.09%にすぎず、厳密な競争シェアではない。ベルリッツ、レアジョブ、ビズメイツなどに加え、AI会話学習や翻訳サービスが競争相手となる。不動産については、東京のオフィス需要と賃貸利回りが価値を決める。保有する2棟の地域別市場シェアを論じるより、稼働率、実収賃料、修繕費、資本還元利回りを見るべきである。
資本政策と M&A
2026年9月30日に更新された中期経営計画「Road to 250」は、2030年6月期に売上高130億円、営業利益30億円、営業利益率23%、当期純利益20億円、ROE13%以上、ROIC9%以上を目標としている。海外人材セグメントの売上構成比を43%へ引き上げ、マーケティング69億円、海外人材56億円、不動産等5億円を目指す。会社は時価総額250億円という目標も掲げるが、これは経営上の目標であって、本質価値の根拠ではない。しかも2030年の事業利益目標には、計画する大型M&Aの効果を含めていない。
株主還元には明確な数字の約束がある。連結配当性向50%とDOE2.5%のいずれか高い方を基準とし、原則として減配しない累進配当に移行した。2030年の計画上は年間配当総額が、現在の株数を前提に約9.7億円となる水準を目指している。従来の配当は業績に応じて上下してきたため、この方針が不況時にも続くかが重要だ。過去5年には増配実績があり、配当性向も高い期があることから、余剰現金の株主への戻り方は1.0と評価した。
最大の資本配分リスクは、5年間で約100億円というM&A投資枠である。保有不動産の信用力を利用して追加借入を増やす構想で、会社はのれん償却後の利益増加や正味現在価値がプラスになる案件を選ぶ方針を示した。2026年にはグラフィックホールディングスへの出資と、宿泊・飲食への人材供給に関する提携が進んでいる。しかし、現在の年間営業利益は約7億円であり、100億円の借入に年4%の利息がかかれば、税前で約4億円の固定負担が生じる。買収後の増分ROICが資本コストを上回らなければ、規模を拡大しても株主価値は減る。
2026年9月には取締役向け10万株、従業員向け17.1万株の新株予約権も決議された。営業利益の達成を行使条件とするため、業績が成功する筋書きでは既存株主の取り分が最大約2.2%薄まる。これを将来利益とは別に考慮した。保有不動産は買収の担保にもなり得るため、単純に全額を売却可能な余剰資産とみなすことはできない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
Zenkenの変化は、従来の広告制作会社から、人材不足に応える企業へ転換する過程だと評価できる。国内の介護・宿泊の現場ではAIが事務を省力化しても、人が担うサービスは残る。インドの理工系大学との提携や日本語教育の経験は新規参入企業が短期で獲得しにくい。海外人材の紹介実績が伸びれば、入職後の継続支援も増え、最初の採用手数料だけに依存しない収入が積み上がる。
この成長を助けるのが、マーケティング事業で培った顧客への提案力と、地方銀行・フルキャストホールディングスとの販路連携である。専門メディアの制作はAIで効率化するが、顧客企業の競争上の位置付けや、採用後の組織づくりを一体で支援できれば、従来の受託制作より大きな契約につながる。VOiCEや職業ブランディングの顧客が増え、営業支援まで広がれば、検索流入の減少を補える余地もある。
保有オフィスビルも無視できない。開示時価は時価総額を上回る水準で、通常のサービス業にはない資産の裏付けを持つ。金利上昇を考慮しても、長期にわたり賃料を生む資産が会社に残っている。経営陣が追加借入を慎重に使い、海外人材の紹介・支援を拡大しながら配当を増やせば、10年後の利益と資産価値の合計は現在を大きく上回りうる。
2026年6月期には海外人材の売上が増え、本社移転の費用負担も解消した。中期計画にある紹介人数の拡大が実現し、海外人材の利益率が上がれば、これまで低迷していたROEも改善する。とりわけ買収による負債を抑えたまま事業を成長させられれば、保有資産の価値を守りながら株主への利益還元を増やせる。これが長期保有の魅力を最大化する道筋である。
慎重な見方
Zenkenの弱点は、かつて高い収益性を実現したマーケティング事業の稼ぐ力が、すでに数年単位で弱くなっていることだ。2022年6月期には全社営業利益が23億円を超えたが、2026年6月期は約7億円である。売上も同じ期間に大きく落ち込んだ。2026年の回復には費用の正常化が寄与しており、主力事業の数量が再び力強く増え始めたとまでは言えない。
さらに今後のAIエージェントは、文章制作に限らず、検索順位の調査、競合分析、広告運用、営業リスト作成、提案資料作成まで一体で代替しうる。顧客企業はZenkenに発注する制作工数を減らし、自社の担当者とAIで成果を管理するようになる可能性がある。専門メディアの平均継続期間が長くても、顧客の購入行動が検索結果からAI回答に移れば、メディアの流入価値は下がる。人月や制作物の対価に依存する部分は、インフレ分を十分に転嫁できない。
海外人材の成長も簡単ではない。2026年の紹介人数と2030年の会社目標は大きく隔たっている。紹介を増やすには、採用企業の新規開拓、海外での募集、入国手続き、日本語教育、就労後の支援体制を同時に拡大しなければならない。日本での就労条件が他国に比べて魅力を失えば供給は伸び悩む。エンジニアの採用需要もAIの進歩によって変わりうる。
不動産は価値の下支えになるが、過大評価も危険だ。開示時価約130億円に対して賃貸損益は年間約3.4億円であり、投資利回りは低い。長期金利が3%となる前提では、鑑定時価をそのまま10年後の価値とするのは難しい。修繕負担もある。加えて約100億円のM&A投資枠を実行して失敗すれば、不動産を担保に調達した借金だけが残り、少数株主にとっての安全資産が減る。低いROE、AIによる既存収益の縮小、買収の実行リスクを同時に考えるべきである。
保有不動産を賃貸したまま事業を継続する会社では、株主が鑑定時価を自由に引き出せるわけではない。仮に賃貸ビルの売却によって多額の資金を得ても、その後の賃料収入はなくなり、残ったマーケティング・人材事業の赤字を支えなければならない。買収のための担保負債があれば売却代金はまず返済に回る。現在の厚い自己資本が10年後にも同額の少数株主価値として残るとは限らない。
どちらに重みを置いたか
長期の需要が明瞭なのは海外人材の介護・宿泊分野であり、現時点の稼ぎの大半を担う広告・制作分野では慎重な見方の根拠が強い。一方、保有不動産と現金には実体があり、事業全体を資産価値の乏しい広告会社として評価するのも誤りだ。楽観側に26%、中立に32%、下側に42%を配した。下側が厚い理由は、会社の2030年目標と実績の距離、巨額のM&A投資枠、そして財務の強さが将来の借入によって変わりうる点にある。AI代替は中立の数量と長期成長率に織り込んでおり、同じ損失を確率でさらに重ねていない。利益ベースの正当化倍率を守ると中立の企業価値は低く、悲観では事業の継続損失と担保負債が資産の回収価値を削る。確率加重の現在価値は約54億円で、約42%の不足があるため「割高」と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 934 円114 億円(+ 還元の換算額還元の合計 270 円33 億円)。 今の値に割り戻すと 593 円72 億円、今との差 −17.9%、 期待の年率 +6.0%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,116 円258 億円 | 522 円64 億円 | +265.4% | +16.1% | 264 円32 億円 |
| やや楽観 | 16% | 1,464 円178 億円 | 313 円38 億円 | +146.2% | +10.6% | 284 円35 億円 |
| 中立 | 32% | 1,052 円128 億円 | 287 円35 億円 | +85.5% | +7.3% | 429 円52 億円 |
| やや悲観 | 27% | 394 円48 億円 | 233 円28 億円 | −13.2% | −1.7% | 169 円21 億円 |
| 悲観 | 15% | 304 円37 億円 | 82 円10 億円 | −46.5% | −6.7% | 58 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 934 円114 億円 | 270 円33 億円 | +66.7% | +6.0% | 1,204 円147 億円 |
今の株価時価総額 722 円88 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 海外人材が柱へ成長し、広告の転換も成功 利益 15 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,116 円258 億円
介護・宿泊の採用難が続き、Zenkenはインドやインドネシアの供給ネットワークを拡大する。フルキャストホールディングス、地方銀行、グラフィックホールディングスなどとの関係から採用企業が増え、海外人材の紹介人数は年間2,200人相当に達する。入職後の日本語教育や定着支援も増え、人材事業の収益性が改善する。
マーケティングでは、専門メディアから営業支援や人的資本マーケティングへの転換が進む。AIによって制作工数は減るものの、顧客の売上増加まで支援する契約が広がり、稼働案件の減少を単価とサービス範囲で補う。VOiCEやエンゲージメンターは新しい顧客接点となる。ただし、独立したAIエージェント製品による増収実績は確認できないため、広告の実質稼働数量そのものが現在を上回るとは想定しない。
会社は約100億円の買収枠を無条件に使い切らず、高い投資利回りが見込める案件に絞る。不動産は保有を続け、賃料の名目上昇を取り込む。営業利益は20億円台に伸び、増分投資の収益性も改善する。配当を拡大しても自己資本を維持できるため、長期保有の魅力が最も高まる筋書きとなる。
- マーケティング・専門メディア制作運用:数量 894(期末の運用メディア件数(件)。付随する制作・コンサルティング・人的資本サービスもこの稼働件数に比例する換算数量)× 価格 0.05(運用メディア1件相当の年間売上高(億円。制作・コンサルティング等を含む複合単価))→ 売上 46 億円・営業利益 12 億円。期末稼働894件は現状の0.96倍、複合単価は1.285倍。営業支援・採用支援への転換に成功して利益率26%。AI製品の未確認成長は含めない。
- 海外人材紹介・入職後支援:数量 2,200(年間の紹介決定・入職人数相当(人。エンジニア内定受領者と介護・宿泊入職者の合計による換算))× 価格 0.03(紹介決定・入職者1人相当の年間売上高(億円。紹介手数料、登録支援料、美容求人メディア等を含む換算単価))→ 売上 68 億円・営業利益 14 億円。紹介人数相当が約6.3倍、紹介・定着支援等の複合単価は1.24倍。紹介後支援の拡大で利益率20%。
- 法人語学研修・留学斡旋・日本語教育:数量 300(年間の法人研修顧客・各種教育プログラム換算口座数(社相当・推計))× 価格 0.02(換算口座1件の年間売上高(億円。法人研修・個人向け教育・留学を含む複合単価))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。数量0.75倍、単価1.29倍。資格・業務教育に特化して収益性を改善。
- 保有オフィスビル賃貸:数量 2.0(保有・賃貸するオフィスビル棟数(棟))× 価格 3.14(ビル1棟当たり平均年間売上高(億円。棟ごとの面積差をならした換算単価))→ 売上 6 億円・営業利益 4 億円。保有2棟を維持し、賃料約1.34倍。大規模空室がなく利益率70%。
倍率:k8.5%、10年後以降のg_long0%、堀はnormalとする。事業ROEがkを上回るが、g=0%なので正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/0.085=11.7647倍。事業のROE約9.9%、残る割合0.50からRONICは約9.2%となる。全社純利益15.3億円には賃貸事業の利益がすでに含まれるため、保有不動産の鑑定時価や収益還元価値を別に加算しない。余剰現金15億円の税後利息0.21億円を純利益から除いた15.09億円に11.7647倍を掛け、余剰現金15億円を加えると192.53億円となる。これは正当化PERによる上限約193億円以下である。取締役・従業員の新株予約権の全数行使による約2.18億円の資金流入は自己資本の流れに入れるが、時価総額の試算には保守的に全額加算しない。
確率:介護・宿泊の紹介を大幅に増やすには、採用企業、送出機関、教育、入国手続き、就労後の支援を同時に拡張する必要がある。加えて広告事業の顧客単価維持とM&Aの規律まで達成する複合的な成功なので、10%にとどめる。
やや楽観 16% 海外人材が順調に拡大し、広告収益は緩やかに縮小 利益 8 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,464 円178 億円
海外人材の紹介は、実需のある介護・宿泊を中心に年間1,350人相当まで増える。供給国との関係や地方銀行からの紹介が生き、入職後の日本語教育と定着支援が繰り返し収入になる。人材事業の利益率も上がるが、採用企業の開拓と支援要員の増員が必要で、成長がそのまま高収益になるわけではない。
マーケティングは検索経由の集客案件が減るものの、残った顧客に営業支援と人的資本サービスを組み合わせる。稼働案件数は現在の8割程度となるが、複合契約の単価は上昇する。顧客に提供する価値は制作工数から成果に近づき、利益率の急落を避ける。教育はAI学習との競争で数量が減り、収益は横ばい以下となる。
経営陣は買収枠を慎重に使い、成功案件の利益を内部成長に補う。不動産からの賃貸収入と高めの配当が長期保有の下支えになる。利益は現在より増えるが、会社が掲げる2030年の高い目標には届かず、十分に成功したものの想定ほど急成長しなかった10年になる。
- マーケティング・専門メディア制作運用:数量 763(期末の運用メディア件数(件)。付随する制作・コンサルティング・人的資本サービスもこの稼働件数に比例する換算数量)× 価格 0.05(運用メディア1件相当の年間売上高(億円。制作・コンサルティング等を含む複合単価))→ 売上 39 億円・営業利益 10 億円。実質案件数0.82倍、複合単価1.25倍。高付加価値案件で利益率25%。
- 海外人材紹介・入職後支援:数量 1,350(年間の紹介決定・入職人数相当(人。エンジニア内定受領者と介護・宿泊入職者の合計による換算))× 価格 0.03(紹介決定・入職者1人相当の年間売上高(億円。紹介手数料、登録支援料、美容求人メディア等を含む換算単価))→ 売上 41 億円・営業利益 7 億円。紹介人数相当約3.9倍、単価1.20倍。教育・支援費用を織り込み利益率17%。
- 法人語学研修・留学斡旋・日本語教育:数量 288(年間の法人研修顧客・各種教育プログラム換算口座数(社相当・推計))× 価格 0.02(換算口座1件の年間売上高(億円。法人研修・個人向け教育・留学を含む複合単価))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。数量0.72倍、単価1.25倍。教育の差別化に一部成功。
- 保有オフィスビル賃貸:数量 2.0(保有・賃貸するオフィスビル棟数(棟))× 価格 3.05(ビル1棟当たり平均年間売上高(億円。棟ごとの面積差をならした換算単価))→ 売上 6 億円・営業利益 4 億円。2棟維持、賃料1.30倍。維持管理費増を反映。
倍率:k8.5%、g_long0%。事業のROE約5.7%は資本コストを下回るため、正当化PERは1/k=11.7647倍を上限とする。広告・教育のAI代替を10年間の数量と長期gで反映したため、倍率に再度の裁量的な減額をしない。純利益8.4億円から余剰現金15億円の税後利息0.21億円を控除した8.19億円に正当化PERを掛け、余剰現金15億円を加えると111.35億円となる。賃貸利益は全社利益に含まれているため、不動産時価を別に加算しない。新株予約権の全数行使による希薄化係数0.97823は最後に適用する。
確率:介護・宿泊の需要と企業提携が拡大を支える余地はあるが、紹介人数の継続的増加と利益率改善の両立は未確認。広告事業の価格維持も一定程度必要なので16%。
中立 32% AIで広告が縮小し、人材成長が一部を補う 利益 4 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,052 円128 億円
専門メディアの制作・運用は、AI検索と企業の内製化が進むことで案件数が減る。残る顧客は業界理解や実際の営業支援を評価するため、契約単価はある程度上がる。しかし、その上昇は物価10年分には届かない。制作、運用、広告分析、提案資料などの工数削減が顧客側にも広がり、会社は収益を維持するために提供サービスを組み替え続ける。
海外人材は国内の人手不足を背景に紹介人数を年間850人相当まで増やす。介護・宿泊は成長するが、エンジニア紹介はAIによる雇用需要の変化を受ける。日本語教育や登録支援からの継続収入は増える一方、採用企業開拓と現地教育への費用も増える。語学研修はAI会話学習が普及し、実質数量が現在の65%程度になる。
保有ビルは2棟を維持し、賃料を緩やかに上げる。本社費は物価と人件費の上昇を受けて増えるため、海外人材の増益をかなり吸収する。M&Aでは小規模な補完買収にとどまり、大きな成功も失敗も起きない。会社全体の売上高は約66億円となるが、営業利益は約4.8億円であり、資本収益率は低いままである。株主は配当を受け取るものの、積み上がった自己資本を高利回りで再投資できない状態が続く。
- マーケティング・専門メディア制作運用:数量 633(期末の運用メディア件数(件)。付随する制作・コンサルティング・人的資本サービスもこの稼働件数に比例する換算数量)× 価格 0.05(運用メディア1件相当の年間売上高(億円。制作・コンサルティング等を含む複合単価))→ 売上 30 億円・営業利益 7 億円。実質案件数0.68倍、複合単価1.19倍。AIエージェント代替で制作・運用需要が縮み、利益率22%。
- 海外人材紹介・入職後支援:数量 850(年間の紹介決定・入職人数相当(人。エンジニア内定受領者と介護・宿泊入職者の合計による換算))× 価格 0.03(紹介決定・入職者1人相当の年間売上高(億円。紹介手数料、登録支援料、美容求人メディア等を含む換算単価))→ 売上 24 億円・営業利益 4 億円。年間紹介人数相当2.44倍、単価1.12倍。介護・宿泊の伸びと人材採用・支援費増を併記。
- 法人語学研修・留学斡旋・日本語教育:数量 260(年間の法人研修顧客・各種教育プログラム換算口座数(社相当・推計))× 価格 0.02(換算口座1件の年間売上高(億円。法人研修・個人向け教育・留学を含む複合単価))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。研修等の実質数量0.65倍、名目単価1.21倍。語学AIで数量が減る。
- 保有オフィスビル賃貸:数量 2.0(保有・賃貸するオフィスビル棟数(棟))× 価格 3.05(ビル1棟当たり平均年間売上高(億円。棟ごとの面積差をならした換算単価))→ 売上 6 億円・営業利益 4 億円。2棟維持、賃料1.30倍。既存建物の償却は取得時の費用を基礎とし、更新投資と維持費増を反映。
倍率:中立のROEは約2.75%でk8.5%を下回る。正当化PERの上限は1/k=11.7647倍であり、g_long0%のためこれを採用する。全社純利益3.8億円から余剰現金15億円の税後利息0.21億円を除いた事業純利益3.59億円に正当化PERを掛け、余剰現金15億円を加えると57.24億円となる。賃貸損益は全社の純利益に含まれるため、賃貸不動産の鑑定時価130億円や収益還元価値を別に加算しない。将来の自己資本は127.5億円+10年間の純利益概算45.5億円−累積還元35億円=138億円に合わせた。資産の帳簿価額だけを根拠に企業価値を引き上げず、将来の低ROEを評価に反映する。
確率:マーケティングにはAIによる数量減少を織り込み、海外人材は実績と提携による拡大を見込むが、会社の高い2030年目標の達成は前提にしない。利益が大きく伸びない中心シナリオとして32%。
やや悲観 27% 広告の縮小が人材の成長を上回る 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 394 円48 億円
AI検索が一般化し、従来型の集客メディアへ到達する利用者が減る。顧客企業はコンテンツ制作や広告運用をAIエージェントで内製化し、Zenkenへの発注範囲を狭める。残る案件も成果を厳しく求められ、単価は物価上昇ほど上がらない。専門メディアの実質稼働数量は現在の55%となり、制作運用で必要な人員を減らしても利益率が下がる。
海外人材紹介は介護・宿泊で需要が残るが、採用企業の開拓速度が計画に届かない。外国人材の日本語教育や生活支援の費用が上がり、紹介・支援人数の拡大が利益に十分結び付かない。エンジニア需要にもAIによる変化が及び、人材事業の売上は現在をやや上回る程度となる。教育はAI学習と価格競争のため赤字へ転じる。
保有ビルの賃貸収入は続くものの、本社費、人件費、維持管理費は簡単には縮まない。その結果、全社営業利益は赤字となり、配当は当初の累進方針を維持した後、財務を守るために見直される。小規模なM&Aの費用や借入金利も利益を圧迫するが、資金繰りが直ちに行き詰まる状況ではない。不動産と残存現金には価値があるものの、賃貸収益を得るために保有を続ける間、その他の事業の損失を負担しなければならない。株主が不動産を直ちに売却して回収できるわけではないため、赤字事業の継続と組織整理の費用を差し引いた価値は、現在の帳簿上の自己資本を大きく下回る。
- マーケティング・専門メディア制作運用:数量 512(期末の運用メディア件数(件)。付随する制作・コンサルティング・人的資本サービスもこの稼働件数に比例する換算数量)× 価格 0.04(運用メディア1件相当の年間売上高(億円。制作・コンサルティング等を含む複合単価))→ 売上 23 億円・営業利益 4 億円。案件数0.55倍、価格1.09倍。顧客内製化と検索流入減少で利益率16%。
- 海外人材紹介・入職後支援:数量 500(年間の紹介決定・入職人数相当(人。エンジニア内定受領者と介護・宿泊入職者の合計による換算))× 価格 0.03(紹介決定・入職者1人相当の年間売上高(億円。紹介手数料、登録支援料、美容求人メディア等を含む換算単価))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。紹介人数相当は500人にとどまり、採用・支援コスト増で利益率8%。
- 法人語学研修・留学斡旋・日本語教育:数量 220(年間の法人研修顧客・各種教育プログラム換算口座数(社相当・推計))× 価格 0.02(換算口座1件の年間売上高(億円。法人研修・個人向け教育・留学を含む複合単価))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。研修数量0.55倍、単価1.10倍。競争で固定費を吸収できず赤字。
- 保有オフィスビル賃貸:数量 2.0(保有・賃貸するオフィスビル棟数(棟))× 価格 2.76(ビル1棟当たり平均年間売上高(億円。棟ごとの面積差をならした換算単価))→ 売上 6 億円・営業利益 4 億円。賃料上昇は限定的で、空室・修繕の影響から利益率65%。
倍率:将来の営業利益・純利益が赤字となるため、事業のPERを無理に適用しない。保有する賃貸不動産の換金価値と残存する現金から、赤字事業の継続損失、組織再編費用、借入負担、少数株主が資産を直ちに換金できない制約を考慮して49億円とする。将来自己資本118.5億円に対するPBRは約0.4135倍である。中立のPBR約0.4148倍を下回り、中立の時価総額57.24億円よりも低い。自己資本の流れは現在127.5億円+10年間の利益合計概算20億円−累積配当等29億円=118.5億円である。
確率:主力の検索流入型メディアの受注が減る可能性に加え、海外人材紹介が採用企業開拓・教育人員の制約で伸び悩むケース。会社の具体的な実績と中期目標の距離から27%とした。
悲観 15% 広告の構造的衰退と買収失敗で資産を取り崩す 利益 −5 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 304 円37 億円
AIエージェントが顧客企業の広告制作、競合調査、検索対策、営業資料作成まで広く担うようになり、Zenkenの制作・運用の外部受託需要が構造的に縮む。専門メディアの稼働件数は現在の4割程度に減少し、広告事業は固定費を十分に吸収できなくなる。顧客との関係は一部残るが、従来の収益構造を再建できない。
海外人材事業では、採用企業の開拓が進まず、紹介人数が年間280人相当に落ち込む。介護・宿泊の需要自体は残るものの、供給国の人材が他国へ向かい、日本語教育や入国手続きの費用が重荷となる。エンジニア紹介もAIによる雇用の変化を受ける。語学教育はAIサービスへの移行が進み、固定費負担から赤字が広がる。
さらに成長を取り戻そうとして実施したM&Aの一部が失敗し、買収先ののれんや非上場投資資産に減損が生じる。借入負担も増えるため、保有不動産を担保にした資金調達の自由度が下がる。配当は当初に支払った後、大幅に縮小する。賃貸不動産の収益性も下がり、金利上昇による要求利回りの上昇が売却価格を押し下げる。
それでも2棟の不動産と一部現金には実体が残るため、価値がゼロになるとは考えない。ただし、不動産を売れば担保負債の返済が先に必要となり、残る広告・人材事業の赤字を支える資金も要る。10年後の時価総額は、資産の換金価値を下支えにしながらも現在の時価総額を大きく下回る。これは利益が少し落ちる程度の不況ではなく、主要事業が構造的に負け、資本配分も失敗した筋書きである。
- マーケティング・専門メディア制作運用:数量 372(期末の運用メディア件数(件)。付随する制作・コンサルティング・人的資本サービスもこの稼働件数に比例する換算数量)× 価格 0.04(運用メディア1件相当の年間売上高(億円。制作・コンサルティング等を含む複合単価))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。案件数0.40倍、価格はほぼ横ばい。既存顧客中心となり利益率8%。
- 海外人材紹介・入職後支援:数量 280(年間の紹介決定・入職人数相当(人。エンジニア内定受領者と介護・宿泊入職者の合計による換算))× 価格 0.02(紹介決定・入職者1人相当の年間売上高(億円。紹介手数料、登録支援料、美容求人メディア等を含む換算単価))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。紹介人数相当が現在以下となり、採用・教育の固定費負担で利益率3%。
- 法人語学研修・留学斡旋・日本語教育:数量 152(年間の法人研修顧客・各種教育プログラム換算口座数(社相当・推計))× 価格 0.02(換算口座1件の年間売上高(億円。法人研修・個人向け教育・留学を含む複合単価))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。実質数量0.38倍、価格横ばい。教育の赤字が続く。
- 保有オフィスビル賃貸:数量 2.0(保有・賃貸するオフィスビル棟数(棟))× 価格 2.43(ビル1棟当たり平均年間売上高(億円。棟ごとの面積差をならした換算単価))→ 売上 5 億円・営業利益 3 億円。賃料上昇は小幅で、空室・修繕・更新費用により利益率52%。
倍率:2036年の損失継続時にはPERを適用せず、現在の自己資本127.5億円を基準にPBR約0.2902倍に相当する37億円を採用する。将来の自己資本105.5億円を床としていない。事業の稼ぐ力が赤字となり、M&A失敗によって担保負債と減損が残るため、売却可能な資産の純額で評価する。2036年の純現金と換金可能資産の合計を約35億円と見込み、37億円はその床を下回らない。将来自己資本は127.5億円+10年間の純利益累計ほぼ0億円−累積還元10億円−買収先・非上場投資の減損等12億円=105.5億円である。
確率:広告の大幅縮小に海外人材拡大の停滞、M&Aによる資産毀損が重なる複合的なケース。直近では純現金と保有不動産があるため倒産に近いケースとはせず、15%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
マーケティング・専門メディア制作運用
専門性の高い集客メディアの制作・運用を中心に、検索対策、営業支援、VOiCE、職業ブランディングなどを顧客企業に提供する。AIエージェント代替の分類は広告の制作・運用、人月・工数型である。
| 数量期末の運用メディア件数(件)。付随する制作・コンサルティング・人的資本サービスもこの稼働件数に比例する換算数量 | 価格運用メディア1件相当の年間売上高(億円。制作・コンサルティング等を含む複合単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 931 | 0.04 | 38 | 10 |
| 10 年後 中立 | 633 | 0.05 | 30 | 7 |
取り方:2026年9月30日の事業計画資料13ページに2026年6月期末の運用メディア931件、平均継続期間47.7か月を開示。有報のマーケティング外部売上高3,768,195千円を931件で割ると約404.7万円となる。これはメディア契約の実際の公表単価ではなく、制作費、継続運用費、VOiCE、営業支援等を含む換算売上である。会社のトータルコンサルティング提供企業792社、当該対象の年間平均売上383万円とは範囲が異なる。将来の数量は実質稼働案件、価格は名目換算売上として分離。中立の数量0.68倍・価格1.19倍は、制作・運用の自動化とAI検索による流入減少を反映し、AIエージェント代替の広告・人月型の範囲内とした。
海外人材紹介・入職後支援
インドなどからのエンジニア紹介、介護・宿泊の特定技能人材紹介、入職後の登録支援、日本語教育、関連する求人メディア等。現場で働く人材自体の需要はAIで直接代替されないが、紹介・照合・事務の工程にはAI代替が及ぶ。
| 数量年間の紹介決定・入職人数相当(人。エンジニア内定受領者と介護・宿泊入職者の合計による換算) | 価格紹介決定・入職者1人相当の年間売上高(億円。紹介手数料、登録支援料、美容求人メディア等を含む換算単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 349 | 0.02 | 9 | 2 |
| 10 年後 中立 | 850 | 0.03 | 24 | 4 |
取り方:2026年6月期の会社開示では、エンジニア内定受領者149人、介護紹介173人、宿泊・外食等紹介27人で、合計349人相当。エンジニアの内定と介護等の入職は収益認識時点が同一でないため、人数は厳密な当期課金件数ではなく営業活動量の代理指標とする。有報の人材事業売上870,941千円を349で割った約249.6万円は、紹介・継続支援・求人メディア等を含む複合収入であり、純粋な1人当たり紹介料ではない。人材事業単独の営業利益は非開示のため、海外人材セグメント利益1.37490億円のうち1.55億円を人材に仮配賦し、教育をマイナス0.17510億円とした。この配賦は分析上の推計。中立の850人は約2.44倍で、国内の介護・宿泊の実需と供給ネットワークの拡大を根拠とする。
法人語学研修・留学斡旋・日本語教育
リンゲージを中心とする企業向け語学研修、留学斡旋、日本語学校等。講師の工数を伴う研修はAIエージェント代替の人月型に分類し、オンライン語学学習の価格競争を考慮する。
| 数量年間の法人研修顧客・各種教育プログラム換算口座数(社相当・推計) | 価格換算口座1件の年間売上高(億円。法人研修・個人向け教育・留学を含む複合単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 400 | 0.02 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 260 | 0.02 | 6 | 0 |
取り方:有報の教育事業売上707,097千円は実額。Zenkenのリンゲージ日本語学校公式サイトは、語学研修の提供先として400社以上の実績を示すが、これは2026年度の年間稼働顧客数ではない。年間の受講者数、講座数、法人契約数別の売上は開示されていないため、400社相当を感応度分析用の換算数量とした。売上を400で割った年約176.8万円は教育事業全体の換算単価であって公表販売単価ではない。法人研修、留学、日本語教育を同じ口座相当に換算する限界がある。教育営業利益のマイナス0.17510億円は海外人材セグメント全体の開示利益を一致させるための仮配賦。中立では研修等の数量0.65倍、価格1.21倍とし、AI語学学習に対する価格競争を反映した。
保有オフィスビル賃貸
東京都新宿区の全研プラザ、Zenken Plaza Ⅱの2棟から得るオフィス賃料。建物の実物需要と不動産市場で価値が決まるため、AIエージェントによる制作・工数代替の分類には当たらない。
| 数量保有・賃貸するオフィスビル棟数(棟) | 価格ビル1棟当たり平均年間売上高(億円。棟ごとの面積差をならした換算単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 2.0 | 2.34 | 5 | 3 |
| 10 年後 中立 | 2.0 | 3.05 | 6 | 4 |
取り方:会社の2026年9月30日の事業計画資料と有報で、所有オフィスビル2棟、2026年6月期外部賃貸売上467,790千円、セグメント利益321,285千円を確認。棟別の賃料・面積による売上分解は未開示のため、2棟で除した平均2.339億円は換算単価であり、同一面積のビル2棟を想定していない。将来の数量は保有2棟で固定し、価格に契約賃料の名目上昇と空室・修繕負担を反映する。賃貸利益は全社利益に含まれているため、PER評価では保有不動産の鑑定時価を別途加算しない。不動産の換金価値は、借入・売却費用を考慮した悲観の床と財務の安全性の検証に使う。
リスクと懸念
AIエージェント代替と検索流入の構造変化
主力のWEBマーケティングは、コンテンツ制作、SEO、運用、情報調査、営業支援という人の工数を売る部分が大きい。AI検索が利用者の疑問に直接回答し、AIエージェントが制作から広告運用まで引き受ければ、稼働メディア件数と顧客単価の双方が圧迫される。平均継続期間47.7か月は顧客関係の証拠だが、将来の値上げ力を保証しない。中立では数量0.68倍、複合価格1.19倍を反映し、10年より先の名目成長率も0%としている。
海外人材紹介の高い成長目標と実行能力
会社は2030年にエンジニア500人、介護1,600人、宿泊600人の紹介を目指すが、2026年の実績相当はそれぞれ149人、173人、27人である。採用先企業、送出機関、教育講師、就労後の支援体制を同時に増やす必要があり、人数だけを増やしても高い利益率が保証されない。紹介料と継続支援収入の割合、採用コスト、入職後の離職率を追う必要がある。
100億円規模のM&A投資枠と財務レバレッジ
中期計画は保有不動産を活用して100億円程度の追加借入を視野に入れる。これは現在の時価総額に匹敵する規模である。金利が高い環境で買収した事業の増分ROICが資本コストを下回れば、営業利益が増えても株主価値は減りうる。のれん、買収先の顧客維持、追加借入金利、担保制限が重要となり、現在の純現金を将来も保証された安全資産と考えることはできない。
不動産の鑑定時価と収益還元価値の乖離
2026年6月末の賃貸等不動産は帳簿価額約75.3億円に対し開示時価約130.1億円を持つ。しかし年間賃貸損益は約3.45億円で、鑑定時価に対する利益利回りは低い。国債利回り3%の前提では売買利回りの上昇が起こりうる。保有物件は安全域になるが、実際の売却価格、空室、修繕、課税、担保差入れを無視して含み益を全額足すと過大評価になる。すでに純利益に含まれる賃貸損益をPER評価しながら不動産価値を重ねて加算することも避けなければならない。
語学研修のAI代替と利益率悪化
企業向け語学研修やオンライン学習はAI会話、翻訳、個別学習サービスと競争する。会社は教育事業で受注の伸び悩みを開示しており、2026年6月期の売上も減少した。介護福祉士試験対策や実務に即した教育には人の指導価値が残るが、一般的な語学訓練に従来の講師時間単価を維持するのは難しい。数量減少に対する拠点・講師費用の削減が遅れれば赤字化する。
現金創出力と売掛金の増加
2026年6月期は純利益が増えた一方、営業キャッシュフローが約4.1億円のマイナスとなり、期末現金も減った。売掛金等の運転資金の増減が大きいと、帳簿上の利益を配当や買収に利用できるまで時間がかかる。マーケティングの前受金も自由に使える余剰現金ではない。現金創出力を確認せずに純現金約30億円と不動産価値を単純合算すると、少数株主の安全域を誤る。
株主構成、配当方針、潜在株式
主要株主上位10名の保有割合は約70%に達し、一般株主が資本配分を直接変更させる力は限られる。一方で増配と累進配当の方針があるため、支配株主の存在だけを理由に現金価値を半減していない。2026年9月の新株予約権は最大27.1万株相当で、好業績時に既存株主の取り分が薄まる。M&Aに伴う新株発行が追加される場合は、さらに希薄化を再計算する必要がある。
今後の分かれ目
- 海外人材の介護・宿泊紹介人数が毎年大幅に増え、2030年の会社目標に近づくなら
- 人材事業の実質数量と継続支援人数を上方修正し、やや楽観・楽観の確率を高める。ただし、紹介人数の増加とともに単位当たりの営業利益、教育費、入職後の支援収入が改善していることを確認する。
- 専門メディアの運用件数が931件から減り続け、平均継続期間も短くなるなら
- 広告事業のAIエージェント代替が予想より速いと判断する。マーケティングの数量と利益率を引き下げ、やや悲観・悲観の可能性を高める。
- トータルコンサルティングの年間平均売上が上昇し、売上と継続率がともに改善するなら
- 顧客が単なる制作工数ではなく成果に対して対価を払っている証拠として評価する。広告の数量減少を緩和し、複合単価と利益率を見直す。ただしAI関連売上の独立した実績がなければ、AI製品の成長を追加しない。
- 100億円の買収枠のうち多額の借入を実行し、買収後ROICが資本コストを下回るなら
- 増分利益から新たな利息、のれん償却、統合費用を控除する。資産の床から担保負債を差し引き、買収先の減損可能性も悲観側に反映する。
- 賃貸不動産を一部売却し、売却代金を配当・自社株買いまたは高利回りの事業へ振り向けるなら
- 確定した税後売却代金と将来の賃貸利益の減少を同時に計上する。売却資産の価値を重複して加算せず、株主に戻る金額と再投資収益率をもとに適正価値を更新する。
- 2026年6月期の営業キャッシュフロー赤字が翌期以降も続くなら
- 運転資金が恒常的に増える構造を疑い、余剰現金15億円の推定を減額する。売掛金の回収遅延や前受金の取崩しを確認し、配当と買収に利用できる現金を見直す。
- 2030年に会社目標の営業利益30億円、ROE13%以上、ROIC9%以上が実際に達成されるなら
- 目標だけでなく追加投資に対する利益とキャッシュフローが確認できた時点で、海外人材と広告転換の数量・価格・利益率を改める。正当化倍率も10年後以降の成長が持続する証拠があれば再検証する。
見ておくもの
- マーケティングの期末運用メディア件数、平均継続期間、新規制作件数、BtoBメディア構成比
- トータルコンサルティング提供企業数、1顧客当たり年間平均売上高、VOiCE掲載企業数
- 海外エンジニアの内定受領者と実入社者の差、介護・宿泊の紹介人数
- 特定技能人材の登録支援人数、入職後の離職率、継続支援売上の比率
- 海外人材セグメントの売上高、利益率、人材事業と教育事業の内訳
- 営業キャッシュフロー、売掛金、顧客前受金、現金・有価証券・純有利子負債
- M&A実行額、買収対価、借入金利、のれん、買収後ROIC、減損
- 保有オフィスビルの稼働率、賃貸損益、修繕投資、鑑定時価と賃貸利回り
- 累進配当、DOE、配当性向、自己株取得、業績条件付き新株予約権の行使
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や過去のPERを用いず、運用メディア931件、海外人材紹介349人相当、教育の換算400口座、不動産2棟を実質数量の出発点とした。10年間の売上は数量と名目単価を分離し、広告・教育にはAIエージェント代替の数量減少と単価上昇率の抑制を織り込んだ。資本コストは8.5%、10年後以降の全社名目成長率は0%で、正当化PERは1/k=11.7647倍となる。楽観・やや楽観・中立では、事業の純利益から余剰現金15億円の税後利息0.21億円を控除し、正当化PERを掛けた後に余剰現金15億円を加えた。賃貸利益は全社純利益に含まれており、保有不動産の鑑定時価や収益還元価値は別途加算していない。この結果、10年後の時価総額は楽観192.53億円、やや楽観111.35億円、中立57.24億円で、それぞれ利益ベースの正当化上限内に収まる。中立は営業利益約4.8億円、純利益3.8億円、自己資本138億円、ROE約2.75%で、会社の2030年目標を機械的に延長していない。やや悲観は全社赤字となるため、資産の回収価値から継続損失と担保負債を控除した49億円、悲観は買収失敗と不動産の価値低下を伴う37億円とする。悲観の時価総額37億円は2036年の売却可能資産の床35億円を上回り、10年間の還元10億円を加えても現在の時価総額94.5億円を下回る。新リース会計基準による本社賃借負債の表示変更は、将来比較でも家賃を費用として扱う同一基準にそろえる。業績条件付き新株予約権による希薄化は楽観・やや楽観のみに適用する。各筋書きの時価総額と還元を10年後と期間中間時点から割り戻し、確率加重すると現在価値は約54.39億円。株価776円と1217万8100株による現在時価総額94.50億円との差は約マイナス42.45%であり、5段階判定は「割高」である。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3.0%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を基準に、事業の利益変動と値決め力の弱さによる品質調整1.0%を加えた。小型株であることや株価のβによる追加は行わず、大型M&Aの個別リスクは筋書きに入れる。
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読んだ資料
- Zenken株式会社「事業計画及び成長可能性に関する事項」2026年9月30日(中期経営計画、セグメント数量、資本配分、配当方針)
- Zenken株式会社「第50期有価証券報告書」2026年9月28日(セグメント損益、財務、賃貸等不動産、株主構成)
- Zenken株式会社「募集新株予約権(有償ストック・オプション)の発行に関するお知らせ」2026年9月29日
- Zenken株式会社「ストック・オプション(新株予約権)の発行に関するお知らせ」2026年9月29日
- 電通「2025年 日本の広告費」2026年3月5日
- 厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況(2025年10月末時点)
- 矢野経済研究所「語学ビジネス市場に関する調査」2026年公表