結論
田谷は、全国に美容室を 61 店構える老舗のチェーンだ。売上は 51 億円で、美容施術が 9 割、残りが商品とその他である。筆者の結論は「割高」。黒字化は本物だが、利益が薄すぎ、資本コストに遠く届かないと見る。
10 年で売上は半分以下になった。店の整理を重ね、前期は 6 期ぶりに営業利益と経常利益が連続して黒字になった。それでも営業利益は 0.4 億円、利益率は 0.7% だ。
最終損益は 1.6 億円の赤字で、配当は出していない。会社は有価証券報告書に、継続企業の前提に疑義を生じさせる事象が存在すると書く。そのうえで、重要な不確実性は認められないと判断している。
資金は増資で支えてきた。2025 年 1 月と 2026 年 1 月の増資と新株予約権の行使で、自己資本は 4 億円から 8 億円に戻った。株数も増えている。
今期の第 1 四半期は営業損失 0.6 億円で、会社の通期予想の黒字を取り戻せるかが問われる。筆者は、10 年後に利益が出ても今の時価総額には届かないと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「利益が資本コストを稼げない事業に、時価総額の何倍もの値を付けるのは、将来の回復を先に払うことだ」と考える。
田谷は黒字になったが、営業利益 0.4 億円で時価総額は 22 億円。利益の 50 倍以上の値で、回復が長く続くと織り込んでいる。
増資で株が 2 割以上増え、1 株の取り分は薄まった。資本の使い方は、守りの延命が中心で、成長への投資の余力は小さい。
筆者が評価するのは、赤字の店を畳む決断と、ブランドの建て直しに動く姿勢だ。だが、10 年先に資本コストを超える利益を出せる事業かと問われれば、根拠は見えない。
安全域がない銘柄だ。業績が回復しても、今の値段には届かない。
資本の使い方でいえば、利益が出る前に増資で資金を集めており、今の株主の取り分は薄まっている。配当を再開できる日は遠い。
何で稼ぐ会社か
事業は、美容室の運営だ。美容施術の売上が 45 億円、商品が 4.7 億円、その他が 1.1 億円。店舗は 61 で、前期に新規出店 1、改装 6、閉鎖 3 だった。今期は 65 店を計画する。
開示は単一のセグメントで、会社は美容室チェーンからビューティの総合企業への変革を掲げる。接客力の強化、EC やデジタル施策による新規客の獲得、人的資本への投資が重点だ。
客数は開示されず、客単価から推定した。値段は、店舗ごとの立地と施術内容で幅がある。
店は都市部の賃借が中心で、美容師の人件費と家賃が費用の大半を占める。人が不足すれば店を開けない。
前期の売上は 50.8 億円で前年から 7% 減り、営業利益は 0.37 億円だった。今期の会社予想は売上 52 億円、営業利益 0.4 億円、純利益 0.1 億円。
従業員の多くは美容師で、新卒の採用と教育が事業の土台だ。会社は美容師のキャリアパスを明確にし、定着を高める方針を掲げる。
会社の開示は非連結で、子会社はない。売上のほとんどが店舗の施術で、季節の波は小さい。
優良さと弱いところ
優良さは「弱い」と見る。強みは老舗の知名度と、都市部の店舗網だ。弱みは、利益率の薄さと、資金を増資に頼ってきた財務である。
売上は 10 年で 118 億円から 51 億円に減った。店を畳み、客を失ってきた結果だ。ようやく黒字になったが、利益率は 0.7%。同じ領域の会社も 1% 台で、薄い利益は業界の共通点だ。
営業キャッシュフローは 2019 年 3 月期以来、プラスに転じた。ただ営業利益は支払利息の 2 倍にとどまり、安定的な利益を出せているとは会社自身も言い切れない。
自己資本は 8 億円で、増資の効果が大きい。2025 年 1 月に新株予約権(行使価額修正条項付)を発行し、2026 年 1 月にも第三者割当で資金を集めた。
経営は、人的資本への投資と、ブランドの建て直しを掲げる。実行はこれからだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
美容室の市場は 2 兆円台で、店の数は多く、1 店あたりの客数と単価は伸びにくい。人口が減る中で、高齢の客層が増え、若い客は低価格のチェーンや個人店に流れる。
最大の制約は、美容師の確保だ。賃金は物価で上がり、独立も多く、育てても辞める。サービスの質は人の腕で決まり、人手が減れば店を開けられない。
価格では、低価格のチェーンと、個人の高い技術を売る店の間に挟まれ、中価格帯の老舗は苦しい。
この領域は、AI や機械で置き換えにくい体の仕事だ。ただ予約・集客・商品の販売は、ネットとアプリに移り、店舗外の接点が重要になっている。
田谷が目指す、商品・EC・ブランドを足した総合企業への変革は、方向としては正しい。ただ、どれも会社の規模では投資が重く、成果は限られる。
家賃は固定の約束だ。客が減っても下がらず、閉店のたびに損失が出る。
筆者は、この領域では「安さ」か「腕」のどちらかを売る店が残り、中価格帯の大手は縮み続けると見ている。老舗の看板が効く層は、都市部の限られた客に絞られる。
低価格のチェーンは 1 回数千円の施術で客数を集める。個人店は腕とお客との関係で単価を保つ。
資本政策と M&A
配当は出していない。前期は業績を理由に無配とし、再開の時期は示されていない。
資金は増資に頼る。2025 年 1 月、EVO FUND を割当先に新株予約権(最大 124 万株、行使価額修正条項付)を発行した。2026 年 1 月にも第三者割当を行い、新株予約権の行使と合わせて約 5.4 億円を集めた。発行済株式は 600 万株から 754 万株へ増えた。
この資金で自己資本は 8 億円に戻ったが、既存の株主の取り分は薄まった。残る新株予約権が行使されれば、さらに薄まる。
借入と社債は返済を進め、前期は社債 0.56 億円を償還した。現金は 5.3 億円。
会社は、資本金と資本剰余金を資本準備金に振り替え、財務の形を整えた。TOB や統合の可能性は大きくないが、価値の評価には使わない。
店の賃借料は固定で、新リース会計基準で 2028 年 3 月期から負債が増えて見える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ブランドの建て直しが当たる。人的資本への投資と教育で美容師の定着率が上がり、店の稼働が上がる。EC と商品の販売が、店舗外の収益を足す。
黒字化は、赤字の店を畳んだ成果だ。出店を再開する今期以降、新店の立ち上がりが利益に出る。
老舗の知名度は、都市部の客に今も効く。客単価は物価並みに上げられ、客数は店舗の純増で今を保つ。
10 年後に営業利益率 4% に届けば、利益は今の 8 倍だ。業界の上位は 1 桁の利益率を出している。
増資で資金繰りの不安は和らぎ、投資の余力が生まれた。
会社が 6 期ぶりの黒字化を実現したことは、構造改革が実行できている証拠だ。
筆者の見立てでは、この楽観の筋書きは、店の整理と建て直しがすべてうまく噛み合ったときの姿だ。
ブランドの力が戻れば、固定の家賃と人件費を、より多い客で割れる。利益率はてこのように効く。
首都圏の人口は横ばいで、都市部に店を絞った田谷には、減りにくい客が残っている。
慎重な見方
売上は 10 年で半分以下になり、その流れは止まっていない。前期の売上は 7% 減り、第 1 四半期は営業損失 0.6 億円だった。
営業利益は支払利息の 2 倍しかなく、会社は継続企業の前提に疑義を生じさせる事象を認めている。黒字化はまだ 2 期にすぎない。
資金は、行使価額修正条項付の新株予約権と第三者割当に頼る。株価が下がれば行使価額も下がり、株数はさらに増える。
美容師の確保が最大の制約で、賃金の上昇は物価を超えて利益を削る。家賃は固定費として残る。
低価格のチェーンと個人店に挟まれ、中価格帯の老舗は価格を上げにくい。
10 年のうちに、数量も値段も細り、再び赤字に戻る筋書きが十分にある。
増資に頼る会社は、株価が下がると行使価額も下がり、同じ資金を集めるために株をより多く出さなければならない。
どの店も美容師の人数で上限が決まる。稼働を上げるには、人を増やすしかなく、賃金の上昇が先に来る。
どちらに重みを置いたか
黒字化と構造改革は評価するが、利益の薄さ、増資への依存、第 1 四半期の営業損失を重く見た。確率は慎重な側に寄せ、やや悲観と悲観で 50% を置いた。楽観は、利益率 4% に届く筋書きで 5% にとどめた。数量も値段も細り続けてきた実績が、強い側にある。
黒字化は 2 期にすぎず、実績の長さが慎重な見方を裏づける。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 64 円5 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 10 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 31 円2 億円、今との差 −89.1%、 期待の年率 −12.7%(資本コスト 9.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 341 円25 億円 | 54 円4 億円 | +37.6% | +3.2% | 20 円1 億円 |
| やや楽観 | 15% | 167 円12 億円 | 20 円2 億円 | −34.7% | −4.2% | 28 円2 億円 |
| 中立 | 30% | 40 円3 億円 | 13 円1 億円 | −81.3% | −15.4% | 16 円1 億円 |
| やや悲観 | 30% | 22 円2 億円 | 0 円0 億円 | −92.5% | −22.8% | 6 円0 億円 |
| 悲観 | 20% | 16 円1 億円 | 0 円0 億円 | −94.4% | −25.0% | 3 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 64 円5 億円 | 10 円1 億円 | −74.3% | −12.7% | 74 円5 億円 |
今の株価時価総額 287 円21 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.8% を下回るほど割高。
楽観 5% ブランドの建て直しが当たり、利益率 4% に届く 利益 2 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 341 円25 億円
老舗の知名度と建て直しが効き、客数は店の純増で今より 5% 増える。客単価は物価並みの 1.34 倍に上がる。
人的資本への投資で美容師の定着率が上がり、店の稼働が上がる。EC と商品が店舗外の収益を足す。
営業利益率は 4% に届く。売上は 71 億円、営業利益は 3 億円。配当を再開できる水準になる。
自己資本は 16 億円まで積み上がり、ROE は 12% 近くになる。
店ごとの採算が改善し、出店の再開で売上が戻る。新店の立ち上がりが利益に出るのは数年かかる。
配当の再開も視野に入り、資金調達の不安は後退する。
- 美容室(施術・商品・その他):数量 71.1(来店客数(万人。推定))× 価格 1.00(1 万人あたり売上(億円、名目))→ 売上 71 億円・営業利益 3 億円。客数 1.05 倍・客単価 1.34 倍、利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.2% が k 9.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.81 倍、時価総額 24 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:建て直しが当たり、利益率 4% に届く筋書き。10 年で売上が半分になった実績から、5% にとどめた。
やや楽観 15% 黒字を保ち、利益率は 2% 台に 利益 1 億円 · PER 10.4 倍 · 株価時価総額 167 円12 億円
客数は店の整理が終わり、ほぼ今と同じ水準を保つ。客単価は物価にやや届かず 1.32 倍。
営業利益率は 2% 台まで上がる。売上は 66 億円、営業利益は 1.6 億円。
配当は再開するが、小さい。自己資本は 12 億円ほど。
美容師の確保と賃金の上昇が、利益率の伸びを抑える。
店の整理が終わり、黒字が定着する。ただ美容師の賃金の上昇で、利益率の伸びは小さい。
営業の稼ぎは薄いまま積み上がり、資金繰りの不安は和らぐ。株の薄まりは止まる。
店の数は 60 店台で落ち着き、新店と閉店がほぼ釣り合う。賃借料は物価で上がるが、客単価の上昇で吸収できる。
- 美容室(施術・商品・その他):数量 66.3(来店客数(万人。推定))× 価格 0.99(1 万人あたり売上(億円、名目))→ 売上 66 億円・営業利益 2 億円。客数 0.98 倍・客単価 1.32 倍、利益率 2.5%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.1% が k 9.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 10.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.4 倍。全体の PER 10.37 倍、時価総額 11 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:黒字を保ち、利益率が 2% 台になる筋書き。足元の黒字化を延ばして 15% に置いた。
中立 30% 店は保つが、利益は 1% にとどまる 利益 0 億円 · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 40 円3 億円
客数は 10 年で 1 割ほど減る。低価格のチェーンと個人店に押されるが、店の整理は終わっており、縮みは緩やかだ。客単価は物価に届かず 1.30 倍。
営業利益率は 1% 前後。売上は 59 億円、営業利益は 0.6 億円。支払利息を引くと純利益は 0.3 億円ほど。
配当は小さい。自己資本は 9 億円ほどで、ROE は 3% に届かない。
美容師の賃金は物価で上がり、家賃は固定費として残る。利益は薄いまま続く。
店の数は 60 店台を保ち、老舗の看板が効く都市部の客に絞られる。新規の客は、ネットと商品の販売で少し上乗せされる。
- 美容室(施術・商品・その他):数量 60.9(来店客数(万人。推定))× 価格 0.97(1 万人あたり売上(億円、名目))→ 売上 59 億円・営業利益 1 億円。客数 0.90 倍・客単価 1.30 倍、利益率 1.0%
倍率:事業の純利益 0 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.2% が k 9.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.3 倍。全体の PER 10.26 倍、時価総額 3 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:客数は店の整理が終わって微減、利益率は今と同じ 1% 前後にとどまる標準の姿として 30%。
やや悲観 30% 客を失い、薄い赤字に戻る 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 22 円2 億円
美容師を確保できず、店の稼働が落ちる。客数は 2 割減り、客単価は物価に届かず 1.20 倍。
営業利益はほぼゼロから薄い赤字。閉店のたびに損失が出る。
配当はなく、資金繰りのため増資に頼る場面が再び来る。既存の株主の取り分は薄まる。
自己資本は 5 億円ほどまで減る。
家賃は固定で、客が減るほど利益を圧迫する。店を畳むたびに損失が出て、純損益は赤字になる。
美容師を確保できない店は閉めるしかなく、売上の縮みが固定費を重くする。
店を絞る方針は続くが、閉店の費用と、残る店の固定費の重さが利益を打ち消す。
- 美容室(施術・商品・その他):数量 54.2(来店客数(万人。推定))× 価格 0.90(1 万人あたり売上(億円、名目))→ 売上 49 億円・営業利益 0 億円。客数 0.80 倍・客単価 1.20 倍、利益率 -0.5%
倍率:純利益はゼロ近辺で稼ぐ力に値が付かない。今の自己資本 8 億円に PBR 0.2 倍。中立の PBR より低く置いた。
確率:美容師の確保が難しく、客を失って薄い赤字に戻る筋書き。10 年の縮小の実績を延ばして 30% に置いた。
悲観 20% 店を畳み続け、赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 16 円1 億円
構造的に負ける。店の稼働が落ち、美容師の流出と低価格の競合で客数は 4 割減る。客単価は 1.10 倍にとどまる。
赤字が続き、店を畳む損失も重なる。営業赤字は年 1 億円規模になる。
資金は増資に頼り、既存の株主の取り分は大きく薄まる。自己資本は 2 億円まで減る。
配当はない。株主の取り分は、現金と残る店の価値で測る。
株価が下がれば、新株予約権の行使価額も下がり、株がさらに増える。株主の取り分は、会社の規模の縮みと株の増加で二重に薄まる。
会社の規模が縮み、時価総額の大半は現金に支えられる形になる。
- 美容室(施術・商品・その他):数量 40.6(来店客数(万人。推定))× 価格 0.82(1 万人あたり売上(億円、名目))→ 売上 34 億円・営業利益 −1 億円。客数 0.60 倍・客単価 1.10 倍、利益率 -3.0%
倍率:構造的に負けた姿。赤字で稼ぐ力に値が付かない。今の自己資本 8 億円に PBR 0.15 倍。
確率:構造的に負ける筋書き。店を畳み続け、赤字が続く。10 年で売上が半分になった実績に近く 20% に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
美容室(施術・商品・その他)
全国 61 店の美容室で、施術と商品を売る。単一のセグメント。
| 数量来店客数(万人。推定) | 価格1 万人あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 67.7 | 0.75 | 51 | 0 |
| 10 年後 中立 | 60.9 | 0.97 | 59 | 1 |
取り方:売上 50.76 億円(施術 44.95・商品 4.71・その他 1.09、有報)。客数は開示されず、客単価を中価格帯の美容室として推定し 67.7 万人と置いた(推定)。営業利益 0.37 億円。
リスクと懸念
継続企業の前提
有報に、継続企業の前提に疑義を生じさせる事象が存在すると書く。重要な不確実性は認められないとの判断だが、黒字化はまだ 2 期にすぎない。第 1 四半期は営業損失 0.6 億円だった。
増資による株の薄まり
行使価額修正条項付の新株予約権と第三者割当で資金を集め、発行済株式は 600 万株から 754 万株に増えた。株価が下がれば行使価額も下がり、さらに薄まる。
美容師の確保
サービスの質と店の稼働は美容師の数で決まる。賃金は物価で上がり、独立も多い。確保できなければ店を開けない。
客数の減少と低価格の競合
売上は 10 年で半分以下になった。低価格のチェーンと個人店に挟まれ、中価格帯の老舗は値上げしにくい。
固定の賃借料と閉店損失
店は賃借が中心で、家賃は客が減っても下がらない。閉店のたびに損失が出て、前期の純損益は 1.6 億円の赤字になった。
薄い利益と金利
営業利益は支払利息の 2 倍にとどまる。金利は上がる前提で、借り換えの費用が増えれば、利益はさらに薄くなる。
今後の分かれ目
- 今期の営業利益が会社の見込み(0.4 億円)を上回ったら
- 黒字化が定着しているとみて、やや楽観の確率を引き上げる。
- 第 1 四半期に続き、半期の営業損失が出たら
- 黒字化が一過性とみて、やや悲観・悲観を引き上げる。
- 新株予約権の行使で株がさらに増えたら
- 既存の株主の取り分が薄まるとみて、時価総額の割り戻しを下げる。
- 出店を再開して店の稼働が保てたら
- 客数の置き方を上げる。
- 店の賃借料や美容師の賃金が上がり、利益率が 0% を割ったら
- 悲観の確率を引き上げる。
見ておくもの
- 半期ごとの営業利益
- 店舗数と 1 店あたりの売上
- 新株予約権の残りと行使の状況
- 営業キャッシュフローの符号
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。ROE が資本コスト k 9.75% を下回る筋書きは、PER の上限が 1÷k = 10 倍。利益の質が薄く、赤字から戻ったばかりなので、中立は上限の 8 割に置いた。楽観だけ ROE が k を超え、下限 1÷k = 10 倍。今の株価や、同業の倍率は使っていない。新リース会計基準の影響は、今と同じ形にそろえて置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→11.81 倍・やや楽観 PER 6→10.37 倍・中立 PER 8→10.26 倍)。
資本コスト 9.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。k = 基本 7.5% + quality 1.5% + 上乗せ 1.0% = 10.0%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 10.00% → 9.75%。