結論
サニックスホールディングスは、シロアリ防除などの住環境、廃プラスチックを燃料にした発電などの資源循環、企業向け太陽光のエネルギーの三つの領域を持つ。2026 年 3 月期の売上は 453 億円、営業利益は 13 億円だった。利益率は 2.8% で、会社が掲げる 10% には遠い。
筆者の結論は、今の値段は割高である。住環境は安定した稼ぎ頭だが、資源循環は苫小牧発電所の点検と更新で利益が大きく振れ、エネルギーは太陽光の競争で薄い。2026 年 3 月期は、営業利益が会社予想の 28 億円を大きく下回り、前の期の 22 億円からも減った。
財務は重い。有利子負債は 126 億円で、自己資本比率は 27%。設備投資に毎年 40 億円ほど要る。21 年ぶりに配当を再開したが、金額は小さい。
10 年後の中立でも営業利益は 22 億円前後で、ROE は資本コストに届かない。計算の総合は割高側に出た。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、サニックスは「良い事業と重い設備が同居する会社」だ。シロアリ防除は、持っていたい事業である。契約が続き、現金を稼ぐ。だが、その稼ぎの多くが、資源循環の設備とエネルギーの薄利に吸われている。
筆者がいちばん気にするのは、利益の予測のしにくさだ。会社が 28 億円を見込んだ営業利益は、結果が 13 億円だった。設備が止まるだけで、数億円が消える。こういう事業に、高い値段は払えない。
資本の使い方も慎重に見たい。毎年 40 億円ほどを設備に投じ、借入が増える。配当は復配したばかりで、株主に回る分は細い。
安全域は薄い。住環境の稼ぐ力は床を支えるが、重い借入と設備が上に載る。中立の価値は今の値段をやや下回る。持つなら、苫小牧の安定稼働と利益率の改善が、数字で確かめられてからである。
何で稼ぐ会社か
事業は三つに分かれる。住環境は、戸建てのシロアリ防除と住宅の補修、ビル・マンションの給排水の保全。売上は 151 億円、営業利益は 18 億円で、全社の稼ぎ頭だ。従業員は約 1,000 人で、訪問営業と現場の施工が中心になる。
資源循環は売上が最も大きく、210 億円。廃プラスチックを受け入れて固形燃料にし、苫小牧発電所で発電する。廃液の処理や新電力の小売りも手がける。営業利益は 17 億円で、前の期より 38% 減った。苫小牧発電所の法定点検とタービンの刷新で、止まる期間が長引いた。
エネルギーは、法人向けの太陽光発電システムの施工・販売・保守で、売上 88 億円、営業利益は 0.4 億円。競争が激しく、利益はほとんど残らない。
2025 年 10 月に持株会社体制へ移った。連結子会社は 13 社。子会社のサニックスエナジーは債務超過で、超過額は 122 億円と大きい。設備投資は 39 億円で、そのうち 35 億円が資源循環だ。減価償却は年 19 億円ほどで、営業キャッシュを投資が上回る年が続く。
優良さと弱いところ
堀は、住環境にある。シロアリ防除は、家主が自分では点検も施工もできない。5 年ごとの再施工で契約が続き、ブランドと施工網が信用になる。営業利益率は 12% と高く、売上は 10 年ほぼ変わらず、現金を安定して稼ぐ。
資源循環にも他社が真似しにくい面がある。廃プラを燃料にして自前の発電所で燃やす一貫の仕組みは、許認可と設備が要る。ただ、発電所は単一の拠点で、止まれば利益が大きく減る。
エネルギーに堀はない。太陽光の施工は競争が激しく、価格を市場に決められる。
資本効率は低い。ROE は直近 3.8%、過去 10 年の中央値は 18% だが、赤字の期を挟んで揺れが大きい。2022 年 3 月期は 34 億円の赤字だった。自己資本比率は 27% で、設備投資は借入で賄う。
経営は、利益率 10% の目標を掲げ続けているが、実績は 2〜5% にとどまる。計画と実績の差が大きい点が、信用を下げている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住環境は、人口減と持ち家の減少がじわじわ効く市場だ。ただ、既存の住宅の維持という需要は底堅い。シロアリ被害は気候の温暖化で広がる傾向にあり、築年数のたった家は増え続ける。競合は大手の防除業者と、地場の小さな業者に分かれる。
資源循環は、廃棄物の処理費が上がる追い風を受ける。プラスチックの再資源化は規制が強まる分野で、受け入れ能力を持つ会社に有利だ。会社は、苫小牧発電所のタービンの刷新で発電効率が 8% 上がり、新設備で受け入れ量が 17% 増えると説明する。有機性の廃液汚泥の固形燃料化も、来期に最初のラインが立つ予定。
電力の価格は、燃料や規制で変わる。新電力の小売りは、仕入れ価格の上下で利益が振れやすい。
エネルギーは、法人向けの太陽光で、自家消費型の PPA(電気を売る契約)が伸び始めた。受注は 3 億円を超えた。ただ、補助金や制度の変更に左右される分野だ。
電力の小売りでは、停止中に市場から電気を買って売り、売上を保った。分かれ目は 3 つ。苫小牧が計画どおり安定して動くか。住環境の利益率を守れるか。太陽光で利益が出る形に変えられるか。
資本政策と M&A
還元は小さい。2026 年 3 月期の配当は総額 1 億円ほどで、21 年ぶりの復配だ。内部留保は、資源循環の設備投資に回す方針。株主優待は有価証券報告書の抜粋から確かめられず、価値の数字には入れていない。
資金は、長期借入で 33 億円を借り、15 億円を返し、リース債務を 4.5 億円返した。有利子負債は 126 億円で、借入は 3.5% で借り換えると利払いが増える。現金は 46 億円。
子会社のサニックスエナジーは、債務超過 122 億円と重い。グループ内の貸付金などで支えている面があり、連結の借入と合わせて財務の見方を難しくする。
大株主の構成は、開示から確かめきれていない。TOB の話は無く、価値の数字には入れていない。純現金ではないので、余った現金は分けなかった。
減価償却は物価で増やさない。今ある設備は取得時の値段で償却を続け、タービンの刷新と新設の分だけ新しい値段が足される。中立の 10 年後の償却は約 22 億円で、物価で一律に増やした場合の約 25 億円より小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
住環境の稼ぐ力が全体を支える。シロアリ防除は 5 年ごとの再施工で契約が続き、営業利益率は 12% を保つ。売上は 10 年ほぼ変わらず、現金が安定して出る。温暖化でシロアリの被害は広がる。
資源循環は変わり目にある。苫小牧発電所のタービンの刷新で発電効率が 8% 上がり、受け入れ量も 17% 増える。点検に伴う引当などの一時的な費用が終われば、利益は元に戻る。2025 年 3 月期には営業利益が 22 億円あった。
廃棄物の処理費は上がり、プラスチックの再資源化は規制が追い風になる。有機性の廃液汚泥の燃料化や、グリストラップ汚泥からの航空燃料の原料づくりは、環境省の実証に選ばれた。次の柱になる。
太陽光は、自家消費の PPA の受注が 3 億円を超え、売り切りから継続収入に変わりつつある。配当も 21 年ぶりに復活した。営業利益率 10% の目標に向かって、利益は上向く。住環境の現金を設備に回す好循環が、ようやく回り始める。
慎重な見方
利益の予測が当たらない。2026 年 3 月期の営業利益は、会社予想の 28 億円に対して結果が 13 億円で、半分以下だった。設備が止まり、燃料の在庫が積み上がり、処分の引当まで出た。同じことは次も起きうる。
苫小牧発電所は単一の拠点で、長期の停止がリスクに挙がる。止まれば、燃料の廃プラが溜まり、処理費の引当も出る。更新の投資は建設費の上昇で膨らむ。
エネルギー領域は、太陽光市場の競争で営業利益が前期比 86% 減の 0.4 億円。ほぼ稼げていない。子会社のサニックスエナジーは債務超過 122 億円で、グループの財務の重しになる。
有利子負債は 126 億円で、自己資本比率は 27%。金利が 3.5% に上がると利払いが増える。配当は復活したが小さく、設備投資に毎年 40 億円ほど回す。ROE は 3.8% にとどまり、資本コストに届かない。営業利益率 10% の目標は、長く実現していない。
どちらに重みを置いたか
住環境の安定した稼ぎという強気の見方は、起こりうる。だが、利益の振れの大きさと重い設備・借入という慎重な見方のほうが重い。確率は中立を中心に、楽観・やや楽観を 28%、やや悲観・悲観を 34% に置いた。中立でも営業利益は 22 億円前後、ROE は 6% 台にとどまり、資本コストに届かない。総合は割高側に出た。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 314 円150 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 27 円13 億円)。 今の値に割り戻すと 160 円77 億円、今との差 −29.4%、 期待の年率 +4.2%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,003 円479 億円 | 84 円40 億円 | +378.7% | +17.0% | 65 円31 億円 |
| やや楽観 | 22% | 529 円253 億円 | 46 円22 億円 | +153.2% | +9.7% | 126 円60 億円 |
| 中立 | 38% | 309 円148 億円 | 25 円12 億円 | +47.3% | +3.9% | 127 円61 億円 |
| やや悲観 | 24% | 71 円34 億円 | 10 円5 億円 | −64.2% | −9.8% | 20 円9 億円 |
| 悲観 | 10% | 25 円12 億円 | 2 円1 億円 | −88.0% | −19.1% | 3 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 314 円150 億円 | 27 円13 億円 | +50.2% | +4.2% | 341 円163 億円 |
今の株価時価総額 227 円109 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 6% 苫小牧が安定し、資源循環が伸びて利益率が 10% に近づく 利益 32 億円 · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 1,003 円479 億円
苫小牧のタービン刷新で発電効率が上がり、受け入れ量も増えて、資源循環の取扱量は 1.4 倍になる。廃液汚泥の燃料化も立ち上がる。住環境は利益率 13% を保ち、太陽光は PPA の継続収入で黒字になる。全社の利益率は 10% に近づく。
(名目の前提)単価は名目、数量は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし、全社の本社費(調整額)も物価で増やした。減価償却は物価で増やさない。今の償却は年 19 億円ほどで、取得時の値段のまま、新しく作る設備と苫小牧発電所の更新の分だけ新しい値段で積んだ。償却は10 年後に約 24 億円(物価で一律に増やすと約 28 億円)。更新の投資は建設費の上昇で膨らみ、償却を超える分は借入と現金から出る。借入は 3.5% で借り換え、利払いの増加を純利益に入れた。
- 住環境(シロアリ防除・住宅保全):数量 53.9(年間の施工・契約件数(千件、推定))× 価格 39(1 件あたりの売上(万円、推定))→ 売上 208 億円・営業利益 27 億円。件数 1.00 倍(実質)・件単価 1.38 倍(名目)・営業利益率 13.0%
- エネルギー(法人向け太陽光):数量 82.5(年間の施工容量(MW 換算、推定))× 価格 167(1 MW あたりの売上(百万円、推定))→ 売上 138 億円・営業利益 8 億円。施工容量 1.50 倍(実質)・単価 1.05 倍(名目、設備価格の下落で物価を下回る)・営業利益率 6.0%
- 資源循環(廃プラ燃料・発電・廃液処理・新電力):数量 392(年間の取扱量(千トン換算、推定))× 価格 10(1 トンあたりの売上(万円、推定))→ 売上 406 億円・営業利益 47 億円。取扱量 1.40 倍(実質)・単価 1.38 倍(名目)・営業利益率 11.5%
倍率:事業の純利益 32 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.5% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.9 倍。全体の PER 14.88 倍、時価総額 470 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:発電所の安定、廃液燃料化の立ち上がり、太陽光の黒字化が全部揃う必要があり、確度は低い。
やや楽観 22% 苫小牧が元に戻り、利益率は 6% に近づく 利益 19 億円 · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 529 円253 億円
苫小牧の稼働が安定し、点検の引当などの一時的な費用も終わる。資源循環の取扱量は 1.25 倍。住環境は利益率 12% を保つ。太陽光は PPA の受注が育ち、薄い黒字になる。全社の利益率は 6% に近づく。
(名目の前提)単価は名目、数量は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし、全社の本社費(調整額)も物価で増やした。減価償却は物価で増やさない。今の償却は年 19 億円ほどで、取得時の値段のまま、新しく作る設備と苫小牧発電所の更新の分だけ新しい値段で積んだ。償却は10 年後に約 23 億円(物価で一律に増やすと約 26 億円)。更新の投資は建設費の上昇で膨らみ、償却を超える分は借入と現金から出る。借入は 3.5% で借り換え、利払いの増加を純利益に入れた。
- 住環境(シロアリ防除・住宅保全):数量 52.8(年間の施工・契約件数(千件、推定))× 価格 38(1 件あたりの売上(万円、推定))→ 売上 198 億円・営業利益 24 億円。件数 0.98 倍(実質)・件単価 1.34 倍(名目)・営業利益率 12.0%
- エネルギー(法人向け太陽光):数量 68.8(年間の施工容量(MW 換算、推定))× 価格 159(1 MW あたりの売上(百万円、推定))→ 売上 109 億円・営業利益 5 億円。施工容量 1.25 倍(実質)・単価 1.00 倍(名目、設備価格の下落で物価を下回る)・営業利益率 4.5%
- 資源循環(廃プラ燃料・発電・廃液処理・新電力):数量 350(年間の取扱量(千トン換算、推定))× 価格 10(1 トンあたりの売上(万円、推定))→ 売上 352 億円・営業利益 35 億円。取扱量 1.25 倍(実質)・単価 1.34 倍(名目)・営業利益率 10.0%
倍率:事業の純利益 19 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.7% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.0 倍。全体の PER 13.03 倍、時価総額 248 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:点検に伴う一時的な費用が終わり、受け入れ量が増える現実的な上振れ。
中立 38% 中立:苫小牧は安定するが、利益率は 4% 台にとどまる 利益 12 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 309 円148 億円
苫小牧は動くが、点検や更新の費用が毎年のように出て、資源循環の利益率は 9% にとどまる。住環境は件数が人口減で 5% 減り、件単価は 1.30 倍。太陽光は薄い黒字。本社費は物価で増える。営業利益は 22 億円前後で、ROE は 6% 台。配当は小さく、ためた利益は設備に回る。
(名目の前提)単価は名目、数量は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし、全社の本社費(調整額)も物価で増やした。減価償却は物価で増やさない。今の償却は年 19 億円ほどで、取得時の値段のまま、新しく作る設備と苫小牧発電所の更新の分だけ新しい値段で積んだ。償却は10 年後に約 22 億円(物価で一律に増やすと約 25 億円)。更新の投資は建設費の上昇で膨らみ、償却を超える分は借入と現金から出る。借入は 3.5% で借り換え、利払いの増加を純利益に入れた。
- 住環境(シロアリ防除・住宅保全):数量 51.2(年間の施工・契約件数(千件、推定))× 価格 36(1 件あたりの売上(万円、推定))→ 売上 186 億円・営業利益 21 億円。件数 0.95 倍(実質)・件単価 1.30 倍(名目)・営業利益率 11.5%
- エネルギー(法人向け太陽光):数量 60.5(年間の施工容量(MW 換算、推定))× 価格 159(1 MW あたりの売上(百万円、推定))→ 売上 96 億円・営業利益 3 億円。施工容量 1.10 倍(実質)・単価 1.00 倍(名目、設備価格の下落で物価を下回る)・営業利益率 3.0%
- 資源循環(廃プラ燃料・発電・廃液処理・新電力):数量 322(年間の取扱量(千トン換算、推定))× 価格 9.75(1 トンあたりの売上(万円、推定))→ 売上 314 億円・営業利益 28 億円。取扱量 1.15 倍(実質)・単価 1.30 倍(名目)・営業利益率 9.0%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 143 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:稼働は戻るが、設備と本社費の重さで利益率が上がりきらない中心の筋書き。
やや悲観 24% 設備の不調と太陽光の苦戦で利益率が 2% 前後 利益 5 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 71 円34 億円
苫小牧の不調が続き、点検と引当が毎年出て、資源循環の利益率は 7% にとどまる。住環境は件数が 8% 減り、利益率は 11%。太陽光は赤字すれすれ。営業利益は 9 億円ほどに落ちる。配当は復配したままの小ささを保つのがやっとだ。
(名目の前提)単価は名目、数量は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし、全社の本社費(調整額)も物価で増やした。減価償却は物価で増やさない。今の償却は年 19 億円ほどで、取得時の値段のまま、新しく作る設備と苫小牧発電所の更新の分だけ新しい値段で積んだ。償却は10 年後に約 21 億円(物価で一律に増やすと約 24 億円)。更新の投資は建設費の上昇で膨らみ、償却を超える分は借入と現金から出る。借入は 3.5% で借り換え、利払いの増加を純利益に入れた。
- 住環境(シロアリ防除・住宅保全):数量 49.6(年間の施工・契約件数(千件、推定))× 価格 36(1 件あたりの売上(万円、推定))→ 売上 178 億円・営業利益 20 億円。件数 0.92 倍(実質)・件単価 1.28 倍(名目)・営業利益率 11.0%
- エネルギー(法人向け太陽光):数量 46.8(年間の施工容量(MW 換算、推定))× 価格 151(1 MW あたりの売上(百万円、推定))→ 売上 71 億円・営業利益 1 億円。施工容量 0.85 倍(実質)・単価 0.95 倍(名目、設備価格の下落で物価を下回る)・営業利益率 1.0%
- 資源循環(廃プラ燃料・発電・廃液処理・新電力):数量 294(年間の取扱量(千トン換算、推定))× 価格 9.60(1 トンあたりの売上(万円、推定))→ 売上 282 億円・営業利益 20 億円。取扱量 1.05 倍(実質)・単価 1.28 倍(名目)・営業利益率 7.0%
倍率:ROE 3.0%。k 8.25% 以下で、PER の上限は 1÷k = 11.8 倍。設備の不調と赤字すれすれの太陽光を見て、上限の 5.9 割に置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 7 倍・時価総額 32 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:発電所の不調と太陽光の苦戦は、すでに起きている流れの延長。
悲観 10% 発電所の長期停止と太陽光の赤字で優良ではなくなる 利益 −15 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 25 円12 億円
苫小牧発電所が長期に止まり、処理できない廃プラが溜まって引当が積み上がる。資源循環は取扱量が 2 割減り、赤字になる。太陽光は競争で売上が縮み、赤字が続く。住環境は件数が 2 割減るが黒字を保つ。債務超過の子会社の整理で費用が出る。減損が積み上がり、自己資本が減る。配当は止まる。値打ちは、住環境の稼ぐ力と設備の売却の床までになる。
(名目の前提)単価は名目、数量は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし、全社の本社費(調整額)も物価で増やした。減価償却は物価で増やさない。今の償却は年 19 億円ほどで、取得時の値段のまま、新しく作る設備と苫小牧発電所の更新の分だけ新しい値段で積んだ。償却は10 年後に約 22 億円(設備の減損で減る)。更新の投資は建設費の上昇で膨らみ、償却を超える分は借入と現金から出る。借入は 3.5% で借り換え、利払いの増加を純利益に入れた。
- 住環境(シロアリ防除・住宅保全):数量 43.1(年間の施工・契約件数(千件、推定))× 価格 34(1 件あたりの売上(万円、推定))→ 売上 145 億円・営業利益 12 億円。件数 0.80 倍(実質)・件単価 1.20 倍(名目)・営業利益率 8.0%
- エネルギー(法人向け太陽光):数量 33.0(年間の施工容量(MW 換算、推定))× 価格 143(1 MW あたりの売上(百万円、推定))→ 売上 47 億円・営業利益 −1 億円。施工容量 0.60 倍(実質)・単価 0.90 倍(名目、設備価格の下落で物価を下回る)・営業利益率 -3.0%
- 資源循環(廃プラ燃料・発電・廃液処理・新電力):数量 224(年間の取扱量(千トン換算、推定))× 価格 8.63(1 トンあたりの売上(万円、推定))→ 売上 193 億円・営業利益 0 億円。取扱量 0.80 倍(実質)・単価 1.15 倍(名目)・営業利益率 0.0%
倍率:営業赤字で稼ぐ力はない。住環境の売却価値と設備の売却額に現金を加えても、有利子負債と債務超過の子会社の整理費用でほぼ消えるため、端数として時価総額を 12 億円に置いた。今の自己資本 110 億円に対する PBR は 0.11 倍。清算されない限り、少数株主は設備の売却を決められないため、自己資本を大きく下回ってよい。
確率:苫小牧は単一の拠点で、長期の停止が主なリスクに挙がる。債務超過の子会社と重い借入が重なる構造的な負けで、起きたら戻りにくい。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
住環境(シロアリ防除・住宅保全)
戸建て住宅のシロアリ防除、住宅の補修、ビル・マンションの給排水の保全。
| 数量年間の施工・契約件数(千件、推定) | 価格1 件あたりの売上(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 53.9 | 28 | 151 | 18 |
| 10 年後 中立 | 51.2 | 36 | 186 | 21 |
取り方:住環境の売上 151 億円を、1 件あたり 28 万円(開示なし、防除・補修・保全の平均として推定)で割った件数。営業利益は開示(セグメント)による。
エネルギー(法人向け太陽光)
企業向け太陽光発電システムの施工・販売・保守と、自家消費型の電力契約。
| 数量年間の施工容量(MW 換算、推定) | 価格1 MW あたりの売上(百万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 55.0 | 159 | 88 | 0 |
| 10 年後 中立 | 60.5 | 159 | 96 | 3 |
取り方:エネルギーの売上 87.5 億円を、施工容量 55 MW(開示なし、推定)で割った。保守の売上を含む。太陽光の設備価格は技術の進歩で下がるため、価格は物価を下回る 1.0 倍を中立に置く。
資源循環(廃プラ燃料・発電・廃液処理・新電力)
廃プラスチックの燃料化と苫小牧発電所での発電、廃液処理、新電力の小売り。
| 数量年間の取扱量(千トン換算、推定) | 価格1 トンあたりの売上(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 280 | 7.50 | 210 | 17 |
| 10 年後 中立 | 322 | 9.75 | 314 | 28 |
取り方:資源循環の売上 210 億円を、受け入れた廃棄物と販売した電力を重さに換算した取扱量 28 万トン(開示なし、推定)で割った。
リスクと懸念
苫小牧発電所の停止
資源循環の利益の多くは、苫小牧発電所に依存する。法定点検とタービン刷新で止まった期間が長引き、2026 年 3 月期は営業利益が 38% 減った。単一の拠点で、長期の停止は主なリスクに挙がる。
利益予想の外れ
2026 年 3 月期の営業利益は、会社予想 28 億円に対して結果が 13 億円だった。営業利益率 10% の目標は長く実現していない。計画の信頼性が低い。
借入と金利
有利子負債は 126 億円で、自己資本比率は 27%。設備投資に毎年 40 億円ほど要り、借入は 3.5% で借り換わる。営業利益が薄いと、金利の上昇が純利益を直撃する。
債務超過の子会社
子会社のサニックスエナジーは債務超過で、超過額は 122 億円と大きい。整理や支援で費用が出れば、連結の財務に響く。
太陽光の競争と制度変更
エネルギー領域は競争で営業利益が 86% 減った。補助金や買取制度の変更、部材の為替の影響も受ける。PPA への転換が遅れれば、赤字が続く。
人口減と持ち家の減少
住環境は国内の持ち家に依存する。人口減で件数は減る。数量の前提は 10 年で 5% 減を織り込んだが、想定を超えて減れば稼ぎ頭が弱る。
減損と法規制
建設業法・廃掃法・電気事業法などの規制が事業を縛る。資源循環の設備に減損が出れば、自己資本が減る。
今後の分かれ目
- 苫小牧発電所が 1 年を通して計画どおり稼働し、営業利益が 20 億円を超えたら
- 資源循環の安定を評価し、楽観・やや楽観に確率を寄せる。
- 営業利益率が 5% を超える期が続いたら
- 設備の稼働と本社費の効果を評価し、中立の利益率を引き上げる。
- 苫小牧の停止や追加の引当が再び出たら
- 稼働の前提を下げ、やや悲観に寄せる。
- サニックスエナジーの整理や支援で大きな費用が出たら
- 財務の前提を下げ、悲観側に確率を寄せる。
- 太陽光の PPA が継続収入として育ち、黒字が定着したら
- エネルギーの利益率を上方に直す。
- 公開買付けが発表されたら
- 少数株主の取り分を、提示された条件と企業価値で見直す。
見ておくもの
- 苫小牧発電所の稼働と引当
- 資源循環の営業利益
- 住環境の件数と営業利益率
- 太陽光の PPA の受注
- 有利子負債と自己資本比率
- 配当
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 110 億円や PBR 1 倍には寄せていない。部門ごとの数量・単価・利益率に、全社の本社費を引いて利益を積み、倍率は式で置いた。中立は ROE 6.6% が k 8.25% に届かないので、PER の上限 1÷k = 11.8 倍の 7.2 割。楽観・やや楽観は ROE が k を超えるので、残る割合 1/2 で薄めた上限の 8.6〜8.7 割とした。純有利子負債は正で余った現金は無いので、現金の足し算はしない。優待の費用は確かめられず、入れていない。新リース会計基準は 2029 年 3 月期から適用だが、10 年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。減価償却は物価で増やしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→14.88 倍・やや楽観 PER 10.5→13.03 倍・中立 PER 8.5→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +1.0%(循環 +0.25・値決め力 0・借金 +0.5・寿命 +0.25)= 8.5%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.25%。