結論
セントラルスポーツは、全国で総合型のスポーツクラブを運営する会社だ。直営が 187 店、公共施設などの受託が 70 施設ある。結論から言えば、筆者は今の値段を割高と見る。事業は安定しているが、利益の伸びしろが限られ、資本の稼ぎが資本コストに届かないからだ。
2026 年 3 月期の売上は 489 億円で 6 期連続の増収、営業利益は 26.8 億円と 4 割近く増えた。ただ会社予想の営業利益 30 億円には届かず、純利益は 12.8 億円と前期より減っている。営業利益と純利益の開きは、営業外の費用と税の重さによる。
強みは、水泳教室を軸にした子ども向けスクールと、公共施設の受託という、24 時間型のジムが取りにくい領域を持つことだ。弱みは、会員から月々の会費を取る事業の宿命として、店の家賃や人件費が会員の数にかかわらず出ていくことだ。会員が減ると利益が急に細る。
財務は堅い。純現金が 57 億円あり、自己資本比率は 6 割を超える。しかし店舗の多くは賃借と見られ、家賃は借金と同じ固定の約束だ。見かけの強さほどの余裕はない。
中立の筋書きでは、10 年後の純利益は 23 億円と今の 2 倍近くに増えるが、それでも ROE は 6% 台にとどまる。時価総額は 200 億円ほどで、今の 263 億円を下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、事業は理解しやすいが、持ち続けて資本が増える形ではない。会員制の月会費は安定した収入だが、利益は家賃と人件費という固定費を引いた残りで、売上の 5% ほどしか残らない。資本の稼ぎである ROE は 5% 前後で、資本コストを下回る。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、会計の利益より小さい。プールや機器の更新、店の改装に毎年の投資が要り、建築費や機器の価格は物価で上がる。今の減価償却は古い値段のままで、会計の利益が現金の稼ぎより良く見える。
安全域は、純現金の 57 億円が支える。ただ賃借の店は家賃が固定の約束で、借金と変わらない。純現金を丸ごと余りと見ず、利益の中の利息として評価した。
資本の配分は、配当性向 3 割台で内部に残す。残した現金に高い収益の使い道が見えない以上、株主にとっては、配当を増やすか、自社株買いを検討するのが筋だ。今の値段に十分な安全域はないと、筆者は見ている。
何で稼ぐ会社か
事業は、直営のスポーツクラブ、公共施設などの受託、その他の付帯の 3 つに分かれる。決算のセグメント別の数字は確認できず、2026 年 3 月期の売上 489 億円を、直営が約 389 億円、受託が約 56 億円、付帯が約 44 億円と推定した。
直営は 187 店で、プール、ジム、スタジオ、子ども向けのスクールを備える総合型が中心だ。会員は直営と受託の合計で約 33 万人(2024 年 9 月)。会費に加え、スクールの月謝、パーソナルトレーニング、物販が客単価を作る。
受託は、自治体の体育施設などの運営を請け負う。施設の建物や土地は発注者の持ち物なので、会社が重い設備を持たず、利益率は直営より高いと見た。70 施設を運営する。
付帯は、プロショップ、旅行、不動産の賃貸などだ。規模は小さい。
店舗は 2026 年 3 月期末で 257(受託 70 を含む)。新店や体操スクール、24 時間型の小型ジム「ジム 24」も出している。
収益の形は、会員が毎月払う会費が土台で、そこにスクールの月謝とパーソナルの追加料金が乗る。固定費が重いので、会員数と稼働の水準が利益率を決める。
優良さと弱いところ
優良さの核は、水泳教室を軸とした子ども向けスクールと、総合型の設備を持つ店だ。プールを備える店は、設備と指導者がそろわないと作れず、24 時間型の小型ジムにはまねしにくい。公共施設の受託は、運営の実績が入札の評価に効く。
ただし堀としては浅い。会員は月々の会費で続けるか決めるため、近くに安い店ができれば動く。全国の施設は約 1 万 4 千のうち 24 時間型が 36% を占め、1 年で 700 近く増えた。低価格の側から客が削られる流れは続いている。
収益の質は、固定費が重い点で決まる。店の家賃、プールの光熱費、指導者の人件費は、会員の数にかかわらず出ていく。会員が 1 割減ると、利益は 1 割より大きく減る。コロナ禍の 2021 年 3 月期に営業利益が 9 億円まで落ちて純損益が赤字になったのが、その形だった。
資本効率は低い。ROE は過去 10 年の中央値が 5.9% で、資本コストに届かない。純現金が積み上がり、自己資本の分母が膨らんでいる。
経営は、親会社のセントラルトラストが議決権の 3 割強を持つ。創業家と親族の持分を合わせると少数株主の発言力は限られるが、大手 4 社の中で、赤字の期が少なく堅く稼ぐ点は評価できる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
フィットネスクラブの市場は、帝国データバンクの推計で 2024 年度に約 7,100 億円と過去最高の水準だ。2026 年 3 月期は大手 4 社がそろって増収だった。売上はルネサンスが 649 億円、コナミスポーツが 495 億円、セントラルが 489 億円、ティップネスが 276 億円だ。
ただ、利益は明暗が分かれた。ルネサンスは都心店の退店費用と減損で最終赤字になった。コナミは公共施設の受託を伸ばし、受託が直営を上回る。ティップネスは直営の約 6 割を 24 時間ジムに切り替えた。業態の入れ替えが進んでいる。
客単価は、総合型で月 1 万円前後、低価格の無人ジムで月 3 千円台と、3 倍の開きがある。物価が上がる中で、節約志向が低価格型への移動を促す。一方で、水泳や子どもの教室、高齢者の運動のように、無人ジムが代われない需要は残る。
10 年で見ると、日本の人口は減るが、健康志向と高齢者の利用が下支えする。実質の会員数は微減から横ばいで、会費は人件費や光熱費の上昇を受けて物価に近い水準まで上がる。ただ、低価格型との競争で、物価並みの値上げは遅れやすい。
資本政策と M&A
配当は 2026 年 3 月期で配当性向が約 35%、前期は約 41% だった。自社株買いは確認できず、純現金が積み上がっている。利益の 6 割強は内部に残る。
株主優待は 3 月と 9 月の年 2 回で、100 株以上で年 6 枚の施設利用券などだ。費用の開示は見つからなかった。空いた枠を使う性質のため原価は小さく、年 1 億円に届かないと推定した。株主の受け取りは小さく、価値への影響は 1 ポイント未満と見て、還元には足していない。
設備投資は、店舗の改装と新店、機器の更新が中心だ。プールや設備は経年で更新が要り、物価で費用が上がる。会計上の減価償却は取得時の値段のままなので、更新投資が増えると、利益ほど現金が残らない。
大株主は、非上場のセントラルトラストが 30.7%、後藤家の個人が合わせて約 10% だ。日本マスタートラスト信託口が 5.3%、社員持株会が 2.8%。10 年のうちの買収や非上場化の機械的な推定は 25% ほどあるが、具体的な動きは確認できない。
新リース会計(2028 年 3 月期から貸借対照表に載る)で、賃借の店の家賃がリース債務として表に出る。今の自己資本比率の高さは、見かけが変わる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
営業利益は 26.8 億円と 4 割近く増え、売上は 6 期連続で伸びた。2028 年 3 月期に営業利益率 6.8% という見通しは、2017〜19 年の 8% 台に向けた回復の途中にすぎない。
大手 4 社の中で、水泳教室と子どもの教室、公共施設の受託という、24 時間ジムが取りにくい領域を持つ。受託は設備の投資が要らず、利益率が高い。コナミが受託を伸ばして増益になったのが、その証拠だ。
純現金が 57 億円あり、財務は堅い。景気が悪くなっても倒れない。値上げが通れば、固定費の重い事業なので利益は大きく増える。会員が 1 割増えれば、利益は 1 割より大きく増える。
親会社が 3 割を持つので、非上場化の提案が出れば、市場価格に上乗せした値段がつく可能性もある。
24 時間型は低価格の入口を作ったが、泳ぎを習いたい子どもや、運動指導を求める高齢者の需要までは取れない。総合型の店が残る領域は、人口が減っても確実にある。
慎重な見方
利益の増え方は一時的だ。2026 年 3 月期は会社予想の営業利益 30 億円に届かず、純利益は前期より減った。営業利益と純利益の開きは大きく、株主に残る分は営業利益の半分ほどだ。
24 時間型は 1 年で 700 近く増え、施設の 36% を占める。月会費 3 千円台のジムが、総合型の会員を少しずつ奪う。物価で光熱費や人件費が上がっても、会費を同じ率で上げにくい。
家賃は固定の約束で、会員が減ると利益が急に細る。ルネサンスは都心店の退店費用と減損で赤字になった。同じ総合型で、同じ形のリスクを抱えている。
純現金はあるが、賃借の店では家賃が借金と同じ重さを持つ。ROE は 5% 前後で資本コストを下回り、現金を溜めるほど資本効率は下がる。時価総額が自己資本をほぼ満たす今の値段は、低い稼ぎに対して高い。
さらに言えば、増収は新規出店と M&A に支えられた面があり、既存店の力で伸びたのかは開示から読み切れない。数字の質を確かめられない間は、強気の数字をそのまま受け取れない。
どちらに重みを置いたか
筆者は慎重な見方に重みを置く。固定費の重さは、会員が減るときの下振れが大きく、増えるときの上振れより傷が深いことを意味する。24 時間型の施設数が 1 年で 700 近く増える流れは、数字で確認できる事実だ。一方で、水泳教室と受託という守りの領域は本物で、悲観一辺倒にもできない。そのため、中立は利益率が 6% 台に戻る姿に置き、確率は慎重な側に少し寄せた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,328 円261 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 585 円66 億円)。 今の値に割り戻すと 1,447 円162 億円、今との差 −36.9%、 期待の年率 +2.4%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 3,900 円437 億円 | 848 円95 億円 | +106.9% | +7.5% | 285 円32 億円 |
| やや楽観 | 17% | 3,080 円345 億円 | 714 円80 億円 | +65.3% | +5.2% | 645 円72 億円 |
| 中立 | 38% | 2,684 円301 億円 | 643 円72 億円 | +45.0% | +3.8% | 1,264 円142 億円 |
| やや悲観 | 27% | 1,681 円188 億円 | 473 円53 億円 | −6.1% | −0.6% | 582 円65 億円 |
| 悲観 | 12% | 804 円90 億円 | 339 円38 億円 | −50.2% | −6.7% | 137 円15 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,328 円261 億円 | 585 円66 億円 | +26.9% | +2.4% | 2,913 円326 億円 |
今の株価時価総額 2,295 円257 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 6% 会員が増え、固定費を薄めて利益率が 8% 近くまで戻る 利益 34 億円 · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 3,900 円437 億円
スクールと高齢者の運動需要が会員を支え、公共施設の受託が 80 施設を超える。直営の会員は今より 5% 増え、会費は物価を少し上回って上がる。固定費が薄まり、直営の利益率は 7.2% に上がる。
受託は設備を持たずに数を増やし、利益率は 11% に届く。付帯の利益も伸びる。
会社全体の営業利益は 57 億円、営業利益率は 7.9% で、過去の山 8.1% を超えない。純利益は 34 億円。
配当性向は 4 割とし、自社株買いは入れない。ROE は 8% 台にとどまり、資本コストには届かない。
24 時間型が増え続けても、泳ぎと子どもの教室という総合型にしかない領域が、会員を引き留める。
- 直営スポーツクラブ:数量 283,500(平均会員数(人)。直営の会員数の推定)× 価格 20(会員 1 人あたりの年間売上(万円・名目。会費・スクール・物販を含み、物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 563 億円・営業利益 41 億円。数量 1.05 倍、値段 1.38 倍、営業利益率 7.2%
- 受託施設:数量 80.5(受託施設数)× 価格 1.07(1 施設あたりの年間売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 86 億円・営業利益 10 億円。数量 1.15 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 11.0%
- 付帯事業:数量 206(直営の店舗数(店))× 価格 0.31(1 店あたりの付帯の売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 65 億円・営業利益 7 億円。数量 1.10 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 10.0%
倍率:事業の純利益 34 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.4 倍。全体の PER 12.44 倍、時価総額 427 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2017〜19 年に 8% 台の利益率を出した実績はあるが、24 時間型が広がる中で会員の増加と値上げが重なる姿は描きにくい。6% とした。
やや楽観 17% 会員は横ばいで、受託と値上げで利益率が 7% に上がる 利益 27 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 3,080 円345 億円
会員は今と同じ水準を保つ。低価格型に客を奪われる分を、スクールと高齢者の取り込みが補う。会費は物価並みに上がる。直営の利益率は 6.5% に上がる。
受託は 8% 増え、利益率は 10%。付帯は横ばいに近い。
会社全体の営業利益は 47 億円、営業利益率は 7.2%。純利益は 27 億円になる。
配当性向は 4 割。ROE は 7% で資本コストに届かないが、中立よりは資本が効く。
24 時間型との競争は続くが、総合型の強みが残る領域で会員が増えて、中立よりやや良い結果になる。
費用は物価並みに 1.34 倍へ上がるが、会費の値上げがそれに追いつくため、利益率が戻る。業界の 4 社がそろって増収だった流れが、10 年続く姿だ。
- 直営スポーツクラブ:数量 270,000(平均会員数(人)。直営の会員数の推定)× 価格 19(会員 1 人あたりの年間売上(万円・名目。会費・スクール・物販を含み、物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 521 億円・営業利益 34 億円。数量 1.00 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 6.5%
- 受託施設:数量 75.6(受託施設数)× 価格 1.07(1 施設あたりの年間売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 81 億円・営業利益 8 億円。数量 1.08 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 10.0%
- 付帯事業:数量 187(直営の店舗数(店))× 価格 0.31(1 店あたりの付帯の売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 59 億円・営業利益 5 億円。数量 1.00 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 9.0%
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.4% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 330 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近 2 年の増益の流れが続く姿で、会社の 2028 年 3 月期の見通し(利益率 6.8%)に近い。2 割弱を置いた。
中立 38% 会員は微減し、値上げは遅れるが、利益率は 6.6% に戻る 利益 23 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 2,684 円301 億円
人口の減少と低価格型への移動で、直営の会員は 1 割弱減る。会費は物価より少し遅れて上がり、10 年で 1.30 倍になる。費用は物価並みに 1.34 倍になるが、スクールと受託の安定が支え、直営の利益率は 6% に上がる。
受託は施設数を保ち、利益率は 9.5%。付帯は会員の減少に合わせて 5% 減る。
会社全体の営業利益は 40 億円、営業利益率は 6.6%。営業外はマイナスが続き、純利益は 23 億円になる。
配当性向は 4 割。ROE は 6% 台で、資本コストには届かない。
24 時間型との競争は続くが、子ども・高齢者向けの領域は守られ、大崩れはしない。
- 直営スポーツクラブ:数量 256,500(平均会員数(人)。直営の会員数の推定)× 価格 19(会員 1 人あたりの年間売上(万円・名目。会費・スクール・物販を含み、物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 480 億円・営業利益 29 億円。数量 0.95 倍、値段 1.30 倍、営業利益率 6.0%
- 受託施設:数量 70.0(受託施設数)× 価格 1.07(1 施設あたりの年間売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 75 億円・営業利益 7 億円。数量 1.00 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 9.5%
- 付帯事業:数量 178(直営の店舗数(店))× 価格 0.31(1 店あたりの付帯の売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 56 億円・営業利益 5 億円。数量 0.95 倍、値段 1.34 倍、営業利益率 8.0%
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 278 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近の増収増益の流れと、24 時間型の圧力が併存する姿が最も近く、4 割弱を置いた。
やや悲観 27% 低価格型に会員を奪われ、値上げも遅れて利益率が 4% 台に沈む 利益 13 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 1,681 円188 億円
24 時間型の出店が続き、直営の会員は今の 88% に減る。会費は物価に追いつかず、10 年で 1.25 倍にとどまる。家賃と人件費は 1.34 倍に上がり、直営の利益率は 4% に下がる。
受託は競争入札で値が下がり、利益率は 8%。付帯も縮む。
会社全体の営業利益は 26 億円、営業利益率は 4.7%。純利益は 13 億円と今とほぼ同じになる。
配当性向は 4 割。ROE は 4% 前後で、資本効率は下がる。
子ども向けスクールが踏みとどまるため、赤字にはならないが、伸びる余地は乏しい。
公共施設の受託は、自治体の予算の制約で単価が上がりにくい。人手の採用と賃上げの費用が先に出て、利益率の戻りは鈍い。
- 直営スポーツクラブ:数量 237,600(平均会員数(人)。直営の会員数の推定)× 価格 18(会員 1 人あたりの年間売上(万円・名目。会費・スクール・物販を含み、物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 428 億円・営業利益 17 億円。数量 0.88 倍、値段 1.25 倍、営業利益率 4.0%
- 受託施設:数量 66.5(受託施設数)× 価格 1.04(1 施設あたりの年間売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 69 億円・営業利益 6 億円。数量 0.95 倍、値段 1.30 倍、営業利益率 8.0%
- 付帯事業:数量 165(直営の店舗数(店))× 価格 0.31(1 店あたりの付帯の売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 50 億円・営業利益 3 億円。数量 0.88 倍、値段 1.30 倍、営業利益率 6.0%
倍率:純利益 13.4 億円・自己資本 345 億円・ROE 3.9%。やや悲観は稼ぐ力で置き、純利益 ÷ k(8.75%)= 約 162 億円。今の自己資本 266 億円に対する PBR は約 0.58 倍。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.61 倍・時価総額 162 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:24 時間型が施設の 36% に達し、近隣に出店が続く姿は現実に起きている。固定費の重さを考え、3 割弱を置いた。
悲観 12% 総合型が負け続け、固定費が残って利益がほぼ消える 利益 2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 804 円90 億円
24 時間型と公共施設の民間委託の競争で、直営の会員は今の 75% に減る。会費は 1.15 倍にとどまり、家賃と人件費は物価並みに上がる。直営の利益率は 1% に沈む。
受託は入札で値を下げられ、利益率は 5%。付帯も縮む。
会社全体の営業利益は 7 億円。営業外のマイナスを引き、純利益は 2 億円。退店と減損で自己資本は削られる。
配当性向は 5 割に上がるが、利益が小さく、還元は細る。
家賃が固定費として残る中で、店の退店と減損が続く。現金は守られるが、事業の価値は大きく目減りする。
純現金は残るが、閉店の解約金と原状回復の費用で目減りする。会員制の事業は、人が減ると固定費を薄められず、悪循環に入りやすい。
- 直営スポーツクラブ:数量 202,500(平均会員数(人)。直営の会員数の推定)× 価格 17(会員 1 人あたりの年間売上(万円・名目。会費・スクール・物販を含み、物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 335 億円・営業利益 3 億円。数量 0.75 倍、値段 1.15 倍、営業利益率 1.0%
- 受託施設:数量 59.5(受託施設数)× 価格 0.96(1 施設あたりの年間売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 57 億円・営業利益 3 億円。数量 0.85 倍、値段 1.20 倍、営業利益率 5.0%
- 付帯事業:数量 140(直営の店舗数(店))× 価格 0.27(1 店あたりの付帯の売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立))→ 売上 38 億円・営業利益 1 億円。数量 0.75 倍、値段 1.15 倍、営業利益率 3.0%
倍率:純利益 2.2 億円・自己資本 304 億円・ROE 0.7%。悲観は稼ぐ力ではなく床で置く。純現金と回収できる保証金・設備から解約や原状回復の費用を引いた約 90 億円で、今の自己資本 266 億円に対する PBR は約 0.34 倍。
確率:総合型の店が構造的に負け続ける筋書きは確率が低いが、固定費が重く、起きれば深い。1 割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
直営スポーツクラブ
全国の総合型クラブ。プール、ジム、スタジオ、子ども向けスクール。直営 187 店。
| 数量平均会員数(人)。直営の会員数の推定 | 価格会員 1 人あたりの年間売上(万円・名目。会費・スクール・物販を含み、物価 10 年 1.34 倍が中立) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 270,000 | 14 | 389 | 19 |
| 10 年後 中立 | 256,500 | 19 | 480 | 29 |
取り方:会員は約 33 万人(2024 年 9 月、直営と受託の合計)から受託分を除いて平均 27 万人と置き、売上 389 億円を割って 1 人あたり約 14.4 万円(月 1.2 万円)とした。セグメント別の開示は確認できず推定。営業利益は全体 26.8 億円を受託・付帯の推定で引いた残り。
受託施設
自治体などの体育施設の運営受託。70 施設。
| 数量受託施設数 | 価格1 施設あたりの年間売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 70.0 | 0.80 | 56 | 5 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 1.07 | 75 | 7 |
取り方:受託 70 施設に平均 0.8 億円と置いた推定。コナミなどの受託型の利益率を参考に営業利益率は約 9.5%。
付帯事業
プロショップ、旅行、不動産の賃貸など。
| 数量直営の店舗数(店) | 価格1 店あたりの付帯の売上(億円・名目。物価 10 年 1.34 倍が中立) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 187 | 0.23 | 44 | 2 |
| 10 年後 中立 | 178 | 0.31 | 56 | 5 |
取り方:全体の売上 489 億円から直営と受託を引いた残り 43.9 億円を、直営の店数で割った推定。
リスクと懸念
低価格の 24 時間型に客を奪われる
全国の施設の 36% が 24 時間型で、1 年で 700 近く増えた。月会費が総合型の 3 分の 1 の店が近くに増えると、会員が減るか、会費を上げられなくなる。固定費の重い総合型は、会員の減少が利益に直結する。
家賃などの固定費が利益を削る
店の多くは賃借と見られ、家賃は借金と同じ固定の約束だ。会員が減っても、家賃、光熱費、指導者の人件費は出ていく。コロナ禍の 2021 年 3 月期は、営業利益が 9 億円まで落ち、純損益は赤字になった。
人手と光熱費の上昇
指導者の採用と賃上げ、プールの光熱費は、物価を超えて上がりやすい。会費の値上げが遅れると、増収でも利益率が上がらない。2026 年 3 月期に会社予想の営業利益に届かなかった理由も、費用の重さにある。
新リース会計と見かけの変化
2028 年 3 月期から、賃借の店の家賃がリース債務として貸借対照表に載る。自己資本比率が下がり、見かけの強さが変わる。実質は変わらないが、借金に見える数字が増える点に注意が要る。
資本が溜まり、効率が下がる
純現金が積み上がり、ROE は資本コストを下回る。使い道がないまま現金が増えれば、株主の取り分の価値は薄まる。還元の方針が変わるかが分かれ目になる。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 2 期続けて 7% を超えたら
- 固定費を薄める効果が出たと見て、中立の利益率を引き上げ、楽観側の確率を厚くする。
- 直営の会員数が 2 期続けて減ったら
- 24 時間型に客を奪われていると見て、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 配当性向を 5 割に上げるか、自社株買いを始めたら
- 溜まった現金が株主に向いたと見て、還元の前提を上げ、純現金の評価を厚くする。
- 受託施設が 100 を超えて増えたら
- 重い設備を持たない収益が育ったと見て、受託の数量の前提を上げる。
- 親会社による株式公開買付け(非上場化)が発表されたら
- 提示額を本質価値と比べる。2 割の上乗せでも本質価値に届かない場合がありうる。
- 店の退店や減損が相次いだら
- 総合型の店の寿命が尽き始めたと見て、やや悲観・悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 直営の会員数と退会率
- 営業利益率と、人件費・光熱費・賃借料の比率
- 24 時間型の施設数の増加と、近隣への出店
- 配当性向と自社株買い、純現金の推移
- 新リース会計の貸借対照表への影響(2028 年 3 月期)
倍率と資本コストの決め方
数量は会員数・施設数・店数の推定、価格は 1 単位あたりの年間売上の名目値(物価 10 年 1.34 倍が基本)で、今の株価から逆算していない。セグメント別の開示は確認できず、直営・受託・付帯の分割と利益は推定であり、全体の売上 489 億円と営業利益 26.8 億円に合わせている。倍率は利益ベース。事業の ROE は中立で 6% 台と資本コスト 8.25%(基本 7.5% + quality 1.25%)を下回り、正当化 PER の上限は 1÷k の 11.4 倍で、中立はその 8 割の 9.1 倍に置いた。今の PER(約 20 倍)や PBR(約 1 倍)に寄せていない。やや悲観は稼ぐ力(純利益÷k)、悲観は純現金と敷金・設備の回収を足して解約や原状回復の費用を引いた床で置き、過去の PBR の底は使っていない。純現金 57 億円は分けず、利息として純利益に入れた。含み益は開示がなく、賃借が主なので足していない。減価償却は物価で増やさず、更新投資が現金を細らせる点を利益の見方に入れた。賃借料の額と新リース会計の影響は未確認で、今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.25% = 8.75%。理由は quality_why。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.25%。