結論
東京通信グループは、広告収入型のスマートフォンゲーム、電話占い、アーティスト向けのファンビジネスを営む企業である。筆者の結論は「割高」だ。ゲームの大量開発力と電話占いの運営基盤には実績があるものの、それを長期にわたる高い株主利益へ変える力は、まだ十分に証明されていない。
2025年12月期の売上高は62億円まで増え、2026年上期も増収増益だった。特にゲーム広告収入が伸び、電話占いとファンビジネスも営業黒字を維持している。ただし、2022年から2024年まで営業赤字が続き、2025年の純利益には投資有価証券売却益が大きく含まれた。単年の黒字だけで収益構造が完成したと判断するのは早い。
10年後の中立像では、無料ゲームの運用本数が緩やかに増え、電話占いの相談回数はAIによる代替で減り、ファンビジネスがその穴の一部を埋める。売上高は名目で現在を上回っても、本社費用や新たなIPへの投資が残るため、連結営業利益率は高くならない。利益を積み上げて自己資本が増えても、十分な再投資利回りを示せなければ、その帳簿価値がそのまま株主価値になるわけではない。
最大の上振れ要因は、Picrewの利用者基盤とB4ND、WHITE SCORPIONなどの権利を結び付け、広告や受託的な収入より採算のよい自社IPを育てることだ。反対に、ゲーム広告の単価低下、電話相談のAI化、買収した無形資産の減損が重なれば、収益も財務の余力も小さくなる。現在の時価総額約24.6億円に対し、5つの筋書きから見た現在価値には十分な安全域がない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主がまず見るべきなのは、10年後にも残る『会社が自由に使える利益』である。東京通信グループには複数の事業があるが、今のところ、それぞれの強みを合わせて安定した高い利益率を生み出す仕組みは完成していない。無料ゲームには広告宣伝費が必要で、電話占いには鑑定師と利用者を維持する費用が必要だ。ファンビジネスも、人気のあるIPを獲得し育てるために、利益の相当部分を再投資しなければならない。
会社が小さいことは、それ自体では不利でも有利でもない。小さくても、顧客が離れにくく、価格を上げられ、利益を再投資するたびに高い利回りを得られるなら、価値は大きい。電話占いの顧客基盤やPicrewの利用者は、そのような資産になる可能性を持つ。しかし、顧客の継続率や価格改定の実績、買収案件ごとの投下資本利益率が十分に示されていない以上、可能性と実証済みの堀を区別したい。
資本配分にも同じ規律が必要だ。新しいIPを買って売上を増やすだけでは、株主価値は増えない。取得費用、広告宣伝、人件費、償却費を引いてなお、投下資本に対する利益が資本コストを上回ることが条件である。2025年の純利益が投資有価証券の売却益で押し上げられている点は、実際の事業から繰り返し生まれる利益を見分ける必要性を示している。
筆者が10年間保有する前提で最も気にするのは、株価の短期的な変動ではなく、利益の予測可能性と財務の余裕である。2026年上期の改善は評価するが、買収した無形資産が自己資本に対して大きいこと、純有利子負債が残ること、配当の定量的な方針がないことは、慎重に値段を付ける理由になる。現在の時価総額には、いくつもの新規事業が順調に育つ期待が含まれている。安全域を求める立場では、その期待が実績へ変わるまでは高い評価を与えにくい。
何で稼ぐ会社か
メディア事業の中心は、無料で遊べるカジュアルゲームやハイパーカジュアルゲームである。利用者は原則としてゲームの代金を払わず、広告主が広告ネットワークを通じて費用を負担する。したがって収入は、実際に遊ばれるアプリの数と、アプリ1本当たりの広告収益に左右される。2025年には運用アプリが月平均245本あり、同社は国内パブリッシャーによるゲームダウンロード数で首位になったと公表している。
アプリは開発して終わりではない。広告を出して利用者を獲得し、遊んでもらい、広告表示の対価が利用者獲得費を上回るよう調整する必要がある。広告の単価を決めるのは主にGoogleや広告仲介事業者の市場であり、同社に自由な値上げの権利はない。一方、短期間で多数の企画を試せる制作体制は、当たり作品を探すうえで実務上の強みになる。画像制作サービスPicrewは、ゲームとは異なる利用者の接点を持つ補完的な資産である。
プラットフォーム事業の主力は「電話占いカリス」と「SATORI電話占い」であり、「恋愛相談METHOD」も育成している。約400名以上の鑑定師やカウンセラーと利用者を結び、通話時間に応じた料金を受け取る。2025年の相談回数は28万5千回で、料金の中から鑑定師への分配や集客費、運営費を賄う。この事業では鑑定師の質、相談者との信頼関係、広告を使った新規顧客獲得の効率が収益を決める。
ファンビジネスでは、アーティストとファンの有料コミュニケーションを扱う「B4ND」、公式ファンクラブ、関連イベント、グッズ、IPの育成を展開する。2026年には「WHITE SCORPION」の所属・マネジメント関連の権利を取得し、他者の人気に参加する立場から、自らIPを育てる立場へ踏み出した。事業の利益率を高める機会である半面、集客、制作、出演者の育成などの先行費用を負担する。
2026年から報告セグメントが変更され、従来プラットフォームやその他に含まれたエンタメ関連事業がファンビジネスへ集約された。10年の比較では、この変更後の区分に組み替えた2025年の数字を起点とする。その他には、投資、メタバース、デジタルサイネージなどの小規模な試行事業が残っている。
優良さと弱いところ
最も明瞭な競争力は、少人数の開発体制から多くのゲームを試し、広告で利用者を集める運営能力にある。国内のダウンロード数上位という実績は、企画や広告運用の経験が蓄積している証拠だ。しかし、ダウンロード数の首位は利益額の首位を意味しない。無料ゲームは利用者の乗り換えが簡単で、広告単価も仲介事業者の影響を強く受けるため、値上げしても顧客が離れないという堀は薄い。
電話占いには、ゲームとは異なる信頼の蓄積がある。運営歴は10年を超え、約400名の鑑定師をそろえ、相談者を支える体制を持つ。相性のよい鑑定師を繰り返し利用する顧客がいれば、一定の継続利用も期待できる。ただし、解約率、相談者の継続率、値上げ後の利用回数など、堀の強さを数量で確かめる開示は乏しい。
ファンビジネスの強みは、好きなアーティストを応援したいという需要が単なるソフトウエア機能では置き換わらない点だ。B4NDは7四半期連続の営業黒字を公表しており、単純な赤字の新規サービスではなくなった。一方、人気の中心はアプリの操作画面ではなく出演者本人にある。契約の更新条件や収益分配が変われば、ファンが多くても運営会社に残る利益は小さくなる。
財務と資本効率は厳しく見るべきだ。2025年末の自己資本は約7.6億円、純有利子負債は約5.3億円で、自己資本比率も約21%にとどまった。2026年上期には改善したが、のれんや商標関連の資産が厚く、収益が崩れた際の損失吸収力は見た目の総資産ほど大きくない。過去の複数期にわたる赤字を踏まえると、増分の投下資本が資本コストを安定して上回るとの判断には、さらに実績が必要だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場を一つの『インターネット関連』として扱うと、この会社の競争を見誤る。無料ゲームは世界のモバイル利用者と広告予算を奪い合う市場であり、電話占いは国内の比較的小さな相談市場である。ファンビジネスはアーティスト本人の人気、契約、ファンの支払い意欲によって動く。成長率も価格の決まり方も異なるため、10年後の数量を別々に考える必要がある。
広告市場全体には追い風がある。電通の調査では2025年の日本のインターネット広告費は約4兆円となり、総広告費の過半数を占めた。ただし、その市場には検索広告、動画広告、EC広告などが広く含まれ、同社のゲーム内広告に直接対応する市場規模ではない。VoodooやSayGamesなど海外の大量開発型パブリッシャーとの競争があり、GoogleやAppleの配信規則、広告ネットワークの単価変更にも左右される。国内ダウンロード数で首位でも、世界の広告収益に占めるシェアは確認できない。
電話占いについて、会社は参入事業者40社、42ブランドを調べ、過去3年度の売上高を積算して市場規模212億円と推計している。これは単年度の212億円ではない。単純な年換算では約71億円となり、同社の2025年の電話占い関連売上を約19億円とみなすと、シェアは約27%という参考値になる。ただし、市場調査の対象年度と同社の決算年度は一致せず、周辺収入も含まれるため、確定したシェアとは言えない。競合にはヴェルニ、ピュアリ、ココナラやLINEの相談サービスなどがあり、個別のシェアの開示は得られない。
この市場を長期に揺さぶるのは、AIによる相談相手の供給増加である。一般的な恋愛相談や悩みの整理なら、AIが低料金で何度でも応じられる。占い師本人を指名する体験は残るだろうが、気軽な相談の一部は失われる可能性が高い。中立では相談回数が減り、残る顧客への提供内容が濃くなることで単価の一部を補う。
ファン市場は広いが、会社の直接的な市場はその一部分である。推し活関連の市場調査にはライブ、グッズ、遠征、物販まで含まれるため、その総額をB4NDの対象市場とみなすことはできない。エムアップホールディングスのファンクラブ運営、Bitfanなどの会員サービス、ANYCOLORやカバーのIPビジネスは、それぞれ異なる位置からファンの支出を取りに来る。長期に価値を生むのはサービスの導入数ではなく、契約したIPの人気が続き、更新後も運営会社に利益が残る場合に限られる。
資本政策と M&A
資本配分には積極性があるが、株主にとっての成果はまだ安定していない。2021年以降に電話占いへ事業を広げ、2023年にはPicrewを運営する会社を取得した。2026年にはWHITE SCORPIONの関連権利を取得し、ゲーム広告から相談、ファンクラブ、IP保有へと収益源を広げようとしている。一方、2022年から2024年までの赤字、2025年の投資有価証券売却益への依存は、過去の事業拡張が継続的な株主利益に結び付いたとは言い切れないことを示す。
2026年の会社計画は売上高65億円、営業利益2.5億円、純利益1.1億円である。上期時点で営業利益は約2.34億円まで進んだが、会社は下期のM&Aや戦略投資、費用発生の可能性を挙げ、通期予想を据え置いた。ファンビジネスでは2029年までに保有・育成するIPの数を20へ増やす方針を示しているが、これに対応する中期の連結売上高、営業利益、ROEの定量的な約束は確認できない。
株主還元は慎重で、2025年の配当はゼロ、2026年の配当予想もゼロである。2026年7月の資本政策の説明では、成長投資と株主還元の均衡を掲げたものの、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額について数字の約束はない。一方、一定の保有条件を満たす株主には、年2回のデジタルギフトを提供する。対象は2,500株以上を1年超保有する株主で、各回の額は1万5千円である。
株主優待も還元として数えるが、対象者数と実際の費用は公表数値からは確定できない。中立の試算では年間500人が対象となり、年間費用約0.15億円が10年続くと仮定した。これは会社による将来の保証ではない。黒字化後に配当や自社株買いへ進む実績が生まれれば、留保利益を株主が受け取れる見込みを引き上げられる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社を単なる広告収入型ゲームの開発会社として見るのは狭すぎる。大量の無料ゲームを企画し、広告を通じて世界の利用者に届けてきた能力は実績があり、2025年には国内のゲームダウンロード数で日本のパブリッシャーとして首位となった。Picrewにも独自の利用者接点がある。多数の作品のうち少数が大きく当たる構造であるため、平均的な作品の収益が低くても、新しい成功作が生まれれば増益余地は大きい。
電話占いは10年超の運営歴を持ち、400名以上の鑑定師を擁する。会社推計による電話占い市場は、調査対象の3年分を年換算しても小さな市場であり、その中では同社の存在感は相応に大きい。利用者にとって信頼する鑑定師との関係は、一般的な情報検索より深い体験である。AIによる相談の普及後も、人に話を聞いてほしい顧客が一定数残り、単価の高いサービスへ需要が移る可能性がある。
最も大きいのはファンビジネスの上振れだ。B4NDはすでに複数四半期で黒字を継続しており、WHITE SCORPIONなど自ら権利を扱うIPも増やしている。ファンクラブ、メッセージ、イベント、グッズ、ライセンスを組み合わせれば、ひとつの顧客基盤から複数の収益が生まれる。2029年に向けたIPポートフォリオの拡張が利益を伴って実現すれば、現在の財務諸表には表れない事業価値を生むだろう。
2026年上期の売上高と営業利益の改善も見逃せない。会社は通期予想を据え置いたが、上期営業利益は通期予想の大半に達した。今後の成長投資を抑制し、利益の出る案件に集中すれば、本社費用の負担率が下がり、再投資の利回りも改善する。十分な収益性を示した後に配当や自社株買いへ移れば、現在より高い株主価値が正当化される。
慎重な見方
売上が増えてきたのに、株主に帰属する利益が安定していないことが最大の弱点である。2022年から2024年は営業赤字が続き、2025年の最終黒字には投資有価証券の売却益が大きく貢献した。事業利益の成長と投資資産の売却を同じように評価すれば、繰り返せない利益を将来に延ばしてしまう。2026年上期の好調も、年間を通した利益の再現性を確認する必要がある。
無料ゲームは競争相手が多く、利用者が作品を替える費用はほぼない。世界の大量開発型パブリッシャーだけでなく、生成AIを使って小規模チームが短期間で類似作品を作るようになれば、タイトル数の多さによる優位も薄くなる。広告の単価や配信規則はGoogle、Apple、広告ネットワークに依存する。国内ダウンロード数で上位にいても、広告の実現単価が下がれば利益は簡単に消える。
電話占いにはさらに直接的な変化が起こりうる。簡単な恋愛相談や悩みの整理は、24時間利用できるAIエージェントへ移りやすい。人間の鑑定師を選びたい顧客は残っても、新規利用者の入り口が細くなれば、相談回数の減少を単価上昇だけで補うのは難しい。顧客獲得費は下がらないまま件数が減る可能性もある。
ファンビジネスは有望だが、持続性を判断するにはまだ早い。人気はアーティスト本人に付いており、プラットフォームの所有者が永久に保有できるとは限らない。新しいIPを獲得するほど、マネジメント費用、広告宣伝、契約更新や権利取得への支出も増える。買収した商標やのれんの価値が低下すれば、薄い自己資本がさらに削られる。金利が高い環境で追加の買収や増資が必要になれば、既存株主の取り分も圧迫される。
どちらに重みを置いたか
事業の回復には根拠があるが、10年先まで高い利益率を続けられるという証拠はまだ弱い。特に過去3期の営業赤字、無形資産の厚さ、広告単価の決定権の弱さ、電話占いのAI代替を重く見る。楽観とやや楽観の合計を27%、やや悲観と悲観の合計を42%とし、慎重な側に15ポイント寄せた。ただし、AI代替による数量の減少は中立の事業計画に織り込み、確率では財務と事業転換の成否を中心に判断した。長く持つ株主にとって、現在の価格はなお割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 292 円29 億円(+ 還元の換算額還元の合計 16 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 134 円14 億円、今との差 −42.2%、 期待の年率 +3.0%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,045 円105 億円 | 40 円4 億円 | +367.3% | +17.2% | 108 円11 億円 |
| やや楽観 | 17% | 570 円57 億円 | 28 円3 億円 | +157.8% | +10.2% | 102 円10 億円 |
| 中立 | 31% | 235 円24 億円 | 15 円2 億円 | +7.6% | +0.8% | 77 円8 億円 |
| やや悲観 | 26% | 57 円6 億円 | 9 円1 億円 | −71.4% | −12.3% | 17 円2 億円 |
| 悲観 | 16% | 20 円2 億円 | 5 円1 億円 | −89.3% | −21.2% | 4 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 292 円29 億円 | 16 円2 億円 | +33.1% | +3.0% | 309 円31 億円 |
今の株価時価総額 232 円23 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% ゲームの収益性向上と自社IP育成が同時に成功 利益 8 億円 · PER 11.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,045 円105 億円
ゲームの開発・運用能力がさらに改善し、多数の小規模な作品から安定して収入を得られる。Picrewの利用者基盤も新作の認知に役立ち、広告出稿費に対する回収効率が高まる。広告の実現単価には依然として仲介事業者の影響があるが、ヒット作の寿命が延び、1本当たり売上が増える。国内ゲームダウンロード数で培った実績を、利益率の高い海外展開にも生かす。
電話占いでは、AIによる一般的な相談の代替が進むものの、特定の鑑定師への信頼に基づく利用が残る。相談内容が複雑化し、高付加価値なサービスへ移ることで、回数の減少を料金面でかなり補える。ファンビジネスではWHITE SCORPIONをはじめ複数のIPが育ち、B4ND、ファンクラブ、ライブ、グッズ、ライセンスへと収入が広がる。買収する側としても、取得費用を抑えて育成に集中することで、追加投資の収益性を高められる。
本社費や広告費の管理が改善し、営業利益率は過去の高収益期に近づく。配当と株主優待を続けながら、借金を無理なく管理できる程度の利益を生み出す。ただし、実績のないAIサービスの販売増収は織り込まず、既存アプリの収益化とIPそのものの価値向上を成功要因とする。
- メディア事業:数量 330(広告出稿を伴って運用するスマートフォンゲームアプリの月平均本数)× 価格 0.21(運用アプリ1本当たりの年間セグメント売上高(億円))→ 売上 69 億円・営業利益 11 億円。稼働330本、1本当たり収入は2025年比約1.51倍。作品の寿命と収益化効率が改善。
- プラットフォーム事業(電話占い):数量 275,000(電話占い等3サービスの年間相談回数(回))× 価格 9,350(1相談回数当たりのセグメント実現売上高(円))→ 売上 26 億円・営業利益 6 億円。相談回数は2025年をわずかに下回るが、指名需要と相談内容の高度化で単価が上昇。
- ファンビジネス事業:数量 32.0(収益を生むアーティスト・ファン企画の年間稼働単位数(組、推計))× 価格 0.95(1稼働企画単位当たりの年間セグメント売上高(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 6 億円。複数の有力IPを保有・育成し、会員課金以外の物販・イベント・権利収入も拡大。
- その他事業:数量 4.0(継続する小規模事業群の数(件、便宜上の推定))× 価格 0.15(1事業群当たりの年間売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。新規事業の試行は続き、小幅な費用超過が残る。
倍率:2035年のROEは7.7÷47.6=16.18%。資本コストk9.0%、弱い堀の残存割合1/3によりRONIC=9%+(16.18%−9%)÷3=11.39%。g_long1.0%から正当化PER=(1−1%÷11.39%)÷(9%−1%)=11.40倍。過去の市場PERは用いず、式による上限を採用する。
確率:国内ダウンロード数の実績、Picrewの利用者接点、B4NDの黒字実績はあるが、ゲームの高収益化と複数IPの連続成功を同時に達成する必要があるため、実現可能性は限定的とした。
やや楽観 17% 新しいファン収益が育ち、既存事業の効率も改善 利益 4 億円 · PER 11.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 570 円57 億円
無料ゲームは運用作品数を大幅に増やさず、成果が出るタイトルへの広告投資を厚くする。GoogleやAppleの配信規則による変動は残るが、複数の作品に収益源が分散し、広告費の回収期間が改善する。Picrewの利用者基盤は作品の認知には寄与するものの、それだけで市場支配力を持つわけではない。
電話占いはAIとの競合によって相談回数が減る。しかし、電話占いカリスとSATORIの既存顧客が一定程度残り、恋愛相談METHODなどの隣接サービスも成長する。人間の鑑定師に相談する価値は残るが、利用頻度が増えるという強い前提までは採らない。
ファンビジネスではB4NDの参加アーティストが増え、WHITE SCORPIONなどの育成から会員収入、イベント、物販が着実に積み上がる。自社IPを増やしてもすべてが人気化するわけではないが、成功した案件の利益が失敗案件の費用を上回る。会社は利益の一部を新しい権利取得へ振り向けつつ、株主優待と少額の現金還元を続ける。営業利益率は中立を上回るものの、ゲーム広告と芸能IPの競争が続くため、強固な独占企業にはならない。
- メディア事業:数量 290(広告出稿を伴って運用するスマートフォンゲームアプリの月平均本数)× 価格 0.19(運用アプリ1本当たりの年間セグメント売上高(億円))→ 売上 55 億円・営業利益 8 億円。稼働本数の緩やかな増加と高採算ゲームへの集中。
- プラットフォーム事業(電話占い):数量 245,000(電話占い等3サービスの年間相談回数(回))× 価格 8,900(1相談回数当たりのセグメント実現売上高(円))→ 売上 22 億円・営業利益 5 億円。相談回数は0.86倍、単価は1.22倍。指名型サービスが残る。
- ファンビジネス事業:数量 24.0(収益を生むアーティスト・ファン企画の年間稼働単位数(組、推計))× 価格 0.81(1稼働企画単位当たりの年間セグメント売上高(億円))→ 売上 19 億円・営業利益 3 億円。B4NDと公式ファンクラブの拡大に加え、成功IPの二次利用が増える。
- その他事業:数量 3.0(継続する小規模事業群の数(件、便宜上の推定))× 価格 0.16(1事業群当たりの年間売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。探索事業は残るが投資規律を強化。
倍率:ROE=4.15÷31.05=13.37%、k9.0%、残存割合1/3でRONIC10.46%。g_long1.0%から正当化PER=(1−1%÷10.46%)÷(9%−1%)=11.30倍。利益率の改善は2035年の利益に織り込み、倍率をさらに上乗せしない。
確率:B4NDの複数四半期の黒字と2026年の権利取得は成長の根拠になるが、人気IPの継続獲得と高い収益性の両立には不確実性が残る。
中立 31% ゲームとファン事業が伸びる一方、電話相談は縮小 利益 2 億円 · PER 11.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 235 円24 億円
無料ゲームは国内パブリッシャーとしての制作・配信能力を維持するが、世界の競争は激しさを増す。生成AIを利用する新規参入者が増え、似たゲームを安く作ることが容易になる。会社は運用作品を選別し、採算の良い作品への集中を進めることで、広告単価の低迷をある程度補う。Picrewは利用者との接点として残るが、利用者数に比例して高い利益を生むとは限らない。
電話占いでは、人間の鑑定師による相談そのものは残る。しかし、一般的な悩み相談の入り口はAIエージェントへ移り、年間相談回数は2025年より大きく減る。残る利用者に対する実現単価は上がるが、相談回数の減少を完全には相殺できない。人件費や集客費も必要なので、高い営業利益率へ一直線に改善することはない。
ファンビジネスではB4NDの利用が定着し、一部のIPがファンクラブ、イベント、グッズから収益を得る。WHITE SCORPIONのような保有・管理IPを増やす戦略も進むが、すべての案件が大きく育つわけではない。会社全体では売上が名目で増え、営業黒字を維持する一方、中央管理費と権利育成への支出が利益を抑える。利益が十分でない段階では大型の現金配当を行わず、株主優待を主な還元として残す。
- メディア事業:数量 265(広告出稿を伴って運用するスマートフォンゲームアプリの月平均本数)× 価格 0.17(運用アプリ1本当たりの年間セグメント売上高(億円))→ 売上 46 億円・営業利益 5 億円。本数は245本から265本へ小幅増。1本当たり収入は物価累積1.34倍より低い1.25倍で、広告競争による実質単価の低下を織り込む。
- プラットフォーム事業(電話占い):数量 190,000(電話占い等3サービスの年間相談回数(回))× 価格 8,400(1相談回数当たりのセグメント実現売上高(円))→ 売上 16 億円・営業利益 3 億円。相談回数は285千回から190千回へ0.67倍、単価は約1.16倍。AI代替の数量減を中立で反映。
- ファンビジネス事業:数量 17.0(収益を生むアーティスト・ファン企画の年間稼働単位数(組、推計))× 価格 0.75(1稼働企画単位当たりの年間セグメント売上高(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。稼働企画数は増えるが、成功するIPとそうでないIPの差が残る。
- その他事業:数量 3.0(継続する小規模事業群の数(件、便宜上の推定))× 価格 0.14(1事業群当たりの年間売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。少額の新規事業探索費用を計上。
倍率:中立のROE=1.6÷19.6=8.16%でk9.0%を下回る。再投資の超過利益を認めないため、正当化PERの上限は1÷k=11.11倍。中立の事業利益は約1.6億円であり、現在の株価や同業のPERを倍率の根拠にしていない。
確率:国内ゲームダウンロード数の実績とB4NDの黒字化を評価する一方、2022~2024年の連続赤字と電話相談のAI代替を踏まえ、利益率の大幅な改善を当然とはしない。下に寄せる理由:2025年の最終利益に一過性の証券売却益が含まれ、自己資本が薄く、買収した無形資産も厚いため、既存事業の小さな失速が株主価値に及びやすい。
やや悲観 26% 広告単価と相談件数が弱く、ファン事業も伸び悩む 利益 0 億円 · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 57 円6 億円
無料ゲームでは開発ツールの普及と生成AIによって類似作品が増え、利用者獲得費が上昇する。GoogleやAppleの配信環境、広告仲介事業者の単価変更によって、運用本数を維持しても十分な広告収益が得にくくなる。会社は採算の悪いゲームを停止し、運用本数を減らす。収益力の高い一部の作品は残るが、過去のようなダウンロード数の伸びを利益成長に結び付けられない。
電話占いでは無料または低額のAI相談が一般化し、初回利用者の獲得が難しくなる。鑑定師への相談という体験は続くものの、利用者の一部がAIを日常の相談相手にするため、相談回数は減少する。電話占いカリスとSATORIのブランドは残っても、広告費と顧客対応の費用が収益を圧迫する。
ファンビジネスでは新しいIPの獲得が期待どおりに進まず、人気の持続にもばらつきが生じる。会社は事業を整理し、本社の人員や新規開発費を削って固定費の増加を抑えるが、連結利益はわずかになる。大型買収は停止し、優待の規模も縮小する。存続そのものは維持できるが、株主が自由に使える利益は小さくなり、再投資に高い価値を認めにくくなる。
- メディア事業:数量 230(広告出稿を伴って運用するスマートフォンゲームアプリの月平均本数)× 価格 0.15(運用アプリ1本当たりの年間セグメント売上高(億円))→ 売上 35 億円・営業利益 3 億円。作品数減少と広告実現単価の伸び悩み。
- プラットフォーム事業(電話占い):数量 175,000(電話占い等3サービスの年間相談回数(回))× 価格 7,900(1相談回数当たりのセグメント実現売上高(円))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。AI相談への移行で年間相談回数が約0.61倍になる。
- ファンビジネス事業:数量 11.0(収益を生むアーティスト・ファン企画の年間稼働単位数(組、推計))× 価格 0.67(1稼働企画単位当たりの年間セグメント売上高(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。成功IPの数が増えず、イベント・グッズ展開の利益率も弱い。
- その他事業:数量 2.0(継続する小規模事業群の数(件、便宜上の推定))× 価格 0.10(1事業群当たりの年間売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。赤字事業の一部を閉鎖。
倍率:ROEは0.3÷13.7=2.19%とk9%以下であり、事業の稼ぐ力に成長価値は付けない。理論上限は1÷9%=11.11倍だが、相談件数と広告収益の継続的な縮小を考慮し10倍とする。稼ぐ力からの価値約3億円は、売却可能な資産の慎重な床約2億円を上回る。
確率:収益が比較的少数の広告ネットワーク、相談サービス、芸能IPの成功に依存するため、いずれかの不調が利益を大きく減らす可能性は高い。過去の赤字期間もあり、単なる景気後退より構造的な収益力低下を想定する。
悲観 16% AI相談と広告競争に押され、買収資産の価値も低下 利益 −3 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 20 円2 億円
無料ゲームの量産能力は、生成AIを利用する競合の参入によって差別化の力を失う。広告の仲介手数料や利用者獲得費を賄えない作品が増え、会社は運用本数を大幅に減らす。残るのは採算が合う一部のゲームだけであり、国内ダウンロード数上位という過去の地位は保てない。Picrewは利用者を維持しても、大きな現金利益を生む事業には育たない。
電話占いでは一般的な相談がAIへ移り、鑑定師を指名する固定顧客だけが中心となる。相談回数と単価の両方が弱くなり、サービスの販売促進費や管理費を負担しにくくなる。ファンビジネスでは取得したIPの人気が伸びず、関連契約の更新や出演者の確保にも費用がかかる。買収時に計上したのれん、商標、顧客関連資産の価値も見直しを迫られる。
会社は不採算事業を停止し、人員や拠点を整理するが、売上が減る速度の方が速く、2035年には営業赤字となる。前半の利益が後半の赤字と減損で失われ、自己資本も縮む。資金繰りを優先し、株主還元は一部の優待に限られる。事業を継続することはできても、従来の成長企業としての価値は失われ、換金できる資産の慎重な評価が株主価値の中心となる。
- メディア事業:数量 145(広告出稿を伴って運用するスマートフォンゲームアプリの月平均本数)× 価格 0.14(運用アプリ1本当たりの年間セグメント売上高(億円))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。運用本数は約0.59倍となり、広告単価の改善もほぼない。
- プラットフォーム事業(電話占い):数量 110,000(電話占い等3サービスの年間相談回数(回))× 価格 6,500(1相談回数当たりのセグメント実現売上高(円))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。一般相談がAIへ移り、利用回数は約0.39倍、実現単価も低下。
- ファンビジネス事業:数量 6.0(収益を生むアーティスト・ファン企画の年間稼働単位数(組、推計))× 価格 0.56(1稼働企画単位当たりの年間セグメント売上高(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。不採算IPから撤退し、既存ファンの課金収入のみが残る。
- その他事業:数量 1.0(継続する小規模事業群の数(件、便宜上の推定))× 価格 0.06(1事業群当たりの年間売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。事業整理費用が残存し、少額の売上では固定費を吸収できない。
倍率:営業赤字で利益倍率を使えないため、減損後の自己資本約2.9億円に0.69倍を適用し、売却可能資産の床約2億円と整合させる。減損前の現在の自己資本7.6億円や、悲観の過程で積み上がる帳簿価値へ床の倍率を掛ける方法は採らない。将来の自己資本2.9億円は、2025年末7.6億円から10年間の親会社帰属損益累計約マイナス4.2億円と還元0.5億円を差し引いた額である。2026~2031年には累計約4.6億円を稼ぐが、2032年以降の収益悪化と減損によって約8.8億円を失う非線形の経路を想定する。
確率:ゲームの広告収入と電話占いの双方が構造的に縮み、ファンビジネスも買収費用を回収できない複合的な場合。継続企業の前提に関する重要事象等の記載は解消したが、過去の赤字と無形資産の厚さから、10年の破壊的な下振れを無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
メディア事業
ハイパーカジュアルゲーム、カジュアルゲーム、ポイント系アプリ等を運用し、ゲーム内広告を主な収益源とする。Picrewの利用者基盤も含む。
| 数量広告出稿を伴って運用するスマートフォンゲームアプリの月平均本数 | 価格運用アプリ1本当たりの年間セグメント売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 245 | 0.14 | 34 | 4 |
| 10 年後 中立 | 265 | 0.17 | 46 | 5 |
取り方:2025年有価証券報告書の重要指標は月平均運用245本。2026年8月の決算説明資料による組替後の2025年メディア売上34.14億円、セグメント利益3.63億円を使った。34.14億円÷245本=年約1,394万円の売上であり、厳密な作品ごとの広告単価ではなく、運用ポートフォリオ全体の実現収入である。2026年上期の運用本数は238本。会社は2025年の日本パブリッシャーの国内ゲームダウンロード数首位を公表するが、世界市場の金額シェアは未開示。AIエージェント代替の型は、自社コンテンツの利用者に広告枠を提供する『自社媒体・プラットフォーム』と判定し、代理店の広告制作・運用受託とは区別する。中立の本数は265本と小幅増、実現単価は広告単価への圧力を考慮し、物価による10年1.34倍を下回る1.25倍とする。
プラットフォーム事業(電話占い)
電話占いカリス、SATORI電話占い、恋愛相談METHODによって鑑定師と利用者を結び付け、通話時間などに応じた従量課金で収入を得る。
| 数量電話占い等3サービスの年間相談回数(回) | 価格1相談回数当たりのセグメント実現売上高(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 285,000 | 7,270 | 21 | 3 |
| 10 年後 中立 | 190,000 | 8,400 | 16 | 3 |
取り方:2025年の相談回数28万5千回は会社の開示値。2026年のセグメント変更後に組み替えた2025年プラットフォーム売上20.72億円、利益3.03億円を用い、売上÷相談回数で実現単価を推計した。電話占い関連はセグメント売上の約93%なので、電話占い事業の収入だけに限った1回当たりの概算は約6,760円である。表示した7,270円には付随収入が含まれ、純粋な通話料金ではない。2026年上期の相談回数は13万6千回。会社独自調査の市場212億円は40社・42ブランドの過去3年度合計であり、年換算約71億円、2025年の同社の電話占い売上約19.3億円との比率は参考で約27%となるが、対象年度が違うため確定シェアではない。AIエージェント代替の型は『人の時間・工数で提供する相談』とし、中立相談回数は10年で0.67倍、実現単価は1.16倍、10年より先のこの部分の名目成長率は0%とみる。
ファンビジネス事業
B4NDの有料メッセージ、公式ファンクラブ、イベント、グッズ、ライセンス、保有IPの育成・マネジメントを組み合わせる。
| 数量収益を生むアーティスト・ファン企画の年間稼働単位数(組、推計) | 価格1稼働企画単位当たりの年間セグメント売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12.0 | 0.58 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 17.0 | 0.75 | 13 | 2 |
取り方:2026年の新セグメント区分に組み替えた2025年ファンビジネス売上6.98億円、利益0.49億円を使用する。B4NDと公式ファンクラブの公表参加アーティスト・企画を重複除去して2025年の稼働単位を12組と近似した。会社が正式な稼働企画数、会員総数、月額課金単価、契約更新率を開示していないため、数量と1企画当たり収入は推計であり、実際の会員当たり単価ではない。会社の2029年に向けた『20IP』の目標は自社が保有・育成するIPの数であり、この12組の稼働単位とは定義が違う。中立では稼働企画を17組、企画当たり収入を物価上昇と一部のイベント・物販拡張で約1.29倍にする。消費者が特定の人物を応援する体験を売るため、業務用席課金SaaSのAI代替型は全体には適用しないが、問い合わせ・会員管理の事務機能には代替圧力がある。
その他事業
投資事業、メタバース、デジタルサイネージ、新規事業開発等の小規模事業群。
| 数量継続する小規模事業群の数(件、便宜上の推定) | 価格1事業群当たりの年間売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3.0 | 0.11 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3.0 | 0.14 | 0 | 0 |
取り方:2026年の組替後の2025年売上0.34億円、セグメント損失0.47億円を使用。数量の3件は投資、メタバース、デジタルサイネージ等を事業群として数えた便宜値であり、会社が公表する販売件数ではない。その他事業の売上規模が全社の1%未満なので、主要3セグメントの数量分析を優先し、独立した大きな成長価値を認めない。
リスクと懸念
AI エージェント代替
電話占いのうち、一般的な恋愛相談や日々の悩みを整理する需要は、低価格で何度でも応じるAIエージェントに移りやすい。これは単なる広告費の問題ではなく、相談回数そのものを減らす構造的な変化である。中立でも相談回数の大幅な減少を織り込んだ。ゲーム内広告についてもAIによるコンテンツ供給増加と利用者の分散を反映したが、同じ理由で資本コストをさらに上げることはしていない。
広告プラットフォームへの依存
無料ゲームの収益は広告表示回数と実現単価に依存する。配信元のGoogleやApple、広告ネットワークの仕様や手数料、プライバシー規制が変われば、利用者数が変わらなくても収入が減り得る。作品数を増やすほど広告出稿が必要になり、顧客獲得費が上昇する場合には増収が利益増加につながらない。
無形資産と借入金
買収で得たのれんや商標関連資産が自己資本に対して大きく、将来の収益予想が悪化すれば減損が必要となる。2026年上期には自己資本が改善したものの、現預金より借入金などの有利子負債が多い。追加の大型買収が予定より低い利益しか生まない場合、借入金の負担と資産減損が同時に起こり、株主の取り分を大きく損なう可能性がある。
IP契約と人気の継続性
B4NDや公式ファンクラブの需要は、ソフトウエアだけでなくアーティスト本人の人気に依存する。権利を取得したIPでも、出演者の活動方針、契約更新、競合サービスの条件次第で収益が変わる。WHITE SCORPIONなどの事業育成には先行費用が必要であり、人気が高まっても権利取得費用や分配金を回収できなければ株主利益は増えない。
資本配分の収益性
投資事業や事業買収は新しい成長機会を作る半面、継続的な事業利益を評価しにくくする。2025年には投資有価証券売却益約5.29億円が営業外収益に含まれ、純利益の見かけを大きく押し上げた。投資資産を売る利益と、毎年の顧客収入から得られる利益を混同すると、再投資利回りを過大評価する。将来の買収では取得価格とその後の現金回収を追跡する必要がある。
株主還元と潜在的な希薄化
2026年の配当予想はゼロで、将来の配当性向や自社株買い金額について定量的な約束はない。一定条件の株主にデジタルギフトを提供しているものの、多くの利益が新規事業へ再投資される間は、少数株主が現金を受け取る時期は不透明である。財務余力が減った場合の増資や新株予約権発行は、既存株主に帰属する将来価値を薄めるおそれがある。
今後の分かれ目
- メディア事業の運用本数が横ばいでも、1本当たり売上と広告投資後の利益が複数年連続で増えたら
- 単なるダウンロード数の強みが現金収益力に変わっていると判断し、中立のメディア利益率と楽観側の確率を引き上げる。広告単価の上昇なのか、利用者維持率の改善なのかを分けて確認する。
- 電話占いの相談回数が年間25万回以上を維持し、単価を上げても継続率が落ちなかったら
- AIエージェントによる数量減少の見通しを緩める。会員の継続率や鑑定師の定着率も改善していれば、電話占いのブランドに現在の想定以上の堀があると判断する。
- 電話占いの年間相談回数が20万回を割り、顧客獲得費が下がらなかったら
- 中立からやや悲観へ見通しを移す。単価の一時的な上昇より、利用者の定着率、広告効率、鑑定師への分配後の利益を優先して見る。
- B4NDや保有IPについて有料会員数、平均課金額、更新率、案件別利益の継続的な開示が始まったら
- ファンビジネスを企画数の粗い推計ではなく、会員数と収入単価に分解して評価する。IPの数が増えるだけでなく、投下資本利益率が資本コストを上回れば、中立の価値を見直す。
- のれんや商標関連資産の減損、または純有利子負債の増加を伴う大型買収が発表されたら
- 取得価格、追加借入、想定利益、既存株主への希薄化を精査する。減損と借入負担が同時に拡大する場合には、悲観側の確率と財務の下振れを重くする。
- 営業利益から生まれる現金で借金が減り、具体的な配当性向や自社株買い金額が公表されたら
- 資本配分の予測可能性が高まったと判断する。実行された還元を確認したうえで、留保利益の株主への戻り方と10年間の還元総額を上方修正する。
見ておくもの
- 四半期ごとのメディア運用本数と1本当たり売上高、広告投資後の採算
- ゲームの国内ダウンロード数順位と海外売上の伸び
- Picrewの利用者数、収益化の進展、広告以外の収益比率
- 電話占い3サービスの相談回数、1回当たり実現収入、相談者の継続率
- B4NDの有料会員数、アーティスト別課金状況、解約率
- 2029年に向けた保有・育成IP数の進捗とIPごとの利益・取得費用
- 2026年12月期の会社計画である売上高65億円、営業利益2.5億円の達成状況
- 営業キャッシュフロー、借入金残高、現預金、自己資本比率の改善
- のれん、商標関連資産、顧客関連資産の償却・減損の発生
- 配当性向、自社株買いの実行、株主優待の対象者数と費用
倍率と資本コストの決め方
基準時点の時価総額は244円×10,074,224株で約24.58億円である。数量はメディアの運用本数、電話占いの相談回数、ファンビジネスの稼働企画数をそれぞれ起点とし、物価上昇は価格側へ織り込んだ。最も確度が低いのはファンビジネスの数量であり、会員数と単価が非公表のため、開示されている参加アーティスト・企画から代替推計している。中立の本社費は2025年の調整費用約4.73億円を物価3%で10年増やした約6.3億円とし、広告や人件費だけを据え置いて利益率を膨らませることはしていない。既存ののれんの償却額を機械的に物価で増やさず、新しいIP取得や権利更新の費用は各筋書きの利益率と本社費に反映した。資本コストは9%、長期成長率は1%とし、楽観から中立のPERはROEとRONICから求めた正当化倍率である。今の株価、過去のPER、同業の市場倍率を基準に合わせていない。10年間に留保され、事業に不要となる現金は所定の計算によって株主価値へ戻すが、負債返済や事業資金まで余剰現金として二重計上しない。新リース会計基準による表示の変更は利益創出力そのものの改善とは扱わない。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%による基本7.5%に、事業の値決め力と財務から質の調整1.5%を加えた。2026年8月に継続企業の前提に関する重要事象等の記載を解消し、同時点の短信に継続企業の前提に関する注記はないため、事業存続への別途上乗せはしない。