結論
イードは、自動車、ゲーム、アニメ、教育などの専門メディアを運営し、その読者との接点を広告、情報販売、業務システム、調査サービスに換える会社である。筆者の結論は「割高」だ。現金の厚さは高く評価するが、10年後も続く事業利益は現在の株価を十分に支えるほど強くないと考える。
最大の論点は、見かけの売上高と、今後も残る稼ぐ力の違いにある。2026年6月期の売上高は約59.5億円だった。しかし同年9月に売却したエンファクトリーは、直近期に11.1億円の売上高と1.14億円の営業利益を生んでいた。これを除くと、残る事業の収益力は大幅に小さくなる。さらに直近期の純利益には税効果による押し上げがあり、表面上の利益をそのまま10年先へ延ばすことはできない。
一方、保有する専門媒体、約2,500万人という月間利用者への接点、共通の媒体運営基盤には価値がある。広告に頼らず、会員課金、データ、システム利用料を増やせれば、利益率が再び改善する余地もある。ただし検索エンジンからの送客はAIの回答機能によって変わりつつあり、専門記事を数多く所有することと、読者から直接対価を受け取れることは別である。
10年後の中立では売上高約40.9億円、営業利益約3.5億円を見込む。現時点の時価総額は約40.6億円で、確率を加重し資本コストで割り引いた本質価値は約27.8億円、差は約マイナス31.5%となる。悲観側でも現金と換金可能な保有株式が価値を支えるが、その守りだけでは十分な安全域にならない。今後の評価を変えるのは、AIを使って記事を安く作れるかではなく、継続課金の実額と買収後の増分利益を証明できるかどうかである。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、イードは「保有資産は理解しやすいが、事業の10年後の稼ぐ力は読みにくい会社」である。専門メディアのブランドと顧客接点は一定の価値を持つ。しかも純現金が厚いため、一時的な広告不況に耐える力がある。株主が経営を十年間任せるうえで、この財務の余裕は魅力だ。
しかし、オーナー利益を考える際には、営業利益から必要な媒体運営費、記事制作費、システム更新費、買収費用を見落とせない。媒体を取得して売上が増えても、記者やエンジニアの固定費、のれんの発生、統合作業を差し引けば、株主が自由に使える利益は小さくなることがある。直近の利益減少は、その懸念を抽象論ではなく実績として示した。
さらに、事業の寿命そのものは媒体の歴史だけでは測れない。自動車を買う人も、ゲームを楽しむ人も十年後に存在するだろう。それでも情報を探す手段がAIエージェントへ移れば、専門記事に広告を表示して稼ぐ仕組みは変わる。読者から直接料金を受け取れるサービス、他社が使わざるを得ない独自データ、切り替えに大きな費用がかかるシステムが育つかが重要だ。
経営者に期待するのは、大きな売上目標の達成より資本配分の規律である。高い価格で媒体を買い続けるより、収益性が低い事業を売却し、投資利回りを開示し、余った現金を適切に返すほうが株主価値を高める場合もある。筆者が長期保有の判断に求めるのは、純現金の厚さだけではない。事業利益が資本コストを上回る姿と、それが十年続く証拠である。現段階ではその証拠が足りず、安全域は十分とは言えない。
何で稼ぐ会社か
イードの事業は、企業の法定開示上、クリエイタープラットフォーム事業とクリエイターソリューション事業に分かれる。前者が売上高の大半を占める。専門ニュースサイトで読者を集め、広告を販売するほか、記事やデータ、会員向けサービス、EC事業者向けのシステム、紙媒体などから収益を得る。後者では企業向けの市場調査やEC運営支援を請け負う。
メディア群には、自動車の「レスポンス」や「webCG」、ゲームの「Game*Spark」、アニメの「アニメ!アニメ!」などがある。利用者は車の購入やゲームの選択といった具体的な関心を持つため、一般的なニュースより広告主との接点を作りやすい。会社は2026年9月時点で約80媒体、月間利用者約2,500万人、登録利用者約150万人という規模を説明している。ただし、これらは有料会員数や広告が表示された回数と同義ではない。
広告以外の収益を増やすために、共通の媒体運営システム、データ・コンテンツ販売、EC店舗を一元管理する「TEMPOSTAR」などを展開している。共通基盤は買収した媒体にも使えるので、媒体数を増やしても開発・運用費を抑えられる可能性がある。反対に、調査の実務やEC運営支援は顧客ごとの作業が多く、人手の投入量と売上が結びつきやすい。
2026年6月期のクリエイタープラットフォーム事業は売上高約54.9億円、営業利益約2.75億円だった。クリエイターソリューション事業は売上高約4.62億円、営業損失約0.49億円である。広告約16.77億円、データ・コンテンツ約25.07億円、システム約10.82億円、出版約2.56億円という収入構成は、単なる広告会社でないことを示す。ただし、データ・コンテンツには売却済み事業の収入も含まれる。
収益力を考えるうえで最も大きな出来事は、2026年9月1日のエンファクトリー株式譲渡だ。人材・EC関連事業をパソナグループへ売却し、約7.09億円の譲渡対価を得た。これによって現金を再配分できる反面、毎年の利益の一部も手放した。売却益は繰り返し発生する事業収益ではないため、今後の利益を判断する際は分けて見る必要がある。
優良さと弱いところ
同社の強みは、専門分野ごとに蓄積した記事、編集者と業界関係者のつながり、複数媒体を共通システムで運営できる点にある。自動車やゲームの熱心な読者に対する認知度は、同じ記事を大量生成するだけでは簡単に手に入らない。新しい媒体を取得したとき、広告営業やシステムを共通化できれば、買収後の利益を改善させる余地がある。
ただし、強い堀、つまり競合が容易には奪えない超過利益が実証されたとは言い切れない。約150万人の登録利用者がいても、有料契約の解約率が年5%未満であることや、法規制を伴う乗り換えに数年かかることは確認できない。値上げを継続して通した数字も乏しい。検索からの流入と広告主の予算に依存する収益は、Google、Meta、LINEヤフーなどの大規模な集客基盤の影響を受ける。
財務は事業以上に強い。2026年6月末の自己資本は約49.2億円、純現金は約27.7億円で、自己資本比率は約77%に達する。事業不振が直ちに資金繰りの危機へつながる可能性は小さい。しかし、現金が多いことと資本効率が高いことも別である。過去10年のROE中央値は約6.5%で、今回想定する資本コストを下回る。利益をためるだけでは、株主の要求する利回りを満たしにくい。
過去の売上高は2015年から増えたが、営業利益は2015年の約5億円に対して2026年は約2.3億円となった。媒体買収や事業開発を重ねながら、営業利益が持続的に増えたとは言い難い。企業価値を高めるには、買収した媒体の数ではなく、投じた資金に対して何円の追加利益が生まれたかを示す必要がある。筆者はこの点を、今の経営の最も重要な検証課題と考えている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のインターネット広告市場そのものは拡大している。電通によると2025年のインターネット広告費は約4兆459億円、うち広告媒体費は約3兆3,093億円だった。ただし成長の中心はSNSや動画広告で、専門ニュースサイトが同じ割合で成長するわけではない。イードのネット広告収入約16.77億円は広告媒体費全体の約0.05%に相当するが、定義が完全に一致しないため厳密な市場シェアではない。
集客の競争相手は、専門メディアではITmedia、インプレス、KADOKAWAなど、広告予算の獲得ではGoogle、Meta、LINEヤフーなどである。媒体ごとの閲覧数や広告単価が同じ基準で開示されていないため、競合との正確なシェア順位は確定できない。今後10年の勝敗を分けるのは、ニュース記事の総量ではなく、検索を経由しなくても訪れる固定読者と、独自のデータを必要とする顧客をどれだけ増やせるかだ。
調査市場も大きい。日本マーケティング・リサーチ協会の調査を引用した業界資料では、2025年度のアドホック調査市場が約1,555億円、うちインターネット調査が約861億円とされる。イードの調査関連収入約2.97億円は広い市場全体の約0.2%にすぎず、インテージ、マクロミル、クロス・マーケティングなどに比べて小規模だ。AIが簡易調査や集計を自動化すれば、単純な作業の受託単価は下がる可能性がある。
EC関連では国内の電子商取引市場が長期的な追い風だが、流通総額とEC支援システムの利用料市場は異なる。TEMPOSTARの競合にはネクストエンジンやCROSS MALLなどがある。契約数、解約率、顧客当たり料金が十分に開示されていないため、現在の正確なシェアは推定できない。AIエージェントが複数の店舗管理画面を横断して作業するようになると、利用者が画面を操作すること自体の価値は薄れる。
業界全体の金額は物価上昇とデジタル化で伸びても、イードの実質的な利用者数と案件数が増える保証はない。中立では専門媒体への直接訪問が一定程度残る一方、検索経由の流入が減り、調査や運営支援の工数需要も縮むと考える。売上の数量と価格を分けてみる理由は、まさにこの違いにある。
資本政策と M&A
経営は専門媒体の取得と売却を繰り返してきた。2026年2月には「webCG」を取得し、同年9月にはエンファクトリーをパソナグループへ譲渡した。後者は収益のある子会社の売却であり、事業を整理して資本を使い直す機会となる。一方、取得した媒体について、買収価格に対する増分利益率が資本コストを継続的に上回ったことを示す一覧は確認できない。買収件数の増加そのものは株主価値の増加を意味しない。
2026年9月公表の事業計画では、2030年6月期の売上高100億円、調整後EBITDA12億円を目指している。かつて2026年6月期に掲げた目標が未達だったため、達成には一段の事業改善と買収が必要となる。営業利益、ROEについて同じ水準の定量的な約束は確認できず、EBITDAにはのれん償却費や買収関連費用などの調整が含まれる。目標の売上高だけで将来価値を引き上げることはしない。
株主還元では2023年6月期から配当を実施し、その後増配している。2026年6月期から連結DOE、すなわち株主資本に対する配当率の目安を2.0%から2.5%へ引き上げ、2027年6月期の配当も増額する予定だ。500株以上の保有者へのQUOカード優待もある。一方、大規模な自社株買いの金額について確約はない。売却代金を買収へ再投資するか、株主に返すかが今後の資本配分を左右する。
2026年9月には取締役2名への譲渡制限付株式報酬として自己株式5万株の処分も決議された。将来の既存株主の取り分は約1%薄まるため、評価に反映した。現金が厚い会社ではあるが、過去の還元実績だけで余剰資金の全額が株主へ戻ると断定せず、戻り方は75%と考える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
専門メディアはAIによって消えるのではなく、作り方を変えて残る。車を試乗した記録、ゲームの取材、編集部と業界関係者の継続的な接点には、公開情報を要約するだけでは作りにくい独自性がある。イードには自動車、アニメ、ゲーム、教育などの専門媒体があり、月間約2,500万人への接点もある。読者の関心が深い領域では、広告だけでなく会員サービス、データ提供、イベントや商取引へ収益を広げる機会がある。
買収によって媒体を増やす仕組みも評価できる。新規媒体に共通の広告営業、会員管理、媒体運営システムを導入すれば、単独では採算が合わなかった媒体でも利益が出る可能性がある。検索環境の変化で売り手が増えるなら、財務が強いイードには取得価格を抑える機会も生まれる。webCGの取得で自動車分野を厚くした動きは、その戦略と整合する。
また、同社はAIによる開発作業の効率化を進めている。内部の開発費を抑えながら媒体を改善できれば、売上高を大きく増やさなくても利益率は回復しうる。ただし、AI関連サービスの外部有料売上が十分に開示されていない以上、AIそのものが新たな売上を生むとはまだ決めつけない。
資本配分でも変化が見られる。利益を生んでいたエンファクトリーを売却し、約7.09億円の資金を確保したことは、保有事業を固定化しない姿勢を示す。DOEの引き上げと増配によって株主還元も進んだ。媒体買収の価格を抑え、直接課金を育て、余剰資金の一部を買い戻しに回せば、十年後に現在より高い利益を生み出す余地はある。現金と専門ブランドを持つ企業として、再評価の可能性を過小評価すべきではない。
慎重な見方
現在の収益構造を十年先へ延長することには無理がある。2026年6月期の売上高は約59.5億円だったが、営業利益は約2.3億円まで減少した。さらにエンファクトリーの売却により、直近期の売上高11.1億円と営業利益1.14億円が連結から外れる。純利益は税効果によって営業利益より大きく見えており、事業の回復を十分に裏付けるものではない。
専門メディアが強いブランドを持っていても、検索結果にAIの回答が表示されれば、利用者は元の記事を開かずに目的を達成できる。PVが減れば広告表示機会が減り、広告主はGoogleやMetaのような大規模な配信基盤へ予算を移しやすい。記事の制作費をAIで下げられても、流入数の減少と広告単価の下落が同時に進めば利益は守れない。
収入を分散するはずのシステムや調査にも課題がある。調査票の設計、集計、資料作成、EC店舗の管理作業などはAIエージェントが代替しやすい。TEMPOSTARのような管理画面も、利用者が複数の画面を直接操作しなくなれば、席数や利用料の拡大に限界が出る。年5%未満の解約率や、制度上の乗り換え障壁、継続的な値上げ実績が確認できない以上、強い堀があるものとして利益を資本還元するのは危険だ。
買収にはさらに厳しい検証が要る。新しい媒体を買えば売上高は増えるが、買収費用、のれん、編集体制の維持費が後に残る。2030年の売上高100億円という目標は、利益率や増分ROICの保証ではない。過去の売上拡大に比べ営業利益が伸びていないため、新たな買収が株主価値を高めると先に信じることはできない。
純現金は確かに厚い。しかし、会社が清算されるわけではなく、株主が自由に現金を引き出せるわけでもない。現金が収益性の低い買収に使われれば、帳簿上の価値と株主が実際に回収する価値には差が生じる。今の利益水準と未検証の再成長を考えると、財務の安心感だけで現在の時価総額を正当化するのは難しい。
どちらに重みを置いたか
財務の強さと専門媒体の蓄積では前向きな見方に分がある。しかし十年先の利益を判断するうえでは、売却される収益事業の規模と、残存事業の資本効率の低さが重い。AIエージェントによる数量と価格の変化は中立の事業予測と長期成長率に反映し、資本コストや確率で同じ理由を重ねて引いていない。確率を下側へ寄せたのは、売却後の利益回復、買収の採算、還元実行という同社固有の不確実性のためだ。やや悲観と悲観の合計は41%とした。純現金による下値の支えは認めるが、期待価値は現在の時価総額を大きく下回り、結論は割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 858 円42 億円(+ 還元の換算額還元の合計 232 円11 億円)。 今の値に割り戻すと 567 円28 億円、今との差 −29.4%、 期待の年率 +3.5%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 1,775 円87 億円 | 424 円21 億円 | +174.1% | +12.2% | 198 円10 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,141 円56 億円 | 323 円16 億円 | +82.5% | +7.1% | 249 円12 億円 |
| 中立 | 33% | 735 円36 億円 | 262 円13 億円 | +24.3% | +2.6% | 329 円16 億円 |
| やや悲観 | 26% | 641 円31 億円 | 161 円8 億円 | +0.1% | +0.0% | 209 円10 億円 |
| 悲観 | 15% | 635 円31 億円 | 71 円3 億円 | −12.0% | −1.3% | 106 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 858 円42 億円 | 232 円11 億円 | +35.9% | +3.5% | 1,090 円54 億円 |
今の株価時価総額 802 円39 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 専門媒体の買収と直接課金が結びつく 利益 6 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,775 円87 億円
専門性の高いメディアへの需要は残り、検索環境の変化で独立媒体の売却案件が増える。イードは資金余力を生かして自動車やゲームなどの有力媒体を割安に取得し、共通の媒体運営基盤へ統合する。月間利用者は買収による上積みも含めて現在を上回り、広告以外の会員・データ・コンテンツ販売も成長する。
買収の価格に規律があり、取得後の固定費を抑えられるため、広告とデータ事業の営業利益率が改善する。調査の単純作業やEC運営支援はAIエージェントへの代替が進むものの、複雑な案件への集中で残存需要を守る。業務システムについても契約等価数量は今を超えないが、機能統合による対価を得る。
2030年の会社目標に近い成長軌道を経て、2036年の売上高は約82.6億円となる。利益率の改善によって営業利益は約11.4億円まで増える。ただし、これはAIサービスの未確認の新規売上を当て込んだ結果ではなく、媒体取得と既存収益源の改善が成功する筋書きだ。買収資金の支出によって余剰現金は一部減るが、増配と自社株買いを続けられる。
- 自社専門メディアのネット広告:数量 40.0(月間ユニーク利用者数(百万人、媒体全体の到達人数を代理指標に使用))× 価格 0.88(月間利用者100万人当たり年間広告収入(億円、広告表示回数・販売率・単価を含む実現収益))→ 売上 35 億円・営業利益 6 億円。媒体買収による到達人数の増加。価格には広告構成改善を含み、AIそのものの新規販売収入は含めない。
- 会員・データ・コンテンツ等の継続事業:数量 2.2(登録利用者数(百万人、会員・データ収益機会の代理指標))× 価格 12(登録利用者100万人当たり年間データ・会員・コンテンツ収入(億円))→ 売上 26 億円・営業利益 4 億円。取得媒体の会員基盤を統合し、独自情報と有料サービスの構成比を高める。
- メディア運営・EC管理システム:数量 1,000(年間有料契約・受託案件の契約換算数(件、非開示のため推定))× 価格 0.01(契約換算1件当たり年間売上高(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。AI代替を踏まえ契約等価数量は現状維持。単価と開発効率が改善する。
- 紙媒体・出版関連:数量 20.0(年間出版タイトル・号数換算(件、推定))× 価格 0.14(1タイトル・号数換算当たり売上高(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。採算の良い専門出版だけを残す。
- 売却済みエンファクトリー:数量 0.0(連結対象会社数(社))× 価格 11(1社当たり年間売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年9月に売却済み。
- 調査・リサーチサービス:数量 300(年間調査案件相当数(件、推定))× 価格 0.01(1調査案件当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。調査案件数は現在を超えず、高付加価値案件へ移る。
- EC運営支援・その他サービス:数量 150(年間顧客案件相当数(件、推定))× 価格 0.01(1顧客案件当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。定型作業は縮むが複雑な運営支援を維持する。
倍率:資本コストk7.75%、g_long0%。利益の継続力に関する全社の長期成長上限が0%なので、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷0.0775=12.9032倍。2036年ROEは約9.2%だが、買収で生じた超過収益をさらに永続成長として重複評価しない。余剰現金12億円の運用利息税後相当0.168億円を純利益から控除し、PER評価に還元係数75%の現金9億円を加える。
確率:専門媒体の取得を有利な価格で続け、直接訪問と会員・データ収入を伸ばしながら、広告の利幅も維持する必要がある。現金と買収経験はあるが、過去の増分利益率が十分に証明されていないため9%にとどめる。AIの外部有料売上が確認できないので、システム・調査・運営受託の数量を現在以上には増やさない。
やや楽観 17% 媒体の強みを保ち利益率を回復 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,141 円56 億円
自動車やゲームなどの専門媒体は、熱心な読者からの直接訪問を維持する。広告の成長は鈍いが、会員向けの情報販売やデータ事業によって収入源を広げる。新しい媒体も数件取得するが、買収価格を抑え、採算が合わない媒体を早めに整理するため、収益性は徐々に改善する。
AIエージェントによって調査とEC運営の単純な作業は減り、システムの契約等価数量も現在より少なくなる。一方、残る契約の単価をある程度保ち、共通の開発基盤を使って保守費を削減する。紙媒体は縮小するが赤字を広げず、クリエイターソリューション事業もおおむね黒字を確保する。
2036年の売上高は約60.6億円となる。売却済みの子会社が含まれないことを考えれば、残存事業は着実に成長したことになる。営業利益は約6.7億円、純利益は約3.7億円を確保する。経営はDOEを重視した増配を継続し、余った資金の一部を自社株買いへ充てる。媒体の堀は強大にはならないが、現在より安定した利益を生む会社へ移る。
- 自社専門メディアのネット広告:数量 30.0(月間ユニーク利用者数(百万人、媒体全体の到達人数を代理指標に使用))× 価格 0.82(月間利用者100万人当たり年間広告収入(億円、広告表示回数・販売率・単価を含む実現収益))→ 売上 25 億円・営業利益 4 億円。直接訪問の定着と小規模な媒体買収で利用者が増える。
- 会員・データ・コンテンツ等の継続事業:数量 1.5(登録利用者数(百万人、会員・データ収益機会の代理指標))× 価格 12(登録利用者100万人当たり年間データ・会員・コンテンツ収入(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。登録者数を保ち、有料情報の収入密度が上がる。
- メディア運営・EC管理システム:数量 900(年間有料契約・受託案件の契約換算数(件、非開示のため推定))× 価格 0.01(契約換算1件当たり年間売上高(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。AI代替による案件減少を単価と共通開発で補う。
- 紙媒体・出版関連:数量 22.0(年間出版タイトル・号数換算(件、推定))× 価格 0.13(1タイトル・号数換算当たり売上高(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。専門性の高い刊行物だけを残す。
- 売却済みエンファクトリー:数量 0.0(連結対象会社数(社))× 価格 11(1社当たり年間売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却済みのため収益貢献なし。
- 調査・リサーチサービス:数量 250(年間調査案件相当数(件、推定))× 価格 0.01(1調査案件当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。調査件数は減るが高付加価値化で黒字化する。
- EC運営支援・その他サービス:数量 130(年間顧客案件相当数(件、推定))× 価格 0.01(1顧客案件当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。標準業務は自動化され、個別案件が残る。
倍率:k7.75%、g_long0%から正当化PERの上限12.9032倍をそのまま採用する。2036年ROEは約6.2%と資本コスト以下であるため、高い再投資利回りによる永続成長は評価しない。純利益3.68億円から余剰現金16億円の税後利息相当0.224億円を控除し、事業利益に倍率を掛けた後、現金の75%である12億円を加える。
確率:自社媒体の一部が検索環境の変化に適応し、会員・データ事業を伸ばす可能性はある。ただし売却済み事業の利益を補いながら固定費を抑える必要があるため、楽観ほどの規模拡大は見込まず17%とする。
中立 33% 専門媒体は残るが利益の拡大は限られる 利益 2 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 735 円36 億円
専門媒体そのものは十年後も必要とされる。しかし一般的なニュースの検索流入が減り、広告主の予算はSNSや動画プラットフォームへ移る。イードの編集部は独自取材を続けるものの、約80媒体を抱える規模をそのまま成長へつなげることはできない。広告収入は減り、利益の中心は残った読者とデータ・会員サービスへ移っていく。
システム事業ではAIエージェントが管理画面の操作やデータ入力を肩代わりするため、契約等価数量は縮む。調査とEC運営支援でも単純な工数の販売は減る。価格は多少上がるものの、物価上昇に全面的には追随できない。出版社としての紙媒体も小さくなり、低採算事業の整理を続ける。
その結果、2036年の売上高は約40.9億円となるが、固定費の見直しと共通システムの活用により営業利益は約3.5億円まで改善する。純利益は約1.9億円にとどまり、厚い自己資本に対するROEは約3.6%となる。経営はDOEを意識した配当を維持するものの、過大な自社株買いはしない。残存事業には価値があるが、資本コストを超える成長事業としての評価には届かない。
- 自社専門メディアのネット広告:数量 19.0(月間ユニーク利用者数(百万人、媒体全体の到達人数を代理指標に使用))× 価格 0.78(月間利用者100万人当たり年間広告収入(億円、広告表示回数・販売率・単価を含む実現収益))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。月間利用者は25百万人から19百万人へ低下。実現単価は物価上昇未満の伸び。
- 会員・データ・コンテンツ等の継続事業:数量 1.1(登録利用者数(百万人、会員・データ収益機会の代理指標))× 価格 11(登録利用者100万人当たり年間データ・会員・コンテンツ収入(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。有料情報は一定の値付けを保つが、利用者相当数量は0.70倍。
- メディア運営・EC管理システム:数量 780(年間有料契約・受託案件の契約換算数(件、非開示のため推定))× 価格 0.01(契約換算1件当たり年間売上高(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。契約等価数量0.78倍、価格1.11倍。AIが画面操作を代替する。
- 紙媒体・出版関連:数量 17.0(年間出版タイトル・号数換算(件、推定))× 価格 0.13(1タイトル・号数換算当たり売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。紙媒体の数量減少が単価上昇を上回る。
- 売却済みエンファクトリー:数量 0.0(連結対象会社数(社))× 価格 11(1社当たり年間売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却済みのためゼロ。
- 調査・リサーチサービス:数量 200(年間調査案件相当数(件、推定))× 価格 0.01(1調査案件当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。案件数0.67倍、価格1.11倍。AI代替後の小さな調査需要。
- EC運営支援・その他サービス:数量 105(年間顧客案件相当数(件、推定))× 価格 0.01(1顧客案件当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。案件数0.70倍、価格1.09倍。受託運営の採算改善は限定的。
倍率:k7.75%、g_long0%より正当化PER=12.9032倍。2036年ROEは1.94÷53.4=約3.6%でkを下回り、追加投資が高利回りを生むとの前提は置かない。通常利益1.94億円から余剰現金20億円の税後利息相当0.28億円を除いた事業利益1.66億円に12.9032倍を掛け、現金20億円×還元係数0.75=15億円を加える。
確率:保有媒体の専門性と財務基盤は残るものの、売却後の事業規模は小さく、検索送客と受託需要への構造的な逆風がある。会員・データ収入の一定の育成を認めながら、営業利益の回復は穏やかにとどまる中心シナリオとして33%とした。
やや悲観 26% 広告と受託需要が縮み、資産価値が中心になる 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 641 円31 億円
専門媒体は残るものの、検索からの流入が徐々に減り、広告の販売力が低下する。読者から直接料金を受け取る仕組みは一部しか育たず、取得した媒体の維持費が残る。広告主は効果を測りやすい大規模プラットフォームへ予算を移し、編集部は記事の単価を上げられなくなる。
TEMPOSTARなどの管理システムは既存顧客を維持するが、新規契約の獲得に苦戦する。調査やEC運営支援はAIによって作業量が減るうえ、残った案件の価格も競争で抑えられる。紙媒体では縮小後も編集や流通の固定費が残り、赤字が続く。小規模な買収の失敗やのれんの減損も発生する。
2036年の売上高は約28.7億円となり、営業損益はほぼ均衡する。配当は初期には続くが、業績に合わせて減らされる。利益によって高い企業価値を説明することはできなくなるが、借入負担が軽く、現金と売却可能な上場株式があるため、すぐに破綻する姿でもない。価値の中心は事業の成長ではなく保有資産へ移る。
- 自社専門メディアのネット広告:数量 14.0(月間ユニーク利用者数(百万人、媒体全体の到達人数を代理指標に使用))× 価格 0.67(月間利用者100万人当たり年間広告収入(億円、広告表示回数・販売率・単価を含む実現収益))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。流入減少と広告単価の据え置きにより大幅減収。
- 会員・データ・コンテンツ等の継続事業:数量 0.9(登録利用者数(百万人、会員・データ収益機会の代理指標))× 価格 9.50(登録利用者100万人当たり年間データ・会員・コンテンツ収入(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。直接課金の普及が進まずデータ収入が伸び悩む。
- メディア運営・EC管理システム:数量 650(年間有料契約・受託案件の契約換算数(件、非開示のため推定))× 価格 0.01(契約換算1件当たり年間売上高(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。エージェントによる利用契約減少に値下げ圧力も重なる。
- 紙媒体・出版関連:数量 14.0(年間出版タイトル・号数換算(件、推定))× 価格 0.12(1タイトル・号数換算当たり売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。流通量の減少と固定費の負担が残る。
- 売却済みエンファクトリー:数量 0.0(連結対象会社数(社))× 価格 11(1社当たり年間売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却済み。
- 調査・リサーチサービス:数量 155(年間調査案件相当数(件、推定))× 価格 0.01(1調査案件当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。調査案件がほぼ半減し、単価も伸びない。
- EC運営支援・その他サービス:数量 70.0(年間顧客案件相当数(件、推定))× 価格 0.01(1顧客案件当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託案件の減少と人件費の固定性が重なる。
倍率:継続利益はほぼゼロでありPERでは測らない。2026年6月末の自己資本49.2億円に対し、純現金27.7億円と税後換金可能な上場保有株式約3.78億円を合わせた約31.5億円を保守的な資産の床とする。やや悲観では床をわずかに上回る31.8億円を評価し、49.2億円に対するPBR0.64634倍を用いる。2036年の留保利益を床の分母に重ねない。
確率:売却による利益減少とCS事業の不採算は既に実績から確認できる。AIによる数量減少そのものは中立にも反映済みであり、ここでは媒体取得後の採算悪化、直接課金の伸び悩み、固定費削減の難しさが重なる会社固有の失敗を追加するため26%とする。
悲観 15% 専門媒体の収益構造が崩れ、現金が唯一の守りになる 利益 −2 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 635 円31 億円
AIの回答機能と巨大プラットフォームへの広告集中が進み、専門記事を読みに訪れる利用者が減る。残る読者の専門性は高いものの、広告主の数と支払額が縮み、媒体の固定費を賄えなくなる。独自データの有料販売も広がらず、収入を広告から置き換える戦略は成果を上げない。
システム事業では、複数の管理画面をAIエージェントが横断操作するサービスが普及し、単独の画面を契約する顧客が減る。調査設計、集計、EC運営の定型作業も自動化され、受託案件は大幅に縮む。紙媒体をさらに整理しても、システム更新費、社員の人件費、家賃などの固定費はすぐには減らない。過去に取得した媒体ののれんを減損し、会社は成長投資より損失の抑制を優先する。
2036年の売上高は約22.8億円、営業損失は約2.5億円に達する。配当を大幅に減らし、買収も停止する。もはや高い利益倍率で評価する事業ではない。それでも現時点の純現金と上場保有株式には換金可能な価値があり、破綻に近い状態を前提としない限り、これを無視した極端に低い時価総額にはしない。長期株主にとっては資産保全が中心となる厳しい10年だ。
- 自社専門メディアのネット広告:数量 12.0(月間ユニーク利用者数(百万人、媒体全体の到達人数を代理指標に使用))× 価格 0.63(月間利用者100万人当たり年間広告収入(億円、広告表示回数・販売率・単価を含む実現収益))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。到達人数が半減し、実現単価も低下。
- 会員・データ・コンテンツ等の継続事業:数量 0.8(登録利用者数(百万人、会員・データ収益機会の代理指標))× 価格 9.30(登録利用者100万人当たり年間データ・会員・コンテンツ収入(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 −1 億円。登録者相当の需要が減り、情報の販売価格も守れない。
- メディア運営・EC管理システム:数量 500(年間有料契約・受託案件の契約換算数(件、非開示のため推定))× 価格 0.01(契約換算1件当たり年間売上高(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 −1 億円。画面課金と受託開発の縮小が進み、維持費を吸収できない。
- 紙媒体・出版関連:数量 10.0(年間出版タイトル・号数換算(件、推定))× 価格 0.12(1タイトル・号数換算当たり売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。極小規模で出版を続け、固定費負担が残る。
- 売却済みエンファクトリー:数量 0.0(連結対象会社数(社))× 価格 11(1社当たり年間売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却済み。
- 調査・リサーチサービス:数量 120(年間調査案件相当数(件、推定))× 価格 0.01(1調査案件当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIによって調査作業の多くが顧客側へ移る。
- EC運営支援・その他サービス:数量 70.0(年間顧客案件相当数(件、推定))× 価格 0.01(1顧客案件当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託需要が小さくなり、固定的な費用を賄えない。
倍率:2036年は営業赤字であるため、赤字にPERを掛けて評価しない。床は現在の純現金約27.7億円と上場株式約5.40億円の税後換金額約3.78億円の合計31.5億円であり、のれんと非上場事業の帳簿価値を含まない。2026年6月末の自己資本49.2億円を分母にPBR0.64024倍とする。赤字の累積で変化した2036年の自己資本36.5億円に床の倍率を掛け直すことはしない。
確率:広告流入の減少、業務受託の代替、買収の失敗が連続して収益基盤を失う複合的な筋書きである。現時点で豊富な純現金があるため倒産へ直結する可能性は低いが、事業の価値が換金可能資産以下になる可能性は無視できず15%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
自社専門メディアのネット広告
レスポンス、webCG、Game*Spark、アニメ!アニメ!などの自社メディアで広告枠と広告企画を販売する。AI代替の型は主に自社媒体広告枠であり、受託制作部分には工数代替のリスクもある。
| 数量月間ユニーク利用者数(百万人、媒体全体の到達人数を代理指標に使用) | 価格月間利用者100万人当たり年間広告収入(億円、広告表示回数・販売率・単価を含む実現収益) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 25.0 | 0.67 | 17 | 1 |
| 10 年後 中立 | 19.0 | 0.78 | 15 | 2 |
取り方:会社の2026年9月事業計画が示す約80媒体、月間利用者約2500万人を数量の基準とする。2026年6月期の開示上のネット広告収入16.76501億円を2500万人で割り、100万人当たり0.6706億円とした。全媒体の利用者を共通の代理指標にしたもので、実広告表示数、重複除去方法、広告単価は非開示。営業利益1.4億円はCP事業全体の開示利益を分解するための推定配賦であり、会社開示の単独利益ではない。市場全体との比較では2025年の国内ネット広告媒体費3兆3093億円に対する約0.05%という広義の目安にとどめる。中立数量は検索送客減少を考慮して10年で0.76倍、価格は物価1.34倍に届かない1.16倍とする。
会員・データ・コンテンツ等の継続事業
専門コンテンツの販売、データ利用、会員関連事業などの収入。独自の読者接点はあるが、有料契約解約率と値上げ実績が不足するため『記録の正本』型にはしない。
| 数量登録利用者数(百万人、会員・データ収益機会の代理指標) | 価格登録利用者100万人当たり年間データ・会員・コンテンツ収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1.5 | 9.31 | 14 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1.1 | 11 | 11 | 1 |
取り方:会社資料が示す登録利用者約150万人を数量の代理指標とする。開示された2026年6月期データ・コンテンツ収入25.06916億円から、売却済みエンファクトリーの売上高11.10億円を便宜上この区分に配賦して控除し、継続分13.96916億円と推計した。実際のエンファクトリー収入がどの細目に分類されたかは確認できないため、この区分配賦には誤差がある。登録者全員が課金しているわけではなく、ここでの価格は契約単価ではなく収入密度。独自データの外部有償利用額や有料会員の解約率は未開示のため、業界内シェアも確定できない。AIが公開情報の商品価値を下げる中立では利用者相当数量0.70倍、実現単価1.14倍とする。
メディア運営・EC管理システム
共通媒体システム、TEMPOSTARを含むEC店舗管理、システム開発など。AI代替の型は画面操作型SaaSと人月・工数型受託の混合で、規制上の記録正本とは認定しない。
| 数量年間有料契約・受託案件の契約換算数(件、非開示のため推定) | 価格契約換算1件当たり年間売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,000 | 0.01 | 11 | 0 |
| 10 年後 中立 | 780 | 0.01 | 9 | 1 |
取り方:2026年6月期CP事業のシステム収入10.8193億円を起点とする。現役の有料契約数、継続率、SaaSと受託の厳密な内訳は未開示のため、年間1000件の契約等価数量と約108万円の平均年間売上という推計単位に変換した。過去の累積導入実績を現在の有料契約と同一視していない。ネクストエンジンやCROSS MALLとの同一定義の契約シェアは算出不能。中立では操作画面型SaaSの0.70〜0.90倍と受託の0.55〜0.75倍を混ぜ、契約等価数量0.78倍、価格1.11倍とする。営業利益0.2億円はCP事業利益からの推定配賦である。
紙媒体・出版関連
専門雑誌・書籍などの紙媒体の販売。印刷物はAIエージェントが直接代替する工数商品ではないが、デジタル移行と流通縮小の影響を受ける。
| 数量年間出版タイトル・号数換算(件、推定) | 価格1タイトル・号数換算当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 24.0 | 0.11 | 3 | −1 |
| 10 年後 中立 | 17.0 | 0.13 | 2 | 0 |
取り方:2026年6月期の出版関連売上高2.5561億円を、仮の年間24タイトル・号数相当で分割した。実際の刊行点数と平均売価が開示されているわけではなく、比較可能な数量単位を作るための仮定である。出版市場全体の統計とは規模・ジャンルが異なり、イードの正確なシェアは不明。営業損失0.736億円は撤退・固定費負担を考慮した仮配賦で、法定開示された出版単独利益ではない。中立では紙の数量を17件まで減らし、価格上昇も物価未満に抑える。
売却済みエンファクトリー
2026年6月期には連結売上高・営業利益へ貢献したが、2026年9月1日にパソナグループへ株式を譲渡したため2036年の継続事業には含めない。
| 数量連結対象会社数(社) | 価格1社当たり年間売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1.0 | 11 | 11 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 11 | 0 | 0 |
取り方:2026年6月期のエンファクトリー売上高約11.10億円と営業利益約1.14億円は会社の有価証券報告書と株式譲渡関連資料に基づく。2026年9月の全保有株式譲渡により連結から外れたため、すべての2036年シナリオで数量0、売上0、営業利益0とする。売却対価約7.09億円と、帳簿価額との差額による一過性利益は継続営業利益に加えない。
調査・リサーチサービス
企業向け調査設計、集計、分析などの受託サービス。AI代替の型は人月・工数型の情報・調査サービスである。
| 数量年間調査案件相当数(件、推定) | 価格1調査案件当たり平均年間売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 300 | 0.01 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 200 | 0.01 | 2 | 0 |
取り方:CS事業の調査関連売上約2.97億円を会社資料から採用。案件数と平均単価は未開示なので、便宜上年間300件・1件99万円の推定として表した。2025年度アドホック調査市場1555億円に対する売上規模は約0.19%だが、提供領域が完全一致しないため厳密なシェアではない。競合はインテージ、マクロミル、クロス・マーケティングなど。中立数量はAIによる調査設計・集計の自動化で10年0.67倍、価格は1.11倍とする。営業利益はCS事業全体損失を分解した推定値である。
EC運営支援・その他サービス
EC運営業務の支援と関連する受託サービス。AI代替の型は人月・工数型のBPO・運用支援を中心とする。
| 数量年間顧客案件相当数(件、推定) | 価格1顧客案件当たり平均年間売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 150 | 0.01 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 105 | 0.01 | 1 | 0 |
取り方:CS事業のECサービス関連売上約1.6452億円を会社資料から採用。顧客数・継続契約数・単価は非開示であるため、年間150案件・1件約110万円の等価数量に変換した。国内EC流通総額は顧客の商取引市場であり、運営受託料の市場規模ではないため、その金額からイードの受託シェアを算定しない。AIによる定型作業の代替を考え、中立案件数0.70倍、価格1.09倍とする。営業損失0.142億円はCS事業利益からの推定配賦である。
リスクと懸念
AIエージェント代替と検索流入の減少
自社媒体の広告枠は読者の訪問が価値の源であり、AIの回答機能で元の記事への移動が減れば表示機会が失われる。また調査・EC運営受託は工数、TEMPOSTAR等は操作画面に価値を置く部分があり、エージェントによって数量と価格の双方が下がりうる。中立の数量・価格と長期成長率に反映しており、資本コストで再度上乗せはしていない。
エンファクトリー売却後の利益の空白
2026年9月に売却されたエンファクトリーは、直近で売上高11.1億円、営業利益1.14億円を生んでいた。売却代金は入るが、事業利益は翌期以降継続しない。今の営業利益全体が約2.3億円であることを踏まえると、この利益源の喪失は軽くない。売却益を通常利益として高い倍率で評価することは避ける必要がある。
買収の採算と資本配分
専門媒体の取得で読者数と売上高を増やせても、買収費用、のれん、編集体制の維持費が残る。過去の売上拡大に比べて営業利益が安定成長していないため、追加投資の利回りが資本コストを上回るかは未証明である。媒体を割安に取得して共通基盤へ統合できなければ、豊富な現金が低収益資産へ変わってしまう。
広告市場の寡占と価格決定力の弱さ
国内ネット広告市場は伸びているが、SNSと動画が成長の中心である。Google、Meta、LINEヤフーなどの大規模な配信基盤に広告予算が集まるほど、専門媒体は価格と顧客獲得の両面で不利になる。広告の値上げ実績や広告主の継続率が十分に示されていないため、市場全体の成長率をイードの成長率へそのまま当てはめることはできない。
有料会員と業務システムの実態が見えにくい
約150万人の登録利用者は、すべてが有料会員という意味ではない。TEMPOSTAR等の現役有料契約数、解約率、顧客当たりの実現料金も詳細な開示が限られる。継続課金の売上が増えているという説明があっても、契約の数と値上げの実績が伴わなければ、強い乗り換え障壁があるとは判断できない。
現金の株主還元と資産価値の実現
純現金と上場保有株式は大きな価値の支えだが、会社が継続する限り、その資産を株主が直接引き出すことはできない。DOE引き上げや増配は前進であるものの、大きな買い戻しの金額は確約されていない。資産の売却益を低採算の買収へ再投資すれば、帳簿価値が実際に株主へ戻る割合は下がる可能性がある。
利益の質と固定費の重さ
2026年6月期の純利益は営業利益を上回り、税効果などの影響を含む。継続利益の正常水準を過大評価すると、見かけのPERが割安に見えてしまう。また、編集者やエンジニアの人件費、年間約0.76億円規模の本社賃借料などは、広告収入が減ってもすぐには減らない。新リース会計基準の適用で貸借対照表の見かけが変わっても、固定費の経済的負担は消えない。
今後の分かれ目
- エンファクトリー売却後の継続事業について、営業利益が年4億円超へ回復し複数期続いたら
- 中立の営業利益率と純利益を上方修正する。売却益や税効果ではなく、媒体・システムの通常利益から生まれた改善かを条件とする。
- 会員・データ事業の有料契約数、継続率、単価が開示され、低解約率と継続的な値上げを確認できたら
- 該当部分の堀を再評価する。独自データの収入比率が上昇し、長期的な顧客維持の証拠が二つ以上そろえば、媒体・データ部分のg_longを引き上げる余地がある。
- 月間利用者数が継続して減少し、広告収入が市場全体の増加に反して落ち続けたら
- 媒体広告の数量と実現単価を見直し、やや悲観の筋書きへ重みを移す。特に検索経由と直接訪問の内訳が分かれば、構造変化か一時的な減少かを区別する。
- TEMPOSTARなどの有料契約等価数量が減少する一方、売上高も実現単価も下落したら
- AIエージェント代替による価格競争が強まったと判断し、システム事業の中立数量と価格の両方を引き下げる。単に開発費を削減できたという説明だけでは相殺しない。
- 取得媒体の買収価格、統合費用、取得後の増分営業利益が開示され、投下資本に対する利益率が資本コストを安定して上回ったら
- 媒体買収による価値創造を確認し、楽観側の確率を高める。売上高100億円の目標を達成しただけでは同じ判断にしない。
- 子会社売却代金を使ったまとまった自社株買い、または利益と整合した継続増配が実施されたら
- 余剰現金の株主への戻り方を75%から100%へ見直す余地がある。発表だけでなく株数の純減少と実際の支払額を確認する。
- 2030年の売上高100億円と調整後EBITDA12億円が達成されても、ROEが資本コストを下回ったままだったら
- 規模の拡大より資本効率を重視し、利益倍率を安易に引き上げない。調整前営業利益、のれん、買収費用、営業キャッシュフローを合わせて確認する。
見ておくもの
- 2027年6月期以降、エンファクトリー売却後の継続事業の売上高と営業利益
- ネット広告収入、媒体別月間利用者数、検索経由と直接訪問の比率
- 会員・データ・コンテンツ収入の有料契約数、解約率、契約単価
- TEMPOSTAR等の現役有料契約数、継続率、顧客当たり売上高
- 調査・EC運営支援の案件数と平均受注価格
- 新規媒体の買収対価、のれん残高、取得後の増分営業利益とROIC
- 2030年6月期目標に対する調整後EBITDAと通常営業利益の差
- DOE2.5%方針の継続、自社株買い実施額、自己株式控除後株数
- 純現金、上場政策保有株式の時価、現金の株主還元実績
- AI関連サービスの外部有料契約数と実際の売上高
倍率と資本コストの決め方
株価827円、自己株式控除後490万8452株による時価総額約40.59億円は、すべての事業価値と確率を設定した後で比較に用いた。中立の売上高は媒体利用者、登録利用者、システム契約等価数量、調査案件、EC受託案件を数量と価格に分けて積み上げ、2026年9月に売却したエンファクトリーの継続収益を除いた。各細目の数量や利益率が会社開示でない場合は推定と明記している。中立以上のPERは現在や過去の株価倍率を参照せず、k7.75%、長期名目成長率0%から得た12.9032倍を用いた。悲観側は現在の純現金と上場保有株式の税後換金額約31.5億円を床とし、のれんを換金可能資産に含めない。将来の自己株式処分による約1%の希薄化も最後に反映した。日本の新リース会計基準によって将来の表示が変わる可能性はあるが、賃借料を負担する経済的実態は変えずに比較する。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%による基本7.5%に、事業の値決め力と純現金から求めた品質調整0.25%を加える。子会社売却や買収の成否はシナリオに反映し、追加の資本コストは課さない。