結論
トレンダーズは、美容ブランドのSNS販促から商品体験、ECモールでの販売支援までを手掛けるマーケティング会社である。筆者の結論は「割高」だ。顧客基盤と美容分野の専門性には見るべきものがあるが、広告制作・運用をAIが代替する圧力と、大型買収によって増えた財務負担を考えると、現在の時価総額約52億円には十分な安全域がない。
同社の強みは、美容ブランドの新商品が売れるまでの複数の接点を持つことだ。インフルエンサーを起用して話題をつくり、Mimi Beautyで消費者に届け、zenplusのイベントで商品を体験してもらう。さらに2025年12月に買収したしるしが、Amazonなどでの購入につなげる。この一連の流れを企業に提供できる点は、単なるSNS投稿の仲介よりも強い。
ただし、売上の伸びをそのまま企業価値の伸びとは見なせない。2026年3月期は買収によって売上高が約83億円まで増えた一方、営業利益は約7億円に減少した。主力マーケティング事業の利益は前期比約42%減り、しるしの買収では約31億円ののれんが生じた。2027年3月期第1四半期にはマーケティング事業が回復したものの、ECコンサルティング事業はのれん償却前でも小幅な赤字だった。
2036年3月期の中立では、イベントの数量増とMimi Beautyの顧客接点が、インフルエンサー案件とEC運用の数量減を一部補う。それでも営業利益は約6億円、純利益は約4億円にとどまるとみる。5つの筋書きに確率を掛け、資本コスト8%で現在価値に戻すと、本質価値は約36億円となる。今の時価総額より約30%低い。増配の実績は評価するが、収益力が買収負担と技術変化を上回って強くなる証拠を、もう少し見たい会社である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、トレンダーズの価値を判断する最初の問いは、広告主が10年後にも同じ仕事を同じ会社に頼むかどうかである。美容商品の評判をつくり、実際に触れてもらい、購入に結び付ける仕事そのものはなくならない。一方、投稿を分析し、起用候補を探し、広告を設定して報告書を作る仕事は、AIエージェントによって少ない人員で済むようになる。市場の成長と仲介会社の収益成長を同一視しないことが重要だ。
優良企業であれば、競合が値下げしても顧客は離れず、稼いだ利益を追加投資したときに資本コストを上回る利益が生まれる。トレンダーズには美容ブランドとの関係とMimi Beautyの媒体力があるが、継続的な単価上昇や高い契約維持率を示す新しい開示は不足している。特に、他社にも開かれたSNSとECモールの仕組みの上で働く以上、顧客の業務を独占するような強みを持ちにくい。
会社を買い増したと考えるべき大型買収についても、厳しい物差しを当てたい。しるしに投じた35億円は、今の時価総額の大きな割合を占める。売上が増えたことだけで成功とは言えず、のれん償却と借入金の金利を負担した後、株主の手元に残る利益がどれだけ増えたかが答えになる。買収後に営業利益率とROEが低下した事実は、少なくとも現時点で高い増分投資利回りを証明していない。
増配を続ける姿勢は株主にとって心強い。ただし、利益より多い配当を長く続ければ、事業投資か借入返済に使える資金は減る。安全域を考える際には、過去の成長率よりも、AI代替後に残る運用手数料、イベントの収益性、買収したEC事業の純利益を重視する。筆者には、現状の価格で10年後の成果を安心して待てるほど、将来の稼ぐ力が読みやすい事業とは映らない。
何で稼ぐ会社か
収益の中心はマーケティング事業である。2026年3月期の売上高は約76.9億円で、全社の約93%を占めた。ここには、インフルエンサーを選び広告主の販促企画を運営する事業、美容メディアMimi Beauty、イベント企画会社zenplus、海外拡販支援やメディカルマーケティングなどが含まれる。主な顧客は化粧品メーカーだが、近年は自動車や食品などにも取引を広げている。
インフルエンサーマーケティングでは、広告主から企画・起用・制作・効果検証の対価を得る。2014年4月から2024年4月までの10年間に実施した案件は6,376件、起用したインフルエンサーは延べ10万人を超える。ただし、インフルエンサーとの関係は非専属が中心だ。他社が同じ人を起用できるため、ネットワークの規模だけでは排他的な競争力にならない。
Mimi Beautyは美容情報をSNSで発信する自社メディアで、2026年初めのSNS総フォロワー数は約592万人だった。ここでは広告主が媒体の発信力や会員との接点に対価を払う。フォロワー数は複数のSNSにまたがる延べ数であり、重複を除いた利用者数ではない。また、集客はXやInstagramなど外部プラットフォームの表示方式に依存している。
イベント事業はzenplusが担う。会場の企画、装飾、運営、商品体験、招待客への対応を組み合わせて収入を得る。現場そのものはAIで置き換えにくいが、企画書や制作物をつくる工程には自動化の余地がある。新規領域では、米国・韓国向けの美容ブランド販促と、再生医療を中心としたメディカルマーケティングに取り組む。
ECコンサルティング事業は、2025年12月に完全子会社化したしるしが担う。AmazonなどのECモールで商品ページ制作、広告運用、在庫管理、販売戦略を支援し、顧客の商品売上に連動した報酬を受け取る。売上連動型である点は通常の工数請求より優れているが、実務の多くはAIエージェントが自動化しやすい。2026年3月期の連結売上高約4.6億円は4か月分だけである。
残るインベストメント事業は、社債の利息収益と未上場株式などの投資回収で稼ぐ。2026年3月期の売上高約1.3億円は主として社債利息だった。これは広告事業と異なる収入源だが、投資元本の回収リスクを伴うため、無条件に安定利益として扱うことはできない。
優良さと弱いところ
競争上の強みは、美容ブランドとの長年の取引関係と、SNS、媒体、イベント、ECをつなげる提案力にある。会社の開示では、2021年までに国内化粧品業界の売上上位30社のうち27社との取引経験があり、当時の美容分野の顧客リピート率は64%だった。花王は2026年3月期の売上高の約13%を占める大口顧客でもある。大手の販促担当者との関係を持つことは、新しい提案を始める際の有利な出発点になる。
一方、過去の取引実績と、現在の強い値上げ力は別物だ。64%というリピート率は古い数字であり、近年の解約率や契約単価の改善を直接示していない。インフルエンサーは非専属で、広告配信の仕組みも外部SNSに握られている。2026年3月期には、既存SNSサービスの競争激化とプラットフォーム側の変更によって、主力事業の売上総利益が想定を下回った。値上げしても顧客が離れないという証拠は乏しい。
しるしには、AmazonのPlatinumパートナーとして3年連続で認定された実績がある。顧客の販売額と報酬が連動する仕組みも、成果を出す動機をそろえる点で評価できる。しかし、広告入札、商品説明文、分析、在庫予測、レポート作成の多くはAIによる代替対象である。Amazonの認定は営業上の信用にはなるが、顧客の取引記録を独占管理するような堀ではない。
資本効率の悪化も見逃せない。過去10年間のROE中央値は約14%だったが、2026年3月期は約5%に低下した。自己資本約43億円に対して、のれんは約36億円ある。のれんは将来利益への期待を会計上で記録したもので、事業が失敗した際には現金として回収できない。純有利子負債も約12.5億円に転じた。
結局、顧客接点という局所的な強みはあるが、長期の超過利益を守るほどの堀は確認できない。特にSNS運用とEC運用では、優れた人材が多いこと自体が10年後の参入障壁になるとは限らない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場全体の追い風は今もある。電通によれば、2025年の日本のインターネット広告費は約4兆459億円となり、総広告費の過半を占めた。サイバー・バズとデジタルインファクトの調査では、インフルエンサーマーケティング市場は2024年の約860億円から2025年には約995億円、2029年には約1,645億円へ拡大する見通しだった。ただし、これはAIエージェントが広告制作・運用を大きく変える前提を十分に織り込んだ10年後の予測ではない。
同社のインフルエンサー関連売上高は2026年3月期で約29億円と推定される。2025年の業界市場規模と単純に比較すれば約3%に相当するが、媒体費を含む市場統計と会社の売上計上方式は完全には一致しない。したがって、これは厳密なシェアではなく競争上の規模感である。競合にはサイバー・バズ、サイバーエージェント、AnyMind Groupなどがあり、大手広告会社の内製化も進む。市場そのものが成長しても、同社が受け取る運用手数料と案件数が同じように増えるとは限らない。
美容メディアではアイスタイルの@cosmeやLIPSなどが消費者の情報接点を持つ。アイスタイルはトレンダーズの主要株主であり協業相手でもあるため、競争と協業が重なる関係だ。Mimi Beautyには相当数のフォロワーがいるが、SNSからの流入や投稿の表示量を自ら決められない点が弱い。検索やSNSの情報取得をAIが仲介するようになれば、同じフォロワー数でも広告主に渡せる実際の接触機会が減る可能性がある。
イベントは博展などの制作会社とも競合するが、国内の美容体験イベントだけを切り出した市場規模と各社のシェアは十分に開示されていない。2036年には、広告主が実物を試してもらう需要が残ると考える。ただし、会場費、人件費、施工費も物価とともに上がるため、売上単価の上昇がそのまま利益率改善にはならない。
ECについては、経済産業省による2024年の国内物販系BtoC-EC市場が約15兆2,194億円、EC化率が9.78%だった。この巨大な市場は商品の販売額であり、しるしが受け取る運営委託料の市場規模ではない。契約ブランド数と手数料率が非開示のため、しるしの正確なシェアは計算できない。今後は、いつも、AnyMind、各種Amazon運用支援会社、広告主自身のAIエージェントが競争相手となる。
10年先には、市場の広告支出が名目で増えていても、人が広告を制作・運用する仕事の単価と案件数は減り得る。同社にとって成長余地が比較的大きいのは、実際の顧客体験と、商品が売れた結果まで引き受けるサービスである。
資本政策と M&A
資本配分では、着実な増配と大型買収を分けて評価する必要がある。2026年3月期まで10年連続で増配し、2027年3月期も増配を計画している。会社が公表する配当方針は、継続的な増配とDOE、すなわち純資産に対する配当の割合を4%以上とするものだ。自己株式の取得も機動的に実施するとしており、2024年と2025年に取得実績がある。
しかし、経営が最も大きな資金を使ったのは買収だった。2025年にイベント会社zenplusを取得し、同年12月にはしるしを35億円で完全子会社化した。後者は銀行借入で資金を調達し、約31.4億円ののれんが発生した。しるしの取得前の年間営業利益は約4.9億円で、買収価格を正当化するには、事業の収益力が持続する必要がある。のれんは10年間で償却され、2036年3月期にも最後の償却負担が一部残る。
中期経営計画は慎重に読むべきだ。2023年に掲げた2026年3月期の営業利益20億円という目標は達成できず、実績は約7.3億円だった。2025年に新たな目標として、2026年3月期から2029年3月期までの営業利益の年平均成長率25〜30%を掲げたが、M&Aの自由度を確保するため、絶対額の営業利益目標は設定していない。ROEの具体的な目標値にも乏しい。
さらに2026年5月には、最大30万株に相当する有償ストック・オプションを発行した。既存株主にとって約3.7%の潜在的な希薄化であり、将来価値が上がる筋書きではこれを反映する。主要株主アイスタイルとの提携契約には一部の資本取引に関する事前承認条項もある。協業の利点はあるが、資本政策の自由度にも目を向けたい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
美容商品の販売は、消費者の認知を得るだけで終わらない。商品の魅力を伝え、実際に体験してもらい、最後に購入できる場所へ案内するまでが一つの仕事である。トレンダーズは、この一連の流れに必要なSNS、媒体、イベント、EC運営の機能を、買収を通じてそろえた。広告主が別々の会社に発注する手間を減らせれば、単純な投稿代行以上の価値を提供できる。
なかでもMimi Beautyの消費者接点とzenplusの実イベントには期待できる。美容製品の色、香り、肌触りは画面の文章だけでは伝わらない。SNSでの情報取得がAIに置き換わっても、現物を試す体験の価値まで消えるわけではない。会社は韓国で美容ブランドの体験イベントを開催し、米国への販路支援にも踏み出している。国内の広告予算だけに依存しない収入源が育てば、顧客の支出をより広く取り込める。
しるしにも差別化の芽がある。顧客のEC売上に応じて報酬を受け取るため、単に人員を増やして請求する会社とは違う。Amazonの認定実績と、SNSからの集客を同時に設計できる組み合わせも有利だ。運用工程のAI化を自社が先に進め、費用削減の大半を利益として残せれば、顧客の支払額を増やさず収益性を改善できる。実際にAIによる運用効率化を成長戦略に掲げている。
経営側には、過去に営業利益10億円規模まで成長させた経験があり、連続増配の実績もある。2027年3月期第1四半期には、イベントとインフルエンサーの回復によって主力マーケティング事業の営業利益が前年同期から大幅に増えた。この回復が定着し、買収先の営業利益が計画どおり積み上がるなら、事業の稼ぐ力は現在の数字よりも相当に強くなる可能性がある。
慎重な見方
最も気掛かりなのは、マーケティング会社が付加価値としてきた作業の多くを、顧客企業自身のAIエージェントが担えるようになることだ。投稿内容の生成、起用候補の選定、広告の設定、効果測定、商品説明文の更新、在庫予測は、いずれも自動化の対象になる。広告主が社内の少人数で同じ成果を得られるなら、広告市場が成長していても外部委託会社への支出は縮小する。
現在の競争力も過大評価できない。インフルエンサーは非専属で、Mimi Beautyのフォロワーは外部SNS上にいる。Xの広告仕様が変わるだけで売上に影響が出たことは、媒体としての主導権を自社が握っていない証拠だ。美容ブランドとの取引実績は豊富でも、顧客が別の広告会社や自社運用に切り替えられないわけではない。
さらに、2025年12月のしるし買収で生じたのれん約31億円は大きい。2026年3月期末の全社のれんは約36億円で、自己資本の大半に相当する。買収直後の2027年3月期第1四半期には、ECコンサルティング事業はのれん償却前でも小幅な赤字だった。季節性と採用費用の影響はあるが、取得前の利益率がそのまま持続するとは限らない。銀行借入で買収したため、失敗すれば事業利益と貸借対照表の両方が傷む。
中期計画の目標変更も軽く扱えない。かつて掲げた2026年3月期の営業利益20億円は達成されず、代わりに成長率の目標が示された。新たな投資や買収を続けることで売上高は伸びても、株主の取り分が増える保証はない。潜在株式による希薄化もある。実体験を提供するイベントは残るとしても、人件費や会場費の上昇を価格へ転嫁できなければ、全社利益の下支えとしては弱い。
どちらに重みを置いたか
上側の可能性を否定しない。Mimi Beautyの媒体力、実イベント、Amazon運用の組み合わせには収益機会があり、増配の実績も評価できる。ただし、主力事業の直近の減益、自己資本に迫るのれん、借入による買収という会社固有の事情から、やや悲観と悲観に計43%、楽観とやや楽観に計27%を配した。AI代替による数量の減少はすでに中立へ織り込んでおり、確率で同じ損失を重ねてはいない。現状では、慎重な見方の方が長期株主にとって重要な問いを突いている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 585 円45 億円(+ 還元の換算額還元の合計 298 円23 億円)。 今の値に割り戻すと 474 円37 億円、今との差 −26.8%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,697 円132 億円 | 447 円35 億円 | +231.3% | +14.9% | 214 円17 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,073 円83 億円 | 385 円30 億円 | +125.2% | +10.1% | 248 円19 億円 |
| 中立 | 30% | 622 円48 億円 | 335 円26 億円 | +47.9% | +4.9% | 287 円22 億円 |
| やや悲観 | 27% | 129 円10 億円 | 232 円18 億円 | −44.2% | −8.0% | 97 円8 億円 |
| 悲観 | 16% | 71 円6 億円 | 155 円12 億円 | −65.1% | −14.0% | 36 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 585 円45 億円 | 298 円23 億円 | +36.4% | +3.9% | 883 円68 億円 |
今の株価時価総額 647 円50 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 美容体験とECの組み合わせが定着 利益 10 億円 · PER 12.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,697 円132 億円
美容ブランドが消費者との直接の接点を重視し、Mimi Beautyの媒体とイベント事業を組み合わせた提案が広がる。韓国や米国での美容ブランド向け販促も、採算の取れる継続的な事業になる。zenplusは大型案件の獲得と現場の運営効率改善によって利益を伸ばし、全社の収益を下支えする。
しるしはAmazon認定実績と販売成果への責任を生かし、顧客のEC売上に連動する報酬を守る。AIで作業を効率化できても競争による値下げは避けられないため、運用案件の実質数量は現在の通年換算より増えない。それでも顧客体験と販売支援の連携によって、比較的高い利益率を維持する。
インフルエンサーマーケティングは現在に近い案件量を維持し、Mimi Beautyは延べフォロワーと広告主の利用が増える。営業利益は約16.6億円に達し、買収による借入金も徐々に減る。増配と自社株買いを継続できる一方、主要な利益源は人手による広告運用から媒体、イベント、販売成果へ移る。
- インフルエンサーマーケティング:数量 638(年間販促プロジェクト件数(件、推計))× 価格 0.05(1プロジェクト当たり売上高(億円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 4 億円。案件数は現在並み、価格もほぼ横ばい。AI運用サービスの売上実績がないため、AIによる上振れは数量に加えない。
- Mimi Beauty:数量 7.3(SNS延べフォロワー数(100万アカウント、重複あり))× 価格 4.45(延べ100万フォロワー当たり年間売上高(億円、名目))→ 売上 32 億円・営業利益 6 億円。実際に届くSNS接点が増え、自社媒体・コミュニティによる収益性が改善する。
- イベント企画・運営:数量 120(年間大型・中型案件換算件数(件、推計))× 価格 0.34(1案件当たり売上高(億円、名目))→ 売上 41 億円・営業利益 5 億円。現場案件の獲得増と、物価相当を超える大型案件の単価改善。
- 海外拡販支援・メディカル等:数量 85.0(販促・海外支援などの案件換算件数(件、推計))× 価格 0.08(1案件換算当たり売上高(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。海外拡販が採算化するが、販促運用部分の数量は現状未満。
- ECコンサルティング:数量 420(契約ブランド延べ月数(ブランド・月、推計))× 価格 0.03(1ブランド・月当たり運営委託料(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。通年換算の現在数量480に対し0.88倍。のれん償却の最終年度負担を含め、販売成果に連動する手数料を維持。
- インベストメント:数量 23.0(利息対象の社債運用残高・年換算(億円、推計))× 価格 0.06(運用元本1億円当たり年収益(億円、仮定利回り))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。社債利息中心で、未上場株式の大きな売却益は恒常利益に含めない。
倍率:k=8%、g_long=1%、2036年ROE=10.4÷79.2=13.13%。堀は弱く、増分資本利益率RONIC=8%+1/3×(13.13%−8%)=約9.71%。正当化PER=(1−1%÷9.71%)÷(8%−1%)=約12.81倍とし、上限を手で割り引かない。運用代替リスクは数量とgに反映済み。新株予約権の全行使による払い込み約2.13億円は会社全体の自己資本の流れに含み、既存株主の取り分は最後にholder_shareで調整する。
確率:SNSから実イベント、EC購入までの一括支援が広告主に選ばれ、買収先の利益も回復する好条件が必要である。実体験領域には伸びしろがあるが、従来型の運用受託にAIの数量増加を認めていないため、実現確率は10%とした。
やや楽観 17% イベント拡大とECの採算回復 利益 7 億円 · PER 12.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,073 円83 億円
イベントの大型案件が増え、美容分野以外の顧客も定着する。Mimi Beautyは消費者が実際に商品を試す企画や会員コミュニティとの結び付きを強め、広告主にとって有効な媒体として残る。インフルエンサーの企画・制作はAIによる内製化が進むが、ブランドに合う人選と現場の運営には一定の委託需要が続く。
しるしは、EC売上に連動した報酬を維持しながら、運用作業を自動化して費用を削減する。契約量は現在の通年換算より減るものの、買収のれん償却後に近づくにつれて利益が回復する。海外拡販支援は大きな赤字を出さず、資本を大量投入しない成長が実現する。
全社の営業利益は約11億円まで増える。利益を配当と借入返済に使いながらも、事業に必要な資金は確保できる。目標を大きく超える急成長ではないが、SNS販促から消費者体験と販売支援へ重心を移す経営判断が一定の成果を生む。
- インフルエンサーマーケティング:数量 550(年間販促プロジェクト件数(件、推計))× 価格 0.04(1プロジェクト当たり売上高(億円、名目))→ 売上 24 億円・営業利益 3 億円。案件数は現在の約86%、単価は微減。AIによる運用効率改善は主に費用側で反映。
- Mimi Beauty:数量 6.1(SNS延べフォロワー数(100万アカウント、重複あり))× 価格 4.32(延べ100万フォロワー当たり年間売上高(億円、名目))→ 売上 26 億円・営業利益 4 億円。SNSの広告接点をほぼ維持し、媒体力で緩やかな単価改善。
- イベント企画・運営:数量 104(年間大型・中型案件換算件数(件、推計))× 価格 0.33(1案件当たり売上高(億円、名目))→ 売上 34 億円・営業利益 3 億円。案件数は30%増、単価は概ね物価上昇に沿う。
- 海外拡販支援・メディカル等:数量 80.0(販促・海外支援などの案件換算件数(件、推計))× 価格 0.07(1案件換算当たり売上高(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。海外販促事業が小幅黒字に転じる。
- ECコンサルティング:数量 370(契約ブランド延べ月数(ブランド・月、推計))× 価格 0.03(1ブランド・月当たり運営委託料(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。年間換算数量は現在の約77%。最後ののれん償却負担を含めても黒字を維持。
- インベストメント:数量 19.0(利息対象の社債運用残高・年換算(億円、推計))× 価格 0.06(運用元本1億円当たり年収益(億円、仮定利回り))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。信用損失を限定し、利息収益を継続。
倍率:k=8%、g=1%、ROE=6.7÷70.8=9.46%。弱い堀のRONICは8%+1/3×(9.46%−8%)=8.49%。正当化PER=(1−1%÷8.49%)÷7%=約12.60倍。利益の質をmoatとkで評価しているため、ここからさらに裁量で割り引かない。新株予約権の全行使による約2.13億円の払込金を自己資本へ反映し、holder_shareで既存株主の取り分を調整する。
確率:実イベントはAIの直接代替が難しく、2027年3月期第1四半期にも伸びが見られた。ただし、買収したEC事業の採算回復と、Mimi Beautyの広告接点の維持を同時に必要とするため17%とした。
中立 30% 広告運用は縮小、実イベントが補う 利益 4 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 622 円48 億円
2036年のトレンダーズは、かつてより小さなインフルエンサーマーケティング事業と、比較的存在感を増したイベント事業を持つ。広告主がAIで広告設定、商品説明文、分析を内製化するため、単純な制作・運用案件は減る。一方、商品の使用感を伝えるイベントや、消費者の反応を実際に得られる場は残り、物価上昇に合わせた料金改定もある程度通る。
Mimi Beautyは一定の延べフォロワー数を維持するが、SNSの表示方式とAIによる情報取得が変わり、広告主に提供できる接触機会は減る。しるしの受託ブランド数も通年換算で現在の約65%となる。成果報酬という仕組みは残るものの、競争によって単価はほぼ横ばいで推移する。
新規事業は大きく育たず、海外拡販とメディカルマーケティングは収支均衡にとどまる。社債利息は一部の利益を支えるが、金融投資で本業の低成長を覆すことはできない。連続増配の方針を尊重しながらも、資本効率の低い買収を繰り返さない経営に移る。全社の営業利益は約6億円、ROEは約6%となる。会社は存続するが、過去の成長株としての性格は薄れる。
- インフルエンサーマーケティング:数量 440(年間販促プロジェクト件数(件、推計))× 価格 0.04(1プロジェクト当たり売上高(億円、名目))→ 売上 19 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替により案件数は現在の0.69倍、単価は約0.95倍。
- Mimi Beauty:数量 5.0(SNS延べフォロワー数(100万アカウント、重複あり))× 価格 4.05(延べ100万フォロワー当たり年間売上高(億円、名目))→ 売上 20 億円・営業利益 3 億円。外部SNSへの依存で広告接点が減り、名目単価上昇は物価を下回る。
- イベント企画・運営:数量 90.0(年間大型・中型案件換算件数(件、推計))× 価格 0.32(1案件当たり売上高(億円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 2 億円。実体験需要で件数は12.5%増、単価は物価3%の10年累積に概ね沿う。
- 海外拡販支援・メディカル等:数量 70.0(販促・海外支援などの案件換算件数(件、推計))× 価格 0.07(1案件換算当たり売上高(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。海外販促の工数削減と医療分野の事業整理で損益均衡。
- ECコンサルティング:数量 310(契約ブランド延べ月数(ブランド・月、推計))× 価格 0.03(1ブランド・月当たり運営委託料(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。年間案件量は現在の通年換算480ブランド・月の約0.65倍。のれん償却の最後の負担で2036年3月期の会計利益はほぼゼロ。償却終了後は利益改善余地がある。
- インベストメント:数量 16.0(利息対象の社債運用残高・年換算(億円、推計))× 価格 0.06(運用元本1億円当たり年収益(億円、仮定利回り))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。運用残高を減らし、投資売却益を通常利益へ含めない。
倍率:ROE=3.7÷59.2=6.25%でk=8%を下回る。将来の追加投資は資本コストを超える価値を生まないため、正当化PERは稼ぐ力の上限1÷k=12.5倍とする。g_longは名目1%だが、ROEがk以下なので成長による上乗せをしない。現在の市場PERや同業PERを使っていない。
確率:主力広告運用とEC運用の数量縮小を中心に、Mimi Beautyの残存媒体力と実イベントの需要を組み合わせた最も自然な事業構成である。AI代替による減少はこの中立の数量と価格に反映しており、確率で二重に引いていない。
やや悲観 27% SNSとECの委託料が細り、イベントだけが残る 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 129 円10 億円
広告主はSNSの投稿制作や広告運用を社内のAIエージェントへ移し、インフルエンサーを起用する場合も直接取引を増やす。トレンダーズの案件数は減り、競合との値下げ競争によって手数料率も下がる。Mimi Beautyではフォロワー数より実際の閲覧機会が減り、外部SNSの表示変更に振り回される。
イベントは需要が残るものの、会場費と人件費が上がり、収益性は高まらない。海外拡販支援は投資額に見合う利益を生まず、規模を縮める。しるしはAIによる運用自動化と大手顧客の内製化で契約量が減り、買収のれんの償却負担が残る期間は赤字となる。
経営は配当をできる限り維持するが、業績に合わせて総還元額を縮小する。借入返済と事業整理を優先し、新たな大型買収は控える。営業利益はほぼ収支均衡まで落ち、純利益は小幅な赤字となる。ブランドとの取引関係と実イベントの営業基盤にはなお価値が残るため、全面的な清算ではなく、弱い事業としての存続を想定する。
- インフルエンサーマーケティング:数量 350(年間販促プロジェクト件数(件、推計))× 価格 0.04(1プロジェクト当たり売上高(億円、名目))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。案件数は現在の0.55倍、単価も約20%低下。
- Mimi Beauty:数量 4.0(SNS延べフォロワー数(100万アカウント、重複あり))× 価格 3.60(延べ100万フォロワー当たり年間売上高(億円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。広告主に届くSNS接点と広告単価の双方が悪化。
- イベント企画・運営:数量 70.0(年間大型・中型案件換算件数(件、推計))× 価格 0.30(1案件当たり売上高(億円、名目))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。案件数減少と会場費上昇によって薄利にとどまる。
- 海外拡販支援・メディカル等:数量 50.0(販促・海外支援などの案件換算件数(件、推計))× 価格 0.06(1案件換算当たり売上高(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。海外・医療の一部事業を縮小。
- ECコンサルティング:数量 220(契約ブランド延べ月数(ブランド・月、推計))× 価格 0.02(1ブランド・月当たり運営委託料(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 −1 億円。通年換算案件量は現在の0.46倍で、AI代替と競争により減収。最終年度ののれん償却で赤字。
- インベストメント:数量 12.0(利息対象の社債運用残高・年換算(億円、推計))× 価格 0.06(運用元本1億円当たり年収益(億円、仮定利回り))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。投資元本の縮小と信用リスクを考慮。
倍率:営業利益0.48億円に対して純利益は小幅赤字であり、利益の永続価値は使わない。今の自己資本42.9億円を分母として、売れる純資産5.5億円の床に、なお存続するイベント・顧客関係の収益機会約4.5億円を加えた10億円の価値を評価する。10÷42.9=0.2331倍。2036年の積み上がった自己資本へ床の倍率を掛けてはいない。中立の時価総額46.25億円を大きく下回る。
確率:下に寄せる理由:2026年3月期に主力マーケティング事業の営業利益が約42%減り、しるしの取得後には全社のれんが約36億円に達した。買収先の利益回復に時間を要し、既存広告事業も競争で縮むという会社固有の複合リスクを重視した。
悲観 16% 買収の失敗と広告受託の構造的敗退 利益 −5 億円 · PBR 0.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 71 円6 億円
広告主の多くが、投稿制作、広告運用、効果検証、ECモールの管理を自社のAIエージェントへ移す。インフルエンサーは直接起用される機会が増え、仲介会社に残るのは小規模な企画や難易度の高い案件だけになる。Mimi Beautyは外部プラットフォームの仕様変更と利用者行動の変化によって、広告主に十分な接触価値を提供できなくなる。
しるしは売上連動型の報酬を維持できず、契約ブランドの流出が進む。買収時に想定した将来利益は実現せず、のれんの減損と人員削減が必要になる。海外販促や医療分野で始めた事業も撤退・縮小し、収益の柱は縮小したイベント事業に限られる。イベント自体も固定的な人件費と会場費を吸収できず、赤字になる。
経営は配当を大幅に減らし、借入金の返済と事業の生き残りを優先する。インベストメント事業の投資先でも損失が発生し、財務の余裕はさらに小さくなる。会社がただちに法的整理に入る前提ではないが、株主に帰属する経済価値は、ブランドやのれんではなく、回収可能な純資産に近づく。10年間の還元と最後に残る資産を合わせても、現在の時価総額を大きく下回る。
- インフルエンサーマーケティング:数量 230(年間販促プロジェクト件数(件、推計))× 価格 0.03(1プロジェクト当たり売上高(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。案件量は現在の約36%、単価も低下し、固定費を賄えない。
- Mimi Beauty:数量 2.8(SNS延べフォロワー数(100万アカウント、重複あり))× 価格 2.80(延べ100万フォロワー当たり年間売上高(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。外部SNS上の広告価値が大きく低下。
- イベント企画・運営:数量 46.0(年間大型・中型案件換算件数(件、推計))× 価格 0.27(1案件当たり売上高(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。実体験需要は残るが、受注不足と会場費で赤字。
- 海外拡販支援・メディカル等:数量 35.0(販促・海外支援などの案件換算件数(件、推計))× 価格 0.06(1案件換算当たり売上高(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。海外販促・医療関連の失敗と縮小。
- ECコンサルティング:数量 140(契約ブランド延べ月数(ブランド・月、推計))× 価格 0.02(1ブランド・月当たり運営委託料(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 −2 億円。現在の通年換算案件量の約29%。のれん償却と人員再編費を負担し、構造赤字。
- インベストメント:数量 6.0(利息対象の社債運用残高・年換算(億円、推計))× 価格 0.05(運用元本1億円当たり年収益(億円、仮定利回り))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。信用損失を経験し、運用元本を大きく縮小。
倍率:営業赤字が構造化し、利益還元価値には依拠できない。2026年3月期の自己資本42.9億円のうち、のれん36.18億円は回収できないとし、売却可能資産の税・回収費用控除後5.5億円を床にする。現在の自己資本42.9億円に対する倍率は5.5÷42.9=約0.1282倍。2036年の自己資本18億円にこの床倍率を掛け直してはいない。
確率:下に寄せる理由:自己資本42.9億円の中に約36億円ののれんを抱え、買収の資金調達で純負債にも転じた。広告主の離反に加え、しるしの収益悪化と評価損が重なれば、帳簿上の自己資本が大きく減る危険があるため16%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
インフルエンサーマーケティング
美容ブランドなどの広告主に、SNS投稿の企画、インフルエンサーの選定・起用、運用と効果測定を提供する。広告の制作・運用に該当するためAIエージェント代替の対象である。
| 数量年間販促プロジェクト件数(件、推計) | 価格1プロジェクト当たり売上高(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 638 | 0.05 | 29 | 2 |
| 10 年後 中立 | 440 | 0.04 | 19 | 2 |
取り方:会社の2026年6月事業計画にある2027年3月期の当領域売上計画30.80億円と前年比+6.6%から、2026年3月期売上を28.89億円と逆算した。年間実施件数は会社公表の2014年4月~2024年4月累計6,376案件を10年で割った約638件を代理変数としたもので、2026年実数の開示ではない。単価は28.89億円÷638件で約0.0453億円。営業利益2.35億円は報告セグメントの実績ではなく、マーケティング事業全体の利益5.596億円を各事業の粗利特性に基づき配分した分析上の推定値である。インフルエンサーの選定・制作・運用はAIエージェント代替型とし、中立の案件数は今の約0.69倍、単価は物価以下の水準とした。
Mimi Beauty
美容分野の自社SNSメディア・コミュニティを使った話題化と商品認知の支援。自社の利用者接点を売る媒体型だが、外部SNSに依存する運用部分にもAI代替が及ぶ。
| 数量SNS延べフォロワー数(100万アカウント、重複あり) | 価格延べ100万フォロワー当たり年間売上高(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5.9 | 3.77 | 22 | 3 |
| 10 年後 中立 | 5.0 | 4.05 | 20 | 3 |
取り方:2027年3月期の会社計画24億円、前年比+7.5%から2026年3月期売上22.33億円を推定。会社サイト公表の2026年初めのMimi BeautyのSNS総フォロワー約592万人を数量の代理変数にし、22.33÷5.92=約3.77億円を単価とした。同一利用者の重複や実際の広告表示回数は分からないため、ユニーク利用者数でも広告枠の実測単価でもない。利益3.18億円はマーケティング事業利益を配分した推定値。自社利用者のいる媒体型として扱うが、AIによる要約・検索代替とSNS表示仕様変更を中立の到達可能人数に反映した。
イベント企画・運営
zenplusによる商品発表会、ブランド体験会、展示・販促イベントなどの企画と現場運営。実体験部分はAIが直接代替できない。
| 数量年間大型・中型案件換算件数(件、推計) | 価格1案件当たり売上高(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 80.0 | 0.24 | 19 | 0 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 0.32 | 29 | 2 |
取り方:会社の2027年3月期イベント売上計画22.03億円、前年比+13.6%から2026年3月期売上19.39億円を推定。実際の案件件数と平均単価は非開示のため、大小案件を大型・中型80件に換算した仮の件数を使い、売上を0.242375億円/件とした。80件は会社が公表した実数ではない。利益0.42億円は報告セグメント利益の配分推定で、イベント単独の実績利益率ではない。現場での体験はAIの直接代替対象外だが、企画・デザインの一部は代替対象とする。
海外拡販支援・メディカル等
日系美容ブランドの米国・韓国展開支援、再生医療分野のマーケティング、その他の新規事業。収益モデルが混在し、立ち上げ投資の割合が高い。
| 数量販促・海外支援などの案件換算件数(件、推計) | 価格1案件換算当たり売上高(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.06 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 0.07 | 5 | 0 |
取り方:会社の2027年3月期『新規事業・その他』売上計画7.53億円、前年比+19.9%から、2026年3月期の6.28億円を推定した。数量は100件という案件換算の仮定であり、海外イベントと医療関連の契約が同一価格であるという意味ではない。件数の実績開示がないため単価0.0628億円は売上を代理数量で割った概算。損益はマーケティング事業全体の公表利益と整合するように配分した推定値である。広告制作・海外販促支援はAI代替対象とし、医療現場で人が提供するサービス自体と混同しない。
ECコンサルティング
しるしによるAmazonなどECモールでの販売戦略、広告運用、商品ページ制作、在庫管理、運営代行。顧客のEC売上に連動した報酬を受け取る。
| 数量契約ブランド延べ月数(ブランド・月、推計) | 価格1ブランド・月当たり運営委託料(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 160 | 0.03 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 310 | 0.03 | 9 | 0 |
取り方:2026年3月期実績は2025年12月からの4か月連結で売上4.57億円、営業利益1.424億円。契約ブランド数とレベニューシェア率は非開示のため、月間約40ブランドを受託したとの仮定から160ブランド・月、単価0.02856億円とした。40ブランドは分析用仮定であり実数ではない。12か月換算すると現在の数量基準は480ブランド・月となる。中立の2036年は310ブランド・月、すなわち通年換算で約0.65倍とし、広告設定・商品ページ制作・EC運用のAIエージェント代替を反映する。2026年の営業利益には約4か月分の買収のれん償却が含まれる。2036年3月期には10年償却の最後の約8か月分が残ることも利益率に含めた。
インベストメント
保有社債の利息収益と未上場株式などの投資回収。広告の制作・運用ではなく、金融投資の信用リスクを取る事業。
| 数量利息対象の社債運用残高・年換算(億円、推計) | 価格運用元本1億円当たり年収益(億円、仮定利回り) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 22.0 | 0.06 | 1 | 1 |
| 10 年後 中立 | 16.0 | 0.06 | 1 | 1 |
取り方:報告セグメント実績は売上1.3125億円、営業利益1.2847億円で、2026年3月期は社債利息が主な収益だった。債券の期末保有額は5億円であるが、期中の運用回転や契約ごとの利率は十分に開示されていない。年6%の仮定利回りで売上を割り戻した約22億円の運用残高・年換算を便宜的な数量としたもので、実際の平均残高を主張するものではない。未上場株式の将来売却益は通常の継続利益として先取りしない。AIエージェントによる広告運用代替の対象外である。
リスクと懸念
AIエージェント代替による受託量と手数料の減少
インフルエンサーの候補選定、広告素材の制作、配信設定、効果測定、ECの商品ページ更新、在庫予測はAIエージェントが代替しやすい。広告主が業務を内製化すると、同社が受託する案件数と手数料率の両方が下がる。中立ではインフルエンサー案件を現在の約0.69倍、EC運用の通年換算数量を約0.65倍としており、AIの影響を単なる将来の注意点ではなく収益の中心前提に織り込んだ。
大型買収とのれんの回収可能性
しるし取得に35億円を支払い、約31.4億円ののれんが発生した。2026年3月期末には全社のれんが約36.2億円となり、自己資本約42.9億円の大部分を占める。2027年3月期第1四半期のEC事業は償却前でも小幅な赤字だった。季節要因と採用費用の影響はあるものの、取得前の高い利益率を長く維持できなければ、減損と借入返済負担が株主価値を傷める。
SNSプラットフォームへの依存
Mimi Beautyは独自の編集力を持つが、消費者との主要な接点はXやInstagramなどの外部サービス上にある。フォロワー数が多くても投稿の表示回数や広告仕様は自社で決められない。2026年3月期には、プラットフォーム要因によって広告収益に影響が出た。AIの要約機能やSNSの仕様変更が重なると、媒体の公表フォロワー数を維持していても実際の広告価値が減るおそれがある。
借入金と金融投資の信用リスク
2026年3月期末の現金及び預金は約47.8億円あるが、借入金は約60.2億円で、純現金企業ではない。インベストメント事業の社債も、現金同等物と同じ確実な回収を前提にはできない。金融機関からの買収資金調達と社債投資の双方に信用・流動性リスクがある。短期金利2%、国債金利3%の世界では、借入の借換条件が悪化すると利益を圧迫する。
増配維持と資本効率の衝突
10年連続増配とDOE4%以上という配当方針は評価できるが、利益が低迷する間も配当を維持すると自己資本と手元資金が減る。2026年3月期は純利益約2.2億円に対し、年間配当総額は約2.7億円に相当した。配当のために借入を増やす状況が続けば、還元の見かけの良さと事業の健全性が食い違う。悲観では配当方針の修正や一時的な減配も想定する。
競争・顧客集中と新規事業の採算
インフルエンサーとの契約は非専属が中心で、サイバー・バズ、AnyMind Group、大手広告会社、広告主の内製部門との競争を避けられない。花王の売上高比率も約13%あり、主要顧客の広告投資判断が業績へ響く。海外の美容ブランド販促や再生医療マーケティングは成長余地がある一方、収益の規模と採算の実績はまだ限定的だ。新事業の赤字を既存事業が長く補填する構造になれば、増分投資利回りはさらに下がる。
今後の分かれ目
- しるしの通期営業利益がのれん償却後でも継続して黒字になり、契約ブランド数と成果報酬率が維持されたら
- EC運用の数量減少を緩め、やや楽観側の確率を引き上げる。AI効率化で浮いた費用が実際に営業利益へ残ることを確認する。
- Mimi Beautyの実到達人数と広告単価が継続して増え、外部SNSの表示変更による収益変動が小さくなったら
- 自社媒体としての堀を再評価し、Mimi Beautyの長期数量と価格、将来の成長率を引き上げる。ただしフォロワー数だけでは判断しない。
- イベント事業の大型案件数と粗利益率がともに改善し、現場運営の人件費上昇を価格転嫁できたら
- 中立のイベント売上と営業利益率を上方修正する。SNS受託が縮小しても実体験の利益が補えるかを重視する。
- マーケティング事業の営業利益が数期続けて減少し、顧客のAI内製化による運用案件の減少が明らかになったら
- インフルエンサーとECの数量をさらに引き下げ、やや悲観の重みを増やす。広告市場全体の成長率を下支えの根拠には使わない。
- 買収のれんの減損、純負債の増加、営業キャッシュフローの悪化が同時に生じたら
- 悲観側の資産回収額と存続利益を再検証する。減損だけでなく、借入金の返済余力と社債運用資金の回収可能性を確認する。
- 2029年3月期に向けた営業利益成長率25〜30%の目標が、追加の大型買収を伴わず達成されたら
- 増分投資利回りに関する疑念を弱め、中立とやや楽観の利益を上方修正する。一時的な費用抑制ではなく、売上総利益と現金創出の持続性を条件とする。
見ておくもの
- マーケティング事業のインフルエンサー、Mimi Beauty、イベント別売上高・売上総利益と、開示される場合の案件数・単価
- Mimi Beautyの延べフォロワー数だけでなく、実際の到達人数、広告主数、媒体売上単価
- しるしの契約ブランド数、顧客EC流通総額、レベニューシェア率、のれん償却前後の営業利益
- zenplusのイベント案件数、粗利益率、会場費・人件費の価格転嫁
- 全社のれん残高、減損損失、銀行借入残高、借換金利と営業キャッシュフロー
- 営業投資有価証券の期末残高、社債償還状況、投資売却益と経常的な利息収益の内訳
- DOE4%以上の配当方針、自社株買い、発行済株式数と新株予約権の行使状況
- 2029年3月期までの営業利益成長目標の達成状況と、達成に必要な追加M&Aの金額
倍率と資本コストの決め方
売上は、会社開示の2027年3月期サービス別計画と前年比から2026年3月期の内訳を再構成した。公表されていない案件数や契約ブランド数は、過去の実績・延べフォロワー数・契約期間から代理数量を置き、推定と明示した。広告制作・運用とEC運用にはAIエージェント代替の数量・価格制約を適用し、イベントと自社媒体を区別した。2036年の営業利益には、物価上昇による本社費増加とのれんの最終年度償却負担を含めた。倍率はk8%、長期g1%、ROEと弱い堀から正当化PERを算出し、現在の株価や過去の市場PERから決めていない。2028年3月期以降に適用される新リース会計基準によって貸借対照表の表示が変わっても、価値計算では家賃を営業費用とする従来と比較可能な利益の考え方を維持する。2036年ののれん償却終了後には利益が改善し得るため、この会計上の一時的な負担は将来価値を保守的にする要因でもある。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%に、弱い価格決定力による0.5ポイントを加えた。M&Aや個別の投資判断の失敗は資本コストに上乗せせず、筋書きの利益と確率で表す。