結論
ナックは、宅配水「クリクラ」とダスキンのフランチャイズ(清掃・害虫駆除のレンタル)を二本柱に、住宅の建築コンサルと分譲・注文住宅、化粧品を足した複合の会社だ。売上は約 589 億円、営業利益は約 25 億円。筆者の結論は「利益で測ればおおむね妥当」で、安全域は薄い。
強みは、顧客に毎月届く定期サービスの厚みだ。クリクラとレンタルで売上の 6 割を占め、利益の大半を稼ぐ。弱みは、住宅関連が着工の減少と建築基準法の改正で落ち込み、利益率が 10 年たっても 4〜6% の帯から出なかったことだ。2026 年 3 月期の営業利益は 17% 減った。
2027 年 3 月期の会社予想は、売上 635 億円、営業利益 28 億円と増収増益だ。中期経営計画は 2028 年 3 月期に営業利益 33 億円を掲げるが、投資のため利益は横ばいの見込みと自ら書く。筆者は、人件費・燃料費・家賃の上昇を価格に転嫁できるかが、この計画の成否だと見る。
10 年の中立は、定期サービスが緩やかに伸び、住宅関連は伸びない姿に置いた。営業利益率は 5.0% で、ROE は 8% 弱と資本コストと同じ水準だ。倍率は式の上限の 9 割弱にとどめた。ダスキンが 28% を持つ筆頭株主で、事業の中身も強く結びつく。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、定期サービスは分かりやすい。毎月届く水と清掃は、景気で止まらず、解約は想定を下回った。価格改定が通ったことは、顧客が離れにくい証拠だ。ただし、利益の 3 割を食う住宅関連と新規事業が、全体の利益率を 4〜6% の帯に押し込んでいる。
オーナー利益、つまり株主が自由にできる利益は、純利益 16 億円から、更新の投資を引いた額に近い。設備投資は年 6 億円と軽く、減価償却の 9 億円より小さい。時価総額は 204 億円で、今期予想の純利益 17 億円の 12 倍だ。利益で測れば、極端に安くも高くもない。
資本の配分は、新規事業(Yesmart、買取大吉)に先に費用を使い、2026 年 3 月期は営業損失が 2 億円出た。会社は新規出店を抑えて収益性の改善に回す方針で、損失幅は縮むと見る。筆者は、安全域は薄いが、定期サービスの厚みの分だけ割高ではないと考える。
何で稼ぐ会社か
事業は六つに分かれる。クリクラ事業が売上 161 億円(営業利益 18 億円)、レンタル事業が 179 億円(15 億円)、建築コンサルティング事業が 49 億円(1 億円)、住宅事業が 117 億円(3 億円)、美容・健康事業が 67 億円(2 億円)、その他が 19 億円(損失 2 億円)だ。
クリクラ事業は、宅配水「クリクラ」と浄水型ウォーターサーバーの製造販売である。直営の顧客に届ける売上が 103 億円、全国に約 400 社ある加盟店への販売が 49 億円。ボトルの回収と再利用の仕組みを持ち、配送員が家庭に毎月訪れる「ラストワンマイル」が武器だ。2026 年 3 月期にボトルの価格を改定し、3 年か 5 年の複数年プランを導入して解約を抑えた。営業利益率は 11.5% で、全社でいちばん高い。
レンタル事業は、ダスキンのフランチャイズ加盟店が主力で、売上 136 億円。ケア(清掃)サービスとヘルスレント(用具のレンタル)を、月ごとの定期契約で提供する。害虫駆除器「with」のウィズ事業、法人向けの定期清掃のアーネスト、原状回復のキャンズも含む。売上原価の 4 割強(42%)がダスキンからの借受けと買取りで、ダスキンへの依存が強い。
建築コンサルティング事業は、地場の工務店に経営の助言と商品を売り、住宅のフランチャイズ(エースホーム)を運営する。住宅事業は、東京 23 区の分譲住宅(ケイディアイ)、注文住宅(ジェイウッド)、秀和住研の三社。美容・健康事業は、化粧品の JIMOS(MACCHIA LABEL、SINN PURETÉ)、トレミー。その他は、韓国食品スーパー Yesmart、ワイン卸、買取大吉のフランチャイズだ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、事業ごとに差がある。クリクラは、ボトルの回収と配送員の訪問が顧客を縛り、複数年プランで解約率が想定を下回った。レンタルは、ダスキンの商標と商品、地域の定期顧客が土台で、新規の加盟店が簡単に入れない。この二つは普通以上の強さと見る。
住宅関連は逆だ。地場の工務店が顧客で、その廃業が直接響く。2026 年 3 月期は、建築コンサルが 8.5% の減収で営業利益が 77% 減り、住宅事業も 12.6% の減収で 30% 減った。堀は弱く、市場の波に左右される。
資本効率は低い。ROE は過去 10 年の中央値が 6.2%、直近は 7.1%。自己資本比率は 59% で、現金及び現金同等物は 84.5 億円、有利子負債は推定で 66〜71 億円、純現金は 18 億円にとどまる。財務は軽いが、純現金と呼ぶほど余裕はない。
経営は、複数の事業を抱える複合の運営である。新規事業(Yesmart、買取大吉、ワイン卸)で損失が出ており、資本の配分の判断が試される。従業員は連結で 1,699 人、臨時雇用が別に 548 人おり、人件費の上昇が直接効く。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ナックの事業は、同じ業界ではない。宅配水、清掃のレンタル、住宅、化粧品と、需要を決める要因が別々だ。筆者は、需要が人口と世帯に結びつく宅配水・清掃は数量が横ばいに近く、住宅は着工の減少で縮むと見て、事業ごとに置いた。
クリクラとレンタルは、人口が減る国で顧客数を保つ市場だ。数量の伸びは、新規の出店と、加盟店の事業承継による営業エリアの拡大から来る。レンタルは取扱量が 10 年で 2 割増えると置いた。クリクラは 5% 増にとどめた。価格は物価並みで、ボトルの価格改定が通った実績が、転嫁の力を裏づける。
住宅関連は、住宅着工件数の減少が長期で続く。2025 年 4 月の建築基準法の改正(木造住宅の構造計算の義務化など)で、確認申請の手続が長くなり、工期が延びた。地場の工務店の廃業も止まらない。取扱量は中立で 5% 減に置いた。分譲は東京 23 区の地価高騰で仕入れの競争が激しい。
美容・健康は、広告投資で顧客を獲得する市場だ。JIMOS は大手百貨店の直営店と EC に展開している。広告費が先に出て利益が出る形のため、利益率は低い。再編では、ナック自身がダスキン加盟店の承継(M&A)を重ねる買い手に回る。
資本政策と M&A
配当の方針は「連結純資産配当率 4%(年間)、ただし配当性向 100% 以内」だ。年間の配当総額は約 9 億円で、純利益の 5 割強に当たる。10 年の筋書きでも、この方針どおり純資産の 4% を配る。筋書きによって純利益の 4 割から 9 割までの幅になる。自社株買いは、2025 年 3 月期に約 8 億円を実施したが、2026 年 3 月期はなく、実行済みの分は株数に入っている。
大株主は、ダスキン(27.9%)、ヤマダホールディングス(10.6%)、キャピタル(7.7%)、日本マスタートラスト信託銀行(3.7%)、ナック従業員持株会(3.6%)、レモンガス(3.5%)など。ダスキンが筆頭で、フランチャイズ契約でも結ばれている。第三者が公開買付けを持ちかけても、ダスキンの意向が決める構図だ。
M&A は買う側で、ダスキン加盟店の承継(2026 年にダスキンヤマナカ、同年 5 月にグッドライフビジネスサポート)、化粧品、住宅、新規事業の小さな会社を積み重ねている。のれんの償却は年約 2 億円。買収後の統合が進まなければ、減損の種になる。
減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は直近が約 9 億円で、10 年後は約 11 億円(物価で一律に増やすと約 12 億円)。設備投資は年 6 億円ほどと軽い。賃借料は年約 17 億円(本社、クリクラとレンタルの設備、車両リース)で、固定の約束だ。新リース会計基準が 2028 年 3 月期から適用されると、この約束が貸借対照表に載り、数字の形が変わる。10 年後の数字は今と同じ形(賃借料を営業費用に入れた形)で置いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社の土台は、毎月届く定期サービスだ。クリクラは直営と加盟店を合わせて安定した顧客を持ち、複数年プランの導入で解約率が想定を下回った。ボトルの価格改定が通ったのは、顧客が離れにくい証拠である。営業利益率は 11.5% まで上がり、前年から 0.9 ポイント増えた。
レンタルはダスキンの店舗網と結びつき、新規出店と加盟店の承継で営業エリアを広げている。人手不足で個人経営の加盟店の後継ぎが減れば、承継の買い手としてのナックの出番は増える。クロスセルで定期顧客に副商材を売れば、利益率が上がる余地もある。
住宅関連は谷にある。2027 年 3 月期の会社予想では、建築コンサルが 17.6% 増、営業利益が 2.5 倍に戻る見通しだ。法改正の混乱が一巡すれば、分譲住宅の在庫を確保でき、着工の遅れも解ける。AI ツール「NAC AI TOOL」が新しい顧客層に売れれば、収益の源が広がる。財務は自己資本比率 59% で軽い。
慎重な見方
利益率の実績が重い。営業利益率は 10 年で 4〜6% の帯から出なかった。2026 年 3 月期は営業利益が 17% 減り、期初予想の 86% にとどまった。中期経営計画は、投資のために利益が横ばいになると自ら書く。成長のための費用が先に出て、回収が遅れる形が続いている。
住宅関連の落ち込みは、一時的ではない。地場の工務店の廃業と住宅着工の減少は構造的で、建築コンサルの営業利益は 4 億円から 0.9 億円に落ちた。分譲は東京 23 区の地価高騰で仕入れの競争が激しく、利益を確保しにくい。AI ツールの外販は、まだ売上の実績がない。
定期サービスにも負担がある。レンタルの売上原価の 4 割強がダスキンからの借受けと買取りで、ダスキンの条件の変更で利益が動く。人件費と燃料費の上昇は、レンタルの営業利益を 4.5% 減らした。新規事業は損失が続き、買収したのれんの減損の種になる。年約 17 億円の賃借料も固定の約束だ。
どちらに重みを置いたか
定期サービスの厚みと価格改定の実績は、強気の見方が正しい。ただし、10 年たっても 4〜6% の帯から出なかった営業利益率と、住宅関連の構造的な縮小は、慎重な見方が重い。中立は、定期サービスが緩やかに伸び、住宅関連が伸びず、営業利益率が 5.0% に収まる筋書きに置いた。確率は中立を最も厚くし、悲観側を楽観側より少し重く寄せた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 808 円327 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 265 円107 億円)。 今の値に割り戻すと 565 円229 億円、今との差 +12.4%、 期待の年率 +7.9%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,747 円707 億円 | 334 円135 億円 | +313.6% | +15.3% | 125 円51 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,272 円515 億円 | 299 円121 億円 | +212.4% | +12.1% | 314 円127 億円 |
| 中立 | 40% | 867 円351 億円 | 274 円111 億円 | +126.8% | +8.5% | 456 円185 億円 |
| やや悲観 | 24% | 305 円124 億円 | 252 円102 億円 | +10.8% | +1.0% | 134 円54 億円 |
| 悲観 | 10% | 286 円116 億円 | 151 円61 億円 | −13.2% | −1.4% | 44 円18 億円 |
| 加重平均 | 100% | 808 円327 億円 | 265 円107 億円 | +113.3% | +7.9% | 1,073 円434 億円 |
今の株価時価総額 503 円204 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 定期サービスが厚くなり、住宅の谷も抜ける 利益 46 億円 · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 1,747 円707 億円
暮らしの定期サービスが厚みを増し、住宅の谷も抜ける筋書きだ。クリクラは複数年プランの定着で解約が減り、価格改定が通る。ダスキンの出店と加盟店の事業承継(M&A)が進み、レンタルの顧客が 3 割以上増える。建築コンサルは AI ツールと研修が新しい顧客層に売れ、住宅は法改正の混乱が終わって都内の分譲が戻る。美容・健康は百貨店の直営展開が広がり、取扱量が 6 割増える。その他の新規事業は黒字になる。営業利益率は 7% に届き、過去の最高 5.7% を超える。配当は純資産の 4.5% まで上がる。
(名目の前提)水の価格・清掃のレンタル料・住宅の販売価格・化粧品の単価は、物価に連れて上がる。取扱量は実質(顧客の数・棟数・個数)で置いた。人件費・燃料費・家賃も同じ速さで上がるので、利益率は物価で勝手に下がらない。
(自己資本の流れ)前期の純利益 16 億円から流した。減価償却は物価で増やさず、今ある設備(クリクラの製造設備・ボトル・サーバー、ダスキンの店舗設備)は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で 6 年に按分した。償却は今の約 9 億円が 10 年後に約 13 億円(物価で一律に増やすと約 12 億円)。賃借料は営業費用に入れたままで、毎年の約 17 億円が物価で上がる。投資は賃借と内部の資金で賄え、借入は増えない。
- クリクラ(宅配水・ウォーターサーバー):数量 112(顧客数と配送量の指数(2026/03 期=100))× 価格 2.18(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 244 億円・営業利益 32 億円。取扱量1.12倍・価格1.36倍・利益率13.0%・償却は物価で増やさず按分(全社の10年後 13億円)
- レンタル(ダスキン・ウィズ・法人清掃):数量 135(定期顧客と店舗の指数(2026/03 期=100))× 価格 2.44(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 329 億円・営業利益 30 億円。取扱量1.35倍・価格1.36倍・利益率9.0%
- 建築コンサルティング:数量 115(コンサル案件と加盟店の上棟の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.67(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 77 億円・営業利益 5 億円。取扱量1.15倍・価格1.36倍・利益率6.0%
- 住宅(分譲・注文・リフォーム):数量 110(販売・完工棟数の指数(2026/03 期=100))× 価格 1.59(億円/指数 1(売上を棟数の指数で割った実効単価))→ 売上 175 億円・営業利益 8 億円。取扱量1.10倍・価格1.36倍・利益率4.5%
- 美容・健康(化粧品・健康食品):数量 160(販売個数の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.91(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 146 億円・営業利益 13 億円。取扱量1.60倍・価格1.36倍・利益率9.0%
- その他(Yesmart・ワイン卸・買取大吉):数量 220(店舗と販売量の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.26(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 57 億円・営業利益 2 億円。取扱量2.20倍・価格1.34倍・利益率4.0%
倍率:事業の純利益 46 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.0% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.3 倍。全体の PER 15.29 倍、時価総額 703 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率が過去 12 年の山(5.7%)を大きく超えて 7% に届く必要がある。住宅関連の谷も抜ける条件が重なるので、1 割に満たない確率に置いた。
やや楽観 20% 中期計画の線を少し遅れて超える 利益 36 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 1,272 円515 億円
中期経営計画の線を、少し遅れて超える筋書きだ。クリクラとレンタルは定期の顧客が積み上がり、ダスキンの店舗網の拡大とクロスセルで利益率が上がる。美容・健康は広告投資が回収に入る。住宅と建築コンサルは横ばいか小幅な回復にとどまる。営業利益率は 6% 近くまで上がる。配当は純資産の 4% を少し上回る。
(名目の前提)水の価格・清掃のレンタル料・住宅の販売価格・化粧品の単価は、物価に連れて上がる。取扱量は実質(顧客の数・棟数・個数)で置いた。人件費・燃料費・家賃も同じ速さで上がるので、利益率は物価で勝手に下がらない。
(自己資本の流れ)前期の純利益 16 億円から流した。減価償却は物価で増やさず、今ある設備(クリクラの製造設備・ボトル・サーバー、ダスキンの店舗設備)は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で 6 年に按分した。償却は今の約 9 億円が 10 年後に約 12 億円(物価で一律に増やすと約 12 億円)。賃借料は営業費用に入れたままで、毎年の約 17 億円が物価で上がる。投資は賃借と内部の資金で賄え、借入は増えない。
- クリクラ(宅配水・ウォーターサーバー):数量 108(顧客数と配送量の指数(2026/03 期=100))× 価格 2.17(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 234 億円・営業利益 29 億円。取扱量1.08倍・価格1.35倍・利益率12.2%・償却は物価で増やさず按分(全社の10年後 12億円)
- レンタル(ダスキン・ウィズ・法人清掃):数量 128(定期顧客と店舗の指数(2026/03 期=100))× 価格 2.42(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 310 億円・営業利益 26 億円。取扱量1.28倍・価格1.35倍・利益率8.4%
- 建築コンサルティング:数量 105(コンサル案件と加盟店の上棟の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.67(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 70 億円・営業利益 3 億円。取扱量1.05倍・価格1.35倍・利益率4.0%
- 住宅(分譲・注文・リフォーム):数量 102(販売・完工棟数の指数(2026/03 期=100))× 価格 1.58(億円/指数 1(売上を棟数の指数で割った実効単価))→ 売上 161 億円・営業利益 6 億円。取扱量1.02倍・価格1.35倍・利益率3.6%
- 美容・健康(化粧品・健康食品):数量 145(販売個数の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.90(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 131 億円・営業利益 9 億円。取扱量1.45倍・価格1.35倍・利益率7.2%
- その他(Yesmart・ワイン卸・買取大吉):数量 190(店舗と販売量の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.26(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 49 億円・営業利益 1 億円。取扱量1.90倍・価格1.34倍・利益率2.0%
倍率:事業の純利益 36 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍。全体の PER 14.3 倍、時価総額 515 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の中期計画(2028 年 3 月期に営業利益 33 億円)に近い線。定期サービスの顧客は積み上がっているが、投資の費用が先に出て利益が横ばいだった実績があり、2 割に抑えた。
中立 40% 中立:定期サービスは伸び、住宅関連は伸びない 利益 27 億円 · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 867 円351 億円
定期サービスが緩やかに伸び、住宅関連は伸びない筋書きだ。クリクラは顧客数が横ばいで、価格が物価並みに上がる。レンタルはダスキンの出店と加盟店の承継で取扱量が 2 割増える。美容・健康は 3 割増える。建築コンサルと住宅は着工の減少で取扱量が 5% ずつ減る。その他の新規事業は黒字と赤字の境目に落ち着く。営業利益率は 5.0% で、過去の最高 5.7% より低い。人件費・燃料費・家賃の上昇を価格に転嫁できるかが、利益率の分かれ目になる。配当は純資産の 4% で、純利益の 4 割強から 4 割弱になる。
(名目の前提)水の価格・清掃のレンタル料・住宅の販売価格・化粧品の単価は、物価に連れて上がる。取扱量は実質(顧客の数・棟数・個数)で置いた。人件費・燃料費・家賃も同じ速さで上がるので、利益率は物価で勝手に下がらない。
(自己資本の流れ)前期の純利益 16 億円から流した。減価償却は物価で増やさず、今ある設備(クリクラの製造設備・ボトル・サーバー、ダスキンの店舗設備)は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で 6 年に按分した。償却は今の約 9 億円が 10 年後に約 11 億円(物価で一律に増やすと約 12 億円)。賃借料は営業費用に入れたままで、毎年の約 17 億円が物価で上がる。投資は賃借と内部の資金で賄え、借入は増えない。
- クリクラ(宅配水・ウォーターサーバー):数量 105(顧客数と配送量の指数(2026/03 期=100))× 価格 2.15(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 226 億円・営業利益 26 億円。取扱量1.05倍・価格1.34倍・利益率11.5%・償却は物価で増やさず按分(全社の10年後 11億円)
- レンタル(ダスキン・ウィズ・法人清掃):数量 120(定期顧客と店舗の指数(2026/03 期=100))× 価格 2.40(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 288 億円・営業利益 22 億円。取扱量1.20倍・価格1.34倍・利益率7.8%
- 建築コンサルティング:数量 95.0(コンサル案件と加盟店の上棟の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.66(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 63 億円・営業利益 2 億円。取扱量0.95倍・価格1.34倍・利益率3.5%
- 住宅(分譲・注文・リフォーム):数量 95.0(販売・完工棟数の指数(2026/03 期=100))× 価格 1.57(億円/指数 1(売上を棟数の指数で割った実効単価))→ 売上 149 億円・営業利益 3 億円。取扱量0.95倍・価格1.34倍・利益率2.3%
- 美容・健康(化粧品・健康食品):数量 130(販売個数の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.90(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 117 億円・営業利益 6 億円。取扱量1.30倍・価格1.34倍・利益率5.5%
- その他(Yesmart・ワイン卸・買取大吉):数量 160(店舗と販売量の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.26(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 41 億円・営業利益 0 億円。取扱量1.60倍・価格1.34倍・利益率0.0%
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.8% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.0 倍。全体の PER 12.99 倍、時価総額 351 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:定期サービスが緩やかに伸び、利益率が 5% に収まる中心の筋書き。過去 10 年で営業利益率は 4〜6% の帯にあったので、最も厚くした。
やや悲観 24% 人手と家賃の上昇を転嫁できず、住宅関連が落ち込む 利益 13 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 305 円124 億円
人手と家賃の上昇を価格に転嫁できず、住宅関連の落ち込みが続く筋書きだ。クリクラの価格改定が顧客の離反を招き、レンタルは人件費と車両費で利益率が下がる。建築コンサルは地場工務店の廃業が続き、取扱量が 4 分の 3 に縮む。住宅は着工の減少で 2 割減る。営業利益率は 3% に下がる。配当は純資産の 4% を守るが、純利益の大半を占める。
(名目の前提)水の価格・清掃のレンタル料・住宅の販売価格・化粧品の単価は、物価に連れて上がる。取扱量は実質(顧客の数・棟数・個数)で置いた。人件費・燃料費・家賃も同じ速さで上がるので、利益率は物価で勝手に下がらない。
(自己資本の流れ)前期の純利益 16 億円から流した。減価償却は物価で増やさず、今ある設備(クリクラの製造設備・ボトル・サーバー、ダスキンの店舗設備)は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で 6 年に按分した。償却は今の約 9 億円が 10 年後に約 9 億円(物価で一律に増やすと約 12 億円)。賃借料は営業費用に入れたままで、毎年の約 17 億円が物価で上がる。投資は賃借と内部の資金で賄え、借入は増えない。
- クリクラ(宅配水・ウォーターサーバー):数量 97.0(顧客数と配送量の指数(2026/03 期=100))× 価格 2.05(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 199 億円・営業利益 19 億円。取扱量0.97倍・価格1.28倍・利益率9.5%・償却は物価で増やさず按分(全社の10年後 9億円)
- レンタル(ダスキン・ウィズ・法人清掃):数量 108(定期顧客と店舗の指数(2026/03 期=100))× 価格 2.33(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 252 億円・営業利益 16 億円。取扱量1.08倍・価格1.30倍・利益率6.2%
- 建築コンサルティング:数量 75.0(コンサル案件と加盟店の上棟の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.62(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 46 億円・営業利益 0 億円。取扱量0.75倍・価格1.25倍・利益率1.0%
- 住宅(分譲・注文・リフォーム):数量 80.0(販売・完工棟数の指数(2026/03 期=100))× 価格 1.52(億円/指数 1(売上を棟数の指数で割った実効単価))→ 売上 122 億円・営業利益 2 億円。取扱量0.80倍・価格1.30倍・利益率1.5%
- 美容・健康(化粧品・健康食品):数量 105(販売個数の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.86(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 90 億円・営業利益 3 億円。取扱量1.05倍・価格1.28倍・利益率3.0%
- その他(Yesmart・ワイン卸・買取大吉):数量 120(店舗と販売量の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.24(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 29 億円・営業利益 −1 億円。取扱量1.20倍・価格1.25倍・利益率-3.0%
倍率:事業の ROE 4.8% は資本コスト 7.75% を下回る。PER の上限は 1÷k=12.5 倍。利益率が下がり利益の質が落ちるので、約 7.6 割の 9.5 倍に置いた。余り資産は立てていない。
確率:人手と家賃の上昇、住宅着工の減少、ダスキンへの依存という慎重な見方が強い。10 年で売上が横ばいだった実績もあるので、強気の見方より厚く置いた。
悲観 10% 競争と契約条件の悪化で、定期サービスが細る 利益 0 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 286 円116 億円
構造的な負けの筋書きだ。クリクラは宅配水の競争とボトルの再利用の費用で顧客が減り、価格を上げられない。ダスキンのフランチャイズ契約の条件が悪化するか、更新で費用が増え、レンタルの利益率が 4% に下がる。地場工務店の廃業が続いて建築コンサルは 6 割縮み、住宅は着工の減少で 3 分の 2 に落ちる。その他の新規事業は損失が続き、買収したのれんの減損も出る。営業利益はほぼゼロになる。配当は利益の範囲に収まる。
(名目の前提)水の価格・清掃のレンタル料・住宅の販売価格・化粧品の単価は、物価に連れて上がる。取扱量は実質(顧客の数・棟数・個数)で置いた。人件費・燃料費・家賃も同じ速さで上がるので、利益率は物価で勝手に下がらない。
(自己資本の流れ)前期の純利益 16 億円から流した。減価償却は物価で増やさず、今ある設備(クリクラの製造設備・ボトル・サーバー、ダスキンの店舗設備)は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で 6 年に按分した。償却は今の約 9 億円が 10 年後に約 8 億円(物価で一律に増やすと約 12 億円)。賃借料は営業費用に入れたままで、毎年の約 17 億円が物価で上がる。損失の期は投資を絞り、のれんの減損で自己資本が下に外れる。
- クリクラ(宅配水・ウォーターサーバー):数量 85.0(顧客数と配送量の指数(2026/03 期=100))× 価格 1.93(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 164 億円・営業利益 11 億円。取扱量0.85倍・価格1.20倍・利益率7.0%・償却は物価で増やさず按分(全社の10年後 8億円)
- レンタル(ダスキン・ウィズ・法人清掃):数量 90.0(定期顧客と店舗の指数(2026/03 期=100))× 価格 2.19(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 197 億円・営業利益 8 億円。取扱量0.90倍・価格1.22倍・利益率4.0%
- 建築コンサルティング:数量 40.0(コンサル案件と加盟店の上棟の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.57(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 23 億円・営業利益 −1 億円。取扱量0.40倍・価格1.15倍・利益率-4.0%
- 住宅(分譲・注文・リフォーム):数量 65.0(販売・完工棟数の指数(2026/03 期=100))× 価格 1.46(億円/指数 1(売上を棟数の指数で割った実効単価))→ 売上 95 億円・営業利益 0 億円。取扱量0.65倍・価格1.25倍・利益率0.0%
- 美容・健康(化粧品・健康食品):数量 80.0(販売個数の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.80(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 64 億円・営業利益 0 億円。取扱量0.80倍・価格1.20倍・利益率0.0%
- その他(Yesmart・ワイン卸・買取大吉):数量 70.0(店舗と販売量の指数(2026/03 期=100))× 価格 0.22(億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価))→ 売上 16 億円・営業利益 −1 億円。取扱量0.70倍・価格1.15倍・利益率-8.0%
倍率:床は今の自己資本 231 億円に 0.50 を掛けた。稼ぐ力は営業利益ほぼゼロで、売れる資産の税後 125 億円(floor_assets_oku)が下を支える。清算されない限り、現金の使い方は少数株主には決められず、ダスキンが 28% を持つので、床を少し下回る位置に置いた。
確率:宅配水の競争とダスキンとの契約条件の悪化、住宅関連の縮小が重なる筋書き。純現金と自己資本比率 59% があり倒産は置かず、1 割に抑えた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
クリクラ(宅配水・ウォーターサーバー)
宅配水「クリクラ」と浄水型サーバーの製造販売。直営の顧客と全国約 400 社の加盟店。
| 数量顧客数と配送量の指数(2026/03 期=100) | 価格億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.61 | 161 | 18 |
| 10 年後 中立 | 105 | 2.15 | 226 | 26 |
取り方:クリクラ事業の売上 160.50 億円を、顧客数と配送量の指数 100 で割った実効単価(顧客数は開示がなく、筆者の推定で指数にした)。営業利益 18.46 億円は決算のセグメント利益。ボトルの価格改定と複数年プランで解約が想定を下回った。価格は物価並み。
レンタル(ダスキン・ウィズ・法人清掃)
ダスキンのフランチャイズ(ケアサービス、ヘルスレント)、害虫駆除器、法人向け定期清掃、原状回復。
| 数量定期顧客と店舗の指数(2026/03 期=100) | 価格億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.79 | 179 | 15 |
| 10 年後 中立 | 120 | 2.40 | 288 | 22 |
取り方:レンタル事業の売上 179.36 億円を、定期顧客と店舗の指数 100 で割った実効単価(顧客数は開示がなく、筆者の推定)。営業利益 14.83 億円は決算のセグメント利益。新規出店 3 店舗と加盟店の承継で伸ばす。売上原価の 4 割強はダスキンからの借受けと買取り。
建築コンサルティング
地場工務店向けの経営コンサルと商品販売、住宅フランチャイズ(エースホーム)、スマートエネルギー。
| 数量コンサル案件と加盟店の上棟の指数(2026/03 期=100) | 価格億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.49 | 49 | 1 |
| 10 年後 中立 | 95.0 | 0.66 | 63 | 2 |
取り方:建築コンサルの売上 49.30 億円を、案件と上棟の指数 100 で割った実効単価(件数は開示がなく、筆者の推定)。営業利益 0.92 億円は決算のセグメント利益で、前年から 77% 減った。粗利の高いコンサル部門の減収が響いた。
住宅(分譲・注文・リフォーム)
東京 23 区の分譲住宅(ケイディアイ)、注文住宅(ジェイウッド)、秀和住研。
| 数量販売・完工棟数の指数(2026/03 期=100) | 価格億円/指数 1(売上を棟数の指数で割った実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.17 | 117 | 3 |
| 10 年後 中立 | 95.0 | 1.57 | 149 | 3 |
取り方:住宅事業の売上 116.86 億円を、棟数の指数 100 で割った実効単価(棟数は開示がなく、筆者の推定)。営業利益 2.78 億円は決算のセグメント利益。着工の遅れで分譲の在庫が確保できず、減収だった。価格は地価と建築費で物価並みかそれ以上。
美容・健康(化粧品・健康食品)
JIMOS(MACCHIA LABEL、SINN PURETÉ)、トレミー(化粧品の受託製造、健康食品)。
| 数量販売個数の指数(2026/03 期=100) | 価格億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.67 | 67 | 2 |
| 10 年後 中立 | 130 | 0.90 | 117 | 6 |
取り方:美容・健康の売上 66.94 億円を、販売個数の指数 100 で割った実効単価(個数は開示がなく、筆者の推定)。営業利益 2.47 億円は決算のセグメント利益で、広告販促の強化で 26% 減った。
その他(Yesmart・ワイン卸・買取大吉)
韓国食品スーパー Yesmart(7 店舗)、TOMOE ワインアンドスピリッツ、買取大吉(6 店舗)のフランチャイズ。
| 数量店舗と販売量の指数(2026/03 期=100) | 価格億円/指数 1(売上を指数で割った実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.19 | 19 | −2 |
| 10 年後 中立 | 160 | 0.26 | 41 | 0 |
取り方:その他の売上 19.33 億円を、店舗と販売量の指数 100 で割った実効単価(開示がなく、筆者の推定)。営業損失 2.31 億円は決算のセグメント損益。新規事業の立ち上げ費用が先行した。2027 年 3 月期は新規出店を抑え、損失幅が縮む見込み。
リスクと懸念
ダスキンへの依存
レンタル事業の売上原価の 4 割強(42%)が、ダスキンからの借受けと買取りだ。フランチャイズ契約の条件や商品の仕入れ値が変われば、利益が動く。ダスキンは筆頭株主(27.9%)でもあり、契約の更新で立場が弱くなるおそれがある。
住宅関連の構造的な縮小
住宅着工の減少、建築基準法の改正による工期の長期化、地場の工務店の廃業が続く。建築コンサルの営業利益は 2026 年 3 月期に 77% 減り、住宅事業も 30% 減った。分譲は東京 23 区の地価高騰で仕入れの競争が激しい。回復は会社予想ほど速くない可能性がある。
人件費・燃料費・家賃の上昇
配送員、清掃員、販売員の賃金が上がり、燃料費も増えた。賃借料は年約 17 億円(本社、クリクラとレンタルの設備、車両リース)で、固定の約束だ。価格に転嫁できなければ、営業利益率の 4〜6% の帯が、下に抜ける。
新規事業の損失と資本配分
Yesmart、買取大吉、ワイン卸の新規事業は、2026 年 3 月期に営業損失が 2.3 億円出た。新規出店は抑えるが、黒字化には時間がかかる。買収したのれんの償却は年約 2 億円で、統合が進まなければ減損の種になる。
宅配水の競争と為替
宅配水は競争が激しく、サーバーは韓国ウォン建てで輸入する。円安が進めば仕入れ価格が上がる。ボトルの価格改定で解約が一時的に増えた経緯があり、再度の値上げの余地は限られる。
新リース会計基準による数字の形の変化
新リース会計基準が 2028 年 3 月期から適用されると、車両や設備、店舗の賃借の約束が貸借対照表に載る。自己資本比率が下がって見えるが、現金の流れは変わらない。10 年後の数字は、賃借料を営業費用に入れた今の形で置いた。
AI による代替の影響
建築コンサルの助言や資料づくりは、AI で代替されやすい。会社は AI ツールの外販に切り替えるが、売上の実績はまだない。工務店向けの助言が AI で足りるようになれば、粗利の高い部門が縮む。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期の営業利益が 28 億円に届いたら
- 建築コンサルの回復と新規事業の損失縮小が確かめられる。中立の利益率を 5% に置く根拠が強まる。
- 営業利益率が 5.7% を超えて定着したら
- 過去 12 年の山を超える。定期サービスの利益率の上昇が効いた証拠として、楽観側へ確率を移してよい。
- クリクラの営業利益率が 12% を超え、解約率が低いままなら
- 価格改定と複数年プランが定着した証拠になる。クリクラの利益率の置き方を上げる。
- ダスキンとのフランチャイズ契約の条件が変わるか、借受け価格が上がったら
- レンタルの利益率を下げ、悲観側へ確率を移す。
- 住宅着工が回復せず、建築コンサルの営業利益が 1 億円を下回り続けたら
- 住宅関連の取扱量の置き方を見直す。やや悲観側の重みを増やす。
- ダスキンやヤマダホールディングスが持分を動かすか、公開買付けが出たら
- 筆頭株主が 28% を持つので、決めるのはダスキンと上位株主だ。買付けの値段を利益ベースの価値と比べる。
見ておくもの
- 営業利益率(2026 年 3 月期の 4.2% から、会社予想の 4.4% 以上へ戻るか)
- クリクラの営業利益率と解約率(複数年プランの浸透)
- 建築コンサルと住宅の営業利益(2027 年 3 月期に 2.3 億円と 2.6 億円へ戻るか)
- 新規事業(その他)の営業損失(2.3 億円から 1.8 億円へ縮むか)
- ダスキン加盟店の承継の件数と、中期計画(2028 年 3 月期に営業利益 33 億円)の進み方
倍率と資本コストの決め方
今の株価や PER から筋書きを作らず、六つの事業の取扱量の指数(筆者の推定)と名目の単価から営業利益を積んだ。資本コストは 7.75%(基本 7.5% に循環と値決め力の+0.5%)。中立は ROE が 8% 弱で k とほぼ同じ水準で、正当化 PER は上限の 12.5 倍、その約 9 割弱の 11.2 倍に置いた。今期の会社予想(営業利益 28 億円)は出発点としてだけ使った。新リース会計基準(2028 年 3 月期)で貸借対照表の形が変わるが、10 年後の数字は今と同じ形(賃借料を営業費用に入れた形)で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.2→15.29 倍・やや楽観 PER 11.5→14.3 倍・中立 PER 11.2→12.99 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +0.5% を足した 8.0%。事業は傾いていないので上乗せは置かない。ダスキンへの依存と新規事業の損失は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.75%。