結論
メンタルヘルステクノロジーズは、企業に産業医・保健師のサービスを提供し、病院には看護補助者などの人材を送り込む会社である。筆者の結論は「割高」だ。産業保健の顧客基盤には評価すべき強みがあるものの、現在の時価総額には、買収で広げた事業が長く成長し、高い利益を残すという期待がかなり含まれている。
最も魅力的なのは、産業医クラウドの解約率の低さである。2026年上期の月次解約率は大企業向け0.1%、中小企業向け0.4%と開示されている。法律に関わる業務を外部に任せた企業が簡単には契約を切らないことは、長期株主にとって大きな利点だ。ただし、この数字は産業医の役務とクラウドを組み合わせた契約のものであり、ソフトウェア単独の競争優位を証明するものではない。
2025年の連結売上高は64.3億円、営業利益は約6億円である。2026年上期には売上高が約41億円へ伸びたが、営業利益の伸びは小さく、医療人材事業の採算も悪化した。2028年に売上高150億円、営業利益20億円を目指す計画は魅力的だが、過去の目標から達成年度が延びた事実も重い。
10年後には病院の人手不足と産業保健の制度需要が残る。一方、事務作業や画面操作の多くはAIエージェントに代わりうる。財務面では純有利子負債が約11億円あり、のれんは親会社株主に帰属する自己資本を上回る。五つの筋書きを確率で評価した現在価値は約57.3億円となり、基準時価総額約83.5億円を約31%下回る。事業の必要性と、今の株価で長く持つ価値は分けて考えたい。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、企業が社会に必要とされることと、株主が優れた利回りを得られることを分けなければならない。産業医の配置や病院の看護補助は、10年後も必要な仕事だ。とりわけ、解約率の低い産業医クラウドの契約には、継続的な収益を生む資産として価値がある。顧客の安全衛生業務に深く入り込むほど、競合が奪いにくくなる。
しかし、所有者として受け取れる利益は、連結営業利益そのものではない。病院人材事業では、売上が増えるほど採用、教育、欠員補充にお金が要る。産業医事業でも医師の確保や品質管理が欠かせず、2026年以降は復職支援施設の運営費も加わる。事業を維持するための負担を引いた後、借入返済や株主還元に使える現金がどれだけ残るかを重視したい。
さらに、過去の高ROEを将来へそのまま延ばすことはできない。2024年以降、買収によって利益率の異なる事業が加わり、のれんと負債も大きくなった。医療現場の人員を増やしても、採用した人の稼働率が下がれば、追加投資の利回りは急速に悪化する。高い利益率の産業保健事業と薄利の人材事業を一社にまとめたことが、株主に本当に有利だったかは、まだ検証の途中である。
評価の最後に必要なのは安全域だ。産業保健の顧客基盤がさらに広がり、病院から継続的に受託できれば価値は大きく増える。その反対に、AIによる事務需要の減少や買収先の収益悪化が起きた場合、のれんは株主を守る換金資産にならない。筆者は事業の成長余地を認めるが、現在の価格で不確実な将来利益を先払いすることには慎重である。
何で稼ぐ会社か
事業の中心は三つある。第一はメンタルヘルスソリューション事業で、2025年の売上高は30.5億円、セグメント利益は8.9億円だった。子会社Avenirなどが産業医・保健師の役務と健康管理クラウド「ELPIS」を組み合わせ、「産業医クラウド」として企業へ提供する。ストレスチェック、衛生委員会、面談、健康相談といった日々の対応が契約継続の理由になる。
この事業は、大企業向けのENTと中小企業向けのSMBで契約単価が大きく異なる。2026年6月末のAvenirの契約はENT252グループ、SMB2,139社で、開示された月額契約単価はそれぞれ約68.6万円、4.7万円である。大企業の複数拠点をまとめて支援する仕事と、中小企業が最低限の産業保健機能を買う仕事では、必要な医師の時間も顧客の値決めへの反応も違う。
第二はメディカルワークシフト事業である。2024年に買収したタスクフォースが病院に看護補助者や事務系人材を派遣・配置する。2025年の売上高は32.7億円と全社の過半を占めたが、セグメント利益は2.7億円にとどまった。医療現場に実際に人を配置するため、単なるソフトウェアでは代替できない反面、人件費上昇、採用費、欠員、病院からの値下げ要求が収益を左右する。
第三の柱として、2026年3月には復職支援施設「ニューロリワーク」を運営するインクルードを約5.9億円で取得した。企業の産業保健から休職者の復職まで支援をつなげる構想には筋が通る。ただし、2025年の連結実績には同社の売上高は含まれず、将来の拠点拡大や紹介連携の成功もまだ実績ではない。その他には医師の職業紹介や医療分野のマーケティングがあり、AIによる業務代替を受けやすい。
優良さと弱いところ
最も確かな競争力は、継続契約と産業保健の運用実績である。2026年上期の月次解約率はENT0.1%、SMB0.4%で、顧客が労働安全衛生上の業務を安心して任せられることに価値がある。産業医の手配だけでなく、拠点ごとの運営、保健師との連携、相談履歴を扱うため、顧客が変更を嫌う理由も理解できる。継続利用者にサービスを追加する余地もある。
ただし、ここから強い独占力まで認めるのは早い。開示された低解約率は医師の役務を含む契約全体の数字であり、ELPIS単独の解約率、競合からの乗換期間、法改正のたびに実施した値上げ幅は確認できない。ドクタートラストやアドバンテッジリスクマネジメントなどとの競争があり、顧客の健康情報が存在するだけで、その記録が業界唯一の正本になるわけでもない。
資本効率にも注意がいる。2022年と2023年には高いROEを残したが、2024年の大型買収後には利益が落ち込み、2025年のROEは約19%となった。タスクフォースの買収で連結売上高は大きく増えた一方、借入と約17.2億円ののれんを抱えた。2025年の親会社株主に帰属する自己資本は約13.7億円であり、買収先の価値が毀損した場合の余裕は厚くない。
産業医クラウドの顧客維持力は本物だが、グループ全体で見れば医療人材の薄利、買収した拠点の運営、事務サービスの技術代替が混在する。価格を自由に上げられる会社でも、再投資が必ず高い利回りを生む会社でもない。堀は局所的に存在し、会社全体の堀はまだ普通の幅だと考える。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
産業保健には、法律が需要の下支えになる強みがある。一定規模以上の事業場では産業医の選任やストレスチェックなどの対応が求められ、企業は継続的に人と仕組みを整えなければならない。厚生労働省の制度改正により、従業員50人未満の事業場へのストレスチェック義務も2028年4月から広がる。ただし、これを小規模事業場すべてに産業医の選任義務が生じることと混同してはならない。低価格の検査サービスやクラウドだけで済む顧客も増える。
会社資料が引用する事業所統計では、従業員1,000人以上の企業は約3,838社、50~999人は約9万5,316社である。2025年末のAvenirの契約数を当てはめると、大企業層では約5.8%、50~999人層では約2.1%という会社の示すカバー率になる。現在の契約単価と対象企業数から単純計算した年間の潜在支出は、両層の合計で約770億円となる。ただし、全社が外注する前提の理論値であり、実際に取引されている市場規模ではない。
競合ではドクタートラストが産業医契約企業数6,000社超を公表し、アドバンテッジリスクマネジメントは広い健康支援領域の顧客基盤を持つ。両社の契約範囲は異なるため、単純な社数比較でメンタルヘルステクノロジーズの市場順位を確定できない。産業医の質と対応地域、価格、既存システムとの接続が争点になる。
病院人材の市場では、看護補助者の人手不足と病院経営の厳しさが同時に進む。会社資料にある2023年の看護補助者約15.9万人、外部委託・派遣利用率約7.4%を出発点とすれば、外部人材は約1.2万人である。現時点のタスクフォースの看護補助者相当人数を約730人と推計すると、その市場での取り分は約6%となる。2035年には外部活用比率が約13%へ上がり、同社が約1,700人を配置する余地はあるが、病院の支払能力と採用可能人数が制約になる。
技術革新の影響は事業ごとに異なる。医師による判断、患者への身体的な補助、復職支援の対面対応は残りやすい。一方、診療記録の転記、事務員の入力作業、企業への定型報告、面談予約、研修資料作成、紹介候補者の照合はAIエージェントによる代替が進みうる。人手不足という追い風を、すべての業務量が増える理由にしてはならない。
資本政策と M&A
資本配分の評価を決めるのは、買収した事業から十分な利益と現金が戻るかどうかだ。2014年のAvenirへの出資後、2022年に明照会労働衛生コンサルタント事務所、2024年にタスクフォースとみらい産業医事務所、2026年にインクルードを取得した。医師ネットワークから病院人材、復職支援へ範囲を広げる戦略は理解できるが、タスクフォースの利益率は売上拡大ほど改善していない。
2026年3月に更新された中期目標は、2028年12月期の売上高150億円、営業利益20億円、ストック売上比率95%以上である。以前掲げた2027年12月期の売上高100億円、営業利益20~25億円という目標から、利益達成年度を後ろへ送った。新たな買収を織り込まない計画だが、ROE、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額については数字の約束なしである。
2025年には初めての年間配当と株主優待を導入した。配当総額は約1.05億円で、株主優待引当金は約1.19億円に達し、営業外費用として計上された。200株以上の株主に対するデジタルギフトは、継続保有で受取額が増える仕組みである。優待は株主への経済的な還元だが、同時に利益を減らす支出でもあり、両面を評価する必要がある。
2026年2月時点の潜在株式は約108.7万株で、当時の希薄化後発行済株式数の約9.4%に相当した。2026年に発行された第14回新株予約権には、EBITDAの達成条件と行使価額が設けられている。業績が伸びる筋書きほど権利行使が進むと考え、既存株主の取り分を分けて評価した。借入金の返済、買収対価、優待費用、希薄化を合わせて見ると、今後の成長投資には高い資本配分規律が必要である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
産業医クラウドの継続率は、まだ小さな企業が全国規模の顧客基盤を築くうえで強い武器になる。大企業には複数拠点を一括管理する複雑な需要があり、産業医の手配だけでなく、健康データの管理や社内対応の標準化まで任せる価値がある。2026年上期には大企業向けの契約数と単価がともに改善しており、既存契約への追加サービスという成長の道筋も見えている。
ストレスチェックの対象拡大は中小企業への接点を増やす。小さな顧客が最初は検査だけを買い、従業員の増加や健康問題への対応を機に専門職の支援を追加することも考えられる。産業保健の制度は長く続く可能性が高く、病院向けの身体介助や復職支援施設のようにAIだけでは完結しない仕事も持っている。事務作業が自動化されれば、専門職をより高い価値のある仕事に集中させられる。
医療人材事業にも大きな可能性がある。病院が看護補助者を直接採用し続ける負担は大きく、外部委託比率が高まれば、タスクフォースの既存病院で稼働する人員が増える。インクルードを通じて休職から復職まで支えることで、企業と医療の双方から紹介が生まれるかもしれない。これらが実現すれば売上高は現在の数倍となり、本社費用を吸収しながら利益が伸びる。
2025年に連結営業利益が大きく回復したことは、2024年の低利益が永続するわけではない証拠でもある。買収後の運営統合が進み、既存の顧客網で営業費用を分担できれば、利益率の改善余地は大きい。好調な筋書きでは追加買収に頼らなくても現場の稼働と契約数が増え、株主還元を拡大する余力が生まれる。
慎重な見方
低解約率という長所を、強い価格決定力と取り違えてはならない。産業医クラウドは医師の役務とクラウドの組み合わせであり、契約を維持するためには医師を確保し続ける必要がある。競争相手には産業医紹介を専門とする会社だけでなく、大きな企業向け健康支援基盤を持つ会社もある。サービスの品質を守るための費用が値上げを上回れば、売上が伸びても利益は増えにくい。
より深い問題は買収後の事業構成だ。2025年にグループ売上の過半を占めたメディカルワークシフト事業は、セグメント利益率が約8%にすぎなかった。2026年上期には売上が伸びる一方で利益率が低下した。労働集約的な事業を広げるほど、採用費や社会保険費の増加、契約更新時の価格交渉が会社全体の利益を抑える。病院の人手不足は、顧客が無制限に高い単価を払えることを意味しない。
AIエージェントはこの弱さを強める可能性がある。医療事務、企業向けの定型報告、研修、候補者照合、クラウドの画面操作などは、従来の人数や作業時間による課金が崩れうる領域だ。業務を効率化しても顧客が料金を引き下げれば、削減した費用がそのまま同社の利益になるとは限らない。ELPISについても、記録の唯一の正本を保有するという証拠は不足している。
財務面での余裕も大きくない。2025年末には親会社株主に帰属する自己資本約13.7億円に対して、のれんが約17.2億円あった。銀行借入の借り換え金利が上昇し、買収した施設や人材事業の採算が崩れれば、減損と利払いが同時に重くなる。新株予約権による希薄化と、利益に対して大きい株主優待費用も、旧株主に残る価値を少なくする。
どちらに重みを置いたか
産業保健の制度需要と低解約率では強い見方に根拠がある。一方、医療人材の薄利、買収のれんの大きさ、優待費用、新株予約権による希薄化は、会社固有の確認できる弱点である。AI代替は事務系の数量と長期成長率に既に反映し、同じ理由で資本コストを重ねて上げていない。それでも財務と資本配分の不確実性は残るため、確率はやや悲観と悲観を合わせて43%とし、上側25%より厚くした。現在価値は約57.3億円で、基準時価総額を約31%下回る。最も重要な逆転材料は、買収後の現金創出力が計画どおり改善することである。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 859 円90 億円(+ 還元の換算額還元の合計 241 円25 億円)。 今の値に割り戻すと 562 円59 億円、今との差 −26.1%、 期待の年率 +4.3%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,463 円364 億円 | 477 円50 億円 | +418.4% | +19.8% | 315 円33 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,817 円191 億円 | 373 円39 億円 | +188.1% | +12.6% | 372 円39 億円 |
| 中立 | 32% | 816 円86 億円 | 277 円29 億円 | +43.9% | +4.3% | 350 円37 億円 |
| やや悲観 | 28% | 38 円4 億円 | 140 円15 億円 | −76.5% | −19.7% | 50 円5 億円 |
| 悲観 | 15% | 10 円1 億円 | 76 円8 億円 | −88.6% | −29.2% | 13 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 859 円90 億円 | 241 円25 億円 | +44.8% | +4.3% | 1,100 円116 億円 |
今の株価時価総額 760 円80 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 産業保健のシェア拡大と病院人材の外注化が重なる 利益 30 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,463 円364 億円
産業保健の外部委託が進み、大企業向けの産業医契約は620グループへ広がる。複数拠点を持つ企業から包括的な運営を任され、専門職の質を維持しながら価格の改善も続く。中小企業でも検査制度への対応を契機に、単なるソフトウェアから専門職の支援へ契約を広げる企業が増える。
病院では看護補助業務の外部化が加速し、タスクフォースの現場配置スタッフは3,100人相当まで増える。インクルードの復職支援施設も65拠点へ拡大し、産業保健から復職までの紹介連携が機能する。人材の採用・教育と拠点管理は順調に進み、営業利益率は再び高い水準へ戻る。
ELPISや事務BPOは、楽観でもAIによる利用単位の大幅増加を見込まない。収益の上振れは、医師と病院スタッフによる実際の役務、顧客シェアの上昇、復職支援の拠点拡大によって生まれる。利益増加に合わせて配当を増やす一方、新株予約権の行使も進み、既存株主の持分は薄まる。
- 大企業向け産業医・保健師の役務:数量 620(年度平均の大企業契約グループ相当数)× 価格 0.01(1グループ当たり月額収入のうち人的役務相当額、億円)→ 売上 56 億円・営業利益 19 億円。大企業契約620組、名目単価は2025年の1.50倍。
- 大企業向けELPIS・定型運用:数量 209(大企業向け有償システム稼働の契約グループ換算数)× 価格 0.00(1グループ換算当たり月額ソフト・定型運用収入、億円)→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。AI対象の数量は2025年の1.00倍を上限、価格1.15倍。
- 中小企業向け産業保健の人的役務:数量 7,200(年度平均の中小企業契約社数)× 価格 0.00(1社当たり月額人的役務収入、億円)→ 売上 41 億円・営業利益 12 億円。中小企業の専門職支援を7,200社へ拡大。
- 中小企業向けELPIS・定型運用:数量 1,900(中小企業向け有償システム稼働の契約社換算数)× 価格 0.00(1社換算当たり月額ソフト・定型運用収入、億円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。ソフト有効数量は横ばい、価格1.15倍。
- クリニック運営支援・産業保健の周辺BPO:数量 100(年間の受託案件相当数、分析用推定)× 価格 0.07(1案件年当たりの売上高、億円)→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。BPO業務量は横ばい、価格は物価相当まで。
- 病院向け看護補助・身体介助の現場人材:数量 3,100(年間の看護補助系配置スタッフ相当人数)× 価格 0.04(配置スタッフ1人相当当たりの年間売上高、億円)→ 売上 128 億円・営業利益 15 億円。病院の外注化と採用能力の増強が進む。
- 病院向け医療事務・定型支援人材:数量 393(年間の医療事務系配置スタッフ相当人数)× 価格 0.04(配置スタッフ1人相当当たりの年間売上高、億円)→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。事務系人員は横ばい、単価は物価相当まで。
- 医師紹介・医療系マーケティング:数量 30.0(年間の紹介・運用案件相当数、分析用推定)× 価格 0.05(1案件当たりの年間売上高、億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI対象業務量は横ばいを上限とする。
- インクルードの復職支援施設:数量 65.0(年間稼働する復職支援施設数)× 価格 0.62(1施設当たり年間売上高、億円)→ 売上 40 億円・営業利益 6 億円。復職支援施設65拠点が高稼働する。
倍率:資本コスト8.0%、長期名目成長率g_long=0%。10年後のROEは約25.4%で資本コストを上回るが、正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)にg=0を適用すると12.50倍になる。普通の堀として増分ROICの超過収益の残存率は1/2とする。高成長は2035年までの純利益29.5億円に反映し、永続成長を倍率へ重ねない。時価総額は29.5×12.5=368.75億円。10年累計純利益150億円、株主還元55億円、新株予約権の行使による払込金約7.5億円の仮定から自己資本116.2億円とする。
確率:産業医クラウドの低解約率と病院の人手不足が同時に収益成長へ結び付く場合である。大企業の契約グループ数が大きく伸び、病院人材の採用能力も現在の数倍になる必要があるため、実現可能だが高い確率は付けない。
やや楽観 17% 主力契約の拡大と病院人材の採算改善が続く 利益 16 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,817 円191 億円
産業医クラウドは解約率の低さを保ち、大企業の契約が500グループまで増える。複数拠点の一括管理や産業医の質の向上が選ばれる理由となり、契約単価の上昇が医師の人件費増加を補う。中小企業でも専門職の支援を受ける企業が増えるが、低価格の検査サービスとの競争は続く。
タスクフォースの看護補助系スタッフは約2,400人相当へ増える。病院の業務設計を改善することで稼働率が上がり、採用費の負担も売上拡大によって吸収する。復職支援は48拠点へ増え、企業からの紹介と地域の医療機関からの利用が定着する。
一方、定型業務やELPISの利用単位はAIの影響で伸びない。追加利益の中心は現場で人が提供するサービスにあり、10年後には買収の統合負担が相対的に軽くなる。株主還元は拡大するが、業績条件を満たす新株予約権の行使によって既存株主の取り分は減る。
- 大企業向け産業医・保健師の役務:数量 500(年度平均の大企業契約グループ相当数)× 価格 0.01(1グループ当たり月額収入のうち人的役務相当額、億円)→ 売上 42 億円・営業利益 13 億円。大企業契約500組、専門職サービスの単価改善。
- 大企業向けELPIS・定型運用:数量 190(大企業向け有償システム稼働の契約グループ換算数)× 価格 0.00(1グループ換算当たり月額ソフト・定型運用収入、億円)→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。AI対象の有効数量は2025年の約0.91倍。
- 中小企業向け産業保健の人的役務:数量 5,200(年度平均の中小企業契約社数)× 価格 0.00(1社当たり月額人的役務収入、億円)→ 売上 28 億円・営業利益 8 億円。中小企業への専門職支援が拡大。
- 中小企業向けELPIS・定型運用:数量 1,800(中小企業向け有償システム稼働の契約社換算数)× 価格 0.00(1社換算当たり月額ソフト・定型運用収入、億円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。ソフトの数量は減少、単価上昇も限定的。
- クリニック運営支援・産業保健の周辺BPO:数量 90.0(年間の受託案件相当数、分析用推定)× 価格 0.07(1案件年当たりの売上高、億円)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。BPO業務量は2025年の0.90倍。
- 病院向け看護補助・身体介助の現場人材:数量 2,400(年間の看護補助系配置スタッフ相当人数)× 価格 0.04(配置スタッフ1人相当当たりの年間売上高、億円)→ 売上 97 億円・営業利益 10 億円。病院の身体介助業務の外注化が進む。
- 病院向け医療事務・定型支援人材:数量 330(年間の医療事務系配置スタッフ相当人数)× 価格 0.04(配置スタッフ1人相当当たりの年間売上高、億円)→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。事務系の数量は約0.84倍、価格1.30倍。
- 医師紹介・医療系マーケティング:数量 27.0(年間の紹介・運用案件相当数、分析用推定)× 価格 0.04(1案件当たりの年間売上高、億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。医師紹介と広告運用の案件数は微減。
- インクルードの復職支援施設:数量 48.0(年間稼働する復職支援施設数)× 価格 0.56(1施設当たり年間売上高、億円)→ 売上 27 億円・営業利益 3 億円。復職支援施設の拡大と採算改善。
倍率:資本コスト8.0%、長期成長率0%、ROE約18.6%。RONICはkとROEの中間として評価するが、g=0での正当化PERは12.50倍となる。10年後の純利益16.0億円に適用し、全社時価総額は200億円。10年累計純利益108億円、還元43億円、株式権利行使による払込金7.5億円で自己資本86.2億円とする。
確率:大企業への営業が好調で病院の外注化も進むが、楽観ほどシェアを広げない場合である。医療人材の利益率改善は必要だが、既存顧客との取引拡大によって実現する余地がある。
中立 32% 産業保健は成長するが、病院人材の薄利とAI代替が残る 利益 7 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 816 円86 億円
大企業向けの産業医契約は370グループ、中小企業向けの専門職支援は3,300社へ増える。低解約率は保たれるが、競合する産業医サービス会社との比較や、大企業の調達部門による価格交渉が続く。産業医の人的役務は物価と概ね同じ速度で値上がりするものの、ソフトウェアと定型運用の利用単位はAIによって減る。
病院では身体介助業務の外部委託が増え、看護補助系スタッフは約1,700人相当となる。病院が人材不足に対応するためには必要なサービスだが、採用費と社会保険費が上がり、セグメント利益率は大きくは改善しない。医療事務の配置人数は減り、復職支援施設は36拠点まで広がるが、制度報酬や人件費の制約がある。
連結売上高は約151億円となる一方、営業利益は約13.6億円にとどまる。2025年からの売上拡大は本物でも、買収した事業の資本効率と株主への現金還元は限定的だ。2035年までの配当と優待を継続しながら、権利行使に伴う一部の希薄化も受け入れる10年になる。
- 大企業向け産業医・保健師の役務:数量 370(年度平均の大企業契約グループ相当数)× 価格 0.01(1グループ当たり月額収入のうち人的役務相当額、億円)→ 売上 30 億円・営業利益 9 億円。大企業契約370組、対象企業層に対するシェア約10%。
- 大企業向けELPIS・定型運用:数量 171(大企業向け有償システム稼働の契約グループ換算数)× 価格 0.00(1グループ換算当たり月額ソフト・定型運用収入、億円)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AI代替で有効数量0.82倍、価格1.10倍。
- 中小企業向け産業保健の人的役務:数量 3,300(年度平均の中小企業契約社数)× 価格 0.00(1社当たり月額人的役務収入、億円)→ 売上 17 億円・営業利益 5 億円。中小企業で専門職サービスが普及。
- 中小企業向けELPIS・定型運用:数量 1,520(中小企業向け有償システム稼働の契約社換算数)× 価格 0.00(1社換算当たり月額ソフト・定型運用収入、億円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AI代替で有効数量0.80倍、価格1.10倍。
- クリニック運営支援・産業保健の周辺BPO:数量 65.0(年間の受託案件相当数、分析用推定)× 価格 0.07(1案件年当たりの売上高、億円)→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。定型BPO数量0.65倍、価格1.28倍。
- 病院向け看護補助・身体介助の現場人材:数量 1,700(年間の看護補助系配置スタッフ相当人数)× 価格 0.04(配置スタッフ1人相当当たりの年間売上高、億円)→ 売上 66 億円・営業利益 6 億円。看護補助の外注化率上昇とシェア拡大。
- 病院向け医療事務・定型支援人材:数量 255(年間の医療事務系配置スタッフ相当人数)× 価格 0.04(配置スタッフ1人相当当たりの年間売上高、億円)→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。事務系数量0.65倍、価格1.27倍。
- 医師紹介・医療系マーケティング:数量 20.0(年間の紹介・運用案件相当数、分析用推定)× 価格 0.04(1案件当たりの年間売上高、億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。紹介・広告の定型業務が縮小。
- インクルードの復職支援施設:数量 36.0(年間稼働する復職支援施設数)× 価格 0.50(1施設当たり年間売上高、億円)→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。復職支援施設36拠点、制度報酬の制約を反映。
倍率:資本コスト8.0%、2035年以降の名目成長率0%、10年後ROE約14.8%。普通の堀で増分ROICの超過収益残存割合を1/2とするが、g=0の正当化PERは12.50倍となる。純利益7.3億円×12.5=91.25億円。自己資本は2025年の13.7億円に、10年累計純利益62億円、新株予約権の払込金4.5億円を加え、配当・優待等の累計31億円を控除して49.2億円とする。利益が資本コストを上回る期間があっても、2035年以降の追加成長を別に加算しない。
確率:産業保健の制度需要と病院の人手不足は今後も続く一方、契約単価の改善、採用費、事務業務の自動化が収益を相殺する中心的な筋書きである。会社の2028年目標には利益面で届かず、売上高も2035年頃にようやく同水準へ達する見立てとした。
やや悲観 28% 人材事業の利益が細り、産業医契約だけが下支えする 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 38 円4 億円
産業保健の契約は増えるが、価格を巡る競争が強まる。大企業向け契約は310グループにとどまり、中小企業では低価格のストレスチェックや健康相談サービスが広がる。医師による役務は残るものの、顧客が運用を簡素化するため、ソフトウェアとBPOの有効稼働量は減少する。
病院向け人材サービスでは、病院経営の悪化と採用費の上昇が重なる。看護補助系スタッフは約1,120人相当まで増えるが、顧客に十分な値上げを認めてもらえず、営業利益率が低下する。医療事務はAIの導入で配置人数が減り、復職支援施設は25拠点にとどまる。
本社の監査、情報管理、採用管理、のれん関連の費用は簡単には消えないため、全社の営業利益はわずかとなる。それでも、産業医契約が残ることで事業継続は可能であり、会社は株主還元を縮小しながら資金繰りを守る。新株予約権の行使は一部にとどまり、旧株主の持分低下も好調時より小さくなる。
- 大企業向け産業医・保健師の役務:数量 310(年度平均の大企業契約グループ相当数)× 価格 0.01(1グループ当たり月額収入のうち人的役務相当額、億円)→ 売上 22 億円・営業利益 5 億円。契約増加は限定的、価格も物価未満。
- 大企業向けELPIS・定型運用:数量 150(大企業向け有償システム稼働の契約グループ換算数)× 価格 0.00(1グループ換算当たり月額ソフト・定型運用収入、億円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIと低価格競争で有効数量が縮小。
- 中小企業向け産業保健の人的役務:数量 2,700(年度平均の中小企業契約社数)× 価格 0.00(1社当たり月額人的役務収入、億円)→ 売上 13 億円・営業利益 3 億円。中小企業向けの値上げが進まない。
- 中小企業向けELPIS・定型運用:数量 1,250(中小企業向け有償システム稼働の契約社換算数)× 価格 0.00(1社換算当たり月額ソフト・定型運用収入、億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。席・画面の利用価値が低下。
- クリニック運営支援・産業保健の周辺BPO:数量 45.0(年間の受託案件相当数、分析用推定)× 価格 0.06(1案件年当たりの売上高、億円)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。BPO業務量が半分以下へ近づく。
- 病院向け看護補助・身体介助の現場人材:数量 1,120(年間の看護補助系配置スタッフ相当人数)× 価格 0.04(配置スタッフ1人相当当たりの年間売上高、億円)→ 売上 40 億円・営業利益 2 億円。人件費上昇を病院へ転嫁できない。
- 病院向け医療事務・定型支援人材:数量 200(年間の医療事務系配置スタッフ相当人数)× 価格 0.03(配置スタッフ1人相当当たりの年間売上高、億円)→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。事務業務の自動化と契約失注で赤字。
- 医師紹介・医療系マーケティング:数量 15.0(年間の紹介・運用案件相当数、分析用推定)× 価格 0.04(1案件当たりの年間売上高、億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。医師紹介・広告運用が縮小。
- インクルードの復職支援施設:数量 25.0(年間稼働する復職支援施設数)× 価格 0.44(1施設当たり年間売上高、億円)→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。施設稼働と制度単価が伸びない。
倍率:将来自己資本24.2億円ではなく、2025年末の親会社株主帰属自己資本13.7億円を基準にする。企業価値の上限は資本コスト8%に対する継続純利益0.5億円の稼ぐ力6.25億円であり、資産の確認可能な床は0億円と評価する。PBR0.30×現在自己資本13.7億円=4.11億円は、その上限を下回る。過去の株価や市場PBRは根拠にしていない。10年累計純利益24億円、還元15億円、権利行使払込金1.5億円から将来自己資本24.2億円とする。
確率:下に寄せる理由:2025年のMWSセグメント利益率は約8%にすぎず、2026年上期も採算が悪化した。人件費を転嫁できない場合の脆さが実績で確認でき、のれんと借入が大きいため下振れを無視できない。AI数量減少は既にセグメントへ反映し、それだけを理由に確率を追加で引き下げてはいない。
悲観 15% 買収した事業の収益力を失い、産業保健の一部だけが残る 利益 0 億円 · PBR 0.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 10 円1 億円
産業医クラウドは事業を続けるが、競合の価格攻勢や顧客の内製化で契約数が減る。企業は法定対応に必要な医師の役務だけを買い、クラウドの画面操作や定型的な報告業務は自社のAIエージェントで処理する。高付加価値の産業保健支援を売る余地は残るものの、拡大していた収益基盤は小さくなる。
病院人材事業では看護補助系スタッフの配置が約650人相当まで減り、医療事務の利用も縮小する。人材採用の失敗と価格競争により、タスクフォースの買収時に期待した利益は得られない。復職支援施設は一部を閉鎖し、13拠点のみが残る。会社は不要な拠点、採用管理部門、本社機能を大きく整理し、事業規模を縮めて生き残る。
既存契約からわずかな利益は残るが、会社全体では優良企業としての性格を失う。配当と優待の一部は途中で縮小・廃止され、株価上昇を条件とする新株予約権も概ね行使されない。のれんや買収した顧客関係の価値が失われれば、帳簿上の純資産を清算価値とみなすこともできない。
- 大企業向け産業医・保健師の役務:数量 200(年度平均の大企業契約グループ相当数)× 価格 0.01(1グループ当たり月額収入のうち人的役務相当額、億円)→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。大企業向け契約が減り、価格はほぼ据え置き。
- 大企業向けELPIS・定型運用:数量 85.0(大企業向け有償システム稼働の契約グループ換算数)× 価格 0.00(1グループ換算当たり月額ソフト・定型運用収入、億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。ソフト稼働価値が2025年の約4割まで縮小。
- 中小企業向け産業保健の人的役務:数量 1,500(年度平均の中小企業契約社数)× 価格 0.00(1社当たり月額人的役務収入、億円)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。低価格競争で単価が上がらない。
- 中小企業向けELPIS・定型運用:数量 800(中小企業向け有償システム稼働の契約社換算数)× 価格 0.00(1社換算当たり月額ソフト・定型運用収入、億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面型サービスは数量、単価ともに厳しい。
- クリニック運営支援・産業保健の周辺BPO:数量 25.0(年間の受託案件相当数、分析用推定)× 価格 0.06(1案件年当たりの売上高、億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。事務BPOの大半が代替・失注する。
- 病院向け看護補助・身体介助の現場人材:数量 650(年間の看護補助系配置スタッフ相当人数)× 価格 0.03(配置スタッフ1人相当当たりの年間売上高、億円)→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。病院契約の失注と採用難が重なる。
- 病院向け医療事務・定型支援人材:数量 110(年間の医療事務系配置スタッフ相当人数)× 価格 0.03(配置スタッフ1人相当当たりの年間売上高、億円)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。医療事務がAIで置き換わり赤字となる。
- 医師紹介・医療系マーケティング:数量 8.0(年間の紹介・運用案件相当数、分析用推定)× 価格 0.04(1案件当たりの年間売上高、億円)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。紹介・広告制作運用の市場を失う。
- インクルードの復職支援施設:数量 13.0(年間稼働する復職支援施設数)× 価格 0.35(1施設当たり年間売上高、億円)→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。復職支援施設を縮小し、残存拠点のみ運営。
倍率:将来の大きな自己資本へ床倍率を掛けず、今の親会社株主帰属自己資本13.7億円を基準とする。PBR0.08×13.7=1.096億円。継続純利益0.1億円を資本コスト8%で測った稼ぐ力は1.25億円で、正の資産床0億円との大きい方を上限としても1.096億円は収まる。のれん17.176億円を除けば現在の実質自己資本は約マイナス3.48億円であり、現在の帳簿純資産全額を換金可能とみなさない。10年間の純利益合計8億円と還元8億円が概ね相殺し、権利行使収入はないとする。
確率:病院人材の外注化が進まず、AIが事務系の人手需要を減らし、復職支援の施設拡大も失敗する複合的な筋書きである。基盤契約があるため全面消滅を中心にしないが、のれんが自己資本を上回る状態では構造的な業績悪化による旧株主価値の毀損が大きい。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
大企業向け産業医・保健師の役務
ENT顧客に対する産業医・保健師の訪問、面談、相談、運用支援。医師の判断と顧客固有の安全衛生業務が中心で、AIが全面代替する事業とは区別する。
| 数量年度平均の大企業契約グループ相当数 | 価格1グループ当たり月額収入のうち人的役務相当額、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 209 | 0.00 | 13 | 4 |
| 10 年後 中立 | 370 | 0.01 | 30 | 9 |
取り方:会社の2026年上期資料にある2025年各四半期末のENT-MRR約1.24、1.31、1.32、1.35億円を各3カ月分として積算すると年間約15.66億円になる。契約数は2025年各四半期の約187、211、214、223グループから年度平均を約209と推定した。会社は人的役務とELPISの売上を分離していないため、この15.66億円の80%を役務とする分析上の仮定であり、開示された部門別実績ではない。
大企業向けELPIS・定型運用
産業保健契約に付随する管理画面、定型記録、報告支援等の価値を抽出した分析用の区分。会社が独立したSaaSセグメントとして開示しているわけではない。
| 数量大企業向け有償システム稼働の契約グループ換算数 | 価格1グループ換算当たり月額ソフト・定型運用収入、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 209 | 0.00 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 171 | 0.00 | 3 | 0 |
取り方:ENTの推定年間売上15.66億円の20%をソフトウェアと定型運用の分析用売上へ分離した。これは実際のELPISライセンス数や価格を開示から確認した値ではない。低解約率はサービス契約全体の実績であり、記録の正本という堀の証拠には数えない。AIエージェント代替の対象として中立の有効数量を2025年の0.82倍、単価を1.10倍に制限する。
中小企業向け産業保健の人的役務
SMB顧客向けの産業医・保健師の相談、面談、健康管理支援。法制度の必要性はあるが、小規模事業場すべてに産業医選任が必要なわけではない。
| 数量年度平均の中小企業契約社数 | 価格1社当たり月額人的役務収入、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,900 | 0.00 | 8 | 2 |
| 10 年後 中立 | 3,300 | 0.00 | 17 | 5 |
取り方:2025年のSMB-MRRを四半期末約0.75、0.77、0.80、0.82億円と読み、各3カ月分で年間約9.42億円と推定した。四半期末契約数の推移を基に年度平均を約1,900社と推定した。年間売上の80%を医師・保健師等の役務に配賦した分析上の仮定である。2026年6月の開示契約数2,139社、月額単価約4.7万円とは時点と推計方法が異なる。
中小企業向けELPIS・定型運用
SMB契約に内包されたソフトウェア操作、記録管理、報告等の事務的価値。席課金型SaaSと同様の価格・数量圧力を受ける部分として分ける。
| 数量中小企業向け有償システム稼働の契約社換算数 | 価格1社換算当たり月額ソフト・定型運用収入、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,900 | 0.00 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,520 | 0.00 | 2 | 0 |
取り方:推定した2025年SMB契約売上約9.42億円の20%を分析上のソフト・定型運用部分とした。開示された独立売上ではなく、役務契約と合わせれば元のSMB売上に一致する。AIエージェント代替による画面操作と報告作業の減少を考え、中立の有効数量を0.80倍、価格を1.10倍とする。
クリニック運営支援・産業保健の周辺BPO
Avenirの推定継続契約以外に含まれる、グループ各社の産業保健支援、クリニック運営支援等。顧客固有の運用と定型的な人手作業が混在する。
| 数量年間の受託案件相当数、分析用推定 | 価格1案件年当たりの売上高、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.05 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 65.0 | 0.07 | 5 | 1 |
取り方:有報のMHS売上30.535億円から、AvenirのENT・SMB契約MRRを用いた年間推計25.08億円を控除した残余約5.455億円である。子会社別・クリニック別の案件数と単価は開示されていないため、100案件年は実在する契約数ではなく感応度計算用の代理単位である。この区分に高い成長を仮定せず、BPO型のAIエージェント代替として中立数量を0.65倍、単価を物価以下の1.28倍とした。
病院向け看護補助・身体介助の現場人材
タスクフォースが病院内へ配置する看護補助者等の身体的な仕事。看護師の負担軽減に必要であり、事務部分を除けばAIによる完全代替は想定しない。
| 数量年間の看護補助系配置スタッフ相当人数 | 価格配置スタッフ1人相当当たりの年間売上高、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 730 | 0.03 | 21 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,700 | 0.04 | 66 | 6 |
取り方:有報のMWS売上32.6946億円、臨時雇用人員1,123人を基礎とした。役割別人数が未開示のため、看護補助・現場の身体的業務を65%、事務系業務を35%と仮定する。730人相当は1,123人の65%を丸めたもので、実測の常勤換算ではない。病院向け料金の裏付けとして、会社資料の大型病院月額平均390万円、小型病院160万円を確認した。
病院向け医療事務・定型支援人材
タスクフォースの医療現場人材のうち、入力、受付、書類処理、定型連絡などAIや業務自動化による工数削減の影響を受けやすい部分を抽出した。
| 数量年間の医療事務系配置スタッフ相当人数 | 価格配置スタッフ1人相当当たりの年間売上高、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 393 | 0.03 | 11 | 1 |
| 10 年後 中立 | 255 | 0.04 | 9 | 0 |
取り方:MWSの2025年臨時雇用人員1,123人の35%を事務系と仮定した分析用区分であり、職種別の実測人数ではない。看護補助と事務の両区分を合算すると、MWS開示売上32.6946億円、セグメント利益約2.659億円となる。AIエージェント代替を重く見て、中立の人数相当を393人から255人、単価を1.27倍とした。
医師紹介・医療系マーケティング
医療従事者の採用支援と医療分野のデジタルマーケティング。候補者照合、広告制作、運用の工数をAIが代替しやすい小規模事業。
| 数量年間の紹介・運用案件相当数、分析用推定 | 価格1案件当たりの年間売上高、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 30.0 | 0.04 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 20.0 | 0.04 | 1 | 0 |
取り方:有報のその他事業の外部売上1.12357億円を基準に、30案件は件数未開示のための仮定である。メディカルキャリア支援とマーケティングを分ける資料が不足しており、この小さい売上について精緻な単価を主張しない。AIによる人月・制作運用の代替を考え、中立数量を3分の2、単価を1.15倍とする。
インクルードの復職支援施設
2026年3月に取得したインクルードが運営するニューロリワーク等の復職支援事業。専門職による対面支援が中心だが、拠点稼働と制度報酬に左右される。
| 数量年間稼働する復職支援施設数 | 価格1施設当たり年間売上高、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.42 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 36.0 | 0.50 | 18 | 1 |
取り方:インクルードは2026年3月31日に連結子会社となったため、2025年のMHT連結売上には含まれない。取得時資料にある被取得会社の売上約10.96億円と26拠点から、連結前の1拠点当たり売上の参考値を約0.422億円と算出した。2025年の数量を0とし、2026年以降の増分として将来売上に加えるため、2025年連結売上を二重計上しない。
リスクと懸念
AI エージェント代替
ELPISの操作画面や定型記録、産業保健の事務BPO、医療事務、人材紹介、広告運用はAIエージェントにより必要工数が減る可能性が高い。中立では該当部分の有効数量をSaaS0.80~0.82倍、人月・BPO0.65~0.67倍へ縮小した。産業医の判断や看護補助の身体業務、対面の復職支援まで同じ率で減らすことはしない。
買収のれんと借入金
2025年末ののれん約17.2億円は親会社株主に帰属する自己資本約13.7億円を上回る。タスクフォースやその他の買収先の収益が悪化すれば減損が発生しうる。借入金の借換金利が上がれば利払いも増えるため、帳簿上の純資産や現在の営業利益率だけで財務の安全を判断できない。
医療人材の低い利益率と採用難
MWS事業の2025年の利益率は約8%で、2026年上期にはさらに低下した。病院の人手不足は外注需要を生む反面、会社が雇用・配置するスタッフの賃金、社会保険費、採用費も上がる。病院の診療報酬や経営状態によっては価格転嫁ができず、スタッフ数の増加が利益を生まない恐れがある。
産業医クラウドの価格決定力の限界
解約率が低いことは確かだが、業界唯一の記録基盤を持つことは確認できない。産業医の質、対応できる地域、契約価格で他社との競争が続く。ストレスチェックの対象拡大が低価格の単品サービスへの需要を増やした場合、産業医クラウドの高単価な総合契約へ必ずしも結び付かない。
株主優待費用と新株予約権
2025年には株主優待引当金約1.19億円を営業外費用に計上した。優待は株主への還元であると同時に、業績に対して無視できない支出である。潜在株式の行使で既存株主の持分は薄まり、特に業績が順調な場合ほど希薄化が現実化しやすい。配当・優待の維持と成長投資の両立を確認する必要がある。
復職支援の制度と施設採算
インクルードの復職支援事業は、専門職の配置と施設運営を必要とする。利用者の確保、自治体・制度に基づく報酬、スタッフの処遇によって採算が変わる。企業からの紹介が期待どおりに増えなければ、拠点数の拡大が固定費の増加に変わり、新たな買収のれんが価値を失う可能性がある。
収益と現金のずれ
セグメント利益はのれんや顧客関連資産の償却前であり、全社費用を控除した連結利益とは異なる。2025年はセグメント利益の合計約11.6億円から、本社等の調整約5.6億円が差し引かれた。買収費用、借入返済、株主優待、ソフトウェア開発、現場の運転資金もあるため、営業利益の増加がそのまま自由に使える現金の増加になるとは限らない。
今後の分かれ目
- ENT契約が400グループを超え、月次解約率0.2%未満を維持したまま単価も上がる
- 大企業向け役務のシェアと値決め力が確認されるため、やや楽観以上の確率を引き上げる。グループ当たりの医師の投入時間と粗利益の変化も同時に調べる。
- MWS事業が売上成長を維持しながら、セグメント利益率10%以上を複数年続ける
- 買収後の現場管理と採用力が競争力に変わった証拠となる。中立の病院人材利益率と将来純利益を上方修正し、買収資本の増分利回りを再評価する。
- MWSの利益率が5%を下回り、人員増加が営業利益につながらない
- 人手不足による数量増の価値を引き下げる。人件費の価格転嫁失敗が構造的と判断できれば、やや悲観の確率を上げ、のれん減損と借入返済余力も点検する。
- ELPIS単独の有償顧客数、継続率、値上げ実績、独自データの優位性が開示される
- 産業医の役務との抱き合わせではなく、ソフトウェア独自の堀を判断できる。低解約率に加えて二つ以上の強い証拠が確認できれば、AI代替の型と長期成長率を見直す。
- インクルードの復職支援施設が黒字を保ちながら増え、産業保健顧客からの紹介実績が明らかになる
- 買収による顧客網の相乗効果を将来の利益に反映できる。施設数だけでなく、施設当たりの売上と営業利益、利用者の定着状況を確認する。
- ストックオプションの行使、優待費用、銀行借入の増加が営業キャッシュフローを上回る
- 旧株主に残る利益と還元余力を下方修正する。払込金による自己資本増加と希薄化を別々に扱い、同じ資金を会社価値と株主還元で二重計上しない。
- 2028年12月期に売上高150億円、営業利益20億円を実際に達成し、借入返済も進む
- 成長と資本配分の両方に強い実績が生まれる。達成時点のセグメント別数量、利益率、のれん、株式数を使い、10年先の利益見通しを改めて組み立てる。
見ておくもの
- AvenirのENT契約グループ数、月額契約単価、月次解約率、NRRの四半期推移
- SMB契約社数と、50人未満の事業場向け単品サービスから総合契約への転換率
- MWSの病院別稼働人員、看護補助と医療事務の内訳、スタッフ定着率、セグメント利益率
- ELPIS単独売上と有償ID数の開示有無、AIエージェント導入後の契約単価
- ニューロリワークの施設数、施設当たり収入、利益率、休職者の復職・定着実績
- 連結営業利益から営業キャッシュフローへの変換、のれん償却額と減損の有無
- 総借入金、平均利払い、借換条件と新たなM&Aの取得対価
- 株主優待引当金、配当総額、潜在株式数、ストックオプションの行使条件達成状況
- 2028年中期計画の売上高150億円と営業利益20億円に対する進捗
倍率と資本コストの決め方
数量の起点には2025年のENT・SMBの契約MRR、2025年末のタスクフォース臨時雇用人員1,123人、インクルード取得前の26施設という現実の単位を使った。公表されていない役務とSaaSの売上配分、および看護補助と事務の人数比率は推定と明示した。中立のAI対象業務には指定された数量・価格の制約を適用した。倍率は現在のPER、過去のPBR、同業株価から採らず、資本コスト8%と長期名目成長率0%による正当化PERを用いた。悲観側のPBRは2025年の自己資本13.7億円へ適用し、将来の留保利益へ床倍率を掛けていない。のれん17.176億円と純負債11.3億円を確認し、売れる資産の正の床を立証できないと判断した。評価の終わりに初めて基準時価総額83.53億円と比較した。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%、株式リスクプレミアム4.5%を合わせた基本7.5%に、過去の利益変動に基づくquality0.5ポイントを加える。借入、買収、AI代替の個別リスクをさらに上乗せせず、数量、利益率、確率で表す。