結論
ラックランドは、スーパーや飲食店、ホテル、商業施設の内装を設計して工事する会社だ。冷凍冷蔵の設備も扱う。2025/12 期は売上 566 億円、営業利益 40 億円で、前の期の 2 億円から急に増えた。
筆者の結論は「やや割安」である。10 年後の価値は今の時価総額を 1 割から 2 割上回る。理由は 2 つある。1 つは、現金が 115 億円あり、有利子負債 23 億円を引いても時価総額の 6 割に当たること。もう 1 つは、利益の山を過去の最高に置かず、5% 前後に落ち着かせても、今の値段は高くないことだ。
ただし 2025/12 期の利益は実力より大きい。2026/12 期の上期は、営業利益が半分に減った。過去 12 年は赤字の年が 6 回あり、営業利益率が 4% を超えたのは 2025 年だけだ。
筆者が一番気にしているのは、利益の安定度だ。内装工事は、顧客の出店と工事の進み具合で、利益が年ごとに大きくぶれる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「利益の波」と「現金」の 2 つで評価する。
利益は、波が大きい。2025 年は営業利益率が 7% に達したが、過去 12 年の中で突出している。上期の営業利益が半分に減ったことを見ても、安定しているとは言えない。10 年の中立は、営業利益率を 5% 前後に置いた。会社の目標 6.5% には届かない水準だ。
現金は厚い。2025 年末で 115 億円あり、有利子負債 23 億円を引いても、時価総額の 6 割に当たる。顧客の前受けと運転資金を除いた余りを 35 億円と見て、戻り方を 0.5 とした。戻ってくるかは経営次第で、配当性向 20% から始める方針は、強い還元とは言えない。
資本の使い方は、堅実さが見える。不採算の子会社を売り、長期の売掛金も解消した。ただ、2025 年に株数が増えており、既存株主の取り分は薄まっている。
安全域は、現金と受注残にある。悲観の筋書きでも、現金の価値が今の時価総額の 4 割近くある。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、店舗や施設の「企画・設計・施工・メンテナンス」を、1 社でまとめて請け負うことだ。事業は 6 つに分かれる。
最大は店舗施設の制作で、2026/12 期の上期の売上は 140 億円だった。スーパー、飲食店、ドラッグストア、クリニックなどの内装や設備を作る。次が商業施設の制作で 35 億円、ホテルや駅ビルが主な顧客だ。建築が 31 億円、メンテナンスが 12 億円、食品工場と物流倉庫の制作が 9 億円で続く。
食品工場と物流倉庫は、冷凍冷蔵の設備を備える施設を指す。HACCP の義務化や冷凍食品の需要の増加で、この分野の投資は増えている。
顧客は外食や小売、食品、物流と幅広く、売上のほとんどは国内だ。従業員は連結で約 1,300 人、本社は東京の西新宿にある。
2026 年に入り、経営の形を変えた。2026 年 7 月に営業と施工を本部主導で一元管理する体制に移り、子会社のエースセンター(設備・清掃)とマッハ機器(業務用厨房機器)を売却した。成長分野に資源を集めるためだ。売却した 2 社の売上は小さく、全体の収益には大きく響かない。
優良さと弱いところ
この会社の良さは、1 社で設計から施工までをやり切れる点だ。顧客が出店する時、設計事務所、工事会社、設備会社を別々に探さなくてよい。冷凍冷蔵やメンテナンスで長く付き合える顧客もいる。
財務は、2025 年に大きく改善した。自己資本比率は 44% から、2026/12 期の上期末には 53% に上がった。現金は 112 億円ある。有利子負債は 22 億円で、営業利益で利息を 60 倍以上まかなえる。
ただし、堀、つまり他社がまねできない強みは弱い。内装工事は入札や相見積もりで価格が決まり、顧客の出店計画に左右される。営業利益率は 2014 年から 2024 年まで 3% を超えず、2020 年から 2022 年と 2024 年は営業赤字だった。
利益は案件の引き渡し時期でぶれる。2025 年の第 3 四半期だけで営業利益 19 億円、第 4 四半期は 5 億円だった。
特定の取引先に対する長期の売掛金 15 億円は、2026 年 6 月に債務保証会社へ 8.7 億円で譲渡して解消した。取引先の信用リスクは、この会社にも付いて回る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
店舗の内装は、外食と小売、宿泊の出店と改装の需要で決まる。ネット通販が広がる中、店舗の役割は変わっているが、改装やインバウンド向けの宿泊・商業施設の需要は強い。
競合は、丹青社、乃村工藝社、船場などの商業空間の大手と、地域の工務店、ゼネコンの内装部門だ。丹青社と乃村工藝社は商業施設や博物館が得意で、ラックランドは食品スーパーや食品工場など、食に近い分野に強い。
人手不足と資材高が続く。2026/12 期の上期は、中東情勢の緊迫で建設資材の納期が遅れ、元請けの工事が遅れた。内装は後工程のため、売上の計上も遅れた。金利が上がると、顧客の設備投資の判断も慎重になる。
冷凍冷蔵倉庫は、物流の 2024 年問題と冷凍食品の需要で、投資が増えている。ただし、案件ごとの金額は大きく、受注が不規則になる。
建築事業は、耐震補強やコンバージョンで、上期の売上が 23% 伸びた。新設より改修が中心になる流れは、この会社に追い風だ。ただし建築の規模はまだ小さく、全体の利益を支えるには時間がかかる。法規制の面では、省エネ基準の適合義務化も、改修の需要を後押しする。
資本政策と M&A
還元は引き上げている。2025/12 期に復配し、年間配当は小さく、2026/12 期は倍の水準へ上げる予想だ。中期経営計画では、配当性向を 2026 年に 20%、2027 年に 30%、2028 年に 40% へ段階的に上げる。ROE 8% 以上、営業利益率 6.5% 以上も目標だ。
2025 年は株数が約 9% 増え、自己資本が 93 億円から 131 億円に増えた。2026 年にも、従業員と取締役向けの譲渡制限付き株式を出している。株数の増加は、今後も少しずつ続く。
現金 115 億円のうち、顧客の前受け(契約負債 21 億円)と、取引の支払いに備える運転資金がある。事業に使う分を除き、余りを 35 億円と置いた。
M&A は、今は売却の側にある。2026 年 3 月にエースセンターを 3.4 億円で、7 月にマッハ機器を 3.7 億円で譲渡した。事業の絞り込みを進めている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は 2025 年に、営業利益が 2 億円から 40 億円へ増えた。体質が変わった可能性がある。2026 年の上期は減益だが、これは工事の遅れで売上の計上がずれただけで、通期の予想は据え置かれた。
現金は 112 億円あり、自己資本比率は 53% になった。長期の売掛金を解消し、子会社も整理した。経営は身軽になり、本部主導の体制で、採算の管理も徹底される。
顧客の層も広がっている。外食と小売に偏らず、宿泊、医療、物流、食品へ顧客が分散し、1 つの業種が落ち込んでも全体が崩れにくくなった。需要は強い。インバウンドで宿泊と商業施設の改装が増え、冷凍冷蔵倉庫の投資も伸びている。配当性向は 20% から 40% へ引き上げる方針で、現金の一部は株主に戻る。営業利益率 6.5% が定着すれば、10 年後の営業利益は 50 億円を超える。受注の質が上がれば、利益の波も小さくなり、資本コストも下がる。
慎重な見方
2025 年の営業利益は、1 年かぎりの山の可能性が高い。過去 12 年の営業利益率は 3% を超えたことがなく、赤字の年が 6 回ある。2026 年の上期は、営業利益が半分に減り、通期予想の達成には下期に 33 億円を稼ぐ必要がある。
内装工事は、案件ごとの金額が大きく、引き渡し時期でぶれる。顧客の出店が止まれば、売上は大きく落ちる。特定の取引先に対する長期の売掛金が 15 億円あったことは、与信の管理に弱さがある証拠だ。
現金は厚いが、顧客の前受けと工事の支払いに使うお金が多い。事業に使う分を除けば、余りは半分以下だ。配当性向を 20% から始める方針は、現金を株主に戻す強い意思とは言えない。
2025 年に株数が 9% 増え、2026 年も従業員向けに新株を出した。既存株主の取り分は少しずつ薄まっている。さらに、営業利益率 6.5% という目標は、過去 12 年に一度も届いていない水準で、経営計画の達成にはまだ証拠が足りない。
どちらに重みを置いたか
強気の主張は、2025 年に体質が変わった可能性と、現金の厚さをついている。慎重な主張は、利益の山が続かない点と、内装工事の波の大きさをついている。筆者は後者を重くみて、中立の営業利益率を 5% 台に置き、確率はやや悲観と悲観の合計を 38% とした。現金の戻り方は 0.5 とし、割安の幅を抑えた。それでも、現金の厚みで結論は「やや割安」になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 3,356 円388 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 592 円68 億円)。 今の値に割り戻すと 1,878 円217 億円、今との差 +53.3%、 期待の年率 +12.4%(資本コスト 8.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 7,263 円839 億円 | 1,039 円120 億円 | +577.7% | +21.1% | 664 円77 億円 |
| やや楽観 | 20% | 5,288 円611 億円 | 822 円95 億円 | +398.8% | +17.4% | 1,222 円141 億円 |
| 中立 | 34% | 3,757 円434 億円 | 693 円80 億円 | +263.2% | +13.8% | 1,513 円175 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,526 円176 億円 | 390 円45 億円 | +56.4% | +4.6% | 479 円55 億円 |
| 悲観 | 13% | 452 円52 億円 | 87 円10 億円 | −56.0% | −7.9% | 70 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,356 円388 億円 | 592 円68 億円 | +222.3% | +12.4% | 3,948 円456 億円 |
今の株価時価総額 1,225 円142 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 2025 年の収益力が定着し、冷凍冷蔵が伸びる 利益 46 億円 · PER 16.3 倍 · 株価時価総額 7,263 円839 億円
2025 年の収益力が定着する。顧客の出店が続き、設計から施工までの一括請負が評価される。本部主導の一元管理で採算の悪い案件が減り、営業利益率は 7% に届く。食品工場と冷凍冷蔵倉庫の需要が 10 年続き、この分野の施工量は 1.6 倍になる。
店舗施設は、インバウンドと改装需要で施工量が 1.1 倍になり、1 人日あたり売上は物価以上に伸びる。
売上は 920 億円、営業利益は 69 億円、純利益は 45 億円になる。配当性向は 40% に上がり、10 年の還元は 120 億円になる。現金は残り、M&A で冷凍冷蔵や設備の事業を買い足す展開もある。
- 店舗施設・商業施設の制作(内装・設備工事):数量 62.5(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質・推定))× 価格 11(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 700 億円・営業利益 53 億円。数量 1.10 倍・価格 1.40 倍・営業利益率 7.5%
- 建築(耐震補強・改修・コンバージョン):数量 10.1(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 9.80(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 99 億円・営業利益 6 億円。数量 1.30 倍・価格 1.40 倍・営業利益率 6.0%
- メンテナンス:数量 7.0(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 7.00(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 49 億円・営業利益 6 億円。数量 1.15 倍・価格 1.40 倍・営業利益率 12.0%
- 食品工場・物流倉庫の制作(冷凍冷蔵設備)・環境:数量 5.3(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 12(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 63 億円・営業利益 5 億円。数量 1.60 倍・価格 1.50 倍・営業利益率 7.5%
倍率:事業の純利益 45 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 27.9% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 15.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)26 億円。全体の PER 16.28 倍、時価総額 759 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2025 年の利益率が続く可能性はあるが、過去 12 年の最高が 1 年だけで、8% にとどめた。
やや楽観 20% 計画に近く、営業利益率は 6% 台で安定する 利益 34 億円 · PER 15.5 倍 · 株価時価総額 5,288 円611 億円
本部主導の体制が機能し、営業利益率は 6% 台で安定する。インバウンドと改装需要で店舗施設の施工量は今と同水準を保ち、冷凍冷蔵は 1.45 倍に伸びる。
1 人日あたり売上は物価並みに上がる。売上は 790 億円、営業利益は 51 億円、純利益は 33 億円。
配当性向は 40% まで上がり、10 年の還元は 95 億円になる。営業利益率は計画の 6.5% に近づくが、人件費と外注費の上昇で、届かない年も混ざる。株数の増加は小さく、1 株あたりの価値の目減りも限られる。ホテルや商業施設の改装需要が続き、受注の残りも積み上がる。M&A は小規模にとどまる。
- 店舗施設・商業施設の制作(内装・設備工事):数量 57.9(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質・推定))× 価格 11(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 635 億円・営業利益 39 億円。数量 1.02 倍・価格 1.37 倍・営業利益率 6.2%
- 建築(耐震補強・改修・コンバージョン):数量 9.8(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 9.52(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 93 億円・営業利益 4 億円。数量 1.25 倍・価格 1.36 倍・営業利益率 4.5%
- メンテナンス:数量 6.7(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 6.80(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 46 億円・営業利益 5 億円。数量 1.10 倍・価格 1.36 倍・営業利益率 11.0%
- 食品工場・物流倉庫の制作(冷凍冷蔵設備)・環境:数量 4.8(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 11(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 54 億円・営業利益 4 億円。数量 1.45 倍・価格 1.40 倍・営業利益率 6.5%
倍率:事業の純利益 33 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 22.5% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 13.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)26 億円。全体の PER 15.46 倍、時価総額 540 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の中期経営計画(営業利益率 6.5% 以上)に近い展開。ただ、過去の実績からは達成が難しく、20% とした。
中立 34% 売上は物価並み、営業利益率は 5% 前後に落ち着く 利益 24 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 3,757 円434 億円
店舗施設の施工量は人手の制約で、今より 5% 減る。技能者の確保が難しく、受注を選ぶ姿勢が強まる。1 人日あたり売上は物価並みの 1.34 倍に上がる。冷凍冷蔵と建築は施工量が増え、メンテナンスは緩やかに伸びる。
営業利益率は 5% 台に落ち着く。2025 年の 7% は、大型案件の引き渡し時期が重なった一時的な山とみて、会社の目標 6.5% には届かない水準に置いた。人件費と外注費も物価で増える。
売上は 750 億円、営業利益は 38 億円、純利益は 24 億円になる。配当性向は 40% まで上がるが、現金は積み上がり、事業に使う分を除いた余りは、配当と自社株買いで少しずつ戻る。ただし、悪い年に備えて手元を厚く保つため、戻りは遅い。
- 店舗施設・商業施設の制作(内装・設備工事):数量 54.0(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質・推定))× 価格 11(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 579 億円・営業利益 28 億円。数量 0.95 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 4.8%
- 建築(耐震補強・改修・コンバージョン):数量 9.0(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 9.38(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 84 億円・営業利益 3 億円。数量 1.15 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 4.0%
- メンテナンス:数量 6.4(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 6.70(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 43 億円・営業利益 4 億円。数量 1.05 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 10.0%
- 食品工場・物流倉庫の制作(冷凍冷蔵設備)・環境:数量 4.3(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 11(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 46 億円・営業利益 3 億円。数量 1.30 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 24 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.5% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 11.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)26 億円。全体の PER 14.5 倍、時価総額 372 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2025 年の山は一過性の要素があり、過去の平均よりは高い。両者の間を落としどころとして、最大の確率を置いた。
やや悲観 25% 出店が減り、営業利益率が 3% 台に戻る 利益 13 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 1,526 円176 億円
外食と小売の出店が減り、店舗施設の施工量は今の 85% に縮む。価格競争が厳しくなり、1 人日あたり売上は物価を下回る。
2025 年の利益率は続かず、営業利益率は 3% 台に戻る。本部主導の効果は小さく、人件費と外注費の上昇を吸収しきれない。
売上は 640 億円、営業利益は 21 億円、純利益は 13 億円。受注の選別で、利益のぶれは抑えられるが、成長の余地は小さい。配当性向は 30% 台にとどまり、現金は積み上がる。経営陣は慎重になり、新規の出店案件の選別を厳しくする。採算の悪い案件を断るため、売上の落ち込みが利益率を守る形になる。
- 店舗施設・商業施設の制作(内装・設備工事):数量 48.3(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質・推定))× 価格 10(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 494 億円・営業利益 15 億円。数量 0.85 倍・価格 1.28 倍・営業利益率 3.0%
- 建築(耐震補強・改修・コンバージョン):数量 7.8(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 8.75(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 68 億円・営業利益 2 億円。数量 1.00 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 2.5%
- メンテナンス:数量 6.1(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 6.25(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 38 億円・営業利益 3 億円。数量 1.00 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 8.0%
- 食品工場・物流倉庫の制作(冷凍冷蔵設備)・環境:数量 3.6(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 10(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 38 億円・営業利益 2 億円。数量 1.10 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 4.0%
倍率:現金を除く事業の自己資本利益率は 5% 台で資本コスト 8.5% を下回る。PER の上限は 1÷k の約 11 倍。利益の質が落ちたと見て、約 72% の 8.0 倍に置いた。
確率:外食・小売の出店が減り、資材高で採算が悪化する展開。過去 12 年の営業利益率はほとんどこの水準だった。25% を置いた。
悲観 13% 出店が止まり、大型案件で損を出す 利益 −2 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 452 円52 億円
外食・小売の出店が止まり、店舗施設の施工量は今の 65% に落ちる。ネット通販の拡大で店舗が減り、単価も下がる。大型案件で追加費用が出て、特定の取引先の信用問題も再発する。
営業利益はほぼゼロとなり、小さな赤字になる。2020 年から 2022 年の谷と同じ形だ。顧客の資金繰りが悪化し、売掛金の回収に時間がかかる。固定費の人件費は簡単には減らせない。固定費の人件費が重く、利益を出せない。
現金は厚いが、顧客の前受けと運転資金を除くと、株主に残る価値は限られる。配当は止まり、現金は事業を守るために使われる。2020 年からの赤字の時期にも、同じ展開が起きた。
- 店舗施設・商業施設の制作(内装・設備工事):数量 36.9(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質・推定))× 価格 9.60(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 354 億円・営業利益 −2 億円。数量 0.65 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 -0.5%
- 建築(耐震補強・改修・コンバージョン):数量 6.6(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 8.05(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 53 億円・営業利益 0 億円。数量 0.85 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 0.0%
- メンテナンス:数量 5.5(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 5.75(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 32 億円・営業利益 2 億円。数量 0.90 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 5.0%
- 食品工場・物流倉庫の制作(冷凍冷蔵設備)・環境:数量 3.0(施工量(万人日、実質・推定))× 価格 9.20(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 27 億円・営業利益 0 億円。数量 0.90 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 0.0%
倍率:赤字に近く、稼ぐ力では値が付かない。純現金の戻る分 50 億円を床とし、今の自己資本の約 0.4 倍に置いた。
確率:2020 年から 2022 年は 3 期連続、2024 年も営業赤字だった。10 年のうちにこの谷が再来する確率として 13% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
店舗施設・商業施設の制作(内装・設備工事)
スーパー、飲食店、ドラッグストア、ホテル、駅ビルなどの内装と設備の設計・施工。
| 数量施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質・推定) | 価格1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 56.8 | 8.00 | 454 | 33 |
| 10 年後 中立 | 54.0 | 11 | 579 | 28 |
取り方:2025/12 期の事業別売上は開示がなく、2025 年中間期の構成(店舗施設 63%、商業施設 17%)を通期 566 億円に当てはめた推定(合計 454 億円)。労務量は開示がなく、1 人日あたり売上を 8 万円とみて 56.8 万人日と置いた推定。営業利益は事業別が非開示で、全社の 7.1% を基に推定配分した。
建築(耐震補強・改修・コンバージョン)
耐震補強、改修、コンバージョンなどの建築工事。2026 年上期は売上が 23% 伸びた。
| 数量施工量(万人日、実質・推定) | 価格1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7.8 | 7.00 | 55 | 3 |
| 10 年後 中立 | 9.0 | 9.38 | 84 | 3 |
取り方:2025 年中間期の構成(9.6%)を通期に当てはめた推定の売上 54.6 億円。1 人日あたり売上を 7 万円とみて 7.8 万人日。営業利益は 5% の推定。
メンテナンス
店舗・施設の保守、修繕、食品工場の常駐設備メンテナンス。
| 数量施工量(万人日、実質・推定) | 価格1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6.1 | 5.00 | 31 | 4 |
| 10 年後 中立 | 6.4 | 6.70 | 43 | 4 |
取り方:2025 年中間期の構成(5.4%)を通期に当てはめた推定の売上 30.5 億円。1 人日あたり売上を 5 万円とみて 6.1 万人日。営業利益率は継続契約の性格から 12% の推定。
食品工場・物流倉庫の制作(冷凍冷蔵設備)・環境
食品工場、冷凍冷蔵倉庫の設備・施設づくり。HACCP と物流の 2024 年問題が追い風。環境領域事業を含む。
| 数量施工量(万人日、実質・推定) | 価格1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3.3 | 8.00 | 26 | 2 |
| 10 年後 中立 | 4.3 | 11 | 46 | 3 |
取り方:2025 年中間期の構成(食品工場・物流倉庫 4.5%、環境 0.2%)を通期に当てはめた推定の売上 26.4 億円。1 人日あたり売上を 8 万円とみて 3.3 万人日。営業利益率は 6% の推定。
リスクと懸念
利益の波
案件の引き渡し時期で利益が大きくぶれる。2025 年の第 3 四半期は営業利益 19 億円、第 4 四半期は 5 億円。2026 年の上期は前年から半減した。
顧客の出店の停止
外食・小売の景気が悪化し、出店が止まれば、売上は大きく落ちる。2020 年から 2022 年は 3 期連続の営業赤字だった。
資材高と供給の遅れ
円安と中東情勢で、建設資材の価格と納期が揺れる。元請けの遅れが後工程の売上を遅らせる。固定価格の契約では、資材高が利益を削る。
取引先の信用
特定の取引先に対する長期の売掛金 15 億円は、2026 年 6 月に 8.7 億円で譲渡して解消した。大きな案件が増えるほど、1 社の信用の影響が大きくなる。
株数の増加
2025 年に株数が約 9% 増え、2026 年も従業員・取締役向けに新株を出した。配当性向の引き上げと合わせ、1 株あたりの価値は薄まる。
現金が戻らない
現金は 112 億円あるが、顧客の前受けと運転資金が必要だ。配当性向は 2026 年に 20% から始まり、余った現金の戻りは経営次第になる。
人手不足
施工の技能者が足りず、賃金は物価並みに上がる。工期の遅れと外注費の上昇が、利益率を圧迫する。
今後の分かれ目
- 2026 年の下期に営業利益 33 億円(通期予想)が達成される
- 2025 年の水準が一過性でなかったことが確かめられ、中立の利益率を上げる余地が出る。
- 通期予想が下方修正される
- 利益の山が 1 年かぎりだった可能性が高まり、やや悲観の筋書きに近づく。
- 配当性向が 2027 年に 30%、2028 年に 40% へ計画どおり上がる
- 余った現金の戻り方が 0.75 程度に上がり、価値が増える。
- 外食・小売の出店が止まり、受注が減る
- 2020 年のような営業赤字が再来し、悲観の筋書きに近づく。
- 冷凍冷蔵倉庫・食品工場の大型案件が相次いで受注される
- 利益率の高い分野が育ち、営業利益率が 6% を超える。
見ておくもの
- 通期予想(営業利益 41.8 億円)の進み
- 受注高と受注残の開示
- 営業利益率の四半期の推移
- 現金残高と配当性向の引き上げ
- 株数の増加(新株の発行)
- 資材価格と元請けの工事進捗
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業の自己資本利益率(現金を除いて 10% 弱)と資本コスト 8.5%、成長 4% から式で出し、堀を弱い(1/3)として上限の約 88% の 10.0 倍に置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。中立の営業利益率は 5.1% で、2025 年の 7.1% と会社の目標 6.5% を下回り、過去 12 年の平均(2% 台)は上回る。この上回りには、不採算の整理と一元管理の効果を理由に置いた。現金は、顧客の前受けと運転資金を除いて余りを 35 億円とし、戻り方は 0.5 とした。店舗の賃借の規模は小さく、新リース会計基準の影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→16.28 倍・やや楽観 PER 11→15.46 倍・中立 PER 10→14.5 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。