結論
鎌倉新書は、葬儀やお墓、介護施設、相続先を探す人と事業者を結ぶ会社である。筆者の評価は「やや割高」だ。家族の死や老後の不安は今後も消えず、自治体と築いた接点には価値がある。だが、検索サイトへの流入を事業者からの紹介料に変える仕組みは、10年先まで今の条件で通用するとは限らない。
2026年1月期の売上は83億円、営業利益は12億円近くに伸びた。2027年1月期上期も介護と官民協働が伸び、会社は2028年1月期に売上127億円、営業利益26億円を目指す。会社の実績を否定する理由はない。ただし、2035年に売上500億円を超える長期ビジョンには、既存紹介件数の増加だけでは届かない。巨額の買収や新事業の成功まで、長期保有株主が当然の利益として先取りすべきではない。
一番の強みは、人生の複数の場面を横断する顧客接点と、自治体との提携である。直近の提携先は543自治体に達し、介護施設の紹介も急伸している。他方、有価証券報告書によれば、主力の三つの情報サイトに売上の約51%が依存する。検索結果をAIが直接答える時代には、利用者が鎌倉新書のサイトを経由せず、葬儀社や士業へ直接予約する恐れがある。
10年の中立では、介護と保険、自治体向け媒体が伸び、売上は160億円台、営業利益は30億円台半ばへ進むと見る。利益成長は織り込むが、確率をかけた10年後の事業価値と還元の現在価値は、基準時点の時価総額約258億円を約2割下回る。純現金は下値を支えるものの、紹介の主導権を誰が握るかという問いには、まだ十分な安全域がない。
バリュー投資の観点から
長期保有する株主が買うのは、葬儀という一過性の商談ではない。困った人が相談する入口を獲得し、信頼できる事業者へつなぐ権利から生まれる、将来の現金の流れである。鎌倉新書はその入口を自治体との関係や介護の対面営業に広げている。広告費に頼るウェブ集客だけで終わる会社なら値打ちは小さいが、地域の住民相談に自然に選ばれる会社になれば事業の寿命は長くなる。
しかし、死という避けられない需要と、特定の仲介会社が収益を取れることは別問題だ。人は同じ葬儀を繰り返し買わないため、利用者の乗り換え負担は薄い。提携する事業者は複数社に紹介料を払え、検索結果をAIが整理すればウェブ媒体への入り口そのものがなくなる。事業者と消費者の双方が代替手段を持つ以上、値上げを恒常的に通せる独占企業の価格で評価してはならない。
資本の使い方もオーナー利益を左右する。紹介業の利益率が伸びる時に、保険、散骨、墓地開発、各種M&Aへ投資を広げれば、会計上の売上は大きくなっても自由に配れる現金は減りうる。高配当を維持したうえで新株を発行する経営が長期的な株主利益を増やすには、一株当たりの増分利益が希薄化を十分に埋めなければならない。
目先の計画達成可能性より、10年後も紹介手数料を受け取れる経路がいくつ残るかを見るべきだ。純現金は急な資金繰り悪化を防ぐが、赤字事業への再投資で消費されれば簿価どおりに回収できない。介護と自治体という比較的代替されにくい入口を伸ばせることには価値がある。一方、現時点の値段はその成功に対して安全域が十分厚いとは言い切れない。
何で稼ぐ会社か
収益の起点は「一度しか経験しないことを、どこに頼むか分からない」という不便である。「いいお墓」「いい葬儀」「いい相続」「いい介護」などで利用者を集め、墓地・石材店・葬儀社・税理士・老人ホームへつなぐ。紹介が成約すると、事業者側から手数料が入る。利用者が直接払う葬儀代や墓石代の全額が売上になるわけではない。
2026年1月期の売上は、お墓25.45億円、葬祭15.20億円、相続・不動産7.49億円、介護8.02億円だった。四半期資料から求めた同年度の成約は、お墓約1.98万件、葬祭約0.94万件、相続約0.45万件、介護約0.32万件である。開示された個別紹介手数料と、売上を成約数で割る複合単価は一致しない。広告や買収事業の売上も分子に入るためであり、両者を混同すると将来価値を膨らませてしまう。
官民協働は10.63億円で、自治体が住民へ渡すおくやみハンドブックなどの媒体、手続き相談の受託、セミナーや相談会を含む。自治体の名前を借りて高齢者へ接点を持てることは、検索広告だけの競合にはない利点だ。ただし提携数は有償契約数ではなく、媒体、受託、相談事業の採用先には重複もある。ここでは媒体育成と人手を要する受託を、開示がないため推計で分けた。
少額短期保険9.49億円は買収したベル少額短期保険などによるもので、保険料を受け取る代わりに保険金支払いと準備金の負担がある。残る約7億円には仏壇、海洋散骨、周辺の新サービスなどが含まれる。祖父母の介護から相続、葬儀、供養まで同じ家族に何度も選ばれることが理想だが、死亡や入居は低頻度の出来事であり、普通の月額課金サービスのような継続率を期待してはいけない。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社が簡単には奪えない強みは、霊園や葬儀社、介護施設の情報と、自治体・病院を含む紹介経路の広がりである。自治体との提携は2026年7月末に543に達し、地域の信頼を借りて終活の相談を受ける窓口を増やせる。介護ではオンラインの流入に加え、病院などを訪ねる営業が成果を出し始めた。紹介の前後を人が調整する仕事には、検索画面より長い寿命がある。
ただし、規制上の唯一の台帳を握っているわけではない。葬儀社や士業は別の紹介元からも集客でき、消費者に年単位の乗り換え負担はない。解約率5%未満の継続契約や値上げを反復して通した実績も、企業全体については確かめられない。「いい葬儀」「いい仏壇」「いいお墓」への依存は売上の約51%あり、検索順位が変われば高い広告費を払って再獲得しなくてはならない。
過去10年のROE中央値は約14.7%で、直近期も黒字かつ実質無借金である。ネット上の紹介業は工場を持たず、うまく回れば増分利益率が高い。だが買収した保険事業は支払準備金が必要で、官民協働の受託と介護の対面開拓は人手が増える。IT開発、広告、人材、買収に投じた資本が、資本コストを明確に超えて稼ぐかどうかを分けて確かめたい。良い流通網はあるが、強い独占的な堀と呼ぶには早い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の死亡数は2025年に約159万人で、2040年前後まで高齢者死亡の需要は大きい。ただし2025年は前年より死亡数が減っており、毎年の死亡数だけで売上が二桁成長する市場ではない。墓を継ぐ人の不足から樹木葬や合祀墓が増え、鎌倉新書の2026年調査でも樹木葬が回答者の47.4%を占めた。選択肢が増すことは相談機会を増やすが、低価格の供養が広がれば紹介手数料の原資は細りうる。
葬儀事業者の売上による葬祭市場は2024年に推計1兆8,300億円だが、矢野経済研究所の2034年見通しも約1兆8,915億円と伸びは緩やかである。ここに含まれる葬儀費用の総額と、同社が受け取る15.2億円の紹介・広告手数料は別の市場だ。葬祭では「小さなお葬式」のユニクエスト、「よりそうお葬式」などが競う。同社の成約約9,400件は全国死亡数の約0.6%に当たり、中立ではその件数比を0.9%弱へ、上振れでは約1.2%へ伸ばす余地がある。ただし死亡数を分母とした代用指標であり、紹介市場の厳密なシェアでも競合のシェアでもない。
相続では士業事務所や専門家検索サイト、介護施設紹介ではLIFULL介護やみんなの介護が競争相手だ。内閣府による2024年の有料老人ホーム定員は約71.6万人であり、同社の介護成約3,161件はこの定員の0.44%に相当する。しかし、定員は蓄積で入居成約は年間の流れなので、これも厳密な市場シェアではない。中立の年間約9,500件は定員増以上の販路拡大を必要とする。お墓の市場も墓石だけでなく樹木葬・納骨堂を含み、紹介件数と市場全体の成約件数が同じ定義で取れないため競合シェアを捏造しない。
自治体の終活媒体は全国約1,700余りの自治体に対し、提携先543と約3割に到達した。中立で媒体採用先は約880へ増えるが、次に開拓する小規模自治体から大都市と同額の収益を得られる保証はない。媒体スポンサーを巡る競争や行政の内製化、公共調達の価格圧力もある。2026年7月末の媒体採用517、受託46、コンサル208、住民向け76は重複する件数で、足し算できない。保険では日本少額短期保険協会が2025年度の業界保険料1,665億円、そのうち生保・医療213億円を報告した。ベル少短を含む同社保険売上9.49億円は後者の約4.5%の規模だが、商品区分と会計年度が完全に同じではないため正確なシェアと断定しない。
最大の構造変化はAIによる検索と仲介の省略だ。GoogleのAI検索や利用者本人のエージェントが、葬儀社の比較、問い合わせ、候補絞り込みを直接済ませる可能性がある。相続の一般情報や単純な相談先選びは影響を受けやすい。一方、実際の葬儀施行、介護施設への入居、保険の引受、自治体の窓口には現場の責任主体が残る。どの会社が最終成約を記録して手数料を受け取るかが、死亡数以上に重要になる。
資本政策と M&A
資本配分は成長投資と高配当の間で揺れている。2025年にライフドットの事業譲受やベル少額短期保険、ユウテルのグループ化を進め、2026年には樹木葬開発の366も子会社化した。隣接事業を買い足せば一人の利用者の生涯価値は高まるが、買収額に対して増えた現金収支がいくらかは、まだ十分な期間を通じて実証されていない。特に保険は獲得件数より損害率と責任準備金を重視すべきだ。
2025年12月にはSOMPOホールディングスとの資本業務提携で約411万株の第三者割当が行われ、既存株主の持分は約1割薄まった。SOMPOの保険・介護接点を取り込む見返りが実際の紹介件数と利益に表れるかを問う必要がある。2026年には最大107万株の従業員向け新株予約権も決議され、長い行使期間とはいえ追加的な希薄化を無視できない。
新中期経営計画は2027年1月期に売上105億円、営業利益17億円、ROE17.1%、2028年1月期に売上127億円、営業利益26億円、営業利益率20.5%を掲げる。還元は少なくとも2027年1月期まで「配当性向100%または年間20円の低い方」と明示するが、DOEや自社株買い額の数値目標はない。2026年1月期の配当負担は純利益を上回り、増配余地を当然視できない。将来の余剰現金が株主に戻る割合は、最近の増配を評価しながらも過去5年の実績に照らして75%と見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
終活の問題は、利用者にとって不可避であり、生活上の失敗が許されない。家族が葬儀社や霊園を一から選ぶより、自治体が配る手帳で知った窓口や、既に家族の介護を相談した会社を利用する方が安心だ。鎌倉新書はお墓や葬儀の専門サイトを持ち、全国543自治体との連携を築いた。これは広告費を投じて模倣できるだけのものではない。病院と介護施設、SOMPOの保険・介護網からの紹介が広がれば、検索エンジンが変わっても成約は増える。
2026年7月末までの半年間に、介護事業の売上は前年同期比59%増、官民協働は34%増だった。2028年1月期の営業利益26億円という計画が実現した後も、介護施設紹介と保険加入者の増加、自治体向け媒体の販売網拡大が続けば、広告獲得効率の改善を長く享受できる。終活市場では知識と経験がない消費者と、説明責任を負う専門業者が直接向き合う必要があり、AIは問い合わせの事前整理を助けても、葬儀や施設入居の履行そのものを引き受けるわけではない。
ライフドットや366の樹木葬関連事業と、保険・介護の接点を結べば、家族一組から受け取る手数料を増やすこともできる。高い自己資本比率とSOMPOとの提携は、合理的な追加買収を可能にする。2035年に売上500億円という目標まで達成しなくとも、現在の数倍の営業利益と株主還元を両立する企業になる余地がある。
慎重な見方
主力3サイトが売上の約51%を支える会社にとって、検索エンジンの表示方法は価格決定力より強い外部条件である。利用者のAIエージェントが葬儀の価格や立地を比較し、葬儀社へ直接問い合わせれば、必要なのは葬儀社であり仲介サイトではないと分かってしまう。相続の一般的な手続きはAIに聞けば十分という人も増える。顧客は鎌倉新書に年単位で契約を結んでおらず、顧客離れを止める費用の壁は低い。
自治体との提携数も過大評価しやすい。ハンドブックの配布と相談業務の受託は同じ収益構造ではない。競争相手の広告会社がスポンサーを取り、自治体が相談窓口を内製化し、手続きの一部をAIが自動化すれば、人員を配置した受託の採算は悪化する。自治体の数だけ、毎年同じ高単価の発注が続くとは限らない。介護施設紹介では業者間の手数料競争と、紹介先から直接応募を獲得する動きも続く。
買収した保険事業には将来の支払保険金という負債があり、低収益の領域を取り込んで売上を増やしても企業価値は伸びない。SOMPOの出資による株数の増加は既に起こり、さらに従業員向け権利行使が控える。利益の伸びが鈍ると、高配当の原資を現金残高から取り崩す選択もありうる。死亡者数が増えても、仲介料だけが構造的に減る10年を軽く見てはいけない。
どちらに重みを置いたか
需要の寿命と自治体の接点については前向きに評価する。一方で、ネット紹介には記録の正本や独占的な契約はなく、AIによる検索・紹介の直接化が具体的な弱点である。中立では介護・保険の拡大を認め、利益の成長を否定しない。それでも長期成長率と手数料の力には慎重であり、やや悲観と悲観を合わせて40%、上側を30%とした。実際に独自の成約経路が積み上がるまで、業績の好調をそのまま強い堀の証拠とは呼ばない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/01 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 793 円327 億円(+ 還元の換算額還元の合計 181 円75 億円)。 今の値に割り戻すと 522 円215 億円、今との差 −9.9%、 期待の年率 +6.0%(資本コスト 7.2%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,811 円746 億円 | 284 円117 億円 | +261.9% | +15.2% | 210 円86 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,258 円518 億円 | 232 円96 億円 | +157.3% | +11.0% | 298 円123 億円 |
| 中立 | 30% | 965 円398 億円 | 194 円80 億円 | +100.2% | +8.0% | 348 円143 億円 |
| やや悲観 | 25% | 222 円91 億円 | 154 円63 億円 | −35.1% | −5.2% | 94 円39 億円 |
| 悲観 | 15% | 101 円42 億円 | 66 円27 億円 | −71.1% | −13.7% | 25 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 793 円327 億円 | 181 円75 億円 | +68.2% | +6.0% | 974 円401 億円 |
今の株価時価総額 579 円239 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 自治体と対面経路が全国の終活相談網へ成長 利益 46 億円 · PER 15.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,811 円746 億円
自治体との提携は千を超え、住民窓口で知った人が介護、葬儀、お墓の相談でも同社を選ぶ流れが定着する。病院やSOMPOグループとの提携は、検索サイトのクリックに頼らない紹介を増やす。2026年時点から葬祭の成約が倍増し、介護施設紹介は約4倍に達する。樹木葬開発の366やライフドットが墓地の供給側まで関わり、会社が持つ見込み客の紹介を確実な成約へと変えられる。
AIの検索・価格比較機能は普及するが、相談する高齢者を人が支え、事業者が実務を行う部分を会社が押さえる。地域の小さな業者は自前でデジタル集客を作るより紹介料を払った方が合理的となる。保険ではSOMPO経由の加入者拡大を獲得し、支払率の悪化も価格改定で管理する。自治体の情報冊子は紙と電子の両方で活用され、広告主からの需要が伸びる。
売上は約246億円へ達し、本社費の増加を抑えて営業利益は67億円近くになる。会社が掲げる500億円の長期目標には届かないが、現実の成約増による高い増分利益率を実現する。増配と自社株買いが進み、買収で得た利益が希薄化の負担を上回る。
- お墓:数量 41,624(紹介からの年間成約件数(件))× 価格 17(売上換算成約単価(万円/件、掲載等を含む))→ 売上 72 億円・営業利益 39 億円。霊園・樹木葬の直接供給と自治体・病院送客が拡張し、収益率が高まる。
- 葬祭:数量 18,804(葬祭紹介の年間成約件数(件))× 価格 22(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 41 億円・営業利益 21 億円。霊園・樹木葬の直接供給と自治体・病院送客が拡張し、収益率が高まる。
- 相続・不動産:数量 4,493(相続紹介の年間成約件数(件))× 価格 22(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。霊園・樹木葬の直接供給と自治体・病院送客が拡張し、収益率が高まる。
- 介護施設紹介:数量 12,644(介護施設紹介の年間成約件数(件))× 価格 34(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 43 億円・営業利益 13 億円。霊園・樹木葬の直接供給と自治体・病院送客が拡張し、収益率が高まる。
- 自治体連携メディア:数量 1,208(年度末の自治体向け媒体採用先数(自治体、重複なし))× 価格 0.02(媒体売上の自治体当たり年換算(億円/自治体))→ 売上 27 億円・営業利益 11 億円。霊園・樹木葬の直接供給と自治体・病院送客が拡張し、収益率が高まる。
- 自治体受託・コンサル:数量 42.0(年度末の終活受託採用自治体数(自治体))× 価格 0.08(受託関連売上の採用先当たり換算額(億円/自治体))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。定型的な受託業務の拡大は見込まず、対面相談の価値が残る。
- 少額短期保険:数量 79,080(保有保険契約の年換算相当数(契約相当件数、推定))× 価格 4.82(契約当たり平均年保険料(万円/年、推定))→ 売上 38 億円・営業利益 5 億円。SOMPO経由で契約が増え、保険金支払率を制御できる。
- その他サービス:数量 8,800(周辺サービスの有料成約換算件数(件、推定))× 価格 13(成約換算の総合単価(万円/件、推定))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。周辺の実物サービスは伸びるが、情報仲介への過度な期待はしない。
倍率:資本コストk=7.25%、長期名目成長g=1.5%、事業の余剰現金控除後ROE=24.3%、通常の堀による超過ROE持続率1/2からRONIC=15.8%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=15.74倍を上限そのものとして使用。純利益45.95億円から余剰現金18億円の税後利息0.252億円を除いて掛け、18億円の戻り方75%(13.5億円)を加えた時価総額732.70億円。今の株価・同業の倍率は使っていない。
確率:自治体・SOMPO・病院の複数経路でシェアを広げ、主力墓地紹介を2倍超にするには継続的な営業・M&Aの成功が必要。新規事業を無料のAIサービスと混同しないため10%にとどめる。
やや楽観 20% 紹介網が浸透し、介護と保険が拡大 利益 32 億円 · PER 15.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,258 円518 億円
自治体の媒体採用が約1,000団体に広がり、介護施設の紹介は年間1万件ほどへ成長する。終活の入口は検索サイトと地域の窓口に分かれ、GoogleのAI検索が進んでも、実際の予約や施設見学は同社の電話対応を経る。ライフドットと樹木葬関連事業の統合でお墓紹介の成約率が改善し、葬祭でも地方の中小事業者と契約を維持する。
相続の一般情報はAIが代替して紹介の数量は伸びないが、税理士・司法書士との複雑な面談は残る。保険契約はSOMPOとの相互送客によって増え、保険料は物価に近い水準で改定できる。自治体受託の事務的な作業は省人化されるので、関連する処理量は現在より少なくなるが、媒体売上の増加が不足分を補う。
売上は約189億円、営業利益は46億円まで伸びる。主力の紹介と介護が高い限界利益率を保ち、株主への還元も現行水準を超える。独占的な堀を得たとは言えないが、媒体と対面経路の二つが生き残り、外部検索への依存を低下させた姿である。
- お墓:数量 32,110(紹介からの年間成約件数(件))× 価格 17(売上換算成約単価(万円/件、掲載等を含む))→ 売上 54 億円・営業利益 29 億円。対面の成約経路を強めつつ、検索・手数料競争は残る。
- 葬祭:数量 15,325(葬祭紹介の年間成約件数(件))× 価格 21(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 33 億円・営業利益 16 億円。対面の成約経路を強めつつ、検索・手数料競争は残る。
- 相続・不動産:数量 4,268(相続紹介の年間成約件数(件))× 価格 22(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。AI検索が一般情報の仲介を一部代替する。
- 介護施設紹介:数量 10,115(介護施設紹介の年間成約件数(件))× 価格 33(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 34 億円・営業利益 9 億円。対面の成約経路を強めつつ、検索・手数料競争は残る。
- 自治体連携メディア:数量 1,014(年度末の自治体向け媒体採用先数(自治体、重複なし))× 価格 0.02(媒体売上の自治体当たり年換算(億円/自治体))→ 売上 22 億円・営業利益 8 億円。自治体での媒体採用が進み、広告収益が増える。
- 自治体受託・コンサル:数量 38.0(年度末の終活受託採用自治体数(自治体))× 価格 0.08(受託関連売上の採用先当たり換算額(億円/自治体))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。定型的な受託業務はAIで縮み、対面窓口が残る。
- 少額短期保険:数量 52,720(保有保険契約の年換算相当数(契約相当件数、推定))× 価格 4.75(契約当たり平均年保険料(万円/年、推定))→ 売上 25 億円・営業利益 3 億円。契約拡大と保険引受の採算改善が両立する。
- その他サービス:数量 6,688(周辺サービスの有料成約換算件数(件、推定))× 価格 13(成約換算の総合単価(万円/件、推定))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。周辺サービスを維持しながら採算を改善する。
倍率:資本コストk=7.25%、長期名目成長g=1.5%、事業の余剰現金控除後ROE=22.6%、通常の堀による超過ROE持続率1/2からRONIC=14.9%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=15.64倍を上限そのものとして使用。純利益31.91億円から余剰現金18億円の税後利息0.252億円を除いて掛け、18億円の戻り方75%(13.5億円)を加えた時価総額508.76億円。今の株価・同業の倍率は使っていない。
確率:介護と官民協働の直近成長を認めるが、保険の引受採算と買収後統合が長期間うまくいく必要があるため20%にする。
中立 30% 実需は育つがAIが仲介料の一部を削る 利益 25 億円 · PER 15.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 965 円398 億円
介護と自治体の実需が成長の中心になる。介護紹介は病院や地域の相談窓口から年間約9,500件へ増え、自治体の媒体採用は約880団体に届く。一方、検索サイト経由の紹介にはAI回答の普及という逆風が続き、葬儀と墓地紹介の数量は過去ほど伸びない。樹木葬など低価格の商品が増えるため、名目の手数料単価も物価上昇をやや下回る。
相続の紹介件数は約2割減る。一般的な相続の準備や士業探しをAIが直接助け、紹介サイトを介する場面が減るためだ。自治体の相談事務も、単純な受付と書類案内がAIエージェントに移り、受託サービス量は現在の約3分の2に落ちる。紙と電子のハンドブック、保険加入、現場で行う介護の紹介は別の需要源として残る。
売上は約165億円、営業利益は35億円台となり、2028年の中期計画達成後も緩やかな成長を続ける。保険の支払準備金とIT投資、本社費は必要な額を払い続ける。配当は利益成長に対して控えめな上限を持つため、自己資本が積み上がり、ROEは過去の中央値より少し上がる。AIの悪影響を確率だけで二重に数えず、成約数量と価格の変化として織り込んだ姿である。
- お墓:数量 27,155(紹介からの年間成約件数(件))× 価格 17(売上換算成約単価(万円/件、掲載等を含む))→ 売上 46 億円・営業利益 23 億円。実需を持つ領域が拡大し、相続情報・自治体受託の数量縮小を補う。
- 葬祭:数量 14,103(葬祭紹介の年間成約件数(件))× 価格 21(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 30 億円・営業利益 14 億円。実需を持つ領域が拡大し、相続情報・自治体受託の数量縮小を補う。
- 相続・不動産:数量 3,684(相続紹介の年間成約件数(件))× 価格 20(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替で情報媒介の件数が減り、単価も物価未満の伸びにとどまる。
- 介護施設紹介:数量 9,483(介護施設紹介の年間成約件数(件))× 価格 33(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 32 億円・営業利益 8 億円。病院・地域の対面経路とSOMPOとの連携により紹介シェアを広げる。
- 自治体連携メディア:数量 879(年度末の自治体向け媒体採用先数(自治体、重複なし))× 価格 0.02(媒体売上の自治体当たり年換算(億円/自治体))→ 売上 19 億円・営業利益 7 億円。自治体数は増えるが、広告・媒体単価は物価を少し下回る。
- 自治体受託・コンサル:数量 28.0(年度末の終活受託採用自治体数(自治体))× 価格 0.08(受託関連売上の採用先当たり換算額(億円/自治体))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で定型事務が減り、実質数量は0.67倍となる。
- 少額短期保険:数量 44,812(保有保険契約の年換算相当数(契約相当件数、推定))× 価格 4.75(契約当たり平均年保険料(万円/年、推定))→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。SOMPOからの送客が増えるが、保険金支払いと準備金の負担を残す。
- その他サービス:数量 5,843(周辺サービスの有料成約換算件数(件、推定))× 価格 13(成約換算の総合単価(万円/件、推定))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。情報仲介は縮み、散骨など実物サービスが収益を支える。
倍率:資本コストk=7.25%、長期名目成長g=1.5%、事業の余剰現金控除後ROE=20.6%、通常の堀による超過ROE持続率1/2からRONIC=13.9%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=15.52倍を上限そのものとして使用。純利益24.52億円から余剰現金18億円の税後利息0.252億円を除いて掛け、18億円の戻り方75%(13.5億円)を加えた時価総額390.03億円。今の株価・同業の倍率は使っていない。
確率:利用者の生活上の需要は消えず、介護・葬儀・自治体・保険の複数事業がある。歴史上の成約件数・中期計画を基礎に、AIで事務・情報媒介部分が縮む中心値として30%。
やや悲観 25% 検索の集客低下と受託の内製化 利益 7 億円 · PER 13.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 222 円91 億円
2030年前後までに会社の中期計画はかなり進むが、その後は集客構造が変わる。AIの回答画面から葬儀社や墓地の予約へ直接進む人が増え、紹介サイトが問い合わせを受け取る割合は下がる。お墓の年間成約は約1.7万件、葬祭は9千件台にとどまる。紹介の窓口が減ると、広告・比較媒体で価格を引き上げる力も弱くなる。
自治体との連携そのものは増える。しかし、媒体スポンサーの単価は厳しく比較され、役所の定型的な受託作業はAIで縮む。相続事業では士業との直接マッチングが広がり、成約件数は2026年より約4割減る。介護紹介と保険は黒字を保つものの、提携獲得の営業費用と保険金支払いが重くなる。
売上は95億円程度へ戻り、共通費を削っても営業利益は9億円ほどしか残らない。過去に資本を投じたシステムと買収事業が収益を十分に生まないため、ROEは資本コスト付近まで低下する。配当は利益減に合わせて縮小し、株主が受け取る累計還元も計画より少なくなる。
- お墓:数量 16,848(紹介からの年間成約件数(件))× 価格 15(売上換算成約単価(万円/件、掲載等を含む))→ 売上 26 億円・営業利益 11 億円。検索の仲介料が細り、対面サービスの原価と固定費は残る。
- 葬祭:数量 9,214(葬祭紹介の年間成約件数(件))× 価格 19(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 17 億円・営業利益 8 億円。検索の仲介料が細り、対面サービスの原価と固定費は残る。
- 相続・不動産:数量 2,786(相続紹介の年間成約件数(件))× 価格 18(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。士業への直接マッチングが増えて、紹介件数と収益率が下がる。
- 介護施設紹介:数量 3,920(介護施設紹介の年間成約件数(件))× 価格 30(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。施設紹介は残るが、紹介手数料の競争が強まる。
- 自治体連携メディア:数量 628(年度末の自治体向け媒体採用先数(自治体、重複なし))× 価格 0.02(媒体売上の自治体当たり年換算(億円/自治体))→ 売上 12 億円・営業利益 4 億円。提携先は増えても媒体スポンサーの採算は弱まる。
- 自治体受託・コンサル:数量 23.0(年度末の終活受託採用自治体数(自治体))× 価格 0.08(受託関連売上の採用先当たり換算額(億円/自治体))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。自治体の内製化とAIによる事務量減少を見込む。
- 少額短期保険:数量 34,268(保有保険契約の年換算相当数(契約相当件数、推定))× 価格 4.39(契約当たり平均年保険料(万円/年、推定))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。契約は増えても保険金支払率と顧客獲得費用が上昇する。
- その他サービス:数量 4,928(周辺サービスの有料成約換算件数(件、推定))× 価格 12(成約換算の総合単価(万円/件、推定))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。周辺サービスの集客低下で採算が悪化する。
倍率:ROEが資本コスト7.25%に近づき、将来の新規投資の超過利潤は薄い。稼ぐ力の評価を優先しPER13.0倍とする。18億円の余剰現金は不振時の消費を見て75%相当13.5億円に下げ、その75%の株主への戻り方を反映して時価総額を93.47億円とする。良い時の高ROEに倍率を与えない。
確率:下に寄せる理由:会社自身が開示する主力3サイト売上依存51%と自治体受託のAI・内製化への弱さから、主要サイトの成約が減る実質的な経営リスクが大きい。25%。
悲観 15% AI直接化で成約仲介の地位を失う 利益 −3 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 101 円42 億円
検索からの流入が大きく失われ、利用者のAIエージェントと葬儀社・士業が直接つながる市場に変わる。「いい葬儀」「いいお墓」は依然存在するが、情報閲覧の場となり、成約手数料の主導権を失う。比較媒体が紹介費を下げても取引件数は戻らず、お墓成約は約1万件、葬祭約5,600件に縮む。相続の一般案件も大半が別の窓口へ移る。
自治体は住民の手続きを内製化し、受託の数量が現在の3割以下になる。媒体サービスは残るが広告主の採算が悪化する。介護施設紹介と実物の葬儀、保険契約はなくならないものの、保険では契約者の高齢化と死亡保険金の請求が重なり、保険引受は赤字になる。買収先の収益性を見直す中で、のれんやソフトウエアの一部を減損し、新規投資を凍結する。
連結売上は53億円程度、営業赤字は5億円程度へ沈む。前半の利益から支払ってきた配当は後半ほぼ停止し、企業価値の中心は保険の責任準備金などを控除した換金可能な財産になる。今ある自己資本60.9億円の全額を株主が即時回収できるとは考えず、純現金と売却可能資産の保守的な床を守る展開である。
- お墓:数量 9,910(紹介からの年間成約件数(件))× 価格 14(売上換算成約単価(万円/件、掲載等を含む))→ 売上 14 億円・営業利益 5 億円。検索流入と紹介の価格決定力が構造的に失われる。
- 葬祭:数量 5,641(葬祭紹介の年間成約件数(件))× 価格 17(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 10 億円・営業利益 3 億円。葬儀社への直接予約が増え、紹介経由の成約が減る。
- 相続・不動産:数量 1,797(相続紹介の年間成約件数(件))× 価格 15(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。相続情報の仲介がAIエージェントに代替され、赤字になる。
- 介護施設紹介:数量 2,371(介護施設紹介の年間成約件数(件))× 価格 27(売上換算成約単価(万円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。施設運営者との直接取引に押され、対面営業費用が残る。
- 自治体連携メディア:数量 425(年度末の自治体向け媒体採用先数(自治体、重複なし))× 価格 0.02(媒体売上の自治体当たり年換算(億円/自治体))→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。媒体採用先と広告スポンサー収益が同時に減る。
- 自治体受託・コンサル:数量 12.0(年度末の終活受託採用自治体数(自治体))× 価格 0.07(受託関連売上の採用先当たり換算額(億円/自治体))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。行政の内製化とAI自動化で受託が大幅に縮む。
- 少額短期保険:数量 23,724(保有保険契約の年換算相当数(契約相当件数、推定))× 価格 3.82(契約当たり平均年保険料(万円/年、推定))→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。保険金支払いと販売費用が保険料収入を圧迫する。
- その他サービス:数量 3,520(周辺サービスの有料成約換算件数(件、推定))× 価格 10(成約換算の総合単価(万円/件、推定))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。周辺事業にも検索流入減少が波及して赤字になる。
倍率:長期の営業赤字と保険負債から恒常的な成長価値を見込まず、現在の自己資本60.9億円を起点にPBR0.70倍で42.63億円とする。のれん2.5億円と換金困難なソフト資産を除き、現金41.4億円から保険責任準備金約5.5億円等を確保し、売却可能な有価証券・有形資産を加えた約40億円が保守的な下値の床。10年後の累積自己資本63.5億円を0.70倍の分母にしない。
確率:下に寄せる理由:2026年の第三者割当による希薄化、買収した保険の支払責任、AI検索への入口依存が複合的に失敗する余地がある。倒産ではなく資産の床へ近づく極端な筋として15%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
お墓
「いいお墓」「ライフドット」等による霊園・樹木葬・墓石店の紹介。掲載、広告、付随サービスを含む売上。
| 数量紹介からの年間成約件数(件) | 価格売上換算成約単価(万円/件、掲載等を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 19,821 | 13 | 25 | 13 |
| 10 年後 中立 | 27,155 | 17 | 46 | 23 |
取り方:2026年1月期の四半期成約4,703・5,440・4,932・4,746件を合計し19,821件。会社開示売上25.45億円を割った12.84万円は付随広告・ライフドットの影響を含む「売上換算単価」であり、資料の成約一件の純紹介料約7万円とは異なる。いいお墓・ライフドットの成約に他の販路も加わる。AIエージェント代替型は「自社媒体・プラットフォーム」、物価による値上げは最大1.34倍だが、AI検索による来訪減と樹木葬の低価格化を数量・単価に反映する。営業利益は事業部ベースの収益寄与の推計であり、売上83.35億円・全社営業利益11.62億円との差額は共通本社費、開発費と株式報酬で調整する。
葬祭
「いい葬儀」を通じた葬儀社・斎場の紹介、広告・付加サービス。実際の葬儀代金は売上ではない。
| 数量葬祭紹介の年間成約件数(件) | 価格売上換算成約単価(万円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 9,402 | 16 | 15 | 7 |
| 10 年後 中立 | 14,103 | 21 | 30 | 14 |
取り方:2026年1月期の成約2,478・2,191・2,183・2,550件を合計し9,402件。葬祭売上15.20億円÷成約件数=16.17万円/件。2027年1月期2Qの会社開示の直接的な紹介料単価は14.48万円で、年度売上換算単価との差は広告・周辺取引等のため同一ではない。AIエージェント代替型は「自社媒体・プラットフォーム」で、オフライン送客が検索流入減を補える範囲で件数を変える。営業利益は事業部ベースの収益寄与の推計であり、売上83.35億円・全社営業利益11.62億円との差額は共通本社費、開発費と株式報酬で調整する。
相続・不動産
「いい相続」「相続不動産サポート」から士業・不動産事業者につなぐ紹介と付随サービス。
| 数量相続紹介の年間成約件数(件) | 価格売上換算成約単価(万円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 4,493 | 17 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 3,684 | 20 | 7 | 1 |
取り方:2026年1月期の成約1,115・914・1,204・1,260件、年間4,493件を基礎とする。売上7.49億円÷成約数=16.67万円は不動産等を含む売上換算値で、2027年1月期2Qの純紹介単価12.87万円と別物。AIエージェント代替型は「情報・調査サービスに近い自社紹介媒体」で、一般情報の回答や事務的な比較はAIに奪われるため中立の成約数量を0.82倍、価格を物価未満の1.21倍とする。営業利益は事業部ベースの収益寄与の推計であり、売上83.35億円・全社営業利益11.62億円との差額は共通本社費、開発費と株式報酬で調整する。
介護施設紹介
「いい介護」等の施設紹介と病院・地域の対面経路、買収したユウテルの関連収益。
| 数量介護施設紹介の年間成約件数(件) | 価格売上換算成約単価(万円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 3,161 | 25 | 8 | 2 |
| 10 年後 中立 | 9,483 | 33 | 32 | 8 |
取り方:2027年1月期2Q決算資料の遡及した2026年1月期グラフによる成約754・719・805・883件、年間3,161件。介護売上8.02億円÷件数=25.37万円はユウテルなどの付随事業の売上を含む混合値で、実際の一件紹介料とは同一視しない。紹介先決定はオフラインで行われるが、比較サイト部分はAIエージェント代替型「自社媒体」。中立は病院営業・SOMPOの介護接点から紹介のシェア拡大を伴う3.0倍。営業利益は事業部ベースの収益寄与の推計であり、売上83.35億円・全社営業利益11.62億円との差額は共通本社費、開発費と株式報酬で調整する。
自治体連携メディア
自治体配布のおくやみハンドブック、終活べんり帳、行政向け冊子、スポンサー広告等の媒体事業。
| 数量年度末の自治体向け媒体採用先数(自治体、重複なし) | 価格媒体売上の自治体当たり年換算(億円/自治体) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 483 | 0.02 | 8 | 3 |
| 10 年後 中立 | 879 | 0.02 | 19 | 7 |
取り方:2026年1月期末の提携508自治体中、媒体サービスの採用は483自治体。官民協働総売上10.63億円の75%に当たる7.98億円を「媒体」に割り当て、483で割って1団体当たり約165万円と推計。75%は開示のない仮定であり、スポンサーからの広告収入と無料配布も含むため、自治体の支出単価ではない。2026年7月末は媒体517採用。AIエージェント代替型は「自社媒体・プラットフォーム」で、紙配布の実需と広告主の価格競争を同時に考える。営業利益は事業部ベースの収益寄与の推計であり、売上83.35億円・全社営業利益11.62億円との差額は共通本社費、開発費と株式報酬で調整する。
自治体受託・コンサル
自治体の相談窓口・おくやみコーナー受託、終活コンサルティング、住民向け支援サービス。
| 数量年度末の終活受託採用自治体数(自治体) | 価格受託関連売上の採用先当たり換算額(億円/自治体) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 42.0 | 0.06 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 28.0 | 0.08 | 2 | 0 |
取り方:2026年1月期の終活受託42自治体(2026年7月末46)を数量とする。官民協働10.63億円の残り25%2.65億円を42で割り年約631万円と推定。コンサル採用182・住民サービス67は42団体と重複し、売上の分解も非開示なので契約単価の実績ではない。AIエージェント代替型は「人月・工数で売るBPO・コンサル」に該当し、中立の実質サービス量28/42=0.67倍、価格は1.32倍、10年より先のgは0%。窓口の対面支援は残るが定型手続き・調査部分がAI化される。営業利益は事業部ベースの収益寄与の推計であり、売上83.35億円・全社営業利益11.62億円との差額は共通本社費、開発費と株式報酬で調整する。
少額短期保険
ベル少額短期保険の葬儀費用を中心とする死亡保険等。顧客の保険料と将来支払責任が対応する。
| 数量保有保険契約の年換算相当数(契約相当件数、推定) | 価格契約当たり平均年保険料(万円/年、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 26,360 | 3.60 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 44,812 | 4.75 | 21 | 2 |
取り方:少額短期保険売上9.49億円、保有契約数・実効年払保険料は非開示。ベル少短の公開プランは月額560円〜7,000円等と幅が広い。ここでは月3,000円(年3.6万円)を仮の平均保険料とし9.49億÷3.6万円=約26,360件相当と逆算。真の契約件数の断定ではなく平均2,000〜5,000円/月なら約1.6万〜4.0万件の幅がある。保険金支払・準備金があるため名目保険料の上昇をそのまま利益に転換しない。事業自体は契約・規制・現場に紐づき、AI代替型の人月や操作SaaSには当たらない。営業利益は事業部ベースの収益寄与の推計であり、売上83.35億円・全社営業利益11.62億円との差額は共通本社費、開発費と株式報酬で調整する。
その他サービス
「いい仏壇」、散骨、出版・相談サービスなどの周辺事業や新規事業の集合。
| 数量周辺サービスの有料成約換算件数(件、推定) | 価格成約換算の総合単価(万円/件、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 7,040 | 10 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 5,843 | 13 | 8 | 1 |
取り方:その他売上7.04億円の成約件数と内訳は非開示。会社が年間約20万人の終活利用者を持つという有報の説明を起点に、墓・葬祭・相続・介護の年約3.7万成約以外の顧客の4%強(約7,040件)が周辺取引を有料成約すると仮定し、一件10万円相当と推計。各事業の実績件数とは違う粗い市場換算であり、売上を単に指数100としたものではない。AIエージェント代替型の自社メディア部分と、散骨等の現場のサービスが混在するため中立件数を0.83倍と慎重に見る。営業利益は事業部ベースの収益寄与の推計であり、売上83.35億円・全社営業利益11.62億円との差額は共通本社費、開発費と株式報酬で調整する。
リスクと懸念
AI エージェント代替と検索媒体の地位低下
AIが葬儀社・墓地・介護施設の比較と直接予約を代行すれば、利用者は紹介サイトを訪れずに済む。2026年有報で主力3サイトへの売上依存は51%に達する。情報型の相続紹介と自治体BPOは特に自動化に弱く、収入源を守るには広告閲覧数ではなく同社を通じた実成約が必要となる。中立の数量、手数料とg_longに織り込み、kの寿命には重ねない。
自治体の提携数と収益のずれ
543自治体の提携はそのまま543件の年間有償受託契約を意味しない。媒体517・受託46・コンサル208・住民サービス76の採用先は重なり、スポンサー広告の販売と行政からの委託料も異なる。行政の内製化、公共調達の値下げ、事務のAI化が進めば、自治体との関係が深まっても利益を生まない恐れがある。
介護施設紹介の競争と紹介料の上限
LIFULL介護やみんなの介護に加え、老人ホーム運営会社や病院が直接成約を獲得する。高齢者人口が増えるだけで3倍の成約が得られるわけではなく、病院営業とSOMPO経由の獲得が新しい施設契約へ結びつく必要がある。営業人員と広告獲得単価が上がれば、成約数は増えても増分ROICが資本コストを下回りうる。
買収した保険事業の支払率と責任準備金
少額短期保険の売上は2026年1月期に9.49億円へ増えたが、保険料はすべて自由に使える利益ではない。契約者の高齢化、死亡率の予想外の変化、販売費用の増加は支払保険金と責任準備金を押し上げる。保険会社の利益率と資本規制を紹介事業と分けて見る必要があり、保険料の増収だけで強い堀とは評価できない。
M&Aと新株による一株当たり価値の希薄化
2025年12月のSOMPO向け第三者割当で発行済株数は約1割増え、従業員向け新株予約権にも最大約107万株がある。ベル少短、ユウテル、ライフドット、366の統合には時間と共通システムの投資が要る。買収した売上が増えても、希薄化と株式報酬を補う利益が生まれなければ既存株主の持分価値は増えない。
高配当維持と現金の使途
2026年1月期は年間20円配当に伴い当期利益を上回る還元となった。中期方針の上限は将来の増配保証ではなく、M&Aやシステム開発への支出と同時に維持できるかは未知数だ。現金41.4億円には保険の責任準備金や事業運転の必要額があり、全額がいつでも普通株主へ戻るとみなすのは危険である。
樹木葬・小規模葬儀への移行による販売単価低下
2026年のお墓消費者調査では樹木葬が47.4%を占め、従来型の墓石需要と顧客単価の構造が変わっている。家族葬や直葬の選好が広がれば事業者の手数料原資も限られる。2026年の葬儀紹介単価は上昇したものの、長期に物価を上回る値上げができるかは別であり、相続や墓地の紹介単価には慎重な前提を採る。
今後の分かれ目
- 2028年1月期に売上127億円・営業利益26億円の両方を達成し、その後も広告費率が低下したら
- 介護、自治体媒体、保険が高い追加利益率を持つ証拠となる。中立の利益率と現金の再投資効率を上げ、やや楽観の確率を増やす。
- 「いいお墓」「いい葬儀」の成約件数が伸びず、生成AI経由の直接予約が普及したら
- 主力サイトの流入減が収益減へ転換したとみて、紹介数量と手数料の中立見通しを引き下げる。広告依存のある分はAI エージェント代替のリスクを強める。
- 介護の四半期成約が1,500件を超え、営業費・広告費が増えずに定着したら
- 病院営業・SOMPOの接点に真のネットワーク効果があると考え、介護数量と限界利益率を上方修正する。施設紹介の競合への支払条件も同時に確かめる。
- 自治体の提携が700を超えても官民協働売上・利益が伸びなかったら
- 無料の媒体提携や受託の低採算化を疑い、提携自治体数を高い単価の契約数に変換する仮説を改める。官民BPOの収益性を下げる。
- ベル少額短期保険の保険金支払い率、責任準備金が保険料の伸びを継続して上回ったら
- 引受利益を下げ、必要資本と余剰現金の取り分を再計算する。保険契約数が増えただけでは楽観側へ動かさない。
- SOMPOからの紹介実績と買収事業の増分営業利益が定量的に開示されたら
- 新株発行と買収価格を差し引いた既存株主の増分ROICを再評価する。売上だけでなく一株当たり利益の伸びを確認する。
- 配当が減配され、自社株買いも無い一方で買収用の現金が増え続けたら
- 実際の還元姿勢と株主に戻る現金の割合を見直し、余剰現金の戻り方を0.75より低くする条件を検証する。
見ておくもの
- お墓・葬祭・相続・介護の紹介件数、成約率と純紹介料単価を四半期ごとに追う。売上換算単価と混同しない。
- 自治体提携総数だけでなく、媒体採用・受託・コンサル・住民向けの各件数と官民協働の売上・事業利益を対比する。
- 自然検索からの問い合わせと自治体・病院・SOMPO・その他の対面経路からの成約比率、ウェブ広告費率を確認する。
- 保険の有効契約数、平均保険料、保険金支払い率、責任準備金と利益率の開示を確認する。
- 2028年1月期中期計画127億円・26億円の達成、2035年長期目標500億円・100億円との差を見る。
- 株主還元総額と株数の増減、新株予約権の行使、買収した事業の増分ROICを検証する。
倍率と資本コストの決め方
株価は2026年10月16日の627円、株数4,119万4,972株、時価総額約258億円で固定したが、事業・倍率の前提を決める際は一切使用していない。2026年1月期の七つの売上項目を成約件数、提携自治体数、保険の推定有効契約数に割り、自治体事業だけは性質の違いから媒体と受託に分けた。三つの紹介事業の単価は広告等を含む売上換算値であり、会社が開示する一件当たり純紹介料と同じではない。物価は価格側だけに入れている。
資本コストは7.25%、長期名目成長はAI代替を考慮して1.5%とし、楽観から中立の倍率はRONIC式の上限値をそのまま使った。やや悲観の倍率は持続的な収益低下、悲観は現在の自己資本と換金資産の床から別に決めた。現金18億円への税後利息相当1.4%を事業純利益から除き、株主への戻り方75%で足して二重計上を避けた。新リース基準の導入後も、賃料を営業費用として扱う現在の利益表示と同じ基準で10年後を比較する。政府の提携件数や2035年売上500億円のビジョンを、確実な売上として掛け算していない。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%に、純現金の強さによる調整マイナス0.25%だけを加える。