結論
エプコは住宅会社の裏方を請け負う会社だ。新築の設備の設計図を引き、引き渡し後の施主の窓口を代行し、太陽光と蓄電池の工事を請ける。筆者の結論は割高である。いちばんの理由は、利益の柱の設計が新築の減少とAIによる図面の自動化に挟まれていることだ。
設計とメンテナンスは人手で稼ぐ仕事で、AIが入るほど住宅会社は自前で済ませやすくなる。いまはエプコ自身がAIで効率を上げ、メンテナンスの利益は伸びている。だが10年で見れば、浮いた手間の多くは値下げとして顧客に渡ると見る。
伸びるのは再エネの工事だ。東京都の新築太陽光の義務化や、電力会社の需給調整に使う家庭用蓄電池の工事が増えている。ただし工事は利幅が薄く、設計の目減りを埋めるには力不足だ。
無借金で現金は22億円ある。配当性向50%とDOE8%を掲げる還元の厚さは本物で、株主に冷たい会社ではない。それでも、本業の稼ぐ力が10年で実質的に細る見立てでは、今の値段に安全域は乏しい。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の目で見ると、エプコは誠実だが堀の浅い会社だ。利益の多くを配り、借金をせず、身の丈に合わない買収もしない。資本の使い方には好感が持てる。
ただ、事業の中身は10年先が読みにくい。設計とメンテナンスは人の手間で売る仕事で、AIが入れば値段の前提が崩れる。再エネの工事は伸びるが、誰でも参入できる請負で利幅は薄い。持分法で取り込むTEPCOホームテックの利益も、金利が上がるとリースの採算が落ちる。
オーナーとして払いたいのは、今の利益が実質で保たれる前提の値段までだ。筆者は、本業の稼ぎは10年で実質的に細ると見ている。手厚い配当は下値を支えるが、安全域と呼べるほどの割安さは今の値段に無い。
見方が変わるとすれば、AIを自社の売り物に変えた証拠が出た時だ。住宅会社向けにAIの設計やAIの施主窓口を売り、その売上が開示されれば、守りの会社から攻めの会社に変わる。いまはまだ、その兆しは数字に出ていない。
何で稼ぐ会社か
事業は三つの柱からなる。売上はほぼ三等分で、2025年12月期は合計62億円だった。
一つ目の設計サービスは、低層住宅の新築で給排水・電気・空調の設備図面を引く仕事だ。住宅会社や設備メーカー、建材商社と組み、工事の手間と品質のむだを減らす設計を売る。図面の作成は中国の拠点が担うため、円安になると費用が膨らむ。売上は22億円で、新築の着工に連動する。
二つ目のメンテナンスサービスは、住宅会社に代わって施主の問い合わせを受け、点検や修理の手配、リフォームの提案までを担う。コールセンターと施主のデータ管理が中心で、受託する住宅のストックが積み上がるほど売上が安定する。2024年に一部の顧客との取引が終わったが、新しい顧客を足して持ち直した。
三つ目の再エネサービスは、子会社ENE'sが太陽光発電と蓄電池の設置工事を請ける。東京電力エナジーパートナーと組んだ関連会社TEPCOホームテックは、初期費用ゼロで太陽光を載せる「エネカリ」を売り、その利益は持分法で取り込む。工事の多くはこの関連会社と大手住宅会社から来る。
優良さと弱いところ
強みは、住宅会社の業務の奥深くに入り込んでいることだ。設計の手順や施主のデータを握るため、顧客は簡単には乗り換えない。無借金で自己資本比率は8割を超え、財務の守りは固い。
弱みは値決めの力が弱いことである。顧客は大手の住宅会社で、交渉力は向こうにある。設計の単価は着工が減ると叩かれやすい。しかも設計とメンテナンスは人の手間で売る仕事で、AIの図面作成や応答の自動化が進むほど、顧客が内製に戻す理由が増える。
資本効率は並だ。ROEは過去10年の中央値で10%ほどで、持分法の利益と受取利息に支えられている。本業の営業利益率は2017年の16%から一桁に落ちた。経営は計画の未達が続き、前の中期計画でもBIM、つまり立体の設計データの普及は進まなかった。堀は薄く、10年先も同じ利幅を守れるとは見ていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住宅の新築は細り続けている。2025年の新設住宅着工は74万戸と62年ぶりの低さで、持家と分譲戸建も減っている。人口が減り、資材と工事費が上がり、住宅ローンの金利も上向く。設計の件数は10年で3〜4割減るのが中立の見方だ。
そこにAIが重なる。設備の図面は決まりごとが多く、自動で引く道具が育ちやすい分野だ。住宅会社が自社のCADにAIを載せれば、外注の図面は要らなくなる。施主の問い合わせも、まずはAIの窓口が受ける形に変わっていくだろう。
一方で、住宅の脱炭素は追い風だ。東京都は2025年4月から新築の太陽光設置を大手の住宅会社に義務づけた。国も2030年に新築の省エネ基準をZEH並みに上げる。家庭用蓄電池は、電力会社が需給を調整する資源としても買われ始めた。太陽光と蓄電池の工事の件数は、新築が減っても既築への後付けと合わせて伸びる。
競争の相手は分かれる。工事は地場の電気工事会社や家電量販店と争い、利幅は薄い。設計とメンテナンスは住宅会社の内製部門が最大の競合で、外部の専業はわずかだ。
資本政策と M&A
還元は手厚い。配当は連結配当性向50%とDOE、つまり自己資本に対する配当の割合8%を目安にし、上場から23年減配していない累進配当だ。2026年12月期も前期と同じ額の配当を予定する。DOE8%は自己資本が増えない水準で、利益のほぼ全部を配る計算になる。2026年8月には自社株も4万株買った。
株主優待は抽選で年20名に太陽光や蓄電池を贈る。費用は年0.1億円ほどで、還元としては小さい。
M&Aでは、2025年に中国の設計合弁の持分を合弁相手の中国企業に一部譲った。創業者が大株主で、買われる側に回る見込みは薄い。現金は22億円あるが、再エネの工事に人と運転資金が要る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
エプコは住宅の裏方から脱炭素の工事会社へ姿を変えつつある。ENE'sの経常利益は2025年の1.95億円から2026年は2.6億円へ伸びる計画だ。大手住宅会社の大口の工事と、新電力各社の家庭用蓄電池の工事が同時に来ている。新築の太陽光は東京都で義務になり、国の省エネ基準も上がる。新築が減っても、1棟あたりの電気の工事は増える。
メンテナンスも強い。2026年の上半期は経常利益が倍になった。AIで応答を効率化した分は、まずエプコの利益になる。受託する住宅のストックは毎年積み上がり、手放す顧客は少ない。会社は2030年に売上100億円、経常利益15億円を掲げる。その半分でも届けば、今の値段は安い。
無借金で現金が厚く、配当はDOE8%で守られる。待つ間の配当利回りが高いことも、持ち続ける理由になる。
設計の人員はすでにエネルギー設計へ移し始めている。太陽光や蓄電池の配置、配線の設計は、義務化が進むほど住宅会社が外に出したい仕事だ。図面の仕事が減っても、同じ人と顧客の関係を新しい設計に振り向けられる。
慎重な見方
柱の設計が崩れていく。図面を引く仕事は、AIがもっとも得意とする分野の一つだ。住宅会社が自前のCADでAIに図面を引かせれば、外注は要らない。新築の着工はそもそも減っている。2026年の計画でも設計の売上は下方修正され、円安で中国の費用は上がった。
メンテナンスの好調も長くは続かない。AIで浮いた手間は、契約の更新のたびに値下げを求められる。施主の窓口をAIが受けるなら、住宅会社が内製に戻す理由になる。
再エネの工事は伸びても利幅は1割に届かない。地場の電気工事会社との値段の勝負だ。TEPCOホームテックは金利の上昇でリースの採算が落ち、成約額は上半期に2割近く減った。会社の中期計画は、前の期も達成できなかった。計画の数字を前提に値段を払う理由は無い。
本社の費用も重い。全社の費用は年5億円を超え、物価とともに増える。売上が伸びなければ、利益の大半を本社の費用が食う形になる。配当がDOE8%で守られているのは、現金が厚いうちだけの話だ。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方に分がある。再エネの伸びは本物だが、利幅の薄い工事で、利幅の厚い設計の目減りを埋めるのは難しい。AIの影響は設計とメンテナンスの両方に効き、中立でも実質の稼ぎは細る。メンテナンスの好調も、AIの効率化がいずれ値下げとして顧客に渡るなら長続きしない。中立は工事が伸びても実質の稼ぎが3割近く縮む筋書きとし、悲観側に厚く重みを置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 724 円65 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 423 円38 億円)。 今の値に割り戻すと 624 円56 億円、今との差 −20.1%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,633 円146 億円 | 527 円47 億円 | +176.6% | +10.7% | 173 円15 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,121 円100 億円 | 493 円44 億円 | +106.7% | +7.5% | 323 円29 億円 |
| 中立 | 36% | 788 円70 億円 | 448 円40 億円 | +58.3% | +4.7% | 445 円40 億円 |
| やや悲観 | 24% | 279 円25 億円 | 370 円33 億円 | −16.9% | −1.8% | 156 円14 億円 |
| 悲観 | 12% | 157 円14 億円 | 269 円24 億円 | −45.4% | −5.9% | 51 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 724 円65 億円 | 423 円38 億円 | +47.0% | +3.9% | 1,148 円102 億円 |
今の株価時価総額 781 円70 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 再エネ工事が柱に育ち、AIを自社の武器にする 利益 8 億円 · PER 16.0 倍 · 株価時価総額 1,633 円146 億円
太陽光と蓄電池の工事が大きく伸びる。新築の義務化が東京から全国の大都市に広がり、既築への蓄電池の後付けも電力の需給調整の資源として定着する。ENE'sは大手住宅会社と新電力の工事を束ね、件数は今の2倍強になる。
メンテナンスはAIで応答の手間を減らしつつ、浮いた力で点検とリフォームの提案を増やし、受託する住宅のストックを3割積み増す。設計は件数が減るが、エネルギー設計とBIMの付加価値で単価を上げる。TEPCOホームテックも新商品で成約を戻す。売上は110億円を超え、2030年の会社目標に遅れて届く。還元はDOE8%を守り、自社株買いも続く。
- 再エネサービス(ENE's の施工。THT は持分法で利益の外):数量 3,080(設置工事の件数(件・推定))× 価格 0.02(1 件あたりの工事代(億円))→ 売上 58 億円・営業利益 6 億円。件数 2.2 倍・単価 1.25 倍
- メンテナンスサービス:数量 130(受託している住宅の戸数(万戸・推定))× 価格 2,223(1 戸あたりの年間の受託料(円))→ 売上 29 億円・営業利益 6 億円。戸数 1.3 倍・単価 1.15 倍
- 設計サービス:数量 5.1(設計を受託した住宅の件数(万件・推定))× 価格 4.80(1 件あたりの設計料(万円))→ 売上 24 億円・営業利益 4 億円。件数 0.85 倍・単価 1.3 倍
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 11.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 15.96 倍、時価総額 146 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:再エネの工事が倍以上に伸び、設計とメンテナンスもAIを自社の売り物に変えて利幅を上げる組み合わせ。AIを売り物にした売上の開示はまだ無く、重なる条件が多いので低い確率に置く。
やや楽観 20% 工事の伸びが設計の目減りを上回る 利益 6 億円 · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 1,121 円100 億円
再エネの工事は計画どおりに伸び、件数は今の2倍近くになる。DR、つまり電力会社が需給を調整するための蓄電池の工事が、新電力各社から安定して来る。メンテナンスは受託戸数を2割増やし、AIの効率化の一部を利益として残す。
設計は着工の減少に沿って件数が3割弱減るが、エネルギー設計への人の配置換えで利幅は保つ。TEPCOホームテックは金利の上昇を新商品で吸収し、利益は少し増える。本社の費用は物価並みに増えるが、売上の伸びで吸収する。会社全体の利益は実質で今を少し上回り、還元は方針どおり続く。
中国の拠点は人を減らしながら、国内の検図とAIの道具で生産性を上げる。円安の重さは残るが、図面1件にかかる手間は確実に減っていく。
- 再エネサービス(ENE's の施工。THT は持分法で利益の外):数量 2,660(設置工事の件数(件・推定))× 価格 0.02(1 件あたりの工事代(億円))→ 売上 49 億円・営業利益 5 億円。件数 1.9 倍・単価 1.22 倍
- メンテナンスサービス:数量 120(受託している住宅の戸数(万戸・推定))× 価格 2,088(1 戸あたりの年間の受託料(円))→ 売上 25 億円・営業利益 5 億円。戸数 1.2 倍・単価 1.08 倍
- 設計サービス:数量 4.3(設計を受託した住宅の件数(万件・推定))× 価格 4.61(1 件あたりの設計料(万円))→ 売上 20 億円・営業利益 3 億円。件数 0.72 倍・単価 1.25 倍
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.8% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 10.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 15.26 倍、時価総額 100 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:再エネ工事の伸びは計画に沿って続き、設計の目減りは着工の減少並みにとどまる筋書き。足元の受注の流れに沿うので一定の確率を置く。
中立 36% 工事は伸びるが、設計の細りで実質の稼ぎは縮む 利益 4 億円 · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 788 円70 億円
新築の着工は10年で3割強減り、設計の件数はAIの内製化も重なって今の65%になる。単価は物価ほど上がらない。中国拠点の費用は物価とともに上がり、設計の利幅は今の16%から13%に下がる。
メンテナンスは受託戸数を少し増やすが、AIで浮いた手間の多くを値下げで顧客に返し、1戸あたりの受託料は据え置きになる。再エネの工事は件数が7割増え、売上は40億円を超えて最大の柱になる。ただ利幅は1割に届かない。TEPCOホームテックの利益は金利の上昇で伸び悩む。営業利益は名目で今と同じ程度にとどまり、物価を除けば3割近く縮む。還元はDOE8%に沿って利益のほぼ全部を配る。
- 再エネサービス(ENE's の施工。THT は持分法で利益の外):数量 2,380(設置工事の件数(件・推定))× 価格 0.02(1 件あたりの工事代(億円))→ 売上 43 億円・営業利益 4 億円。件数 1.7 倍・単価 1.2 倍
- メンテナンスサービス:数量 115(受託している住宅の戸数(万戸・推定))× 価格 1,933(1 戸あたりの年間の受託料(円))→ 売上 22 億円・営業利益 4 億円。戸数 1.15 倍・単価据え置き(AI で浮いた手間を値下げで返すため物価を下回る)
- 設計サービス:数量 3.9(設計を受託した住宅の件数(万件・推定))× 価格 4.43(1 件あたりの設計料(万円))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。件数 0.65 倍・単価 1.2 倍(着工減と AI の自動化で単価の交渉力が弱く物価を下回る)
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.7% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 14.17 倍、時価総額 70 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業種のノートの着工減とAI代替の中立の置き方に、足元の工事の受注の伸びを合わせた落としどころ。最も起こりやすい筋書きとして厚く置く。
やや悲観 24% 設計が半減し、メンテナンスも値下げに押される 利益 1 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 279 円25 億円
大手の住宅会社が自社のCADにAIを載せ、設備の図面を内製に戻す。設計の件数は今の45%に落ち、利幅も9%に下がる。メンテナンスは施主の窓口をAIが受ける形に変わり、受託料は物価を下回って下がる。顧客の一部は内製に戻る。
再エネの工事は伸びるが、地場の工事会社との値段の勝負で利幅は7%にとどまる。TEPCOホームテックは金利の上昇でリースの採算が崩れ、利益は細る。本社の費用を削っても営業利益はほぼゼロになり、利益は受取利息と持分法に頼る。累進配当は途中で止まり、配当は現金を取り崩して細っていく。
- 再エネサービス(ENE's の施工。THT は持分法で利益の外):数量 1,820(設置工事の件数(件・推定))× 価格 0.02(1 件あたりの工事代(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 2 億円。件数 1.3 倍・単価 1.1 倍
- メンテナンスサービス:数量 95.0(受託している住宅の戸数(万戸・推定))× 価格 1,836(1 戸あたりの年間の受託料(円))→ 売上 17 億円・営業利益 3 億円。戸数 0.95 倍・単価 0.95 倍
- 設計サービス:数量 2.7(設計を受託した住宅の件数(万件・推定))× 価格 4.06(1 件あたりの設計料(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。件数 0.45 倍・単価 1.1 倍
倍率:事業のROE 3.7% は資本コスト 8% を下回るので PER は 1÷k の 12.51 倍まで。稼ぐ力(事業の純利益 1.10 億円 ÷ k)に、今の余った現金の 75% の 11.2 億円を戻り方 1.0 で足した。
確率:AIの図面作成が住宅会社に広がり、設計が半減する筋書き。人の手間で売る仕事が半分を占める会社なので、やや悲観と悲観で35%以上を置く決まりに沿って厚めにする。
悲観 12% 裏方の仕事がAIに置き換わり、赤字が続く 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 157 円14 億円
設備の図面はAIが自動で引くのが当たり前になり、設計の件数は今の3割に落ちる。住宅会社は施主の窓口もAIで内製に戻し、メンテナンスの受託戸数は4割減る。再エネの工事は家電量販店や地場の工事会社との値下げ競争で、利幅がほとんど残らない。
売上は36億円と今の6割を下回り、本社と中国拠点の費用が重くのしかかって赤字が続く。TEPCOホームテックの利益もわずかになる。累進配当は打ち切られ、現金は赤字と配当の取り崩しで細る。最後に残るのは、目減りした現金と関連会社の持分の価値だけだ。
中国の拠点を畳むにも人の整理に費用がかかり、身軽になるまでに数年を要する。
- 再エネサービス(ENE's の施工。THT は持分法で利益の外):数量 1,260(設置工事の件数(件・推定))× 価格 0.02(1 件あたりの工事代(億円))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。件数 0.9 倍・単価据え置き
- メンテナンスサービス:数量 60.0(受託している住宅の戸数(万戸・推定))× 価格 1,740(1 戸あたりの年間の受託料(円))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。戸数 0.6 倍・単価 0.9 倍
- 設計サービス:数量 1.8(設計を受託した住宅の件数(万件・推定))× 価格 3.69(1 件あたりの設計料(万円))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。件数 0.3 倍・単価据え置き
倍率:赤字で稼ぐ力は 0 とみる。床は売れる資産で、今の自己資本 46.7 億円の 3 割にあたる 14 億円。内訳は floor_assets_why。
確率:設計とメンテナンスの両方が構造的に失われ、工事も採算割れになる筋書き。AI代替の型では悲観を売上半分前後に置く決まりに沿う。中立がすでに縮む筋書きなので、確率をさらに重ねては引かない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
再エネサービス(ENE's の施工。THT は持分法で利益の外)
住宅・事業所の太陽光発電・蓄電池・エコキュートの設置工事を子会社 ENE's が請け負う。東京電力系の TEPCOホームテック(持分法の関連会社)の工事も受ける。
| 数量設置工事の件数(件・推定) | 価格1 件あたりの工事代(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,400 | 0.02 | 21 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2,380 | 0.02 | 43 | 4 |
取り方:2025/12 期の外部売上 21.03 億円を、住宅の太陽光+蓄電池の工事 1 件約 150 万円で割って件数を推定(件数の開示は無い)。利益はセグメントの経常利益 2.58 億円から持分法の損益 0.62 億円を除いた 1.96 億円(ENE's の経常 1.95 億円と合う)。
メンテナンスサービス
住宅会社に代わり、引き渡し後の施主からの問い合わせ・点検・修理手配・リフォーム提案を受け持つ。コールセンターとデータ管理が中心。
| 数量受託している住宅の戸数(万戸・推定) | 価格1 戸あたりの年間の受託料(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 1,933 | 19 | 3 |
| 10 年後 中立 | 115 | 1,933 | 22 | 4 |
取り方:外部売上 19.33 億円を、受託する住宅のストック約 100 万戸(大手住宅会社数社の累計引き渡し戸数からの推定)で割り、1 戸あたりの年間の受託料を 2 千円弱と置いた。利益はセグメントの経常利益 2.91 億円。
設計サービス
低層住宅の新築で、給排水・電気・空調などの設備の設計図とコンサルを住宅会社に提供する。図面の作成は中国の拠点が担う。
| 数量設計を受託した住宅の件数(万件・推定) | 価格1 件あたりの設計料(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6.0 | 3.69 | 22 | 3 |
| 10 年後 中立 | 3.9 | 4.43 | 17 | 2 |
取り方:外部売上 22.14 億円を、新設の持家・分譲戸建約 33 万戸のうち 2 割弱の 6 万件を受託と推定して割り、1 件 3.69 万円と置いた(件数の開示は無い)。利益はセグメントの経常利益 3.45 億円。
リスクと懸念
AIエージェントによる設計とメンテナンスの代替
設計とメンテナンスは売上の6割を占め、どちらも人の手間で売る仕事だ。住宅会社がAIで設備の図面を自動で引き、施主の窓口をAIで受ければ、外注の理由が薄れる。値下げか内製化か、どちらでも稼ぎは細る。
新設住宅着工の減少
設計の件数は新築の着工に連動する。2025年の着工は62年ぶりの低さで、人口減と工事費の上昇、金利の上向きが重なる。着工が想定より速く減れば、設計の利益はさらに早く縮む。
円安と中国拠点の費用
設計の図面は中国の拠点で作る。円安が進むと人件費が円建てで膨らみ、2026年も設計の利益を押し下げた。為替を150円で固定しても、中国の賃金上昇は続く。
TEPCOホームテックの採算
持分法で取り込む関連会社は、初期費用ゼロで太陽光を載せるリースの事業だ。金利の上昇でリース料率が上がり、工事費も増えて利益が落ちている。上半期の成約額は前年から18%減った。
再エネ工事の価格競争
太陽光と蓄電池の工事は参入の壁が低い。地場の電気工事会社、家電量販店、住宅会社の系列と値段で争い、利幅は1割に届かない。補助金の縮小で需要が一時に冷える危うさもある。
今後の分かれ目
- 大手住宅会社がAIで設備の図面を内製すると発表する
- 設計の件数は着工の減少より速く落ち、筋書きはやや悲観に近づく。
- ENE'sの経常利益が2027年に4億円を超える
- 工事が柱に育つ道筋が見え、やや楽観の筋書きに近づく。
- メンテナンスの受託料の値下げや大口の契約終了が出る
- AIの効率化が顧客に渡り始めた印で、中立より下を見る。
- TEPCOホームテックの成約額が前年を上回って戻る
- 持分法の利益が持ち直し、利益の下支えが厚くなる。
- 円高に振れる、または中国から国内やほかの国へ拠点を移す
- 設計の費用が下がり、利幅の目減りが和らぐ。
見ておくもの
- 新設住宅着工(持家・分譲戸建)
- ENE'sの経常利益と受注
- メンテナンスの受託戸数と単価
- TEPCOホームテックの成約額と持分法利益
- 人民元相場と中国拠点の人員
- 住宅会社のAI設計の導入の発表
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の PER から逆算せず、10 年後の事業の ROE と資本コスト 8%、弱い堀(残る割合 3 分の 1)から正当化 PER を出し、上限の 9 割前後に置いた。悲観側は稼ぐ力と売れる資産の床で、過去の PBR の底は使っていない。現金 22 億円のうち運転資金を除く 15 億円を余った現金とした。今の時価総額とは最後に比べただけ。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.08→15.96 倍・やや楽観 PER 11.91→15.26 倍・中立 PER 11.17→14.17 倍・やや悲観 PER 11.43→12.51 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に quality +1.25%で8.75%。中国拠点の為替や計画未達といった個別の事情は k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.25%。