結論
Def consultingは、IT技術者の派遣・業務改革支援と、イーサリアムの保有・運用を営む会社である。筆者の結論は「割高」だ。現在の事業は継続赤字で、資産の大きな部分が暗号資産に変わり、さらに大規模な新株予約権が発行された。10年先の株主価値を考えると、単に時価総額と今の自己資本を比べるだけでは安全域を見誤る。
かつて地域情報誌を営んだ会社は、コンサルティングへ軸足を移し、2025年度にはETHの運用を第二の柱に加えた。2026年3月期の売上は8.54億円だが、営業損失は約4.20億円である。ETH評価損を受けた最終損失は21.54億円に達した。翌期第1四半期にも5.11億円の純損失が生じ、自己資本は約18.97億円に減った。
改善材料もある。人員が増え、コンサル部門の四半期売上総利益は黒字に転じた。公共分野の受注とAI導入支援の開始は販路を広げうる。しかし、人が働いた時間に対する請求が収益の中心である。AIエージェントが調査、運用、資料作成を直接担えば、市場全体のDX支出が増えても、人月を買う需要は細りうる。
会社は2030年の人員1,000名体制を構想する一方、2026年7月には最大3,100万株の新株予約権を発行した。全て行使されれば既存株主の取り分は約70%となる。ETHの上昇と買収の成功が重なる可能性は否定しないが、それを長く続くオーナー利益と見なす証拠はまだ乏しい。事業の立て直しと資本の回収を確認する前に、高い期待を払う局面ではない。確率加重で割り引いた価値は約3.7億円と、足元の時価総額約30.5億円を約88%下回る。楽観時にもETHの換金価値と事業の稼ぐ力を分け、資産残高に高い倍率を掛ける評価は採用しない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、事業の名前より「追加の1億円を投じたら株主にいくら戻るか」を確かめたい。現状はその問いに強い答えがない。採用を増やして売上を伸ばしても、稼働率の低い育成期間と共通費が利益を吸収してきた。ETHを買うことも投資活動ではあるが、誰でも市場で買える資産を上場会社の中で保有するだけでは、それ自体が超過利益を生む堀にはならない。
事業価値と市場で売れる財産は分ける必要がある。ETHが値上がりした時の評価益を翌年以降も得られる利益として高いPERで買えば、資産を二重に評価してしまう。逆に、会計上の損失を理由にETHの換金価値をゼロとするのも誤りである。今回の会社は資産の中身が支配的なので、10年後の残存純資産と回収可能性を中心に見る。事業の収益力は、その残存資産を増やせるのか、食い潰すのかの判断材料とする。
安全域は特に薄い。2026年6月末の自己資本は約19億円あったが、その多くはETHの相場に左右される。IT支援事業の損失が続けば売れる資産を運転資金に充てざるを得ない。さらに新株予約権は資金を持ち込む一方、将来の会社価値を分け合う人数を増やす。少数株主が会社を清算させ、時価に近い資産をすぐ手にできるわけでもない。
評価を変える条件は明瞭だ。人員数ではなく、四半期を通した本業の現金利益が黒字となり、AI導入サービスの売上金額が確認でき、買収後の投下資本利益率が資本コストを超えることだ。その証拠が出れば収益企業として評価し直せる。現時点では好材料を先取りせず、損失と希薄化を含む下側に厚い安全域を取る。
何で稼ぐ会社か
収益源は性質の異なる二つの事業である。コンサルティング事業は、企業のITシステム刷新、プロジェクト管理、インフラ運用、業務改革を人材とノウハウで支援する。2026年3月期の売上は8.17億円で、全社売上の約96%を占めた。案件の多くはITエンジニアの稼働時間に応じて料金を請求するため、採用、稼働率、月額単価が売上の大部分を決める。
会社開示では同年度末に182名が在籍し、期末稼働率は97.1%だった。2026年6月末には在籍219名に増えたが、4〜6月平均の稼働率は85.5%である。2026年6月の月額請求単価はSES領域が約42万円、コンサル領域が約103万円と開きが大きい。大量採用した新入社員の教育期間が長引くほど、売上より人件費が先に発生する構造だ。
もう一つのデジタル資産トレジャリー事業は、ETHを保有し、ステーキング報酬とオプション取引の収益を得る。2026年3月期の同事業売上は0.37億円で、会社全体の営業損失を覆う規模ではない。2026年6月末の保有数量は約5,281ETH、時価評価額は約13.40億円となった。暗号資産の価格下落による評価損は主に営業外損益に計上され、ステーキングという継続的な収益と区別しなければならない。
この二つを一緒にしたこと自体が、顧客の離反を防ぐ仕組みになるわけではない。コンサル会社を選ぶ顧客がETH運用能力を必要とする場面は限られる。会社はAIエージェントの導入支援や公共案件への進出を打ち出しているが、2026年7月の開示時点では当該サービスの受注金額は示していない。したがって、その収益が既存の人月事業を置き換えるほど確立したとは評価しない。
優良さと弱いところ
競争上の強みは、若手を採用・育成し、IT現場に送り出す仕組みと、小規模でも機動的に人員を配置できることだ。公共分野でプライム案件を二つ得たことは商流を改善する芽である。だが、競合が再現しにくい独占データ、法令上の免許、顧客が切り替えられない共通基盤は確認できない。解約率の低さや継続的な値上げを数字で証明した資料もない。堀、つまり競争相手を長期に排除する力は弱い。
収益性は未完成である。コンサル部門の四半期粗利益が黒字化したことと、全社が黒字化することは違う。2026年3月期はセグメント損失が1.43億円、共通費用が3.14億円あり、暗号資産からの収益を足しても営業赤字だった。資本が増えた理由も利益の蓄積ではなく、新株予約権の行使による資金調達が中心だ。過去十年の増分ROICを高いと判断する根拠は見当たらない。
ETHは売れる資産だが、価格を決める力のある商品ではない。誰でも同じ暗号資産を買うことができ、ステーキングの報酬率はネットワーク全体の参加者と手数料に左右される。2026年の実勢利回りは会社の目標を下回る例があり、運用を高度化すれば自動的に高収益になるわけではない。資産が膨らんでも既存株主の1株当たり持分が増えるとは限らず、資本調達の条件まで確かめる必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の企業変革需要は拡大している。IDCは2025年の国内ビジネス・ITコンサルティング市場を合計約1兆4,554億円、2030年を約2兆2,897億円と予測する。Def consultingのコンサル売上8.17億円は、この広い市場との単純比較では0.06%弱で、価格形成を左右する規模ではない。ただし同社のSES収益には一般のコンサル市場と範囲が違うものも含まれるため、これは厳密なシェアではなく規模感の比較である。
競合にはデロイトやPwCなどの戦略・変革ファーム、NTTデータなどの大手SIer、アルプス技研などの技術者派遣企業がいる。大手にはブランドと大口顧客への入口があり、派遣専業には採用・配置の規模がある。同社はその中間で、公共案件やシステム運用を担うが、付加価値の高い案件を取り続ける実績はこれから積み上げる段階だ。市場の伸びが同社のシェア上昇を意味するわけではない。
今後の本当の転換点はAIエージェントである。IT人材不足は続いても、発注側が人月契約から成果物と自動化された処理量への課金に移れば、請求できる工数は減る。会社自身も市場調査や定型報告の自動化が進むと説明し、実装と成果責任へ重点を移す方針だ。だが成果報酬を高い単価で契約できたという金額の開示はない。中立では実質の有償工数が縮み、名目単価の上昇も一般物価に届かないと見込む。
ETH運用市場の競争原理はさらに違う。約1億2,200万ETHの流通量に対して同社の約5,281ETHは0.005%に満たず、2026年9月時点で世界供給の約4.9%を保有するBitMineや、大口保有企業SharpLinkと規模で戦う位置にはない。LidoやCoinbaseなどの大手運用基盤も存在する。暗号資産の価格とネットワークの報酬率は世界共通であり、国内上場会社というだけで高い利回りや独自シェアを得られる市場ではない。
資本政策と M&A
経営陣の資本配分は、今の株主にとって最も厳しく評価すべき論点だ。過去十年は大きな赤字と新株発行が繰り返され、継続的な増配も自社株買いも確認できない。2026年3月期には新株予約権の行使などで約42億円を調達し、約33億円をETH取得に投じた。期末までに暗号資産の評価損が多額に発生し、株主から集めた資金が高い収益を生んだとは言えない。
2026年6月公表の事業計画では、2030年に人員1,000名体制を構想する。2027年3月期の予想は売上12.90〜16.29億円、営業損益はマイナス2.00〜プラス1.50億円、経常利益は1.72〜25.13億円だ。ただし上限の経常利益のほぼ全てはETH評価益に依存する。ROEの数値目標や配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額について、実行を約束する数字は確認できない。株主還元は「数字の約束なし」である。
2026年7月には第9回新株予約権が発行された。潜在株式は3,100万株で、当初行使価額40円なら約12.4億円の払い込みとなる。これをM&Aに投じる方針だが、対象企業や買収後利益の確定開示はない。黒字企業を割安に買えば価値を増やせるものの、調達した額だけ価値が増えると考えるのは危険だ。全行使では既存株主の持分が約70%に薄まる。
筆頭株主のGP系ファンドの保有比率は2026年3月末で21.7%、上位10株主合計は40.3%だった。過度な支配を理由に余剰資産を半額評価する条件は満たさないが、還元実績もない。配当が可能になっても、資産を再投資するのか、株主へ渡すのかという出口の規律を確認するまでは慎重である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
IT人材の不足と企業のDX投資は、同社のような技術者育成・配置会社に仕事を与え続ける。2026年6月末の在籍者は219名に達し、公共案件でも自社が直接契約する実績が生まれた。新人の稼働が進めば粗利は改善し、共通費は売上の増加に対して相対的に軽くなる。2027年3月期の会社予想に示された本業の単月黒字化は、不可能な目標ではない。
AIエージェントの普及は既存の定型作業を削るが、設計を現場に適用し、システムを止めず、最終的な責任を負う人材への需要を増やす面もある。会社はビープラッツなどとのコンソーシアムを通じ、AI導入支援をサービス化した。収益化できれば単価の高い上流案件に徐々に移り、低単価のSES依存を軽くできる。公共領域の実績が積み上がれば、同じ顧客から後続案件を得る道も開く。
ETHは単なる投機資産ではなく、ステーキングによる収益と、デジタル経済圏の拡大から生まれる値上がりの双方を提供しうる。前期に計上した評価損は、価格が回復したときには逆方向の損益となる。筆頭株主との連携で、黒字のIT人材会社を低い買収倍率で取得できれば、過去にはなかった安定的なキャッシュフローを獲得できる。新株予約権の払い込みが収益性のある資産に変われば、希薄化を上回る価値を作る可能性は残る。
慎重な見方
直近の数字は、成長以前に事業の採算が立っていないことを示す。2026年3月期はコンサル事業の売上8億円強に対し、全社では4億円を超す営業赤字を出した。2027年3月期第1四半期も営業損失が前年同期より拡大している。社員を採用すれば必ず高い稼働率と請求単価を維持できる、という前提はすでに崩れている。人材紹介・派遣の競合は多く、顧客が高い料金を払い続ける理由も薄い。
AIエージェントが仕事を代わりにする速度は、人員計画より速いかもしれない。資料作成、問い合わせ対応、運用監視、テストといった作業は人月を削られやすい。会社が成果報酬型に変わると表明しても、成果への責任を伴う高単価案件を継続受注するまでは、従来の売上が新しい売上へ移る保証はない。2030年の1,000名構想を実現するための採用費と買収資金が、利益を生まないまま増える恐れがある。
ETHの運用については、価格そのものを会社がコントロールできない。2026年3月期の巨額評価損に続き、翌期第1四半期にも評価損が発生した。ステーキング利回りは参加者が増えるほど下がりやすく、オプション売りは一時の収益と引き換えに相場急変リスクを負う。市場で保有できるETHを、管理費と発行株式数の増加を伴う会社経由で持つ必要は薄い。
新株予約権3,100万株の行使は既存株主の持分を約三割薄める。資金は会社に入っても、その後の投資先が損失を出せば二重の痛手となる。現金があるから安全とする見方は、毎年の営業赤字で現金が消えていく実態を見落としている。短期の株価上昇や買収の話題より、十年後に残る財産と継続黒字の証拠を優先すべきである。
どちらに重みを置いたか
上向きの筋書きには、人員の稼働改善とM&Aによる黒字事業の獲得という具体的な道がある。しかし、四半期の営業赤字、ETH評価損、追加株式による希薄化は既に起きた事実だ。これらはAI代替を織り込んだ工数減少とは別の会社固有の問題である。したがって、やや悲観と悲観を合計43%とし、楽観側の28%より厚くした。資産を売れば回収できる額はあるが、運転資金への流出と少数株主の受取額を考えると、現在の時価総額を正当化するには証拠が足りない。楽観でも稼ぐ力の弱い自己資本に帳簿倍率を掛けず、ETHの売却可能額と事業利益を切り分けた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 12 円8 億円(+ 還元の換算額還元の合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 5 円4 億円、今との差 −86.8%、 期待の年率 −11.3%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 24 円17 億円 | 3 円2 億円 | −30.8% | −3.8% | 3 円2 億円 |
| やや楽観 | 18% | 23 円17 億円 | 1 円1 億円 | −38.6% | −4.8% | 4 円3 億円 |
| 中立 | 29% | 10 円7 億円 | 0 円0 億円 | −74.8% | −12.9% | 3 円2 億円 |
| やや悲観 | 27% | 6 円4 億円 | 0 円0 億円 | −85.1% | −17.3% | 2 円1 億円 |
| 悲観 | 16% | 3 円3 億円 | 0 円0 億円 | −91.1% | −21.4% | 1 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 12 円8 億円 | 0 円0 億円 | −69.3% | −11.3% | 12 円9 億円 |
今の株価時価総額 39 円28 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% ETH相場回復と固定費再編が両立 利益 0 億円 · PER 11.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 24 円17 億円
先行投資で増えた社員が公共案件や運用の実装支援で力を発揮し、余分な共通費用が圧縮される。顧客はAIエージェントを採り入れるが、事故対応とシステム移行の最終責任を担う社員の仕事は残る。採用を急拡大するより、既存人員の単価を守る方向へ転換したことが奏功する。AI導入支援は受注を生むが、確認できない新規市場の爆発的成長を既存の工数に上乗せしない。
ETH価格は長い時間をかけて戻り、保有数量もステーキング報酬の再投資で維持される。会社は追加発行株式の払い込み資金を用いて小規模な黒字企業を取得し、買収後の利益を流出させずに運営する。資産相場の回復益と営業赤字の縮小が10年間の累積損益を押し上げ、自己資本は45億円前後に達する。改善した財務の一部を配当に回すが、ETHを扱う会社である以上、安定的な独占利益にはならない。
- コンサルティング・SES/IT運用支援:数量 85.1(年度内の有償稼働人年(通期換算した人員、年))× 価格 0.13(有償稼働人年当たり売上(億円/人年、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替の型に従い有償人年を現在の1.00倍に抑え、単価は物価約1.34倍。
- ETHステーキング・オプション運用:数量 5,500(保有・運用するETHの数量(枚))× 価格 0.00(ETH1枚当たり年運用売上(億円/枚・年、時価評価損益を除く))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。ETH5,500枚×年約16,000円の運用収入。ETH評価益は年度の売上から外す。2036年のETH時価を60万円/枚とみれば5,500枚の価値は約33億円で、その値上がりの一部は十年累積純益と純資産に入る。
倍率:2036年に保有するETH5,500枚を1枚60万円で換金できるとする楽観の想定に限り、時価33.0億円をコンサル本業の運転に不要な売却可能金融資産として事業価値から分離する。ETHの運用収入を事業利益に残したまま資産価値を重複計上しないよう、SCHEMAの利息控除33.0×1.4%=0.462億円を純利益0.48億円から控除する。残る事業純利益は0.018億円で、余剰資産を除いた事業ROEは資本コストk=9.0%を大きく下回る。したがって正当化PERは1÷k=11.11倍が上限であり、事業の価値は約0.20億円。ETH元本は換金や株主への還元が確実でないため、売却可能額33.0億円に戻り方0.75を掛けて24.75億円と評価し、合計時価総額は24.95億円とする。旧評価の将来自己資本45億円×PBR0.85=38.25億円は利益の稼ぐ力から認められないため採用しない。市場のPERやPBRは使わない。
確率:公共案件の継続・SESの上流化・ETH回復に加え、買収後の統合も成功する複合的な上振れであり、全て揃う確率は高くない。
やや楽観 18% 事業は改善するがETHと費用が重い 利益 −1 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 23 円17 億円
公共分野で複数の継続案件を取り、コンサル部門の案件構成は多少改善する。IT運用支援の仕事は残るが、AIエージェントが定型業務を引き受けるため、十年後に販売できる有償工数は現在より少ない。単価は賃金と物価に伴って上がるものの、顧客に成果型の値上げを大きく通せるほどの堀はできない。
全社の共通費を削減してコンサル部門は営業利益を確保するが、ETH運用の管理費と上場維持費用を合わせると全社では小幅赤字が残る。ETH保有枚数は会社の方針に近い水準を維持し、相場の一部回復が累積損失を和らげる。第9回新株予約権の払い込み金は受け取るが、買収先の利益が計画どおり定着するとは限らない。結果として自己資本は約32億円となり、価値が高まっても既存株主の取り分は発行株数の増加で薄まる。
- コンサルティング・SES/IT運用支援:数量 72.0(年度内の有償稼働人年(通期換算した人員、年))× 価格 0.13(有償稼働人年当たり売上(億円/人年、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。有償人年は現在の約0.85倍、単価は約1.32倍。中立より稼働率と請求単価を改善。
- ETHステーキング・オプション運用:数量 5,000(保有・運用するETHの数量(枚))× 価格 0.00(ETH1枚当たり年運用売上(億円/枚・年、時価評価損益を除く))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。5,000ETH×年約13,000円の報酬。運用関連費用を別途見込む。2036年にETHを38万円/枚とみれば保有5,000枚の価値は19億円。
倍率:ETHを中心とする資産の回収価値に加え、全社の最終赤字と希薄化を考え、将来自己資本32億円の0.75倍を評価する。ROEはマイナスでPERによる永続利益資本化は適切でない。24.1億円の今期初めの自己資本+新株予約権払込約12.4億円-十年間累積損失約3.7億円-還元0.8億円≒32億円。現在の市場倍率は根拠にしない。
確率:公共分野で受注を増やす可能性はあるが、全社黒字の持続と暗号資産の安定評価が同時に必要であるため楽観より実現性は高い。
中立 29% 人月需要の縮小と赤字継続 利益 −2 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 10 円7 億円
顧客のIT投資は続くが、仕事の進め方が変わる。障害対応や大規模システム移行の最後の工程は人が担う一方、報告資料、定型開発、監視業務の多くはAIエージェントが自律的に行う。会社は人員を増やすより、少ない人で高い品質を維持する方向へ動く。有償工数は現在の約65%になり、請求単価は物価の上昇を十分には転嫁できない。
経営は大規模な採用を抑え、共通費の一部を減らす。しかし売上の縮みが費用削減に勝るため、コンサル部門の利益は薄く、DAT事業を加えても全社の損失が消えない。手元資金とETHの一部を人件費・設備運転・買収後の整備に回し、十年後のETH保有数量は減る。長期保有を掲げた経営方針を変更せずに現金不足を賄うことは難しい。
新株予約権が全て行使されて約12.4億円が入金するものの、その資金も事業の赤字を全て消すわけではない。十年間で純損失が累積し、自己資本は約17億円に縮小する。帳簿資産の大半が市場価格で動く金融資産であることから、継続赤字と売却に伴う株主の回収難を中心に慎重に評価する。
- コンサルティング・SES/IT運用支援:数量 55.3(年度内の有償稼働人年(通期換算した人員、年))× 価格 0.12(有償稼働人年当たり売上(億円/人年、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。有償人年55.3は85.08の0.65倍。単価は0.096億円の1.25倍で、AIによる交渉力低下を織り込む。
- ETHステーキング・オプション運用:数量 3,000(保有・運用するETHの数量(枚))× 価格 0.00(ETH1枚当たり年運用売上(億円/枚・年、時価評価損益を除く))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。運転資金としてETHを売却、残り3,000ETHから1枚当たり年間約10,000円の収入。2036年のETHを25万円/枚とみれば残る3,000枚は7.5億円。売却した枚数の資金は営業損失に充当されている。
倍率:本業は損益が回復せず、DATの価格変動が資本の多くを左右するので、利益を正当化PERで永久に資本化できない。現在24.1億円+全行使資金約12.4億円-十年間の累積純損失約19.5億円≈17億円。ETHの換金、継続赤字と小株主が清算を指示できない点を勘案して将来自己資本17億円のPBR0.60倍とする。市場での過去PBRは使っていない。
確率:人月型の需要減少を標準のAI代替前提に合わせ、会社の高い採用目標やETHの値上がり予想を実現済みの稼ぐ力と混同しない。
やや悲観 27% コンサル縮小と資産取り崩し 利益 −3 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6 円4 億円
AIエージェントが初級の実装と運用の多くを引き受け、SESの価格交渉は厳しくなる。顧客は成果責任を伴う案件だけ人手を使うが、会社は高単価の顧客を十分に確保できない。現場要員の削減で固定費を減らしても、労務管理と上場維持費用が残る。コンサル事業は採算を取り戻せない。
ETH市場は停滞し、ステーキング利回りも上がらない。損失を埋めるために保有ETHの多くを売却し、暗号資産事業の収入も小さくなる。第9回新株予約権で入った資金は、小規模買収の失敗と運転資金に消える。黒字事業の買収による構造転換に失敗しても、すぐには会社が清算されないため、残存する純資産全額を株主が受け取ることはできない。
十年後には自己資本が約8億円まで減り、損失が続く企業となる。保有資産を換金した時に残る財産の範囲で価値を見る。現時点の自己資本に対して低い倍率を掛け、将来の積み上がった自己資本へ床の倍率を掛け直すことはしない。
- コンサルティング・SES/IT運用支援:数量 40.8(年度内の有償稼働人年(通期換算した人員、年))× 価格 0.11(有償稼働人年当たり売上(億円/人年、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 −1 億円。有償人年は現状の約0.48倍、単価は1.12倍。外注単価低下と稼働率の悪化が重なる。
- ETHステーキング・オプション運用:数量 1,500(保有・運用するETHの数量(枚))× 価格 0.00(ETH1枚当たり年運用売上(億円/枚・年、時価評価損益を除く))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。運転資金確保でETH残高が1,500枚に減り、実現報酬も減少する。2036年のETHを15万円/枚とみれば残る1,500枚は2.25億円。
倍率:営業・純損失が続くためPERは使わず、現時点の自己資本24.1億円の0.25倍を床に近い回収価値とする(将来の自己資本8億円には掛けない)。mcap=24.1×0.25=6.025億円。上値は支配株主による投資判断に依存するため低くなるが、ETHの換金可能性をゼロにはしない。
確率:人材の稼働率低下と買収後の費用負担が続く場合を表し、2026年の四半期損失とETHへの依存を踏まえた下振れとする。
悲観 16% 資産価格下落と長期赤字で存続危機 利益 −4 億円 · PBR 0.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3 円3 億円
企業は人月の発注を大きく削り、従来のSES業務が自動化される。Def consultingは高付加価値案件に移行しきれず、社員の縮小と不採算案件の処理を繰り返す。公共分野の初期実績は一過性にとどまり、規模のある継続契約を獲得できない。営業費用の削減を急いでも契約・法務・上場費用が残り、売上が小さくなったほど赤字率は悪化する。
ETHは大幅な価格下落に遭い、残る保有枚数も営業赤字と運用損の穴埋めで減る。ステーキング報酬は金額として小さく、オプション取引もリスクを引き受けてまで続ける意味が薄れる。買収した事業の利益も定着せず、資金調達によって一度厚くなった純資産が使われる。既存株主は大量の新株を含む会社価値の一部しか受け取れず、次の資金調達にも不利な条件を提示される。
十年後の会社は存続が危ぶまれるほど小さい事業と残余ETHを持つにすぎない。事業を永続的に黒字とみなす価格は付けないが、完全な無価値にもせず、売れる資産の残りを慎重に数える。現時点の自己資本から見た小さな残余価値が、構造的敗北の筋書きである。
- コンサルティング・SES/IT運用支援:数量 23.8(年度内の有償稼働人年(通期換算した人員、年))× 価格 0.09(有償稼働人年当たり売上(億円/人年、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 −1 億円。有償人年は0.28倍、単価も0.90倍。10年の売上はコンサル部門で今の約4分の1。
- ETHステーキング・オプション運用:数量 500(保有・運用するETHの数量(枚))× 価格 0.00(ETH1枚当たり年運用売上(億円/枚・年、時価評価損益を除く))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。ETH500枚、低いステーキング報酬と運用維持費で小幅損失。2036年のETHを10万円/枚とみれば残る500枚は0.5億円。
倍率:今の自己資本24.1億円を基準にPBR0.15倍=3.615億円とする。赤字の2036年純損益にPERを掛けることはできない。資本は新株予約権の払込約12.4億円を得ても、十年間累積で32億円程度の損失を出すため、2036年の自己資本4億円程度に低下する。床は現時点の帳簿純資産そのものではなく、換金できる残余財産とする。
確率:本業縮小、ETH相場の下落、買収失敗が同時に起きる厳しい場合。倒産・再増資の近傍まで考える必要があるためゼロ確率にはできない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
コンサルティング・SES/IT運用支援
ITコンサル、PMO、インフラ運用、SES派遣の人月・工数収入。成果型・AI導入支援の売上金額はまだ切り出して開示されていない。
| 数量年度内の有償稼働人年(通期換算した人員、年) | 価格有償稼働人年当たり売上(億円/人年、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 85.1 | 0.10 | 8 | −1 |
| 10 年後 中立 | 55.3 | 0.12 | 7 | 0 |
取り方:2026年3月期の開示売上816,771千円。会社の2026年6月30日事業計画で全社加重平均単価を約80万円/月と明示するため、年額0.096億円で割ると年間有償稼働85.08人年となる。期末在籍182名・期末稼働率97.1%をそのまま12か月に掛けると実績売上を過大にするため、採用途中の通期換算として扱う。月額ではSES約41万円、コンサル約125万円の混合。業態は人月・工数型で中立の数量は2026年比0.55〜0.75倍、単価は1.34倍以下。
ETHステーキング・オプション運用
保有するETHからのステーキング報酬とヘッジ付きオプション等の運用収益。ETHそのものの時価評価損益は営業外や資産評価で別扱い。
| 数量保有・運用するETHの数量(枚) | 価格ETH1枚当たり年運用売上(億円/枚・年、時価評価損益を除く) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,976 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3,000 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:2026年3月期有報のデジタル資産トレジャリー売上37,345千円を期末保有4,976.308743ETHで割り、稼働期間を含む実績の年間1ETH当たり収入に換算。2026年6月末は5,281.450030ETH、時価13.3956億円。ステーキング利回りやETH価格は変動し、取得原価約33億円との差額は運用売上ではなく主に評価損益に出る。2026年6月末時点のETH流通供給約1.22億枚に対する保有比率は0.005%未満で価格決定力はない。
リスクと懸念
AI エージェント代替
調査、資料作成、インフラ監視、問い合わせ対応などの人月業務は、顧客がAIエージェントを使って内製化できる。会社はAI導入支援メニューを発表したが、金額を伴う受注実績は確認できない。中立の有償稼働量を10年で現在の65%に落とし、2036年以降の名目成長率も0%にして評価する。
ETH価格とステーキング利回り
2026年6月末の約5,281ETHは会社資産の大きな部分を占め、価格下落で本業の損益とは無関係に自己資本が減る。会社予想のETH価格40万〜80万円と、6月末の約25.4万円には距離がある。さらにステーキング参加量が増えれば報酬率が下がり、オプション戦略には急変時の損失や取引相手の信用リスクが伴う。
ワラント希薄化とM&Aの不確実性
第9回新株予約権の潜在株式は3,100万株で、全行使時の既存株主持分は約70%となる。払い込み資金は価値が消えるわけではないが、未確定の買収先へ投じる計画であり、のれんや統合費用を伴う可能性がある。買収後の営業現金利益が調達コストと資本コストを上回るまで、希薄化を上回る価値創出は確認できない。
人員増と固定費負担
短期の増収をもたらした採用は、人材教育と稼働先確保が遅れればそのまま損失を大きくする。2026年6月末の四半期平均稼働率85.5%は前年度末の97.1%より低く、月末の高稼働率を年間の平均と混同してはならない。市場でSES単価の上昇が止まり、賃金だけ上がれば粗利が再び悪化する。
資産保全・流動性と上場維持
2026年4月にはグロース市場の上場維持基準への適合を発表したが、達成は将来の株価・時価総額を保証しない。2027年3月期第1四半期末の現預金約3.13億円は、過去の営業損失に比べ十分に厚いとは言えない。ETHの売却時期や取引所への預け金、固定の人件費が重なれば、帳簿上の純資産より株主が受け取れる額は小さくなる。
統治と資本配分の継続性
旧来の媒体事業からコンサル、さらに暗号資産運用へと収益構造が変わっており、過去の利益で長期の資本効率を測りにくい。21.7%を持つ筆頭株主との連携は助けにもなるが、少数株主の優先順位が高いことの証拠ではない。大型買収、暗号資産の追加購入、配当再開のいずれについても、一貫した配分基準の実行を見届ける必要がある。
今後の分かれ目
- コンサル部門の四半期営業利益と全社の営業キャッシュフローが4四半期連続で黒字になったら
- 固定費の吸収力を確認し、中立の利益率と残存純資産を見直す。単なる四半期粗利の黒字だけでは変更しない。
- AI導入支援サービスの受注額、成果課金比率、継続率が金額付きで開示され、旧人月売上の減少を上回ったら
- 初めて人月型とは別の事業収益として評価し、数量の下落前提とg_longの引き上げ余地を精査する。
- 第9回新株予約権の行使株数と資金使途、買収先の利益額が確定したら
- 実際の発行済株式数と受取対価でholder_shareを更新し、買収事業のROICを検証する。行使が無ければ潜在希薄化は反映しない。
- ETHが大幅に上昇しても会社が売却せず、さらに同資産へ増資資金を投下したら
- 帳簿の資産額だけで評価を上げず、換金可能性と希薄化を見直す。利益の再投資が株主の取り分を増やすかが焦点となる。
- ETH保有枚数が減り、取引所預け金と現預金の合計が営業支出数か月分を下回ったら
- 事業維持のための換金や追加増資が現実味を帯び、やや悲観・悲観の残存資産と株主持分を下方修正する。
- 公共のプライム案件が継続して増え、案件単価と稼働率が同時に改善したら
- 公共分野を通常のSESより価格競争の弱い領域として区別できるか調べ、受注金額が確認できた部分だけ上振れを認める。
見ておくもの
- 2027年3月期各四半期のコンサル売上総利益率・セグメント営業損益と全社販管費
- 在籍人員、年間平均稼働率、SES・コンサル領域別の請求単価
- ETH保有枚数、平均取得単価、時価評価額、期中の評価損益・売却実績
- ステーキングとオプション取引の実現収益・実際の運用利回り
- 第9回新株予約権の行使状況、発行株数、入金とM&Aの資金使途
- 公共分野のプライム受注額およびAIエージェント導入サービスの有償受注額
- 継続企業の前提の注記、上場維持基準、配当と自社株買いの新方針
倍率と資本コストの決め方
2026年10月22日の株価は最後の比較だけに用いた。有償人年は売上と開示単価から推定し、AI代替は中立の工数65%、単価125%、g_long0%に反映して寿命には重ねない。
楽観のROEはk9%に届かず、自己資本45億円にPBR0.85を掛けた38.25億円は使えない。将来ETH5,500枚の想定時価33億円を売却可能な投資金融資産として利益から分離し、利息控除後の事業利益にPER11.11倍、資産に還元係数0.75を適用して時価総額24.95億円とした。赤字の他の筋書きはPBRで回収可能性を測り、ETH収益と資産の二重計上を避けた。
予約権全行使の払込を自己資本に、希薄化係数を株主の取り分だけに反映した。2026年8月の四半期短信ではGC注記は「該当事項なし」で、TOBや上場廃止の確定開示も確認できない。新リース基準による表示差も本質価値に混ぜない。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。