結論
キタックは、新潟を地盤に、橋や道路、河川、斜面の調査と設計を請け負う建設コンサルタントだ。地質調査から設計までを一貫して手がけ、売上の 8 割以上が官公庁になる。新潟県と国土交通省だけで、売上の半分を超える。
結論から言う。筆者は、10 年後の本質価値は今の時価総額 19 億円を 4 割台半ばで下回ると見る。仕事は堅い。だが、それを株主の手元に残る利益に変える力が弱い。営業利益率は過去 12 年で 11% の山と赤字の谷を行き来し、2025 年 10 月期は 4% に落ちた。
財務にも癖がある。純負債は 17 億円で、自己資本 35 億円の約半分に当たる。現金は 1.6 億円しかない。
足元は改善が見込まれる。会社は 2026 年に営業利益 2.5 億円を見込む。それでも ROE は資本コストに届かず、利益をためても価値は増えにくい。公共の調査が急に消える心配は小さいが、株主が報われる形にはなっていない。時価総額が自己資本の半分ほどなのは、その裏返しだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「資産に比べて安い」ように見える。時価総額は自己資本の約半分だ。だが、筆者は安さをそのまま信用しない。
問うべきは、その自己資本が稼ぐ力を持つかである。ROE は資本コストに届かず、純負債が自己資本の約半分ある。ためた利益が不動産と運転資金に回り、株主に戻る道筋は薄い。残した利益は額面を下回る価値にしかならない。
もう一つは、堀の薄さだ。官公庁の入札は、価格を自分で決められない。県と国への依存が高く、予算の事情で受注の山谷が出る。
安全域は小さい。時価総額が自己資本の約半分という安さも、ROE の低さを映したものだ。純負債 17 億円に対し、営業利益は 1〜4 億円の間を動く。悪い年は利払いが利益を食う。結論は「割高」で、差は 4 割台半ばだ。ただ、公共の調査は急に消えない。大きく負ける形は限られる。
何で稼ぐ会社か
事業は三つある。売上 35 億円のうち、建設コンサルタントが約 31 億円、WEB ソリューションが約 2 億円、不動産賃貸が約 2 億円。稼ぎの大半は建設コンサルタントだ。
建設コンサルタントは、地質調査、土木設計、橋やトンネルの点検、防災の調査などを行う。顧客は新潟県が 27%、国土交通省が 26%。官公庁への依存は 8 割を超える。入札と、技術者の質を評価する方式で受注が決まる。
WEB ソリューションは、WEB 関連の受託で、前期は 46% 伸びた。ただし規模が小さく、利益はほとんど出ていない。
不動産賃貸は、自社で持つ土地建物の貸し出しだ。売上は 2 億円弱で、利益は小さい。賃料が伸びず、粗利は前期に 3 割減った。
受注残は 15 億円。連結の従業員は 197 人。売上は技術者の人数と、1 人当たりの単価で決まる。決算は 10 月で、官公庁の納期が年度末の 3 月前後に集まるため、期の後半に売上が偏る。受注高は前期に 3% 減り、受注残は 3% 増えた。技術者の確保が、受注の消化を左右している。
優良さと弱いところ
堀は弱めから中程度と見る。強みは、新潟県内の地盤の知識と、県・国との長い取引だ。地質の調査は、過去のデータを積むほど、次の設計で有利になる。
ただし値決めの力は乏しい。官公庁の仕事は予定価格の範囲で入札になり、価格を自分で決められない。技術者が足りず、売上は人数で頭打ちになる。
資本の効率は低い。過去 10 年の ROE の中央値は 6% ほどで、資本コストに届かない。営業利益率は 2024 年に 10.8% まで上がったが、翌年は 4.2% に戻った。赤字の年も 2021 年にあった。
財務は軽くない。純負債は自己資本の約半分で、営業利益は利息の約 7 倍。短期借入が増えている。
経営は配当性向 23% 前後を保ち、期末に年 1 回だけ配当する。中山輝也氏と中山正子氏の二人で約 2 割を持つ。中期計画の数値は確かめられなかった。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場は公共の調査・設計で、需要は国土強靱化と老朽化対策が支える。国は 2026 年度から 5 年で 20 兆円強の事業を掲げ、橋やトンネルの点検、河川の改修、斜面の防災が続く。新潟は豪雪、地震、豪雨、土砂災害が多い県で、調査と設計の需要が絶えない。
数量の天井は技術者の数だ。建設コンサルタントは、採用が難しく、売上の伸びは人員で決まる。競合は、県内の地場の同業と、大手の建設コンサルタントだ。大手は県をまたぐ大型案件に強く、キタックは地元の中小案件で戦う。
逆風は AI だ。設計、積算、報告書づくりの工数が減れば、発注側が予定価格を下げる圧力になる。ボーリングなど現場の調査は残るので、中立では数量を横ばい、価格を物価に届かない 1.30 倍で置く。
公共予算が景気で崩れる心配は小さい。技術士などの資格者を抱える会社が有利で、入札では技術評価の比重が高まっている。ただし、地方の自治体は財政が厳しく、予算の使い方次第で受注の波は出る。新潟県内の橋やトンネルは数が多く、点検と補修の仕事は今後も長く続く。
資本政策と M&A
還元は安定配当が基本で、年 1 回、期末に出す。2025 年 10 月期の配当は総額 0.39 億円で、性向は 23% 前後。自社株買いは近年見当たらない。
大株主は、中山輝也氏が約 15%、中山正子氏が約 8%、東京中小企業投資育成が約 4%、従業員持株会が約 4%。二人で約 2 割を持つが、支配株主ではない。
資本の使い方は、技術者の採用と設備、WEB 事業への小さな投資が中心だ。短期借入が増えており、運転資金に回っているとみられる(内訳は確かめきれていない)。M&A は目立たない。時価総額が小さく、同業が株を取る可能性はあるが、発表は見当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
新潟は豪雪、地震、豪雨の多い県で、調査と設計の需要が絶えない。国土強靱化は 5 年で 20 兆円強の事業を掲げ、老朽化した橋やトンネルの点検も続く。キタックは県内の地盤の知識と、県・国との長い取引を持つ。
足元は上向きだ。会社は 2026 年 10 月期に営業利益 2.5 億円、2027 年 10 月期に 3 億円を見込み、利益率は 7〜8% に戻る。2024 年には営業利益率 10.8% を出した実績がある。
財務も耐えられる。自己資本比率は 55% を超え、営業利益は利息の 7 倍ある。時価総額は自己資本の約半分で、純利益 1.6 億円の 12 倍にすぎない。受注が積み上がれば、利益は一段上がる。公共の調査は、一度取引が始まると長く続く。配当も、性向 23% から上げる余地がある。県内の災害が起きれば、復旧の調査で仕事が一気に増える面もある。新潟は、そうした需要を何度も経験してきた県だ。
慎重な見方
利益の質が低い。営業利益率は 2021 年に赤字、2022 年に 3%、2023 年に 4.5%、2025 年に 4.2% と、過去 5 年のうち 4 年は 5% に届かなかった。2024 年の 10.8% が例外だ。ROE は過去 10 年の中央値で 6% ほどと、資本コストに届かない。
官公庁が売上の 8 割を占め、新潟県と国だけで半分超。予算の事情で山谷が出る。入札では価格を決められず、人件費の上昇を転嫁しきれない。技術者の採用も難しく、売上は人数の天井で止まる。
純負債は 17 億円で、金利が 3.5% に上がると利払いが利益を削る。AI は設計と積算の工数を減らし、予定価格を押し下げる。不動産賃貸も賃料が伸びていない。2025 年は受注高が減り、営業利益も 6 割減った。ためた利益は ROE 4% 台で眠り、自己資本の厚みが価値にならない。技術者の確保競争も激しく、人件費だけが先に上がる。会社予想も、期初の数字を下回る年が過去にあった。
どちらに重みを置いたか
公共の需要の堅さは強気の言い分が正しい。だが、利益率が薄く、ROE が資本コストに届かないため、倍率は上げられない。そのため確率は中立と、やや悲観に厚めに置いた。強気の言い分の需要は確かだが、利益に変える力は会社の実績が示していない。やや悲観と悲観で 35%、楽観は 5%。差は大きく割高と出た。公共の需要という最大の強みは、確率と数量の置き方に既に入れている。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/10 期)
確率で加重した株価時価総額 438 円25 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 78 円4 億円)。 今の値に割り戻すと 256 円14 億円、今との差 −22.4%、 期待の年率 +4.6%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 770 円43 億円 | 125 円7 億円 | +171.1% | +10.5% | 45 円3 億円 |
| やや楽観 | 20% | 618 円35 億円 | 104 円6 億円 | +118.6% | +8.1% | 144 円8 億円 |
| 中立 | 40% | 480 円27 億円 | 86 円5 億円 | +71.5% | +5.5% | 226 円13 億円 |
| やや悲観 | 25% | 262 円15 億円 | 57 円3 億円 | −3.4% | −0.3% | 80 円4 億円 |
| 悲観 | 10% | 187 円11 億円 | 25 円1 億円 | −35.6% | −4.3% | 21 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 438 円25 億円 | 78 円4 億円 | +56.5% | +4.6% | 516 円29 億円 |
今の株価時価総額 330 円18 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 5% 強靱化の予算を取り込み、利益率が 10% に戻る 利益 3 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 770 円43 億円
国土強靱化の予算が新潟県と国から回り、橋・トンネルの点検と斜面の防災が続く。会社は技術者を増やし、数量は 1.1 倍になる。価格は物価並みの 1.34 倍が通る。
営業利益率は 10%。2024 年 10 月期の 10.8% の実績と、2025 年に整えた受注体制が根拠だ。不動産賃貸も賃料が戻り、利益率は 10%。
営業利益は 5 億円、純利益は 3.5 億円。ROE は 6% 台と、資本コストにはなお届かない。配当は利益の 27% ほどに増える。純負債も返済が進むが、小さな会社であることは変わらない。
- 建設コンサルタント(地質調査・土木設計・WEB):数量 182(技術者・要員の人員(人、推定))× 価格 2,664(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 48 億円・営業利益 5 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 10%
- 不動産賃貸:数量 3,100(賃貸面積(㎡、推定))× 価格 7.80(1 ㎡当たりの年間賃料(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。面積 1.0 倍・賃料 1.30 倍・営業利益率 10%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 43 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:強靱化の予算が県と国から続き、技術者も増やせる筋書き。利益率が 2024 年の 10.8% に近づくため 5% に絞った。
やや楽観 20% 受注が積み上がり、利益率が 8% 台に乗る 利益 3 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 618 円35 億円
公共予算が堅く、会社が見込む 2027 年 10 月期の営業利益率 8% が定着する。数量は 5% 増え、価格は 1.32 倍。不動産賃貸は据え置き気味で、1.25 倍。
営業利益は 4 億円、純利益は 2.8 億円。純負債の返済が進み、利払いも落ち着く。会社が 2027 年に見込む 3 億円の営業利益を、物価の分だけ上回る。配当は 6 億円ほどになる。
ただし ROE は 5% 台で資本コストに届かない。この筋書きでも、官公庁依存と技術者の天井は残る。堅実に積み上がる姿だが、株主にとっては物足りない。配当性向は 25% 前後で変わらない。
- 建設コンサルタント(地質調査・土木設計・WEB):数量 173(技術者・要員の人員(人、推定))× 価格 2,624(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 46 億円・営業利益 4 億円。数量 1.05 倍・価格 1.32 倍・営業利益率 8.5%
- 不動産賃貸:数量 3,100(賃貸面積(㎡、推定))× 価格 7.50(1 ㎡当たりの年間賃料(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。面積 1.0 倍・賃料 1.25 倍・営業利益率 9%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 35 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:公共予算が堅く、会社予想の 7〜8% の利益率が定着する筋書き。需要の確かさを踏まえ 20% を置いた。
中立 40% 人員は横ばい、価格は物価に届かず利益率は 7% 利益 2 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 480 円27 億円
公共の需要は堅いが、技術者の数が天井になる。数量は 1.0 倍で、価格は予定価格が人件費の上昇を追う形で 1.30 倍。設計・積算の省力化は事務部分だけに効き、現場の調査は残る。
営業利益率は 7% と、会社が 2026 年に見込む水準にとどめる。過去の山の 11.4% は使わない。不動産賃貸は賃料の更新が遅く、価格は 1.20 倍。
売上は 45 億円、営業利益は 3.2 億円、純利益は 2.2 億円。配当は毎年 0.5 億円ほどで、残りの 7 割強は内部に残る。ROE は 4% 台にとどまる。
- 建設コンサルタント(地質調査・土木設計・WEB):数量 165(技術者・要員の人員(人、推定))× 価格 2,584(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 43 億円・営業利益 3 億円。数量 1.00 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 7%
- 不動産賃貸:数量 3,100(賃貸面積(㎡、推定))× 価格 7.20(1 ㎡当たりの年間賃料(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。面積 1.0 倍・賃料 1.20 倍(地方物件で更新が遅く物価に届かない)・営業利益率 8%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.4% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 27 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:公共の需要は堅いが、技術者の数が天井で、価格も物価に届かない流れの中心の筋書き。AI エージェント代替は数量と価格に入れ、確率で重ねて引いていない。この筋書きを 40% とした。
やや悲観 25% 積算の省力化で単価が下がり、利益率が 4% 台に戻る 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 262 円15 億円
AI による設計・積算の省力化が進み、発注側が予定価格を下げる。価格は物価に届かない 1.20 倍で、人件費の上昇を転嫁しきれない。数量も 1 割弱減る。営業利益率は 4.5%。
不動産賃貸は賃料がほぼ横ばいで、価格は 1.10 倍。
営業利益は 1.7 億円、純利益は 1.2 億円。借入の金利が 3.5% に上がり、純利益は営業利益の 7 割弱にとどまる。配当は 3 億円ほどに抑えられる。稼ぐ力では値が付きにくく、売れる資産の床に近い値になる。2021 年 10 月期の赤字に近い年も混ざる。技術者を減らせないため、人件費の上昇がそのまま利益率を削る。
- 建設コンサルタント(地質調査・土木設計・WEB):数量 152(技術者・要員の人員(人、推定))× 価格 2,386(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 36 億円・営業利益 2 億円。数量 0.92 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 4.5%
- 不動産賃貸:数量 3,100(賃貸面積(㎡、推定))× 価格 6.60(1 ㎡当たりの年間賃料(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。面積 1.0 倍・賃料 1.10 倍・営業利益率 5%
倍率:稼ぐ力は ROE 2〜3% で資本コストを大きく下回り、事業の純利益 1.2 億円の PER で測ると床を下回る。そこで床の側で置いた。今の自己資本 35 億円に対する PBR 0.33 倍。悲観より利益が少し残る分だけ厚い。
確率:設計・積算の自動化で発注側が予定価格を下げ、利益率が過去 5 年の水準に戻る筋書き。地方財政の厳しさも重なる。やや悲観と悲観で 35% とした。
悲観 10% 県の予算の縮みと AI で売上が 2 割以上減る 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 187 円11 億円
県の予算が縮み、国の仕事も大手に集まる。AI が設計と積算の大半を自動化し、予定価格が下がる。技術者を 25% 減らして凌ぐが、数量は 25% 減、価格は 1.05 倍にとどまる。営業利益はほぼゼロ。
純負債 17 億円の利払いで、純利益はほとんど残らない。配当は大きく削られる。
こうなると稼ぐ力では値が付かない。床は不動産・投資有価証券・債権の回収から借入を返したあとの分で置く。公共の調査は急に消えないので、事業は小さくなっても続く形だ。不動産賃貸は賃料が下がり、WEB 事業も伸びない。自己資本は減損で目減りし、配当は大きく削られる。
- 建設コンサルタント(地質調査・土木設計・WEB):数量 124(技術者・要員の人員(人、推定))× 価格 2,087(1 人当たりの年間売上(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。数量 0.75 倍・価格 1.05 倍・営業利益率 1%
- 不動産賃貸:数量 3,100(賃貸面積(㎡、推定))× 価格 6.00(1 ㎡当たりの年間賃料(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。面積 1.0 倍・賃料 1.00 倍・営業利益率 0%
倍率:稼ぐ力は崩れ、利益はほぼ出ない。床は今の自己資本 35 億円に対する PBR 0.30 倍。借入を返したあとに残る不動産・有価証券・債権の回収見込みが支える。稼ぐ力がほぼ無く EV ÷ 営業利益の倍率は意味を持たないため、純負債 17 億円は床の側で差し引いて見た。
確率:県の予算が縮み、AI の影響が強く出て、技術者を減らして凌ぐ筋書き。公共の調査は急には消えないため 10% にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建設コンサルタント(地質調査・土木設計・WEB)
新潟県と国土交通省を中心とする地質調査、橋・道路・河川の設計、防災の調査。WEB ソリューションを含む。
| 数量技術者・要員の人員(人、推定) | 価格1 人当たりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 165 | 1,988 | 33 | 1 |
| 10 年後 中立 | 165 | 2,584 | 43 | 3 |
取り方:2025 年 10 月期の建設コンサルタント約 31 億円と WEB ソリューション約 1.8 億円を合わせて売上 32.8 億円と置いた。営業利益 1.46 億円のうち、不動産賃貸の 0.16 億円(推定)を除く 1.30 億円を充てた。人員は連結 197 人のうち、管理部門などを除く技術者・要員を約 165 人と推定して割った(分け方は推定)。先の価格は人件費の上昇を予定価格が追うため中立で 1.30 倍。AI エージェント代替の型:現場の体(ボーリング・点検)と建設コンサルの許認可業務が中心で、設計・積算・報告書づくりの事務部分(作業の 3 割と仮定)だけが縮む。決まりに従い今の置き方を基本に、数量は 1.0 倍、価格は物価に届かない 1.30 倍とした。AI エージェントを売り物にした売上の開示は確認できない。
不動産賃貸
自社保有の不動産の賃貸。
| 数量賃貸面積(㎡、推定) | 価格1 ㎡当たりの年間賃料(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 3,100 | 6.00 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3,100 | 7.20 | 2 | 0 |
取り方:2025 年 10 月期の賃貸等収入 1.86 億円。賃貸面積は開示を確かめられず、年間の賃料を 1 ㎡ 6 万円と仮定して約 3,100 ㎡と推定した(面積と賃料は推定)。営業利益 0.16 億円は粗利 0.45 億円からの推定。賃料は地方の物件で更新が遅く、前期も 1.7% 下がった。先の価格は物価に届かない 1.20 倍(中立)に置いた。
リスクと懸念
官公庁への依存
売上の 8 割超が官公庁で、新潟県が 27%、国土交通省が 26%。予算の事情や入札方式の変更で、受注の山谷が出る。地方財政が厳しくなれば、県の発注が細る。
利益率の低さと振れ
営業利益率は 2021 年に赤字、2024 年に 10.8%、2025 年に 4.2% と大きく振れる。人件費の上昇を入札の価格に転嫁しきれず、中立の利益率を 7% に置いた。
純負債と金利
純負債は 17 億円で、自己資本の約半分。現金は 1.6 億円で、短期借入が増えている。借り換えで金利が 3.5% に上がると利払いが利益を削る。
AI エージェント代替
設計・積算・報告書づくりの工数が減り、発注側が予定価格を下げる圧力になる。現場調査は残るので、中立では価格を物価に届かない 1.30 倍で入れた。AI を売り物にした売上の開示は確認できない。
技術者の確保
連結 197 人の小さな会社で、技術者の採用と定着が成長の天井になる。大手や県外の会社との採用競争もある。
不動産賃貸の弱さ
賃貸収入は 1.9 億円で、粗利は前期に 3 割減った。地方の物件は賃料が伸びにくく、物価に届かない形で置いた。
今後の分かれ目
- 2026 年 10 月期の営業利益が会社予想の 2.5 億円を超える
- 利益率の回復が確認でき、中立の営業利益率 7% を上へ見直す余地が出る。
- 国土強靱化の予算が新潟県の発注に確実に回る
- 受注が積み上がり、数量が上振れして楽観の確率を引き上げる。
- 会社が自社株買いか配当性向 40% 以上の方針を示す
- ためた利益が株主に戻る形になり、戻り方を 1.0 へ上げる余地が出る。
- 県や国が設計・積算に AI を導入し、予定価格の引き下げを決める
- 価格が物価に届かなくなり、やや悲観の確率が上がる。
- 短期借入がさらに増え、営業のキャッシュフローが赤字になる
- 財務の余裕が薄れ、利払いの負担でやや悲観の筋書きに重みが移る。
見ておくもの
- 受注高・受注残と、新潟県・国土交通省向けの比率
- 営業利益率(7% 超が続くか)
- 純負債と借入金利
- 技術者数と採用
- 配当性向と自社株買いの有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は式だけで置いた。基本の k 7.5% に quality +0.75% を足して 8.25%。ROE が k に届かない筋書きでは PER の上限は 1÷k = 12.1 倍で、ROE÷k に応じて 6〜7 割に下げた。今の PER や同業の倍率は使っていない。時価総額が自己資本の約半分である点にも引きずられていない。2025 年 10 月期の純利益 2.07 億円は特別益を含むため、営業利益から出し直した。新リース会計基準で BS が変わるが、10 年後の数字は今と同じ形にそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→12.5 倍・やや楽観 PER 7.5→12.5 倍・中立 PER 7→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。