結論
エスユーエスは、ITや製造業の開発現場に技術者を派遣し、その働いた時間から収入を得る京都の人材サービス会社である。筆者の結論は「割高」だ。足元では技術者の不足を背景に派遣単価が上がり、利益率も改善している。しかし、10年間持ち続ける株主には、AIによって技術者の仕事量そのものが減る危険を重く見る必要がある。
2025年9月期の売上高は150億円、営業利益は12億円まで拡大した。2026年上期にも派遣単価が前年同期比4.4%上昇しており、教育によって技術者の市場価値を高める戦略は実際の数字に表れている。自己資本42億円に対して純現金は34億円あり、財務面にも余裕がある。これらは現在の事業の強さを裏付ける事実だ。
だが、稼ぎの中心は依然として人が働く時間である。会社の資料によると、エンジニアの83.1%はIT分野に属する。AIエージェントが開発、テスト、保守、資料作成を担うようになると、顧客が必要とする人月は減る。技術者の時間単価を引き上げても、販売できる時間がそれ以上に減れば売上は縮む。高付加価値人材への転換を進めていることと、従来の収益モデルを守れることは別問題である。
10年後の中立では、全社売上高を124億円、純利益を7億円弱と見る。増配の実績と積み上がる現金を考慮しても、確率加重した現在価値は約68億円で、現在の時価総額約100億円を約32%下回る。今の成長が続くだけなら魅力的な会社だが、10年先の事業の形まで考えると、現在の価格に十分な安全域は認めにくい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず10年後にも同じ事業が必要とされるかを問いたい。エスユーエスが供給する技術や人材は今も必要だ。しかし、技術者が作業した時間を顧客が購入するという収益の仕組みが、現在と同じ形で残る保証はない。AIによってソフトウェアを作る費用が下がれば、顧客の開発需要が増えても派遣会社の収入は増えない可能性がある。
良い点は、財務が健全で、株主への還元実績があることだ。2025年時点で34億円の純現金を持ち、採用と教育への投資を続けながら利益を増やしてきた。ROEも過去の多くの年度で資本コストを上回っている。大規模な工場や店舗を維持する必要がないため、事業環境の変化に対応する資金的余裕がある。この余裕は10年後に事業を組み替えるうえで価値を持つ。
しかし、利益の再投資先が最も重要である。技術者の人数を増やすだけなら、AIが請求時間を減らす時代には資本効率を悪化させかねない。AIを使う技術者を育てることも、それだけでは十分ではない。従来より少ない人数で案件を完成できるなら、顧客はその成果を認めても従来と同じ人月を購入しないからだ。自社の独自技術、継続課金、業務データへのアクセスなどを通じ、AIが生む生産性向上を会社自身の利益として取り込めるかが問われる。
資本配分では、利益率の低い事業を縮小して配当を増やす方向を評価する。主力を守るための無理な買収は望ましくない。一方、AIへの投資が新しい収益源を生んだかは、技術者数ではなく、成果単価、継続収入、追加投資に対する利益で確かめる必要がある。
筆者はこの会社を財務の弱い企業とは見ない。ただし、本物の堀がある企業とも判定しない。長期の稼ぐ力に確信が持てない以上、現在の利益を高い倍率で評価することは避けたい。安全域を十分に取って初めて、長期保有の対象として検討できる会社である。
何で稼ぐ会社か
収益の中心はソリューション事業である。2025年9月期の売上高136.5億円は全社の約91%を占める。内訳はエンジニア派遣が105.4億円、製造請負やIT開発請負などが約31.1億円である。顧客は国内のIT企業や製造業で、派遣社員が顧客の開発現場で働き、その請求時間に単価を掛けて売上が生まれる。請負では開発チームや製造業務を引き受け、契約した成果物や業務に対して対価を得る。
同社の特徴は「社会人学校」と呼ぶ人材育成の仕組みにある。新卒採用と経験者採用を組み合わせ、教育によってより高度な案件を担当できる技術者を増やす。2025年9月末の在籍エンジニアは2,155人で、同年度の稼働率は94.2%だった。2026年上期の時間単価は3,898円となり、前年同期の3,732円から上昇した。採用人数、稼働率、単価という三つの数字が、短期の売上をほぼ決める構造である。
コンサルティング事業は、SAPなどの基幹業務システムの導入、設定変更、運用保守を扱う。2025年9月期の売上は8.6億円で、全社の6%弱にすぎない。顧客の業務に詳しくなることは継続受注に役立つが、自社が基幹記録の正本を保有するわけではない。案件ごとのコンサルタントや技術者の工数に収益が依存する点では、主力事業と共通している。
AR/VR事業は企業向けの安全教育、研修、製品説明、仮想空間の制作とAI関連サービスを扱う。売上は4.1億円で、まだ主力ではない。ENEOSグローブ向けのVRシミュレーターなど実際の導入事例はあるものの、開発案件の獲得と制作作業が中心で、継続的な製品使用料が収益の大半を占める状態には至っていない。その他には障がい者就労支援、再生医療向け細胞培養加工支援などが含まれる。
2026年にはHRコンサルティング関連事業を譲渡し、ITコンサルティングと技術者派遣への集中を進めた。事業の選択と集中は合理的だが、現時点のエスユーエスは独自ソフトウェアの利用料で利益を得る会社ではない。大部分の収入は依然として顧客が購入する人の作業量に結び付いている。
優良さと弱いところ
最大の強みは、技術者を採用して育て、顧客の現場へ送り込む組織能力である。派遣単価は2025年9月期に3.8%、2026年上期にも4.4%上昇した。これは単なる値上げの宣言ではなく、教育による高付加価値化が実際の受注単価につながった証拠である。高い稼働率と合わせ、現時点では競争力が改善していると評価できる。
ただし、他社がまねできない強い堀があるとは言いにくい。技術者の教育、採用網、顧客との関係は競争上の利点だが、テクノプロ、メイテック、オープンアップグループなども同様の能力を持つ。顧客は案件ごとに派遣会社を選び直せる。契約を切り替える費用は存在するが、独自の基幹データや規制上の独占権ほど大きくはない。
財務は優良である。2025年9月期の自己資本比率は約63%、純現金は約34億円だった。過去10年のROE中央値は16.5%であり、資産の重い設備産業と異なり、大規模な有形固定資産投資を必要とせず利益を生み出してきた。配当も増加している。しかし、技術者の採用費用と給与は実質的な再投資であり、業績が悪化してもすぐには削減できない。
最も弱いのは事業の寿命に関する確実性である。AIがプログラム開発やテストの多くを実行すると、技術者一人の生産性は上がるが、顧客が購入する人月は減りうる。自社の労働生産性向上と、派遣会社としての売上成長は同じではない。SAP導入支援にも継続的な顧客関係はあるが、解約率、移行に要する年数、独自データによる継続率など、強い堀を示す定量的証拠は確認できない。
したがって、現在の高いROEをそのまま10年先に延ばすことはできない。会社の質は現在の財務と実行力では良好だが、収益モデルの防御力では平均以下と判断する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の技術者派遣市場は大きく、なお分散している。オープンアップグループが示した矢野経済研究所の推計では、機電・IT分野の狭義の技術者派遣市場は2025年度に約1兆4,520億円、2026年度に約1兆5,140億円の見通しである。2024年度の同じ集計では、テクノプロ、アウトソーシング、メイテックグループ、オープンアップグループ、アルプス技研が主要競合で、エスユーエスは第10位だった。市場に占める同社の割合は約1%である。
会社自身も2024年度のデジタル人材関連サービス市場を1兆4,678億円とし、自社のシェアを1.0%と示している。市場の定義が異なるため二つの統計を単純合算してはならないが、いずれも大手数社と多数の中小企業が共存する構造を示す。小規模なエスユーエスが採用と営業拠点を増やしてシェアを伸ばす余地はある。一方、大手との競争で採用コストや給与が上がる余地も大きい。
IT人材不足は当面続くと考えられる。ただし、これは人月の需要が10年間増えることを意味しない。企業が必要とするソフトウェアの機能は増えても、それを実現するための人間の作業時間はAIエージェントによって減りうる。国内IT市場が拡大することと、開発派遣会社の請求時間が拡大することを区別する必要がある。
ERPではSAP S/4HANAへの移行、クラウド化、Fit to Standardが需要を生む。これらは当面の導入案件を支えるが、設定、コード作成、テスト、保守の自動化も進める。同社は顧客の業務を支援する立場であり、ソフトウェア本体の知的財産や顧客データの正本を支配する立場ではない。長期的には基幹システム市場の拡大が、そのまま同社の受注増加につながるとは限らない。
法人向けXRコンテンツ市場については、矢野経済研究所が2024年約265億円、2030年約444億円を予測している。市場は伸びるが、エスユーエスのXRとAIを合わせた売上はまだ小さい。案件制作を増やすだけでなく、同じコンテンツを複数顧客へ販売できるかが収益性を左右する。競合する制作会社や顧客の内製部門もAIを使うため、制作工数を価格へ転嫁することは容易ではない。
10年後には技術者不足とAIによる労働時間の削減が同時に進む可能性が高い。業界の名目市場規模が拡大しても、従来型の時間課金部分は縮小し、現場作業、業務設計、複雑なシステム統合などへ需要が移ると見る。シェア拡大は可能だが、必要とされる仕事の定義そのものが変わる。
資本政策と M&A
経営陣は売上成長だけでなく、派遣単価、エンジニア数、営業利益率、ROEを重視している。2025年12月に開示した2025〜2027年度の成長戦略では、ソリューション事業の強化、コンサルティング事業の再編、AR/VR/AIの事業化、新規事業と提携を掲げた。中期的には営業利益率10%を目指す。2026年9月期の会社計画は売上高169億円、営業利益13.65億円、ROE20%以上、派遣単価増加率4.3%、在籍エンジニア2,317人である。一方、2027年度末の売上高、純利益、ROEについて独立した確定目標は開示されていない。
還元には改善の実績がある。配当総額は2025年9月期に約4.0億円となり、2026年9月期も約4.5億円の予定である。過去5年間の増配は、余った現金を株主へ返す意思を示している。ただし、配当性向50%以上やDOE、総還元性向、自社株買いの年間金額について長期の数値的な約束はない。利益が減る場合にも現在の増配ペースを維持できると考えるべきではない。
M&Aでは大型買収よりも、新会社設立、資本業務提携、事業育成が目立つ。クロスリアリティ、プライムロードの育成や、スカイマティクス、キュレーションズ、aileadとの提携は新領域への足場となる。その反面、AR/VRや再生医療支援は主力事業に比べて規模が小さく、投じた資本が十分な利益を生んでいるとはまだ言い切れない。2026年のHRコンサルティング事業譲渡は、採算と経営資源を見直した判断として評価できる。
10年では、利益の約4割を配当中心に還元することを基本とした。残りは採用、教育、AIへの移行、必要な運転資金に回る。ただし、その再投資が資本コストを上回る利益を生むかどうかは、時間課金から成果に対する課金へ移行できるかにかかっている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
国内の技術者不足は慢性的であり、エスユーエスの採用力と教育力は今後も顧客から評価される。2025年9月期には派遣単価が3.8%上昇し、翌年度上期も4.4%上昇した。価格を上げながら技術者数を増やしていることは、顧客が同社のサービスを必要としている証拠である。人材不足が深刻になる中で、企業が自社だけで採用・教育する負担は大きい。外部の専門人材を柔軟に使う仕組みには今後も需要がある。
同社の市場シェアは約1%にすぎず、技術者派遣市場の中で拡大余地は大きい。大手が一斉にすべての顧客を獲得することは難しく、地方の開発拠点や中堅企業を含む幅広い取引先に営業を広げれば、競争相手から仕事を奪う余地が残る。福岡への拠点拡大やIT以外の機械・電気分野への採用強化は、顧客分散と案件の高度化につながる。
AIによって人間の作業時間が減るとしても、顧客の責任を負うシステム設計、現場の機器との接続、製造ラインでの確認、複雑な要件整理まで直ちに消えるわけではない。むしろ、AIを使って成果を早く届けられる技術者への需要が集中し、経験と教育の質が価格差として現れる可能性がある。会社はAIと機電技術を組み合わせる教育を進めており、従来型の人材派遣から高度な技術支援へ転換する機会を持つ。
財務にも強みがある。純現金を活用すれば、教育、システム開発、提携を進めながら配当を続けられる。大規模な設備更新を必要としないため、事業転換が成功すれば増えた利益の多くが株主のものになる。最良の筋書きでは、時間当たりの対価が着実に上昇し、営業利益率も改善する。AIによる効率向上を顧客との関係強化に使えれば、現在より収益力の高い会社となる余地がある。
慎重な見方
エスユーエスの最大の問題は、顧客が購入するものが技術者の労働時間だという点にある。IT分野のエンジニアが全体の83.1%を占める以上、AIエージェントが開発、修正、テスト、運用の作業を代替すれば、同社の主要な販売数量が減る。技術者一人が同じ仕事を半分の時間で終えられるようになっても、顧客が同じ人数を契約し続ける理由はない。
会社が進めるAI教育も、この問題を解消するとは限らない。社員がAIを使いこなせるようになることは競争上必要だが、競合のテクノプロ、メイテック、オープンアップグループ、顧客企業の社員も同じ技術を使える。AIの利用自体は独占的な強みにならない。むしろ自動化が進むほど、従来の開発案件を少ない人数で提供する価格競争が始まる可能性がある。
主力のエンジニア派遣だけでなく、IT請負、SAP導入支援、XRコンテンツ制作にも同じ危険がある。これらはいずれも作業工数を収益へ変える事業である。会社には低い解約率を持つ独自の業務基盤や、他社が使えないデータベースがあるという証拠はない。SAPを扱えることと、SAPの利用から継続的に収益を受け取ることは異なる。
2026年上期にはコンサルティング事業が減収となり、AR/VR事業も赤字だった。新規事業の成長が主力の収縮を補う保証はない。人件費は固定費に近いため、顧客が発注量を減らすと稼働率が下がり、売上以上に利益が減る。人材の採用を止めても、教育投資や既存社員の処遇費用は残る。
純現金は損失を吸収する資金にはなるが、稼ぐ力を保証しない。会社が余剰資金を新事業へ投じて成果を得られなければ、帳簿上の自己資本も十分な株主価値を生まない。現在の利益は良好でも、その利益を10年先まで当然に続くものとして扱うことは危険である。
どちらに重みを置いたか
現在の経営実績と財務の強さは評価するが、長期の収益モデルでは慎重な見方を優先する。AIへの対応策は実施されているものの、独自製品や成果課金への転換が、既存の人月売上を置き換える規模に達した証拠はまだない。中立の筋書き自体にAIによる数量減少を織り込み、さらに同じ理由で資本コストを引き上げることはしない。ただし、コンサルティング事業の縮小、価格競争、採用固定費、新事業投資の不確実性を考え、確率は下側へ寄せた。財務の安全性は破綻リスクを抑えるが、株主価値の低下を防ぐ保証にはならない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,114 円100 億円(+ 還元の換算額還元の合計 337 円30 億円)。 今の値に割り戻すと 760 円68 億円、今との差 −31.6%、 期待の年率 +3.1%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,654 円238 億円 | 602 円54 億円 | +193.0% | +13.0% | 260 円23 億円 |
| やや楽観 | 15% | 1,915 円172 億円 | 479 円43 億円 | +115.5% | +9.1% | 359 円32 億円 |
| 中立 | 35% | 1,248 円112 億円 | 379 円34 億円 | +46.4% | +4.5% | 569 円51 億円 |
| やや悲観 | 26% | 437 円39 億円 | 256 円23 億円 | −37.6% | −5.5% | 180 円16 億円 |
| 悲観 | 16% | 401 円36 億円 | 111 円10 億円 | −53.9% | −8.2% | 82 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,114 円100 億円 | 337 円30 億円 | +30.6% | +3.1% | 1,451 円130 億円 |
今の株価時価総額 1,111 円100 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 高度技術者への転換と単価上昇が成功 利益 16 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,654 円238 億円
国内の技術者不足が続く中、エスユーエスは高度な設計とシステム統合を担当できる社員の育成に成功する。2026年から進めているAIと機電技術を組み合わせる教育が定着し、開発の単純作業から顧客の要件整理や品質責任を担う仕事へ移行する。結果として、人が働く時間は増えないものの、単価が上昇する。
テクノプロやメイテックなどの大手と正面から人数を競うのではなく、特定の開発領域と地域の顧客に強みを作る。福岡など新拠点への投資も成果を生み、IT系の請求時間は現在に近い水準を維持する。機械・電気電子分野の現場に近い仕事も安定し、受託開発ではチーム管理能力が評価される。
SAP導入支援は企業の複雑な業務統合に関わる案件を選別し、AR/VR事業では産業向けの研修需要を獲得する。新規事業の大型買収に頼らず、既存の人材育成と顧客関係を活用するため、資本効率も維持される。営業利益率は11%台となり、過去を上回る収益性が実現する。
配当と必要な投資を両立しながら現金が積み上がる。ただし、主力事業が独自の継続課金基盤へ転換したという証拠はないため、10年後以降の利益が自動的に伸び続けるとは考えない。
- IT系エンジニア派遣:数量 225(年間有償請求時間(万時間、実質))× 価格 5,001(派遣時間当たり売上(円、名目))→ 売上 113 億円・営業利益 12 億円。請求時間0.96倍、単価1.34倍。上流工程と高度技術者への移行が成功。
- 機械・電気電子などの開発系技術者派遣:数量 47.7(年間有償請求時間(万時間、実質))× 価格 5,001(派遣時間当たり売上(円、名目))→ 売上 24 億円・営業利益 3 億円。請求時間1.00倍、単価1.34倍。実機を伴う設計・検証が残る。
- 受託開発・製造請負等:数量 411(年間投入有償技術者換算人数(人年、推定))× 価格 0.10(技術者換算人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 40 億円・営業利益 5 億円。投入工数0.95倍、価格1.34倍。チーム管理と高難度案件で利益率改善。
- ERP・ITコンサルティング:数量 628(年間有償コンサルタント人月(推定))× 価格 0.02(人月当たり売上(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。有償人月0.88倍、価格1.34倍。SAP統合の上流案件が残る。
- AR/VR・AIソリューション:数量 57.0(年間開発・導入案件数(件、推定))× 価格 0.09(案件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。案件数0.95倍、単価1.34倍。産業向けXRの案件大型化。
- その他・就労支援・再生医療支援:数量 105(年間支援・受託契約換算件数(件、推定))× 価格 0.01(契約換算1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約換算件数1.05倍、価格1.34倍。現場支援が拡大。
倍率:資本コストk=7.75%、10年以降の名目成長率g_long=0%、堀はweak。余剰現金65億円を除いた事業の自己資本47.3億円に対し、現金利息控除後の純利益は約14.69億円で事業ROEは約31.1%。RONIC=k+(ROE-k)÷3だが、g=0%なので正当化PER=(1-0÷RONIC)÷(k-0)=12.90倍。過去の市場PERは使用しない。事業純利益14.69億円×12.90倍に、余剰現金65億円×戻り方0.75を加える。
確率:採用・教育による単価上昇と、AIに置き換わりにくい上流工程への移行を長期間続ける必要がある。現時点でAIエージェントを成果課金で大規模に販売している証拠はないため、人月型の数量が今を超える前提にはしない。成功の可能性はあるが、必要条件が多い。
やや楽観 15% 数量減少を単価上昇で吸収 利益 11 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,915 円172 億円
AIエージェントの普及によって従来のシステム開発の請求時間は減るが、すべての技術者が不要になるわけではない。エスユーエスは上流設計、顧客との調整、開発品質の確認といった仕事への配置転換を進め、単価上昇によって数量減少の大部分を吸収する。
製造業の開発現場では、機械や電気電子の知識を持つ技術者が引き続き必要とされる。IT開発の自動化が速く進む一方、現物確認や製造工程との接続が必要な仕事は比較的長く残る。会社は採用する人材の専門性を高め、低単価案件からの撤退を進める。
IT請負の案件では、従来より少ない人数で成果を出すことが求められる。価格は上昇するが、人員の投入量は減り、名目売上の成長は限定的となる。SAP導入支援も同様に、設定作業の自動化による減収を上流の業務設計で補う。
新規事業の大きな成功はないものの、損失を拡大させる買収も行わない。営業利益率は9%台を維持し、純利益は現在を少し上回る。財務の強さを生かして配当を続け、余剰現金も増えるが、従来の人月事業に高い長期成長率を与えられる状態には至らない。
- IT系エンジニア派遣:数量 188(年間有償請求時間(万時間、実質))× 価格 4,926(派遣時間当たり売上(円、名目))→ 売上 92 億円・営業利益 8 億円。請求時間0.80倍、単価1.32倍。高付加価値案件への移行。
- 機械・電気電子などの開発系技術者派遣:数量 43.9(年間有償請求時間(万時間、実質))× 価格 5,001(派遣時間当たり売上(円、名目))→ 売上 22 億円・営業利益 2 億円。請求時間0.92倍、単価1.34倍。現場技術需要が比較的維持される。
- 受託開発・製造請負等:数量 367(年間投入有償技術者換算人数(人年、推定))× 価格 0.09(技術者換算人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 35 億円・営業利益 4 億円。有償工数0.85倍、単価1.31倍。案件単位の管理力が改善。
- ERP・ITコンサルティング:数量 535(年間有償コンサルタント人月(推定))× 価格 0.02(人月当たり売上(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。人月0.75倍、単価1.30倍。高度なERP導入案件へ集中。
- AR/VR・AIソリューション:数量 51.0(年間開発・導入案件数(件、推定))× 価格 0.09(案件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。案件数0.85倍、単価1.30倍。受注を選別して採算改善。
- その他・就労支援・再生医療支援:数量 102(年間支援・受託契約換算件数(件、推定))× 価格 0.01(契約換算1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約換算件数1.02倍、価格1.34倍。
倍率:k=7.75%、g_long=0%。事業純利益は余剰現金55億円に対する税後利息0.77億円を控除した約10.13億円。事業自己資本44.8億円に対するROEは約22.6%で資本コストを上回る。RONICでは超過利益が1/3残るが、g=0%なので正当化PERの上限は1÷7.75%=12.90倍。余剰現金の戻り方0.75を別途反映する。
確率:AIによる工数圧縮は避けられないが、高度技術者への転換と製造現場に近い業務の残存で、収益低下をかなり抑える筋書き。現在の派遣単価上昇実績は支えになる一方、営業利益率の維持には継続した教育投資が必要である。
中立 35% AIによる工数削減が単価上昇を上回る 利益 7 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,248 円112 億円
AIエージェントが企業システムの開発、テスト、保守に広く使われるようになり、顧客が購入する技術者の作業時間は減る。エスユーエスもAIを使う社員を育てるが、生産性の向上によって減る請求時間を全面的に補うほど高い対価は得られない。IT系派遣の有償時間は現在の約6割まで減少する。
機械・電気電子分野では、実機を扱う仕事や顧客の現場で責任を負う業務が残るため、IT分野より縮小幅は小さい。会社は採用人数の増加よりも退職補充と技術転換を重視するようになり、社員数の成長は止まる。高付加価値案件への移行によって名目単価は上がるが、利益を生む技術者の人数は減る。
IT請負やSAP導入支援でも、AIによって同じ案件を少人数で完成できるようになる。人月で契約する部分の売上は減る一方、要件定義や顧客業務の設計など、人間が判断する仕事は残る。AR/VR事業では制作の自動化が進み、顧客向けの大型案件を安定して獲得するまでには至らない。
経営陣は採用費や間接費を抑え、営業利益率の急落を防ぐ。それでも全社売上は2025年の150億円から124億円へ減り、営業利益は9億円弱になる。現金の積み上がりによって財務の安全性は保たれるが、資本が増えるほどROEは低下する。技術者派遣会社として存続するものの、現在より小さく、収益性の低い企業となる。
- IT系エンジニア派遣:数量 146(年間有償請求時間(万時間、実質))× 価格 4,740(派遣時間当たり売上(円、名目))→ 売上 69 億円・営業利益 5 億円。請求時間0.62倍、単価1.27倍。AIによる開発・テスト・運用工数の削減。
- 機械・電気電子などの開発系技術者派遣:数量 35.3(年間有償請求時間(万時間、実質))× 価格 4,852(派遣時間当たり売上(円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。請求時間0.74倍、単価1.30倍。現場作業は残るが設計の一部を自動化。
- 受託開発・製造請負等:数量 285(年間投入有償技術者換算人数(人年、推定))× 価格 0.09(技術者換算人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。有償工数0.66倍、単価1.28倍。請負もAIによる作業量の削減が進む。
- ERP・ITコンサルティング:数量 428(年間有償コンサルタント人月(推定))× 価格 0.02(人月当たり売上(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。人月0.60倍、単価1.25倍。ERP設定・保守の自動化とHR事業譲渡後の縮小。
- AR/VR・AIソリューション:数量 43.2(年間開発・導入案件数(件、推定))× 価格 0.09(案件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。案件数0.72倍、単価1.30倍。AI制作ツールによる工数削減と価格競争。
- その他・就労支援・再生医療支援:数量 100(年間支援・受託契約換算件数(件、推定))× 価格 0.01(契約換算1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。現場型の契約換算数量は横ばい、価格は物価並みの1.34倍。
倍率:k=7.75%、g_long=0%。余剰現金45億円に対する税後利息0.63億円を除く事業純利益は6.07億円。事業自己資本87.8-45=42.8億円、事業ROEは14.2%でkを上回る。堀はweakで、RONIC=k+(ROE-k)÷3となる。長期成長率0%のため正当化PER=(1-0÷RONIC)÷(7.75%-0)=12.90倍。事業純利益6.07億円×12.90倍に余剰現金45億円×戻り方0.75を加える。現金を含めた全社ROEの低下を事業PERに重ねない。
確率:2025年時点の単価上昇と豊富な現金は評価するが、IT系比率83.1%という事業構成では、AIによる請求時間の削減を無視できない。主力の人月・工数部分は0.55〜0.75倍というAI代替の中立範囲に置き、物価を十分に転嫁できない仕事も含めた。
やや悲観 26% 価格競争と稼働率低下が重なる 利益 2 億円 · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 437 円39 億円
AIエージェントが標準的な開発案件の多くを処理し、顧客は必要な技術者の人数を減らす。技術者派遣市場では価格競争が厳しくなり、エスユーエスは大手に対する営業上の優位を作れない。IT系の有償時間は半分近くまで減少する。
会社は高付加価値人材の育成を続けるが、全員を上流工程へ移せるわけではない。採用時点では必要だった能力が短期間で陳腐化し、教育し直す費用が増える。機械・電気電子分野でも設計の自動化が進み、現場確認を伴う仕事を除いて契約人数が減る。
IT請負では、案件を獲得するために価格を抑える必要が生じる。SAP関連の案件もクラウド標準化によって設定・開発の人月が減り、コンサルティング売上は縮小する。AR/VRは実証案件の競争が激しくなり、事業として安定した黒字を生めない。
経営陣は人員の自然減と採用抑制を進めるものの、間接費と教育投資の負担が残る。売上高は90億円前後、営業利益は3億円程度まで落ち込む。配当は利益に合わせて縮小し、余剰現金の一部は構造改革に使われる。破綻には至らないが、資本コストを下回る稼ぐ力しか持たない企業となる。
- IT系エンジニア派遣:数量 110(年間有償請求時間(万時間、実質))× 価格 4,478(派遣時間当たり売上(円、名目))→ 売上 49 億円・営業利益 2 億円。請求時間0.47倍、単価1.20倍。大手との価格競争で収益性が低下。
- 機械・電気電子などの開発系技術者派遣:数量 28.2(年間有償請求時間(万時間、実質))× 価格 4,665(派遣時間当たり売上(円、名目))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。請求時間0.59倍、単価1.25倍。設計作業の自動化が想定より進む。
- 受託開発・製造請負等:数量 225(年間投入有償技術者換算人数(人年、推定))× 価格 0.09(技術者換算人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。有償工数0.52倍、単価1.20倍。受注競争による採算低下。
- ERP・ITコンサルティング:数量 321(年間有償コンサルタント人月(推定))× 価格 0.01(人月当たり売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。人月0.45倍、単価1.15倍。標準化と自動化で工数が減る。
- AR/VR・AIソリューション:数量 33.0(年間開発・導入案件数(件、推定))× 価格 0.08(案件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。案件数0.55倍、単価1.18倍。先行費用を吸収できず赤字。
- その他・就労支援・再生医療支援:数量 90.0(年間支援・受託契約換算件数(件、推定))× 価格 0.01(契約換算1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約換算数量0.90倍、価格1.30倍。施設固定費が負担。
倍率:k=7.75%、g_long=0%で、稼ぐ力の上限は1÷k=12.90倍。構造的に顧客と単価交渉力を失い、10年後の2.4億円の純利益も持続性が弱いため、悲観側は上限を使用せず10.0倍とする。現金利息0.35億円を外した事業利益2.05億円×10.0倍に、余剰現金25億円×戻り方0.75を加える。
確率:AIによる発注時間の減少に加え、テクノプロやオープンアップグループなど大手との採用・営業競争が厳しくなる場合。ITコンサルティング事業の再編や新規事業の収益化遅れもあり得るため、無視できない確率とする。
悲観 16% 人月モデルが崩れ構造的赤字に転落 利益 −2 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 401 円36 億円
AIエージェントが標準的なソフトウェア開発を大幅に自動化し、従来の人月契約が成り立たなくなる。顧客企業は少数の責任者とAIを使ってシステムを開発し、外部に発注する人員を削減する。エスユーエスのIT系有償時間は現在の3分の1程度まで縮む。
設計と検証の自動化も進み、機械・電気電子分野の派遣需要が減る。顧客は残った高度案件を大手企業か専門技術会社へ集中させ、エスユーエスは市場シェアを失う。SAP導入支援やXR制作も、顧客とAIを組み合わせた新たなサービス提供者に代替される。
社員の給与や退職関連費用、教育費、間接部門の固定費を売上の減少に合わせて削減できず、営業赤字に陥る。新規事業に投じた資本の一部も回収できず、約18億円の減損・事業整理による自己資本の減少を想定する。これまで積み上げた現金を使って事業を縮小するが、顧客への優位を取り戻すには至らない。
10年後の売上は現在の4割程度となり、継続的な純利益は赤字になる。企業としては存続しても、技術者派遣の成長企業という評価は失われる。この場合の株主価値は、稼ぐ力ではなく、回収できる現金や資産を中心に考えるほかない。
- IT系エンジニア派遣:数量 77.4(年間有償請求時間(万時間、実質))× 価格 4,105(派遣時間当たり売上(円、名目))→ 売上 32 億円・営業利益 −1 億円。請求時間0.33倍、単価1.10倍。人月需要の構造的喪失。
- 機械・電気電子などの開発系技術者派遣:数量 21.0(年間有償請求時間(万時間、実質))× 価格 4,254(派遣時間当たり売上(円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。請求時間0.44倍、単価1.14倍。現場案件の一部のみ残る。
- 受託開発・製造請負等:数量 177(年間投入有償技術者換算人数(人年、推定))× 価格 0.08(技術者換算人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 −1 億円。有償工数0.41倍、単価1.12倍。価格競争と固定費負担で赤字。
- ERP・ITコンサルティング:数量 243(年間有償コンサルタント人月(推定))× 価格 0.01(人月当たり売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人月0.34倍、単価1.08倍。ERP導入作業が大幅に自動化。
- AR/VR・AIソリューション:数量 30.0(年間開発・導入案件数(件、推定))× 価格 0.07(案件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。案件数0.50倍、単価1.10倍。制作業務の価格競争。
- その他・就労支援・再生医療支援:数量 80.0(年間支援・受託契約換算件数(件、推定))× 価格 0.01(契約換算1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約換算数量0.80倍、価格1.22倍。固定費を吸収できない。
倍率:営業赤字かつ純損失が続くためPERによる継続利益の評価は採用しない。床は過去の株式市場のPBRではなく、今の純現金34.1億円と回収可能な売却資産を基に約35億円とした。現在の自己資本42.3億円に対する清算・事業縮小時の資産価値としてPBR0.85倍を使用し、時価総額約36億円とする。10年間の蓄積利益から算出した将来自己資本52.3億円には床のPBRを掛けない。
確率:AIエージェントへの代替が速く進み、顧客の内製化と同業間の価格競争が同時に強まる複合的な下振れ。純現金があるため倒産に近い事態の確率は高くないが、労働時間を売る事業モデルが大きく傷む可能性は無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
IT系エンジニア派遣
ソリューション事業のうち、システム開発、プログラミング、検証、運用などのIT系技術者派遣。人の請求時間に依存するため、AIエージェント代替の中心となる。
| 数量年間有償請求時間(万時間、実質) | 価格派遣時間当たり売上(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 235 | 3,732 | 88 | 7 |
| 10 年後 中立 | 146 | 4,740 | 69 | 5 |
取り方:2025年9月期の収益認識注記でエンジニア派遣売上は105.39億円。2025年12月の会社資料にあるITエンジニア比率83.1%を請求時間と売上に近似適用し、IT分を87.58億円と推計した。2025年度上期の開示単価3,732円を通期の代理単価に使い、87.58億円÷3,732円から約234.68万時間を逆算。通期のIT系専用単価や分野別売上は非開示なので、この内訳と営業利益7.0億円は推定であり、会社のセグメント実績ではない。2026年度上期単価3,898円、同年度上期の派遣売上65.09億円と照合した。AIエージェント代替の型は人月・工数型で、中立数量は現在の0.62倍、単価は1.27倍とする。
機械・電気電子などの開発系技術者派遣
機械設計、電気電子、製造業の開発支援など。現場確認を伴う仕事もあるが、設計、図面、検証の一部はAIで自動化できる。
| 数量年間有償請求時間(万時間、実質) | 価格派遣時間当たり売上(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 47.7 | 3,732 | 18 | 2 |
| 10 年後 中立 | 35.3 | 4,852 | 17 | 1 |
取り方:年間エンジニア派遣売上105.39億円から、会社開示のIT系エンジニア比率83.1%に相当する部分を除き、残り16.9%を機械・電気電子等として推計した。開示されている時間単価3,732円を代理単価とし、請求時間約47.72万時間を求めた。実際には分野別の給与と派遣単価が異なるため推計誤差がある。作業が顧客の現場に結び付くためIT系より残存性が高いが、CAD、設計、テストもAI化するため、開発系の人月・工数型として中立数量を0.74倍、単価を1.30倍とする。
受託開発・製造請負等
ITシステムの受託開発、製造業務の請負、その他の技術支援。チーム単位の契約を含むが、顧客が発注する工数や案件の規模に売上が依存する。
| 数量年間投入有償技術者換算人数(人年、推定) | 価格技術者換算人年当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 432 | 0.07 | 31 | 2 |
| 10 年後 中立 | 285 | 0.09 | 26 | 2 |
取り方:2025年9月期の収益認識注記におけるソリューション事業の請負等30.60億円と、その他収入0.52億円の合計を使用。契約件数と案件別の単価は非開示。年間請求時間1,700時間、派遣開示単価3,732円に請負の業務管理費相当を加味し、技術者換算人年売上を720万円と仮定した。31.12億円÷720万円から432.2人年を推計したもので、実際の専属社員数ではなく外部協力会社を含む仕事量の代理指標である。2026年上期にはIT請負売上が6.85億円まで拡大したが、金額を伴うAI成果課金への転換は未確認。中立は人月・工数型として数量0.66倍、価格1.28倍。
ERP・ITコンサルティング
SAPなどの基幹業務システム導入、業務設計、開発、保守支援。自社がERPの記録の正本を保有するわけではない。
| 数量年間有償コンサルタント人月(推定) | 価格人月当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 713 | 0.01 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 428 | 0.02 | 6 | 1 |
取り方:2025年9月期の開示セグメント売上8.56億円、営業利益1.21億円を使用。人月単価は非開示なので、ERP導入・保守の技術者と協力会社を含む実効請求単価を120万円/月と仮定し、延べ713人月を推計した。これは約59人年に相当し、開示されているセグメント従業員約40人に協力会社等を加えた規模と大きく矛盾しない。2026年にはHRコンサルティング事業を譲渡している。SAPとのパートナー契約はあるが低解約率等の独占的な堀の証拠はなく、AIエージェント代替の人月・工数型に分類。中立数量0.60倍、価格1.25倍。
AR/VR・AIソリューション
企業向けVR研修、教育コンテンツ、XRシステム、AI関連の開発サービス。現状は受託制作の割合が高く、継続的な製品利用料の規模は不明。
| 数量年間開発・導入案件数(件、推定) | 価格案件当たり平均売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 60.0 | 0.07 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 43.2 | 0.09 | 4 | 0 |
取り方:2025年9月期のAR/VR事業売上4.08億円、営業利益0.13億円を使用。案件数と平均販売単価は非開示である。大型の企業向け導入と小規模な実証案件が混在するため、年間60案件、平均680万円という仮定で売上を分解した。会社が開示した大企業向け導入事例と、2026年上期のAI関連売上0.43億円を参考にしたが、案件数の推定精度は低い。制作・開発工数を売る部分が中心なのでAIエージェント代替の人月・工数型に分類し、中立数量0.72倍、価格1.30倍。既存顧客との継続契約が定量的に示されれば見直す。
その他・就労支援・再生医療支援
障がい者就労支援、細胞培養加工に関する受託支援など。事業内容は異なるが、全社売上に占める規模が小さいため一括して扱う。
| 数量年間支援・受託契約換算件数(件、推定) | 価格契約換算1件当たり平均売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 100 | 0.01 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.01 | 1 | 0 |
取り方:2025年9月期のその他事業売上0.97億円とセグメント利益約0.08億円を使用。就労支援と細胞加工は請求単位が異なり、共通の実数は開示されていない。そのため年間100件、平均97万円という契約換算の仮置きを使用しており、実際の契約件数ではない。再生医療の施設稼働率と支援対象の増減を数量に、物価上昇を価格に反映した。現場の身体的作業・設備運営を伴う部分が中心であり、事務以外はAI人月型を直接適用しない。
リスクと懸念
AIエージェント代替による請求時間の減少
主力の技術者派遣と受託開発は、顧客が購入する人の作業時間を収益源としている。AIエージェントがコード作成、テスト、保守、資料作成を自動化すると、一人当たりの生産性が上がっても派遣会社の販売数量は減りうる。IT系技術者比率83.1%という事業構成では、この影響が全社の利益に直接及ぶ。中立では人月・工数型の数量を10年間で0.55〜0.75倍に減らし、長期の名目成長率も0%とした。
人材採用と稼働率の固定費リスク
エンジニアを採用した後は、顧客の案件が減っても給与や教育費を直ちに減らせない。2025年9月期の高い稼働率は利益率の改善に寄与したが、仕事の需要が変化すれば待機人員の負担が増える。採用費の増加や離職率の上昇も利益を圧迫する。人員を急減させると顧客対応能力まで損なうため、下振れ時には売上減少以上の利益減少が起こり得る。
大手派遣会社との競争
テクノプロ、メイテック、オープンアップグループなどの大手は、採用、教育、顧客開拓に大きな規模を持つ。エスユーエスの約1%の市場シェアは伸びしろであると同時に、競争に対する弱さも示す。人材不足時には給与と採用費が上がり、需要が減る時には派遣単価を引き下げる圧力がかかる。技術者を増やせても利益が増えない競争状態に陥る危険がある。
SAP・ITコンサルティング事業の構造転換
ERP導入支援ではクラウド化、Fit to Standard、AIによる設定・テスト自動化が進む。顧客企業の業務統合需要は残るが、同じ仕事をこなすためのコンサルタント人月は減る可能性が高い。エスユーエスにはSAP関連の経験やパートナー関係があるものの、低解約率や独自の記録基盤を示す定量的な堀は確認できない。2026年のHRコンサルティング事業譲渡後も、継続的な利益率改善が必要になる。
AR/VR・再生医療支援への資本配分
AR/VR、AIソリューション、細胞培養加工支援は将来の成長候補だが、現状の売上規模は小さい。XRの制作業務にはAIによる価格下落圧力があり、再生医療支援は設備と顧客獲得に先行費用を要する。投資と提携の件数が増えても、利益と営業キャッシュフローが増えなければ株主価値は改善しない。新規事業に積み上げた現金を投入し続けることが、既存株主の取り分を減らすリスクとなる。
現金の運用と少数株主への還元
純現金34億円は財務上の強みだが、その全額が直ちに株主へ返還されるわけではない。派遣社員の給与と採用費、売掛金の回収までの運転資金、新規事業への投資に一定額を残す必要がある。増配実績はあるものの、配当性向50%以上や自社株買いの継続について数値的な約束はない。余剰現金が低収益の投資に回れば、帳簿上の純資産が増えても株主価値は同じだけ増えない。
今後の分かれ目
- IT系派遣の有償請求時間が減少する一方、派遣単価の上昇が続いたら
- 請求時間と単価を別々に確認する。数量の減少を単価が上回れば中立からやや楽観へ移し、単価上昇が数量減少を補えなければ中立の収益縮小を維持する。
- AI関連の受託・成果課金売上が金額で継続開示され、既存の人月売上を置き換える規模になったら
- 従来の工数型と新しい成果課金型を分離して評価する。契約継続率や追加投資に対する利益が確認できれば、数量と10年以降の成長率を引き上げる余地が生まれる。
- 在籍エンジニア数の減少と稼働率低下が同時に続いたら
- 顧客の発注需要が構造的に減っている可能性を重視する。売上減少に対して給与・採用費が残るため、やや悲観または悲観の利益率に近づける。
- 中期目標の営業利益率10%を達成し、その後も継続できたら
- 利益率改善の要因を確認する。採用費の一時的な抑制ではなく、高付加価値案件の継続受注による改善なら、上側の利益率と確率を見直す。
- AR/VR・AI関連事業が継続的な黒字と反復課金売上を獲得したら
- 独立した収益源として評価する。新しい顧客ごとに制作工数が必要な事業から、同じ製品を繰り返し販売できる事業へ変わったかを判断する。
- 純現金が増加し、増配または自社株買いが利益成長を上回る規模で実行されたら
- 余剰現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ見直す余地がある。反対に、継続赤字の新規事業へ投資が集中する場合は、現金の回収価値と株主還元の確度を引き下げる。
見ておくもの
- 四半期ごとの派遣売上高と前年同期比
- 派遣単価の増加率と時間当たり単価
- 在籍エンジニア数、採用人数、退職者数、稼働率
- IT系と機械・電気電子系の技術者構成比
- 生成AI導入後の顧客請求時間と一人当たり売上
- IT請負の売上高と成果課金案件の比率
- SAP・ERPコンサルティングの売上と営業利益率
- AR/VR・AI事業の継続課金売上とセグメント利益
- 中期目標の営業利益率10%への進捗
- 年間営業キャッシュフローと配当・投資の差
- 純現金、保険積立金、投資有価証券、余剰現金の株主還元実績
- AIエージェントを用いた顧客内製化の進展
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や過去のPERから将来価値を逆算していない。まず2025年のセグメント開示、派遣時間単価、IT系技術者比率と各市場の実数を使い、10年後の数量と価格を分けて売上を計算した。人月・工数型にはAIエージェント代替による数量の減少を適用した。資本コストは基本7.5%と質の調整から7.75%とし、AIによる長期の縮小はg_long=0%に反映して、寿命の減点には重ねていない。
楽観から中立のPERは、10年以降の名目成長率0%とk=7.75%から求める正当化PER12.90倍をそのまま使った。現金の利息を事業利益から除き、余剰現金は株主への戻り方0.75で別途評価している。中立の自己資本は現在42.3億円に約79.5億円の期間利益を足し、還元34億円を引いた87.8億円とした。悲観のPBRは現在の自己資本と売却可能資産を起点とする。日本基準のリース会計変更による表示差は事業価値の増減と混同しない。
この計算による確率加重現在価値は約68.2億円で、現在の時価総額99.8億円に対し約31.6%低い。仮に現在の株価が変わっても、事業の数量・価格・利益・倍率の前提を変更しない限り、本質価値の金額は変えない。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%による基本7.5%に、事業の値決め力と財務状態を反映した質の調整+0.25%を加える。事業継続を疑うほどの財務危機はなく、追加の困窮上乗せは行わない。