結論
共同ピーアールは、企業広報の支援を本業とし、インフルエンサー事業とデータ分析事業を買収で加えたコミュニケーション会社である。筆者の結論は「割高」だ。足元の業績や財務は強いが、人の専門作業を販売してきた収益構造がAIエージェントによって変わる危険を、10年後の価値から外せない。
2025年12月期の売上高は約85.5億円、営業利益は約13.0億円だった。2026年上期も増収増益が続き、会社は2026年通期の売上100億円、営業利益16億円を目指している。PR事業には長期契約の顧客と長年培った報道機関との関係がある。キーウォーカーのデータ収集サービスにも一定の競争上の地位があり、単なる広告制作会社より事業の幅は広い。
ただし、強い顧客関係と、顧客が従来と同じ金額を払い続けることは別問題だ。広報資料の制作、報道調査、掲載状況の分析、インフルエンサー施策の運用、データの収集と可視化は、AIが人の仕事を減らしやすい分野である。危機管理や経営者への助言といった、人の判断と責任が残る仕事まで一様に消えるとは見ない。それでも従来の工数に対する対価は縮むと考える。
中立の2035年12月期は売上高約71.4億円、営業利益約8.5億円、純利益6.0億円を見込む。現在の純現金約31.9億円は大きな支えだが、買収や還元に使う判断は株主が直接決められない。5つの筋書きを資本コストで現在価値に直すと約60.4億円で、基準時価総額約104.0億円を約42%下回る。事業の存続可能性と、今の価格で長く保有する価値を分けて考えるべき会社である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社に対してまず二つの質問をしたい。今の顧客は10年後も広報の専門家を必要とするのか。そして必要だとして、今日と同じ人数と料金で契約するのか。第一の答えは、おそらく肯定的である。企業が不祥事や製品事故を起こした時、説明責任を引き受けるのは経営者であり、対外的な信頼関係も人が築く。第二の答えは、ずっと不確かだ。
オーナーにとって大切なのは、従業員の人数や売上の大きさではなく、必要な再投資をした後に残る現金である。PRは工場への巨額投資が不要な反面、経験者を維持し、顧客関係を引き継ぎ、品質を保つための人件費が必要だ。AIが生産性を上げれば利益を守れるが、顧客がその生産性向上を値下げとして要求する可能性もある。費用を削減できた分がすべて株主の取り分になるとは考えない。
最も高く評価するのは長期リテイナー顧客と純現金である。会社が繰り返し選ばれてきた証拠があり、財務的にも短期の不況で存続を脅かされにくい。一方、事業全体の大部分は専門家の仕事や広告運用を販売しており、規制によって守られた業務基盤ではない。キーウォーカーの技術も有望だが、広い意味での独占力を証明するには、複数年にわたる契約継続率と値上げ実績が必要である。
買収した企業を保有し続けるより、高い利回りで再投資できる部分に集中し、それ以外の現金を株主へ返す経営の方が望ましい。2035年に競争力が残る企業だとしても、現在の利益をそのまま永続させる値段は払えない。今の時価総額には、安全域を確かめられるだけの余白がないというのが筆者の判断である。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は企業の広報部門に対する継続的な支援である。PR事業は2025年に約61.8億円を売り上げ、セグメント営業利益は約11.4億円だった。顧客から月額の契約料を受け取るリテイナー業務に加え、新商品発表、記者会見、危機管理、企業の評判管理などの個別案件を請け負う。IT・情報通信分野が主要顧客群だが、官公庁や製造業、小売業にも取引が広がっている。
契約の価値は文章を作ることだけにない。報道機関が何をニュースとして扱うかを理解し、企業の経営課題と結び付けて発信することが仕事である。会社は約1万の媒体との関係を強みとして掲げる。顧客にとって社内で作りにくい危機対応や報道機関との折衝を引き受けられることが、継続契約の理由になっている。
インフルエンサーマーケティング事業は、2022年に取得したVAZを中心に2025年の売上高が約12.9億円だった。企業から広告案件を受け、出演者やSNS媒体の選定、制作、配信、運用を行う仕事と、自社で育てた『めるぷち』などの媒体や出演者の価値を販売する仕事を持つ。前者は制作費や運用手数料への価格圧力を受けやすい。後者は独自のファンが残れば利益を守れるが、出演者の世代交代と流行の変化が大きい。
AI・ビッグデータソリューション事業は、キーウォーカーを中心に売上高約10.8億円、セグメント営業利益約1.9億円を稼いだ。企業に代わってウェブ上の情報を収集するShtockData、Tableauを使う分析・可視化の支援、AI導入コンサルティングなどがある。継続利用されるデータ収集サービスと、技術者の工数を販売する分析案件では、顧客が対価を払う理由もAIの影響も異なる。
2025年の会社開示は以上の3報告セグメントまでで、広告制作と自社IP、分析受託と継続型サービスの売上内訳や案件単価は公表されていない。そのため数量モデルでは5つの経済的な事業に分け、非開示部分は案件数や年間契約数を推定した。これらは実際の請求件数を確認した数字ではない。合計売上とセグメント利益は有価証券報告書の開示に一致させている。
優良さと弱いところ
最大の強みは、広報部門との関係が簡単には切れないことである。会社資料ではリテイナー顧客のおよそ半数が5年以上の長期契約であり、新規取引機会の多くが問い合わせや紹介から生まれている。報道機関との関係、顧客の社内事情への理解、危機対応の経験は、競合が同じソフトを導入しただけでは複製できない。価格の安さだけで選ばれる広告制作会社とは異なる強みがある。
収益性も改善してきた。2014年には営業赤字だったが、その後はPR事業の回復と子会社の取得が進み、2025年の営業利益率は15%を超えた。自己資本に対する利益率も約21%に達し、純有利子負債はマイナス約32億円である。大きな設備投資を必要としないため、利益が現金になりやすい。ただし、2025年は好調期でもあり、今の利益率を将来の最低水準と考える根拠はない。
堀がある部分とない部分を分ける必要がある。ShtockDataには累計300社以上の導入実績があり、会社は2025年10月単月のサービス継続率が99%以上だったと公表する。しかし、これは年間解約率1%以下を立証する資料ではない。2020年度の国内ウェブクローリング市場シェア38.5%も、現在の広義のAIデータ市場におけるシェアではない。法令対応で年単位の移行が必要な共同基盤など、代替の難しい『記録の正本』に分類するだけの複数の証拠はそろっていない。
増分の投資利回りも慎重に見る。既存顧客への追加提案や内部の業務効率化は投資額が小さく、資本コストを上回る余地がある。一方、VAZやキーウォーカーのような企業買収は、取得価格とのれん、その後の人材維持を含めて評価しなければならない。PRの長期契約をグループ全体の永久的な独占力と扱わず、堀の強さは普通と判定した。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のPR業は、景気に左右されながらも企業の評判管理と情報発信を支える市場である。日本パブリックリレーションズ協会が推計した2024年度の市場規模は1,391億円だった。2022年度の約1,479億円を下回っており、すでに名目市場全体が勢いよく拡大しているわけではない。この調査は対象221社に対して回答62社という標本からの推計であり、数字には相応の幅がある。
共同ピーアールのPR事業売上をこの市場に対比すると、現在のシェアは約4.4%に相当する。比較対象のマテリアルグループは2025年8月期のPRコンサルティング売上が約53.2億円で、およそ3.8%に相当する。ベクトルやサニーサイドアップグループも有力な競合だが、広告運用や別事業を含む連結売上をそのままPR市場の分母に当てるのは適切ではない。競合の厳密なPR専業シェアは十分に開示されていない。
企業が自らAIを使って広報文案、報道分析、SNS対応を実行できるようになると、従来は外注していた仕事が内製化される。一方、経営危機での説明責任、役員への助言、行政や記者との調整、複雑な利害関係者への説明は人の信用を必要とする。業界全体の案件数が減っても、難しい案件の単価は守られる可能性がある。中立では、PR市場の実質的な需要が現在から緩やかに縮み、2035年の名目市場がおよそ1,750億円になる姿を考える。
国内インフルエンサーマーケティング市場は、サイバー・バズなどの調査に基づく2025年推計で約995億円である。広告主の予算がテレビからSNSへ移る余地は残るが、広告制作や配信運用の手数料はAIとプラットフォームに圧迫される。VAZの競合にはUUUM、THECOOなどの出演者支援企業に加え、広告主自身やSNSプラットフォームがいる。VAZの売上全体は市場の約1.3%に相当するものの、その一部は独自メディアの収益であり、純粋な広告代理店シェアではない。
データ収集・分析では、ShtockDataが従来型のウェブ収集サービスで一定の実績を持つ。しかし、Amazon、Google、Microsoftなどが提供するクラウドとAIエージェント、汎用の収集サービス、BIソフトの進化により、画面操作と単純なデータ取得の価値は薄れやすい。さらにサイト運営者のアクセス制限、著作権、個人情報保護も供給側の制約になる。現在のニッチ市場の高シェアが2035年まで同じ意味を持つとは考えない。
資本政策と M&A
2024年に公表した2024~2026年の中期経営計画は、最終年度の売上高100億円、営業利益16億円、親会社株主帰属純利益9億円、ROE25%を掲げた。2025年の実績は売上約85.5億円、営業利益約13.0億円で、2026年上期も営業利益が前年同期を上回った。短期の実行力は評価できるが、ROE25%は目標であって将来の保証ではない。同計画に配当性向、DOE、総還元性向の拘束力ある数値目標はなく、還元比率については数字の約束なしと判断する。
事業領域は買収によって広げてきた。2022年にVAZとキーウォーカーをグループ化し、2025年にはPR関連会社を取り込んだ。2026年には新会社の共同ピーアールRingも設立している。こうした投資は既存の広報顧客にSNSとデータ分析を合わせて売る機会を生む一方、のれんや人材維持の費用を伴う。2025年ののれん残高は約2.9億円で、営業利益には年間約1.3億円の償却負担が含まれていた。大型買収を繰り返すなら、買収後の利益の伸びだけでなく投下資本の回収を追う必要がある。
配当は近年増えており、2026年の株式分割後ベースの年間配当予想は8円である。2026年には上限2億円の自己株式取得も決議したが、決議額は毎年の還元約束ではない。株主優待も実施しており、2025年末の優待引当金約0.17億円を将来の株主還元の一部として扱う。実施済みの自己株取得は現在の株数に反映されているため、将来の還元と二重には数えない。
現在の純現金約31.9億円のうち、顧客対応、人件費、未払金、事業の運転資金に必要な部分を差し引き、事業に不可欠ではない現金を19億円と推定する。増配と機動的な自社株取得の実績はあるが、利益の半分以上を安定還元する制度は確認できない。したがって余剰現金が株主価値に戻る割合は75%と見る。経営陣がこれを低収益の買収に使うか、株主へ戻すかによって、10年の成果は大きく変わる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
共同ピーアールの仕事は、単純な記事制作ではない。長年の報道機関との関係を背景に、顧客企業の経営課題を理解し、発信すべき内容を作り、危機が起きた時には社会との対話を支える。その実績は新規参入企業に短期間で再現できない。5年以上続くリテイナー顧客が多い事実は、一定の乗り換え費用と信頼を示している。実際、近年の増収増益は、古いPR会社という印象に反して事業を変えられることを示した。
AIは必ずしも敵だけではない。調査、資料作成、報道分析に使う時間が減れば、同じ人数でより多くの顧客を支援できる。会社は全社的なAI活用と顧客への新しい広報支援を進めている。人の判断を必要とする危機管理や経営助言に集中できれば、顧客が値下げを要求しても利益率を守れる。中立では認めない大きな収益性改善が、実際には起こりうる。
VAZには自社媒体と育成した出演者がおり、『めるぷち』のような独自IPは汎用広告制作とは異なる。ファンに直接届く媒体を持つ会社は、広告主からの受託だけでなく、商品化やイベントでも稼げる。キーウォーカーには国内ウェブクローリング市場での過去の高シェアと導入実績がある。一般的なAIでは安定して取得できないデータを、品質管理された形で提供できれば、サービスの継続性は高まる。
純現金が厚いことも見逃せない。短期の利益変動に耐えながら、必要な人材投資を行う余裕がある。増配と自己株取得が続けば、将来の株主価値は利益の伸びだけに依存しなくなる。この会社の信用力とデータ基盤は、市場の変化に適応するための出発点として評価できる。
慎重な見方
広報の仕事がなくならないことと、広報会社の売上が守られることは同じではない。AIエージェントが報道調査、原稿作成、媒体分析、効果測定、SNS運用を一括して引き受けるようになれば、顧客の広報部門は外部に委託する時間を減らせる。企業は危機管理や経営助言だけを専門家に頼み、それ以外を内製化するかもしれない。長年付き合いのある顧客も、外注予算を減らさないとは限らない。
現在の高利益率は、外注される仕事をうまく取り込んだ結果である。AIの生産性向上を顧客が値下げとして取り込めば、その利益率は永続しない。会社が進めるAI活用は合理的だが、AIを使えること自体は競合にも共通する。独自のAIエージェントを販売し、その売上金額が既存業務の縮小を埋めるとの開示はまだ確認できない。従業員1人当たりの生産性向上を、そのまま新たな売上の増加と考えるのは危険だ。
VAZの広告制作と運用にも同じ圧力がかかる。出演者の人気が移り、動画制作や広告配置の単価が下がれば、独自IPの育成投資を回収できない可能性がある。キーウォーカーのShtockDataは技術的な強みを持つが、ウェブサイトのアクセス制限やデータ利用規制で収集可能な情報が減り、クラウド企業のAI機能が代わりとなる危険がある。過去のニッチ市場シェアは、10年後の収益を保証しない。
買収で増やした売上にも注意したい。専門人材が退職すれば買収時の想定収益が失われ、のれんの減損や追加投資が必要になる。純現金は防波堤になるが、少数株主に全額が還元されるとは限らない。成長市場にいるという理由だけで高い利益率を延長すると、事業の変質を見落とすことになる。
どちらに重みを置いたか
事業の存続と財務の議論では強い材料がある。しかし、10年後に従来の工数販売がどれだけ残るかという問いでは慎重な見方を重く取る。楽観とやや楽観を合わせた確率は28%、やや悲観と悲観は38%とした。PR顧客の長期契約は下振れを抑えるが、VAZの媒体価値とキーウォーカーの代替耐性には未確認の部分がある。AIの影響は主に数量・単価と2035年以降の成長率に織り込み、資本コストの寿命項目には重ねていない。計算上の適正時価総額は約60.4億円で、現在の約104.0億円に対して割高と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 666 円116 億円(+ 還元の換算額還元の合計 121 円21 億円)。 今の値に割り戻すと 416 円72 億円、今との差 −24.8%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 7.2%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 1,405 円244 億円 | 195 円34 億円 | +189.3% | +12.2% | 144 円25 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,072 円187 億円 | 172 円30 億円 | +125.0% | +9.3% | 236 円41 億円 |
| 中立 | 34% | 700 円122 億円 | 126 円22 億円 | +49.4% | +4.5% | 281 円49 億円 |
| やや悲観 | 26% | 290 円51 億円 | 86 円15 億円 | −31.9% | −4.2% | 98 円17 億円 |
| 悲観 | 12% | 185 円32 億円 | 46 円8 億円 | −58.2% | −9.1% | 28 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 666 円116 億円 | 121 円21 億円 | +42.3% | +3.9% | 787 円137 億円 |
今の株価時価総額 553 円96 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 危機管理の信用と自社IPが残り、AIを生産性向上に使い切る 利益 14 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,405 円244 億円
共同ピーアールは経営者への助言、危機管理、複雑なステークホルダー対応で大手企業から選ばれ続ける。リテイナー契約の長さが単なる慣習ではなく、顧客が情報発信の判断を任せる理由として残る。報道調査や原稿作成にはAIを使い、同じ人数で多くの高度な案件を扱うため、営業利益率は改善する。
PR市場は2035年の名目約1,900億円となり、同社のPR売上シェアは約4.3%を保つ。一般的な制作・運用の案件数は伸びないが、複雑な仕事で単価を守る。VAZは『めるぷち』などから新たな媒体や出演者を育て、商品化とイベントの継続収入を増やす。キーウォーカーも収集データの品質と運用実績で顧客を維持する。
中小のPR関連会社を買収しても高値づかみを避け、既存の営業網との連携で利益を増やす。追加投資の利回りが資本コストを上回り、自社株取得と増配にも現金を回せる。この筋書きでも、AI関連の作業受託そのものが数量増で成長し続けるとは考えない。
- PR・広報コンサルティング:数量 613(年間の広報契約・個別プロジェクトの標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.13(標準案件1件当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 81 億円・営業利益 16 億円。人月型の実質案件数量0.98倍、名目単価1.34倍。PR市場約1,900億円に対するシェア約4.3%。
- インフルエンサー広告制作・運用:数量 618(広告主から受ける年間の広告キャンペーン換算件数(件、推定))× 価格 0.02(キャンペーン1件当たりの受託売上(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。広告受託件数0.95倍。単価1.04倍にとどめ、効率化で利益率を維持。
- 自社メディア・タレントIP:数量 215(自社IPの出演、商品化、イベント、媒体販売の年間標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.03(自社IPの標準案件1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。独自IPの販売機会1.65倍、単価1.30倍。ヒット企画の継続成功を仮定。
- データ分析・AI導入受託:数量 152(企業向け分析・構築・AI導入プロジェクトの年間標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.05(標準案件1件当たり受託売上(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。AI導入・分析受託は案件換算0.95倍、名目単価1.34倍。工数自体は増やさない。
- ShtockData・継続型データ収集:数量 215(年間利用する企業の契約換算数(社・年、推定))× 価格 0.02(企業1社当たり年間サービス売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。年間契約換算215社を維持、名目単価1.15倍。高い継続性が残る場合。
倍率:資本コストk7.25%、2035年以降の名目成長率g_long0%。新規投資の超過利益が先で薄れることを堀の通常係数1/2に反映したうえで、正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)=1/k=13.79倍とする。中立より上の筋書きはこの正当化上限そのものを使う。余剰現金19億円の税後受取利息0.266億円を純利益から除き、残額14.25億円を別に加える。14.03から0.266を引いた利益に倍率を掛け、約204.06億円となる。
確率:長期リテイナー、報道機関との関係、自社IPとデータ収集の優位をすべて維持する必要がある。AIによる価格低下を限定的に抑えられる組み合わせは魅力的だが、広報の制作・分析の内製化が進む中では高い確率を置けない。
やや楽観 19% PRの顧客基盤を保ち、IPとデータ収入が下支え 利益 10 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,072 円187 億円
企業の広報予算は、人が作業する時間ではなく成果に対して支払われるようになる。共同ピーアールはリテイナー顧客をある程度守りながら、経営助言、危機管理、難しい報道対応にサービスを寄せる。その結果、PRの案件換算数量は減っても名目売上と利益は現在を上回る。2035年のPR市場は名目約1,830億円、同社のシェアは約3.6%となる。
VAZは広告制作の単価をほぼ上げられないものの、自社媒体を使った商品化とイベントを伸ばす。キーウォーカーはデータの継続提供を主要な顧客に残し、AI導入受託も一部の専門業務で競争力を保つ。一般的な分析や可視化の作業は自動化されるため、人月相当の案件数は減少する。
経営陣は大型買収より既存子会社の利益率改善を優先する。過去の買収を通じた顧客の相互紹介が定着し、追加の大きなのれん損失は発生しない。現金の一部を増配と自己株取得に回し、長期の株主価値を支える。
- PR・広報コンサルティング:数量 500(年間の広報契約・個別プロジェクトの標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.13(標準案件1件当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 66 億円・営業利益 12 億円。案件数量0.80倍、単価1.34倍。PR市場約1,830億円、シェア約3.6%。
- インフルエンサー広告制作・運用:数量 520(広告主から受ける年間の広告キャンペーン換算件数(件、推定))× 価格 0.02(キャンペーン1件当たりの受託売上(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。制作・広告運用の数量0.80倍、価格1.04倍。
- 自社メディア・タレントIP:数量 182(自社IPの出演、商品化、イベント、媒体販売の年間標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.03(自社IPの標準案件1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。自社媒体とIPの販売機会1.40倍、単価1.30倍。
- データ分析・AI導入受託:数量 125(企業向け分析・構築・AI導入プロジェクトの年間標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.05(標準案件1件当たり受託売上(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。人月型の数量0.78倍、価格1.34倍。
- ShtockData・継続型データ収集:数量 194(年間利用する企業の契約換算数(社・年、推定))× 価格 0.02(企業1社当たり年間サービス売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。年間契約換算193.5社、単価1.13倍。
倍率:長期成長率g_long0%、k7.25%なので正当化上限は1/k=13.79倍。将来もROEがkを上回るが、超過利益を永久に複利で拡大させる根拠はなく、この上限そのものを採用する。余剰現金19億円の税後受取利息0.266億円を営業事業の純利益から除き、現金の戻り方75%を適用した14.25億円を別に加える。
確率:既存顧客の関係は長いが、高度な助言以外の仕事には数量減少が起こる。IPの育成成功とデータサービスの顧客維持が両立すれば実現可能だが、全社の工数依存を解消するほどの成果は未確認である。
中立 34% 顧客との関係は残るが、工数販売は縮小する 利益 6 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 700 円122 億円
共同ピーアールは2035年にも企業広報に必要とされる。ただし、仕事の内訳は変わる。企業がAIで作れる調査、原稿、媒体分析、効果測定は内製化され、外部の専門家には判断と対外的な調整が求められる。長期のリテイナー顧客は残るものの、契約内の作業量と追加案件は減る。PR市場は名目約1,750億円、同社の売上シェアは約2.9%になる。
VAZでは広告主からの制作・運用手数料が減少する。自社媒体とIPの商品化は成長して一部を補うが、出演者の入れ替わりを考えると、毎年ヒットを作り続けられるとは限らない。キーウォーカーはデータ収集の継続契約を維持する一方、分析・AI導入受託の工数を販売しにくくなる。データ取得と可視化の価格にも競争が及ぶ。
経営は大きな財務危機に直面せず、買収より既存事業の効率化と現金の管理を優先する。営業利益は現在の好調期を下回り、自己資本の積み上がりに対して利益が縮むため、ROEは資本コストを下回る。純現金は守りになるが、事業全体が高い成長率で複利拡大する企業ではなくなる。
- PR・広報コンサルティング:数量 406(年間の広報契約・個別プロジェクトの標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.13(標準案件1件当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 51 億円・営業利益 8 億円。人月型案件数量0.65倍、価格1.28倍。PR市場約1,750億円、シェア約2.9%。
- インフルエンサー広告制作・運用:数量 423(広告主から受ける年間の広告キャンペーン換算件数(件、推定))× 価格 0.01(キャンペーン1件当たりの受託売上(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。広告制作・運用の案件数量0.65倍、価格横ばい。
- 自社メディア・タレントIP:数量 143(自社IPの出演、商品化、イベント、媒体販売の年間標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.03(自社IPの標準案件1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。独自IPの販売機会1.10倍、単価1.25倍。成長は既存媒体に限定。
- データ分析・AI導入受託:数量 104(企業向け分析・構築・AI導入プロジェクトの年間標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.05(標準案件1件当たり受託売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。受託分析・AI導入の案件数量0.65倍、価格1.30倍。
- ShtockData・継続型データ収集:数量 172(年間利用する企業の契約換算数(社・年、推定))× 価格 0.02(企業1社当たり年間サービス売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。年間契約換算172社、価格1.08倍。AIエージェントが一部の契約を代替。
倍率:2035年のROEは6.0÷92.8=約6.47%で、k7.25%を下回る。ROEが資本コスト以下のため、成長による超過価値を加えず正当化PERの上限は1/k=13.79倍となる。g_longは名目0%で、AI代替をさらに倍率の裁量的割引やkの寿命上乗せで二重に数えない。余剰現金19億円の税後利息0.266億円を純利益から除き、戻り方75%の14.25億円を加える。時価総額は事業の稼ぐ力と別建ての余剰現金で約93.32億円となる。
確率:PRの長期契約と2026年上期までの増収増益から事業そのものは残ると判断する。一方、グループ売上の多くが人の作業と広告運用に依存しており、AIによる仕事の縮小を避けられない。この二つを同時に満たす中心的な筋書きである。
やや悲観 26% 長期契約は残るが、利益の薄い業務に偏る 利益 2 億円 · PER 13.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 290 円51 億円
企業の広報部門はAIを標準装備し、外部に頼む仕事を危機管理と一部の記者対応に絞る。共同ピーアールは大手顧客との関係を保つが、従来の契約単価の上昇で案件数の減少を十分には埋められない。競合するベクトルやマテリアルグループとの競争も厳しくなり、PR市場約1,600億円に対する同社シェアは約2.4%まで低下する。
VAZでは広告制作を広告主自身とAIが担うようになり、受託案件の採算が悪化する。自社IPは残るが、商品化の成功が限られ、大きな利益源には育たない。キーウォーカーは企業のデータ収集需要を維持しつつも、汎用AIとクラウドの機能が改善し、分析受託とShtockDataの一部契約を失う。
過去に取得した子会社の事業を維持するための管理費は急には減らせない。利益率は下がり、成長投資を行っても資本コストを上回る収益を得にくい。経営は買収を控え、配当を減らしながらも継続する。現金は残るため財務危機に直結しないが、株主にとっては資本効率の低い企業になる。
- PR・広報コンサルティング:数量 344(年間の広報契約・個別プロジェクトの標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.11(標準案件1件当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 39 億円・営業利益 4 億円。数量0.55倍、価格1.15倍。PR市場約1,600億円、シェア約2.4%。
- インフルエンサー広告制作・運用:数量 325(広告主から受ける年間の広告キャンペーン換算件数(件、推定))× 価格 0.01(キャンペーン1件当たりの受託売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。広告受託件数0.50倍、手数料単価0.90倍。固定費のため赤字。
- 自社メディア・タレントIP:数量 97.5(自社IPの出演、商品化、イベント、媒体販売の年間標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.03(自社IPの標準案件1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。IP販売機会0.75倍、単価1.10倍。出演者の入れ替わりで採算悪化。
- データ分析・AI導入受託:数量 88.0(企業向け分析・構築・AI導入プロジェクトの年間標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.04(標準案件1件当たり受託売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。受託案件数量0.55倍、価格1.10倍。低利益率。
- ShtockData・継続型データ収集:数量 151(年間利用する企業の契約換算数(社・年、推定))× 価格 0.02(企業1社当たり年間サービス売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。年間契約換算150.5社、単価据え置き。
倍率:ROE約2.5%がk7.25%を大きく下回るため、再投資からの超過価値は認めない。上限1/k=13.79倍に対し、収益力の弱さと顧客基盤の毀損を考慮して13.5倍を採用する。期末に残る余剰現金は基本19億円の75%である14.25億円とし、税後利息約0.200億円を利益から除外。現金の戻り方75%を適用した約10.69億円を加える。得られる時価総額約34.59億円は、現在の純現金31.9億円を下回らない。
確率:AIによる内製化に加え、広告主の予算配分変更やShtockDataの一部顧客喪失が起きる筋書きである。会社の財務体質は強いため倒産ではなく、事業規模と資本効率の持続的な低下として考える。
悲観 12% 制作・分析が内製化され、会社の優良さを失う 利益 −1 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 185 円32 億円
AIエージェントが企業広報の通常業務を広く担うようになり、共同ピーアールに残るのは限られた危機管理と複雑な対人交渉だけになる。これまで長期契約を結んでいた企業も、社内の広報体制を組み替え、契約を小さくする。PR市場が名目約1,400億円になっても、同社のシェアは約1.9%まで落ちる。顧客関係そのものは完全には消えないが、利益を生むほどの料金を守れない。
VAZでは主要な出演者が離れ、新たな自社IPも育たない。動画広告制作は自動化され、受託案件数も手数料も減る。キーウォーカーでは汎用AIとクラウドの機能がデータ収集や可視化を代替し、サービス契約が縮小する。データ取得先の制限も強まり、かつてのシェア優位は意味を失う。
子会社の統廃合や人員整理を進めても、退職関連費用、残るオフィス費用、買収のれんの整理が利益を圧迫する。2035年の営業損益は赤字となり、成長への再投資は止まる。前半に得た現金の一部は残るため直ちに倒産するわけではないが、保有価値の中心は事業ではなく換金可能な資産に移る。
- PR・広報コンサルティング:数量 275(年間の広報契約・個別プロジェクトの標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.10(標準案件1件当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。案件数量0.44倍、名目単価横ばい。PR市場約1,400億円、シェア約1.9%。
- インフルエンサー広告制作・運用:数量 260(広告主から受ける年間の広告キャンペーン換算件数(件、推定))× 価格 0.01(キャンペーン1件当たりの受託売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。広告受託数量0.40倍、手数料0.85倍。
- 自社メディア・タレントIP:数量 65.0(自社IPの出演、商品化、イベント、媒体販売の年間標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.02(自社IPの標準案件1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。自社IP販売機会0.50倍、単価0.95倍。新規ヒット不在。
- データ分析・AI導入受託:数量 67.2(企業向け分析・構築・AI導入プロジェクトの年間標準案件換算件数(件、推定))× 価格 0.04(標準案件1件当たり受託売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。受託案件数量0.42倍、価格横ばい。
- ShtockData・継続型データ収集:数量 118(年間利用する企業の契約換算数(社・年、推定))× 価格 0.02(企業1社当たり年間サービス売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。年間契約換算118.25社、価格0.90倍。
倍率:2035年の純利益は赤字で、継続利益に正のPERを掛けることは適切でない。清算に近い防御的評価として、2025年末の自己資本41.8億円に対して換金性を反映した0.77倍を掛け、時価総額32.186億円とする。これは2035年の積み上がった自己資本73.8億円ではなく現在の自己資本を分母とする。現在の純現金31.9億円を悲観の床とし、のれん約2.9億円や顧客関係の無形価値は床から除いている。将来の運転資金流出と買収損失を考慮し、将来の留保利益を額面で加算しない。
確率:人月・広告運用・画面中心のデータサービスが同時に競争力を失い、さらに自社IPの育成にも失敗する複合シナリオである。財務に余裕があるため倒産に近い事態を基本にはせず、稼ぐ力の崩壊と保有現金の価値を分ける。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
PR・広報コンサルティング
企業の月額リテイナー契約、危機管理広報、記者会見、メディア対応、広報制作と分析を提供する。AI代替では主に人月・工数で売る型に分類する。
| 数量年間の広報契約・個別プロジェクトの標準案件換算件数(件、推定) | 価格標準案件1件当たり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 625 | 0.10 | 62 | 11 |
| 10 年後 中立 | 406 | 0.13 | 51 | 8 |
取り方:有価証券報告書のPR事業の外部売上61.8462億円、セグメント利益11.40061億円を採用。契約件数・月額料金は非開示のため、月額リテイナーと大型の単発案件を年間625件の標準案件に換算し、1件当たり約990万円と逆算した推定単位である。実際の顧客数625社との意味ではない。2024年度国内PR市場1,391億円に対する売上シェアは約4.4%。5年以上の長期契約顧客がおよそ半数という会社資料を、業務の継続性の根拠とする。ただし数量の中立2035年値はAIによる制作・調査・分析の工数縮小を反映して現在の65%とし、名目価格は人の高度な助言の価値が残る一方、汎用作業の値下げがあるため物価上昇率を下回る1.28倍とする。
インフルエンサー広告制作・運用
VAZが広告主から受託するSNS広告、出演者の起用、動画制作、キャンペーン運用。広告の制作・運用・手数料の型に分類する。
| 数量広告主から受ける年間の広告キャンペーン換算件数(件、推定) | 価格キャンペーン1件当たりの受託売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 650 | 0.01 | 10 | 1 |
| 10 年後 中立 | 423 | 0.01 | 6 | 0 |
取り方:2025年のインフルエンサーマーケティング報告セグメント外部売上12.9419億円の75%を広告制作・運用、25%を自社媒体・IPとする分析上の仮配分。会社はこの二つの売上額を分けて開示していない。広告制作部分の9.706425億円を標準的な年間650案件に換算し、1件約149万円とした。セグメント営業利益1.11791億円のうち0.62億円をこの事業へ仮配分。国内インフルエンサーマーケティング市場2025年推計995億円に対する広告受託部分の売上比率は約1%である。AIエージェント代替により中立の案件数量65%、制作・運用手数料は物価を転嫁できず名目単価横ばいとした。
自社メディア・タレントIP
『めるぷち』などの自社媒体、出演者の育成、商品化、イベント、媒体価値の販売。独自のファンとコンテンツを持つ部分は、単純な広告運用と分ける。
| 数量自社IPの出演、商品化、イベント、媒体販売の年間標準案件換算件数(件、推定) | 価格自社IPの標準案件1件当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 130 | 0.02 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 143 | 0.03 | 4 | 1 |
取り方:VAZの自社メディアと出演者ビジネスについて、報告セグメントの売上12.9419億円の25%、利益1.11791億円のうち0.49791億円を仮配分した。自社IPだけの収益と単価は非開示。標準案件130件は商品化・出演・イベント等を便宜的にまとめた換算件数であり、ファン数や実際の出演件数ではない。現在の単価は約249万円。SNS市場の拡大そのものではなく、既存IPから繰り返し商品化できる力を数量の根拠にする。中立では独自IPの販売機会が10年で1.10倍、単価が1.25倍になるとみるが、出演者の世代交代の失敗は悲観に反映した。
データ分析・AI導入受託
キーウォーカーのTableau・Dataiku関連の分析、データ整形、AI導入コンサルティングなど。人月・工数で販売する型に分類する。
| 数量企業向け分析・構築・AI導入プロジェクトの年間標準案件換算件数(件、推定) | 価格標準案件1件当たり受託売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 160 | 0.04 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 104 | 0.05 | 5 | 1 |
取り方:2025年のAI・ビッグデータソリューション事業売上10.75798億円の60%を受託分析・導入支援、40%を継続型データ収集サービスと仮定した。会社は売上と営業利益をこの粒度で開示していない。受託売上6.454788億円を年間160件の標準案件に換算し、平均約403万円とした。セグメント利益1.9202億円のうち0.75億円をこの業務に仮配分。2026年上期にAI関連の新規受注は増えているが、独自AIエージェント製品の金額付き売上は確認できず、楽観でも人月相当の案件数量を現在超とはしない。中立数量65%、価格1.30倍、2035年以降の名目成長率0%の型に従う。
ShtockData・継続型データ収集
ウェブ情報の自動収集、データ提供、関連する継続型サービス。画面・契約課金の業務サービスに分類し、規制対応の記録の正本には分類しない。
| 数量年間利用する企業の契約換算数(社・年、推定) | 価格企業1社当たり年間サービス売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 215 | 0.02 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 172 | 0.02 | 4 | 1 |
取り方:2025年のAI・ビッグデータソリューション事業売上10.75798億円の40%を継続型サービスとする仮配分である。会社公表のShtockData累計導入社数300社以上は累計であって、現役の年間有料契約数ではない。年間利用215社は分析上の推定で、1社当たり約200万円を収入としている。営業利益はセグメント全体1.9202億円から受託部分の仮配分0.75億円を引いた1.1702億円。サービス継続率99%以上は2025年10月単月の実績であり、10年間の固定顧客を証明しない。過去の国内ウェブクローリング市場シェア38.5%は2020年度の限定された市場の調査である。AIエージェント代替の席・操作画面型に準じ、中立数量80%、名目価格1.08倍、長期成長率0%以下を適用する。
リスクと懸念
AIエージェント代替による工数販売の縮小
PR資料の作成、報道分析、効果測定、動画制作、広告運用、データ整形は、人の工数が売上を支える仕事である。AIエージェントがこれらを実行できると、顧客は外注を減らし、残る業務にも値下げを求める。共同ピーアールは内部のAI活用を進めているが、生産性向上がそのまま新しい有料需要になるとは限らない。中立の数量減少と長期成長率0%に、この構造的な危険を反映した。
長期契約が単価維持を保証しない
5年以上続くリテイナー顧客が約半数を占めることは大きな強みだが、顧客の外注予算が維持される証拠ではない。AIで社内広報の生産性が高まれば、同じ顧客が契約範囲を縮める可能性がある。契約継続社数だけでなく、同じ顧客の売上、追加案件単価、契約更新時の値上げ実績を確かめる必要がある。
VAZの出演者・媒体・広告予算への依存
自社媒体と出演者の育成は広告運用より模倣しにくいが、人気の寿命は短い。主要出演者の独立、SNSプラットフォームの表示方法変更、広告主の予算削減で収益性が急変しうる。商品化とイベントの収入が継続的なものか、広告キャンペーンに付随する一時的なものかを分けて見る必要がある。自社IPの売上内訳が非開示であること自体も予測上の不確実性である。
データ収集サービスの競争と規制
ShtockDataはウェブ収集の運用経験を持つが、AIエージェント、クラウド、汎用スクレイピングサービスが機能を代替しうる。対象ウェブサイトによるアクセス制限、著作権や個人情報保護の規制強化もサービス原価を上げる。国内シェア38.5%という公表値は2020年度の特定市場の値であり、2035年の競争力の証明にはならない。
買収後の投下資本回収
VAZとキーウォーカーを取得して事業を拡大してきたが、買収対価、のれん、人材流出、統合管理費を含めた増分投資利回りが資本コストを上回るかが重要である。広告制作や分析受託の需要が減れば、買収時の収益計画を達成できなくなる。グループ内の顧客紹介が増えても、そのために払った資本を回収できなければ長期株主の得にはならない。
余剰現金の配分と少数株主の制約
純現金は現在の時価総額に対して厚いが、配当や自社株買いの金額は経営陣が決める。新規買収や新事業への投資が優先されれば、帳簿上の現金がそのまま株主に戻るわけではない。長期の配当性向や総還元性向に数値の約束がないため、現金価値には75%の戻り方を適用した。買収の規律が緩めば、残る現金自体も減りうる。
財務指標の見かけ上の改善
2026年までの営業利益率とROEの改善は実績に支えられているが、一部は好調な案件構成と買収子会社の寄与である。2035年に業務数量が減り、自己資本だけが積み上がれば、現在の高ROEは維持できない。新リース会計基準による会計上の表示変更もありうるため、利益率や自己資本比率の単純比較ではなく、賃料を含む固定費とオーナー利益を確認する必要がある。
今後の分かれ目
- PRリテイナー顧客の年間契約継続率と同一顧客売上が、AI普及後も高水準を維持したら
- 長期契約が単なる名目上の継続ではなく、料金を守る堀になっていると評価する。PRの中立数量を引き上げ、やや楽観側の確率を高める余地がある。
- 報道分析・広報制作の自動化が進む一方で、PR事業の粗利益率と顧客単価が上昇し続けたら
- AIによる生産性改善を顧客に奪われず収益化できている可能性が高まる。PRの営業利益率を上方修正する。ただし受託案件数が増えた証拠がなければ数量を機械的に増やさない。
- ShtockDataについて複数年の年間解約率5%未満と実際の値上げ実績が開示されたら
- 継続型データ収入の耐久性を再評価する。独自データの蓄積や顧客側の移行負担も確認できれば、その部分だけ記録の正本に近い堀として扱い、数量と長期成長率を見直す。
- VAZが自社IPの売上・粗利益・継続商品化件数を開示し、広告受託以外の利益が大きく伸びたら
- 自社のファンと媒体を持つ事業が全社価値を支えると評価する。広告制作と独自IPの売上比率を実績に置き換え、IPの楽観・やや楽観の重みを上げる。
- 買収先ののれん減損や主要人材の退職が続いたら
- これまでの資本配分が企業価値を損ねていると判断する。買収による売上増加を将来成長の根拠から外し、利益率と悲観側の資産価値を再検討する。
- 会社が配当性向50%以上または総還元性向の明確な数値目標を設け、実行を継続したら
- 余剰現金が少数株主へ戻る確実性が高まる。会社の実績と整合すればexcess_cash_returnを0.75から1.0へ引き上げ、配当と自社株買いの10年累計額も修正する。
- 売上100億円の達成後に売上成長が鈍化し、PRとAI・データの受託案件数量が減少し始めたら
- 単なる景気循環ではなくAIエージェント代替による構造的な変化を疑う。中立からやや悲観へ確率を移す前に、顧客数、契約単価、サービス構成を分けて確認する。
見ておくもの
- PR事業のリテイナー契約社数、5年以上の契約比率、契約更新率、同一顧客当たり売上
- PR事業の新規問い合わせから成約に至る割合と、危機管理など高度な業務の売上比率
- PR事業の社員1人当たり売上総利益、AI導入後の人員数と外注費
- VAZの広告受託売上と自社媒体・IP売上の内訳、商品化・イベントの継続収益
- ShtockDataの年間有料契約社数、複数年の解約率、契約単価と値上げ率
- AI・ビッグデータ事業における受託工数売上と継続課金売上の構成比
- 企業向けAIエージェント製品として独立して販売した売上金額と継続契約数
- 買収の対価、のれん残高と償却額、買収後の投下資本利益率
- 現預金と有利子負債、自己株式取得実績、配当性向と株主優待費用
- 日本パブリックリレーションズ協会の市場規模と競合PR企業の事業別売上
倍率と資本コストの決め方
起点の財務と株価には添付facts・briefを用いた。598円と17,399,234株から現在の時価総額を約104.05億円とし、2026年7月の1対2株式分割後の株数基準にそろえた。2025年の3報告セグメント売上と営業利益を開示に合わせ、その内部を非開示の契約・案件換算数で分けた。PR・広告制作・受託分析・SaaS型データ提供にはAIエージェント代替の数量・単価条件を適用した。自社IPの数量増加はAIによる売上拡大ではなく、独自媒体の商品化成功の筋書きとして扱った。
資本コストは7.25%、2035年以降の全社名目成長率は0%である。楽観・やや楽観・中立の正当化PERは、長期成長率を反映した上限13.79倍とした。現在や過去、同業の市場PER・PBRをその根拠には使っていない。余剰現金19億円は事業利益から税後利息を除き、戻り方75%で別に加えた。悲観は現在の自己資本に基づく資産評価とし、純現金31.9億円を床にした。
中立の自己資本92.8億円は、現在41.8億円に10年間の純利益累計約73億円を加え、還元22億円を差し引く流れと整合する。ROEは結果であり、売上成長の根拠には使っていない。中立の純利益対営業利益比は約0.71で過去中央値約0.69に近い。現状の株価から逆算して将来売上・倍率・確率を調整していない。新リース会計基準によって将来の負債表示が変わっても、賃料を営業費用として含む現在と同じ経済的な形で比較する。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を出発点とし、財務の純現金の厚さを品質項目で0.25ポイント減算した。規模や株価のβは使用せず、買収やAIの事業固有リスクはシナリオに反映する。