結論
トゥエンティーフォーセブンホールディングスは「24/7Workout」を軸に、ピラティスと総合型ジムを育てる運営会社である。筆者の結論は「割高」だ。店舗を増やせば売上は戻り得るが、株主に帰属する利益が長く残るという確証はまだない。足元の時価総額約16億円に対し、十年後の事業価値と株主還元を現在価値に戻した見込みは約6.6億円にとどまる。
かつて売上高は77億円に達したが、2025年11月期は約21億円まで縮み、六期続けて純損失を計上した。2026年11月期第3四半期では売上高が前年同期を上回り、月次での黒字も続く。しかし自己資本は0.6億円弱にすぎず、親会社からの借入が拡大した。回復の速度より先に、財務を持ちこたえさせる力を確かめたい。
健康への関心と人が教える運動の価値は、十年で消えるものではない。一方、かたぎり塾やBEYOND、低価格の無人ジムが客を奪い合う市場には、他社を締め出す仕組みがない。新コースは旧料金から値下げして会員を増やす戦略であり、値決め力を示す材料ではない。強い出店成果が続く場合の上振れも織り込むが、先行投資と賃料の負担が利益を食う確率を重く見る。
2028年に向けた会社計画は利益回復への一つの道筋であって、約束された収益ではない。元の株主が買収や資金調達による持分の希薄化に耐えつつ、十分な営業利益率を獲得できるかが、長期の価値を決める。現時点で必要なのは安い株価という印象ではなく、客単価を下げた後でも資本コストを超えて稼げる実績である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の視点なら、まず「十年後も人が運動を教える仕事にお金を払うか」と問う。答えは肯定的だ。運動を続けられない人への励ましや、実際の姿勢を修正する指導は、映像やAIの提案だけでは置き換えにくい。健康寿命を意識する高齢者や、短期間で体を変えたい人の需要は残る。問題は、その需要を持続的な超過利益として会社が受け取れるかである。
他社が模倣できない強みを持っているかという試験では、合格は難しい。設備とトレーナーを用意すれば小規模な競合が始められ、顧客は比較サイトと体験入会を使って乗り換えられる。Workoutが料金を下げて会員数を回復させた事実は、顧客への提案力を示す一方で、値上げを続ける堀がないことの裏返しでもある。事業の継続と既存株主の富の増加は、別の問いである。
オーナー利益、つまり事業を傷めずに株主が取り出せる現金も慎重に見る。店を続けるにはトレーナーの採用と人件費、広告費、家賃、器具の更新、退去時の原状回復費が欠かせない。減価償却で会計上の利益が増えても、土地や新店への現金支出が膨らめば、その利益を自由には配れない。2026年の親会社借入は、営業回復と資金余力の違いを見せる。
経営陣の決断では、赤字店を閉じる規律とFC化の採算を評価したい。他方、度重なる調達を伴う新規出店で既存株主の持分を守れなかった過去は重い。今の値段には、回復だけでなく、その後の長い黒字成長をすでに期待しているように映る。利益が見えるまでの時間と事業の予測の難しさを考えると、十分な安全域はない。
何で稼ぐ会社か
収益の中心はパーソナルトレーニングである。「24/7Workout」はトレーナーと顧客が対面し、運動や食事の継続を支援する。顧客から月額会費や指導料を受け取るため、売上は実際に通う会員と受講回数、支払単価で決まる。2025年に75分中心の買い切りコースから、60分の定額・回数払いへ改めた。最安水準の案内は従来の1回13,475円から新コース9,500円となり、同時に月額33,000円からの契約も設けた。
顧客の入口を広げるため「24/7Pilates」をWorkoutに併設し、マシンジムの「24/7FiT」と合わせた「24/7SPORTS CLUB」を展開する。2025年11月末は直営85店、FC14店、合計99店であった。2026年8月末は直営82店、FC15店の合計97店で、Workout単独58店、ピラティス併設23店、SPORTS CLUB12店などに変わった。売上を伸ばすには単純な店舗純増だけでなく、既存店の稼働率と大型複合店への置き換えが必要である。
FCは加盟店から初期収入やロイヤルティを受け取る形で、直営店より固定設備への投資が軽い反面、同じ1店舗でも売上計上額は小さい。そこで店舗数の予測には直営を1、FCを0.15とする直営換算数を用い、異なる経済性を混同しない。これは開示されたFC手数料率ではなく、両形態を比較するための保守的な推定である。2025年のトレーニング事業売上約20.44億円をその換算87.1店で割ると、1店当たり年商は約0.235億円となる。
小さな第二の柱は不動産関連事業だ。2025年に買収した札幌のスポーツクラブ運営会社を通じて物件の一部を又貸しし、別の子会社が店舗用の賃貸借仲介・物件管理を扱う。2025年の売上は約0.51億円と全体の数%にすぎないが、2026年の9か月では約0.97億円へ伸びた。仲介手数料と賃料には景気・物件稼働の違うリスクがあり、本業の会員売上と同じ利益率で測らない。
優良さと弱いところ
品質の核は、個別に運動を続けてもらう現場の接客である。会社は採用時の厳しい選考、100種類を超えるトレーニングプログラム、10万件を超える成功事例を強みとしている。新たな低価格ジムでは得られない伴走や習慣化の支援には支払い意欲がある。実際に2025年の新コース移行後、アクティブ会員は前年比で約13%増え、広告1問い合わせ当たり費用を約45%削減したと会社は説明する。
しかし、これは他社がまねできない堀とは違う。店舗を移るための違約金やデータ移行の負担は小さく、評判の良い個人トレーナーや新興チェーンが競合になる。新コースは会員数を増やした代わりに単価を下げた。値上げを通しても客が残る実績は乏しく、価格を自ら決める力は弱い。独自プログラムも体験の再現には役立つが、十年後の独占的利益を保証しない。
資本効率はさらに厳しい。2019年の高収益が続かず、2025年まで六期続けて赤字を計上し、自己資本は約0.8億円まで減った。2026年8月末の自己資本は約0.57億円で、既存店の小さな損失や賃貸物件の減損でも傷む。親会社の支援は資金繰りの安全弁だが、借入の返済条件やグループ内取引では少数株主と利害が一致するとは限らない。
直営出店の新規投資が利益を生むまで時間を要し、店舗改装と原状回復費用もかかる。会社が真に高い再投資収益率を示すには、新店の投資額と開店後の店別営業利益を積み上げ、借入利息と閉鎖費用を払った後も利益が残る必要がある。現時点でその連続した裏付けが足りないため、堀は弱いと判断する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
フィットネス市場全体は回復している。帝国データバンクは2024年度の国内市場を約7,100億円と推計した。矢野経済研究所が2025年8月に確認したフィットネス施設は13,876施設で、このうちパーソナルトレーニングジムは2,368施設である。同社の2025年11月末のWorkout店舗87店は施設数で約3.7%に相当するが、会員数や売上高のシェアではない。全フィットネス市場に対する同社売上の比率は約0.3%にとどまる。
競争は二方向から強まる。個別指導では300店舗を超えるかたぎり塾、BEYOND、RIZAPなどが新規入会を争い、総合型ではchocoZAP、エニタイムフィットネス、カーブスなどの大量出店が運動習慣のある客を囲う。価格を重視する客は低料金の自己トレーニングへ移り、結果を重視する客は評判のよいトレーナーを選べる。2026年の同社のWorkout店舗は81店まで減り、店舗数を再び増やすにもFC加盟店と指導人材の獲得が必要になる。
中立では国内の人口減少と健康意識の上昇が相殺し、パーソナルジム施設数は長期に緩やかに増える程度と考える。同社が新業態を成功させれば店舗数シェアは上がるが、他社の安い会費と広告入札の競争により1店当たりの実質単価は伸びにくい。2025年の新コースに見られる単価切り下げを踏まえ、CPI年3%をすべて顧客に転嫁できるとは見ない。
不動産関連ではサブリースの入居面積と賃料、仲介件数と手数料が収入を決める。国土交通省によれば宅建業者は2026年3月末に約13.37万業者あり、同社の不動産仲介は全国市場で極めて小さい。札幌の保有・賃借物件という局地的な稼ぎが主体で、国内不動産業の巨大な市場規模をそのまま成長余地とみなさない。テナント撤退と賃料の逆ざやに加え、物件取得の資金負担が利益の振れを大きくする。
AIエージェント代替については、運動補助や姿勢の現場指導そのものは体を使うサービスで、SI・BPO・席課金SaaS型の直接代替には当たらない。ただし食事記録、予約調整、運動メニューの提案はAIで安く提供される。差別化しにくい情報面の料金を削り、対面の成果と立地で選ばれる店だけが生き残ると考える。
資本政策と M&A
資本配分の評価は厳しい。2019年から2025年に売上が大幅に減少する間、赤字を埋める第三者割当増資と新株予約権の行使が続き、発行済株式数は増えた。2026年には採算の低い地方直営店舗の一部をFCに譲渡する方針を示し、親会社からの借入を増やしている。
2026~2028年の中期計画は、売上高を26.16億円、28.82億円、31.12億円へ、営業利益を0.32億円、1.11億円、2.01億円へ回復させる内容である。2028年末の133店舗と中期的な営業利益率10~15%を目指すが、計画最終年の利益率は6.5%にとどまる。出店投資は3年で15億円、広告宣伝を含む主な投資計画は計23.67億円に上る。ROE目標、配当性向、DOE、自社株買い額について数字の約束はなく、現行計画期間の配当も予定されていない。
株主優待は2024年に始まり、保有株数に応じて自社・NOVAグループのサービスを利用できる券を渡す。2025年末の優待引当金約0.014億円を実際のサービス原価の粗い近似とし、十年の還元にはその持続分を入れた。上位10株主が約74%を持ち、過去5年に自社株買いと増配がなかったため、将来余る現金が既存株主に戻る割合は慎重に半分とする。
買収で一気に店を増やす戦略には注意が必要だ。親会社による資金支援は不意の資金ショートを防ぐが、土地取得や改装に借入を使えば、短期的に店が黒字でも株主の手元に現金は残らない。業績連動型の第13回新株予約権は最大2万株で、経常黒字と所定の株価条件を満たす場合に行使できる。追加増資が実施されれば株主の取り分はさらに薄まる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
業界全体はコロナ前の水準を超えて回復し、個別指導のニーズも続く。24/7Workoutは全国展開したブランドと現場で磨いた指導技術を持ち、新コースで会員が増え、広告獲得費も下がった。単純な値下げではなく、月額制への転換で継続率と来店頻度が上がれば、従来の高額な一括契約よりも長く付き合える。2026年の3月以降は単月の営業黒字が続いており、6期続いた赤字からの脱却は思惑ではなく一部数字に現れ始めた。
ピラティスを既存店に併設すると、その店の空きスペースで別の客を獲得できる。スポーツクラブ型の複合店も、自力で運動できる人と個別指導が必要な人を同じ建物で受け入れる。FCなら店を増やすための自己資金を抑えられ、NOVAグループの集客網と物件探しを活用できる。会社が2028年に133店と営業利益2億円を達成し、その後も成功店を再投資で積み増せば、十年後には大きく利益を伸ばす余地がある。
赤字からの立ち直りはまだ早期だが、以前は営業利益率が二桁に達した歴史もある。広告と本社費を効率化できれば、来店客が増えるたびに追加利益が残る構造へ戻せる。借入は確かに増えたものの、主要株主が事業資金を出していることは資金繰りの下支えになる。小型株という理由だけで無価値とみなすのは早い。
慎重な見方
売上が77億円から21億円まで細った事実は、顧客と店舗の基盤が壊れたことを示す。六期連続の赤字と2026年8月の自己資本約0.57億円は、回復するまで待てる時間の短さを示す。2026年の9か月では全社営業損益はまだ赤字であり、事業部門の黒字を本社費が相殺した。いま黒字なのは新しい月額制そのものの収益力が十分だからではなく、値下げ後の会員回復と支出削減がたまたま重なっただけかもしれない。
かたぎり塾やBEYONDは相次いで店舗を増やし、低価格の無人ジムも全国に広がる。対面の運動指導は必要でも、24/7Workoutでなければ困る客は多くない。顧客獲得の広告費は競合の入札で跳ね上がり、さらにスマートフォンとAIが食事指導や運動計画の情報価値を削る。店を維持する家賃とトレーナーの賃金は物価とともに増える。既存店の会費だけが物価に追いつかなければ、出店数が増えても利益は残らない。
2026年の店舗数は前年末を下回り、FC化には直営売上の減少という代償がある。新業態にはマシン・内装・土地の資金が要り、中期投資計画は過去の利益蓄積よりはるかに大きい。親会社借入は無料の資本ではなく、将来の返済請求である。支援が増資に変われば持分が薄まり、買収による業態の拡張が失敗すれば敷金も回収しにくい。帳簿上の現金をそのまま清算価値とすることもできない。
どちらに重みを置いたか
需要が残ることでは強い見方に理があるが、現在の株主がそれを高い収益率で受け取れるかは慎重な見方が優勢だ。回復の兆しとピラティス併設の成果を無視せず、上振れも十分に評価した。それでも確率は上側28%に対し下側43%へ寄せた。下に寄せる理由は、六期赤字の累積で自己資本が極端に薄く、最新の資金調達を親会社借入に依存しており、新店の利回りがまだ証明されていないためである。中立の2035年の時価総額が今とほぼ並んでも、十年待つ株主の現在価値は大幅に低い。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 213 円18 億円(+ 還元の換算額還元の合計 3 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 82 円7 億円、今との差 −58.3%、 期待の年率 +0.9%(資本コスト 10.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 820 円70 億円 | 5 円0 億円 | +320.9% | +15.5% | 83 円7 億円 |
| やや楽観 | 18% | 409 円35 億円 | 4 円0 億円 | +110.7% | +7.8% | 74 円6 億円 |
| 中立 | 29% | 181 円15 億円 | 2 円0 億円 | −6.4% | −0.7% | 53 円5 億円 |
| やや悲観 | 27% | 12 円1 億円 | 1 円0 億円 | −93.4% | −24.4% | 3 円0 億円 |
| 悲観 | 16% | 10 円1 億円 | 1 円0 億円 | −94.4% | −25.7% | 2 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 213 円18 億円 | 3 円0 億円 | +9.9% | +0.9% | 215 円18 億円 |
今の株価時価総額 196 円17 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 複合店とFCが全国で定着する 利益 6 億円 · PER 10.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 820 円70 億円
NOVAグループとの物件開発・FC開拓が軌道に乗り、SPORTS CLUBとピラティスを併せた業態が地方のロードサイドでも黒字化する。会員の継続率が高まり、スポーツクラブと個別指導を相互に紹介できるため、広告費の負担は売上の伸びほど増えない。直営とFCを合わせた店舗網は大きくなり、直営換算店数は195へ増える。
健康需要が伸びる中でも、運動プログラムをAIが作る分野では料金を取り過ぎず、実地指導と体験に集中する。競合のかたぎり塾やBEYONDに対し、指導の継続と設備の豊富さを両立させ、店舗当たり売上が名目で伸びる。老朽店の閉鎖費用を出店利益が上回り、現場の営業利益率は17%に達する。
不動産関連は札幌のサブリースに加え、グループの出店を支える仲介・管理契約が増える。ただし賃料と取得費は発生するため、全社本社費も膨らむ。強い収益性を維持して新店へ利益を再投資し、親会社からの資金支援に依存しない会社へ生まれ変わる。
- パーソナルトレーニング事業:数量 195(直営換算店舗数(直営1店+FC店0.15店の期末店舗数))× 価格 0.39(直営換算1店当たり年間売上(億円/店、指導料・会費・FC収入を含む))→ 売上 76 億円・営業利益 13 億円。直営換算195店×平均売上0.390億円。2025年の87.1店との対比に出店・閉鎖・FC比率を反映。
- 不動産関連事業:数量 4.0(札幌サブリースを基礎とする稼働物件・仲介案件の年換算拠点数(推定))× 価格 0.80(1拠点換算当たり年売上(億円、賃料・仲介手数料を含む))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。サブリース・仲介の年換算稼働拠点数と手数料。2025年起点1拠点からの増減は会社公表件数ではなく推定。
倍率:2035年の自己資本35.05億円、純利益6.20億円、ROE17.69%。k10.25%、弱い堀による超過利益残存3分の1でRONIC12.73%、2035年より先の名目g2%とし、正当化PER=(1-g÷RONIC)÷(k-g)=10.22倍。中立以上では上限そのものを採用し、市場倍率を使わない。年次利益の累計34.67億円から期間還元0.45億円を引き、開始自己資本0.83億円から期末自己資本を構築した。
確率:中期計画を超える店舗展開と高い新店投資収益率が持続するには、対面指導の強みが価格競争に勝つ必要がある。実績の連続性はまだ弱いため一割にとどめる。
やや楽観 18% 出店計画達成後も緩やかに拡大 利益 3 億円 · PER 10.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 409 円35 億円
2028年までに会社計画に近い出店と営業黒字の拡大を達成する。その後は大都市周辺にFCと直営の複合店を増やし、2035年には直営換算160店に届く。1店当たりの売上は新コース定着と物価の上昇、ピラティスの稼働改善で着実に伸びる。
競合の新店展開で顧客獲得単価は下がりきらないが、NOVAグループと共同で広告・店舗立地を選び、無理な遠隔地出店は控える。仕事を辞めて独立する優秀なトレーナーは現れるものの、採用と育成が追いつく範囲で成長できる。現場の営業利益率は14.5%まで戻り、2025年までの赤字経営から脱する。
不動産の管理・サブリースは着実に契約を増やすが、仲介手数料は固定収益と見なさない。店舗投資と借入返済を優先するため配当は限定的で、株主価値の中心は2035年の継続利益に残る。新たな大型買収を行わなくても会社として価値を育てられる筋書きである。
- パーソナルトレーニング事業:数量 160(直営換算店舗数(直営1店+FC店0.15店の期末店舗数))× 価格 0.35(直営換算1店当たり年間売上(億円/店、指導料・会費・FC収入を含む))→ 売上 56 億円・営業利益 8 億円。直営換算160店×平均売上0.350億円。2025年の87.1店との対比に出店・閉鎖・FC比率を反映。
- 不動産関連事業:数量 3.0(札幌サブリースを基礎とする稼働物件・仲介案件の年換算拠点数(推定))× 価格 0.78(1拠点換算当たり年売上(億円、賃料・仲介手数料を含む))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。サブリース・仲介の年換算稼働拠点数と手数料。2025年起点1拠点からの増減は会社公表件数ではなく推定。
倍率:2035年の自己資本20.43億円、純利益3.28億円、ROE16.05%。k10.25%、弱い堀による超過利益残存3分の1でRONIC12.18%、2035年より先の名目g2%とし、正当化PER=(1-g÷RONIC)÷(k-g)=10.13倍。中立以上では上限そのものを採用し、市場倍率を使わない。年次利益の累計19.95億円から期間還元0.35億円を引き、開始自己資本0.83億円から期末自己資本を構築した。
確率:新コースによる会員増加とピラティス併設の効果は見えているが、FCを増やしながら品質を保ち続けるのは難しいため、上振れの中ではこの筋書きを厚めにする。
中立 29% 黒字化するが堀は薄いまま 利益 2 億円 · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 181 円15 億円
2026年の月次黒字は年次でも定着し、2028年の計画に近い規模まで店舗網を組み替える。しかし直営店のFCへの譲渡や不採算店の閉鎖もあり、実際の売上は店の看板の数ほど増えない。2035年の直営換算店数は132となり、Workout単独よりピラティス併設と複合店の比率が増える。
会社の認知度と現場の接客は維持できるが、かたぎり塾・BEYOND・24時間型ジムとの比較は日常になる。指導料にはCPIを超える値上げ力がなく、名目店舗当たり売上の伸びには新業態への転換による稼働率改善が必要である。現場の営業利益率は13.5%まで回復するが、本社費と店舗更新、賃借の固定負担が残る。
不動産関連の利益は小さく続くものの、大きな資産価値としては期待できない。純利益は約1.5億円まで回復し、利益の大半は借入返済と設備・閉鎖費への備えに回る。事業は十年後も残るが、顧客が離れない強い堀は形成されず、資本コストを少し上回る程度の企業になる。
- パーソナルトレーニング事業:数量 132(直営換算店舗数(直営1店+FC店0.15店の期末店舗数))× 価格 0.32(直営換算1店当たり年間売上(億円/店、指導料・会費・FC収入を含む))→ 売上 42 億円・営業利益 6 億円。直営換算132店×平均売上0.315億円。2025年の87.1店との対比に出店・閉鎖・FC比率を反映。
- 不動産関連事業:数量 2.0(札幌サブリースを基礎とする稼働物件・仲介案件の年換算拠点数(推定))× 価格 0.72(1拠点換算当たり年売上(億円、賃料・仲介手数料を含む))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。サブリース・仲介の年換算稼働拠点数と手数料。2025年起点1拠点からの増減は会社公表件数ではなく推定。
倍率:2035年の自己資本11.42億円、純利益1.54億円、ROE13.49%。k10.25%、弱い堀による超過利益残存3分の1でRONIC11.33%、2035年より先の名目g2%とし、正当化PER=(1-g÷RONIC)÷(k-g)=9.98倍。中立以上では上限そのものを採用し、市場倍率を使わない。年次利益の累計10.79億円から期間還元0.20億円を引き、開始自己資本0.83億円から期末自己資本を構築した。
確率:2026年の回復と2028年の新業態出店の一部成功を認める中心見込み。競争で料金を強く上げられず、本社費と設備更新が営業利益を圧迫する。
やや悲観 27% 客単価と本社費の壁で停滞 利益 0 億円 · PER 7.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 12 円1 億円
低価格で会員は維持できるが、入会金や指導料の値上げは定着しない。複合店は出店のうち一部で稼働が遅れ、採算の悪いWorkoutの直営店をFCに切り替える。看板の数は大幅に減らないものの、直営換算店数は99にとどまり、店舗当たり売上も十年のCPI上昇に届かない。
利用者の運動メニューはAIや低料金アプリで簡単に作れるようになり、指導員との対面の時間にだけ料金を払う顧客が増える。経験者のトレーナー確保には賃金が要り、広告出稿を減らすと新規会員が細る。現場は薄い黒字でも、持株会社費用を支払った全社の営業利益はほぼ消える。
不動産関連は既存物件を中心に収支を保つが、仲介拡大はできない。財務再建に利益を優先しても十年の累積利益は小さく、株主優待以外に還元する余裕はない。事業継続は可能でも再投資利回りは資本コスト以下で、事業を拡大することが株主の得にならない。
- パーソナルトレーニング事業:数量 99.0(直営換算店舗数(直営1店+FC店0.15店の期末店舗数))× 価格 0.28(直営換算1店当たり年間売上(億円/店、指導料・会費・FC収入を含む))→ 売上 28 億円・営業利益 3 億円。直営換算99店×平均売上0.280億円。2025年の87.1店との対比に出店・閉鎖・FC比率を反映。
- 不動産関連事業:数量 1.0(札幌サブリースを基礎とする稼働物件・仲介案件の年換算拠点数(推定))× 価格 0.68(1拠点換算当たり年売上(億円、賃料・仲介手数料を含む))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。サブリース・仲介の年換算稼働拠点数と手数料。2025年起点1拠点からの増減は会社公表件数ではなく推定。
倍率:純利益0.14億円÷自己資本4.01億円のROE3.5%は資本コスト10.25%未満。稼ぐ力の上限1÷k=9.76倍より低い7.0倍を、FC転換後に再投資しても付加価値が増えない低収益と家賃・維持投資の不確かさから採用。利益累計3.30億円、還元0.12億円で自己資本を流す。悲観側の上限は利益÷k=1.37億円と売却可能資産の床0.83億円の大きい方であり、時価総額0.98億円はその範囲内。
確率:新コース導入で値下げが先行し、2026年の直営店数も増えていない。支配株主への財務依存が続き、低利益率から抜け出せない可能性を厚めに評価する。
悲観 16% 店舗縮小と資産損失で再び赤字 利益 −3 億円 · PBR 1.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 10 円1 億円
2028年ごろまでは一時的に利益回復が進むが、安売りの競合とトレーナー離職で既存店の会員が減り始める。負担の重い大型店の賃料と設備更新は残り、閉鎖店舗の原状回復費用がさらに資金を奪う。2035年の直営換算店数は65に減り、1店当たり売上は名目でも2025年を下回る。
Workoutのブランド知名度は残っても、顧客が新しい店へ流れ、集客広告の効き目が薄くなる。AIによる情報支援の無料化は自社の対面指導をすべて消すわけではないが、継続課金の付加価値を削る。不動産子会社でもサブリース契約の入替えや物件の減損が起き、持株会社費用を削っても営業赤字が続く。
継続企業の前提に関する重要事象が顕在化し、資金調達は親会社の支援に頼る。十年の前半に得た利益は後半の損失で大部分失われる。清算なら現金の多くは前受金や借入返済、退去費に充てられるため、株主には最低限の売却可能資産しか残らない。新たな大量増資が必要なら、この筋書きの持分価値はさらに下振れる。
- パーソナルトレーニング事業:数量 65.0(直営換算店舗数(直営1店+FC店0.15店の期末店舗数))× 価格 0.21(直営換算1店当たり年間売上(億円/店、指導料・会費・FC収入を含む))→ 売上 13 億円・営業利益 −1 億円。直営換算65店×平均売上0.205億円。2025年の87.1店との対比に出店・閉鎖・FC比率を反映。
- 不動産関連事業:数量 1.0(札幌サブリースを基礎とする稼働物件・仲介案件の年換算拠点数(推定))× 価格 0.50(1拠点換算当たり年売上(億円、賃料・仲介手数料を含む))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。サブリース・仲介の年換算稼働拠点数と手数料。2025年起点1拠点からの増減は会社公表件数ではなく推定。
倍率:2035年の営業・純損失が続くためPERは適用しない。倍率の分母は将来まで積み上げた自己資本0.50億円でなく、2025年11月期の株主資本0.83053億円を用いる。これにPBR1.00倍を掛けると時価総額約0.83億円となる。独立した資産点検でも、2026年8月末の株主資本0.573億円からのれん0.087億円を除き、FC移管による簿価外の引継ぎ対価0.34億円を仮定すると残余は約0.83億円となる。これは支援が続く条件付きの売却可能資産評価であり、純現金約4.60億円が少数株主へ返るという意味ではない。2035年の自己資本0.50億円は期首0.83億円に純損失累計0.23億円と株主優待等の還元0.10億円を反映している。
確率:自己資本が極端に薄い状態で新店投資を続けるため、広告効率の悪化や設備の減損が重なれば再建が頓挫する。親会社支援が続いても既存株主の経済価値は乏しくなる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
パーソナルトレーニング事業
24/7Workout、24/7Pilates、24/7FiT、24/7SPORTS CLUBの指導料・会費と加盟店収入。人の実地指導と施設利用が売り物である。
| 数量直営換算店舗数(直営1店+FC店0.15店の期末店舗数) | 価格直営換算1店当たり年間売上(億円/店、指導料・会費・FC収入を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 87.1 | 0.23 | 20 | −1 |
| 10 年後 中立 | 132 | 0.32 | 42 | 6 |
取り方:会社の2026年2月26日事業計画15~16頁に2025年11月末直営85店・FC14店の計99店、2025年11月期フィットネス事業売上2,044,006千円・営業損失61,846千円が開示されている。FC収入を直営の15%相当とする未開示の推定により、85+14×0.15=87.1店相当、20.44006÷87.1=0.234674億円/店・年と算定。2025年1月に旧1回13,475円から新コース9,500円から/月額33,000円からへ移行。価格は指導単価と稼働率・新業態比率の合成値で、単純な料金表とは異なる。2026年8月末は直営82・FC15=97店、9か月外部売上17.45465億円。AIエージェント代替の指定型(SI・BPO・席課金SaaS等)に該当せず、対面で姿勢を補助する体のサービスである。ただしAIによるメニュー・食事指導の無料化の圧力は値決め力に含める。
不動産関連事業
札幌のスポーツクラブ物件でのサブリースと、不動産売買・賃貸の仲介及び管理手数料。
| 数量札幌サブリースを基礎とする稼働物件・仲介案件の年換算拠点数(推定) | 価格1拠点換算当たり年売上(億円、賃料・仲介手数料を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 1.0 | 0.51 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.0 | 0.72 | 1 | 0 |
取り方:2025年6月に買収した札幌のサブリース物件を起点の1拠点換算とし、同年11月に始めたエージェント仲介収入を含め、2025年11月期不動産売上51,426千円・セグメント利益15,954千円を計上。契約件数・稼働面積・賃料単価は非開示のため、1拠点換算当たりの推定年商で示す。2026年8月まで9か月の同セグメント外部売上は0.93625億円、内部売上を含む計上額は0.96949億円。AIは仲介書類の効率化要因だが、実地物件管理・宅建業の法令対応を含む成果報酬型であり、席課金・人月・情報販売の直接代替型ではない。
リスクと懸念
固定家賃と資金繰り
テナントに払う賃料と原状回復の約束は、会員が来なくなっても直ちには消えない。2026年8月末の現預金約5.56億円に対し、借入約3.55億円、会員等からの前受金約2.38億円、資産除去債務約2.82億円がある。差引現金を全額自由に使えると見るのは誤りで、改装や移転が重なると親会社借入への依存が増す。
収益の値決め力が乏しい
新コースは会員を取り込むために単価を引き下げており、かたぎり塾やBEYONDなど同じ体験を提供する競合が増えれば再値下げを迫られる。会員数が増えたとしても、1回当たり売上がインフレに追いつかなければ、トレーナーの賃金と賃料の上昇が増収の利点を相殺する。
親会社取引と新株による希薄化
いなよしキャピタルパートナーズとNOVAホールディングスが過半に相当する議決権を持ち、増資や親会社借入、店舗・物件の取引条件の公正さが重要になる。再建資金を優先して第三者割当が行われれば、会社全体の事業価値が増えても既存株主の取り分は減る。既存の最大2万株の業績連動予約権より、将来の資金調達の方が大きなリスクである。
新業態の投資回収と減損
24/7SPORTS CLUBはマシン・内装・駐車場を備え、従来の個室パーソナル店より初期投資が重い。中計は土地取得を含む出店投資を2026~2028年に合計15億円予定する。繁忙時間に利用が偏る場合、会員の継続率や営業黒字が良く見えても、建築費・利払い・撤退費まで含めた投下資本利益率は低くなる。
AIエージェント代替と顧客獲得
身体に触れる姿勢矯正と励ましは対面指導の価値として残るが、食事の記録、運動計画の作成、予約調整はAIエージェントや低価格アプリが代替しうる。人が提供する情報部分の値段には引下げ圧力がかかる。また広告制作や入札の自動化で参入者の集客が容易になれば、ジム間の獲得単価競争が激しくなる。
小規模不動産事業の逆ざや
サブリースでは、大家に払う賃料とテナントから受け取る賃料の期間や改定条件がずれる。札幌の一部建物だけに収入が集中するうえ、不動産売買の仲介手数料は毎年繰り返される保証がない。稼働が落ちると小さな売上が固定費を覆えず、買収した物件・土地の換金性にも不確実さが残る。
今後の分かれ目
- 2026年11月期の通期営業黒字と2027年11月期の営業利益約1.1億円が計画通り実現したら
- 月次の偶然ではなく固定費を超える稼ぎが定着した可能性が高まり、中立とやや楽観の営業利益率を見直す。ただし借入と出店投資後の現金残高を合わせて確認する。
- 既存Workout店のアクティブ会員数が伸びても1人当たり売上が下がり続けたら
- 値決め力の弱さが確認されたとみなし、直営換算1店当たり売上を下げる。楽観の確率を削り、やや悲観側を引き上げる。
- 2028年11月末133店を達成し、新規SPORTS CLUBの投資回収が短期間で確認できたら
- 店数だけでなく増分のROICが資本コストを上回った証拠となる。店の直営・FC構成を更新し、中立の数量と利益率を引き上げる。
- 親会社借入の増額や新株発行が店舗運営の資金不足を埋めるために必要になったら
- 事業価値の予測と別に既存株主のholder_shareを引き下げる。増資後の現金は会社価値に入れ、株式数が増えた効果を二重に差し引かない。
- ピラティス併設店の稼働率が改善せず、退去時の原状回復費と減損が増えたら
- 単位店舗当たり利益の回復が進まないとして、やや悲観と悲観の重みを増やす。帳簿の現金や敷金をそのまま株主価値の床にしない。
- FC化で直営店売上が減る一方、ロイヤルティと利益が増えたら
- 開店資本の節約という戦略の成果である。直営換算店舗の係数と本社費の節減実績を改め、稼ぐ力の持続期間を検証する。
見ておくもの
- Workoutのアクティブ会員数、来店頻度、会員1人当たり月次売上
- 直営・FC別の期末店舗数とSPORTS CLUB新店の採算
- 広告CPA、問合せから入会への転換率、退会率
- 親会社借入残高、現預金、前受金、資産除去債務と新株発行
- パーソナルトレーニング事業のセグメント利益と本社調整費
- 2028年中計の売上31.12億円・営業利益2.01億円達成度
- 株主優待の実際の使用原価と配当・自社株買いの開始
倍率と資本コストの決め方
2025年11月期の確定売上と店舗数を数量と価格に分け、2026年8月末の97店舗・9か月のセグメント利益で回復の方向を検算した。将来の直営換算店数を出店計画と競合の市場シェアから決め、CPIの上昇を店舗当たり売上側に一度だけ反映した。営業利益の調整では、2026年9か月の本社費を年換算した約3億円を起点にインフレと削減を考え、上向きの数字に合わせて消していない。中立のPERはROEとk10.25%、長期g2%、弱い堀の残存割合3分の1から得た正当化値であり、現値や過去の市場倍率を参照していない。将来の資金調達による追加希薄化は確定していないため算入せず、リスクに明記した。賃料は従来の営業費用に含め、将来の新リース会計基準でBSに負債を両建てしても二重控除しない。悲観側の資産下限は、2025年末の純現金4.60億円から2026年8月末に約2.00億円へ悪化したことと、純有利子負債に含まれない会員前受金・未払金・原状回復債務を吟味した。債務履行を伴う秩序ある縮小では純現金を株主が丸ごと回収できず、2026年8月末の株主資本からのれんを引いた0.486億円に、未開示で不確かなFC移管対価0.34億円を加えた条件付き残余約0.83億円を床とした。土地や敷金は既に帳簿にあり二重加算しない。悲観のPBRは将来の積み上げ純資産でなく2025年の株主資本0.83億円に掛けた。2026年10月15日開示の継続企業の前提の注記は「該当事項なし」だが、重要事象等と薄い株主資本を踏まえ、床は保証額ではない。
資本コスト 10.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 2.0%。長期国債3%と株式リスクプレミアム4.5%を基本に、循環+0.5%、値決め力+0.5%、純現金-0.25%、再建中の上乗せ2%で10.25%。親会社との利害は確率に反映し、追加上乗せしない。