結論
ウイルテックは製造現場の請負・派遣、技術者派遣、電子基板と照明器具の製造販売を束ねる企業である。筆者の結論は「割安」だ。人手を時間単位で売る事業には構造的な逆風があるが、工場で実物を作る仕事と特殊照明には10年後も需要が残り、厚い純現金が下振れを和らげる。現在の時価総額は約87億円であり、10年後の利益と期間中の還元を資本コストで割り引いた価値には、なお差がある。
ただし、売上の拡大と株主価値の増加を同一視してはいけない。2018年から売上は2倍以上になったが、営業利益率は直近でも約3%にすぎない。ホタルクスの照明や技術者育成に投じた資金が、長期に資本コストを上回る利益を生むかは、まだ証明されていない。会社は2035年に売上1,000億円、経常利益50億円を目指すが、これは買収や高付加価値への転換が進んだ場合の到達点として扱う。
中立では、製造派遣の人数がやや減り、機電・建設技術者とLEDの需要がそれを補う。IT技術者の単純な開発・試験はAIエージェントに置き換わり、数量は明確に縮む。それでも現場の生産管理、蓄電池保守、電子部品の実装は残り、10年後の営業利益は現在を上回ると考える。
期待価値と株価の差は約36%の割安側となる。ただしこの差は確実な利益ではない。蛍光ランプ終了後の在庫処理、派遣単価に対する賃上げ圧力、追加買収の成否によって価値が大きく変わる。安さだけでなく、営業利益率と投下資本利益率の改善を追い続ける必要がある。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主は、派遣売上の伸びよりも、1人の労働からどれだけ自由な現金が残るかを問う。人材業は設備投資が軽いように見えて、採用、研修、待機賃金が先に発生する。景気が落ちた時も社員を維持する経営は顧客と従業員の信頼を育てる一方、株主の取り分を圧迫する。営業利益率が低いまま売上だけ倍増する事業を、高収益の継続課金企業と同じようには評価できない。
この会社に買う価値のある実体がないわけではない。製造の品質管理、現地での施工と保守、空港の安全に関わる照明は、AIが書類を処理できるようになっても実物の責任が残る。設計・製造から保守までをつなぐ仕組みは、小さな堀の芽になる。しかし低い解約率や値上げによる粗利拡大が複数年続いた証拠がない以上、完成された堀とは呼べない。
最も厳しく見るべきは資本配分である。会社は高い売上目標を掲げているが、それを達成するために買収を急ぎ、薄利の売上を高値で積み増すなら、古い株主の価値は増えない。工場稼働率、現場の付加価値、現金の還元が同時に改善するかが重要だ。保有現金約38億円も、全額が明日配れるお金ではない。給与と材料の支払いを賄う資金を残して評価する。
本質価値は、現場の継続収益を慎重に見た10年後の利益と、その間に株主が受け取る配当などにある。現在の価格には割安さが認められるが、価値の実現にはEMSの改善と買収の規律が欠かせない。事業の質を見ずに資産だけを理由に長期保有するのは危うい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの第一の柱は工場の仕事を引き受ける製造請負・派遣である。2026年3月期の内部売上込みの売上は約124億円で、うち請負が約52億円、製造派遣が約72億円を占める。顧客の工場に人を配置し、生産の立ち上げ、品質管理、工程の改善を支える。契約人数と稼働率、顧客に請求する年額が収入を決めるが、採用費、待機中の賃金、社会保険料を負担するため利益幅は小さい。
第二の柱は約143億円の技術者派遣である。機械・電気系が約55億円、建設が約60億円、ITが約29億円と、同じ人材でも仕事の寿命が異なる。機械の試運転や建設現場の監督は現物に向き合う必要がある一方、ITの定型設計、プログラミング、テストはAIエージェントへの代替が進む。採用後の教育と稼働先の確保が採算を左右し、社員を増やすだけでは儲からない。
第三の柱は約171億円のEMSで、電子基板の設計・実装と部品販売が約36億円、ホタルクスなどの照明器具が約134億円である。電子基板は少量多品種の受託と部材の仕入れ販売を含み、単純な人月売上とは違う。照明は住宅向けLEDから工場・空港向けの特殊用途まで扱い、器具の出荷と納入価格で売上が決まる。蛍光ランプの生産終了は更新需要を呼ぶが、旧製品の収益は永続しない。
残る約22億円の社会サポートは蓄電池設備の保守、雇用支援、修理・再資源化などで、その他にも約3億円の収入がある。社会サポートでは現地作業とコールセンターの自動化リスクを分けて考える必要がある。公表された事業別の就業人数は請求可能な延べ稼働人数と一致しないため、数量と単価には推定を伴う。
優良さと弱いところ
競争上の強みは、採用から教育、工場での実務、設計・製造、保守までを社内でつなげる点にある。技術者を送り込むだけの会社と違い、顧客の工程を理解した人材を育てる場所を持つ。稼働率の改善と契約単価の見直しが2026年3月期の増益につながったことは、小さいながら値上げ実績である。顧客の工程ごと引き継ぐ請負は切り替えに手間が掛かるが、派遣そのものには独占権がなく、大手との人材獲得競争が続く。
製品側では、ホタルクスの空港向け航空機着陸誘導閃光装置が独特だ。安全性と保守実績が購入判断に効くため、汎用の家庭用照明より乗り換えにくい。会社は対象仕様で競争相手が少ないと説明するが、世界シェアや値上げ後の顧客維持率は示していない。したがって、会社全体を強い堀のある事業とは見なさない。蛍光灯からLEDへの移行も、一時的な数量増加と、その後の需要一巡を分けて考える。
資本効率はまだ平凡である。直近のROEは約10%だが、過去7年の中央値は約9%にとどまり、景気の谷では営業利益率が1%前後に落ちた。2020年から2026年の自己資本増加約25億円に対し、当期純利益の増分は約1億円で、単純な差分利回りは5%強にとどまる。これは厳密な増分ROICではないが、買収と内部投資が利益を十分に押し上げたとは言いにくい証拠だ。
一方、純現金は約38億円で、社員給与や部材在庫の変動に耐える力は強い。この資金を高い買収価格で使えば堀にはならず、資金が残るだけでも少数株主にすべて帰属するとは限らない。10年後の競争力は、売上高よりも稼働1人当たりの粗利、照明と基板の営業利益率、投資後の現金創出力で判定したい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の労働者派遣市場は厚生労働省の2024年度集計で売上約9兆9,005億円に達する。しかし製造派遣と技術者派遣を合わせても同社の売上は約215億円で、全派遣市場を分母とした規模感は約0.22%である。製造請負の約52億円は派遣統計の分母に含まれないため別扱いにする。テクノプロが示す技術者派遣市場の推定規模約2.7兆円に対しても、同社の技術者売上は約0.5%にすぎない。テクノプロ、BREXA、オープンアップ、メイテックなどの大手に比べて市場を左右する力は弱い。
需要には二つの方向がある。少子化と採用難で企業が外部の技術者を頼る必要は残るが、工場の自動化は配置人数を減らす。建設工事の施工管理、設備の保全、現地試験は人が残る一方、単純なIT開発、事務処理、コールセンターの処理件数はAIエージェントが直接奪う。会社自身も単純派遣と未経験者向け案件の縮小を認め、高付加価値の業務への移行を急いでいる。
照明は量産品と特殊品に分かれる。矢野経済研究所の国内照明器具市場は2025年約1兆910億円で、ホタルクス関連の売上を単純比較した規模感は約1.2%である。ただし市場と同社の製品範囲が一致せず、これは確定シェアではない。パナソニック、アイリスオーヤマ、東芝系など競合のある住宅・施設用照明は価格競争が厳しい。空港用特殊照明では仕様認証と納入実績が障壁になるが、全社売上への寄与は不明である。
電子基板については、JEITAの国内電子回路実装基板生産額約3,227億円が一つの比較対象になる。会社の約36億円は部品商社売上も含むため、単純に市場シェアとは呼べない。半導体製造装置向け需要や国内回帰は追い風だが、受注には在庫循環がある。蓄電池保守・修理の個別市場規模と同社シェアは一次資料では確認できず、社会サポートには産業用蓄電池の設置台数と保守契約率を追う。
資本政策と M&A
経営は2035年に売上高1,000億円、経常利益50億円、ROE15%以上を掲げている。公表する配当方針は連結配当性向30%を目安とし、安定配当を重視するものだ。DOE、総還元性向、自社株買いの年間額については、現時点で具体的な数字の約束はない。したがって長期計画の売上目標を、株主に帰属する利益の確約と読み替えない。
過去にはデバイス販売テクノ、ITのパートナー、照明のホタルクスなどを取り込み、人材事業への依存を下げてきた。2026年3月期は配当金支払約2.5億円と自己株式の取得約1.1億円があり、株主還元を放棄しているわけではない。だが買収と工場の設備更新後にもROICが資本コストを超えるか、案件別の検証は見えにくい。さらに買収先ののれんや旧型照明の在庫には減損・評価損の余地がある。
株主優待は保有株数に応じたQUOカードであり、長期保有条件もある。対象人数と保有区分別の実費が未開示のため、株主への10年還元には年間約0.25億円という暫定的な費用推定を含める。上位10名の持株比率は約72%と高いが、増配と自己株買いの実績があるため、余剰現金の株主への戻り方を機械的に半分とはしない。事業に必要な流動性を除いた現金だけを長期価値に算入する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社の見た目は地味でも、売上の大部分は画面操作だけでは済まない。工場での生産管理、機械の立ち上げ、建設現場、電子基板の実装と現物の保守には人と設備が要る。AIが設計補助や事務作業を短縮すれば、むしろ現地作業に時間を振り向け、1人当たりの生産性を上げられる。人材紹介だけの競合と違って、受託工場、研修、設計と保守を一体で提供できる点には差別化の余地がある。
照明のホタルクスは、一般住宅向けだけでなく工場用、直管LED、空港向け特殊品を持つ。2027年の蛍光ランプ生産終了は旧製品の衰退であると同時に、大規模な交換需要の起点となる。非住宅向けの販売比率を引き上げ、電子基板でも多品種少量の国内製造を増やせば、EMSの利益率を上げられる。2025年の新工場稼働と契約単価の見直しは、既に始まった施策である。
2035年に売上1,000億円と経常利益50億円を目指す経営計画は野心的だが、蓄電池保守や海外人材の採用も組み合わせれば射程に入る。既存顧客に部品の設計、製造、修理まで提案できれば、営業の獲得費用を薄められる。純現金を抱えるため不況期にも採用・研究と選別的な買収を続ける余地があり、増益と株主還元を両立できる。最上位の筋書きでは、事業の質が変わるほどの収益性向上を見込める。
慎重な見方
派遣会社の強みとされる人の集め方は、人口減少の局面では同時に弱点になる。賃金を上げなければ人が集まらず、顧客に請求する単価を同じ幅で上げられる保証はない。大手のテクノプロ、BREXA、オープンアップ、メイテックに比べて同社のシェアは小さく、契約更改で主導権を握るとは限らない。製造請負の顧客が海外移転やロボット導入を進めれば、人数と稼働時間の両方が削られる。
IT技術者派遣には、さらに明瞭な構造変化がある。定型コード作成、テスト、資料作成はAIエージェントが置き換え、工数の減少がそのまま請求数量を縮める。会社自身が単純派遣と未経験者向け案件の市場縮小を認めており、これを成長市場とみなす根拠は乏しい。コールセンターや雇用支援も同じ圧力を受ける。従業員を再教育できなければ、単価の高い仕事に転じる前に賃金負担が残る。
EMSも必ずしも安全ではない。蛍光ランプは2027年に生産を終え、LED交換需要が一巡した後は価格競争が強まる。工場の設備投資は需要を読み違えれば減価償却と在庫処分の重荷になる。2018年から売上が大きく伸びても、利益がほとんど増えなかった事実は見逃せない。買収を重ねても追加の株主価値が生まれず、支配株主が残余現金を十分に還元しないなら、帳簿資産の価値をそのまま買い手は受け取れない。
どちらに重みを置いたか
実物を扱う事業と純現金の厚さは強みだが、全社の値決め力と増分資本効率は十分に証明されていない。下に寄せる理由は、2026年にIT派遣が減収となったこと、蛍光ランプの生産終了、増収の割に薄い営業利益である。楽観側25%に対して、やや悲観と悲観を合計41%とする。ただしITのAI代替は中立の人数減少と10年より先の成長率に織り込んでおり、同じ理由で資本コストを上げたり確率を重ねて引いたりはしない。上振れは特殊照明の高付加価値化と買収の成功に限る。慎重さを優先しても現在価値は時価総額を上回り、割安という結論になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 3,537 円224 億円(+ 還元の換算額還元の合計 663 円42 億円)。 今の値に割り戻すと 2,047 円130 億円、今との差 +52.1%、 期待の年率 +13.5%(資本コスト 8.3%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 10,998 円698 億円 | 1,418 円90 億円 | +822.5% | +28.0% | 993 円63 億円 |
| やや楽観 | 17% | 5,844 円371 億円 | 985 円63 億円 | +407.3% | +19.9% | 1,161 円74 億円 |
| 中立 | 34% | 3,489 円221 億円 | 654 円42 億円 | +207.8% | +13.4% | 1,409 円89 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,392 円88 億円 | 425 円27 億円 | +35.0% | +3.5% | 454 円29 億円 |
| 悲観 | 16% | 807 円51 億円 | 335 円21 億円 | −15.2% | −1.9% | 183 円12 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,537 円224 億円 | 663 円42 億円 | +212.0% | +13.5% | 4,200 円267 億円 |
今の株価時価総額 1,346 円85 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 高付加価値への転換が計画に追いつく 利益 47 億円 · PER 13.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 10,998 円698 億円
現場型サービスとメーカー機能の組み合わせが定着し、2035年の売上1,000億円目標がほぼ実現する。製造請負は量産工場の自動化で安価な仕事が減る一方、工程移管・立ち上げ・品質管理を一体で受け、稼働延べ人数が増える。機電と建設では育成した技術者が高単価案件を獲得し、採用費に対する稼働率も改善する。ITではAIエージェントによって定型開発の仕事が減るが、高度な統合業務への転換が成功し、人数の落ち込みは小幅にとどまる。
電子基板は新工場の稼働が順調で、少量多品種の国内回帰需要を獲得する。ホタルクスは非住宅LEDと空港向け特殊照明の採用を増やし、蛍光管の終了を乗り越えて高い製品利益率を得る。蓄電池の点検・修理も契約を積み上げる。買収先の統合と在庫管理がうまく進み、営業利益率は過去の山を超える。増益だけでなく配当・自社株買いも厚くし、追加投資の利回りが資本コストを十分上回る。
- 製造請負・製造派遣:数量 3,600(製造領域の就業人数・臨時平均の合計(人年相当、稼働者の代理))× 価格 0.07(1人年当たりのセグメント売上(億円、名目))→ 売上 234 億円・営業利益 14 億円。製造管理の受託増で人数を拡大
- 機電・建設技術者派遣:数量 2,850(機電・建設に配賦した就業人数(人年相当、推定))× 価格 0.08(1人年当たりの契約売上(億円、名目))→ 売上 239 億円・営業利益 18 億円。高付加価値の施工と設計で大幅増
- IT技術者派遣・受託開発:数量 480(IT部門に配賦した稼働人数(人年相当、推定))× 価格 0.08(1人年当たりのIT派遣・受託売上(億円、名目))→ 売上 37 億円・営業利益 2 億円。AI代替を高度IT案件でほぼ相殺、人数は現状以下
- 電子回路実装・電子部品販売:数量 510(年間取引ロット数(件、基板実装と商流を束ねた未開示の推定))× 価格 0.19(混合取引ロット当たり売上(億円、名目))→ 売上 94 億円・営業利益 8 億円。工場増設と少量多品種受注の取り込み
- ホタルクス等の照明器具・特殊照明:数量 430(住宅LED価格換算の出荷万台(実販売台数ではない))× 価格 0.76(換算万台当たり売上(億円、名目))→ 売上 327 億円・営業利益 25 億円。非住宅・空港向けの販路拡大と単価改善
- 社会サポート・蓄電池保守等:数量 370(当該部門の就業人数(人年相当、収入の代理))× 価格 0.17(1人年当たりの役務・部品込み収入(億円、名目))→ 売上 63 億円・営業利益 6 億円。蓄電池の保守契約増加
- その他・教育等:数量 75.0(その他部門の就業人数(人年相当、代理))× 価格 0.06(1人年当たり事業収入(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。教育関連の先行費用を一部圧縮
倍率:資本コストk8.25%、10年後の事業ROE17.7%、堀が普通で残る割合1/2のRONIC13.0%、10年より先の名目成長g2%から、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.532倍とする。10年後の純利益46.84億円から余剰現金12億円の税後利息0.168億円を除いた事業利益に掛け、余剰現金の株主還元期待9億円を加える。市場倍率による調整はしない。
確率:2035年の売上1,000億円という経営目標に届き、現場の稼働とLED特殊品の拡販、工場投資とM&Aの回収が同時に進む条件は厳しいため、成功確率を8%に絞る。
やや楽観 17% 現場の育成力と照明の新商品が着実に効く 利益 25 億円 · PER 13.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,844 円371 億円
製造派遣では採用費が高止まりするものの、既存工場での工程管理、設備据付、品質改善への比重が増え、価格改定が賃上げに追いつく。機電・建設の教育投資が回収期に入り、技術者の稼働人数と平均料金が増える。ITの開発人月はAIエージェントで減るが、上流設計やセキュリティの仕事を一部取り込み、減少率は中立より浅い。
蛍光ランプ生産終了に伴う交換需要をきっかけに、ホタルクスが工場・施設向けLEDと特殊照明を拡販する。電子基板の工場は固定費を吸収できる稼働率を確保し、社会サポートの現地保守も増える。新規の大型買収をしなくても製造・教育・保守を顧客にまとめて提案でき、社内の重複費用を減らせる。2035年の高い売上目標は達成しないが、利益率は改善し、株主還元を維持する。
- 製造請負・製造派遣:数量 2,900(製造領域の就業人数・臨時平均の合計(人年相当、稼働者の代理))× 価格 0.06(1人年当たりのセグメント売上(億円、名目))→ 売上 186 億円・営業利益 9 億円。稼働率改善が賃金高を吸収
- 機電・建設技術者派遣:数量 2,350(機電・建設に配賦した就業人数(人年相当、推定))× 価格 0.08(1人年当たりの契約売上(億円、名目))→ 売上 188 億円・営業利益 12 億円。案件単価と派遣人数の緩やかな上昇
- IT技術者派遣・受託開発:数量 380(IT部門に配賦した稼働人数(人年相当、推定))× 価格 0.08(1人年当たりのIT派遣・受託売上(億円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。人月減少はAI代替型の上位寄り
- 電子回路実装・電子部品販売:数量 400(年間取引ロット数(件、基板実装と商流を束ねた未開示の推定))× 価格 0.17(混合取引ロット当たり売上(億円、名目))→ 売上 66 億円・営業利益 4 億円。国内回帰と新工場の定着
- ホタルクス等の照明器具・特殊照明:数量 300(住宅LED価格換算の出荷万台(実販売台数ではない))× 価格 0.72(換算万台当たり売上(億円、名目))→ 売上 216 億円・営業利益 10 億円。蛍光管終了をLED新商品で補う
- 社会サポート・蓄電池保守等:数量 275(当該部門の就業人数(人年相当、収入の代理))× 価格 0.16(1人年当たりの役務・部品込み収入(億円、名目))→ 売上 43 億円・営業利益 3 億円。現地保守と修理の件数が増える
- その他・教育等:数量 72.0(その他部門の就業人数(人年相当、代理))× 価格 0.06(1人年当たり事業収入(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。赤字は徐々に縮む
倍率:資本コストk8.25%、10年後の事業ROE13.6%、堀が普通で残る割合1/2のRONIC10.9%、10年より先の名目成長g2%から、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.075倍とする。10年後の純利益25.05億円から余剰現金12億円の税後利息0.168億円を除いた事業利益に掛け、余剰現金の株主還元期待9億円を加える。市場倍率による調整はしない。
確率:研修成果と高単価案件の拡大は実績で確認できるが、照明製造と基板の利益率改善が10年続くには新工場と販売網の運営が必要で、確率を17%とする。
中立 34% 工場と照明は残り、IT人月は細る 利益 15 億円 · PER 12.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,489 円221 億円
国内の製造業は人手不足と自動化が並走する。ウイルテックの製造領域の就業人数は10年で約6%減るが、請負工程の複雑化と賃金上昇を契約料金へある程度転嫁できる。機電・建設技術者は現地の試験と施工管理が必要で、小幅に人数を増やす。これに対してIT技術者の定型開発はAIエージェント代替によって人月が約3分の2に縮み、請求単価も物価を下回る伸びにとどまる。
電子基板では新工場が平均的な稼働率に落ち着き、受注の山谷を経ながらも少量多品種の国内需要を取る。ホタルクスは蛍光ランプを失うが、住宅用LED、工場用照明、空港向け特殊品で主な売上を維持する。蓄電池保守は増える一方、事務系の雇用支援は縮む。営業利益率は約3%台半ばとなり、2035年の1,000億円計画には届かない。追加買収の利益寄与は保守的に扱い、通常の配当と限定的な自社株買いが続く。
- 製造請負・製造派遣:数量 2,500(製造領域の就業人数・臨時平均の合計(人年相当、稼働者の代理))× 価格 0.06(1人年当たりのセグメント売上(億円、名目))→ 売上 152 億円・営業利益 6 億円。人数約0.94倍、単価は物価程度
- 機電・建設技術者派遣:数量 2,050(機電・建設に配賦した就業人数(人年相当、推定))× 価格 0.08(1人年当たりの契約売上(億円、名目))→ 売上 159 億円・営業利益 9 億円。人数約1.05倍、単価は物価に近い伸び
- IT技術者派遣・受託開発:数量 320(IT部門に配賦した稼働人数(人年相当、推定))× 価格 0.07(1人年当たりのIT派遣・受託売上(億円、名目))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。AI代替で人数0.65倍、単価1.25倍
- 電子回路実装・電子部品販売:数量 340(年間取引ロット数(件、基板実装と商流を束ねた未開示の推定))× 価格 0.16(混合取引ロット当たり売上(億円、名目))→ 売上 53 億円・営業利益 2 億円。基板ロット微増、価格は部品構成の変化込み
- ホタルクス等の照明器具・特殊照明:数量 255(住宅LED価格換算の出荷万台(実販売台数ではない))× 価格 0.68(換算万台当たり売上(億円、名目))→ 売上 173 億円・営業利益 6 億円。実質換算数量は概ね横ばい、LEDへの切替
- 社会サポート・蓄電池保守等:数量 220(当該部門の就業人数(人年相当、収入の代理))× 価格 0.15(1人年当たりの役務・部品込み収入(億円、名目))→ 売上 33 億円・営業利益 2 億円。現地業務増とBPO縮小の純額
- その他・教育等:数量 50.0(その他部門の就業人数(人年相当、代理))× 価格 0.05(1人年当たり事業収入(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人月研修の縮小で数量減
倍率:資本コストk8.25%、10年後の事業ROE9.6%、堀が普通で残る割合1/2のRONIC8.9%、10年より先の名目成長g2%から、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.410倍とする。10年後の純利益14.71億円から余剰現金12億円の税後利息0.168億円を除いた事業利益に掛け、余剰現金の株主還元期待9億円を加える。市場倍率による調整はしない。
確率:主力の物理的な製造・建設需要は残る一方、情報系技術者のAI代替と住宅照明の価格競争は避けにくい。双方を同時に反映する中心を34%とする。
やや悲観 25% 採用と価格の両面が厳しくなる 利益 6 億円 · PER 11.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,392 円88 億円
電子機器の生産拠点が海外に移り、国内工場では省人化が進む。製造請負の配置人数が減り、契約料金も賃金ほど引き上げられない。機電・建設の技術者には需要が残るが、大手派遣会社との採用競争で高単価の案件を取り切れない。IT人月の数量は現在の半分ほどになり、AIエージェントが成果を出すほど人を送り込む価値が下がる。
ホタルクスは蛍光ランプの在庫処理を迫られ、汎用LEDは価格競争で利幅が縮む。電子基板も顧客の設備投資循環に巻き込まれ、新工場の固定費が重荷になる。社会サポートの現地保守は残るが、コールセンター業務は自動化される。営業利益は現状を下回り、配当は当初維持しても追加の自己株買いは小さくなる。純現金と換金可能資産が下支えになるものの、事業が資本コストを稼げない状態が長引く。
- 製造請負・製造派遣:数量 2,200(製造領域の就業人数・臨時平均の合計(人年相当、稼働者の代理))× 価格 0.06(1人年当たりのセグメント売上(億円、名目))→ 売上 128 億円・営業利益 3 億円。製造業の省人化と弱い値上げ
- 機電・建設技術者派遣:数量 1,750(機電・建設に配賦した就業人数(人年相当、推定))× 価格 0.07(1人年当たりの契約売上(億円、名目))→ 売上 123 億円・営業利益 4 億円。建設・機電の採用競争で人数減
- IT技術者派遣・受託開発:数量 260(IT部門に配賦した稼働人数(人年相当、推定))× 価格 0.06(1人年当たりのIT派遣・受託売上(億円、名目))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。AI代替で人数約0.53倍
- 電子回路実装・電子部品販売:数量 300(年間取引ロット数(件、基板実装と商流を束ねた未開示の推定))× 価格 0.13(混合取引ロット当たり売上(億円、名目))→ 売上 39 億円・営業利益 0 億円。設備稼働率が下がり粗利低下
- ホタルクス等の照明器具・特殊照明:数量 240(住宅LED価格換算の出荷万台(実販売台数ではない))× 価格 0.60(換算万台当たり売上(億円、名目))→ 売上 144 億円・営業利益 3 億円。汎用LEDの価格競争
- 社会サポート・蓄電池保守等:数量 200(当該部門の就業人数(人年相当、収入の代理))× 価格 0.13(1人年当たりの役務・部品込み収入(億円、名目))→ 売上 25 億円・営業利益 1 億円。コールセンター収益が減り保守が支える
- その他・教育等:数量 48.0(その他部門の就業人数(人年相当、代理))× 価格 0.05(1人年当たり事業収入(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人材教育費の固定化
倍率:10年後の全社ROEは4.2%と資本コスト8.25%に届かない。成長プレミアムを認めず、PERの上限1÷k=12.12倍を超えない11.50倍とし、10年後の純利益5.55億円から余剰現金9.0億円の税後利息1.4%を除き、その現金の75%を加える。現在の換金可能資産の慎重な床49.5億円も下回らず、全社時価総額69.13億円となる。
確率:下に寄せる理由:IT案件の減収と蛍光灯終了がすでに開示され、採用難と価格交渉の不均衡が重なれば工場稼働率が弱まる。AIによる既定の減少を確率で二重計上せず、景気と資本配分の不確実性を25%とする。
悲観 16% 広い分野で競争力を失うが現物資産は残る 利益 4 億円 · PER 11.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 807 円51 億円
主要顧客が国内生産量を縮小し、現場ではロボット導入と派遣契約の縮減が重なる。請負の仕事も工程単位の価格入札が増え、賃上げを請求単価へ転嫁できない。機電・建設では人材流出が起き、教育投資の回収が難しくなる。IT技術者派遣の人月は現在の約4割まで減り、単純な開発とテストはAIエージェントに置き換えられる。
ホタルクスでは蛍光ランプ終了後の買い替え需要が一巡し、量販LEDの価格競争が激しくなる。空港の特殊照明は残るが、会社全体を支えられる規模ではない。電子基板事業は新工場の固定費負担と仕入れ在庫の評価損に苦しむ。買収の一部が減損対象となり、配当は途中で減額される。売上は現在を3割弱下回り、それでも保守・基板製造・現場要員の一部から利益が残る。金融債務が小さいため破綻は前提とせず、残る純現金と売れる資産を株主価値の床として扱う。
- 製造請負・製造派遣:数量 1,650(製造領域の就業人数・臨時平均の合計(人年相当、稼働者の代理))× 価格 0.05(1人年当たりのセグメント売上(億円、名目))→ 売上 89 億円・営業利益 2 億円。顧客工場の国内稼働減と価格競争
- 機電・建設技術者派遣:数量 1,400(機電・建設に配賦した就業人数(人年相当、推定))× 価格 0.06(1人年当たりの契約売上(億円、名目))→ 売上 90 億円・営業利益 4 億円。人材流出と採用費の継続
- IT技術者派遣・受託開発:数量 190(IT部門に配賦した稼働人数(人年相当、推定))× 価格 0.05(1人年当たりのIT派遣・受託売上(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。AI代替で人数約0.39倍
- 電子回路実装・電子部品販売:数量 240(年間取引ロット数(件、基板実装と商流を束ねた未開示の推定))× 価格 0.11(混合取引ロット当たり売上(億円、名目))→ 売上 26 億円・営業利益 1 億円。基板設備の稼働率低下と在庫負担
- ホタルクス等の照明器具・特殊照明:数量 180(住宅LED価格換算の出荷万台(実販売台数ではない))× 価格 0.53(換算万台当たり売上(億円、名目))→ 売上 95 億円・営業利益 3 億円。蛍光管終息後の買替え需要の反動
- 社会サポート・蓄電池保守等:数量 170(当該部門の就業人数(人年相当、収入の代理))× 価格 0.11(1人年当たりの役務・部品込み収入(億円、名目))→ 売上 19 億円・営業利益 0 億円。蓄電池の現地保守は残る
- その他・教育等:数量 40.0(その他部門の就業人数(人年相当、代理))× 価格 0.05(1人年当たり事業収入(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。教育・支援の費用超過
倍率:10年後の全社ROEは3.1%と資本コスト8.25%に届かない。成長プレミアムを認めず、PERの上限1÷k=12.12倍を超えない11.60倍とし、10年後の純利益4.11億円から余剰現金6.0億円の税後利息1.4%を除き、その現金の75%を加える。現在の換金可能資産の慎重な床49.5億円も下回らず、全社時価総額51.20億円となる。
確率:下に寄せる理由:EMSの設備・在庫投資と製造顧客の需要減が同時に失敗する複合的な事態は通常ではないが、売上拡大の割に薄い過去の営業利益と支配株主への資本集中を踏まえ、16%を割り当てる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
製造請負・製造派遣
顧客工場の製造請負と製造派遣。請負比率と稼働率が1人当たり粗利を左右する。
| 数量製造領域の就業人数・臨時平均の合計(人年相当、稼働者の代理) | 価格1人年当たりのセグメント売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,652 | 0.05 | 124 | 5 |
| 10 年後 中立 | 2,500 | 0.06 | 152 | 6 |
取り方:2026/03決算の製造請負51.73億円、製造派遣71.92億円を合算。EDINET有報の正社員1850人と臨時雇用の年間平均802人を足した2652人を稼働人年の代理にし、売上を割って466万円/人年とした。管理・非請求人数を含むため実売上単価ではない。厚労省の2024年度派遣市場9兆9005億円のうち派遣71.92億円だけが比較可能。中立10年の人数は2500人、料金は現場技能維持に応じて物価並みの上昇。参照:https://www.mhlw.go.jp/content/001684019.pdf
機電・建設技術者派遣
機械・電気技術者と施工管理等の技術者を派遣する、物理的な現場作業を中心とした領域。
| 数量機電・建設に配賦した就業人数(人年相当、推定) | 価格1人年当たりの契約売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,957 | 0.06 | 114 | 6 |
| 10 年後 中立 | 2,050 | 0.08 | 159 | 9 |
取り方:2026/03の機電54.54億円と建設59.64億円を合算した114.19億円。有報の技術者派遣2275人+臨時172人=2447人を同セグメントの売上比79.95%で配賦した約1957人で割る。実際の部門別人員と稼働率は未開示であり、請求単価とは異なる。テクノプロ開示の技術者派遣市場推定約2.7兆円を分母とすれば同社全技術者派遣は約0.5%で、大手からのシェア獲得を自明としない。参照:https://www.technoproholdings.com/group/market.html
IT技術者派遣・受託開発
ITシステムの開発・テストに関わる人月課金。AIエージェント代替の影響を強く受ける。
| 数量IT部門に配賦した稼働人数(人年相当、推定) | 価格1人年当たりのIT派遣・受託売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 490 | 0.06 | 29 | 1 |
| 10 年後 中立 | 320 | 0.07 | 23 | 0 |
取り方:技術者派遣のうちIT28.64億円。技術者派遣全体の就業人員2447人をIT売上構成比20.05%で配賦した490人から単価を逆算。人月契約数・実稼働率・契約単価そのものは未開示。AIエージェント代替の「人月・工数で売る型」を適用し、10年中立の数量は490→320人相当(0.65倍)、単価は0.05845→0.07306億円(1.25倍、物価1.34倍より低い)、10年以降の同部分の名目成長率は0%。成果報酬型への明確な売上開示がないため楽観でも数量は現状以下。
電子回路実装・電子部品販売
国内の少量多品種のプリント基板実装と部品の仕入れ販売。設備と在庫を要する製品売上である。
| 数量年間取引ロット数(件、基板実装と商流を束ねた未開示の推定) | 価格混合取引ロット当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 301 | 0.12 | 36 | 1 |
| 10 年後 中立 | 340 | 0.16 | 53 | 2 |
取り方:2026/03の電子部品製造・販売36.11億円。個別の基板枚数や取引件数は開示されないため、1ロット当たり1200万円という試算の取引束を仮設し、301ロットで表した。これは販売数量の測定値でなく数量と単価の感応度のための代理指標。JEITA公表の2025年電子回路実装基板生産額約3227億円に対し、当社売上は約1.1%の規模感だが部品流通売上を含むため実際の基板シェアではない。工場内製化・2025年新工場と装置投資の景気循環を数量に反映。参照:https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/electronic/2025/product_12.html
ホタルクス等の照明器具・特殊照明
住宅・非住宅向けLED、蛍光ランプ、空港用の安全性重視の特殊照明を設計・製造する。
| 数量住宅LED価格換算の出荷万台(実販売台数ではない) | 価格換算万台当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 264 | 0.51 | 134 | 3 |
| 10 年後 中立 | 255 | 0.68 | 173 | 6 |
取り方:2026/03照明器具製造・販売134.45億円。日本照明工業会の2025年住宅用LED出荷3114万台・1587.75億円から平均1台約5100円を算出し、全照明売上をこれで割ると約263.7万台相当となる。非住宅・空港の高単価品や蛍光ランプを含むため実台数・純粋な販売単価ではない。矢野経済研究所の国内照明器具市場2025年約1兆910億円に単純比較した規模は約1.2%だが範囲差があり実シェアとは断定しない。2027年の蛍光管生産終了を踏まえ、LED切替後の数量の持続は抑制。参照:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/4144
社会サポート・蓄電池保守等
蓄電池や社会インフラの現地保守、雇用・コールセンター支援、修理と再資源化を手掛ける。
| 数量当該部門の就業人数(人年相当、収入の代理) | 価格1人年当たりの役務・部品込み収入(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 200 | 0.11 | 22 | 0 |
| 10 年後 中立 | 220 | 0.15 | 33 | 2 |
取り方:2026/03の社会サポート22.21億円=インフラ関連13.75億円、雇用支援3.82億円、修理・再資源化4.63億円の合計。2026/03有報の就業177人+臨時平均23人を数量代理とした。雇用支援部分は事務BPO型として10年中立の処理工数を0.65倍とし、現地保守・修理は人員維持増を想定し、全体で200→220相当。設備保守市場全体と当社の契約数・シェアは未公表である。
その他・教育等
主事業の支援、教育・研修などのその他事業。小規模で費用先行の傾向がある。
| 数量その他部門の就業人数(人年相当、代理) | 価格1人年当たり事業収入(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 78.0 | 0.04 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 50.0 | 0.05 | 3 | 0 |
取り方:報告対象外のその他3.40億円、有報の62人+臨時16人を人数の代理とした。顧客別の講座数・BPO人月は未公表なので正確な数量ではない。事務・研修の人月部分はAIエージェント代替を受け、10年中立で人数代理78→50とする。人件費と管理費が続くため中立でも営業赤字を想定する。
リスクと懸念
AIエージェント代替と人月契約の縮小
AIエージェント代替により、IT技術者派遣の定型コーディング、テスト、資料作成は開発速度が上がるほど請求工数が減る。2026年3月期のIT売上は既に減収で、経営側も単純派遣の縮小を認めた。雇用支援やコールセンターにも同じ圧力がある。中立のIT人数は10年で0.65倍、単価上昇は物価未満とし、10年後以降のIT部分の名目成長率を0%とする。現地で物を作り保守する部分には一律に同じ減少率を掛けていない。
賃上げと顧客への価格転嫁のずれ
製造と技術者派遣は長期の契約交渉が必要で、人件費、採用費、待機賃金が先に上がる。顧客に請求する単価を上げても稼働率が下がれば粗利は減る。2026年3月期に単価改定が効いた実績はあるが、10年間続く強い値決め力を示すものではない。請負への転換が進まなければ、製造派遣市場の大手との価格競争で資本コストを稼ぎ切れない。
半導体・電子機器の循環とEMSの固定費
半導体製造装置、設備機器、電子回路実装の受注は景気と設備投資の先読みで揺れる。2025年に増設した工場で受注を読み違えれば、材料在庫と減価償却費が残り、営業利益率の低さが露呈する。電力や賃借料が上がっても工場設備の既存償却は過去の原価のままだが、更新投資はインフレ後の高い取得価格になる。会計利益の改善と自由現金の改善が一致するとは限らない。
蛍光ランプ終息と照明製品の競争
蛍光ランプは2027年末に生産終了予定で、在庫の販売時期を読み違えると値下げや廃棄損が生じる。一度きりのLEDへの更新需要を10年以降の恒常成長と取り違えてはいけない。特殊照明は納入実績が強みだが、住宅用・オフィス用では大手メーカーや流通の価格支配力が高い。照明の営業利益率が薄いまま売上だけ伸びれば投資効率は改善しない。
買収と資本配分による増収・低収益
売上の大幅な拡大には買収の寄与も大きいが、過去の自己資本増加に見合う純利益の増加は限定的である。2035年に売上1,000億円を目指して高い買収対価を払えば、買収差額の償却・減損が既存株主のリターンを侵食する。純現金が豊富でも経営判断で失われる可能性があり、買収後のROICと営業キャッシュフローを案件別に見ていく必要がある。
集中した株主構成と余剰現金の戻り方
大株主上位10名の保有比率は約72%で、少数株主が配当や資産売却を主導するのは難しい。配当性向30%を目安とする方針と自己株買いの実績があるため、余剰現金の価値をゼロにはしないが、全額を即時還元されるとするのも強気すぎる。将来の公開買付けや再編の可能性を理由に支配権プレミアムを足すことはせず、確定した上場廃止予定は確認されない。
今後の分かれ目
- 技術者派遣のIT売上・稼働者数が2期連続で年10%超減少したら
- AIエージェント代替が中立を上回ると見て、IT数量をやや悲観に寄せる。現場の機電・建設へ再配置できた人数と粗利が確認できれば影響を一部相殺する。
- 技術者・製造の請求単価上昇が人件費上昇を2期続けて上回り、稼働率も改善したら
- 契約更新の値決め力が実証されたとみなし、中立の営業利益率と数量の持続性を引き上げる。ただし単価だけ上げて稼働率が下がる場合は改善と判断しない。
- ホタルクスの蛍光ランプ終了後もLEDと空港用特殊照明の売上・営業利益が拡大したら
- 更新特需の先食いではなく製品競争力の改善が認められるため、やや楽観の確率を引き上げる。製品別の粗利と受注残を重視する。
- EMSの新工場稼働率が下がり、棚卸資産の評価損や設備減損が発生したら
- 運転資金回収と維持更新投資を再計測し、悲観側の利益・換金資産の床を見直す。損失を単発と決めず、同じ工程の受注回復を確認する。
- 2035計画に向けて大規模買収を行い、買収後ROICが資本コスト8.25%を下回ったら
- 売上成長が進んでも価値創造とは評価せず、成長シナリオの倍率を引き上げない。現金流出と追加のれん減損を下側の筋書きに反映する。
- 配当性向の実績が50%以上で定着するか、大規模な自己株買いにより株数が5%以上減ったら
- 余剰現金の戻り方を0.75から1.0へ改める条件を再点検する。配当と買い戻しの原資が運転資金や設備更新を圧迫しないかも照合する。
見ておくもの
- 技術者派遣の機電・建設・IT別の売上、稼働人員、1人当たり売上と稼働率
- 製造請負・派遣の契約単価改定率と人件費増加率、待機人員
- ホタルクスの蛍光管生産終了後の在庫回転、非住宅LEDと特殊照明の受注
- 電子基板・EMSの工場稼働率、受注残、棚卸資産と更新投資
- 蓄電池保守の契約件数と社会サポート内のコールセンター依存度
- 売上高ではなく増分営業利益・営業キャッシュフローと買収後ROIC
- 純現金残高、配当総額、自社株取得株数、持ち合い・主要株主の変化
- 2035年売上1,000億円・経常利益50億円・ROE15%以上に対する進捗
倍率と資本コストの決め方
現時点の株価や同業のPER・PBRを倍率の根拠にしていない。製造現場、機電・建設、IT、電子基板、照明、社会支援をそれぞれ実数量の代理変数と単価で積み上げ、物価3%は名目単価の側だけに入れた。IT人月部分の中立数量は現状の約65%とし、AIエージェント代替を生産現場全体へ一律に掛けていない。
資本コスト8.25%、全社長期名目成長率2%、堀の残存割合2分の1から、10年後の事業ROEに応じて正当化PERを計算した。余剰現金12億円の税後利息1.4%相当を利益から除き、株主に戻る割合75%で別に加えた。中立の利益倍率は約12.4倍、悲観では低ROEによる稼ぐ力の上限と現在の売却可能資産を照合した。
5筋書きの時価総額と期間中の株主還元をそれぞれ年8.25%で割り引くと、現在価値は約117.9億円となり、基準時価総額約86.9億円を約36%上回る。価値を株価に近づけるために確率や倍率を調整していない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に事業品質の合計+0.75%だけを加える。個別の買収失敗とAI代替は利益の筋書きで扱い、βや企業規模による機械的な上乗せをしない。