結論
エンバイオ・ホールディングスは、汚れた土地を調べて浄化し、その土地を買って売り、太陽光で電気も売る会社だ。筆者の結論は「やや割安」だ。2026年3月期の利益は不動産の市況の山に乗っていたが、それを割り引いても、ならした稼ぐ力は今の値段をやや上回る。
3つの事業は互いにつながっている。土壌の対策の技術があるから、他社が手を出しにくい汚れた土地を安く買える。直して売れば利ざやが大きい。ただ、その利ざやは不動産の市況しだいで、今は山にある。
太陽光の発電は、毎年の電気代で稼ぐ安定した柱だ。ただ設備に借金を使い、純有利子負債は約66億円と時価総額並みにある。固定価格の買取りの単価は物価で上がらない。
会社は2030年にROE15%を目標に掲げる。届けば安いが、筆者はそこまで見込まない。土地の売却益をならし、金利の上昇を入れても、価値は今の値段を1割強上回る。ただ借金が重く、悪い筋書きでの下値は深い。
3つの事業がかみ合う仕組みは面白い。だが、その仕組みが市況の谷でどれだけ稼げるかは、まだ試されていない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「他社が嫌がる土地を値引きで買う」という筋の良い商売を持つ。汚れの見積もりという専門の知識が、仕入れの値段の差になる。この部分は、規模は小さいが、まねされにくい。
一方で、利益の多くは不動産の市況の追い風に乗っていた。2026年3月期の土地の再生の利益は前の期の2倍を超え、毎年続く水準ではない。太陽光も、借金で設備を建て、固定の単価で電気を売る商売で、物価が上がっても売上は増えにくい。
安全域はあるが薄い。山の利益を割り引き、金利の上昇を入れても、価値は今の値段を1割強上回る。ただ借金が重く、悪い筋書きの下値は深い。会社がROE15%の目標に近づく道筋を数字で示し、借金を減らしながら稼ぐ力を上げられるかを見たい。
もう一つ見たいのは、海外の投資の選び方だ。トルコでのつまずきを繰り返さないかどうかが、経営の資本の使い方の試金石になる。持ち主の目で見れば、地道な国内の土壌と土地の商売に資本を集める方が、筋が良い。
何で稼ぐ会社か
事業は3つある。2026年3月期は、土壌汚染の対策が約69億円、汚れた土地の再生が約32億円、太陽光などの自然エネルギーが約25億円の売上だった。
土壌汚染の対策は、工場の跡地などの土と地下水の汚れを調べ、浄化する工事だ。汚れを掘って捨てずに、その場で固めたり分解したりする工法に強い。調査から工事までを一括で請け、費用の上限を保証する形も持つ。最近は有機フッ素化合物、いわゆるPFASの汚れの調査と対策にも力を入れる。
土地の再生は、汚れた工場の跡地などを買い、汚れを管理できる形に直して売る商売だ。2026年3月期は葛飾区の金属加工工場の跡地など15物件を買い、16物件を売った。土壌の知識で汚れの費用を正しく見積もれるので、他社より強気の値段で仕入れられる。
自然エネルギーは、国内外の63か所、約64MWの太陽光の発電所で電気を売る。物流施設の屋根を借りた発電所が多い。企業に再生可能エネルギーの電気を直接売る契約も増やしている。インドネシアでは合弁で約40MWの発電所を持ち、蓄電所の開発にも乗り出した。トルコのバイオマス発電からは2026年3月期に撤退した。
優良さと弱いところ
強みは、土壌の技術と土地の売買を一つの会社で回す仕組みだ。汚れた土地は、買い手が汚れの費用を見積もれず、値段が大きく割り引かれる。この会社は自社で調べて直せるので、その割引を利益に変えられる。東京都が推す地下水の浄化の工法の認定も持つ。
弱みは3つある。1つは土壌の工事の競争だ。会社自身が、上位数社の競争が激しくなっていると書く。2つ目は土地の売却益の振れだ。不動産の市況が冷えれば、仕入れた土地は売れ残り、借金だけが残る。3つ目は太陽光の借金だ。設備は借入で建て、金利が上がれば利益が削られる。
資本に対する稼ぎは、過去10年の中央値で7%前後と、資本コストを少し下回る。海外の発電でつまずいた例もあり、資本の配分の目は確かめながら見るべきだ。
経営は還元の方針を数字で示し、累進の配当を約束した。この点は小さな会社としては評価できる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
土壌汚染の対策の市場は、法律と土地の売買の量で決まる。土壌汚染対策法は、工場を閉じる時や大きな土地を掘る時に調査を求める。都心の再開発や物流施設の建設で古い工場の跡地が動くほど、調査と対策の仕事は増える。PFASは新しい規制の芽で、国が地下水の指針を厳しくすれば、調査の需要は一段と増える。
土地の再生の利ざやは、不動産の市況に左右される。2025年から2026年にかけては物流施設や住宅の用地の需要が強く、汚れた土地でも高く売れた。金利が上がり、市況が冷えれば、仕入れの競争は和らぐが、売る値段も下がる。
太陽光は、固定価格の買取りの制度が終わりに向かっている。新しい発電所は、企業に直接電気を売る契約と、電気をためる蓄電所が軸になる。固定価格の単価は物価で上がらないうえ、早い時期の発電所は2030年代半ばから買取りの期間が切れ始める。
競合は、大手ゼネコンの土壌の部門と、土壌の専業の会社だ。筆者は、土壌の仕事の量は10年で1割ほど増え、土地の再生の利ざやは今の山から平地へ戻ると見る。
土地の再生の市場は、景気と金利の循環の中にある。
資本政策と M&A
還元の方針は、純資産に対する配当の割合2%を下限に、配当性向20%超を意識した累進配当だ。2030年に向けてこの割合を4%、配当性向を30%に上げる目標を掲げる。2027年3月期の配当の総額は約1.9億円の予定だ。700株以上の株主にポイントの優待もあり、費用は年約0.3億円だ。
借金は太陽光の設備と、売るための土地のためだ。長期の借入は約78億円ある。中期計画の最終年度に向けてROE15%を目指し、資本の使い方を締めるとしている。過去には増資を何度も行い、株の数が増えた時期がある。
配当の約束は株主に優しいが、借金を抱えたまま配当を増やす形は、谷で無理が出やすい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社には、汚れた土地を安く買って直して売るという、他社にまねしにくい商売がある。土壌の調査と工事を自社で持つので、汚れの費用を正確に見積もれる。2026年3月期は土地の再生の利益が前の期の2倍を超えた。不動産の市況だけでなく、仕入れの目利きが効いている。
土壌の対策も伸びる。古い工場の跡地は都心の再開発と物流施設の用地として動き続ける。PFASの規制が強まれば、調査と対策の仕事は一段と増える。会社は米国からPFAS向けの調査の道具を輸入し、独占で売る権利を持つ。
太陽光は電気を売る契約と蓄電所で次の柱を作り始めた。インドネシアの発電所も増える。トルコの撤退で痛みは出し切った。会社は2030年にROE15%を掲げ、配当も累進にした。目標に届けば、今の値段は大きく安い。
汚れた土地は、今後も工場の閉鎖や統合で次々に市場に出てくる。仕入れの種が尽きる心配は小さい。蓄電所の開発も始まり、次の柱の芽は見えている。
慎重な見方
2026年3月期の利益は不動産の山に乗っていた。土地の再生の利益は前の期の2倍を超えたが、会社自身が仕入れの競争の激しさを書いている。金利が上がり、市況が冷えれば、売れ残った土地と借金が残る。
土壌の工事も楽ではない。上位数社の競争が激しくなり、値段の主導権は発注者にある。PFASの規制はまだ芽の段階で、いつ大きな市場になるかはわからない。
太陽光は借金が重い。設備は借入で建て、長期の借入は約78億円ある。固定価格の単価は物価で上がらず、早い発電所は10年以内に買取りの期間が切れ始める。金利が上がれば利払いだけが増える。トルコの撤退は、海外での資本の使い方の危うさを示した。
資本に対する稼ぎは中央値で7%前後と、資本コストに届かない。ROE15%の目標は、山の年の利益を前提にした絵に見える。
市況の追い風が止んだ時に、この会社がどれだけ稼げるかはまだ誰も見ていない。2019年3月期には最終赤字も出している。
どちらに重みを置いたか
仕入れの目利きは本物だが、2026年3月期の利益が市況の山に乗っていたという指摘の方が強い。確率は中立を中心に、やや楽観とやや悲観をほぼ同じ重さで置いた。土壌の技術の強みが楽観を支え、借金と市況の振れが悲観を支える。どちらにも大きくは寄せなかった。会社が掲げるROE15%は、市況の谷でも稼げる形を示すまでは割り引いて見る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,883 円153 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 332 円27 億円)。 今の値に割り戻すと 1,075 円87 億円、今との差 +39.0%、 期待の年率 +11.1%(資本コスト 8.3%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 4,134 円336 億円 | 586 円48 億円 | +509.9% | +19.8% | 472 円38 億円 |
| やや楽観 | 22% | 2,821 円229 億円 | 440 円36 億円 | +321.3% | +15.5% | 717 円58 億円 |
| 中立 | 38% | 1,890 円153 億円 | 324 円26 億円 | +186.1% | +11.1% | 841 円68 億円 |
| やや悲観 | 20% | 561 円46 億円 | 206 円17 億円 | −0.9% | −0.1% | 153 円12 億円 |
| 悲観 | 10% | 185 円15 億円 | 122 円10 億円 | −60.4% | −8.8% | 31 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,883 円153 億円 | 332 円27 億円 | +186.1% | +11.1% | 2,215 円180 億円 |
今の株価時価総額 774 円63 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% PFASが大きな市場になり、目利きも続く 利益 23 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 4,134 円336 億円
国がPFASの地下水の基準を厳しくし、調査と対策の仕事が一気に増える。会社は米国から入れた調査の道具と、その場で固める工法で先行し、土壌の仕事の量は3割増える。値段も物価をやや上回って上がる。
土地の再生は、目利きを生かして年20物件を売るまで広がる。太陽光は蓄電所と企業への直接販売で容量を倍以上に増やす。資本に対する稼ぎは12%近くまで上がり、資本コストを超える。配当は累進で増え、借金の重さも和らぐ。
汚れた土地を直して売る仕組みが、他社にない強みとして広く知られ、仕入れの情報も集まる。経営は海外の投資を絞り、国内に資本を集める。
- 土壌汚染対策(環境ソリューション):数量 299(調査と工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.42(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 126 億円・営業利益 14 億円。件数 1.3 倍・単価 1.40 倍・利益率 11%
- 土地の再生(不動産再生):数量 20.0(売却した物件の数(件・年))× 価格 2.84(1物件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 57 億円・営業利益 13 億円。20 物件・単価 1.40 倍・利益率 22%
- 自然エネルギー:数量 140(発電の容量(MW、建設中含む))× 価格 0.44(1MWあたりの売上(億円・名目))→ 売上 62 億円・営業利益 11 億円。140MW・単価 1.15 倍・利益率 18%
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.5% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍。全体の PER 14.47 倍、時価総額 329 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の掲げるROE15%に近い姿。PFASの規制はまだ芽の段階で、不動産の山も続く必要があるので10%。
やや楽観 22% 土壌の仕事が伸び、土地の利ざやも高めに保つ 利益 16 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 2,821 円229 億円
工場の跡地の再開発と物流施設の用地の需要が続き、土壌の仕事の量は2割増える。工事の大型化と原価の改善で利益率は10%を保つ。
土地の再生は年18物件を売る。市況は山から少し下がるが、仕入れの目利きで利益率は18%を保つ。太陽光は蓄電所と直接販売で容量を110MWに増やし、固定価格の発電所の買取りの期間切れを埋める。資本に対する稼ぎは9%台で、資本コストをわずかに上回る。配当は累進で増える。
借金は発電所の数に合わせて増えるが、利益の伸びがそれを上回り、重さは少しずつ和らぐ。会社の姿は今と同じで、規模が物価とともに大きくなる。
- 土壌汚染対策(環境ソリューション):数量 276(調査と工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.41(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 114 億円・営業利益 11 億円。件数 1.2 倍・単価 1.37 倍・利益率 10%
- 土地の再生(不動産再生):数量 18.0(売却した物件の数(件・年))× 価格 2.78(1物件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 50 億円・営業利益 9 億円。18 物件・単価 1.37 倍・利益率 18%
- 自然エネルギー:数量 110(発電の容量(MW、建設中含む))× 価格 0.43(1MWあたりの売上(億円・名目))→ 売上 47 億円・営業利益 7 億円。110MW・単価 1.12 倍・利益率 15%
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.4% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.4 倍。全体の PER 13.42 倍、時価総額 219 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:土壌の仕事が工場の跡地の動きで伸び、土地の再生も市況が大きく崩れない筋書き。繰越の受注が厚いので22%。
中立 38% 土地の利ざやは平地へ、土壌と発電が下支え 利益 12 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,890 円153 億円
土壌の仕事の量は、工場の跡地の動きで1割増える。競争は激しいが、工法の差で利益率は9%を保つ。土地の再生は、市況が山から平地へ戻り、売る物件は年16件のまま、利益率は14%に下がる。
太陽光は容量を95MWまで増やすが、固定価格の単価は物価で上がらず、早い発電所の買取りの期間が切れ始める。既存の設備の償却は建てた時の値段のままで、新しい設備の分だけ増える。借入の金利が上がり、利払いは年1億円強増える。資本に対する稼ぎは7%台で、資本コストに届かない。
配当は約束どおり少しずつ増えるが、借金を抱えたまま大きく増やす余地はない。株主の手取りは配当が中心だ。
- 土壌汚染対策(環境ソリューション):数量 253(調査と工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.40(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 102 億円・営業利益 9 億円。件数 1.1 倍・単価 1.34 倍・利益率 9%
- 土地の再生(不動産再生):数量 16.0(売却した物件の数(件・年))× 価格 2.72(1物件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 6 億円。16 物件・単価 1.34 倍・利益率 14%
- 自然エネルギー:数量 95.0(発電の容量(MW、建設中含む))× 価格 0.42(1MWあたりの売上(億円・名目))→ 売上 40 億円・営業利益 5 億円。95MW・単価 1.10 倍(固定価格の分は据え置き)・利益率 12%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.3% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.14 倍、時価総額 141 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の今期予想と過去10年の利益率の中央値をならした中心の筋書き。
やや悲観 20% 不動産の市況が冷え、土地の利ざやが細る 利益 5 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 561 円46 億円
金利の上昇で不動産の市況が冷え、汚れた土地は買い手が付きにくくなる。売る物件は年12件に減り、利益率は8%に落ちる。土壌の仕事も、再開発が鈍って量が減り、上位数社の値下げの競争で利益率は6%に下がる。
太陽光は固定価格の期間が切れ始め、売電の単価が下がる。設備の借金の利払いは増え、発電の利益は細る。配当は下限の水準で続くが、累進は止まる。資本に対する稼ぎは3%台に沈み、ためた利益の値打ちは小さい。
海外の発電所の一部も収益が伸びず、手放すことになる。借金の返済が優先され、成長のための投資は細る。
- 土壌汚染対策(環境ソリューション):数量 219(調査と工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.38(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 82 億円・営業利益 5 億円。件数 0.95 倍・単価 1.25 倍・利益率 6%
- 土地の再生(不動産再生):数量 12.0(売却した物件の数(件・年))× 価格 2.44(1物件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 29 億円・営業利益 2 億円。12 物件・単価 1.20 倍・利益率 8%
- 自然エネルギー:数量 80.0(発電の容量(MW、建設中含む))× 価格 0.38(1MWあたりの売上(億円・名目))→ 売上 31 億円・営業利益 2 億円。80MW・単価 据え置き・利益率 6%
倍率:事業のROE約3%でk 8.25%を大きく下回るのでPERの上限は1÷k=11.4倍。稼ぐ力が細り借金が重い筋書きなので上限の6割強。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 7 倍・時価総額 32 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:金利の上昇で不動産の市況が冷える筋書き。2019年3月期に赤字の年があり、土地の利益は過去にも大きく振れたので20%。
悲観 10% 土地が売れ残り、借金と発電の期間切れが重なる 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 185 円15 億円
不動産の市況が崩れ、仕入れた汚れた土地は値下げしないと売れない。土地の再生は赤字になる。土壌の工事も再開発の止まりで量が細り、利益はわずかになる。
太陽光は早い発電所の買取りの期間が切れ、売電の単価が大きく下がる。新しい設備に投じる余力はなく、容量は今のままだ。借金の利払いが利益を食い、最終の損益は赤字に沈む。配当は下限まで減り、会社は借金を返すために発電所を手放す。
会社は倒れないが、残るのは土壌の小さな工事の商売だけだ。帳簿の自己資本は残っても、稼げない資本の値打ちは小さい。資本の配分の誤りの代償を払う形だ。
- 土壌汚染対策(環境ソリューション):数量 184(調査と工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.35(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 64 億円・営業利益 2 億円。件数 0.8 倍・単価 1.15 倍・利益率 3%
- 土地の再生(不動産再生):数量 8.0(売却した物件の数(件・年))× 価格 2.03(1物件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。8 物件・単価 据え置き・赤字
- 自然エネルギー:数量 64.2(発電の容量(MW、建設中含む))× 価格 0.35(1MWあたりの売上(億円・名目))→ 売上 22 億円・営業利益 0 億円。容量 横ばい・単価 0.9 倍・収支とんとん
倍率:最終の損益が赤字なのでPERは当てない。価値は床の資産(発電所と土地を売って借金を返した残りのうち戻りうる分)15億円で決まる。今の自己資本92億円に対して0.16倍。EV(時価総額+純有利子負債66億円)÷営業利益は約75倍で、借金の重さが値打ちを押し下げる筋書きだ。
確率:不動産の市況の崩れと太陽光の買取りの期間切れが重なる負け筋。2009年3月期に大きな赤字の年があるので10%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
土壌汚染対策(環境ソリューション)
工場の跡地などの土壌と地下水の汚れの調査と、浄化の工事。PFASの調査と対策も。
| 数量調査と工事の件数(件・年、推定) | 価格1件あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 230 | 0.30 | 69 | 7 |
| 10 年後 中立 | 253 | 0.40 | 102 | 9 |
取り方:件数は開示が無いので推定。外部向けの売上69.13億円を、小口の調査と大型の対策工事をならして1件0.3億円前後とみて約230件とした。利益は経常利益ベースのセグメント利益。
土地の再生(不動産再生)
汚れた工場の跡地などを買い、汚れを管理できる形に直して売る。
| 数量売却した物件の数(件・年) | 価格1物件あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 16.0 | 2.03 | 32 | 9 |
| 10 年後 中立 | 16.0 | 2.72 | 44 | 6 |
取り方:2026年3月期の短信の売却16物件と、外部向けの売上32.48億円から1物件あたり約2億円とした。利益は経常利益ベース。
自然エネルギー
国内外の太陽光の発電所で電気を売る。企業への電気の直接販売、屋根上の発電所の建設、蓄電所の開発も。
| 数量発電の容量(MW、建設中含む) | 価格1MWあたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 64.2 | 0.38 | 25 | 0 |
| 10 年後 中立 | 95.0 | 0.42 | 40 | 5 |
取り方:容量は短信の63か所・64.2MW。売上24.68億円を容量で割った。売電のほか屋根上の発電所の建設や電気の供給の売上を含む。利益はトルコの撤退費用で一時的に小さい。
リスクと懸念
不動産の市況の冷え込み
土地の再生の利益は2026年3月期に前の期の2倍を超えた。金利の上昇で市況が冷えれば、売る値段が下がり、仕入れた土地と借金が残る。
太陽光の借金と金利
発電所は借入で建て、長期の借入は約78億円ある。金利が上がれば利払いが増え、固定価格の売電の利益を削る。
固定価格の買取りの期間切れ
固定価格の単価は物価で上がらず、早い発電所は2030年代半ばから買取りの期間が切れ始める。次の売り先を見つけられなければ、売電の単価は下がる。
土壌の工事の競争
会社自身が上位数社の競争の激化を書いている。値下げの競争になれば、工事の利益率は大きく下がる。
海外の投資の失敗
トルコのバイオマス発電は許認可とインフレでつまずき、撤退に追い込まれた。インドネシアなど海外の投資が同じ道をたどるおそれがある。
今後の分かれ目
- 国がPFASの地下水や土壌の基準を厳しくしたら
- 調査と対策の仕事が増えると見て、楽観側に重みを移す。
- 土地の再生の利益率が2年続けて15%を割ったら
- 市況の山が終わったと見て、やや悲観に近づける。
- 長期の借入が減り、純有利子負債が利益の2倍を切ったら
- 金利の重さが和らぎ、悲観側の確率を下げる。
- ROEが2年続けて10%を超えたら
- 中期計画の目標に近づく道筋が見えたと見て、やや楽観の筋書きを厚くする。
- 海外の発電で大きな減損を出したら
- 資本の配分の目に疑いが増し、悲観側の確率を上げる。
見ておくもの
- 土地の再生の売却物件数と利益率
- 土壌の工事の受注残
- 発電の容量と蓄電所の開発
- 長期の借入と純有利子負債
- PFASの規制の動き
倍率と資本コストの決め方
土壌は件数(推定)×1件の単価、土地の再生は売却物件数×1物件の単価、自然エネルギーは発電の容量×1MWの売上で積んだ。土地の再生の2026年3月期の利益率27%は市況の山とみて、中立は14%に戻した。太陽光の単価は固定価格の分を物価で上げず、既存の設備の償却は据え置いた。株主の優待の費用年0.32億円の10年分を還元に足した(やや悲観0.75倍・悲観0.5倍)。ROEがkを下回る中立は1÷kの11.4倍を上限に置いた。今の株価・PER・PBRは見ていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.6→14.47 倍・やや楽観 PER 10.6→13.42 倍・中立 PER 9.1→12.14 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.25%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.25%。