結論
CS-Cは、飲食店、美容室、宿泊施設などの集客を支援する企業である。結論は「割高」だ。加盟店舗との接点を持ち、手元資金にも余裕があるが、10年後に残る利益を考えると、現在の約19.9億円という時価総額を正当化しにくい。
最大の問題は、売上の伸びと企業価値の伸びが一致していないことである。2025年9月期の売上高は約31.8億円まで増えたものの、営業損益は約0.8億円の赤字となった。2026年9月期も買収した飲食店や採用支援会社が売上を押し上げる一方、9月18日の修正予想では営業赤字が2.15億円、最終赤字が3.03億円に拡大する見込みだ。増収の一部は取得した事業を連結した効果であり、主力商品の競争力が一段と強まったことを直接意味しない。
会社の強みは、地域金融機関や取引先企業から店舗を紹介してもらう営業網にある。2026年6月末の提携企業数は775社で、直接営業だけでは接触しにくい中小店舗へ届く。だが、実際に利用者が離れにくいかどうかは別の問題だ。2026年6月末の主力月額課金サービスの年換算ストック売上高は約20.44億円で、前年同期比の伸びは1.5%にとどまる。美容業界向けが縮むなか、旅行・クリニック向けの増加がそれを補っている。
10年後には、店舗が集客を改善したいという需要は残る。しかし、その仕事を人が管理画面で操作し、専門会社へ運用を委託する形が残るとは限らない。AIエージェントは投稿作成、情報更新、広告の改善、競合調査を自動化し、現在の主力サービスの単価と利用件数を同時に脅かす。一方、実店舗経営には人手と現場の仕事が残るものの、店舗の拡大には賃料、食材費、改装費が必要で、ソフトウェアのような高い資本効率は期待しにくい。
5つの筋書きによる10年後の価値を資本コストで現在に戻すと、確率加重後の本質価値は約10.1億円となる。現在の時価総額を約49%下回る計算だ。純現金が豊富なので直ちに財務危機に陥る会社ではないが、現金を少数株主へ還元してきた実績もない。今後の注目点は売上規模ではなく、既存商品の継続収益が再び伸び、買収後の利益とキャッシュフローが資本コストを上回るかどうかである。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に確認するのは、10年後も顧客がお金を払い続ける理由である。CS-Cの場合、飲食店や美容室が集客に困る状況は続くだろう。しかし、その問題を解決する方法としてC-moの画面やC-mo Proの運用代行を使い続ける保証はない。今の仕事が必要であることと、今の会社の商品が必要であることは違う。
営業網には一定の価値がある。地域金融機関や業界企業との提携を短期間で再現するのは簡単ではない。だが、これは契約を紹介してもらうための強みであって、顧客が他社へ移れないという強みではない。利用者が増えるほど新しい利用者にも価値が生まれるネットワーク効果や、法律上の記録を預かる基幹システムのような堀は確認できない。高い長期成長率を永遠に続くものとして買う事業ではないと考える。
次に見るのは、手元資金を何に変えてきたかである。上場後の厚い現金は、財務危機を防ぐ保険としては立派だ。しかし、株主への還元を伴わず、新規媒体への投資や店舗買収で減っていくなら、現金の額がそのまま株主の価値になるとは限らない。2026年にJAPAN FOOD GUIDEの減損と事業縮小が決まったことは、将来収益を見込んで投入した資本の一部が十分に回収できなかったことを示す。買収した店舗の業績も、のれん償却後のキャッシュフローで評価する必要がある。
ソフトウェアは固定資産をあまり必要としないため、うまく回れば大きな利益を生む。だがCS-Cの実績では、会社全体の売上が増える過程で利益が失われてきた。新規投資が資本コストを超えるという確信を得るには、取得店舗の既存店売上と営業現金、DXの解約率と顧客当たり利益を継続して確認しなければならない。
今回の価値評価では、事業が再び黒字化する可能性を十分に認めている。それでも、利益の持続性を裏付ける堀が弱く、成長のために経営者が現金を使い続ける構造に対しては安全域が必要だ。帳簿上の自己資本が時価総額を上回るというだけでは、その安全域は証明されない。
何で稼ぐ会社か
事業の出発点は、地域の小さな店舗が自分で十分な集客活動を行えないという問題である。CS-Cは、その解決手段として月額課金の店舗向けマーケティングツール「C-mo」を販売する。顧客は飲食店、美容室、宿泊施設、クリニックなどで、検索サイトや地図、SNSを通じた店舗の情報発信を支援する。導入店が支払う月額利用料が継続収入になる。
「C-mo Pro」は、店舗に代わって集客の施策を実行するコンサルティングと外部委託サービスである。売上は契約店舗数と店舗当たりの受託料金で決まる。専門家が運用を担うため、単純なソフトウェア販売とは異なり、人件費と作業量の制約を受ける。これに広告の制作・運用を組み合わせ、顧客から広告予算を受け取る。2026年にはperzikを取得し、求人活動の外部委託であるRPOにも進出した。これも基本的には人の作業や採用成果に対する対価を受け取る業務である。
報告上の中心は「ローカルビジネスDX」である。2025年9月期の売上高は約27.32億円、セグメント利益は約0.50億円だった。2026年9月期第3四半期までの累計では、マーケティング支援16.90億円、広告運用4.81億円、採用支援0.15億円となっている。広告運用の比率は無視できず、全事業を高粗利の月額課金ソフトとして扱うことはできない。
第二の柱は、買収によって増えた「リアル店舗」事業である。2026年6月末にはCS-Rが5店舗、プレディアが7店舗、ごっつが4店舗を運営し、合計16店舗となった。料理を提供して売上を得る事業なので、数量は店舗数と客数、価格は客単価によって決まる。立地、味、従業員の採用、賃料、食材原価が利益を左右し、店舗を増やすには資金を再投入しなければならない。これはDX事業とは異なる性質の商売である。
そのほかに、訪日客向け飲食店予約・体験媒体「JAPAN FOOD GUIDE」、サブリース、代理店手数料などがある。JAPAN FOOD GUIDEは利用者と飲食店を結ぶ媒体を目指したが、2026年9月には十分な収益化に至っていないとして積極的な新規店舗獲得を停止し、関連無形固定資産0.78億円の減損を発表した。利用者の集まる自社媒体を築けば強い事業になり得る反面、今の時点ではその成功を企業価値へ大きく織り込めない。
2025年9月期を起点にした数量と単価の分析では、開示がある2024年9月末のC-mo契約4,661店舗、C-mo Pro契約1,553店舗を利用した。2025年のサービス別年間売上や期末契約数は十分に開示されていないため、後述のサービス別売上と単価は推定である。開示された3つの報告区分との合計は一致させているが、これを会社発表のサービス別実績と取り違えてはならない。
優良さと弱いところ
いちばん評価したい資産は、ソフトウェアそのものよりも販路である。2026年6月末のアライアンス企業は775社に達し、地域金融機関や美容関連企業などから店舗の紹介を受けられる。全国の小規模事業者を自社の営業担当者だけで回るより効率がよく、紹介先との信頼関係も成約の助けになる。旅行とクリニックのように隣接業種へ商品を広げられたことは、この販路に一定の価値がある証拠だ。
ただし、この販路は価格を自由に上げられる堀ではない。提携企業数は顧客数ではなく、提携先がCS-Cだけを紹介するとも限らない。顧客の営業に直結する口コミ、予約、広告配信、決済の主要なデータや取引基盤は、Google、リクルート、LINEヤフーなどのサービス側にも存在する。C-moの画面を毎日使っていた人がAIエージェントに仕事を任せるようになれば、顧客の業務から画面自体が消える可能性がある。
記録の正本としての強い堀も認めにくい。会計帳簿や給与計算のように、法令対応のため必ずそのシステムを利用し続けるわけではない。開示された解約率に関する資料はあるが、年5%未満の低解約を確認できる資料ではない。移行に年単位の作業が必要という証拠や、法令改正に伴って継続的に値上げを実施した証拠も確認できない。したがって、独自データと高い乗り換え障壁を備えた基幹システムとして評価するのは早い。
利益の歩みも慎重に見る必要がある。2021~2023年9月期には営業利益を計上していたが、2024年以降は赤字となった。2026年9月期第3四半期のDX事業の営業利益は約0.21億円にとどまり、売上に対する利益率は非常に低い。会社は新規事業への先行投資や買収関連の一過性費用を説明している。しかし、長く持つ株主にとって大切なのは、費用を除けば黒字という説明より、実際に投じた資本が十分な現金を生むことだ。
純現金は財務上の強みである。2025年9月末の純現金は約15.7億円で、自己資本は約22.2億円だった。ただし、買収と営業赤字が進んだ2026年6月末には、現預金約15.17億円に対して有利子負債が約3.67億円となり、純現金は約11.49億円へ減っている。銀行の未使用当座貸越枠9億円は流動性の備えだが、それ自体は株主の資産ではない。財務基盤が厚いことと、資本の使い方が優れていることは区別したい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
CS-Cが狙う市場は大きい。同社の2024年12月公表資料では、飲食店、理美容・施術所、宿泊施設、クリニックの対象事業所を合計約124万店舗と推計している。その内訳は飲食約55万店舗、美容関連約57万店舗、宿泊約5万店舗、クリニック約7万店舗である。各業種の売上と販促費率、広告費に占めるデジタル比率を組み合わせて算出したデジタルマーケティング予算は約1.30兆円に達する。ただし、これは事業者がデジタル広告などに使う総予算であり、CS-Cがすべてを手数料として獲得できる市場ではない。
2025年9月期のDX売上高約27.32億円をこの予算規模と比較すると、金額ベースの捕捉率は約0.21%である。これは市場の構成が完全には一致しない参考値だが、圧倒的な業界支配力を持つ会社ではないことが分かる。2024年9月末のC-moとC-mo Proの契約数を合計すると6,214件で、対象店舗数に対する比率は約0.50%となる。ただし、同一店舗による二重契約を排除した顧客シェアではない。競合各社の同一基準の有料契約シェアは十分に開示されておらず、推定で順位を作るべきではない。
競争相手は一種類ではない。飲食ならリクルートのホットペッパーグルメ、カカクコムの食べログ、ぐるなび、Googleマップなどが店舗と利用者の接点を持つ。美容ではホットペッパービューティーの集客力が大きい。広告運用ではGoogleやMetaの自動最適化機能が高度化し、代理店が人手で調整していた仕事を減らす。店舗向け業務支援ではリクルートのAirビジネスツールなどとの機能の重なりも広がり得る。CS-Cはこれらの巨大サービスと同じ広告枠を所有しているわけではなく、主に顧客がそれらを使いこなす過程に入っている。
市場全体では、店舗が集客へ予算を使う需要は残る。訪日旅行の増加は宿泊施設と飲食店を支え、美容医療や自由診療ではオンライン経由で顧客を獲得する重要性が増している。2026年6月末の業種別年換算ストック売上では、旅行が前年同期比約18%増、クリニックが2倍超へ伸びた。反対に美容向けが縮小したため、全体の増加はわずかだった。成長市場に進出した事実だけでは、全社の成長率が上がるとは限らない。
10年先の構造変化は、集客予算の大きさよりも、その予算を誰が管理し、誰に料金が支払われるかにある。AIエージェントが複数の広告媒体や予約サイトを横断して作業できれば、店舗は個別の管理画面や運用代行者に払う金額を減らせる。CS-CもAIを組み込んだ支援を進めているが、2026年に公表したAI検索対策の実証結果は、まだ本格的な売上・受注の増加を示すものではない。長期予想ではAIを新しい成長要因として自動的に足さず、既存サービスの必要数量と単価を慎重に見ている。
市場規模の10年後の参考値は、現在の約1.30兆円に物価上昇を反映し、国内の対象店舗数が実質5%程度減る場合の約1.66兆円である。これは予測が保証された市場ではなく、CS-Cのシェアを測るための共通の物差しだ。中立のDX売上高は約21.75億円で、予算全体に対する捕捉率は約0.13%へ下がる。広告の総額は増えても、店舗が外部の運用会社に払う取り分は減り得るという判断である。
資本政策と M&A
資本配分には厳しい検証が必要である。上場前後には本業の店舗マーケティングで営業利益を出していたが、その後は新規業種への進出、媒体開発、飲食店の買収へ投資対象を広げた。2025年9月期の連結営業損益は約0.76億円の赤字となり、2026年9月期も減損を含めて最終損失が拡大する見込みである。売上が増えても、取得代金、のれん、店舗立ち上げ費用を回収できなければ、株主にとって成長とは呼べない。
2025年9月期にはプレディアなどの取得を進め、2026年にはごっつとperzikをグループ化した。これによって飲食店が16店舗となり、採用支援の領域も増えた。会社は既存の営業網を生かして店舗経営とDXを連携させようとしている。だが、飲食店は食材費と人件費、賃料がかかる事業であり、追加投資の利回りは高いとは限らない。現状では、投下資本利益率が株主の要求する8%前後を安定的に超えているとの証拠は不足する。
過去の事業計画と実績の差も看過できない。2024年12月の成長可能性資料は、2025年9月期のストック売上高を23.74億円と計画していた。しかし実際の期末年換算値は約20.12億円で、目標を約15%下回った。2025年9月期の会社計画では売上高30億円、営業利益0.05億円を示していたが、実績は売上高31.79億円、営業損失0.76億円となった。売上の達成より利益の未達が大きな問題である。
複数年にわたる売上高、営業利益、ROEを確約する数値付き中期経営計画は確認できなかった。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額についても具体的な数字の約束はない。2025年9月期までの配当実績はなく、実質的な大規模自社株買いも行っていない。2026年9月期の配当予想もゼロである。長期の還元額は、この実績から中立と悲観ではゼロとし、楽観側でのみ黒字の定着後に小規模な還元が始まる可能性を認めた。
2025年9月末の大株主上位10者の持分合計は82.02%で、株式会社スマイルプラスが45.03%、代表取締役の椙原健氏が20.31%を保有する。両者だけで65%を超える集中した保有構造である。上位株主の支配力が強く、過去5年間に実質的な自社株買いや増配も確認できないため、少数株主にとって余剰現金が額面どおり返るとの前提は採用しない。公表済みのTOBやMBOは確認できないため、非公開化による上乗せ価値も基本ケースには含めていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
小規模店舗の集客と採用の問題は、日本の人口が減ってもなくならない。むしろ人手が足りないほど、店舗経営者は外部サービスに任せたいと考える。CS-Cは金融機関など775社の提携先を通じ、店舗の経営課題に早い段階で接触できる。単なる広告代理店と違って、集客、広告、採用、そして実際の店舗経営まで顧客の事情を理解している。現場を知ることが独自データの蓄積につながれば、顧客との関係は深くなる。
旅行とクリニック向けのストック売上は既に伸びている。特に宿泊施設向けの価格最適化サービスなどは、顧客の収益改善に直接結び付く可能性がある。2026年に開始したAI関連サービスも、単なる作業代行から成果を改善する支援へ転じるきっかけになり得る。現在のAI対策実証実験から直ちに大きな売上を見込むことはできないが、顧客との接点を維持できれば、その先に新しい商品を販売する余地はある。
店舗の買収についても、プレディアやごっつなどには営業黒字で推移する事業がある。会社が店舗の売上向上に自社の集客手法を用い、実店舗から得られた知見をDXの顧客へ戻せれば、二つの事業が相互に強まる。全国に飲食店は数十万店あり、CS-C自身の運営店舗はまだ少ない。買収先を厳選すれば、店舗経営の規模を現在より大きく広げる余地もある。
財務面では、直近でも純現金が残り、9億円の未使用当座貸越枠も存在する。短期の赤字で必要な投資を止めなければならない企業ではない。将来、先行投資の負担が薄れ、店舗の利益とDXの継続収益が重なれば、現在の利益水準からは想像しにくい収益力を持つ可能性がある。株主への還元が始まれば、現金の価値がより明確になる。
慎重な見方
主力事業の競争力を示すはずの数字が弱い。2026年6月のストック売上高は前年からわずか1.5%しか増えていない。C-moの契約店舗数も2024年までの開示では増勢が強くなく、かつての美容関連ストック収益は減少している。旅行とクリニックが伸びても、成熟した既存顧客の離脱を埋めるだけなら、会社全体としては高い価値を生み出せない。
AIエージェントが普及した場合、店舗は自動的に広告文を作り、検索順位の変化を調べ、予約サイトを更新できる。作業を委託する価値が減り、管理画面に利用者を集めることも難しくなる。Googleやリクルート自身が自動化を進めれば、CS-Cは価格交渉で不利になる。提携先の数が多くても、顧客が支払う価値そのものが減れば紹介件数は売上につながらない。記録の正本や法令上の独占という守りもない。
2026年9月期の下方修正は特に気掛かりだ。買収による売上増にもかかわらず、マーケティング支援サービスの原価率悪化と新店舗の初期費用で営業損失が膨らむ。JAPAN FOOD GUIDEは十分に収益化できず、無形資産が減損される。加えて、店舗子会社CS-Rの財政状態が悪化したため、親会社単体では貸付金と子会社株式を評価し直すことになった。これは連結損益へ二重計上すべきものではないが、買収した事業の資本効率を考える際には見逃せない。
店舗の数を増やしても、家賃、食材、人件費がかかる。料理の人気は地域ごとに変わり、撤退時には保証金がすべて返るとは限らない。ソフトウェアのような高い利益率を維持できず、さらに買収を重ねれば、現在の純現金という最後の強みまで薄れる可能性がある。支配株主の持分が大きく、配当も自社株買いも実質的に行われていない以上、少数株主は現金の回収を経営者の判断に依存している。
どちらに重みを置いたか
販路の強さ、旅行・クリニック向けの成長余地、純現金の厚さは評価する。しかし、現時点では利益を伴わない買収主導の増収と、主力月額課金サービスの伸び悩みの方が重い。AI代替リスクは中立の契約数量と単価、10年以降の成長率へ既に反映したため、確率で同じ危険を二重に引いていない。やや悲観と悲観の確率を合わせて43%としたのは、2025年のストック売上目標未達、2026年の利益下方修正、実際の減損という会社固有の執行実績があるためだ。現金があるので存続は見込めるが、本質価値が現在の時価総額を十分に上回るという証拠はない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 323 円22 億円(+ 還元の換算額還元の合計 8 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 151 円10 億円、今との差 −48.7%、 期待の年率 +1.2%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 799 円53 億円 | 60 円4 億円 | +191.1% | +11.8% | 69 円5 億円 |
| やや楽観 | 18% | 562 円37 億円 | 15 円1 億円 | +95.7% | +7.1% | 104 円7 億円 |
| 中立 | 31% | 257 円17 億円 | 0 円0 億円 | −13.0% | −1.4% | 80 円5 億円 |
| やや悲観 | 27% | 188 円13 億円 | 0 円0 億円 | −36.4% | −4.4% | 51 円3 億円 |
| 悲観 | 16% | 173 円12 億円 | 0 円0 億円 | −41.5% | −5.2% | 28 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 323 円22 億円 | 8 円1 億円 | +12.0% | +1.2% | 330 円22 億円 |
今の株価時価総額 295 円20 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 販路の強みが現場の収益改善につながる 利益 4 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 799 円53 億円
旅行施設とクリニックでは、集客だけでなく顧客単価や予約の改善に料金を払う店舗が増える。金融機関からの紹介を受け、CS-Cは付加価値の高い案件を選んで受注する。C-moの契約数は減らさずに維持し、C-mo Proも既存の受託件数を保つ。人手の作業は自動化されるが、その生産性向上を顧客への値下げだけに使わず、実際の成果を改善する能力として残せる。
飲食店の買収は選別が進み、利益が十分に出るブランドへ経営資源が集中する。ごっつやプレディアの運営を通じて獲得した知見をほかの店舗へ水平展開し、直営店舗数は約30店舗となる。店ごとの収益を保ちながら増店でき、DXの営業活動にも現場で示せる事例が増える。JAPAN FOOD GUIDEのように収益化できない事業は追加投資を停止する。
株主への還元も黒字定着後に始まり、利益をすべて次の買収に投入する状態から脱する。10年後の営業利益は約6.2億円、純利益は約4.2億円に達する。とはいえ、AIによって高い成長が永遠に続くとの前提は採用しない。現場で実証された収益改善と店舗経営から利益を得る、実行力の高い会社になる筋書きである。
- C-mo(月額課金マーケティングツール):数量 4,661(課金店舗契約数(件))× 価格 0.00(1契約当たり年間売上高(億円/件))→ 売上 17 億円・営業利益 3 億円。契約件数を維持し、成果に基づく値決めで年間単価を約15%高める。新しいAI売上は別に加算しない。
- C-mo Pro・採用支援RPO:数量 1,553(マーケティング・採用支援の年間換算受託契約数(件))× 価格 0.01(1契約当たり年間受託売上高(億円/件))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。受託件数は維持、価格は約1.33倍。RPOを含め、作業自動化による生産性改善を利益に残す。
- デジタル広告制作・運用:数量 36.5(顧客から受託した広告出稿予算相当額(億円、実質))× 価格 0.15(広告出稿予算に対する当社売上換算率)→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。広告受託予算はほぼ維持し、売上換算率も15%程度を保つ。AIによる案件数量増を前提にしない。
- リアル店舗(直営飲食店):数量 30.0(年間換算稼働店舗数(店舗年))× 価格 0.90(1店舗年当たり売上高(億円/店舗年))→ 売上 27 億円・営業利益 2 億円。優良店を買収・展開し、30店舗年、店当たり売上0.90億円、営業利益率約6.7%。
- JAPAN FOOD GUIDE・サブリース・代理店等:数量 1,650(媒体・代理店収益の換算取引件数(件/年))× 価格 0.00(1換算取引当たり年間売上高(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。媒体の不採算投資を縮小するが、サブリースや紹介収入を維持する。
倍率:k=8.25%、moat=weak、g_long=0%。事業ROEは余剰現金を除いてもkを超えるが、長期の数量減少とAIによる価格圧力のため10年以降の名目成長をゼロとする。RONIC=k+1/3×(事業ROE−k)で、正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(k−0)=12.12倍。上限から恣意的に割り引かない。余剰現金7億円の税後利息相当0.098億円を純利益から控除し、7億円×戻り方0.5=3.5億円を別に足す。
確率:旅行・クリニックでの商品定着、買収店舗の黒字拡大、再投資の収益改善という複数の成功が必要である。AIによる新製品の売上増が定量的に開示されていないため、DXの契約数量には現在を超える拡大を認めていない。実績による裏付けがまだ弱く、確率は8%にとどめた。
やや楽観 18% 店舗買収を収益化し、DXの減少を抑える 利益 3 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 562 円37 億円
主力のC-moでは競争が続き、契約件数は現在の推定水準から少し減る。しかし、残った顧客には予約や客単価の改善まで支援できるため、価格を緩やかに改定できる。C-mo ProではAIが作業の一部を代替し、受託件数は減るが、付加価値の高い案件が残る。利益率の低かった広告制作も、必要な人員を見直すことで一定の収益が出るようになる。
店舗運営では、既存の16店舗を基盤に22店舗程度へ拡大する。無理な大型買収は避け、実績のある飲食店を中心に投資する。賃料や人件費は上がるが、メニュー価格の見直しと店舗の選別によって営業利益率を6%台へ引き上げる。JAPAN FOOD GUIDEは縮小後の規模に見合う費用へ抑えられ、その他事業の赤字も小さくなる。
DXと店舗がともに黒字となり、全社の営業利益は約4.25億円、純利益は約2.9億円へ回復する。増配や自社株買いを毎年行うほど安定した事業ではないが、黒字化が確認できた後に小規模の還元を始める余地はある。買収の失敗を修正しながら堅実な中小型サービス企業へ落ち着く筋書きである。
- C-mo(月額課金マーケティングツール):数量 4,400(課金店舗契約数(件))× 価格 0.00(1契約当たり年間売上高(億円/件))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。契約件数は2025年推定比約0.94倍、単価は約1.10倍。値上げは成果を証明できる顧客に限定。
- C-mo Pro・採用支援RPO:数量 1,350(マーケティング・採用支援の年間換算受託契約数(件))× 価格 0.01(1契約当たり年間受託売上高(億円/件))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。人による運用案件は減るが、選別したコンサル・RPO案件の単価が約1.27倍となる。
- デジタル広告制作・運用:数量 32.3(顧客から受託した広告出稿予算相当額(億円、実質))× 価格 0.13(広告出稿予算に対する当社売上換算率)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。受託広告予算は減少し、売上換算率は15%から13%へ低下する。
- リアル店舗(直営飲食店):数量 22.0(年間換算稼働店舗数(店舗年))× 価格 0.82(1店舗年当たり売上高(億円/店舗年))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。22店舗年、店舗当たり売上0.82億円。優良ブランドの店数増加と店舗運営効率化。
- JAPAN FOOD GUIDE・サブリース・代理店等:数量 1,300(媒体・代理店収益の換算取引件数(件/年))× 価格 0.00(1換算取引当たり年間売上高(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。媒体投資の縮小で売上は小さくなるが、赤字額も限定される。
倍率:k8.25%、10年以降のg_long0%、moat=weak。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)でg=0のため1÷0.0825=12.12倍。利益の質を理由に上限から再度割り引かない。営業利益4.25億円から純利益2.90億円は過去の純利益÷営業利益中央値約0.68に沿う。余剰現金の税後利息0.098億円を除いた事業純利益へPERを掛け、3.5億円を足す。
確率:買収済み店舗には営業黒字の事業があり、旅行・クリニック向けDXにも実際の増収がある。もっとも主力ストック収益の全社的な伸びは弱く、投資した資本の回収が確認できないため、上振れの確率は18%とした。
中立 31% 売上は残るが、収益力の回復は限定的 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 257 円17 億円
店舗の集客を改善する需要は残るが、広告運用と情報更新の仕事はAIエージェントへ移る。C-moは一定の顧客基盤を維持するものの、契約数は現在の推定水準の約8割へ減少する。単価も10年間で約8%しか上がらない。物価が約34%上昇する世界では実質値下げとなり、便利な管理画面を提供するだけでは値決め力を保てない。
C-mo Proの受託件数は約65%へ減る。単価は物価の範囲内で上がるが、店舗が人手の運用業務を減らすため、全体の売上高は縮小する。広告運用の予算相当数量も減り、取扱額に対する会社の売上換算率は低下する。一方、店舗事業は買収済みの16店舗程度を維持する。既存店の経営を改善し、家賃と人件費を吸収することで、小さいながら営業利益を確保する。
JAPAN FOOD GUIDEの拡大策は戻さず、その他の事業は小規模に保つ。2026年の赤字と買収後の調整を経て会社全体は黒字へ復帰するものの、10年後の営業利益は約1.78億円、純利益は約1.22億円にとどまる。自己資本利益率は6%弱で、株主が要求する資本コストを下回る。経営陣は新たな大型買収を抑え、基本的に内部資金で事業を続けるが、株主還元が定着するほどの余裕はまだ生まれない。
- C-mo(月額課金マーケティングツール):数量 3,729(課金店舗契約数(件))× 価格 0.00(1契約当たり年間売上高(億円/件))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替を反映し、契約数0.80倍、名目単価1.08倍。画面中心SaaSの規定レンジ内。
- C-mo Pro・採用支援RPO:数量 1,009(マーケティング・採用支援の年間換算受託契約数(件))× 価格 0.01(1契約当たり年間受託売上高(億円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。受託契約数0.65倍、単価1.26倍。人月・工数型の規定レンジ内で、採用支援も含めて縮小。
- デジタル広告制作・運用:数量 27.0(顧客から受託した広告出稿予算相当額(億円、実質))× 価格 0.12(広告出稿予算に対する当社売上換算率)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。受託広告予算相当数量0.73倍、売上換算率15%から12%。AIによる制作・運用手数料の低下。
- リアル店舗(直営飲食店):数量 16.0(年間換算稼働店舗数(店舗年))× 価格 0.80(1店舗年当たり売上高(億円/店舗年))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。買収済み16店舗を維持する。2025年の連結期間差と買収後の店舗構成を補正し、10年後の平均売上0.80億円。
- JAPAN FOOD GUIDE・サブリース・代理店等:数量 1,000(媒体・代理店収益の換算取引件数(件/年))× 価格 0.00(1換算取引当たり年間売上高(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。JAPAN FOOD GUIDEの新規獲得停止を反映し、媒体関連の取引相当量を縮小。
倍率:10年後のROEは約5.7%でk8.25%を下回る。新規に留保した利益が株主の要求利回りを生まないため、10年以降の成長価値は数えず、PERの上限を1÷k=12.12倍とする。g_long=0%であり、正当化PERの式でも同じ値となる。純利益1.22億円から余剰現金7億円の税後利息相当0.098億円を引いた事業純利益1.122億円に12.12倍を適用し、余剰現金の株主帰属価値3.5億円を加える。現在のPBRや同業PERは使わない。
確率:2026年の事業構成を出発点に、DXの契約数減少と店舗の黒字化を同時に見込んだ中心シナリオである。AIによる既存作業の代替は契約数量・価格へ反映済みであり、確率への追加減点はしていない。過去の黒字実績はあるが、直近の赤字を踏まえ、回復幅は限定した。
やや悲観 27% 主力サービスが縮小し、店舗の利益も安定しない 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 188 円13 億円
C-moの利用店舗は減り、契約数は約3,300件となる。単価もほとんど改善しないため、物価上昇を差し引けば大きな値下げとなる。C-mo ProとRPOでは人が請け負う仕事が減り、残った案件も価格競争が厳しくなる。広告運用では、媒体側が自動化機能を提供することで運用手数料の価値が下がる。DX事業全体の売上規模は残るものの、固定的な人件費と開発費を十分に回収できない。
店舗事業では、利益の薄い店を閉め、稼働店舗数が12店舗まで減る。売上が減っても退去までの家賃や人件費がすぐにはなくならず、店舗部門は赤字になる。買収先ののれんについても、当初期待したほどの超過収益が続かない。過去の買収は規模の拡大には役立ったが、収益力を高めたとはいえない結果となる。
全社では営業損失約0.25億円、純損失約0.30億円が残る。株主還元はなく、資本は緩やかに目減りする。会社が直ちに消える筋ではないが、10年後も持続的な利益を証明できず、価値の中心は現金と実際に換金できる資産に移る。大きな評価損が必要な無形資産や、将来の高成長を前提にしたのれんは資産の床に含めない。
- C-mo(月額課金マーケティングツール):数量 3,300(課金店舗契約数(件))× 価格 0.00(1契約当たり年間売上高(億円/件))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。契約件数は約0.71倍、単価はほぼ横ばい。物価上昇分の転嫁も難しい。
- C-mo Pro・採用支援RPO:数量 750(マーケティング・採用支援の年間換算受託契約数(件))× 価格 0.01(1契約当たり年間受託売上高(億円/件))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。人手による運用・採用支援は縮小し、人員調整が追いつかず小幅赤字。
- デジタル広告制作・運用:数量 18.0(顧客から受託した広告出稿予算相当額(億円、実質))× 価格 0.10(広告出稿予算に対する当社売上換算率)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。広告受託予算は大幅縮小し、売上換算率10%。自動運用への移行が進む。
- リアル店舗(直営飲食店):数量 12.0(年間換算稼働店舗数(店舗年))× 価格 0.69(1店舗年当たり売上高(億円/店舗年))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。不採算店を閉鎖して12店舗年。残存家賃や人件費が重く、営業赤字。
- JAPAN FOOD GUIDE・サブリース・代理店等:数量 600(媒体・代理店収益の換算取引件数(件/年))× 価格 0.00(1換算取引当たり年間売上高(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。媒体事業は縮小し、残る管理費を賄えない。
倍率:純損失のためPERでは値付けできない。過去のPBRの底は使わず、2026年6月時点の純現金約11.49億円と、回収可能な売掛金・保証金から運転債務と店舗整理費用を差し引く資産回収額約1.01億円を合計した12.5億円を価値とする。PBR0.563063はその金額を2025年9月期の自己資本22.2億円で割った結果であり、先に倍率を決めていない。
確率:2025年のストック売上目標未達と2026年の営業利益下方修正は、すでに起きた会社固有の事実である。買収した店舗を増やしても全社利益が回復しない可能性を重視し、27%とした。AI代替そのものは数量・価格に含めており、この確率を決める際には二重に加算していない。
悲観 16% DXの価値が崩れ、現金を守る事業へ縮小 利益 0 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 173 円12 億円
店舗の情報更新や広告改善は、Googleなどの媒体が提供するAIエージェントと店舗自身が契約する自動化サービスへ移る。C-moの管理画面を人が使う必要が薄れ、課金店舗数は現在の推定値の半分以下になる。C-mo ProとRPOは、人手の運用という仕事自体が減るため、受託契約数が大幅に縮小する。広告運用も予算と手数料率の両方が下がり、従来の収益構造を維持できない。
飲食店では景気の悪化や人件費上昇に直面し、経営陣は事業規模を縮める。16店舗から8店舗程度へ整理するが、解約に伴う費用と売上の減少が先行する。JAPAN FOOD GUIDEのような媒体への新規投資は停止し、買収で生じたのれんの大部分は将来の稼ぐ力として認められなくなる。シナジーを求めて店舗を買った判断は、結果として多くの現金を固定費のある商売へ移したことになる。
10年後の売上高は約14.0億円と2025年9月期の半分以下になり、営業赤字が残る。事業の将来利益から大きな価値を導くことはできない。配当や自社株買いも行われず、会社は赤字を減らして現金を保つことを優先する。帳簿上の自己資本は減少するが、少数株主がすぐに清算を命じられるわけではないため、残る現金や回収可能資産にも慎重な評価を与える。将来の高成長や過去の市場倍率による下支えは想定しない。
- C-mo(月額課金マーケティングツール):数量 2,100(課金店舗契約数(件))× 価格 0.00(1契約当たり年間売上高(億円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。契約件数は約0.45倍。名目単価も現在の推定水準から下がる。
- C-mo Pro・採用支援RPO:数量 450(マーケティング・採用支援の年間換算受託契約数(件))× 価格 0.00(1契約当たり年間受託売上高(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。受託契約数は約0.29倍となり、残存する固定人件費で赤字。
- デジタル広告制作・運用:数量 12.0(顧客から受託した広告出稿予算相当額(億円、実質))× 価格 0.08(広告出稿予算に対する当社売上換算率)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。広告運用の予算相当数量は約0.33倍、売上換算率は半減。
- リアル店舗(直営飲食店):数量 8.0(年間換算稼働店舗数(店舗年))× 価格 0.62(1店舗年当たり売上高(億円/店舗年))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。店舗を8店へ整理するが、食材費と賃料、人員調整負担で営業損失。
- JAPAN FOOD GUIDE・サブリース・代理店等:数量 200(媒体・代理店収益の換算取引件数(件/年))× 価格 0.00(1換算取引当たり年間売上高(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。媒体収益はほぼ失われ、残るのは小口の手数料等。
倍率:構造的な営業赤字が残るため、正当化PERではなく回収可能資産の額を採用する。2026年6月末の純現金約11.49億円を出発点に、売掛金と敷金等の回収額から前受金や退店費用等を控除するとほぼ相殺されると見積もり、11.5億円を資産の床とした。これを2025年9月末の自己資本22.2億円で割った結果がPBR0.518018であり、過去のPBRの安値を用いた値ではない。
確率:主力SaaSの契約喪失、受託業務の大幅縮小、店舗閉鎖が重なる深い悲観である。FY2026の赤字拡大と媒体減損という先行事実があるため16%を認めた。ただし財務にまだ厚みがあり、GC注記もないため、全面的な倒産に至る筋書きは中心としない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
C-mo(月額課金マーケティングツール)
飲食、美容、宿泊、クリニックなどの店舗へ提供するSaaS型マーケティングツール。AI代替の型は、席・操作画面を中心とする業務SaaSであり、記録の正本には該当しない。
| 数量課金店舗契約数(件) | 価格1契約当たり年間売上高(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 4,661 | 0.00 | 15 | 1 |
| 10 年後 中立 | 3,729 | 0.00 | 13 | 1 |
取り方:契約数4,661件は2024年9月末の会社開示値であり、2025年9月末の値ではない。2025年9月期DX売上高27.3239億円から、広告運用の推定年間売上5.53億円を引いたマーケティング支援相当額21.79億円を、2025年3月のC-moとC-mo Proの年換算ストック売上構成比で按分し、C-mo売上を約14.8億円と推定した。単価は推定売上÷開示済み契約数で、月当たり約2.65万円に相当する。サービス単独の2025年実績や契約数は非開示のため、最新契約数の代用には不確実性がある。営業利益はDXの開示利益約0.50億円をサービス別に推定配分したもので、正式なサブセグメント利益ではない。
C-mo Pro・採用支援RPO
店舗の集客や採用活動を人が代行するコンサルティング・アウトソーシング業務。AI代替の型は人月・工数で売る仕事である。2026年取得のperzikによるRPOは将来の数量・利益に含める。
| 数量マーケティング・採用支援の年間換算受託契約数(件) | 価格1契約当たり年間受託売上高(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1,553 | 0.00 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,009 | 0.01 | 6 | 0 |
取り方:C-mo Proの1,553件は2024年9月末開示の契約数。2025年3月のC-mo Pro年換算ストック売上6.269億円を基に、2025年9月期のマーケティング支援売上のうち約6.99億円を配賦した。月間単価は受託内容を混ぜた約3.75万円の推計であり、純粋な人月料金を直接開示したものではない。perzikは2026年4月取得のため、この2025年起点の売上に含めない。営業利益は広告を含むDX事業全体の開示利益と一致するように配分した試算値である。
デジタル広告制作・運用
店舗のデジタル広告の設計、制作、媒体出稿、運用を受託する。AI代替の型は広告制作・運用であり、媒体自体の所有者ではない。
| 数量顧客から受託した広告出稿予算相当額(億円、実質) | 価格広告出稿予算に対する当社売上換算率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 36.9 | 0.15 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 27.0 | 0.12 | 3 | 0 |
取り方:2026年9月期第3四半期資料によると、2025年9月期の前年同期9か月の広告運用売上は4.19億円。第4四半期を1.34億円程度と推定して2025年通期5.53億円を起点とした。実際の顧客広告出稿総額と会社の売上認識が総額か純額かは詳細開示が不足するため、売上換算率15%を仮置きし、相当広告予算36.87億円へ換算した。この15%は実績手数料率として確認された数字ではなく、数量と価格を分離するための推定である。2026年9か月の広告運用売上4.81億円とも規模を照合した。
リアル店舗(直営飲食店)
CS-R、プレディア、ごっつなどによる飲食店の経営。AIによる画面・人月代替の対象外であり、実店舗の客数、メニュー単価、食材費と賃料が稼ぎを決める。
| 数量年間換算稼働店舗数(店舗年) | 価格1店舗年当たり売上高(億円/店舗年) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 8.0 | 0.35 | 3 | −1 |
| 10 年後 中立 | 16.0 | 0.80 | 13 | 1 |
取り方:2025年9月期のリアル店舗事業の外部売上約2.81億円とセグメント損失約0.80億円を使用した。買収会社が年度途中から連結されているため、期末店舗数をそのまま掛けず、稼働期間を考慮した年間換算8店舗年を推定した。2026年6月末の実際の運営店舗数は16店舗であり、10年の数量にはこの買収済み店舗の増加を別に反映する。現在の平均単価は一部店舗の連結期間が短いことと店舗構成の違いに左右されるため、既存店売上の観測値としては使わない。
JAPAN FOOD GUIDE・サブリース・代理店等
訪日客向け飲食店媒体、店舗サブリース、紹介手数料等を含む。媒体事業にはAIによる検索・送客経路の変化が及ぶ。
| 数量媒体・代理店収益の換算取引件数(件/年) | 価格1換算取引当たり年間売上高(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1,650 | 0.00 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,000 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:2025年9月期のその他事業の外部売上約1.65億円、損失約0.46億円を使用した。会社は媒体取引件数、サブリースの賃貸区画数、代理店成約件数を統一単位で公表していない。ここでの1,650件は取引単価を10万円とした換算件数であり、実際の予約成立件数ではない。異質な収入源を足した推計なので精度は他のセグメントより低い。2026年9月にJAPAN FOOD GUIDEの積極獲得停止と減損が発表されたことを将来の縮小に反映する。
リスクと懸念
AI エージェント代替
C-moは操作画面を通じて店舗が集客活動を管理するSaaSであり、C-mo ProとRPOは人によるコンサルティング・外部委託、広告運用は制作・改善作業の対価を得る事業である。いずれもAIエージェントが作業を引き受けやすい型に属する。単なる作業時間の短縮ではなく、契約件数や運用手数料が減ることが問題になる。会計・決済などの法的記録を握る企業と同じ長期成長率は適用できない。
ストック売上の伸び悩みと顧客離脱
年換算ストック売上高は2026年6月末で約20.44億円、前年同期比1.5%増にとどまった。旅行とクリニックの成長が美容業界の減少を補う構図である。顧客の数が増えているのか、単価が上がっているのか、同じ店舗が複数の商品を買っているのかが十分に分からない。店舗の閉鎖や広告費削減も解約につながるため、契約数と解約率の開示が不十分なまま高い継続成長を前提にできない。
店舗買収の収益率と固定費
飲食店は実際に顧客へ料理を提供する価値があるが、店舗数が増えるほど賃料、設備更新、食材、人件費が必要になる。2026年の通期利益予想が大幅に下方修正された一因も、店舗開設に伴う費用と買収関連費用である。固定費は売上が落ちてもすぐには減らない。新リース会計基準によって貸借対照表の表示が変わっても、経済的な賃料支払いの約束そのものは消えない。
買収・媒体開発に伴う減損
2026年9月、JAPAN FOOD GUIDEは収益化が進まないとして事業の縮小と0.78億円の減損が発表された。親会社単体ではCS-Rへの貸付金と保有株式の評価損も見込まれているが、その1.4億円は連結決算上消去されるため、連結損失へ重複計上してはならない。それでも、投資判断の結果を検証するうえでは重要である。さらに買収を続けると、現金が回収しにくいのれんや無形資産に変わっていく危険がある。
広告プラットフォームへの依存
店舗の検索、地図、予約、広告配信はGoogle、リクルート、LINEヤフーなどの巨大事業者が握っている。媒体の表示ルール、API、広告配信方法が変更されれば、CS-Cの運用作業や顧客への提案内容も変えなければならない。媒体側が広告の自動運用を標準機能として提供すれば、CS-Cの仕事の一部は顧客が直接利用できる機能になる。広告運用の市場規模が拡大しても、同社の取り分が同じように増えるとは限らない。
余剰現金と少数株主の利害
2025年9月末には約15.7億円の純現金があったが、2026年6月末には約11.5億円となった。買収や赤字が続けば、現金はさらに減少する。上位株主の持分は集中しており、配当や実質的な自社株買いを通じて現金を返してきた実績も乏しい。少数株主は現金の使途を直接決められないため、純現金の全額を株主価値へ足すと過大評価になり得る。
事業の見通しと開示の不確実性
会社はC-mo、C-mo Pro、広告運用を合わせて事業を説明する部分が多く、個別サービスごとの現在契約数、純増、解約率、広告出稿総額、単価が十分にそろわない。年度途中の買収で店舗数と売上の対応も複雑になっている。今回のセグメント別の数量と単価には明示的な推計が含まれるため、価値評価の精度は高くない。投資家は見通しの不確実性に対して安全域を確保する必要がある。
今後の分かれ目
- C-moとC-mo Proの年換算ストック売上高が20.44億円から24億円以上へ回復し、解約率の低下と営業利益の改善を同時に確認できたら
- 現在の価格で継続利用する顧客が増えていると評価できる。C-moの数量減少を小さく修正し、中立からやや楽観へ確率を移す。ただし広告売上や買収売上による見かけの増加は除いて判断する。
- DXの売上が増えてもセグメント営業利益率が3%未満にとどまり、原価率の高い支援業務の比率が上昇したら
- 受託業務の増収が株主の利益へ転化していないと判断する。人員効率とサービス別利益率を見直し、やや悲観の確率を高める。売上高だけを理由に長期成長率やPERを引き上げない。
- AI検索対策や宿泊施設の価格最適化サービスについて、独立した有料契約数と売上高が開示され、既存サービスの減少を補う規模へ成長したら
- AIを自社の商品として販売できた実績になる。実際に販売された金額を起点に新しいサービスの数量と単価を追加し、楽観側の利益を見直す。小規模実験で評価指標が改善しただけでは上振れを計上しない。
- 直営飲食店の既存店売上、店舗別営業利益、投資回収期間が開示され、取得代金を含む資本回収が5年以内に進んだら
- 買収店舗の増加をより高い確度で評価できる。店数増加よりも1店舗当たりの現金創出力を優先し、営業利益率と投下資本回収を確認したうえで中立・楽観の店舗事業価値を引き上げる。
- 次の本決算で純現金が9億円を下回り、買収と赤字による資金流出がさらに続いたら
- 資産の床と余剰現金を同時に下方修正する。融資枠の利用状況、店舗賃貸契約、のれんの追加減損可能性を確認し、財務上の存続懸念が生じる場合には資本コストの追加調整も検討する。
- 年間配当やまとまった自社株買いが実行され、5年間の還元実績が継続して確認できたら
- 余剰現金の少数株主への戻り方を見直す。株主還元性向や株数減少の実績が基準を満たすなら、excess_cash_returnを0.5から0.75または1.0へ引き上げる余地が生じる。方針の発表だけでなく実行金額を重視する。
見ておくもの
- C-moとC-mo Proの契約数、月次解約率、契約単価の開示状況
- 年換算ストック売上高の推移。2026年6月末20.44億円を起点として確認する
- 美容、飲食、旅行、クリニックの業種別ストック売上高と構成比
- DXセグメントの営業利益率と、広告運用・マーケティング支援の原価率
- perzikのRPO売上高と、AI自動化が採用支援の受託価格に与える影響
- 直営16店舗の既存店売上、店舗数、賃料、のれん償却後の営業利益
- JAPAN FOOD GUIDEの事業縮小後の現金支出と追加減損の有無
- 現預金、有利子負債、純現金、未使用当座貸越枠の推移
- 実施済みの配当、自社株買い、買収代金、株式報酬による希薄化
- 2026年9月18日修正予想の着地と、その後の黒字回復計画の実現度
倍率と資本コストの決め方
評価の起点は2025年9月期のサービス別推定売上と、2026年までの開示で確認できる事業構造とした。C-moの中立契約数量は0.80倍、C-mo Proは0.65倍、広告運用の受託予算相当数量は約0.73倍とし、AIエージェント代替の決まりを個別に反映した。価格は名目であり、SaaSの値上げが物価3%に届かない理由も明示した。店舗は2026年の買収による16店舗への増加を数量側で扱い、物価の増加と実際の店舗数を混同しない。
10年後の楽観から中立までの倍率は、株価や過去の市場PERを参照せず、k8.25%と長期g0%から正当化した12.12倍を使用した。現金の利息を事業利益から除き、株主に返ると見込める余剰現金3.5億円を一度だけ加算した。悲観側は過去のPBR安値を使わず、現金、売掛金、保証金から債務と整理費用を控除した回収可能資産を床とした。
2025年9月期の純現金約15.7億円を固定したまま将来の床にせず、2026年6月末の約11.49億円への減少と店舗・運転資金の負担を考慮している。店舗の家賃は営業費用に含めたまま比較し、新リース会計基準で将来の貸借対照表上に使用権資産・リース負債が載ることによって、同じ家賃を二重に控除しない。最後に現在の時価総額約19.92億円と比較した結果、確率加重価値は約10.08億円、差は約-49.4%で「割高」となる。現在のPBRが1倍未満であることを割安の根拠とはしていない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。共通の無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%を合わせた基本7.5%に、事業の質に関する調整+0.75%を加えた。2026年も赤字が続くが、現預金と未使用融資枠があり直ちに存続が危うい状況ではないため、窮迫による追加上乗せは行わない。AI代替と買収の成否は利益とシナリオで扱う。