結論
BCCは、IT企業に営業人材や技術者を供給し、ネットワーク運用と介護分野の業務支援にも携わる小規模なサービス会社である。結論は「割高」だ。人手不足という追い風より、人月課金の仕事がAIエージェントに置き換わる速さと、赤字のまま事業を広げる資本効率を重く見る。10年後の収益と資産を5つの筋書きで測ると、今の時価総額約25億円に対し本質価値は約4.5億円となる。
2025年9月期の売上高は14.7億円、営業損失は約1億円だった。2026年9月期第3四半期も売上高は前年同期比で伸びたが、営業損失が続いた。通期計画は18.5億円の売上に対し営業損失1.94億円である。成長と利益創出がまだ結びついていない。新規採用、買収、研修、のれん償却を抱え、規模が大きくなるだけでは既存株主の価値は増えない。
経営陣は2030年9月期に売上高60億円、当期純利益6億円という意欲的な目標を掲げる。IT営業アウトソーシングの稼働人数を350人へ増やし、最大顧客への依存を薄める計画だ。ただし2026年6月末の稼働人数は180人で、2030年までの急拡大はまだ成果として確認できない。中立では既存の営業派遣・技術者派遣の実質数量が減り、管理対象のネットワーク案件や現場の介護支援が一部を埋める道を想定する。
財務には一定の余裕がある。2025年末の第三者割当増資後、2026年6月末の純現金は約7.4億円となった。ただしこれは稼いで蓄えた現金ではなく外部株主から調達した分を含む。配当や自社株買いの実績も乏しいため、少数株主がその現金を自由に受け取れるとは見ない。会社が10年後も必要とされることと、今日の株主が十分な利回りを得られることは、別の問いである。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、会社が伸びることは投資目的ではない。投じた一円が十分なオーナー利益、つまり維持のための費用を引いた後に株主へ帰属する現金を生むかが核心である。BCCの営業派遣には需要があるが、採用した人が稼働を止めれば請求も止まる。新しく一人を雇うたび採用費、研修、社会保険、給与の支払いが増える。過去の黒字局面があっても、最近の連続赤字は増員の限界利益を慎重に測るべき証拠である。
現在の事業には、顧客のネットワーク機器や介護施設という現物に近い収入源もある。機器の更新や自治体施設の運営は、AIが画面上の情報を処理するだけでは終わらない。この部分が収益の中心へ育つなら、10年後の会社は今より丈夫になりうる。しかし、継続契約の解約率、顧客ごとの粗利益、値上げの実績が公表されなければ、乗り換えにくさを過大評価してはならない。記録の正本を持つソフト会社のような高い残存成長率を与える根拠もない。
最も気にするのは資本の配分である。増資により現金を積み増せても、それは既存事業が現金を作ったことを意味しない。買収に伴うのれんの評価と、人月売上の見かけの増加には注意が要る。少数株主が使い道を決められない現金は額面どおりには評価しないし、長期の利益が資本コストを超えない間は資産に見合った高値を払わない。ダイワボウグループとの協業が案件・営業利益を具体的に生み、資本効率が数年続けて改善するまで、安全域は薄い。10年後に会社が存続する見込みはあっても、現在の株価に長期保有の魅力は見いだしにくい。
何で稼ぐ会社か
利益の源泉は人と案件の掛け算にある。IT営業アウトソーシングでは、大手IT商社やメーカーの販促・営業活動を担う社員を顧客企業へ派遣し、稼働人数に一人当たりの月額請求額を掛けて売上を得る。2025年9月期末の派遣・請負人数は166人で、2026年6月末には180人へ増えた。直近の四半期平均請求単価は月56万5千円程度である。売上は比較的読みやすいが、昇給や採用費、待機人員の費用も同時に増える。
ITソリューションでは、ネットワーク機器の導入、拠点の設定、監視・運用支援を「BM X」などのサービスで受託する。営業人材を一人売る仕事よりも、機器の設置と顧客の通信環境に入り込める分だけ継続性がある。2025年9月期のソリューション受注は512件、平均受注額は48万円程度だったが、受注と売上計上には時間差がある。月額の継続課金契約数や解約率は明確には開示されておらず、安定収益の厚さは未検証である。
ITエンジニアリングは、買収したグッドデジタルなどを通じたシステム開発と技術者派遣である。これも当面はエンジニアの稼働月数と請求単価が収入の柱になる。2026年9月期第3四半期累計では約1.95億円の売上を計上したが、過去の単体実績との単純比較はできない。人月受託である以上、生成AIの生産性向上を顧客へ価格転嫁できなければ請求工数が減る。
ヘルスケアでは、自治体などから受ける介護関連施設や事業の運営、介護事業者向けの調査・導入支援、介護業界の交流会・会員サービスを扱う。現場の運営や機器設置は人の手と地域の契約関係を要するが、調査書類や研修の制作は自動化しやすい。2025年9月期にはヘルスケア全体で約1.73億円の売上があり、部門は赤字だった。新しいリスキリング・人材紹介の芽もあるが、独立した安定利益を裏付ける売上・契約数はまだ乏しい。
優良さと弱いところ
競争力の核は、IT営業人材を採用し、顧客の商品を理解できる水準まで育て、現場へ供給する運営力である。2025年9月期には大手顧客との長い取引を保ち、稼働人員を着実に積み増した。人材を送り込んだ先でネットワーク管理の案件も受けられるなら、営業と保守の両方に接点を持てる。しかし、最大顧客への依存率は同年度末で73%と高く、価格交渉力はむしろ顧客側に偏っている。
他社がまねできない強み、すなわち堀はまだ狭い。人材派遣は採用力と研修の品質で差別化できるが、顧客はパーソルグループのような大手や自社採用へ切り替えられる。月額請求額が人件費より持続的に速く上がった証拠は乏しい。BM Xにも通信環境の設定・運用という切り替えの手間はあるが、解約率5%未満、規制上の記録の正本、業界共同基盤、法改正に伴う値上げという強い堀を認めるための証拠はそろっていない。
増分の投下資本利益率も厳しく点検すべきだ。売上は2021年9月期の約11億円から2025年9月期の約15億円まで伸びたのに、営業利益は黒字から赤字へ変わった。事業を増やしても、採用・管理・新規事業の費用を吸収できていない。2025年末の約5.9億円の増資で自己資本は厚くなったが、これはROEが改善した証拠ではない。買収のれんや顧客関連資産もあり、会計上の資産と売却可能な資産は分けて見る必要がある。
資本コストに見合う稼ぎが定着すれば、小さな会社ゆえ利益の伸びは速い。だがそれは期待であり実績ではない。筆者はネットワークの実務と介護現場のノウハウを部分的な強みと認める一方、全社を守る広い堀として高く評価しない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の人材派遣市場は大きく、厚生労働省の集計では近年の年間派遣売上は約9兆円に及ぶ。ただしBCCが戦うのは、その中でもIT企業の営業活動と技術者の供給という狭い領域である。パーソル、メイテック、オープンアップ、独立系のSES企業が競合し、大手顧客は調達先を複数持つ。BCCの売上を人材派遣市場全体で割った占有率はごく小さいが、これをIT営業派遣の実際のシェアと取り違えてはならない。同社の過去資料による潜在顧客293社と各社平均需要からの約100億円という推計も、会社独自の営業対象の試算であって公的な市場統計ではない。古い自社推計100億円に直近の営業派遣売上約11.5億円を機械的に割れば約12%となるが、これを現在の実測シェアとは呼べない。
通信・ネットワークのマネージドサービスは、矢野経済研究所の2024年度推計で約3.3兆円という大きな市場がある。NTTデータ系、NEC系、広域の保守・運用会社が強く、BCCの直近年率売上約2.2億円は、この広い市場の0.01%にも満たない。厳密には対象製品や集計範囲が異なるが、分散した拠点網にダイワボウ情報システムの販売網を通じて入り込む余地はある。会社が公開する商品別の有効契約数や更新率がないため、シェアを伸ばせるかは未知数だ。
介護の需要そのものは高齢化で続く。矢野経済研究所の介護DX関連市場の推計では2024年度は約546億円だが、これは施設の運営受託や調査まで網羅したBCCの売上との厳密な比較対象ではない。医療・介護向けにシステムを供給する大手、地域の受託事業者、自治体向け調査会社との入札・営業競争が続く。現場作業は残りやすいものの、補助金や自治体予算の採択には左右される。
最も大きな変化はAIエージェントである。情報収集、顧客への定型提案、議事録、仕様作成、一次調査、単純なプログラミングを人月単位で請求する仕組みは、工数そのものの減少に直面する。製品や成果で値段を取る契約へ転換できない限り、物価が3%ずつ上がる世界でも請求額と人数はそれほど増えない。反対に、実地で通信機器を設置する作業や介護の現場を動かす仕事は置き換わりにくい。10年後に残るのはIT需要そのものではなく、BCCがそこから何を請求できるかである。
資本政策と M&A
資本政策は成長優先であり、株主への現金還元は後回しである。2025年9月期まで配当はなく、まとまった自社株買いの実績も確認できない。2030年9月期を最終年度とする中期経営計画には売上高60億円、当期純利益6億円、時価総額100億円という経営目標がある。しかし、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額、ROEについて拘束力のある数字の約束はない。
2025年12月にはダイワボウホールディングス向けの第三者割当で約5.9億円を調達し、販売網の連携と買収資金に備えた。相手側は2割超を保有する有力株主となったが、これは公開買付けや上場廃止の決定ではない。2026年の株価と株数はその増資と株式分割を反映した基準なので、価値計算で新株をもう一度加えない。6月末の自己資本は約10.2億円、純現金は約7.4億円に増えた。
買収したグッドデジタルなどの技術人材や、ロボタスネットの介護ロボット関連の仕事が既存顧客と結びつけば、同じ顧客から取る売上は増える。ただし、のれんは約1億円を超え、顧客関連資産の償却も続く。買収で得た売上を維持するために採用・教育を重ねるなら、投資資金の増加に利益が追いつかない恐れがある。過去の増配・買い戻し実績がなく、大株主上位10者の保有比率もおおむね7割なので、余剰現金の株主への戻り方は保守的に見積もる。資本コストを超える再投資利益が出なければ、成長目標より還元を優先すべき局面が来る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
事業の規模が小さいからこそ、流通網との連携が利益を大きく変える余地がある。ダイワボウ情報システムの幅広いIT販売先から、営業人材の提供だけでなくBM Xによるネットワーク構築・運用を受注できれば、一人当たりの粗利に依存しない収入が増える。既存顧客が追加拠点を開けば導入と保守の双方で手数料が生じ、事業の固定費を分散できる。ネットワーク機器は画面上のエージェントが代替できず、保守の業務手順を蓄積するほど顧客の切り替え負担も増す。
中期経営計画では、営業派遣166人を2030年までに350人へ増やし、最大顧客比率を73%から50%以下へ下げる。数値目標は大胆だが、2026年6月末の稼働は180人まで着実に増えている。リスキリングから自社採用・人材紹介へつなげられれば採用経路を増やせる。グッドデジタルの開発人員やロボタスネットの現場技術も、営業担当が持つ顧客との接点を利用して売り込める。
介護は単なる情報処理だけで終わらない領域だ。自治体や施設の運営実績を積み、現場に必要なシステム・ロボットを合わせて提供できれば、補助金だけに頼らない案件も獲得しうる。仮に新事業の損失が収まり、本社費の伸びを抑えれば、売上30億円規模でも十分な純利益を稼げる。最も良い筋書きでは、今の人材稼働の規模に大きく依存せず、営業・運用・介護の複合サービス会社に変わる。この収益構造への転換は資本市場からまだ十分に信頼されていない可能性がある。
慎重な見方
過去数年の事実は慎重な判断を促す。BCCの売上は増えてきたが、2024年9月期から営業赤字が続き、2026年9月期の通期予想も大きな赤字である。最大顧客への依存はなお7割強に及ぶ。人材を採用しても顧客側の需要が鈍れば稼働しない給与負担が残り、契約更新時に単価の主導権を握れない。
AIエージェントは、人を雇って営業資料を作る、顧客の問い合わせに応じる、簡単な仕様を作成する、開発作業を積み上げるという仕事を根本から変える。生産性が上がれば、人月を売るBCCへの発注数量が減りうる。日本のIT投資総額が成長しても、その増分を人材派遣会社が受け取るとは限らない。利益率が高いプラットフォーム企業と異なり、BCCには独占的な情報データや、乗り換えを強く妨げる法規制上の役割も確認できない。
2030年の売上60億円と純利益6億円には、現在の売上から複数倍へ成長しながら赤字を消す必要がある。途中の買収で売上だけ増やせても、のれん償却・統合費・人員の定着問題が利益を削る。2025年末の増資で財務が厚く見えても、出資を受けた金を費用に使えば残高は減る。しかも株主還元の数値約束はない。ネットワークと介護の現場業務が残っても、資本コストに届かない利益を生む会社に高い値段を付けることはできない。
どちらに重みを置いたか
現場運用とダイワボウグループとの販路連携には実体のある上振れ余地がある。しかし、2024年以降の赤字、主力顧客への集中、M&Aの利益実績の不足が重い。中立の時点でも人月型の仕事は減る前提なので、AIリスクを資本コストや寿命に重ねて罰してはいない。確率を上側25%、中立33%、下側42%としたのは、AIだけでなく連続赤字から採用投資・統合費を回収できない固有の経営上の不確実性による。最終価値は今の時価総額を約8割下回り、「割高」と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 246 円10 億円(+ 還元の換算額還元の合計 10 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 108 円5 億円、今との差 −79.7%、 期待の年率 −7.2%(資本コスト 9.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 849 円36 億円 | 66 円3 億円 | +71.7% | +5.8% | 73 円3 億円 |
| やや楽観 | 17% | 474 円20 億円 | 28 円1 億円 | −5.8% | −0.6% | 85 円4 億円 |
| 中立 | 33% | 185 円8 億円 | 0 円0 億円 | −65.3% | −10.0% | 61 円3 億円 |
| やや悲観 | 26% | 95 円4 億円 | 0 円0 億円 | −82.1% | −15.8% | 25 円1 億円 |
| 悲観 | 16% | 74 円3 億円 | 0 円0 億円 | −86.2% | −18.0% | 12 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 246 円10 億円 | 10 円0 億円 | −51.9% | −7.2% | 256 円11 億円 |
今の株価時価総額 533 円23 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 販路と現場運用が結び付く 利益 3 億円 · PER 10.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 849 円36 億円
ダイワボウ情報システムの既存販路へBM Xの導入・運用を売り込み、ネットワーク案件は現在の約460件相当から1150件相当へ広がる。管理拠点の増加が受注を支え、IT営業アウトソーシングに頼らない収益が育つ。顧客の通信設備を実際に設置・保守する仕事が中心で、AIエージェントが定型作業を減らしても請求可能な現場の価値は残る。営業派遣170人と技術者36人の実質稼働はほぼ維持し、全体の売上は約31億円まで伸びる。
介護施設や自治体の運営案件も増え、ロボタスネットの実務ノウハウが受注を助ける。グッドデジタルの技術者と営業部隊の連携が進み、買収時ののれんと管理費を吸収する。大口顧客への依存も下がり、会社は新しい大型増資に頼らず黒字を定着させる。営業利益は約4.3億円、純利益は約3.1億円となり、10年後の財務は厚くなる。経営が初めて資本コストを超える再投資を実証する筋書きだが、成長の大半は現場・ネットワーク案件の獲得に依存する。
- IT営業アウトソーシング:数量 170(平均稼働営業スタッフ人数(人))× 価格 0.09(稼働営業スタッフ1人の年間請求額(億円/人))→ 売上 15 億円・営業利益 3 億円。営業派遣の人数は増やさず、顧客分散と人材の高度化で採算を改善。AI対応の成果報酬売上を未確認なので人数増には頼らない。
- ネットワーク・BM X:数量 1,150(年間請求案件換算件数(件))× 価格 0.01(案件換算1件当たり売上(億円/件))→ 売上 7 億円・営業利益 3 億円。ダイワボウ情報システムの営業網から分散拠点の新規機器・保守案件を獲得する。
- ITエンジニアリング・SES:数量 36.0(平均売上稼働エンジニア数(人、推計))× 価格 0.09(技術者1人の年間請求額(億円/人))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。買収会社の技術者の稼働は現状並みを保ち、高度な案件を獲得する。
- 介護現場・公共事業運営:数量 11.0(大口施設・運営契約換算件数(件、推計))× 価格 0.40(運営契約換算の年間売上(億円/件))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。公共・介護の現場運営と機器設置が11案件相当に広がる。
- 介護DX調査・研修支援:数量 48.0(年間調査・研修プロジェクト件数(件、推計))× 価格 0.01(プロジェクト1件当たり売上(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。調査・研修件数は増やさず、高度な現場伴走へ移す。
- 介護レクリエーション資格・会員:数量 7,000(年間新規有料会員・受講換算人数(人))× 価格 0.00(受講会員1人当たり年間売上(億円/人))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。介護の対人交流需要が残り、有料会員規模を維持する。
- リスキリング・新規サービス等:数量 30.0(年間有償案件換算件数(件、推計))× 価格 0.01(新規事業の案件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。新規事業の立ち上げ赤字を消し、小さな黒字へ移る。
倍率:2036年の純利益3.10億円、自己資本21.28億円、ROE約14.6%。資本コストk9.25%、AIエージェント代替による2036年以降の名目成長率g0%、堀は弱い。RONIC=k+1/3×(事業ROE−k)、正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)=10.81倍。楽観でも正当化上限そのものを使い、それ以上は認めない。余剰現金3億円の税後受取利息0.042億円を利益から外し、戻り方0.5による1.5億円を足す。市場の過去の倍率は根拠にしない。
確率:最大顧客依存の解消とダイワボウ販売網からの大型受注、買収会社の採算改善が同時に必要。単なるAI導入効果は売上確認がないため人数増の理由に使わず、案件の獲得で成長する可能性を少数の上振れとする。
やや楽観 17% ネットワークの成長が赤字を埋める 利益 2 億円 · PER 10.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 474 円20 億円
営業人材の需要はAIエージェントの普及で徐々に減るが、顧客の製品導入を深く支援する仕事へ移った人は残る。派遣・請負人数は155人相当、ITエンジニアは30人相当となる。請求単価は人件費とともに上がるものの、工数が減るため過去の人数拡大は再現しない。顧客分散は進み、最大顧客の比率も下がる。
BM Xはダイワボウグループの商流を通じて保守対象を増やし、年間売上計上案件は850件相当に達する。介護の公共運営は8件相当へ拡大する。新規の研修・紹介事業は大きな稼ぎ手にはならないが、先行投資と統合費が落ち着くため全社が利益を出し始める。売上は約26億円、営業利益は約2.4億円で、過去の黒字水準を越える。利益は借入に頼らないで出るが、主力の人材稼働が縮むため会社の2030年目標には届かない道になる。
- IT営業アウトソーシング:数量 155(平均稼働営業スタッフ人数(人))× 価格 0.09(稼働営業スタッフ1人の年間請求額(億円/人))→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。主力顧客依存を下げ、営業人員を155人保つ。
- ネットワーク・BM X:数量 850(年間請求案件換算件数(件))× 価格 0.01(案件換算1件当たり売上(億円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。販路連携でネットワーク案件が850件相当へ拡大する。
- ITエンジニアリング・SES:数量 30.0(平均売上稼働エンジニア数(人、推計))× 価格 0.09(技術者1人の年間請求額(億円/人))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。技術者派遣の工数減を高単価業務が緩和する。
- 介護現場・公共事業運営:数量 8.0(大口施設・運営契約換算件数(件、推計))× 価格 0.40(運営契約換算の年間売上(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。自治体・介護施設の運営が8件相当へ増える。
- 介護DX調査・研修支援:数量 43.0(年間調査・研修プロジェクト件数(件、推計))× 価格 0.01(プロジェクト1件当たり売上(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。高度な調査支援を残しつつ件数は減少する。
- 介護レクリエーション資格・会員:数量 6,500(年間新規有料会員・受講換算人数(人))× 価格 0.00(受講会員1人当たり年間売上(億円/人))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。講座単価は上げるが受講者は減少する。
- リスキリング・新規サービス等:数量 26.0(年間有償案件換算件数(件、推計))× 価格 0.01(新規事業の案件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。育成事業は損益分岐点へ近づく。
倍率:2036年の純利益1.73億円、自己資本14.76億円、ROE約11.7%。資本コストk9.25%、長期名目成長率g0%、堀は弱い。RONIC=k+1/3×(事業ROE−k)、正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)=10.81倍。倍率は上限そのものとし、現金利息を除いた事業利益1.688億円に適用する。余剰現金は3億円×戻り方0.5=1.5億円を加える。
確率:ネットワーク案件への販路波及には根拠があるものの、現時点で継続契約数や解約率の開示が乏しく、大口顧客依存の低下も道半ばであるため、楽観より実現性は高いが主筋にはしない。
中立 33% 人月が縮み、現場サービスが部分的に補う 利益 1 億円 · PER 10.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 185 円8 億円
IT企業の営業業務は、顧客データの整理、見込み客への一次接触、資料作成をAIエージェントで処理する比率が高まる。BCCから請求できる営業人員は170人相当から110人へ減る。技術者派遣も36人から24人へ、介護関連の調査・研修案件も48件相当から31件へ縮む。人件費は物価に沿って上がるが、請求単価が工数の減少を完全には埋めない。
その一方で、ネットワークを現地に構築・点検する仕事は残る。BM Xの請求案件は750件相当となり、ダイワボウの販売経路を活用する。介護の公共運営も5件相当を維持するが、他事業にある管理費や教育費をすべて吸収するほどの利益源には育たない。買収は大きな失敗も成功もなく、採算の低い新規事業を縮小する。全社売上は約19.5億円、営業利益は約0.88億円、純利益は約0.63億円で落ち着く。赤字の時期に失った利益が重く、自己資本は現在の増資後水準よりやや少ない。会社は存続しても、現在の時価総額に見合うオーナー利益は残らない。
- IT営業アウトソーシング:数量 110(平均稼働営業スタッフ人数(人))× 価格 0.09(稼働営業スタッフ1人の年間請求額(億円/人))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替で実質稼働人数は170人の約65%へ縮む。単価は10年間で約31%上がる。
- ネットワーク・BM X:数量 750(年間請求案件換算件数(件))× 価格 0.01(案件換算1件当たり売上(億円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。通信機器の実地作業は残り、ダイワボウの販売先への浸透で案件が増える。
- ITエンジニアリング・SES:数量 24.0(平均売上稼働エンジニア数(人、推計))× 価格 0.09(技術者1人の年間請求額(億円/人))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。SES人月は36人から24人相当へ減り、高度案件の単価上昇で一部を補う。
- 介護現場・公共事業運営:数量 5.0(大口施設・運営契約換算件数(件、推計))× 価格 0.40(運営契約換算の年間売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。介護現場の公共運営は微増し、単価はほぼ物価分だけ上がる。
- 介護DX調査・研修支援:数量 31.0(年間調査・研修プロジェクト件数(件、推計))× 価格 0.01(プロジェクト1件当たり売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。調査書・研修制作の工数は約65%に縮小し、単価も物価には届かない。
- 介護レクリエーション資格・会員:数量 4,500(年間新規有料会員・受講換算人数(人))× 価格 0.00(受講会員1人当たり年間売上(億円/人))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。資格講座・会員研修はAIによる情報の代替で人数が減る。
- リスキリング・新規サービス等:数量 20.0(年間有償案件換算件数(件、推計))× 価格 0.01(新規事業の案件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。新規の人材育成は縮小し、わずかな赤字が残る。
倍率:2036年の純利益0.63億円と自己資本8.65億円からROE約7.3%となり、資本コストk9.25%を下回る。10年の間の資本効率の低さは利益と自己資本に反映済み。2036年以降の長期名目成長率g0%なので稼ぐ力の価値の上限は1/k=10.81倍となる。現金利息0.042億円を除く事業純利益0.588億円にこの上限を適用し、余剰現金3億円の戻り方0.5による1.5億円を加える。過去や現在の株価倍率は使わない。
確率:AI代替の基本型に従い、IT営業人月・SES・調査・研修等の数量を現在の約0.55〜0.75倍の範囲に置いた。現場の機器設置・介護運営は数量を維持できるが、会社全体を急成長させる独占的な販売網はまだ確認できない。
やや悲観 26% 主要顧客の発注減とシェア後退 利益 0 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 95 円4 億円
主力顧客が営業活動の一部を内製化し、残りをAIエージェントへ移す。BCCの営業人員は90人相当まで減る。技術者の請求工数も減るが、給与水準は下げにくく、採用済みの人員の待機負担が利益を圧迫する。人材派遣の景気循環が下押しを加える一方、介護関連の現場受託も自治体予算に左右され、運営案件が3件相当へ戻る。
ネットワークの設置・保守は必要であり続けるが、広域の管理会社が標準化サービスを安く提供するため、BCCの案件は470件相当で頭打ちになる。人材紹介や研修の新規事業は顧客が直接利用するAIツールに代わり、撤退費用だけが残る。全社売上は約13.9億円に細り、営業利益は小幅な赤字になる。増資後の自己資本も、累積損失と事業の整理負担によって約5.7億円まで目減りする。利益を稼ぎ直せないので高い成長倍率は認められない。保有現金と回収できる債権から借入や費用を控除した資産の価値が、株主に残る主な支えとなる。ただし少数株主が清算時期を決められない弱さは残る。
- IT営業アウトソーシング:数量 90.0(平均稼働営業スタッフ人数(人))× 価格 0.08(稼働営業スタッフ1人の年間請求額(億円/人))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。営業人員は90人相当となり、主要顧客の発注縮小が長引く。
- ネットワーク・BM X:数量 470(年間請求案件換算件数(件))× 価格 0.01(案件換算1件当たり売上(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。新規競合に価格と案件を譲り、保守案件の数は伸びない。
- ITエンジニアリング・SES:数量 20.0(平均売上稼働エンジニア数(人、推計))× 価格 0.09(技術者1人の年間請求額(億円/人))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。SES単価の上昇より請求人月の減少が速い。
- 介護現場・公共事業運営:数量 3.0(大口施設・運営契約換算件数(件、推計))× 価格 0.39(運営契約換算の年間売上(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。介護運営の受託が減り3件相当に戻る。
- 介護DX調査・研修支援:数量 22.0(年間調査・研修プロジェクト件数(件、推計))× 価格 0.01(プロジェクト1件当たり売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。調査・研修の制作はAIへ移り有償件数が減る。
- 介護レクリエーション資格・会員:数量 3,500(年間新規有料会員・受講換算人数(人))× 価格 0.00(受講会員1人当たり年間売上(億円/人))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。民間講座の一部が無料AI教材に置き換わる。
- リスキリング・新規サービス等:数量 18.0(年間有償案件換算件数(件、推計))× 価格 0.01(新規事業の案件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。新事業の撤退費用が残る。
倍率:IT営業人月とSESの縮小で2036年も純損失0.16億円となるため、利益ベースのPERは使えない。評価の参照となる2025年9月期の自己資本5.7億円を超える積み上げ自己資本に、床のPBRを掛けない。2025年末の増資後には自己資本が10.18億円に増えたが、10年間の累積赤字と事業整理で2036年には5.70億円まで減る。売却可能資産の税後回収額と少数株主に戻るまでの不確実性を考慮したPBR0.71倍を、2036年の自己資本5.70億円に適用し、時価総額約4.05億円とした。過去や同業の市場PBRは参照しない。
確率:2025年の最大顧客売上依存73%と足元の連続赤字から、特定顧客の調達方針転換で収益が崩れる確度は無視できない。定型営業・SESの代替に加え、ネットワーク保守でも大手の価格競争が厳しくなる。
悲観 16% 自動化と顧客離反で人月ビジネスが崩れる 利益 −1 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 74 円3 億円
大口IT顧客は、営業資料の制作、見込み顧客の選別、一次提案をAIエージェントに任せ、人的な営業支援の発注を大幅に減らす。BCCの営業請求人数は68人へ落ち込み、SESの技術者請求も13人相当になる。従来の契約を失った営業担当が再就職するまでの給与と教育費を負担し、採算の悪い拠点を閉じる。強みだった顧客との長い関係は維持できず、価格も主導できない。
ネットワーク運用は大手の標準プラットフォームに集約され、BM Xの案件も330件相当に縮む。介護では自治体の運営受託が減り、調査・研修は汎用AIに代替される。グッドデジタルなどの買収で計上したのれんと顧客資産には減損が発生する。全社売上は約9.4億円、営業損失は約0.92億円、純損失は約0.72億円となる。累積赤字と買収資産の減損により、増資後の自己資本は約4.8億円まで傷む。企業は存続しても将来の利益に高い価値は認められない。現金と回収可能資産を処分費用控除後で測るが、継続的な赤字による現金流出は避けられず、今の時価総額まで回復する道筋はない。
- IT営業アウトソーシング:数量 68.0(平均稼働営業スタッフ人数(人))× 価格 0.08(稼働営業スタッフ1人の年間請求額(億円/人))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。主要顧客が営業工数の内製化・自動化を進め、売れる人月が68人へ縮む。
- ネットワーク・BM X:数量 330(年間請求案件換算件数(件))× 価格 0.01(案件換算1件当たり売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。保守案件でも大手運用会社との競争に負け、案件330件相当となる。
- ITエンジニアリング・SES:数量 13.0(平均売上稼働エンジニア数(人、推計))× 価格 0.08(技術者1人の年間請求額(億円/人))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。開発自動化と技術者退職で稼働13人へ縮む。
- 介護現場・公共事業運営:数量 2.0(大口施設・運営契約換算件数(件、推計))× 価格 0.37(運営契約換算の年間売上(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。自治体運営案件を失い2件相当になる。
- 介護DX調査・研修支援:数量 14.0(年間調査・研修プロジェクト件数(件、推計))× 価格 0.01(プロジェクト1件当たり売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。調査書類の自動化で件数14件相当まで減る。
- 介護レクリエーション資格・会員:数量 2,500(年間新規有料会員・受講換算人数(人))× 価格 0.00(受講会員1人当たり年間売上(億円/人))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。民間の研修・会員サービスが無料教材に置き換わる。
- リスキリング・新規サービス等:数量 10.0(年間有償案件換算件数(件、推計))× 価格 0.01(新規事業の案件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。新規事業を廃止し、一部費用だけ残る。
倍率:主要顧客の発注減とAIエージェント代替で2036年の純損失は0.72億円に拡大し、利益にPERを掛ける評価は使えない。増資後の自己資本10.18億円は累積赤字とのれん・顧客関連資産の減損で4.80億円まで傷む。床のPBR0.65倍は現在の基準となる2025年9月期自己資本5.7億円より小さい、この2036年の減損後自己資本4.80億円にだけ適用する。税後回収可能額約3.10億円を下限として、時価総額を3.12億円と評価する。過去の株価や市場PBRを倍率の根拠にしない。
確率:最大顧客との関係が弱まり、AI化と競合に同時に負ける複合筋書き。過去の連続赤字があり、雇用した人員と買収資産の償却を収入減に合わせてすぐ削れないため、倒産ではなく縮小存続する負け筋に相当の重みを置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
IT営業アウトソーシング
ITメーカー・商社の営業業務を人材派遣・業務請負で代行する。
| 数量平均稼働営業スタッフ人数(人) | 価格稼働営業スタッフ1人の年間請求額(億円/人) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09(第3四半期年率換算、暫定) | 170 | 0.07 | 12 | 1 |
| 10 年後 中立 | 110 | 0.09 | 10 | 2 |
取り方:2026年9月期第3四半期累計のITアウトソーシング売上8.66243億円を4/3倍した年率11.54991億円を基準にした。2025年9月期末166人、2026年6月末180人から平均稼働約170人と推計し、年間一人当たり売上を0.06794億円とした。月額56.6万円となり、開示された直近単価約56.5万円と整合する。人数と単価を分け、人月型のAIエージェント代替を適用する。3四半期の年率換算は実際の通期売上ではない。
ネットワーク・BM X
ネットワークの設計、機器設置、運用保守の役務を案件・管理契約単位で販売する。
| 数量年間請求案件換算件数(件) | 価格案件換算1件当たり売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09(第3四半期年率換算、暫定) | 460 | 0.00 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 750 | 0.01 | 5 | 1 |
取り方:2026年9月期第3四半期のITソリューション売上1.66553億円を4/3倍した2.22071億円を起点とする。2025年9月期の案件受注512件、平均受注額48万円を参考に、売上計上相当460案件×48.28万円へ換算した。実際の有効契約数460件という開示ではない。設置工事は現場作業だが書類作成と定型運用はAI代替対象。国内マネージドサービス市場約3.3兆円との広い比較ではシェア0.01%未満。参考資料はhttps://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/4068。
ITエンジニアリング・SES
買収会社を軸に設計、開発、IT技術者の常駐支援を人月単位で請け負う。
| 数量平均売上稼働エンジニア数(人、推計) | 価格技術者1人の年間請求額(億円/人) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09(第3四半期年率換算、暫定) | 36.0 | 0.07 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 24.0 | 0.09 | 2 | 0 |
取り方:2026年9月期第3四半期のエンジニアリング売上1.95372億円を4/3倍した2.60496億円が起点。請求単価を月60.3万円と仮定して稼働換算人数36人へ割り戻した推計であり、実人数の開示とは異なる。グッドデジタル等の買収で増えたため前期の単体数値との単純比較はできない。AIエージェントが開発工数を減らす人月型。比較市場としてIT技術者派遣約1.47兆円があるが、SESと範囲が一致せず直接のシェアは特定できない。
介護現場・公共事業運営
介護関連の展示・イベント、自治体や施設の運営と現場での導入支援を請け負う。
| 数量大口施設・運営契約換算件数(件、推計) | 価格運営契約換算の年間売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09(第3四半期年率換算、暫定) | 4.0 | 0.30 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 5.0 | 0.40 | 2 | 0 |
取り方:2026年9月期第3四半期のヘルスケア支援売上1.25427億円を4/3倍した1.67236億円を現場と調査へ分解。2025年9月期の現場運営約1.08億円、調査支援約0.31億円を手掛かりに、現場を年率1.20億円と推定。4件×3000万円は便宜的な大口契約換算で、実際に4件受注したという開示ではない。介護DX市場約546億円は対象範囲が異なり、厳密なシェアは算定しない。参考資料はhttps://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/4017。
介護DX調査・研修支援
介護現場の調査、研修、DX化のアドバイスを成果物・プロジェクト単位で販売する。
| 数量年間調査・研修プロジェクト件数(件、推計) | 価格プロジェクト1件当たり売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09(第3四半期年率換算、暫定) | 48.0 | 0.01 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 31.0 | 0.01 | 0 | 0 |
取り方:2025年9月期のコンサル・調査35件、売上約0.31億円、平均約90.9万円という開示を採用した。2026年9月期第3四半期のヘルスケア支援売上を年率換算し、現場分1.20億円との差額0.4728億円を48件×98.5万円へ配分した仮説。48件は実際の受注開示ではない。書類・調査・研修を人月・工数型と分類し、AIエージェント代替を反映する。
介護レクリエーション資格・会員
介護従事者の資格講座・交流、会員ネットワークの研修サービスを扱う。
| 数量年間新規有料会員・受講換算人数(人) | 価格受講会員1人当たり年間売上(億円/人) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09(第3四半期年率換算、暫定) | 7,000 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4,500 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:2026年9月期第3四半期の介護レクリエーション売上0.17435億円を4/3倍した0.23247億円を採用した。2025年9月期新規登録約6960人を参考に、年間約7000人×3321円の有料換算で表現する。すべての登録者が同額を支払うわけではなく、法人協賛や大会等の収益も一人当たりへ配賦したモデルである。講座制作・情報提供はAIエージェント代替対象。
リスキリング・新規サービス等
新規の研修・採用・人材紹介関連サービスなど、主要事業以外の立ち上げ投資を含む。
| 数量年間有償案件換算件数(件、推計) | 価格新規事業の案件当たり年間売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09(第3四半期年率換算、暫定) | 30.0 | 0.01 | 0 | −1 |
| 10 年後 中立 | 20.0 | 0.01 | 0 | 0 |
取り方:2026年9月期第3四半期の「その他」売上0.16430億円を年率換算した0.21907億円から、30件×73万円の案件換算で表現する。実際の開示件数ではない。「その他」の営業損失0.52235億円を年率換算した約0.696億円をこの区分に反映する。7領域への利益配分は推計であり、開示された細分別利益ではない。年率換算のIT事業利益約1.50億円、ヘルスケア約マイナス0.21億円、その他約マイナス0.70億円に、未配賦本社費約マイナス2.21億円を加えると連結営業損失約1.61億円となる。通期会社予想の営業損失1.94億円とは四半期年率換算のため差がある。研修と人材紹介の業務工数はAIエージェント代替対象。
リスクと懸念
AIエージェント代替で請求人月が減る
営業支援、初級SES、介護向け調査、研修資料の作成は人月や工数で売る仕事であり、顧客がAIエージェントを直接使うと契約人数そのものが減る。AIでスタッフの生産性が上がっても、その利益をBCCが成果報酬として受け取った実績はまだない。中立の各人月セグメントの実質数量を現在の約65%へ縮め、2036年以降の成長も抑えた。
主要顧客集中と採用費の先払い
2025年9月期末のIT営業アウトソーシングは最大顧客への依存が73%に及ぶ。顧客の販売方式や社内営業組織が変わるだけで派遣人数が減りうる。採用、研修、待機期間の給与は発注より先に発生し、経費を直ちに減らせないため、売上を維持しても資本コストを超える利益が残るとは限らない。
買収と先行投資が自己資本を傷める
グッドデジタルやロボタスネットへの投資は収益の領域を広げるが、買収のれんと顧客関連資産が計上されている。営業部隊との協業から新規受注が出なければ、買収前の売上を連結で大きく見せても利益は増えず、償却や減損が続く。予定外の買収を増資で賄えば既存株主の取り分も薄くなる。
ネットワーク保守の価格競争
BM Xは設備の設置と運用に切り替えの手間がある半面、NTTデータ、NEC系や大規模な保守事業者と比べて規模が小さい。標準のクラウド管理サービスが普及すると、単純な監視・設定の委託料は値下げを迫られる。契約更新率や顧客別粗利益が未公表なので、継続課金が強い堀になっていると断定できない。
介護分野の公的予算と案件の変動
介護現場の実作業はAIだけでは置き換えられないが、自治体の指定管理や委託、補助金対象のDX導入は予算、選定、制度の変更に左右される。採択が途切れると人員や運営拠点の固定費が残る。介護関連事業は直近まで赤字であり、案件数の増加が安定した利益に変わる証拠が必要だ。
増資後の純現金と少数株主の距離
2026年6月末の純現金約7.45億円は財務の緩衝材だが、2025年末の増資で得た現金を含み、営業利益から蓄積した金ではない。大株主の保有集中と無配当の実績から、現金をそのまま株主に返す保証はない。追加の赤字、採用費、買収代金に使われれば、帳簿上の資産は10年後の株主価値の床にならない。
中期計画と実績の開き
2030年の売上高60億円、純利益6億円には現在の売上を数倍にし、営業赤字を高収益へ一気に変える必要がある。2026年6月末の営業派遣180人と2030年目標350人の差も大きい。M&Aで売上目標を達成しても、採用費と買収対価が膨らめばROICが悪化する。計画の数字ではなく受注と現金利益を点検すべきだ。
今後の分かれ目
- IT営業派遣の実働人数が2030年目標の350人に近づき、しかも人当たり粗利益と営業利益がともに伸びたら
- 需要がAI代替を上回り、顧客が専門的な対人営業に支払う証拠となる。中立の数量減少を緩和する。ただし派遣人数だけの増加なら採用負担で利益が減る余地があり評価を引き上げない。
- 最大顧客依存率が73%から50%以下へ低下し、既存顧客の値上げと契約更新が続いたら
- 価格交渉力と顧客分散の改善を認め、主力の営業派遣に関する悲観の確率を下げる。契約単価の増加が給与の増加を超えているかも確認する。
- BM Xの有効契約数・解約率とセグメント利益が公表され、低解約と継続的な値上げが実証されたら
- 運用保守に独自の堀ができた可能性を再評価する。人月事業と切り離し、継続課金の値決め力に見合う長期成長率を検討する。
- ダイワボウ経由の受注・クロスセルの売上と粗利益が金額付きで開示されたら
- 協業を期待から現実の案件増として評価し、ネットワーク管理と現場サービスの数量を上方修正する。代理店の顧客基盤だけを自社の独占的な市場シェアと数えない。
- 営業損失が2027年以降も続き、純現金残高が減って再増資が必要になったら
- 資本コストの危機上乗せを維持し、悲観側の床となる現金を減らす。追加新株が発行された場合は基準株数・既存株主の取り分も更新する。
- グッドデジタル等の買収事業で営業利益が償却を含めて黒字化し、のれんの減損懸念が消えたら
- 新規投資の増分利益率が資本コストを超える証拠となる。やや楽観の重みを高め、将来の買収投資が利益を生む前提を見直す。
- 介護施設の実運営案件が連続更新され、自治体受託の年度変動を超える継続収益が育ったら
- 現場業務の防御力を評価し、介護運営の数量と利益率を上げる。一方で調査・研修の事務工数がAIに置き換わるリスクは別に残す。
見ておくもの
- 営業派遣・請負の期末人数、平均稼働人数、月額請求単価、稼働率
- 最大顧客向け売上比率(2025年9月期73%、2030年目標50%以下)
- BM Xの受注件数、平均案件単価、継続管理契約数・解約率
- ダイワボウ情報システムとの協業受注高と粗利益の金額開示
- グッドデジタル・ロボタスネットの単独採算と買収のれん残高
- 四半期の営業利益、営業キャッシュフロー、販管費・本社費の推移
- 現預金9.20億円、有利子負債約1.75億円という2026年6月末の起点からの変化
- 介護施設運営の更新件数、調査案件数と研修・新規会員数
- 2030年売上高60億円・純利益6億円に対する進捗と修正
- 配当性向・DOE・自己株式取得の明確な数値方針の発表
倍率と資本コストの決め方
実質数量と名目単価を分け、物価を二重に掛けない。人月型はAIエージェント代替で中立数量を約0.65倍、2036年以降の名目成長を0%とし、kの寿命や確率で同じリスクを重複計上しない。PERはk9.25%・g0%から得る上限10.81倍を用い、市場倍率を参照しない。悲観側は黒字留保や増資後の10.18億円を床PBRの分母にせず、直近本決算の自己資本5.7億円以下に傷んだ2036年自己資本5.70億円・4.80億円を用いる。PBR0.71倍・0.65倍に対応する時価総額4.05億円・3.12億円は、将来の赤字資金流出と処分費用を控除した税後回収床4.0億円・3.1億円以上で、実効PBRは中立より低い。既存設備の減価償却は物価だけで増やさず、新リース会計の表示変更を価値の変化と混同しない。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。国債3%と株式リスク上乗せ4.5%の基本7.5%に、事業の品質+0.75%と継続的な営業赤字による経営立て直しの上乗せ1%を加えた。個々の買収成否やAIの損失を資本コストへ重複計上しない。