結論
東京會舘は、丸の内の本舘で婚礼と法人宴会、レストランを営む老舗だ。売上の 7 割が宴会で、2019 年に建て替えた新本舘が稼ぎの土台になる。筆者の結論は、今の値段は割高というものだ。
事業の質は悪くない。格式と立地のブランドで、単価を毎年上げても客が離れていない。2026/03 期は売上 163 億円、営業利益 14 億円と過去最高だった。
だが 10 年の価値で見ると物足りない。婚礼は結婚件数の減少で数が細る。人件費は物価以上に上がりやすい。利益は名目では伸びても、物価の 1.34 倍には届かない。借入が 112 億円あり、金利が上がれば利払いも膨らむ。
一方で、償却費は取得原価のままで増えない。建て替えの投資が終わった今、現金は毎年たまる。ただ、たまった現金が株主に戻る保証は薄く、配当性向は 15% にとどまる。筆者はこの資本の使い方をいちばん気にしている。
配当の増額は続くが、性向は低いままだ。現金は借入の返済に回り、その先は大株主の動きしだいになる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、持ち続けたい会社かを問う。答えは、ブランドは持ち続けたいが、値段と資本の使い方に難がある。
本舘は代わりのきかない場所と名前を持つ。ただ、婚礼の縮小と人件費の上昇という逆風は、10 年かけて利益を実質で削る。物価が 3% 上がる世界では、売上は伸びても利益は追いつかない。
たまる現金は、使い道がなければ価値を生まない。配当性向が 15% の会社は、現金が株主に渡るとは限らない。そのため、たまる現金に戻り方 0.5 を掛けた。持ち合い株の含み益 35 億円は、配当が利益に入っているので、別には足していない。
払う値段に安全域があるかを考えると、楽観の筋書きでも今の時価総額の 1.5 倍に届かない。悲観では売れる資産が下支えするが、それは今の値段の 2 割だ。安全域は薄い。
何で稼ぐ会社か
東京會舘は、1920 年創業の宴会・レストラン・洋菓子の会社だ。本舘は東京・丸の内にある。売上は 163 億円(2026/03 期)で、宴会が 116 億円、食堂が 35 億円、売店・その他が 12 億円。従業員は約 480 人だ。
宴会は、婚礼と法人の会合・パーティーからなる。婚礼は格式の高さが売りで、単価も高い。法人は大型の宴会や各種の会合で、丸の内に勤める大企業が主な客になる。
食堂は、本舘のレストランと、如水会館・大手町・銀座などの営業所の店だ。売店・その他は、本舘売店と洋菓子などの製造販売で、宴会に付く引き菓子の需要も取り込む。
本舘は 2019 年に建て替えた。三菱地所・東京商工会議所との共同の再開発で、宴会場 13 室(貴賓室を含む)を持つ。投資は 260 億円超で、一部の土地の持分を三菱地所に譲って資金の一部に充てた。この投資で借入が増え、返済が今も続く。
株主優待もあり、食事券や宴会・婚礼の割引券を渡している。
収益の中心は本舘 1 か所にある。営業所の店は数が少なく、本舘のブランドを広げる役目に近い。宴会の部門が全社の利益の大部分を稼ぐ。会社は 2026/03 期で中期経営計画の最終年度を終え、現有資産の収益力を高める方針で来た。
優良さと弱いところ
堀は、立地と格式と歴史にある。丸の内の中心で、100 年を超える老舗の名がある。式や宴会の場として選ばれ、単価を上げても受注の件数が増えている。
2026/03 期の営業利益率は 8.8% と過去最高だった。ただ過去を見ると、開業の費用が重なった 2019/03 期の営業損失 28 億円や、コロナ禍の 2021/03 期の営業損失 34 億円がある。需要が止まると、宴会場の固定費が一気に重くなる。筆者は、この利益率が 10 年続くとは置かない。
事業が本舘一つに集中している点も弱い。婚礼と法人宴会の客は同じ場所に来る。立地が強みである反面、立地を離れて稼ぐ力は小さい。
資本効率は並だ。ROE は直近で 7.5%、過去 10 年の中央値は 5.4%。経営は人件費を増やして人を手当てし、受注体制を強めている。この点は評価できる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
婚礼は縮む市場だ。婚姻件数は 2023 年に 47 万件台まで落ち、挙式をしない夫婦も増えた。ただ挙式総額は上がり、少人数でも 1 組あたりの金額は大きい。東京會舘のような高級路線は、件数の減少を単価で補う。
法人宴会は景気に連動する。丸の内では再開発が続き、新しいオフィスビルが増えて、大企業の会合・表彰・パーティーの需要が戻っている。インバウンドの宴会も上積みになる。
競争相手は、都心の高級ホテルだ。丸の内ではパレスホテル東京、近くに帝国ホテルがある。宴会場の規模と料理、立地で競う。式場専業の大手チェーンは郊外や地方が中心で、丸の内の格式を求める客層とは重なりにくい。ホテルは宿泊で稼げる分、宴会の値決めが柔軟になる。
人手不足は深刻だ。調理・サービスの人件費は最低賃金とともに上がる。宴会はサービスの人数が多く、人件費が費用の大きな部分を占める。食材も上がる。値上げが通る間は吸収できるが、景気が悪くなれば、客は費用を絞る。
結婚式そのものも変わっている。人数を絞った式や、挙式をしない選択が増えた。高級路線の東京會舘は、その影響が比較的小さい。ただ、法人の会合は景気の影響を直接受ける。
資本政策と M&A
資本政策は、還元が薄いのが特徴だ。配当性向は 15% 前後で、自社株買いは 2025/03 期に 1.5 億円を行った程度。利益の大半は社内に残り、借入の返済と有価証券の積み上げに回る。
財務は借入 112 億円に対し、現金 28 億円と有価証券 56 億円がある。さらに投資有価証券が 63 億円あり、含み益は税後で約 35 億円。持ち合い株の比重が大きい。大株主には取引先持株会、タイヨウ・パール、三菱 UFJ 信託・銀行が並ぶ。
株主優待は食事券と割引券で、費用は年 1 億円未満。10 年分を足しても差は 1 ポイント未満なので、数字には入れない。
筆者は、たまる現金を株主に戻す動きが出るかが最大の分かれ目だと見る。大株主の働きかけで還元が厚くなれば、評価は上がる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
東京會舘は代わりのきかない場所と名前を持つ。丸の内の中心で、100 年を超える老舗という信頼があり、婚礼でも法人宴会でも格式を求める客が集まる。2026/03 期は、一般宴会の受注件数と施行単価がともに上がった。単価を上げても客が離れない会社だ。営業スタッフを増やし、受注の管理も効率化した。法人の大型宴会は、その効果が出ている。
建て替えの投資は終わり、償却費は取得原価のまま増えない。売上が物価で 3 割伸びれば、償却費の分だけ利益率が上がる。人件費が上がっても、単価で吸収できる。
借入は毎年返せる。人件費の上昇が続いても、償却費が増えないぶん、利益の余裕が残る。現金は 10 年で 70 億円たまり、大株主も還元を求める。還元が厚くなれば、たまった現金がそのまま株主の価値になる。持ち合い株の含み益 35 億円も、安全域として効く。
新本舘が開場した 2019 年以降、経営は現有資産の収益力を高める方向に動いた。営業体制を強め、受注を伸ばしている。
慎重な見方
婚礼は縮む市場だ。結婚件数が減り、挙式をしない夫婦も増える。単価で補っても、10 年で件数が 3 割減れば、固定費の重い宴会場は苦しくなる。高級路線でも、式の人数が減れば 1 組あたりの売上も細る。
人件費は物価以上に上がる。調理とサービスの人手を確保するには、賃金を上げ続けるしかない。食材の値上がりも続く。コロナ禍の 2021/03 期の営業損失 34 億円は、需要が止まった時の脆さを示した。
建て替えの償却は据え置きでも、内装や設備の更新は建築費の上昇で重くなる。借入は 112 億円で、借り換えの金利が 3.5% に上がると、利払いが毎年 3 億円近く増える。
還元が薄い点も問題だ。配当性向 15% の会社は、現金をためても株主に渡さない。ためた現金は、額面どおりの価値にならない。
東京會舘は本舘 1 棟に依存している。災害や設備の事故で営業を止めれば、代わりの稼ぎ場所がない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がやや強い。ブランドと単価の力は本物だが、婚礼の縮小、人件費、更新の投資、薄い還元が重なる。強気の見方の還元増は、筋書きとして成り立つが、確かな根拠がない。そのため、現金には戻り方 0.5 を掛け、確率は中立に 38%、強気側に 3 割、慎重側に 3 割を置いた。悲観は、コロナ級の前例があるので 1 割を置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 5,417 円179 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,105 円36 億円)。 今の値に割り戻すと 3,261 円108 億円、今との差 −30.4%、 期待の年率 +3.4%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 8,827 円291 億円 | 1,637 円54 億円 | +123.4% | +8.4% | 837 円28 億円 |
| やや楽観 | 22% | 7,305 円241 億円 | 1,425 円47 億円 | +86.3% | +6.4% | 1,921 円63 億円 |
| 中立 | 38% | 6,244 円206 億円 | 1,213 円40 億円 | +59.2% | +4.8% | 2,834 円93 億円 |
| やや悲観 | 22% | 2,868 円95 億円 | 758 円25 億円 | −22.6% | −2.5% | 798 円26 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,000 円33 億円 | 333 円11 億円 | −71.5% | −11.8% | 133 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 5,417 円179 億円 | 1,105 円36 億円 | +39.2% | +3.4% | 6,522 円215 億円 |
今の株価時価総額 4,685 円155 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 婚礼の単価上昇と法人宴会の拡大で、利益が大きく伸びる 利益 17 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 8,827 円291 億円
婚礼は少人数化のなかでも、格式を求める客が丸の内に集まる。件数は 5% 増え、単価は物価より速く上がる。法人宴会も丸の内の再開発とインバウンドで増える。宴会の利益率は 12.5% に乗る。
償却費は取得原価のままで増えないので、売上の伸びがそのまま利益に効く。営業利益は 25 億円前後になる。
たまる現金は 70 億円近い。ただ、株主に戻す額は純利益の 4 割にとどまり、残りは社内に残る。それでも利益の伸びが大きく、倍率も 14.66 倍まで置ける。この筋書きでも、10 年後の値段は今の 1.5 倍に届く程度で、成長株のような値は付かない。
- 宴会(婚礼・法人宴会):数量 105(施行の件数・規模の指数(2026/03 =100))× 価格 1.62(指数 1 あたりの施行単価(億円、名目))→ 売上 170 億円・営業利益 21 億円。数量 1.05 倍・価格 1.40 倍(名目)・営業利益率 12.5%
- 食堂(レストラン):数量 103(来客数の指数(2026/03 =100))× 価格 0.49(指数 1 あたりの客単価(億円、名目))→ 売上 51 億円・営業利益 3 億円。数量 1.03 倍・価格 1.38 倍(名目)・営業利益率 6.0%
- 売店・その他(洋菓子・食品):数量 103(販売量の指数(2026/03 =100))× 価格 0.15(指数 1 あたりの単価(億円、名目))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。数量 1.03 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.3% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)52 億円。全体の PER 14.66 倍、時価総額 291 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:婚礼の件数が下げ止まり、法人宴会が増え、人件費の上昇も単価に移せる必要がある。複数が重なるので 8% にとどめた。
やや楽観 22% 婚礼は横ばい、法人宴会が堅調で単価が物価並みに上がる 利益 15 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 7,305 円241 億円
婚礼の件数は横ばいを保つ。結婚の数は減るが、高級路線の客が離れない。法人の会合・大型宴会は丸の内で堅調に伸びる。単価は物価並みに上がり、宴会の利益率は 11.5% を保つ。
食堂は客単価の上昇で伸び、売店も引き菓子の需要が付いてくる。営業利益は 21〜22 億円になる。法人宴会の伸びは、丸の内の再開発による来訪者の増加も支える。
償却費は建て替えの原価のまま増えず、利益率を押し上げる。ただ、更新の投資が要る。内装や設備は 10 年で傷み、建築費の上昇で更新の費用は重い。借入の返済と配当の増加で、現金は積み上がる。
- 宴会(婚礼・法人宴会):数量 100(施行の件数・規模の指数(2026/03 =100))× 価格 1.58(指数 1 あたりの施行単価(億円、名目))→ 売上 158 億円・営業利益 18 億円。数量 1.00 倍・価格 1.37 倍(名目)・営業利益率 11.5%
- 食堂(レストラン):数量 100(来客数の指数(2026/03 =100))× 価格 0.48(指数 1 あたりの客単価(億円、名目))→ 売上 48 億円・営業利益 3 億円。数量 1.00 倍・価格 1.35 倍(名目)・営業利益率 5.5%
- 売店・その他(洋菓子・食品):数量 100(販売量の指数(2026/03 =100))× 価格 0.15(指数 1 あたりの単価(億円、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.9% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)51 億円。全体の PER 13.82 倍、時価総額 241 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近 3 年の実績(単価と件数の両方が上がる)に近い。景気が大崩れしなければ起こる姿で、強気の中では最も自然。
中立 38% 婚礼の数が細り、物価と人件費の波を単価でほぼ吸収する 利益 13 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 6,244 円206 億円
婚礼の件数は 3% 減り、法人の宴会は横ばい。単価は物価並みの 1.34 倍に上がる。宴会の利益率は 10.7% で、今の 10.6% とほぼ同じだ。人件費が物価以上に上がる分を、償却費の据え置きが打ち消す。
営業利益は 19 億円。名目では 3 割伸びるが、物価の 1.34 倍に届かない。実質では利益が 1 割ほど縮む。
10 年の償却費は 9 億円前後。更新の投資で内装や設備を入れ替えるため、建築費の上昇を受けて 60 億円ほど使う。それでも借入を返し、現金は 70 億円ほどたまる。ただし、配当性向は 35% と低く、たまった現金は戻りにくい。
- 宴会(婚礼・法人宴会):数量 97.0(施行の件数・規模の指数(2026/03 =100))× 価格 1.55(指数 1 あたりの施行単価(億円、名目))→ 売上 150 億円・営業利益 16 億円。数量 0.97 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 10.7%
- 食堂(レストラン):数量 97.0(来客数の指数(2026/03 =100))× 価格 0.48(指数 1 あたりの客単価(億円、名目))→ 売上 46 億円・営業利益 2 億円。数量 0.97 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 5.0%
- 売店・その他(洋菓子・食品):数量 97.0(販売量の指数(2026/03 =100))× 価格 0.15(指数 1 あたりの単価(億円、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。数量 0.97 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)53 億円。全体の PER 13.05 倍、時価総額 206 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:結婚件数の減少は止まらず、人件費も上がる。ただ単価の上昇と償却費の据え置きがそれを補う。最も無理のない落としどころ。
やや悲観 22% 婚礼が細り、景気の後退で法人宴会も落ちる 利益 7 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 2,868 円95 億円
婚礼の件数は 1 割以上減り、法人宴会も経費の削減で 1 割落ちる。値上げは物価に届かず、価格は 1.28 倍にとどまる。人件費は 1.34 倍に上がり、利益率は 7.5% まで下がる。
本舘は 13 室の宴会場を持つ固定費の重い施設で、稼働が落ちれば固定費が残る。食堂と売店も客数が減り、営業所の店は不採算が出る。営業利益は 11 億円、純利益は 7 億円になる。借入の借り換えで金利が上がり、利払いが利益を削る。
配当性向は低いまま、10 年の還元は 25 億円にとどまる。現金はたまるが、成長の見込みが薄く、倍率は 7 倍に下がる。
- 宴会(婚礼・法人宴会):数量 88.0(施行の件数・規模の指数(2026/03 =100))× 価格 1.48(指数 1 あたりの施行単価(億円、名目))→ 売上 130 億円・営業利益 10 億円。数量 0.88 倍・価格 1.28 倍(名目)・営業利益率 7.5%
- 食堂(レストラン):数量 90.0(来客数の指数(2026/03 =100))× 価格 0.45(指数 1 あたりの客単価(億円、名目))→ 売上 41 億円・営業利益 1 億円。数量 0.90 倍・価格 1.28 倍(名目)・営業利益率 3.0%
- 売店・その他(洋菓子・食品):数量 90.0(販売量の指数(2026/03 =100))× 価格 0.15(指数 1 あたりの単価(億円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。数量 0.90 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 3.0%
倍率:事業の ROE は約 5%、RONIC は約 6.8%、正当化 PER は約 9.0 倍。上限の 7 割へ引き上げず、7.0 倍に置いた。現金は戻り方 0.5。
確率:景気の後退で法人の会合・接待が絞られる、あるいは婚礼の縮小が速まる。宴会業は 10 年に 1 度は需要が大きく落ちる。
悲観 10% 婚礼が構造的に縮み、宴会場の固定費が重くのしかかる 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,000 円33 億円
婚礼の件数は 3 割減り、法人宴会も縮む。高級路線を維持するための人件費と、13 室の宴会場の償却費・維持費が重くのしかかる。単価は 1.15 倍にしか上がらず、人件費の 1.34 倍に追いつかない。
営業利益は 1 億円台まで下がり、金利の上昇で純損益は赤字になる。宴会場の稼働が落ちた姿は、コロナ禍の 2021/03 期(売上 40 億円、営業損失 34 億円)に似る。
利益で測れば会社の値打ちは小さい。値の下支えは、現金・有価証券と持ち合い株の税後を、借入を含む負債から引いた額だ。宴会場の建物は専用の造りで、売れる額は簿価の 4 割とみる。
- 宴会(婚礼・法人宴会):数量 70.0(施行の件数・規模の指数(2026/03 =100))× 価格 1.33(指数 1 あたりの施行単価(億円、名目))→ 売上 93 億円・営業利益 2 億円。数量 0.70 倍・価格 1.15 倍(名目)・営業利益率 2.0%
- 食堂(レストラン):数量 75.0(来客数の指数(2026/03 =100))× 価格 0.43(指数 1 あたりの客単価(億円、名目))→ 売上 32 億円・営業利益 −1 億円。数量 0.75 倍・価格 1.20 倍(名目)・営業利益率 -2.0%
- 売店・その他(洋菓子・食品):数量 75.0(販売量の指数(2026/03 =100))× 価格 0.14(指数 1 あたりの単価(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。数量 0.75 倍・価格 1.20 倍(名目)・営業利益率 0.0%
倍率:赤字で稼ぐ力は小さい。値の下支えは売れる資産から負債を引いた約 33 億円。筋書きの自己資本 125 億円に対して 0.264 倍として置いた。
確率:結婚式そのものの需要が細り、さらに景気後退かパンデミック級の人流の停止が重なる、リーマン・コロナ級の筋書き。2021/03 期の営業損失 34 億円が前例で、10% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
宴会(婚礼・法人宴会)
本舘の宴会場で、婚礼と法人の会合・パーティーを請け負う。単価の高い高級路線。
| 数量施行の件数・規模の指数(2026/03 =100) | 価格指数 1 あたりの施行単価(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.16 | 116 | 12 |
| 10 年後 中立 | 97.0 | 1.55 | 150 | 16 |
取り方:部門売上 115.6 億(株主通信)。営業利益は部門別の開示が無いので、全社 14.4 億を宴会 12.3 億・食堂 1.6 億・売店等 0.47 億に推定で配分。施行件数・組数は開示が無く、指数 100。
食堂(レストラン)
本舘のレストランと、如水会館・大手町などの営業所の店舗。
| 数量来客数の指数(2026/03 =100) | 価格指数 1 あたりの客単価(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.36 | 36 | 2 |
| 10 年後 中立 | 97.0 | 0.48 | 46 | 2 |
取り方:部門売上 35.5 億(株主通信)。利益は推定配分。来客数は開示が無く指数 100。
売店・その他(洋菓子・食品)
本舘売店と洋菓子などの製造販売。宴会・婚礼の引き菓子も含む。
| 数量販売量の指数(2026/03 =100) | 価格指数 1 あたりの単価(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.12 | 12 | 0 |
| 10 年後 中立 | 97.0 | 0.15 | 15 | 1 |
取り方:部門売上 11.5 億(株主通信)。利益は推定配分。販売量は開示が無く指数 100。
リスクと懸念
婚礼の件数の減少
結婚件数が減り、挙式をしない夫婦も増える。単価の上昇で補えなければ、宴会売上の 7 割が細る。
人件費と人手の確保
調理とサービスの人手不足で賃金が物価以上に上がる。単価に移せなければ、利益率が数ポイント落ちる。
景気と人流の止まり
法人の宴会は景気に連動する。コロナ禍の 2021/03 期は営業損失 34 億円。宴会場の固定費が重く、需要が止まると赤字に落ちる。
本舘への集中
事業の大半が丸の内の本舘に集まる。災害・設備の事故・周辺の再開発の動きが、稼ぎ全体に響く。
借入と金利
借入は 112 億円。借り換えで金利が 3.5% に上がると、利払いが毎年 2〜3 億円増える。更新の投資が借入に回ると、さらに重い。
薄い還元
配当性向が 15% と低く、現金がたまっても株主に渡るとは限らない。持ち合い株の比重も大きい。
今後の分かれ目
- 婚礼の施行件数が 2 年続けて減り、単価の上昇が追いつかない
- やや悲観の確率を上げる。宴会の利益率の前提を下げる。
- 大株主の働きかけで、配当性向が 3〜4 割に上がる、または自社株買いが始まる
- 余った現金の戻り方を 1.0 に近づける。強気の確率を上げる。
- 営業利益率が 10% を超えて定着する
- 償却費の据え置きと単価の上昇が効いている。中立の利益率を上方に直す。
- 内装・設備の大規模な更新計画が出る
- 更新の投資額で現金のたまり方を見直す。借入が増えるなら悲観を重くする。
- 持ち合い株を売却し、借入の返済や還元に回す方針が出る
- 含み益 35 億円を価値に足せる。下支えが厚くなる。
見ておくもの
- 婚礼の施行件数と単価
- 営業利益率(10% の定着)
- 配当性向と自社株買い
- 借入の残高と金利
- 更新の投資計画
- 大株主の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は、ROE が資本コストを上回る事業の式(RONIC を k と ROE の中間に置く)から、上限の 8〜9 割で置いた。今の株価や PER は見ていない。今の PBR が 1 倍に近いことも根拠にしていない。余った現金は戻り方 0.5 で別に足した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→14.66 倍・やや楽観 PER 11→13.82 倍・中立 PER 10.6→13.05 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。