結論
ハウテレビジョンは、難関大学の学生や若手専門職に特化した採用情報サービスを運営する会社である。主力の「外資就活ドットコム」は収益性が高く、顧客企業と学生の双方を集める独自の地位を築いてきた。しかし、筆者の結論は「割高」だ。稼げる採用媒体と、収益化がまだ遠い新規事業を同じ会社が抱え、株主が受け取れる利益の見通しが弱い。
2026年1月期の売上高は約25.6億円、営業利益は約2.5億円だった。新卒サービスだけで20.8億円を売り上げ、共通費配賦前では13.82億円もの営業利益を生む。一方、質問・回答サービス「mond」は売上約0.33億円に対し営業損失3.64億円を計上した。この損失が続く限り、本業で稼いだ資金の相当部分は新事業の実験に使われる。
2026年10月20日には2027年1月期の営業利益予想が1~2億円へ上方修正された。上期の好調は評価できるものの、通期では前年度を下回る見通しである。2025年公表の事業計画には2028年1月期の営業利益15億円という目標があったが、そこへ向かう道筋を現在の利益から確認するのは難しい。足元の一時的な業績改善を、そのまま10年間の利益成長とみなすべきではない。
10年後も優秀な学生と採用企業を結び付ける機能は必要だろう。ただし、情報検索、求人比較、候補者の探索、採用実務はAIエージェントに取り込まれ得る。広告枠の価値が残っても、従来と同じ利用者数や手数料を確保できるとは限らない。5つの筋書きから求めた現在の本質価値は約14.4億円で、比較基準の時価総額約27.7億円を約48%下回る。これは将来の成長可能性を否定する結論ではなく、株主の取り分と時間を考えると、現時点では十分な安全域がないという判断である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、最初の問いは外資就活ドットコムが10年後も採用企業に選ばれるかである。その答えは一定程度肯定できる。難関大学生への接点には価値があり、企業は必要な人材に会えるなら掲載料やイベント費用を支払う。会社の収益の大半がこの領域に集中していることも、事業の仕組みを理解しやすくしている。
ただし、優れた採用媒体を持つことと、株主が十分な利益を受け取れることは別だ。2026年1月期の新卒サービスが生んだ利益は、mondの先行投資と共通費によって大きく減った。オーナー利益とは、事業を維持するための支出を払った後で株主に残る利益である。今の会社は、その利益を新しいサービスへ繰り返し投じる段階にある。既存事業の高い利益率だけを見て、会社全体に高い価値を払うべきではない。
再投資が本当に良い資本配分なら、何年か後に利益と現金創出力が伸びるはずだ。しかしログリオには減損が生じ、mondはまだ大幅な赤字である。利益を生む採用媒体から資金を移す判断に対し、実績に裏付けられた高い増分利回りを確認できない。現金保有は安全性を高めるが、少数株主がその用途を自由に決められないことも忘れてはならない。
さらに、AIエージェントは情報収集や候補者の比較といった採用媒体の利用目的を変え得る。現時点で強いブランドがあっても、そのブランドが将来の企業向け単価を守る証拠とは限らない。筆者なら、堀のある新卒事業を評価する一方、mondの収益化、買収先の投下資本利益率、株主還元の実行を確かめるまでは安全域を厚く要求する。会社を応援したい理由はあるが、それだけでは長期保有する価格を正当化できない。
何で稼ぐ会社か
収益の中心は新卒採用向けの「外資就活ドットコム」だ。外資系金融、コンサルティング、日系大手企業などを志望する学生に、選考体験談、企業情報、スカウト、説明会などを提供する。採用企業は学生との接点を求め、掲載、スカウト、イベント、採用支援などに料金を支払う。一般的な就職情報サイトより狭い対象に特化していることが、企業に高い料金を払ってもらえる理由である。
2026年1月期の新卒サービス売上高は20.80億円だった。会社資料によると、採用企業との累積取引社数は新卒・中途の合計で1,088社、累積会員数は約70.5万人に達する。ただし、これは過去からの累積であり、毎年料金を支払う企業数や現在活動する会員数ではない。売上を10年先まで考えるには、累積会員数よりも、年間の有償顧客数、更新率、顧客当たり売上を重視する必要がある。
中途採用向けの「外資就活ネクスト」は、学生時代から蓄積した会員基盤を若手社会人の転職へつなぐ事業である。収益には採用企業向けの広告・スカウト・イベントに加え、人材紹介に関する成功報酬が含まれる。2026年1月期の売上高は3.49億円、共通費配賦前営業利益は1.67億円だった。候補者の年収が高くなるほど成功報酬を引き上げる余地はあるが、AIによる候補者探索や企業の直接採用が進むと、仲介手数料そのものが圧迫される。
RPOは、2024年に取得したログリオを中心とするエンジニア採用代行である。採用実務を企業に代わって行い、契約顧客と稼働期間から収入を得るため、主力媒体とは異なり人の工数が収益を制約する。2026年1月期は売上高0.96億円、共通費配賦前営業利益0.18億円だった。AIエージェントが求人作成、候補者抽出、連絡、日程調整を実行すれば、従来の工数課金の一部は不要になる。
mondはクリエイターとファンの質問・回答を介した交流サービスで、主に利用者間の有料取引から手数料を受け取る。2026年8月時点で累積質問は1,100万件、同月の質問投稿は約76万件に達したが、投稿数と手数料収入は同じではない。2026年1月期の売上高0.33億円に対する大きな赤字は、利用の拡大を利益に変える仕組みが完成していないことを示す。2026年9月には米国の完全子会社への事業集約を決めたが、これは連結グループ内の再編であり、赤字の解消や親会社の上場廃止を意味しない。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、難関大学生の就職活動という狭い市場で長年蓄積した認知と利用習慣である。会社の過去の説明資料では、会員獲得経路の約8割が口コミやSNSなどの評判によるものとされ、広告費を大量に使うだけでは得られない集客力がうかがえる。さらに、1,000万円以上の取引額がある新卒顧客の割合は、2021年1月期の9%から2025年1月期の30%へ上昇した。高付加価値の商品構成を作る力はあるが、同一商品の継続的な値上げや、解約率の低さを直接証明する数字ではない。
堀、つまり競合が簡単には奪えない強みは、難関大生の情報と採用企業との関係にある。しかし、会員が登録しただけで長期契約が生まれるわけではなく、学生は卒業し、企業は毎年採用媒体を選び直す。顧客が他社へ移るために年単位のシステム移行を要するわけでもない。会員数の累積増加を、そのまま継続課金の強固な堀と評価することはできない。
資本効率にも変化が起きている。過去8年のROE中央値は約19.6%だが、2026年1月期は約6.8%まで低下した。主力媒体の収益性は残っているものの、mondへの投資と共通費が全社利益を削っている。ログリオの取得価額2.3億円に対し、2026年1月期のRPO営業利益は0.18億円である。税後利益を粗く0.13億円と見れば取得価額に対する単年度利回りは約5.5%で、今回の資本コストを下回る。これは厳密な増分ROICではないが、買収後にのれん0.47億円の減損を計上した事実と合わせ、再投資の成果を無条件には評価できない。
財務面では、2026年1月期末に約11.2億円の純現金を持つことが防波堤になる。ただし、現金のすべてが自由に使えるわけではない。オフィス関連支出、契約負債、採用投資、買収資金が必要であり、現金の多さと株主への還元能力は区別すべきだ。事業が突然消える可能性は低いが、現在の収益構造が10年間変わらず続くという確信も持てない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
求人情報サービス市場は大きいが、ハウテレビジョンが取り合うのは、その中の難関大生と若手高所得者という限られた領域である。全国求人情報協会による2024年度の求人情報提供サービス市場規模は6,661億円で、別集計の新形態サービスは3,938億円だった。新卒サービスの売上高20.8億円を前者と単純に比べると約0.31%になるが、母集団にはアルバイトや中途の求人広告も含まれる。これは広い市場に対する規模の物差しであり、難関大生向け市場の厳密なシェアではない。
新卒領域ではワンキャリア、マイナビ、リクナビ、OfferBoxなどが競合する。ワンキャリアは2026年4月末時点で累積有償取引企業7,000社を突破しており、ハウテレビジョンの累積新卒・中途取引社数1,088社とは規模が異なる。ただし集計対象と時点は完全には一致しないため、この比率を市場シェアとは呼ばない。今後10年は、少子化によって新卒採用候補者の総数が伸びにくい一方、専門人材の争奪が続く構図を想定する。市場全体の掲載量が伸びなくても高単価の採用案件は残るが、大手媒体がその領域へ入り込む可能性がある。
中途領域の比較対象として、厚生労働省による2024年度の有料職業紹介手数料総額は約9,835億円だった。会社の中途売上高3.49億円はこの約0.036%に相当するが、実際には広告などの売上も含むため、人材紹介市場での正式なシェアではない。競合にはビズリーチ、LinkedIn、リクルート系の紹介サービス、専門領域に強い転職エージェントがいる。候補者を見付ける作業が自動化するほど、求人情報を保有するだけの仲介者は手数料を守りにくくなる。
RPOについては、競合の開示資料に矢野経済研究所の調査を引用した2024年度予測約640億円という市場規模がある。ログリオの売上高0.96億円は、その定義との単純比較で約0.15%と小さい。競合は大手人材会社や専門の採用代行事業者である。この分野では市場が拡大しても人員の追加が必要になりやすく、AIエージェントが普及すれば単位工数当たりの販売価格には下押し圧力がかかる。
mondが属する有料質問・回答とクリエイター交流には、対象範囲を統一した公的な市場規模や企業別シェアが見当たらない。SNS、質問箱、ファンコミュニティ、生成AIの回答サービスが互いに代替し合うため、投稿件数だけで独占的な地位を主張することは危険だ。他方、人間同士の感情や関係を含む対話は単純な情報回答より代替しにくい。利用の伸びが有料転換率と手数料利益の改善に結び付くかが、今後の市場評価を決める。
資本政策と M&A
経営陣は成長投資とM&Aを重視し、これまで現金配当を実施していない。公式の資本コスト経営方針にはROE8%以上、PBR1倍超という定量目標があるが、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額の数値目標はない。したがって株主還元については「数字の約束なし」である。公式FAQでも配当の実施時期は未定とされており、利益が積み上がれば必ず株主に配られるとは想定できない。
2025年4月公表の事業計画は2028年1月期に売上高約60億円、営業利益約15億円を目指していた。しかし2026年には、スタンダード市場への変更に伴い、同形式の事業計画は今後作成しない方針を明らかにした。2026年10月20日修正後の2027年1月期予想は売上高31億円、営業利益1~2億円である。旧計画と足元の見通しの隔たりは大きく、15億円を達成済みの収益力として扱う理由はない。
M&Aの社内ガイドラインでは、取得価額の目安をEV/EBITDA10倍以下とし、赤字案件は原則として投資額5億円以内に抑える。数値規律自体は評価できるが、ログリオ取得後にはのれんの減損が生じた。今後の買収では、売上の拡大よりも取得資金に対して資本コストを超える税後利益が増えるかを確認したい。mondへの長期投資も同様で、利用者の拡大だけでは資本配分の成功とは言えない。
株主構成は集中している。2026年1月末の上位10株主の持株比率合計は約81.2%であり、過去5年に実質的な大規模自社株買いや増配は確認できない。このため余剰現金が既存株主に戻る割合は保守的に50%と評価する。楽観側の筋書きでは将来の還元開始を考えるが、これは現在の経営方針によって約束された金額ではない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
難関大学生と高い採用意欲を持つ企業を結び付ける仕組みには、総合求人サイトと異なる価値がある。学生が先輩の体験談を読み、選考情報を共有し、その利用実績が次の学年の学生を呼ぶ循環は短期間では再現しにくい。会社が開示した口コミ・SNS経由の会員獲得の多さは、このブランドが広告費だけに依存していないことを示している。採用企業の中で取引額の大きい顧客が増えてきたことも、広告枠の単純販売から高付加価値の採用支援へ移る余地を示す。
中途採用では、新卒で接点を持った人材が社会人になってから再び使う仕組みを広げられる。外資就活ネクストが利用者との関係を維持できれば、採用企業にとって同じサービスから新卒と若手中途の両方へ接点を持てる利点がある。mondも累積質問1,100万件を超える規模まで成長しており、人間による独自の回答やファンとの交流は生成AIの一般的な回答とは異なる。大幅な費用削減によってmondが損益均衡に達すれば、本業の利益が連結利益に表れやすくなる。
財務的には純現金が厚く、急いで不利な条件の増資を行う必要性は低い。M&Aの投資ガイドラインも取得倍率に上限を設けている。過去の減損を反省し、収益性の高い案件だけを選べば、採用媒体が生む現金を効果的に再投資できる可能性はある。将来の利益の使い道が株主還元へ移れば、これまで内部留保を優先していた会社への評価も変わる。もっとも、これらは現時点で成果を確認した事実ではなく、経営判断が改善する場合の上振れ余地である。
慎重な見方
この会社の強みに見える学生会員基盤は、毎年卒業によって入れ替わる。過去からの累積会員数が増えても、現在利用する学生や実際に採用へ至る企業が同じ割合で増えるとは限らない。ワンキャリアをはじめとする競合も選考体験談、スカウト、企業情報を充実させており、難関大生という限られた市場を独占できる状況ではない。採用企業の広告予算が競合へ移るだけでも、新卒事業の高い利益率は崩れ得る。
AIエージェントが導入されると、学生は個々の媒体を巡回せずに求人情報を比較し、企業は複数のデータ源から候補者を探せるようになる。人が操作する画面や記事閲覧数を収益の根拠にするサービスは、訪問回数と料金の両面で圧力を受ける。ログリオの採用代行でも、求人票作成、スカウト、連絡、日程調整といった工数を機械が代替できる。これは一時的な景気後退ではなく、収益を生む仕事の単位が変わる問題である。
mondについては利用者の伸びより採算の遅れが重い。2026年1月期には売上の10倍を超える営業損失を出しており、支出を継続すれば採用媒体が生む利益を吸収する。ログリオの買収でのれん減損が起きたことも、資本配分の不確実さを示した。旧事業計画の目標と現在の利益予想には大きな隔たりがあり、会社の長期説明をそのまま利益予測に採用することはできない。
株主還元の時期も約束されていない。純現金が多くても、追加の買収や新規事業に使われれば既存株主の回収額は増えない。ストック・オプションによる小幅な希薄化もある。主力事業の価値を否定する必要はないが、それを持つ会社全体の株式に高い価値を払う理由は乏しい。
どちらに重みを置いたか
新卒採用媒体の収益力については強い見方に根拠がある。しかし、会社全体の投下資本利益率と株主への現金還元については慎重な見方が優勢だ。中立の数量と単価にはAIエージェント代替の影響をすでに織り込んでおり、同じ理由で資本コストや悲観確率を重ねて悪化させていない。それでもmondの大幅赤字、ログリオの減損、配当実績の欠如という会社固有の事実が残る。したがって上側24%に対し下側41%へ確率を寄せた。悲観側でも純現金の資産床を守る一方、旧計画どおりの高成長には高い確率を与えず、長期価値は現在の時価総額を大きく下回ると判断した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/01 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,030 円28 億円(+ 還元の換算額還元の合計 26 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 530 円14 億円、今との差 −47.3%、 期待の年率 +0.5%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,447 円94 億円 | 180 円5 億円 | +260.5% | +14.2% | 290 円8 億円 |
| やや楽観 | 16% | 1,865 円51 億円 | 72 円2 億円 | +92.5% | +6.9% | 310 円8 億円 |
| 中立 | 35% | 813 円22 億円 | 0 円0 億円 | −19.2% | −2.1% | 284 円8 億円 |
| やや悲観 | 27% | 427 円12 億円 | 0 円0 億円 | −57.6% | −8.2% | 115 円3 億円 |
| 悲観 | 14% | 403 円11 億円 | 0 円0 億円 | −60.0% | −8.7% | 56 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,030 円28 億円 | 26 円1 億円 | +5.0% | +0.5% | 1,056 円29 億円 |
今の株価時価総額 1,006 円27 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 専門採用媒体が生き残り、mondが損益均衡に到達 利益 7 億円 · PER 14.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,447 円94 億円
専門性の高い採用市場では、人材への確実な接点を持つ媒体が引き続き必要とされる。外資就活ドットコムは難関大学生からの認知を維持し、学生数そのものが減る中でも採用企業の予算を競合から獲得する。顧客当たり売上は物価上昇に近い水準で増え、広告だけでなくスカウトやイベントの価値も守る。AIによる候補者探索は普及するが、企業は候補者との直接的な関係を作れる媒体にも費用を支払う。
外資就活ネクストは新卒事業との顧客連携が進み、若手高所得者の採用支援で販売単価を維持する。ログリオは工数型の仕事を高付加価値業務へ移すことで契約規模を守る。ただし、AI関連商品による実際の売上増を確認できないため、各事業の実質数量は現在を超えない保守的な上限にとどめる。
最大の変化はmondで、投資の規律が強まり、利用者を増やすための費用が抑制される。質問・回答を行う人間同士の関係が有料課金を支え、少なくとも赤字は解消する。買収先でも追加減損が生じず、経営は余剰現金の一部を配当または自社株買いで株主に戻し始める。この結果、採用媒体の高い利益率が会社全体にも現れる。
- 新卒採用支援・外資就活ドットコム:数量 320(年間の有償取引企業・契約数の換算値(社年、推定))× 価格 0.09(1社年当たりの広告・スカウト・イベント等の平均売上(億円))→ 売上 28 億円・営業利益 19 億円。年間有償企業換算320社年を維持し、平均単価は物価10年分の約1.34倍。高付加価値商品への移行が継続する。
- 中途採用支援・外資就活ネクスト:数量 120(年間の採用成約相当件数(件、広告売上も成約相当額に換算した推定値))× 価格 0.04(1件当たりの広告・採用手数料混合の売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。成約相当量は維持。報酬単価は年収と採用単価の名目上昇に沿って約1.34倍。
- 採用代行・ログリオ:数量 80.0(年間の顧客契約月数(社月、推定))× 価格 0.02(1顧客月当たりの採用代行報酬(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。工数型事業の数量は増やさず現状維持。価格は最大でも物価並みの上昇にとどめる。
- 知見共有・質問回答サービスmond:数量 16,450(年間の手数料発生有料質問相当件数(件、推定))× 価格 0.00(1件当たりプラットフォーム受取手数料(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。有料質問相当量は現状維持だが、運営費の大幅な削減で損益均衡を実現する。
倍率:ROEは6.51÷44.1=14.76%、kは7.25%。通常の堀の残存率1/2からRONIC=7.25%+(14.76%−7.25%)÷2=約11.0%。g_longの1.0%を使い、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.546倍とした。余剰現金4.0億円の税後受取利息0.056億円を純利益から除き、現金回収率50%に相当する2.0億円を加える。取得した現金と事業利益の二重計上はしない。
確率:難関大生の採用市場で相対シェアを保ちながら、採用企業への販売単価を物価並みに維持し、mondの年間赤字を解消する必要がある。RPOにもAI代替圧力がある中で、複数事業の経営判断がそろって成功するため、低い確率に限定する。
やや楽観 16% 媒体の収益性が続き、新規事業の損失が縮小 利益 4 億円 · PER 14.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,865 円51 億円
外資就活ドットコムは難関大生の情報を求める企業との関係を保ち、大手媒体と競争しながら顧客当たり売上を増やす。採用候補者の探索や初期選考にはAIが使われるようになるものの、学生に直接接触できる企業向け商品の需要は残る。年間の有償企業換算数量はわずかに減るが、単価の上昇が減少を補う。
中途採用ではスカウトと広告の価格競争が進み、成約相当量がやや減少する。それでも高年収者の採用に関わる売上は確保できる。ログリオは採用実務の自動化によって従来の契約量を一部失うが、専門的な採用判断や企業への助言を提供し続ける。
mondは海外展開や多言語化によって利用者の交流を維持するが、売上が急増するとは考えない。その代わり、投資対象を絞り、営業赤字を小さくする。2024年の買収で得た事業の採算を改善し、資本コストを超えない買収は控える。経営が成長投資一辺倒から少額の還元へ移ることで、会社全体の収益性が回復する筋書きである。
- 新卒採用支援・外資就活ドットコム:数量 310(年間の有償取引企業・契約数の換算値(社年、推定))× 価格 0.08(1社年当たりの広告・スカウト・イベント等の平均売上(億円))→ 売上 25 億円・営業利益 16 億円。実質数量は0.969倍、名目単価は1.262倍。物価上昇を完全には価格へ転嫁できない。
- 中途採用支援・外資就活ネクスト:数量 110(年間の採用成約相当件数(件、広告売上も成約相当額に換算した推定値))× 価格 0.04(1件当たりの広告・採用手数料混合の売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。成約相当数量0.917倍、単価1.203倍。専門採用の価値は残る。
- 採用代行・ログリオ:数量 65.0(年間の顧客契約月数(社月、推定))× 価格 0.02(1顧客月当たりの採用代行報酬(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約顧客月は0.813倍。高単価の専門業務が一部残る。
- 知見共有・質問回答サービスmond:数量 16,000(年間の手数料発生有料質問相当件数(件、推定))× 価格 0.00(1件当たりプラットフォーム受取手数料(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。有料取引相当量は大きく増やさず、開発・販促費を抑えて赤字を縮小する。
倍率:ROEは3.58÷35.6=10.06%、kは7.25%。通常の堀の残存率1/2を用いるRONICは約8.65%。g_long=1%から正当化PER=(1−0.01÷RONIC)÷(0.0725−0.01)=14.151倍となる。純利益から余剰現金4億円の税後利息0.056億円を除外して利益価値を計算し、現金回収率50%の2億円を加えた。
確率:既存企業の取引深耕とmondの赤字削減は実行可能な経営課題だが、ワンキャリアなど競合との争いがあり、採用代行では人月単位の需要減少が見込まれる。既存媒体の収益を守ることには一定の可能性を認める。
中立 35% 難関大生市場は残るが、情報仲介の価値は薄くなる 利益 2 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 813 円22 億円
外資就活ドットコムは難関大学生にとって有用なサービスとして残るが、求人情報の検索や企業比較はAIエージェントに吸収される。学生の媒体訪問数と企業が媒体に支払う広告予算は、従来ほど連動しなくなる。国内新卒人口の減少と競合の攻勢を考え、年間の有償顧客相当量は現在の9割へ減る。高付加価値のイベントや採用支援には値上げ余地が残るものの、平均単価の上昇は物価を下回る。
中途領域では採用企業がAIを使って候補者を見付け、成功報酬を支払う案件が減る。採用時の判断や人間関係を支える専門サービスは残るが、成約相当量は15%減少する。ログリオの採用代行では、単純な採用事務の多くが自動化され、現在の契約顧客月数の約65%しか維持できない。
mondでは投稿・交流が続くが、収益化は限定的なままになる。投資を抑制して年間赤字は縮小するものの、独立した大きな利益源にはならない。共通費は人件費や賃料の上昇により重く、既存事業で稼いだ利益の大部分を消費する。配当や大規模な自社株買いは始まらず、自己資本は積み上がるが、ROEは資本コストを下回る。
- 新卒採用支援・外資就活ドットコム:数量 288(年間の有償取引企業・契約数の換算値(社年、推定))× 価格 0.08(1社年当たりの広告・スカウト・イベント等の平均売上(億円))→ 売上 23 億円・営業利益 15 億円。有償企業相当量0.90倍、単価1.215倍。国内新卒人口の減少とAI検索による直接来訪減少が数量を抑える。
- 中途採用支援・外資就活ネクスト:数量 102(年間の採用成約相当件数(件、広告売上も成約相当額に換算した推定値))× 価格 0.03(1件当たりの広告・採用手数料混合の売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。成約相当数量0.85倍、単価1.10倍。直接採用・AI探索による仲介手数料低下を反映する。
- 採用代行・ログリオ:数量 52.0(年間の顧客契約月数(社月、推定))× 価格 0.02(1顧客月当たりの採用代行報酬(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替により契約工数相当量0.65倍、月額単価は1.25倍。工数の減少を単価で完全には補えない。
- 知見共有・質問回答サービスmond:数量 14,800(年間の手数料発生有料質問相当件数(件、推定))× 価格 0.00(1件当たりプラットフォーム受取手数料(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 −1 億円。有料取引相当量0.90倍、単価1.20倍。費用削減は進むが、通年では赤字が残る。
倍率:2036年のROEは1.55÷26.1=5.94%で資本コスト7.25%を下回る。したがって10年より先の成長に価値を加えず、利益価値の上限である1÷k=13.793倍を使う。余剰現金4億円の税後受取利息0.056億円を事業純利益から除き、余剰現金の株主への戻り方50%に相当する2億円を足す。現在の株価や同業のPERを倍率の根拠にしていない。
確率:下に寄せる理由:主力新卒サービスは現に利益を出している一方、mondは2026年1月期に3.64億円の営業赤字、ログリオではのれん減損を計上した。競合とのシェア争いに加え、利益の再投資先が全社ROEを高めていないため、中立を最頻の筋書きとしながら下側にも厚い重みを置く。AI代替による数量減少はすでにこの筋書きに織り込んでいる。
やや悲観 27% 競争で単価が伸びず、固定費を削って利益を守る 利益 1 億円 · PER 13.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 427 円12 億円
ワンキャリアなど競合の情報量と営業力が増し、外資就活ドットコムは優良企業向けの一定の地位を残しながら、顧客の一部を失う。採用企業はAIによる候補者探索を強化し、媒体の広告枠に従来ほど予算を投じなくなる。新卒サービスの有償顧客相当量は約22%減り、販売単価も10年間の物価上昇率ほど上がらない。
中途採用では紹介案件が減り、ログリオでは人月型の採用実務がさらに縮小する。それでも採用判断や顧客対応の一部は人間が担うため、サービスそのものは維持できる。企業は販売力の低下に合わせて従業員と管理部門を縮小し、収益悪化を部分的に吸収する。
mondは損失を抑えるために広告宣伝と開発投資を大幅に減らすが、十分な利益を生む事業にはならない。追加買収は実施せず、これまで取得した事業の採算を立て直す。税後利益は小さく、自己資本に対する利回りは資本コストを大きく下回る。株主への配当も始まらず、事業の存続より資本の使い道が問題になる10年である。
- 新卒採用支援・外資就活ドットコム:数量 250(年間の有償取引企業・契約数の換算値(社年、推定))× 価格 0.07(1社年当たりの広告・スカウト・イベント等の平均売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 11 億円。有償顧客相当量0.781倍、単価1.123倍。競合によるシェア侵食が続く。
- 中途採用支援・外資就活ネクスト:数量 90.0(年間の採用成約相当件数(件、広告売上も成約相当額に換算した推定値))× 価格 0.03(1件当たりの広告・採用手数料混合の売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。成約相当量0.75倍。採用企業の直接採用が増え、成功報酬を確保しにくい。
- 採用代行・ログリオ:数量 48.0(年間の顧客契約月数(社月、推定))× 価格 0.01(1顧客月当たりの採用代行報酬(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。工数型の契約量は0.60倍、単価は1.083倍。追加の値上げ余地は限定的。
- 知見共有・質問回答サービスmond:数量 12,000(年間の手数料発生有料質問相当件数(件、推定))× 価格 0.00(1件当たりプラットフォーム受取手数料(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。有料取引が減るため事業規模を縮小。投資抑制によって赤字を限定する。
倍率:ROEは0.84÷19.1=4.40%でk7.25%未満となる。事業利益から認める倍率は1÷k=13.793倍以下とし、競争力の低下と回復投資の必要性から13倍に抑える。余剰現金を中立の75%に縮小した3億円とし、税後利息0.042億円を純利益から除き、50%の回収相当額1.5億円を加える。終価11.874億円は純現金の資産床11.2億円を上回り、事業純利益を資本コストで割った稼ぐ力と余剰現金の合計も超えない。
確率:AI代替による数量・価格の縮みは数値に反映済みであり、ここではmondの追加投資をやめる決断、企業の採用予算縮小、競合への顧客流出、固定費削減の実行難度を別に評価する。主力が存続しても全社の資本効率が悪化する可能性は小さくない。
悲観 14% 情報仲介の地位を失い、縮小均衡へ追い込まれる 利益 0 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 403 円11 億円
求人情報の検索と候補者探索がAIエージェント経由へ移り、企業が個別の求人媒体へ支払う料金は大きく削減される。外資就活ドットコムは難関大生という専門領域で小さな顧客基盤を残すが、優良企業の採用予算をワンキャリアなどへ奪われる。10年後の新卒サービスは有償顧客相当量が現在の約6割まで落ち、単価も名目でほとんど上がらない。主力の広告媒体としての地位は大きく後退する。
外資就活ネクストでは企業が候補者と直接つながり、紹介手数料の高い案件が減る。ログリオは採用実務の自動化と顧客の内製化によって契約量が半分になる。mondでは無料の投稿は残っても有料取引が伸びず、事業を最小限の規模に縮小する。追加買収は失敗を避けるため止め、経営陣は固定費の大規模な削減に追われる。
10年の途中には損失や事業整理費用が生じるが、買収と新規投資を停止し、人員・オフィスを縮小することで2036年には損益均衡近くへ戻す。利益による価値創出はほぼ失われ、評価の中心は借入金を差し引いた既存の現金となる。これは会社が解散するという予測ではなく、事業の将来利益を高く評価できなくなったときの資産基準の下限である。
- 新卒採用支援・外資就活ドットコム:数量 195(年間の有償取引企業・契約数の換算値(社年、推定))× 価格 0.07(1社年当たりの広告・スカウト・イベント等の平均売上(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 8 億円。年間有償企業相当量0.609倍、平均単価は10年間据え置き。実質の価格競争力を失う。
- 中途採用支援・外資就活ネクスト:数量 62.0(年間の採用成約相当件数(件、広告売上も成約相当額に換算した推定値))× 価格 0.03(1件当たりの広告・採用手数料混合の売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。成約相当量0.517倍、名目単価も低下し、広告と仲介の双方で競争力を失う。
- 採用代行・ログリオ:数量 40.0(年間の顧客契約月数(社月、推定))× 価格 0.01(1顧客月当たりの採用代行報酬(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。人月型の契約量が半分になり、顧客からの値上げ承認も得られない。
- 知見共有・質問回答サービスmond:数量 8,000(年間の手数料発生有料質問相当件数(件、推定))× 価格 0.00(1件当たりプラットフォーム受取手数料(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。投資をほぼ停止した小規模な運営に縮小し、赤字をほぼ解消するが成長価値は残らない。
倍率:営業基盤が構造的に縮み、2036年のROEは0.02÷14.1=約0.14%で資本コスト7.25%に遠く及ばない。利益の永続価値ではなく、現在の純現金15.20億円から借入3.98億円を引いた約11.2億円の資産床を採る。PBR0.794326倍は現在の自己資本14.1億円に掛けるものであり、10年間の留保利益を積み上げた将来純資産には掛けない。のれん約0.71億円、ソフトウエアなどの無形資産には清算価値を付加せず、契約負債や清算費用が実現額を下げ得る点は不確実性として残す。
確率:新卒採用の主要顧客を競合へ奪われ、直接採用とAIエージェントへの切り替えが長期間進み、同時にmondから撤退に近い縮小を迫られる複合シナリオである。採用媒体自体が完全に消えるわけではないため倒産を既定とはしないが、会社の従来の優良さを失う可能性を無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
新卒採用支援・外資就活ドットコム
難関大学生向けの採用情報、スカウト、イベント、求人広告を企業へ販売する自社媒体型のプラットフォーム。広告制作・運用を請け負う人月型代理店とは区別し、AIによる媒体訪問減少と販売単価への影響を評価する。
| 数量年間の有償取引企業・契約数の換算値(社年、推定) | 価格1社年当たりの広告・スカウト・イベント等の平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 320 | 0.07 | 21 | 14 |
| 10 年後 中立 | 288 | 0.08 | 23 | 15 |
取り方:2026年1月期決算説明資料で確認した新卒サービス売上20.80億円、共通費配賦前営業利益13.82億円を起点とする。年間の有償企業数は非開示であり、累積取引社数1,088社は中途を含み毎年の課金社数ではない。そこで年間約320社年、平均650万円という明示的な推定を採る。2025年1月期に1,000万円以上の取引顧客割合が30%という会社開示とも整合する程度の単価であり、実測顧客数ではない。全国求人情報協会の広義求人情報提供市場6,661億円に対する売上比は約0.31%だが、新卒に限定した市場シェアとは異なる。AIエージェント代替の分類は自社媒体の広告枠型で、中立の有償顧客相当数量0.90倍、単価1.215倍とする。
中途採用支援・外資就活ネクスト
高年収の若手社会人への採用広告、スカウト、イベント、成功報酬型の紹介などを提供する。自社媒体・情報仲介の比率が高く、AIエージェントが候補者探索を担うリスクを負う。
| 数量年間の採用成約相当件数(件、広告売上も成約相当額に換算した推定値) | 価格1件当たりの広告・採用手数料混合の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 120 | 0.03 | 3 | 2 |
| 10 年後 中立 | 102 | 0.03 | 3 | 1 |
取り方:会社開示の中途サービス売上3.49億円、共通費配賦前営業利益1.67億円を用いる。広告と成功報酬が混ざるため純粋な転職決定件数は不明である。会社が過去に示した平均転職決定年収約831万円に仮の報酬率35%を掛けると約291万円となるため、売上全体を約120件の成約相当量に換算した。これは実際の紹介成立人数ではない。厚生労働省の2024年度有料職業紹介手数料市場9,835億円と比較すると売上比約0.036%だが、広告収入も含むため厳密な紹介市場シェアではない。AIエージェント代替の分類は自社媒体・情報仲介および操作画面依存型であり、中立数量0.85倍、平均単価約1.10倍に抑える。
採用代行・ログリオ
エンジニア採用の実務を顧客企業に代わって行い、稼働する顧客と契約期間から報酬を得る工数・人月型サービス。
| 数量年間の顧客契約月数(社月、推定) | 価格1顧客月当たりの採用代行報酬(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 80.0 | 0.01 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 52.0 | 0.02 | 1 | 0 |
取り方:2026年1月期のRPO売上0.96億円、共通費配賦前営業利益0.18億円が会社開示値である。契約顧客数と月額契約料は開示されていないため、年間80顧客月、1顧客月120万円という換算を採用した。年間を通じた顧客企業は6~7社程度に相当するが、これも確認された顧客数ではない。矢野経済研究所調査を引用した競合資料では2024年度の採用アウトソーシング市場が約640億円と予測され、同社売上はその約0.15%である。AIエージェント代替の分類は人月・工数型であり、中立の数量は80から52へ0.65倍、単価は物価上昇率以下の1.25倍とする。
知見共有・質問回答サービスmond
クリエイターとファンの質問・回答を通じた交流を提供し、有料のやり取りから手数料を得る自社プラットフォーム。独自の対人関係は残り得るが、情報回答機能は生成AIと競合する。
| 数量年間の手数料発生有料質問相当件数(件、推定) | 価格1件当たりプラットフォーム受取手数料(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 16,450 | 0.00 | 0 | −4 |
| 10 年後 中立 | 14,800 | 0.00 | 0 | −1 |
取り方:2026年1月期会社開示のmond売上は約0.33億円、共通費配賦前営業損失は約3.64億円。個別の手数料発生件数や平均手数料は非開示のため、仮の平均受取手数料2,000円で年間約16,450件に換算した。会社は2026年8月時点で累積質問1,100万件、当月約76万件の投稿を公表したが、これは大半が無償のやり取りを含む投稿量であり有料件数ではない。対象を統一した市場規模・競合シェアは不明で、投稿数を手数料市場に直接換算しない。AIエージェント代替の分類は自社プラットフォーム型と情報サービス型の混合で、中立の有料取引相当数量0.90倍、手数料単価1.20倍とする。
リスクと懸念
AIエージェント代替による広告・情報仲介需要の縮小
外資就活ドットコムと外資就活ネクストは自社媒体の会員基盤を持つが、利用者が個別サイトを検索・操作する価値はAIエージェントによって薄れる。採用企業も候補者抽出や連絡を自動化できるため、スカウト課金や求人広告の料金を引き下げようとする。中立ではこの影響を実質数量と単価、10年より先の成長率に反映し、さらに資本コストへ重ねていない。
mondの赤字継続と追加投資
2026年1月期のmondは売上約0.33億円に対し営業損失約3.64億円を計上した。累積質問件数や多言語対応は利用の広がりを示すが、有料転換率とプラットフォーム手数料の採算を保証しない。売上の伸びより開発費・販促費・海外運営費が速く増えれば、主力の採用事業が生む利益が引き続き新規事業に消費される。
新卒採用の顧客集中と競合媒体
難関大学生を採用したい企業は限られており、大口顧客の広告予算変更が業績に影響しやすい。ワンキャリア、マイナビ、リクナビ、OfferBoxなどは情報量と企業向け営業体制を拡大している。専門領域でブランドが残っても、継続率や高単価の取引が落ちれば、共通費配賦前に高い利益率を持つ新卒サービスから全社利益が急減する。
M&Aの投下資本利益率と追加減損
2024年にグループへ迎えたログリオでは、2026年1月期にのれん約0.47億円の減損が生じた。会社はEV/EBITDA10倍以下を目安とする取得方針を持つが、買収前の計画と実際の収益が一致する保証はない。今後も人材・技術・ライフスタイル領域に買収対象を広げる場合、利益を生む既存事業の現金が資本コストを下回る投資に回る危険がある。
オフィス固定費・借入金利・契約上の支出
2026年1月期の純現金は厚いが、新オフィスへの移転、内装等への投資、賃料、ソフトウエア投資が発生している。借入残高約3.98億円の金利は約1.1~1.2%だったため、将来3.5%で借り換えれば利払いが増える。運用可能な預金への受取利息増加と別々に見る必要があり、現在の純現金をそのまま全額配当できる現金とは扱えない。
少数株主への還元不足と希薄化
上位株主の保有は集中し、配当は未実施で、株主還元の数値目標もない。現金を追加の事業投資や買収へ使い続ければ、自己資本が増えても既存株主の回収価値は高まらない可能性がある。さらに2025年に付与された新株予約権などによる潜在的な希薄化があり、将来の株式報酬の追加付与についても、利益率だけでなく既存株主の取り分を確認すべきである。
古い成長目標と現実の利益水準の乖離
2025年公表の事業計画は2028年1月期の営業利益約15億円を目指したが、2026年10月20日修正後の2027年1月期予想は1~2億円にとどまる。目標の存在を今の収益力の証拠として扱えば価値を過大評価する。将来の売上成長が続いても、mondの投資額と共通費が膨らめば、株主が受け取れる税後利益は増えない可能性がある。
今後の分かれ目
- 新卒サービスで年間有償取引社数と継続率が開示され、取引額1,000万円以上の顧客が増え続けたら
- 累積社数ではなく毎年の課金数量と単価を分けて検証する。実質顧客数と同一サービス単価の両方が維持されていれば、中立の新卒数量と価格を引き上げ、堀の評価も見直す。
- AIエージェント経由の応募が増えても媒体の有料契約更新率と採用成果が落ちなかったら
- AIによる情報仲介の縮小幅を小さくする。独自データや採用成果に対する具体的な契約実績が確認できる場合だけ、10年以降の成長率と価格決定力を再評価する。
- RPOの契約顧客月数が減る一方で、成果報酬型の売上と利益が継続的に増えたら
- 人月型から成果報酬への移行を事実として確認し、RPO数量の縮小率を緩める。単にAIを導入したという発表だけでは、成果報酬化の証拠とはしない。
- mondの有料質問件数・平均手数料が開示され、宣伝費や開発費を含めた通期営業損益が黒字になったら
- mondを将来利益を生む事業として評価し直す。累積質問数や無料利用者数だけが伸びる場合は収益化の進展とみなさず、赤字の縮小を優先して確認する。
- 新たな買収後の税後利益が取得価額に対して資本コストを超え、減損なしで3年以上続いたら
- 経営の再投資能力を上方修正する。逆に追加減損や大幅な事業計画未達が起きれば、買収に使われる現金の株主回収割合と中立の資本効率を引き下げる。
- 配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額のいずれかについて具体的な約束と実行が確認されたら
- 余剰現金が株主に戻る割合を50%から再評価し、10年間の還元額も見直す。方針を検討するという文章だけでは現金の回収可能性を引き上げない。
- 2027年1月期の最終着地で営業利益が修正予想を超え、その後もmondの損失が縮小し続けたら
- 単年度の上振れを季節性と一過性費用削減に分け、持続的な費用構造改善が確認できた範囲だけ中立の利益率を引き上げる。2028年の旧計画値を無条件に復活させない。
見ておくもの
- 新卒サービスの年間有償取引社数、契約更新率、1社当たり売上
- 取引額1,000万円以上の新卒顧客割合と同一商品での値上げ実績
- 新卒・中途それぞれの月間活動会員数、応募・採用成果、企業の再契約率
- 外資就活ネクストの実際の転職決定件数と決定年収、広告売上と成功報酬の構成
- ログリオの契約顧客月数、工数課金と成果報酬の構成、税後利益
- mondの有料質問件数、課金率、受取手数料、事業営業損益と海外展開費
- ワンキャリアなど競合の取引社数と難関大学生向け商品の浸透
- 買収に使った現金と買収先の税後利益、のれん減損、追加の新株予約権
- 現預金、契約負債、借入残高、借入金利、オフィス支出
- 配当・自社株買いの実行額と発行済株式数の変化
- 2027年1月期の通期利益着地と、過去の2028年1月期計画との隔たり
倍率と資本コストの決め方
事業価値は現在の株価や市場PERから決めていない。新卒は年間有償企業換算数と顧客単価、中途は採用成約相当量と単価、RPOは顧客月数と月額報酬、mondは有料質問相当件数と手数料から2036年の売上を積み上げた。人数や社数が未開示の箇所は、会社の売上と公表された価格帯に基づく推定であることを明記し、累積会員数を年間販売数量に読み替えていない。AIエージェント代替は中立の数量・単価とg_longのみに反映し、資本コストで二重に罰していない。楽観から中立のPERはROE、RONIC、k、長期成長率から計算し、悲観側は利益の稼ぐ力と純現金の床を比較した。2026年10月20日の業績修正は分析時点までの追加情報として反映したが、株価と株数の比較基準は添付の2026年10月19日データに固定している。各筋書きで10年間に残る現金の額は実測できないため、事業に必要な資本を超える未確認の将来現金を自動的に全額上乗せすることは避けた。資本コスト7.25%、全数権利行使時の既存株主取り分97.67%、期間還元を5年時点で受け取る共通仮定による現在価値は約14.4億円となる。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債利回り3.0%と株式リスクプレミアム4.5%から基本7.5%とし、純現金の厚さに伴う質の調整-0.25%を加えて7.25%とする。個別の買収失敗やmond赤字は数量、利益率、確率へ反映し、追加の資本コストにはしない。
同じ業種(サービス業)の AI 分析
読んだ資料
- ハウテレビジョン 2026年1月期 第4四半期決算説明資料(サービス別売上・営業利益・累積取引社数・ビジネスモデル)
- ハウテレビジョン 2026年1月期 有価証券報告書(現預金・借入・のれん・株主構成・新株予約権)
- ハウテレビジョン 2025年4月21日 事業計画及び成長可能性に関する事項(旧2028年目標・取引単価の動向)
- ハウテレビジョン 2027年1月期 第2四半期決算短信(2026年9月9日)
- ハウテレビジョン IR情報(2026年10月20日の業績予想修正等の開示一覧)
- ハウテレビジョン 資本コスト経営(ROE・PBR目標)
- ハウテレビジョン 外部成長(M&A投資ガイドライン)
- ハウテレビジョン よくある質問(株主還元方針・中期計画の作成方針)
- 全国求人情報協会 2024年度求人情報提供サービス市場規模調査
- 厚生労働省 有料職業紹介事業に関する手数料収入の推移
- ワンキャリア 累積取引社数7,000社突破のお知らせ
- ハウテレビジョン mond累積質問1,100万件・6言語対応に関する発表
- 採用アウトソーシング市場約640億円を引用した競合の決算説明資料