結論
グラッドキューブはネット広告の運用代行とウェブ解析ツール「SiTest」で稼ぎ、その利益をスポーツデータ事業「SPAIA」や米国向け競馬予想サービスの開発に投じる会社だ。長く持つ株主にとっての結論は割高である。現在の時価総額約35億円を正当化するには、稼ぐ広告事業を守るだけでなく、開発投資を継続的な純利益へ変える必要がある。
マーケティングDX事業は2025年に約15億円を売り上げ、約5.3億円のセグメント利益を生んだ。ところがテクノロジー事業は約3.1億円の赤字で、共通費も吸収すると全社は営業赤字となる。2026年上期には連結黒字へ転じ、広告手数料の増加と経費圧縮が確認できたが、上期の改善だけで10年間の利益を保証することはできない。
最大の変化はAIエージェントの普及だ。広告の入札・制作・分析は、顧客が人に依頼していた工程を自動化しやすい。SiTestの画面操作を代行するAIも増え、従来の席課金や手数料率は物価ほど上がらない可能性が高い。一方、SPAIAにはスポーツ情報の蓄積と有料会員がある。しかし、その価値を収益化し、競馬データ利用許諾を守り続けられるかはまだ実証途上だ。
中立では広告・ツールの顧客口座が今より減り、コスト合理化によって連結純利益は約0.9億円まで回復する。それでも資本コストを安定して上回るほどの収益性は見込まない。5つの筋書きで上振れの芽を残しても、AIが従来業務を置き換える速さと新事業の赤字を考慮すれば、現値から十分な安全域は得られない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の目でまず問うべきは、広告の売上が増えるかではなく、その広告を運用するために顧客が10年後も対価を払うかである。広告媒体そのものは残っても、入札の設定やレポート作成を代行する人の時間は減る。SiTestの解析技術も、画面を使わず指示だけで操作できるエージェントが普及すれば競争上の位置が変わる。値上げの実績だけで10年先の価格決定力まで認めることはできない。
それでも無価値な事業ではない。顧客の広告成果に責任を持ち、実装まで引き受ける仕事は残る。2026年に見られた業務効率化の成果を会社自身の利益率に結びつけられれば、縮む契約件数の中でもまとまった現金を生み続ける可能性がある。ただしその現金は、競争力維持のための製品更新やデータ利用料を払った後の金額で測らなければならない。
いちばん慎重になるのは、稼ぎ頭から別の事業へ資金を移す判断だ。2024年の減損と米国競馬予想システムの先行投資は、新しい売上を得る難しさを示している。経営陣が事業の可能性を信じることと、その成長が株主に帰属することは異なる。開発を長く続けても増分の資本利益率が8%台の資本コストに届かないなら、投資を止め、現金を返す方が合理的だ。
保有者にとっての安全域は、純現金が厚いという一事だけでは作れない。広告取引の決済資金と開発資金を残せば、直ちに換金できる余剰は限られる。大株主の支配下で還元実績も薄いため、帳簿の1円を少数株主の1円として扱えない。広告事業の利益が持続し、スポーツ事業が赤字を止め、余った現金が実際に戻る。この三つの証拠がそろう前に高い値段を払う理由は乏しい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ頭はマーケティングDX事業である。GoogleやMetaなどの広告媒体を使う企業から運用手数料を受け取り、広告制作、改善提案、ウェブサイトの分析・最適化を提供する。自社ツール「SiTest」は訪問者の動きを分析し、離脱や購買率の改善を支援する。広告運用とツールを一緒に売れば顧客にとって相談先が一つになるが、個々の契約が永続的に固定されるわけではない。
2025年の同事業売上は14.96億円、セグメント利益は5.28億円だった。広告運用とSiTestの個別売上は継続して精密に開示されていないため、両者を恣意的な金額に分けるより、会社公表の平均稼働アカウント数を契約量の目安にする。2025年末の平均957件は広告とSaaSの合計であり、SiTest単独の有料契約数ではない。2026年上期にこの数が868件へ落ちた事実は、単価上昇だけでは隠せない数量の警告である。
もう一つのテクノロジー事業は、受託DX開発、AIアバターの「AvaTwin」、スポーツ情報「SPAIA」「SPAIA競馬」を抱える。2025年売上は2.59億円、セグメント損失は3.09億円だった。SPAIAの登録会員は2025年末で15万2,393人、2026年上期には16万4,059人へ増えたが、全員が料金を払うわけではない。スポーツナビ、MBSラジオ、テレビ局への情報提供は信用の材料になるものの、登録者数と有料課金・データ販売額は区別して見る必要がある。
2025年設立の米国子会社SPAIA, Inc.は「STABLE GENIUS」「RYUMA」といった競馬予測システムを開発する。現段階の開発費は先に出ており、米国向けサービスの継続課金や事業利益が十分に立証されたとは言えない。主力広告事業の利益が外国市場での研究開発を支える、資金移転の構図が会社全体のオーナー利益を決めている。
優良さと弱いところ
質のよい部分と、そうでない部分の落差が大きい。SiTestには長年の改善実績があり、広告運用と解析を組み合わせることで顧客の手間を減らしている。導入累計サイト数の多さは製品が知られている証拠だが、継続課金の顧客数や法令に守られた独占権と同じではない。解約に年単位を要する事実、法改正に伴う値上げ実績、解約率が年間5%未満という証拠は二つ以上そろっておらず、記録の正本に当たるほどの堀は認めない。
営業面では2026年上期にSiTestの顧客平均単価が上がり、会社全体の費用も減った。人件費と採用費を前年同期より11.2%減らしたことは、AIをコスト削減に使えるという実績である。ただし、広告とAIツールの顧客合計が減少傾向にある以上、単価を上げても客が離れないと断言することはできない。広告媒体の自動入札や顧客企業の内製化が進めば、分析作業そのものへの支払いは細る。
資本効率もまだ不安定だ。2022年の全社営業利益は4.6億円だったが、2024年には営業赤字2.7億円と約2億円の減損が生じ、自己資本は大きく傷んだ。2025年も純損失で、過去の高い利益率だけを10年後の普通の姿とすることはできない。2026年上期の改善は認めるが、新規投資の増分ROICが資本コストを超えたという通期の検証結果はまだない。
純現金約7.6億円は短期の耐久力を与える。一方、広告媒体に払う買掛金、顧客との契約負債、海外子会社への開発支出を抱えるため、すべてを株主が自由に取り出せる現金とは見なせない。高収益の既存事業を守る能力と、そこで稼いだ資金を新市場で増やす能力は別の評価が必要だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本のインターネット広告市場は大きいが、伸びる市場にいることと代理店が儲かることは同じではない。電通の「2025年 日本の広告費」ではインターネット広告費が約4兆459億円、媒体費が約3兆3,093億円だった。運用代行の手数料率を仮に媒体費の10~20%とすれば代理店手数料市場は約3,300~6,600億円となるが、これは公表された市場規模ではなく筆者の推計である。グラッドキューブの売上にはSaaSも含まれるため、全売上を代理店手数料の分子にすることもできない。
この広い市場では電通グループ、サイバーエージェント、セプテーニ、オプトなどが広告主を取り合う。GoogleやMetaの自動最適化と、広告主が直接使う生成AIも競争相手になる。会社のマーケティングDX売上を手数料市場の推計額と比べた上限の参考比率は0.2~0.5%程度にすぎず、実際の手数料シェアはさらに小さい。顧客数が2025年末957件から2026年上期868件へ減った状況で、10年後のシェア拡大を既定路線にはできない。
ウェブ分析とサイト改善ではAdobe、Optimizely、Ptengineなどの専業製品に加え、Google Analyticsや汎用AIが代替候補となる。画面をクリックして分析するソフトは、エージェントが裏で処理する環境になると席数や画面利用時間による課金が弱くなる。ただし実際の広告成果、個別サイトへの実装、顧客の承認やブランド管理にはなお責任主体が要るため、すべての業務が無償化するわけではない。
スポーツ情報ではnetkeibaやJRA-VANなどに比べ、SPAIAの利用規模はまだ小さい。netkeibaの公表する月間利用者数とSPAIAの累計登録会員は指標が異なるため、直接割って市場シェアとはしない。JRAの馬券売上も情報サービスの課金市場とは別物だ。スポーツメディア、データライセンス、受託開発を合算した公開市場統計が乏しいため、SPAIAの正確な売上シェアは不明とし、登録会員の実数と有料転換を観察する。
資本政策と M&A
資本配分の中心は、広告事業が生んだ資金を新製品と海外展開に再投資することだ。2023年ごろのDX開発事業の取得後、2024年には事業価値を見直して約2億円の減損を計上した。買収や事業譲受は売上規模を増やしても、投じた資金を回収できなければ株主の利益にならない。2025年に設立したSPAIAの米国子会社も、売上が立つ前に開発費が先行している。
会社は2026年上期の中期成長イメージで、2032年ごろの時価総額500億円と営業利益7倍の拡大を描く。これは事業の目標図であり、そこで使われた想定PER15は本質価値の証明にならない。確定的な2032年の売上高、ROE、配当性向、DOE、総還元性向については数字の約束なしと解する。市場規模の大きい米国競馬事業も、収益化と資金調達の条件が定まるまでは株主の既得利益に数えない。
2025年まで配当はなく、2026年の配当予想もゼロだ。2026年8月には上限20万株、1億円の自己株取得を決め、9月末時点の取得累計は7万100株だった。資本を返す方向への小さな一歩だが、5年間の持続的な増配や2%以上の実行済み買戻しにはまだ当たらない。上位10株主が約78%を保有する支配構造も踏まえ、余剰現金が少数株主へ戻る価値は厳しく見る。
保有の前提を変えるのは、SPAIAやAI事業への追加支出額と、その投下額が生む翌年以降の増分利益だ。買収・海外開発で損失が重なれば将来の還元原資も減る。逆に開発投資を選別し、営業現金を配当や十分な消却を伴う自社株買いに転じれば、同じ事業利益でもオーナー価値は改善する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
マーケティングDX事業は赤字企業全体の中に埋もれているが、単体では十分な利益を生んでいる。2025年のセグメント利益率は35%を超え、2026年上期には広告運用が堅調に伸びた。SiTestは顧客のサイト改善と広告運用を一体で支えるため、単なる汎用解析ソフトより成果を出しやすい。AIを自社で使えば、従業員一人当たりの管理件数を増やし、制作原価を下げることができる。会社が上期に人件費・採用費を11.2%削ったのは実際の裏付けだ。
製品面でも新しい選択肢が生まれている。2026年には「SiTest AIコンシェルジュ」「Gen Site」「AvaTwin Chatbot」が提供され、顧客単価の改善に寄与すると会社は説明する。人が画面を操作する料金から、成果に応じて支払う契約へ移れるなら、顧客の自動化は売上喪失だけでなく原価低下をもたらす。会社が顧客の広告成果に結び付く実装責任を握れるなら、従来の代理店から利益率の高い支援事業へ進めるだろう。
SPAIAはすでに15万人を超える登録者を持ち、スポーツナビや放送局との取引を積んでいる。自社の利用者、試合データ、予測コンテンツを磨けば、会員課金と企業向けライセンスの両方を増やせる。米国競馬予想の開発が成功した場合は、国内広告業界とは違う顧客群に広がる可能性もある。既存の広告事業が現金を作り、新事業が収益化する組合せは、現在の全社赤字が示す以上の収益力を生み得る。
さらに、2026年に自己株取得を開始したことは資本還元の方向転換を示す。海外開発を補助金や共同開発先の資金で賄い、収益性が低い企画を整理できれば、自己資本を大きく積み増さずに利益を伸ばせる。認めるべき上振れ余地はあるが、個別のAI新商品による追加売上が未開示のうちは、成功をすでに確実な数量増加として扱わないのが妥当だ。
慎重な見方
最も強い収益源ほど、AIエージェントの置き換えを正面から受ける。GoogleやMetaの広告配信は自動化が進み、広告主はクリエイティブの生成、入札調整、成果報告を自らできるようになる。顧客が広告に支払う総額が伸びても、人が運用する代理店に支払う手数料率は細り得る。ウェブ改善ツールも、顧客が管理画面を操作する前提が崩れれば、席数や操作時間に対する支払いは弱くなる。
数量の兆候も楽観できない。会社が公表する広告・AIツールの平均稼働アカウント数は、2025年末の957件から2026年上期の868件に減った。SiTestの月次単価が上がっても、それは企業全体の顧客母数を維持できた証拠ではない。増額した顧客が多くても新規獲得や解約に負ければ、やがて売上の成長は止まる。顧客契約の年次継続率や値上げ後の解約率が開示されない限り、囲い込みの強さを高く評価する根拠は乏しい。
テクノロジー事業は2025年に売上より大きい赤字を計上し、2026年上期も赤字が続いた。米国競馬事業は市場が大きい一方、データ許諾、地域ごとの規制、賭け事に伴う提携条件、現地利用者の獲得費用が未知数だ。日本で登録会員を積んだ実績を米国の課金顧客へそのまま外挿できない。受託開発に戻って採算を取ろうとしても、その作業自体がAIに代替される。
2024年にはDX開発事業に約2億円の減損を出した。取得した事業や新しい製品が期待どおりの収益を生まなかった過去を考えると、将来の買収や新規投資も簿価のまま回収できるとは限らない。無配のまま経営陣の裁量で海外開発が続けば、純現金があることも株主への還元を保証しない。強い市場の説明より、収益に変換できる証拠の欠如が重い。
どちらに重みを置いたか
既存広告事業の利益と2026年上期の費用削減は、株主として正当に評価したい。しかし、稼いだ金を受け取る前に海外開発で消費する構造はまだ変わっていない。上振れ側の確率30%に対して、やや悲観と悲観を合計41%とする。下に寄せる会社固有の理由は、実際の稼働顧客減少、テクノロジー事業の継続赤字、過去の減損と強い大株主支配である。AIの損失は中立の数量・単価にも織り込んでおり、悲観確率だけで同じ危険を二重に引かない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 182 円15 億円(+ 還元の換算額還元の合計 14 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 92 円8 億円、今との差 −76.9%、 期待の年率 −7.1%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 473 円40 億円 | 47 円4 億円 | +30.3% | +2.8% | 62 円5 億円 |
| やや楽観 | 18% | 287 円24 億円 | 25 円2 億円 | −21.9% | −2.5% | 56 円5 億円 |
| 中立 | 29% | 143 円12 億円 | 12 円1 億円 | −61.2% | −9.3% | 45 円4 億円 |
| やや悲観 | 25% | 84 円7 億円 | 3 円0 億円 | −78.3% | −14.3% | 22 円2 億円 |
| 悲観 | 16% | 71 円6 億円 | 0 円0 億円 | −82.2% | −15.9% | 11 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 182 円15 億円 | 14 円1 億円 | −50.8% | −7.1% | 196 円16 億円 |
今の株価時価総額 399 円34 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 広告の実装責任を守りSPAIAが収益化 利益 3 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 473 円40 億円
広告代理の単純作業は機械に移るが、顧客の広告成果に対して改善策を実装する仕事を維持する。SiTestからAIコンシェルジュへの切替も進み、広告と解析を一つの契約で提供し続ける。アカウント数は2025年末とほぼ同数を保ち、効率化が営業利益に残る。
SPAIAでは登録ユーザーが増え、国内メディアへの情報販売と有料予測サービスが両立する。競馬データの許諾を確保しながら法人向けの継続課金を増やすことで、これまで開発費を吸収できなかった事業が黒字に変わる。米国向けサービスには上振れ余地があるが、まだ売上金額が明らかでないAI新商品を利用者数の爆発的増加としては織り込まない。
経営は買収を補完的な手段に限定し、採算の薄い海外開発を絞る。蓄積された利益から一部を配当・自社株買いに回すようになり、純現金が株主のものになる道筋も見え始める。ただし、広告サービスに強固な独占権が生じるわけではなく、10年より先の再成長を当然視しない。
- マーケティングDX(ネット広告運用・SiTest):数量 950(四半期平均稼働アカウント数(広告+SaaS合算、件;年売上に対する契約基盤の代理数量))× 価格 0.02(事業の年売上÷四半期平均アカウント数(億円/件・年、混合単価の推定))→ 売上 15 億円・営業利益 6 億円。広告・AI Agent+SiTest合計の口座数950件。広告工数型と画面SaaS型の合算、2025年末957件比0.99倍。広告手数料率は物価に連動せず、SiTest単価の改善余地と相殺した価格。
- テクノロジー(SPAIA・AI/DX開発・米国競馬):数量 198,000(SPAIA全体の累計登録会員(人;スポーツ情報利用量の代理数量))× 価格 0.00(テクノロジー事業の年間売上÷累計登録会員(億円/登録者・年;受託売上込みの代理収益))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。SPAIA累計登録会員198,000人。自社メディアの利用者と受託開発の売上を混ぜた参考収益単価で、AI代理開発の独立した新規受注は計上しない。
倍率:資本コストk8.25%、2035年より先のg_long=名目0%(広告運用・画面型SaaSのAIエージェント代替)、堀はweakでRONICはkへ収斂。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷0.0825=12.12倍の上限そのもの。純利益3.00億円から余剰現金2.0億円の税後利息1.4%を除いてPERを掛け、現金に戻り方0.5を掛けた価値1.00億円を足す。市場PERは使用しない。
確率:既存広告顧客の維持、実装型AIサービスの高粗利化、SPAIAデータ販売の採算化が連続して必要なため、好条件の重なりとして12%に限定。
やや楽観 18% 広告の利益を守り海外の赤字を縮小 利益 2 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 287 円24 億円
広告運用の契約口座は減るが、大口顧客向けの高品質な運用とサイト改善の仕事は残る。管理作業の自動化で一人当たりの担当件数が増え、少数精鋭のチームで既存顧客を支えられる。SiTestの顧客単価もゆっくり改善し、広告手数料の競争を一部埋める。ただし会社の公表する稼働件数は現在より少なく、業界の成長をそのまま自社の数量成長にはしない。
SPAIAは登録者が微増し、放送局やスポーツサイトへの分析データ提供を積み重ねる。AvaTwinなどの受託的な部分はAIで少人数化する一方、自社媒体が広告と情報課金を増やし、テクノロジー事業全体では小幅黒字へ転じる。米国開発費は提携先の負担を増やして抑え、実績のない新規サービスの大ヒットを前提とはしない。
大きな買収を避け、現金の消費を縮小する経営が続く。会社全体の稼ぎは2022年の絶頂期ほどではないが、赤字部門が本業の利益を奪わなくなる分だけオーナー利益は大きく改善する。
- マーケティングDX(ネット広告運用・SiTest):数量 830(四半期平均稼働アカウント数(広告+SaaS合算、件;年売上に対する契約基盤の代理数量))× 価格 0.02(事業の年売上÷四半期平均アカウント数(億円/件・年、混合単価の推定))→ 売上 13 億円・営業利益 5 億円。広告・AI Agent+SiTest合計の口座数830件。広告工数型と画面SaaS型の合算、2025年末957件比0.87倍。広告手数料率は物価に連動せず、SiTest単価の改善余地と相殺した価格。
- テクノロジー(SPAIA・AI/DX開発・米国競馬):数量 175,000(SPAIA全体の累計登録会員(人;スポーツ情報利用量の代理数量))× 価格 0.00(テクノロジー事業の年間売上÷累計登録会員(億円/登録者・年;受託売上込みの代理収益))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。SPAIA累計登録会員175,000人。自社メディアの利用者と受託開発の売上を混ぜた参考収益単価で、AI代理開発の独立した新規受注は計上しない。
倍率:資本コストk8.25%、2035年より先のg_long=名目0%(広告運用・画面型SaaSのAIエージェント代替)、堀はweakでRONICはkへ収斂。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷0.0825=12.12倍の上限そのもの。純利益1.80億円から余剰現金2.0億円の税後利息1.4%を除いてPERを掛け、現金に戻り方0.5を掛けた価値1.00億円を足す。市場PERは使用しない。
確率:2026年上期に見えたコスト削減とAI製品の価格改善が数年定着し、SPAIAも費用先行から脱するが、客数はなお減る現実的な上振れ。
中立 29% 広告口座の縮小を費用圧縮で部分吸収 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 143 円12 億円
国内の広告市場そのものは残るが、広告素材の制作、入札の最適化、レポートの作成は顧客側のAIに移る。ネット広告運用の人月・手数料型は契約量が減り、SiTestの画面利用料も本格的な物価転嫁が難しい。広告とSaaSの合算稼働口座は715件まで細る。2026年に見せた単価改善は評価するが、複合単価はおおむね据え置きとなる。
SPAIAの競馬データと有料情報サービスは継続するものの、一般的なAI検索と大型競合サイトに利用時間を奪われる。登録会員は緩やかに減り、AIアバターやDX受託でも追加の高利益案件は十分に育たない。米国事業は提携や補助金で研究開発を続けるが、開発費を自前のサービス売上だけで賄うまでには至らず、テクノロジー事業の営業損失が少し残る。
営業・共通部門はAIを活用して効率化する。名目賃金の上昇によって費用は増えるものの、人員配置の見直しがそれを一部相殺し、全社純利益は約0.9億円まで持ち直す。自己資本に対する稼ぎは資本コストを下回り続け、魅力的な再投資先もまだ限られる。
- マーケティングDX(ネット広告運用・SiTest):数量 715(四半期平均稼働アカウント数(広告+SaaS合算、件;年売上に対する契約基盤の代理数量))× 価格 0.02(事業の年売上÷四半期平均アカウント数(億円/件・年、混合単価の推定))→ 売上 11 億円・営業利益 4 億円。広告・AI Agent+SiTest合計の口座数715件。広告工数型と画面SaaS型の合算、2025年末957件比0.75倍。広告手数料率は物価に連動せず、SiTest単価の改善余地と相殺した価格。
- テクノロジー(SPAIA・AI/DX開発・米国競馬):数量 145,000(SPAIA全体の累計登録会員(人;スポーツ情報利用量の代理数量))× 価格 0.00(テクノロジー事業の年間売上÷累計登録会員(億円/登録者・年;受託売上込みの代理収益))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。SPAIA累計登録会員145,000人。自社メディアの利用者と受託開発の売上を混ぜた参考収益単価で、AI代理開発の独立した新規受注は計上しない。
倍率:資本コストk8.25%、2035年より先のg_long=名目0%(広告運用・画面型SaaSのAIエージェント代替)、堀はweakでRONICはkへ収斂。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷0.0825=12.12倍の上限そのもの。純利益0.89億円から余剰現金2.0億円の税後利息1.4%を除いてPERを掛け、現金に戻り方0.5を掛けた価値1.00億円を足す。市場PERは使用しない。
確率:広告顧客の減少とAI導入による内製化が進む一方、会社の費用削減の一部は定着し、SPAIAの赤字は縮小しても消えない中心像。
やや悲観 25% 売上縮小をリストラでようやく支える 利益 1 億円 · PER 10.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 84 円7 億円
大手広告主のAI内製化と価格比較の広がりで、広告代理サービスは安い実装だけを請け負う存在になる。顧客の平均稼働口座は600件へ減り、個別の広告手数料にも値下げ圧力が残る。SiTestの既存ユーザーは一定数残るが、高度な分析は大手の無料または低額サービスで代替される。既存契約の量と単価を同時に守ることはできない。
SPAIAの会員は縮み、情報サービスの課金も伸び悩む。競馬データや外部システムの利用料金が重荷となり、米国開発の追加投資を停止する。テクノロジー事業は赤字を出し続け、会社は一部の受託サービスや海外部門から撤退を進める。撤退期の費用負担は純資産の増加を抑える。
社員と共通費を大胆に削り、全社営業利益はかろうじて黒字を維持する。ただし従業員や外注先を減らした後の事業には成長余力が乏しく、会社が稼ぐ資本利益率は資本コストから大きく離れる。配当や買戻しもほぼ期待できず、残存資産の価値が投資家の下支えになる。
- マーケティングDX(ネット広告運用・SiTest):数量 600(四半期平均稼働アカウント数(広告+SaaS合算、件;年売上に対する契約基盤の代理数量))× 価格 0.02(事業の年売上÷四半期平均アカウント数(億円/件・年、混合単価の推定))→ 売上 9 億円・営業利益 3 億円。広告・AI Agent+SiTest合計の口座数600件。広告工数型と画面SaaS型の合算、2025年末957件比0.63倍。広告手数料率は物価に連動せず、SiTest単価の改善余地と相殺した価格。
- テクノロジー(SPAIA・AI/DX開発・米国競馬):数量 115,000(SPAIA全体の累計登録会員(人;スポーツ情報利用量の代理数量))× 価格 0.00(テクノロジー事業の年間売上÷累計登録会員(億円/登録者・年;受託売上込みの代理収益))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。SPAIA累計登録会員115,000人。自社メディアの利用者と受託開発の売上を混ぜた参考収益単価で、AI代理開発の独立した新規受注は計上しない。
倍率:広告とスポーツの構造的な弱体化で事業ROE約4.9%はk8.25%を下回る。先のg=0なら稼ぐ力の上限PER=1/k=12.12倍だが、やや悲観は実装契約の継続可能性も低く10.8倍で評価。純利益0.58億円から余剰現金1.5億円の税後利息1.4%を除いてPERを掛け、現金に戻り方0.5を掛けた価値0.75億円を足す。市場PERは使用しない。減少した事業基盤では余剰現金残存は平時2.0億円の0.75に当たる1.5億円だけと見込む。
確率:下に寄せる理由:2026年上期時点で既に口座数が減っており、テクノロジーの赤字と2024年の減損もある。固定費を抑えても従来の利益が戻らない状況を25%とする。
悲観 16% 広告の競争力を失い開発資金も損なう 利益 0 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 71 円6 億円
広告運用の入札管理や広告素材制作がほぼ自動化され、代理店には一部の審査・運用例外処理しか残らない。SiTestもエージェントに分析を代行され、独立した操作画面を使う需要が細る。平均アカウント数は460件へ落ち、混合単価も下がる。重要顧客は大手代理店と直接契約へ移り、グラッドキューブの販路上の優位は薄れる。
SPAIAでは会員減少に加えて競馬予測コンテンツの差別化が進まず、法人向けデータ契約も十分に増えない。米国子会社は収益化できず、開発中止と資産の減損を伴って撤収する。DX受託に戻って損失を埋めようとしても、顧客がAIを使って自社開発するため単価は上がらない。管理部門と拠点を縮小しても全社の営業損失が残る。
過去から積み上がった自己資本の一部を損なうが、広告決済に使わない資産や残存現金を処分すれば一定の清算余力は残ると考える。これは会社が成長する価値ではなく、稼ぐ力を失った後の売却可能資産に限った床である。配当・自社株取得は止まり、長く持った株主が事業から得る現金は乏しい。
- マーケティングDX(ネット広告運用・SiTest):数量 460(四半期平均稼働アカウント数(広告+SaaS合算、件;年売上に対する契約基盤の代理数量))× 価格 0.01(事業の年売上÷四半期平均アカウント数(億円/件・年、混合単価の推定))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。広告・AI Agent+SiTest合計の口座数460件。広告工数型と画面SaaS型の合算、2025年末957件比0.48倍。広告手数料率は物価に連動せず、SiTest単価の改善余地と相殺した価格。
- テクノロジー(SPAIA・AI/DX開発・米国競馬):数量 90,000(SPAIA全体の累計登録会員(人;スポーツ情報利用量の代理数量))× 価格 0.00(テクノロジー事業の年間売上÷累計登録会員(億円/登録者・年;受託売上込みの代理収益))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。SPAIA累計登録会員90,000人。自社メディアの利用者と受託開発の売上を混ぜた参考収益単価で、AI代理開発の独立した新規受注は計上しない。
倍率:収益が赤字となりPERは意味を持たない。悲観の価値は10年先の帳簿自己資本5.7億円ではなく、2025年末の現在自己資本7.2億円を分母とする売却可能資産の床6.0億円。床に余剰現金を重ねて足さず、過去の市場PBRも参照しない。
確率:広告主の内製化、スポーツ情報の囲い込み失敗、海外開発の追加損失が連続する構造的な敗北。ただし倒産寸前ではなく売却可能資産が残る場合を16%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
マーケティングDX(ネット広告運用・SiTest)
広告運用手数料・制作やサイト改善の受託収益、SiTest等の利用料。広告制作・工数と操作画面型SaaSの複合であり、両者ともAIエージェント代替の対象。
| 数量四半期平均稼働アカウント数(広告+SaaS合算、件;年売上に対する契約基盤の代理数量) | 価格事業の年売上÷四半期平均アカウント数(億円/件・年、混合単価の推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 957 | 0.02 | 15 | 5 |
| 10 年後 中立 | 715 | 0.02 | 11 | 4 |
取り方:2025年の開示セグメント売上1,496,131千円、利益528,450千円を使用。2025年4Qの広告+SaaSの平均稼働アカウント957件を実質の数量代理とし、年売上÷957=約156.3万円/件と推定する。これは会社が公表するSiTest単独ARPU月107,526円と異なり、広告費の取扱額を二重計上せず、顧客単価を取り違えないための混合概算である。内訳の広告対SaaSの売上金額、両者別の有料顧客数は十分開示されず、型の比率は確定不能。売上の主体である広告制作・運用を人月/手数料型、SiTestを席・画面型SaaSに分類。中立の数量715/957=0.747倍は人月型0.55~0.75倍の上端で、SaaS型の0.70~0.90倍にも入る。価格715件当たり155.5万円は今の0.995倍で、広告手数料の物価連動の欠如・AI競争をSiTest高ARPUで一部相殺する。広告手数料市場は電通公表の2025年ネット媒体費3兆3,093億円×仮定の10~20%=3,309~6,619億円で推計。同事業全売上14.96億円との比較0.23~0.45%は他収入混入のため手数料シェアの上限参考にすぎず、競合個社の厳密なシェアは非開示。型の売上内訳は企業開示がないため、分析上だけ広告・運用75%、画面型SiTest25%と仮定。中立の実質取引数量を広告0.70倍、SiTest0.89倍とすれば加重0.7475倍、単価を広告手数料0.96倍、SiTest1.10倍とすれば加重0.995倍となり、本表の契約数量715件とほぼ一致する。これは個別の公表値ではなく仮定であり、実際の料率と顧客内訳が開示されれば優先的に差し替える。
テクノロジー(SPAIA・AI/DX開発・米国競馬)
自社スポーツメディアの会員・データ提供と、DX受託、AvaTwin等の開発、米国競馬の先行投資を抱える。自社媒体部分は利用者型、受託開発は人月型、アバターUIは席・操作画面型。
| 数量SPAIA全体の累計登録会員(人;スポーツ情報利用量の代理数量) | 価格テクノロジー事業の年間売上÷累計登録会員(億円/登録者・年;受託売上込みの代理収益) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 152,393 | 0.00 | 3 | −3 |
| 10 年後 中立 | 145,000 | 0.00 | 3 | 0 |
取り方:有報の2025年セグメント売上259,281千円、損失308,752千円とSPAIA累計登録152,393人を使用。事業売上÷累計登録=年約1,701円の混合収益を推計したが、登録会員は有料会員数でも月間利用者でもなく、DX受託・法人へのデータ提供分も単価の分子に入るため、これは実際の会員ARPUではない。広告媒体やスポーツデータ企業が公表する同一分母の市場シェアはなく、netkeibaの月間訪問者数とは比較しない。数量中立145,000人は今の0.952倍で、媒体会員の減少圧力とDX受託の実質工数0.55~0.75倍、操作画面型0.70~0.90倍を内部ミックスの縮小で吸収する総合代理値である。中立単価は約1,750円(現状比1.03倍)で、CPIの1.34倍を大幅に下回る。2035年にかけて米国AI競馬開発から新しい収益が認識される数量は単独開示が無いため楽観でも織り込まない。スポーツサイト会員の増減は自社媒体部分に限り数量の増加を許容する。テクノロジー事業内の媒体、DX受託、AvaTwinの売上構成は未開示であり、金額割合を事実として作らない。SPAIA登録数自体は自社媒体の実質数量で、中立の2025年比0.952倍は既存利用者の定着と検索AIによる流入減を合わせた見通しである。内部のDX受託・人月の案件数量は中立0.70倍、画面型AIサービスの席数量は0.80倍と別に仮定する。これらの受託収益低下の一部を、スポーツナビや放送局向けに提供してきた自社データの継続ライセンスが埋めるため、セグメント全体の売上÷登録者である混合単価は1.03倍にとどまると見る。個別サービスの販売件数・ARPUは非開示であり、この混合単価を実際の会員課金と取り違えない。
リスクと懸念
AI エージェント代替による広告手数料の縮小
GoogleやMetaの自動入札に加え、生成AIが広告素材の制作、分析、週次報告を処理すれば、広告主が外部に払う工数対価と手数料率は下がる。マーケティングDXの約15億円の売上は市場全体の成長と同じ率では増えない。中立に顧客数量0.75倍と混合単価の据え置きを織り込み、AIへの競争劣位を寿命や資本コストでも二重計上しない。
SiTestの堀を過大評価する危険
導入累計サイト数の大きさと現在も課金する契約数は別物である。2026年にはSiTest単価が上がる一方、広告・ツールを合わせた稼働アカウントが減った。年次で5%未満の解約や規制対応の切替費用といった複数の正本データの証拠がない限り、AIが画面を飛ばす変化への耐久力は未証明だ。
SPAIA・米国競馬の持続赤字とデータ許諾
2025年のテクノロジー事業は売上2.59億円に対して損失3.09億円だった。米国向けRYUMAは製品開発が先行し、現地課金顧客や収益単価の実績は十分にない。JRAシステムサービスとのデータ利用許諾やデータスタジアムとの共同運営も更新条件に依存するため、開発費を資産と見なして即座に利益化を前提にするのは危険である。
過去の事業譲受と減損の再発
2024年にはDX開発事業の投下額を見直して約2億円の減損損失を計上した。顧客基盤の取得、海外事業のM&A、追加ソフトウェア開発を繰り返せば、会計上の成長より先に現金が出ていく。過去の取得事業の利益回復と、新規投資一件ごとの投下資本利益率を別々に追うべきである。
大株主支配と還元不足
2025年末時点で上位10株主が約78%を保有し、創業者側の影響力が強い。2026年に1億円を上限とする自社株取得を始めたが、過去5年間の増配や2%以上の実行済み買戻しは確認できない。支配株主の下で余剰現金を次の挑戦に使うか株主へ戻すかは、少数株主が決められない。
広告費の決済と純現金の取り違え
現金預金の残高だけを見ると余裕があるように映るが、広告媒体への買掛金、顧客契約負債、借入金返済がある。2025年末の純現金約7.6億円の全額を本質価値へ足すのは、日々の広告運用を継続するための決済資金を無視することになる。会社の倒産可能性よりも、使える現金が投資家に戻るかを重視する。
権利・規制と外部プラットフォームへの依存
デジタル広告はGoogle、Meta、LINEヤフーなどの仕様や広告審査に依存する。競馬情報はデータ権利と公営競技に関する法令、米国展開なら州ごとの制度や提携条件に左右される。新サービスが生まれても必要な権利費用が上がり、顧客獲得が伸びなければ利益への転換率は低くなる。
今後の分かれ目
- 広告とAIツールを合わせた平均稼働アカウントが4四半期連続で前年超えへ戻ったら
- 数量が減るという中立仮説を見直し、契約継続率と新規受注の内訳を確認してから中立・やや楽観の重みを上げる。
- SiTest AIサービスの月次経常収益・解約率・新規顧客数が独立した金額付きで開示されたら
- AIエージェントを自社商品として売る実績と判断し、売上増分と実装原価を別計算して広告運用縮小を埋められるか再評価する。
- テクノロジー事業が年単位で黒字化し、米国開発への追加支出も減ったら
- 赤字事業による既存利益の流出が止まるので、やや楽観・楽観の確率と累積株主還元余地を増やす。
- SPAIAの課金会員数、課金単価、企業向けデータ販売額が開示され継続増収したら
- 累計登録数を収益の代理とする不確実性が減る。メディア部門に限定して堀と長期成長率を高めてよい。
- 海外子会社で減損・追加増資・赤字拡大が同時に起きたら
- 純現金と資本効率の両方が低下するため、やや悲観・悲観へ確率を移し、売れる資産の床も再検査する。
- 実行済み自社株買いが株数の2%を超えるか、継続的な増配が始まったら
- 余った現金が少数株主に帰属する証拠になるため、現金の戻り方0.5の前提を撤回し、0.75ないし1.0を再判定する。
- 広告手数料の実質単価が値下がりし、アカウント数も減り続けたら
- 人月・手数料型の数量と価格が同時に弱るため、中立の売上と営業利益を引き下げる。費用圧縮が遅れれば悲観側が強まる。
見ておくもの
- 四半期平均稼働アカウント数(広告+AI Agent、直近868件)と案件別手数料単価
- SiTestの月額ARPU、正味収益解約率と年間顧客継続率
- マーケティングDX利益率、AIによる人件費・採用費削減の持続性
- テクノロジー事業のセグメント赤字、SPAIA有料会員数・収益額
- RYUMA/STABLE GENIUSの外部売上・データ使用料・子会社現金流出
- 自社株買い実行累計数と配当実施、支配株主の保有割合
- 2026年11月予定の第3四半期決算による通期予想の再確認
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や同業のPERから2035年の倍率を逆算していない。数量は広告+SiTestの平均稼働口座とSPAIAの累計登録者という公開KPIに結び付け、同じ売上を物価上昇で重複させない。広告の手数料率と席課金はAIエージェント代替によって物価3%の10年累積1.34倍を通せないと見て、中立の単価をほぼ据え置いた。kは8.25%、長期gは0%、PERの上限は1/k=約12.12倍であり、楽観から中立まで上限に置いた。ROE低下とAI代替を寿命の上乗せで再び罰していない。悲観は2025年末の売却可能資産からの床で、過去の安値PBRを参照しない。新リース会計で使用権資産と負債が両建てされても家賃の実質負担は変わらず、10年後の営業費用は現行会計と同じ尺度で評価する。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%と株式リスクプレミアム4.5%の7.5%を基準に、質の差+0.75%を加えた8.25%。2026年上期は黒字に戻り継続企業注記もないため財務困窮の別枠上乗せはしない。