結論
ジェイエスエスは、子ども向けのスイミングスクールを全国で運営する会社だ。直営 64 か所と自治体などからの受託 20 か所で、会員は 7.7 万人。売上は 85 億円、営業利益は 4 億円ほど。筆者の結論は「ほぼ適正」。利益の質は悪くないが、10 年先の数量が細る分を、値段の上昇が打ち消す程度にとどまる。
稼ぎの源は月謝である。会員の 9 割弱が子どもで、習い事としての水泳は景気に左右されにくい。2025 年 6 月の会費改定で 1 人あたりの売上は上がり、前期の営業利益は 7 割増えた。
弱みは 2 つある。1 つは会員数で、前期は 9% 近く減った。値上げと少子化の両方が効いたとみる。もう 1 つは指導者の確保で、会社自身が業界全体の不足を課題に挙げている。
財務は普通だ。借入は 20 億円ほどで、現預金 11 億円で一部を賄う。金利が上がれば利息が増えるが、利益を大きく削るほどではない。配当は純利益の 3 割強で、日本テレビホールディングスが 25% 弱を持つ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「子どもが通い続ける習い事の利益が、10 年先も同じ質で残るか」を問う。答えは、利益は残るが、数量は削られる、である。
売上の読みやすさは魅力だ。月ごとの会費で、景気の影響が小さい。だが数量は少子化で細り、値段を上げて埋める構図になる。
筆者が評価するのは、無理な出店をしない点と、配当を利益の範囲に収めている点だ。強い堀というほどではないが、地域のブランドと運営の実績は価値になる。
資本の使い方は無難で、買収も小さい。借入は適度に抱え、利息の上昇を吸収できる範囲にとどまる。
長く持つ株主にとっては、10 年の数量を削られても、物価並みの値上げができれば資本コストに近い収益を保てる会社だ。ただ、抜きん出た割安とは言えない。
安全域の目で見ると、利息を 20 倍以上賄える利益と、継続課金の読みやすさは守りになる。反面、固定の家賃と人件費は、数量が崩れた時に利益を先に削る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、子どもを中心にした会員制のスポーツクラブである。事業所の大半はスイミングスクールで、直営 64 か所のうち 61 か所がプール、残りがテニスとフィットネスだ。ほかに自治体などから運営を請け負う受託が 20 か所ある。
売上 85 億円の内訳は、直営の会費が 67 億円、受託が 7.6 億円、課外の企画が 4.5 億円、商品の販売が 6 億円。会員は 7.7 万人で、子どもが 88%、大人が 12%。報告セグメントは 1 つだけだ。
1 会員あたりの売上は年に 11 万円ほどになる。2025 年 6 月に会費を改定し、同じ年にワカヤマアスレティックスを子会社に加えた。出店は年に 2 か所ほど、会員 1,000 人ほどのコンパクトな店を作る方針だ。
従業員は連結で 467 人、臨時雇用が 374 人。施設の多くは賃借で、敷金・保証金は 7 億円ある。コーチの確保と育成が、成長の最大の制約になっている。
事業所の損益は、会員数と定員の稼働率でほぼ決まる。プールは設備の償却と家賃、光熱費が先に出るため、会員が一定数を超えて初めて利益が出る形だ。
優良さと弱いところ
優良さは「並の上」と見る。派手な強みは無いが、需要が安定し、ブランドは長い。
スイミングスクールは、子どもが長く通い、卒業後も水泳を習い事に選ぶ人が多い。会費は月ごとの継続課金で、売上の読みやすさは高い。1976 年に始めた受託運営の実績と、全国の施設網が土台になる。
利益率は過去 12 年で 1% から 6.7% の間にあり、最高でも 7% に届いていない。施設の家賃と人件費が固定費として重く、会員が減ると利益が先に削られる。コロナ期の 2021 年 3 月期には純損失に落ちた。
経営指標は ROE と配当性向で、数値の目標は無い。配当は純利益の 3 割強で、純資産に対する配当率 2.5% を意識した累進配当を掲げる。
日本テレビホールディングスが 24.84% を持ち、業務・資本提携がある。経営の方向に影響する大株主だが、支配ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
子どものスイミングの市場は、少子化で生徒の総数が細る構造にある。15 歳未満の人口は 10 年で 1 割強減る見込みで、会員数の自然減を出店と値上げで補う競争になっている。
競合は、ルネサンスやセントラルスポーツ、コナミスポーツといった総合型のクラブと、地域の独立系のスクールだ。ジェイエスエスは子どもに特化し、1 店舗あたり 1,000 人ほどの小型店で出店する。
追い風は、習い事としての水泳の安定した人気と、学校のプール授業を民間に委ねる動きだ。自治体の施設の運営を請け負う受託も、この流れの上にある。
向かい風は、コーチの人手不足である。時給は物価と最低賃金で上がり、指導者を集められない施設は定員を絞るしかない。電気・ガスの費用と、プールの水・燃料も上がる。
学校の水泳授業を民間に委ねる流れは、受託の増加につながる。一方、自治体の財政が厳しくなれば、委託費は抑えられる。
筆者は、この領域は少数の大手が通いやすい立地と指導の質で会員を取り合い、会費を物価並みに上げられるかで差がつくと見ている。
資本政策と M&A
資本政策は堅実で、配当性向は 3 割強。配当は、純資産に対する配当率 2.5% を意識した累進配当の方針に沿う。自社株買いの実績は小さい。
2024 年 5 月にワカヤマアスレティックスの全株を取得した。買収の規模は小さく、地域の運営を足すかたちだ。
借入は 20 億円ほどで、現預金 11 億円が一部を賄う。前期は長期借入の返済 10 億円を行い、短期借入を増やした。金利が上がると利息が増え、年に 0.5 億円ほど利益を押す。
日本テレビホールディングスが 25% 弱を持つ。提携の中身は事業の協力で、TOB の可能性は小さくないが、価値の評価には使わない。
施設の多くは賃借で、家賃が固定の約束だ。新リース会計基準で、2028 年 3 月期から負債と資産が増えて見える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
子どもの習い事としての水泳は、親の世代が続けさせたい定番で、需要は底堅い。会費改定が通り、1 人あたりの売上は上がった。前期の営業利益は 7 割増えたが、これは値上げで利益率が戻る入り口にすぎない。
会社は 100 店舗・売上 100 億円を掲げ、年に 2 店のペースで小型店を出す。1 店 1,000 人なら、10 年で 2 万人の会員が上乗せになり、少子化の減りの大半を打ち消せる。
日本テレビホールディングスとの提携で、人の育成や企画の面で協力が進めば、運営の質が上がる。自治体の施設の運営を請け負う受託も、民間への移管の流れで伸びる。
物価が上がる世界では、会費も物価並みに上がる。コーチの賃金も上がるが、会員 1 人あたりの収益が改定の効果で戻れば、利益率は 7% に近づく。
借入は 20 億円ほどで、営業利益で利息を 20 倍以上賄える。財務は健全で、配当を増やす余力もある。
最近の四半期は営業利益が大きく伸びており、会費改定の効果が数字に出始めている。会員数の底打ちが確認できれば、利益の回復は続く。
慎重な見方
会員数は 2020 年の 9.7 万人から 7.7 万人へ、6 年で 2 割減った。値上げが会員を押し出した面があり、少子化の減りも止まらない。10 年で 15 歳未満の人口は 1 割強減る。会費を上げて数量の減りを埋める手は、何度も使えない。
コーチは足りない。時給は上がり続け、指導者を集められない施設は定員を絞る。人件費が上がって利益率が 3% 台に戻れば、利益は半分になる。
施設は賃借が多く、家賃は会員が減っても下がらない。水・電気・燃料も高止まりする。小型店は 1 店あたりの立ち上げの負担が重く、出店の効果が出るまで時間がかかる。
大手クラブの子ども向け強化や、安い民間の習い事、オンラインでの学びに、需要が分散する。受託の自治体は、予算が厳しくなれば委託の単価を締める。
借入は 20 億円ほどあり、金利が上がると利息が増える。利益が薄くなれば、配当の維持も難しい。
会費改定後の会員数の減りが続くなら、増えた利益は一時的なものにとどまる。通う子どもの数が戻る証拠が、まだ見えない。
どちらに重みを置いたか
需要の安定と利益率の戻りを評価しつつ、数量の自然減と指導者不足の重さを重く見た。確率は中立に厚く、やや悲観と悲観で 32% を置いた。
楽観は、小型店の出店が数量の減りを打ち消し、利益率が過去の最高を超える筋書きで 8% にとどめた。
会費改定の効果は確認できるが、会員数の下げ止まりはまだ証明されていない。利益率が 12 年の最高を超えた実績が無いことも、楽観を抑えた理由だ。会社は過去にも売上 91 億円の計画を掲げたが、届いていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 904 円36 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 227 円9 億円)。 今の値に割り戻すと 585 円24 億円、今との差 +20.1%、 期待の年率 +8.8%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,699 円68 億円 | 373 円15 億円 | +325.5% | +15.6% | 166 円7 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,328 円53 億円 | 273 円11 億円 | +228.7% | +12.6% | 320 円13 億円 |
| 中立 | 40% | 1,034 円42 億円 | 248 円10 億円 | +163.4% | +10.2% | 513 円21 億円 |
| やや悲観 | 22% | 331 円13 億円 | 174 円7 億円 | +3.7% | +0.4% | 111 円4 億円 |
| 悲観 | 10% | 158 円6 億円 | 50 円2 億円 | −57.4% | −8.2% | 21 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 904 円36 億円 | 227 円9 億円 | +132.2% | +8.8% | 1,131 円46 億円 |
今の株価時価総額 487 円20 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 小型店が数量の減りを打ち消し、利益率が 7% に届く 利益 5 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 1,699 円68 億円
小型店の出店が年 2 か所のペースで続き、会員は少子化の減りをほぼ打ち消して横ばいの 1.0 倍になる。会費は物価並みの 1.34 倍で、売上は 114 億円に届く。会社が掲げる 100 店舗・売上 100 億円の計画を、数年遅れで超える姿だ。
コーチの育成が進み、指導者の不足を抑える。利益率は 7% に上がり、営業利益は 8 億円を超える。
配当は利益の 3 割強を保ち、自己資本は 54 億円ほどに増える。日本テレビホールディングスとの提携で、企画や人材の面でも成果が出る。
受託の自治体の施設も伸び、民間への移管の流れが追い風になる。
会員 1 人あたりの収益が高まり、小型店でも黒字が出る形が定着する。
- スイミングスクール運営事業(直営・受託・課外・商品):数量 76,880(会員数(人))× 価格 0.00(1 会員あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 114 億円・営業利益 8 億円。会員 1.00 倍・会費 1.34 倍、利益率 7%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.7% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 2.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.4 倍。全体の PER 13.41 倍、時価総額 63 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店が減りを打ち消し、利益率が過去の最高を超える筋書き。12 年で 7% を超えた実績が無いので 8% にとどめた。
やや楽観 20% 出店が減りを補い、会員は微減にとどまる 利益 4 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 1,328 円53 億円
会員は 8% 減にとどまり、会費は 1.32 倍に上がる。新規の小型店が自然減の半分を補う。
利益率は 6% に上がり、営業利益は 6.4 億円ほど。コーチの賃金は物価で上がるが、会費の改定で吸収できる。
配当は今の水準から少しずつ上がり、自己資本は 50 億円ほどになる。
コーチの育成が進み、施設ごとの定員の稼働率が上がる。光熱費の上昇は、会費の改定で吸収する。小型店の黒字化も早まり、出店の負担が軽くなる。
受託と課外の売上は小さく伸び、全体の底上げに効く。
日本テレビホールディングスとの提携は、企画や人材の面で小さく効く程度にとどまる。
コーチの確保は難しい状況が続くが、処遇の改善で離職を抑える。
- スイミングスクール運営事業(直営・受託・課外・商品):数量 70,730(会員数(人))× 価格 0.00(1 会員あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 104 億円・営業利益 6 億円。会員 0.92 倍・会費 1.32 倍、利益率 6%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.0%、10 年より先の名目の伸び g 2.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍。全体の PER 13.06 倍、時価総額 46 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会費改定が定着し、数量の減りが小さい筋書き。20%。
中立 40% 会員は 1 割強減り、会費の改定で利益率は 5% を保つ 利益 3 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 1,034 円42 億円
会員は 10 年で 2 割弱減る。直近 6 年は年 4% ほどのペースで減ってきたが、会費改定の一巡と出店で、そのペースはやや緩むとみる。会費は物価に届かず 1.30 倍。
売上は名目で 91 億円ほどに伸びる。コーチの賃金とプールの光熱費は物価で上がるため、利益率は今の 5% 前後を保つ。
純利益は利息の増えた分を引いて 2.5 億円ほど。配当は利益の 4 割弱で、10 年の合計は 10 億円。自己資本は 46 億円になる。
新規の小型店と受託が小さく上乗せされるが、全体を動かす規模ではない。
指導者の確保には処遇の改善が要り、人件費の上昇が利益率を押さえる。
- スイミングスクール運営事業(直営・受託・課外・商品):数量 63,042(会員数(人))× 価格 0.00(1 会員あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 91 億円・営業利益 5 億円。会員 0.82 倍・会費 1.30 倍、利益率 5%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 32 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:少子化と指導者不足で数量が減り、値上げで埋める標準の姿。確率の中心。
やや悲観 22% 指導者不足と値上げの限界で利益率が下がる 利益 1 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 331 円13 億円
会員は 3 割減り、直近 6 年の減りのペースが続く。会費は賃金に追いつかず 1.22 倍にとどまる。コーチを確保できない施設は定員を絞る。
家賃と光熱費は下がらず、利益率は 3% を割る。営業利益は 2 億円ほどに縮む。
配当は利益に合わせて削られ、10 年で 7 億円ほど。自己資本は 41 億円まで伸びが鈍る。
出店は止まり、既存の施設の統廃合が始まる。株主の取り分は稼ぐ力で測る局面だ。
電気と水の費用が上がる一方で、会費の値上げには会員の反発が出る。
受託の自治体も予算を絞り、委託の単価を締めに来る。出店は止まり、既存の施設の統廃合に回る。
- スイミングスクール運営事業(直営・受託・課外・商品):数量 53,816(会員数(人))× 価格 0.00(1 会員あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 73 億円・営業利益 2 億円。会員 0.70 倍・会費 1.22 倍、利益率 2.5%
倍率:ROE 2.2%。k 7.75% を大きく下回り上限は 1÷k = 12.9 倍。利益が薄く、閉鎖費用が出る年もあるので 6.2 割の 8.0 倍。
確率:コーチの賃金上昇を会費に転嫁しきれない筋書き。22%。
悲観 10% 会員を失い、赤字に沈む 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 158 円6 億円
会員は 5 割減り、会費は 1.10 倍にとどまる。大手の子ども向け強化と安い習い事に押され、通う理由が薄れる。
家賃と人件費が固定費として残り、営業赤字になる。10 年の純損失は合計で 4 億円ほど。配当はほぼゼロになる。
施設の閉鎖が続き、敷金・保証金の戻らない分が損失になる。受託の契約も失う。
株主の取り分は、持っている施設と現金の価値で測る。
日本テレビホールディングスとの提携も、事業の立て直しには効かない。
会員の減りは固定費の負担を急に重くし、閉鎖の判断が遅れるほど損失が膨らむ。コーチの離職も続き、残った施設の質も下がる。
- スイミングスクール運営事業(直営・受託・課外・商品):数量 38,440(会員数(人))× 価格 0.00(1 会員あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 47 億円・営業利益 0 億円。会員 0.50 倍・会費 1.10 倍、利益率 -1%
倍率:構造的に負けた姿。純損失で稼ぐ力に値が付かず、売れる資産が床になる。今の自己資本 32 億円に PBR 0.2 倍。
確率:構造的に負ける筋書き。少子化と競合で会員が半分近くに減る。10%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
スイミングスクール運営事業(直営・受託・課外・商品)
全国で子ども中心のスイミングスクールを運営する。直営 64 か所、受託 20 か所。
| 数量会員数(人) | 価格1 会員あたり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 76,880 | 0.00 | 85 | 4 |
| 10 年後 中立 | 63,042 | 0.00 | 91 | 5 |
取り方:売上 85.41 億円・営業利益 4.33 億円(有報)。会員数 76,880 人は有報の開示。1 会員あたりの売上は商品・受託を含めた全体を会員数で割った値。
リスクと懸念
少子化と会員数の減少
前期の会員数は 8.9% 減った。15 歳未満の人口は 10 年で 1 割強減る見込みで、会費改定の影響も重なる。数量の減りを会費で埋める手は、何度も使えない。
指導者の確保
会社自身が業界全体の指導者不足を課題に挙げる。時給は物価と最低賃金で上がり、コーチを集められない施設は定員を絞るしかない。
固定の家賃と光熱費
施設の多くは賃借で、会員が減っても家賃は下がらない。電気・ガス・水・燃料の費用も高止まりし、悲観では固定費として利益を押す。
金利の上昇
借入は 20 億円ほどで、借り換えで利息が増える。年に 0.5 億円ほどが利益から出ていく。
競合と代替の習い事
総合型の大手クラブが子ども向けを強め、安い習い事やオンライン学習へ需要が分散する。会費の値上げを通しにくくなる。
大株主の意向
日本テレビホールディングスが 24.84% を持つ。提携の内容や持株の動きが、経営の方向と株価に影響する。
今後の分かれ目
- 今期の会員数の減りが 3% 以内に収まったら
- 会費改定の影響が一巡したとみて、楽観・やや楽観の確率を引き上げる。
- 営業利益率が 6% を超えて定着したら
- 値上げと出店の効果が出ているとみて、中立の利益率を上げる。
- コーチの採用が計画を下回り、定員を絞る施設が増えたら
- 数量の下振れが続くとみて、やや悲観・悲観を引き上げる。
- 日本テレビホールディングスの持株が動いたら
- TOB や再編があり得るが、価値の評価は変えず、確率だけ見直す。
- 金利の上昇で支払利息が年 1 億円を超えたら
- 純利益の下振れとして、中立の利益を下げる。
見ておくもの
- 会員数と退会率
- 会費改定後の 1 会員あたりの売上
- 営業利益率
- コーチの採用数と定員の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。ROE が k 7.75% を下回る筋書きは、正当化 PER の上限が 1÷k = 12.9 倍で、数量が細る型のため中立は 7.4 割の 9.5 倍にとどめた。悲観側は純現金ではなく売れる資産の税後を床にした。今の株価・過去の倍率は使っていない。新リース会計基準の影響は、今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)にそろえて置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13→13.41 倍・やや楽観 PER 11.5→13.06 倍・中立 PER 9.5→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.25% = 7.75%。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.75% → 8.00%。