結論
進学会ホールディングスは、札幌発の学習塾を祖業にしながら、いまは借入で有価証券を回す資金運用が売上の過半を占める会社だ。筆者の結論は割高である。純資産は時価総額の4倍近くあるが、その中身は市場で値が動く株と販売用の不動産で、安定して稼ぐ力ではない。
塾そのものは小さい。教育関連の売上は10億円ほどで、少子化が進む北海道では伸びを描きにくい。不採算の教室を閉じてきたが、会社の利益の柱にはなっていない。
問題は資金運用だ。2026年3月期は評価損で営業赤字が15億円に膨らみ、自己資本は4年でほぼ半分になった。借入金は80億円規模で、金利が上がる世界では運用の損益分岐点も上がる。
創業家が議決権の過半を握る。帳簿の価値が少数株主に回る道筋は見えにくく、筆者は帳簿どおりには評価しない。
資産の切り売りと運用の規律が戻れば、今の値段の数倍もありうる。ただ、その筋書きが半分に届くとは筆者は見ていない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、安い理由がはっきりしている株は、安いまま終わることが多い。純資産が時価総額の4倍近くあっても、その資産を作る力が事業に無いからだ。
見るべきは二つある。ひとつは、本業が毎年いくら稼ぐか。もうひとつは、経営者が株主のお金をどう使うか。前者は赤字で、後者は借入で株を回すという、バリュー投資の目からは最も遠い使い方だ。
資産の価値自体は無視しない。札幌の不動産と現預金は、清算すれば現実の価値になる。だが清算は少数株主が決められない。支配株主の判断に任せるなら、帳簿の半分にも届かない価格で見るのが安全だと筆者は考える。
分からない事業には高い値を付けない。運用の成績は予測できず、塾の将来も細る。だから確率を悲観寄せに置き、資産の裏づけがある部分だけを評価した。その上で、安全域は十分とは言えない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は四つある。祖業の学習塾、スポーツクラブ、不動産、そして資金運用だ。
学習塾は札幌を中心に「北大学力増進会」の名で高校受験を教える。教室の統廃合を進め、教育関連の売上は年10億円前後まで小さくなった。連結の従業員95人のうち68人が教育関連にいる。スポーツクラブは札幌市内で3店を営み、売上は3億円ほどだ。
不動産は賃貸マンションの経営と、販売用不動産の売買だ。2024年に日動との合弁でホクシンビル開発を立ち上げ、売りの比重が増えた。売上は13億円ほどである。
資金運用は100%子会社のSG総研が担う。上場株などを自己資金と借入で売買し、売上には売却高と配当が入る。2026年3月期は売上が連結の過半を占めたが、評価損でセグメント損失は14億円を超えた。
愛知の浜進学会は30%出資の持分法会社で、浜学園が70%を持つ。
要するに、塾の看板を掲げた小さな運用会社に近い。利益の振れは運用が決め、塾と不動産は小さな黒字か赤字を積むだけである。投資家がまず確かめるべきは、塾の生徒数ではなく運用の残高と借入の額だ。
優良さと弱いところ
優良さは乏しい。11期連続で最終赤字の会社に、堀と呼べるものはない。
塾のブランドは北海道では通るが、生徒数が小さく、値上げで稼ぐ力もない。講師の学歴を巡る広告表示で消費者庁の措置を受けた過去もある。強みと呼べるのは、札幌の教室と不動産という、売れる資産を持つことくらいだ。
資本効率は悪い。自己資本は2016年3月期の278億円から73億円まで減った。減った理由の大半は運用の損失である。自己資本比率は36.7%で、前の期の39.4%から下がった。
経営の資本配分が最大の弱点だ。借入で株式を持つ運用は、相場が上がれば利益、下がれば損失をそのまま株主に返す。本業の稼ぎで支えていないので、損が続けば純資産は目減りする。
良い点を探せば、2026年3月に学研ホールディングスとの資本業務提携を解消し、教室の再編と不採算店の閉鎖を進めていることだ。損失を止める動きとして評価はできるが、稼ぐ力が戻る話ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
学習塾の市場は、子どもの数が減る中で一人あたりの支出が増える構図だ。北海道は人口減が全国より速く、中学生の母数は10年で1割以上減る見込みである。札幌圏に集中するが、その札幌も横ばいがやっとだ。
競合は大手と地元の塾に分かれる。札幌では地場の塾が多く、全国チェーンの個別指導も入る。生徒を集め続けるには広告と教室網が要り、小さな会社ほど費用が重い。
AIの学習サービスが家庭学習の一部を置き換える流れも見逃せない。受験の本番に向けた通塾は残るが、補習や演習の回数は減るだろう。
もう一つの業界は国内株の運用である。日本株は物価上昇と企業改革で追い風が吹く一方、東証の資本効率の要請も強まり、相場の振れは大きい。借入で持てば振れは何倍にもなる。2026年3月期のように、株価の変動が一気に評価損となって決算を襲うことがある。
不動産は札幌の再開発で地価が上がっている。賃貸と販売のどちらでも利益は出るが、金利が上がる局面では買い手が減り、回転が鈍る。地方の中堅企業が不動産と運用を兼営する形は珍しく、同じ型の比較対象は少ない。
資本政策と M&A
資本政策には規律が見えない。配当は少額で、自己株の取得は2025年度の前半だけで1億円近く行った。本業が赤字でも還元を続けているため、運用の損失と合わせて自己資本が削られる。
創業家が議決権の過半を持つ。平井興産が38%、平井睦雄氏が14%を持ち、合算で56.6%である。この支配の下では、余った資産が少数株主に戻る保証は低い。
借入は短期が中心で、短期借入金は80億円規模に増えた。金利が3.5%まで上がれば、借り換えのたびに利払いが重くなる。
M&Aでは、創業家が非公開化を狙う余地がある。資産は時価総額を大きく上回るので、少数株主にとっては有利な価格が出る可能性もゼロではない。だが、これは推測の域を出ず、確率には小さく織り込むにとどめる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
純資産は73億円あり、時価総額の4倍近くある。現預金34億円と販売用不動産24億円だけで、時価総額を大きく超える。損失の主因は評価損で、保有を続ければ戻る含み損も多い。
会社の来期予想は黒字転換だ。不採算の教室は閉鎖し、学研との提携も解消して身軽になった。資金運用も、相場が戻れば一気に黒字化する。
札幌では再開発が進み、保有不動産の売却益が見込める。2024年に始めたホクシンビル開発は、すでに利益を出している。売却を進めて借入を返せば、利払いが減り、利益が安定する。
創業家は一族で過半を持つ。自分たちの資産も減るので、資産を捨てる動機は無い。非公開化に動けば、株価は大きく上がる。株主にとっては、資産の裏づけが効く場面だ。
塾の部門も、教室を絞って費用を落とせば黒字に近づく。北海道の大学受験ブランドは地元で根強く、生徒が戻れば固定費を薄められる。学研ホールディングスがかつて出資したのも、教育ブランドに価値を見たからだ。
慎重な見方
11期連続の最終赤字は構造だ。純資産は4年で半分になり、同じ速度なら5年で尽きる。評価損は戻るとは限らない。借入で買った株は、下がれば売らされる。
来期の黒字予想は信用しにくい。評価損が出るかどうかは相場次第で、会社に予想する力はない。実際、2026年3月期も期初は黒字予想だった。
現預金34億円は借入80億円で作った資金で、実質は純負債である。販売用不動産も売れて初めて価値になり、売却益は一過性だ。
支配株主が過半を握る以上、資産が少数株主に回る保証はない。金利が上がれば借入の負担は増え、運用で埋め合わせるにはさらに大きなリスクを取る。塾の将来も細る一方だ。
講師の学歴を巡る広告表示で措置を受けた過去もあり、ブランドが傷んでいる点も軽くない。会社が資産を現金化して借入を返すところまで確認できなければ、純資産は絵に描いた餅にとどまる。さらに、運用の損益は期ごとの判断で振れ、教育と不動産の黒字を一度に飲み込む。
どちらに重みを置いたか
資産の裏づけは評価するが、損失の流れと資本配分の弱さのほうが重い。確率は悲観寄せに置き、やや悲観と悲観を合わせて5割とした。
資産の切り売りが進み、運用を止める筋書きは、楽観とやや楽観の合計16%にとどめた。会社が借入を返し始めたら、見方を改める。創業家が運用を続ける限り、帳簿の厚みは時価総額の下支えになりにくい。逆に、運用を止めて借入を返す行動が出れば、資産の現金化が株価を押し上げる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 117 円19 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 9 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 50 円8 億円、今との差 −54.9%、 期待の年率 +1.1%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 4% | 439 円73 億円 | 48 円8 億円 | +334.9% | +15.8% | 19 円3 億円 |
| やや楽観 | 12% | 171 円28 億円 | 24 円4 億円 | +73.8% | +5.7% | 23 円4 億円 |
| 中立 | 34% | 123 円20 億円 | 12 円2 億円 | +20.1% | +1.9% | 46 円8 億円 |
| やや悲観 | 30% | 88 円15 億円 | 0 円0 億円 | −21.7% | −2.4% | 26 円4 億円 |
| 悲観 | 20% | 53 円9 億円 | 0 円0 億円 | −52.8% | −7.2% | 11 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 117 円19 億円 | 9 円1 億円 | +12.0% | +1.1% | 125 円21 億円 |
今の株価時価総額 112 円19 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 4% 相場が味方し、運用が黒字に戻り不動産も売れる 利益 7 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 439 円73 億円
運用の規律が戻り、借入を返しながら黒字を積む。日本株の追い風を受け、運用の収益が営業利益を引き上げる。
不動産は札幌の再開発で売却益が伸びる。ホクシンビル開発が回転し、販売用不動産が現金に変わる。
教育は赤字をほぼ止めるが、成長はしない。教室を絞り、生徒数は少しだけ減る。
創業家は利益の一部を配当に回し、株主還元を続ける。非公開化の話が出るなら、この筋書きでは資産に見合う価格が付く。営業利益は11億円台に乗る。
この筋書きでは、会社が運用より本業と不動産に資金を振り向ける姿が定着し、市場も帳簿の価値を認め始める。ただ、11期の赤字を経て、そこまで経営が変わる姿は描きにくい。教室数は減り、生徒数も細るので、教育は利益の柱にならない。
- 学習塾・スポーツクラブ・教材:数量 2,850(期中の塾生・会員数(人、推定))× 価格 0.01(1人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。数量 0.95 倍・価格 1.34 倍、利益率 5.0%
- 不動産(賃貸・販売):数量 52.0(期中平均の保有・回転資産の簿価(億円、実質、推定))× 価格 0.44(簿価1億円あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 23 億円・営業利益 5 億円。数量 1.30 倍・価格 1.34 倍、利益率 20.0%
- 資金運用(SG総研):数量 117(期中平均の運用資産(億円、実質、推定))× 価格 0.60(運用資産1億円あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 71 億円・営業利益 8 億円。数量 1.30 倍・価格 1.34 倍、利益率 12.0%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.0% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 73 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:運用の黒字が続き、不動産の売却益も出る筋書き。11期の赤字の流れを断ち、運用も不動産も同時にうまくいく必要があり、実現は難しいとみて、5%未満の4%に置く。
やや楽観 12% 赤字は止まり、運用は小さな黒字、不動産が支える 利益 3 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 171 円28 億円
運用の損失が止まり、小さな黒字に落ち着く。借入は少しずつ減り、利払いの負担も下がる。
不動産が利益の柱になる。賃貸と販売で営業利益は3億円台に乗る。
教育は規模を縮めて黒字すれすれまで戻す。教室の統廃合が効く。
営業利益は5億円ほど。教室の整理が終わり、固定費が落ち着く。純利益は3億円弱で、自己資本は少し増える。株主還元は小さいが続く。
創業家は支配を保ったまま、安定した運営に軸足を移す。借入の返済が先で、積み上がった現金を配るほどの余裕はまだ出ない。塾の部門は規模を縮めたまま、地元の受験塾として細く続く。
- 学習塾・スポーツクラブ・教材:数量 2,700(期中の塾生・会員数(人、推定))× 価格 0.01(1人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。数量 0.90 倍・価格 1.34 倍、利益率 2.0%
- 不動産(賃貸・販売):数量 46.0(期中平均の保有・回転資産の簿価(億円、実質、推定))× 価格 0.44(簿価1億円あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 20 億円・営業利益 3 億円。数量 1.15 倍・価格 1.34 倍、利益率 17.0%
- 資金運用(SG総研):数量 103(期中平均の運用資産(億円、実質、推定))× 価格 0.60(運用資産1億円あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 62 億円・営業利益 4 億円。数量 1.15 倍・価格 1.34 倍、利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.5% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 28 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:経営が運用を絞り、不動産中心の安定した姿に近づく筋書き。会社の黒字予想が実現し続ければこの形になる。
中立 34% 赤字は止まるが、稼ぐ力は戻らない 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 123 円20 億円
塾は少子化で細り、教室を絞りながら赤字すれすれで続く。生徒数は10年で15%ほど減る。
不動産は小さな黒字を積む。回転は続くが、金利が上がるので売りは慎重になる。
運用は規模を絞り、損益はほぼゼロ。評価損が出る年もあれば、利益が出る年もあり、平均すれば借入の利払いを賄う程度だ。
営業利益は1億円に届かず、利払いで純利益はほぼゼロになる。自己資本は73億円から51億円ほどまで細り、稼ぐ力に値は付かず、資産の価値で見られる姿が続く。
会社の黒字予想は、運用の損益を平均でゼロとみたときの姿に近い。市場の評価が変わるきっかけは乏しく、時価総額は純資産の半分に届かないまま推移する。還元は配当と自社株の少額で、足りない分は販売用不動産などの資産の売却で払う。
- 学習塾・スポーツクラブ・教材:数量 2,550(期中の塾生・会員数(人、推定))× 価格 0.01(1人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。数量 0.85 倍・価格 1.30 倍、利益率 -2.0%
- 不動産(賃貸・販売):数量 40.0(期中平均の保有・回転資産の簿価(億円、実質、推定))× 価格 0.44(簿価1億円あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 3 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍、利益率 15.0%
- 資金運用(SG総研):数量 90.0(期中平均の運用資産(億円、実質、推定))× 価格 0.59(運用資産1億円あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 53 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00 倍・価格 1.30 倍、利益率 2.0%
倍率:純利益はほぼゼロで ROE も 0%。稼ぐ力に値は付かず、売れる資産(現預金・販売用不動産)の価値で見る。支配株主が過半を持ち戻り方は半分とみて、自己資本 51 億円に PBR 0.40 倍。EV ÷ 営業利益(EV は時価総額に純負債45億円を足した額)は 69 倍と、利益が薄すぎて意味を持たない。EV で見ても割安とは言えず、資産で見た。
確率:会社は赤字を止める方向に動くが、運用の損益を事前に当てる力は無い。収支ほぼトントンの形を中心に置く。
やや悲観 30% 運用の損が続き、自己資本が半分に細る 利益 −5 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 88 円15 億円
運用は借入の利払いが重くなり、成績が追いつかない。損益は赤字に傾く。
塾は生徒が4分の1減り、赤字を積む。不動産は小さな黒字を残すが、売却は進まない。
営業利益は3億円強の赤字、利払い増で純損失は5億円を超える。自己資本は10年で26億円ほどまで減る。
創業家は配当を続けられず、株主還元は止まる。販売用不動産を売って借入を返す動きは遅れ、資産の価値は目減りしていく。
教室の閉鎖費用や、評価損の追加も出る。会社は借入の借り換えに応じる金融機関の目を気にしながら、運用を続けるか縮めるかの判断を迫られる。この筋書きでは、時価総額が今の水準を下回る可能性が高い。
- 学習塾・スポーツクラブ・教材:数量 2,250(期中の塾生・会員数(人、推定))× 価格 0.01(1人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 −1 億円。数量 0.75 倍・価格 1.22 倍、利益率 -8.0%
- 不動産(賃貸・販売):数量 36.0(期中平均の保有・回転資産の簿価(億円、実質、推定))× 価格 0.42(簿価1億円あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。数量 0.90 倍・価格 1.30 倍、利益率 12.0%
- 資金運用(SG総研):数量 81.0(期中平均の運用資産(億円、実質、推定))× 価格 0.54(運用資産1億円あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 44 億円・営業利益 −2 億円。数量 0.90 倍・価格 1.20 倍、利益率 -4.0%
倍率:赤字が続き、稼ぐ力に値は付かない。売れる資産の価値で見て、今の自己資本 73 億円に PBR 0.20 倍。中立の PBR より低く置いた。
確率:11期の赤字の流れと同じ姿で、相場の下落と金利上昇で運用の損失が残る。10年の間に一度は大きな評価損が出ると見る。
悲観 20% 運用が大きく失敗し、資産を売って借入を返す 利益 −10 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 53 円9 億円
相場が急落し、借入を使った持ち株が大きく値下がりする。担保の追加か損切りを迫られ、評価損が確定する。
販売用不動産と固定資産を急いで売り、借入を返す。売り急ぎで安値になる。
塾は縮み、生徒は4割減る。営業赤字は7億円近く、利払いと合わせて純損失は10億円に迫る。自己資本は10年で数億円まで減る。
創業家は非公開化に動く可能性もあるが、買い手が付く価格は低い。
最悪の場合、継続企業の前提に注記が付き、資産の売却が加速する。少数株主の取り分は、借入と清算費用を差し引いた後にわずかに残るだけになる。創業家の出資者としての損失も大きく、ここまで進む前に動くと見るのが自然だが、10年の間に一度でも相場が崩れれば起こりうる。
- 学習塾・スポーツクラブ・教材:数量 1,800(期中の塾生・会員数(人、推定))× 価格 0.00(1人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。数量 0.60 倍・価格 1.10 倍、利益率 -15.0%
- 不動産(賃貸・販売):数量 24.0(期中平均の保有・回転資産の簿価(億円、実質、推定))× 価格 0.39(簿価1億円あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。数量 0.60 倍・価格 1.20 倍、利益率 5.0%
- 資金運用(SG総研):数量 54.0(期中平均の運用資産(億円、実質、推定))× 価格 0.45(運用資産1億円あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 24 億円・営業利益 −4 億円。数量 0.60 倍・価格 1.00 倍、利益率 -15.0%
倍率:構造的に負けた姿。純損失で稼ぐ力に値は付かず、売れる資産の税引き後が床になる。今の自己資本 73 億円に PBR 0.12 倍。
確率:借入を使った運用が相場の急落に当たり、強制的に損切りさせられる筋書き。2008年にも似た谷があった。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
学習塾・スポーツクラブ・教材
札幌を中心とする学習塾「北大学力増進会」、スポーツクラブ3店、教材の販売。教育関連は赤字が続く。
| 数量期中の塾生・会員数(人、推定) | 価格1人あたり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,000 | 0.00 | 14 | −1 |
| 10 年後 中立 | 2,550 | 0.01 | 15 | 0 |
取り方:セグメント売上は教育関連10.5億円とスポーツ3億円、計13.5億円(企業情報サイトの2026年3月期)。生徒数は開示が見つからず、1人あたり年45万円の推定で約3,000人。教育関連の部門損失は1.2億円で、スポーツを含め1.4億円の赤字と推定。
不動産(賃貸・販売)
賃貸マンション経営と、ホクシンビル開発による販売用不動産の売買。
| 数量期中平均の保有・回転資産の簿価(億円、実質、推定) | 価格簿価1億円あたりの年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 40.0 | 0.33 | 13 | 3 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 0.44 | 17 | 3 |
取り方:セグメント売上13億円(企業情報サイト)。中間期の販売用不動産が24億円なので、賃貸を合わせた資産を40億円と推定。中間期に部門利益2億円が出ており、通期の利益を2.5億円と推定。
資金運用(SG総研)
上場株などの売買と配当。借入を使い、売上に売却高を含む。2026年3月期は評価損で大幅な赤字。
| 数量期中平均の運用資産(億円、実質、推定) | 価格運用資産1億円あたりの年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 90.0 | 0.45 | 41 | −15 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 0.59 | 53 | 1 |
取り方:連結売上67億円から他セグメントを引き、40.5億円と推定。企業情報サイトの36億円とは差があるが、連結に合わせた。セグメント損失は決算短信の記事で14.55億円。運用資産は推定で90億円。
リスクと懸念
運用の損失
借入で買った株が下がると、評価損がそのまま純資産を削る。2026年3月期は営業損失の大半が運用で、同じことが起きれば自己資本が一気に細る。
借入の金利上昇
短期借入金は80億円規模。金利が3.5%前後まで上がれば、借り換えのたびに利払いが重くなる。運用の収益が追いつかなければ損失が増える。
支配株主の意思
創業家が議決権の56.6%を持つ。余った資産を少数株主に戻すか、運用に回すか、非公開化するかはすべて支配株主が決める。
少子化で塾が細る
北海道は人口減が全国より速く、生徒の母数が減る。教室の統廃合を続けても売上は縮み、教育関連の黒字化は遠い。
不動産市況の反転
販売用不動産は24億円ほどある。札幌の地価が反落するか、買い手の借入が重くなって売れなくなると、現金化が遅れて借入の返済が滞る。
継続企業の前提
今の決算短信に継続企業の前提の注記は無い。ただ、11期連続の最終赤字と営業キャッシュフローの大幅な流出が続けば、資金繰りの注記が付く可能性がある。
今後の分かれ目
- 短期借入金が減り、販売用不動産の売却が進んだ
- 資産の現金化が進む形なので、悲観の確率を下げ、やや楽観と中立に寄せる。
- 資金運用のセグメントが2期連続で黒字になった
- 運用の規律が戻ったとみて、中立の利益率を引き上げる。
- 創業家による非公開化の公開買付けが出た
- 資産価値に見合う価格かを確かめ、価格に応じて見直す。
- 営業キャッシュフローの流出が続いた
- 運用の損失が本業の資金を奪っているとみて、悲観の確率を上げる。
- 継続企業の前提に関する注記が付いた
- 資産の売り急ぎが前提になるので、悲観の筋書きの確率を大きく引き上げる。
見ておくもの
- 資金運用セグメントの損益
- 短期借入金の残高
- 販売用不動産の残高と売却
- 教育関連の生徒数と教室数
- 創業家の持株比率と開示
倍率と資本コストの決め方
倍率は式と資産から置いた。中立は稼ぐ力に値が付かないので PBR で、売れる資産に創業家の戻り方の半分を掛けて 0.40 倍とした。今の PBR 0.26 倍や過去の PBR は根拠にしていない。k は 10% と高いが、これは借入と運用の振れを quality の借金・循環に入れたためで、確率では二重に悲観へ寄せていない。新リース会計基準の影響は、今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)で置いた。運用の売上は売却高を含み、利益率で置いている。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 8→10 倍・やや楽観 PER 9→10 倍)。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 2.5% = 10%。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表す。