結論
ルネサンスは、全国に約230のスポーツクラブを賃借で運営する会社だ。介護リハビリと自治体の受託も手がける。筆者の結論は「割高」である。事業は社会に必要だが、家賃と借金を背負い、利益が細い。今の値段はそこを見ていない。
2026年3月期の売上は649億円、営業利益は16億円だった。38施設の減損など約31億円の特別損失が出て、最終損益は21億円の赤字になった。自己資本比率は17%に下がった。
会社は旧中計を取り下げ、2026〜2030年の新中計で立て直しを図る。最初の2年は財務の修復に充てる。2030年に営業利益35億円を目指すが、前の計画を守れなかった実績がある。
クラブの数は増えている。東急スポーツシステムの8施設を2026年7月に譲り受けた。ただ賃借の約束は重い。差入保証金は119億円あり、家賃は会員数に関係なく払う固定費だ。
中立の10年後は営業利益27億円。普通株の価値は79億円で、今の時価総額の半分以下だ。確率で重みをつけた本質価値は、今より7割以上低い。
バリュー投資の観点から
この会社を、長く持ちたいか。筆者の答えは「いまの値段では持たない」だ。
事業の役割は大きい。健康づくりは必需に近く、高齢者向けと自治体受託は伸びる。経営陣は、不採算店の閉鎖や財務の立て直しに本気で動いている。
しかし資本の構造が厳しい。賃借料という固定の約束は、会員数に関係なく払う。差入保証金は119億円と、時価総額の6割を超える。これは貸したお金の一種で、閉店すれば原状回復費で目減りする。借入と優先株を合わせた請求権は、普通株より先に払う。
ROEは10年の中央値で5.9%と、資本コストを下回る。新型コロナでは、一度で87億円の最終赤字を出した。事業の質に比べ、財務の余裕が薄い。
バリュー投資の目では、安全域のない会社だ。悲観の床は、保証金と現金の戻りから借入と優先株を引くと、ほぼゼロになる。倒産は考えにくいが、普通株の値打ちは、継続できるかどうかの選択権に近い。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は2本ある。直営のスポーツクラブと、介護リハビリ・自治体受託だ。会社は単一のセグメントで報告する。2026年3月末の施設数は330で、内訳はスポーツクラブ232、小型2、介護リハビリ87、屋外フィットネス9である。
スポーツクラブは、会員の月会費、スイミングなどのスクール、物販で稼ぐ。ほとんどの施設は賃借で、賃借料は会員数に関係なく払う。差入保証金は119億円に上る。
介護リハビリは、介護予防のためのリハビリ施設だ。自治体の体育施設や学校のプールの運営も受託する。投資が小さく、利益率は安定している。高齢化が追い風で、会社は伸ばす方針だ。
子会社は、2025年12月に取得した楓の風(介護事業)、2026年3月から完全子会社のBEACH TOWN、ベトナムの現地法人だ。従業員は連結で2,020人。
創業はDICの社内ベンチャーで、DICは今も筆頭株主(17.8%)だ。2020年にSOMPOホールディングスと業務提携した。2022年11月には、AAGS S3, L.P.に対し、A種優先株式20億円、転換社債15億円、新株予約権15億円を発行して資金を調達した。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、立地と運営力にある。ただし深くはない。
都市の駅前など良い立地に長期の賃貸借契約を持ち、スクールの指導員の質で差をつける。高齢者向けのリハビリや自治体受託は、ノウハウが要り、参入しにくい。
一方、中価格帯のクラブは、低価格の24時間ジム(エニタイム、チョコザップなど)に会員を奪われてきた。月会費を上げにくく、価格は物価に届かない。コナミスポーツ、セントラルスポーツ、ティップネスなど同業との競争も続く。
資本の効率は低い。ROEは過去10年の中央値で5.9%だが、直近は赤字だ。新型コロナの2021年3月期には、営業赤字46億円、最終赤字87億円を出した。
弱点は3つある。第1は、賃借料という固定費が重いこと。第2は、財務が薄いこと。自己資本比率は17%で、財務制限条項もある。第3は、感染症のような急な休業に弱いことだ。
筆者は事業の質を「社会の役には立つが、景気と競争と家賃に弱い」と見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
フィットネスの需要は、健康志向の高まりで底堅い。ただ競争の形が変わった。コナミスポーツやルネサンスのような総合型は、プール、スタジオ、スクールを備え、月会費が高い。24時間のジムは設備を絞り、月会費が安い。若い世代と初心者を取り込み、中価格帯のクラブの会員を奪った。
新型コロナで、総合型は大きな傷を負った。会員が退会し、施設の休業も重なった。回復は進んだが、会員数が元に戻っていないクラブも多い。
成長の芽は2つある。1つは高齢者向けのリハビリ・介護予防だ。もう1つは自治体の受託で、公共施設の運営を民間に任せる流れがある。ルネサンスは、この2つを伸ばす計画だ。
人件費と光熱費は上がり続ける。指導員の確保が難しく、賃金は物価以上に上がる。月会費の値上げで転嫁できるかが、利益率を左右する。
同業の再編も進む。東急スポーツシステムの施設を譲り受けたのも、その一例だ。閉鎖する不採算店と、引き継ぐ好立地の店が、同時に動いている。
賃借料は、昔の水準のまま続く店もあれば、更新で上がる店もある。保証金の大きさは、立地の良さの裏返しでもあり、閉めにくい約束でもある。
資本政策と M&A
資本の使い方は、立て直しが先だ。
2022年11月に、AAGS S3, L.P.に対する第三者割当で、A種優先株式20億円、転換社債15億円(2028年満期)、新株予約権15億円を発行した。A種優先株の配当は年1%ほどと低いが、普通株に先立つ請求権で、転換すれば株数が増える。
配当は2026年3月期に普通株へ年間で払い、A種優先株にも別に払った。新中計は、2030年に配当性向40%を掲げる。ただ最初の2年は財務の修復が優先で、配当は抑えられる。
M&Aは積極的だ。東急スポーツシステムから8施設を2026年7月に譲り受け、楓の風を2025年12月に取得した。取得した施設が黒字になるかが、成否を分ける。
財務制限条項は、経常赤字の2期連続や純資産の前期比25%減で抵触する。2026年3月期は純資産が2割超減り、条項に近づいた。
大株主はDIC(17.8%)とAAGS。TOBの可能性は、kabufuの試算で10年以内に18%と、他社並みだ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
底は過ぎ、立て直しが始まった。2026年3月期は最終赤字だが、営業利益は16億円を確保し、営業キャッシュフローは41億円ある。38施設の減損は、不採算店の整理で、将来の償却を軽くする。会社は旧中計を取り下げ、2026〜2030年の新中計で2030年に営業利益35億円、ROE 10%を掲げた。最初の2年に財務を修復し、不採算店の閉鎖を6店決めた。
東急スポーツシステムの8施設を譲り受け、好立地を安く手に入れる。介護リハビリと自治体受託は、高齢化と公共施設の民間委託で伸びる。ここは設備が軽く、利益率が安定している。
低価格ジムとの競争は、実は中価格帯に有利な面もある。24時間ジムは、プールやスタジオ、スクールを提供できない。ファミリー層と高齢者は、総合型を選ぶ。月会費の値上げも、段階的に通せる。
A種優先株と転換社債は、株価が上がれば株に変わり、財務は自然に改善する。親会社のDICが筆頭株主として支える。株価が上がる局面では、大きく動く会社だ。
慎重な見方
財務が薄い。自己資本比率は17%に下がり、財務制限条項は、純資産が前期比75%未満になると抵触する。2026年3月期は純資産が2割超減り、条項に近づいた。借入の条件が悪化すれば、立て直しの原資が尽きる。
固定費が重い。差入保証金は119億円で、賃借料は会員数に関係なく払う。閉店しても、原状回復費で保証金は目減りする。新リース会計(2028年3月期)で、賃借の約束が貸借対照表に載り、純負債は見かけ以上に膨らむ。
計画の実績が悪い。前の中計を達成不能として取り下げた。過去6年のうち3回が赤字で、2021年3月期は最終赤字87億円だった。今期の予想(営業利益18億円)も、東急の8施設の黒字化と不採算店の整理に頼る。
競争は構造的だ。24時間ジムが中価格帯のクラブの会員を奪い、月会費を上げにくい。人件費と光熱費は物価で上がる。
A種優先株の20億円は普通株に先立つ請求権で、転換価額に届かない限り、普通株の価値を削る。
どちらに重みを置いたか
数字の勝負では、慎重な見方が強い。財務は薄く、家賃は固定費として重く、計画の実績は悪く、優先株の請求権が普通株の前にある。一方で、立て直しは動いており、介護リハビリと受託の成長は事実だ。そこで、中立に4割弱を置き、やや悲観に3割弱を寄せた。楽観は5%、悲観は15%と、他社より重く見た。確率は、慎重な側の合計(4割強)が強気の側(2割)の2倍になる形だ。悲観を厚くした理由は、自己資本比率の薄さと財務制限条項にある。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 560 円106 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 94 円18 億円)。 今の値に割り戻すと 310 円59 億円、今との差 −69.0%、 期待の年率 −4.2%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 2,228 円422 億円 | 329 円62 億円 | +155.7% | +9.8% | 128 円24 億円 |
| やや楽観 | 16% | 1,070 円203 億円 | 202 円38 億円 | +27.1% | +2.4% | 203 円39 億円 |
| 中立 | 37% | 714 円135 億円 | 111 円21 億円 | −17.6% | −1.9% | 305 円58 億円 |
| やや悲観 | 27% | 42 円8 億円 | 16 円3 億円 | −94.2% | −24.8% | 16 円3 億円 |
| 悲観 | 15% | 16 円3 億円 | 0 円0 億円 | −98.4% | −33.9% | 2 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 560 円106 億円 | 94 円18 億円 | −34.6% | −4.2% | 654 円124 億円 |
今の株価時価総額 1,000 円189 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 5% 中計が前倒しで実り、東急の8施設とリハビリが利益を押し上げる 利益 37 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 2,228 円422 億円
新中計を前倒しで達成する。東急スポーツシステムから譲り受けた8施設が黒字化し、不採算店の閉鎖も終わる。会員の活動量は10年で1.15倍になる。価格は物価を上回る1.40倍で、法人・高齢者向けの高付加価値のスクールが伸びる。
介護リハビリと自治体受託は、高齢化で活動量が1.6倍になる。利益率は7%に上がる。
全社の営業利益は65億円、純利益は37億円。営業利益率は5.9%で、新型コロナ前の山(8.8%)の手前にとどまる。
転換社債・新株予約権・A種優先株が株に変わり、株数が増える。借入は返され、自己資本比率は20%台に戻る。
- スポーツクラブ(直営のフィットネスクラブ・スクール):数量 115(会員・利用者の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.40(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0)。月会費・スクール料金の改定を含む)→ 売上 902 億円・営業利益 59 億円。活動量 115(今 100)× 価格 1.40 倍、利益率 6.5%
- 介護リハビリ・受託(自治体・学校)・その他:数量 160(受託・リハビリの活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.40(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 199 億円・営業利益 14 億円。活動量 160(今 100)× 価格 1.40 倍、利益率 7.0%
倍率:事業の純利益 37 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.4% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍。全体の PER 14.46 倍、時価総額 535 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会員を減らさず値上げを通し、買い取った施設も黒字にし、財務の立て直しも早く終わる形。過去6年に3回赤字で、有利子負債が重く、他社の低価格ジムとの競争もあり、5%にとどめる。
やや楽観 16% 中計に近い形で、立て直しが進む 利益 20 億円 · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 1,070 円203 億円
財務の立て直しが2年で終わり、不採算店の閉鎖の効果が出る。会員の活動量は1.08倍、価格は1.35倍。東急から譲り受けた施設も黒字になる。利益率は4.5%に上がる。
介護リハビリと自治体受託は1.45倍に伸び、利益率は6%になる。
営業利益は40億円、純利益は20億円。営業利益率は4.0%で、中計の2030年の目標(4.5%)に近い。
利払いは3.5〜5%の借り換えで増え、純利益を削る。A種優先株と転換社債は株に変わるが、新株予約権は行使されない。配当性向は35%ほどに上がる。
ただ会員の伸びは緩やかで、低価格ジムとの競争は続く。立て直しが進んでも、財務の薄さはすぐには解消しない。
- スポーツクラブ(直営のフィットネスクラブ・スクール):数量 108(会員・利用者の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.35(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0)。月会費・スクール料金の改定を含む)→ 売上 817 億円・営業利益 37 億円。活動量 108(今 100)× 価格 1.35 倍、利益率 4.5%
- 介護リハビリ・受託(自治体・学校)・その他:数量 145(受託・リハビリの活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.35(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 174 億円・営業利益 11 億円。活動量 145(今 100)× 価格 1.35 倍、利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.3% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.2 倍。全体の PER 12.21 倍、時価総額 244 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年の新中計(2030年に営業利益35億円)が、物価の分だけ伸びる形。前の中計を取り下げた経緯があり、確率は中立の半分以下に置く。
中立 37% 立て直しは進むが、家賃と金利が利益を削り続ける 利益 12 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 714 円135 億円
会員の活動量は10年で横ばい。閉鎖と東急からの譲受が差し引きで打ち消す。価格は低価格ジムとの競争で、物価に届かない1.30倍にとどまる。スクールは堅調だが、月会費は上げにくい。
介護リハビリと自治体受託は1.3倍に伸びる。高齢化と、自治体の運営委託が追い風だ。
営業利益は27億円、純利益は11.5億円。営業利益率は3.1%で、中計の2030年の目標(4.5%)には届かない。賃借料は固定費で、人件費は物価で増える。
財務の立て直しに2年かかり、配当は性向25%ほど。A種優先株(20億円)は転換価額に届かず、普通株に先立つ請求権として残る。
- スポーツクラブ(直営のフィットネスクラブ・スクール):数量 100(会員・利用者の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.30(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0)。月会費・スクール料金の改定を含む)→ 売上 728 億円・営業利益 26 億円。活動量 100(今 100)× 価格 1.30 倍、利益率 3.6%
- 介護リハビリ・受託(自治体・学校)・その他:数量 130(受託・リハビリの活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.34(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 155 億円・営業利益 9 億円。活動量 130(今 100)× 価格 1.34 倍、利益率 5.5%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 135 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:27年3月期の会社予想(営業利益18億円)と新中計(2030年に営業利益35億円)を、前の中計を取り下げた実績で割り引く。最も厚く置く。
やや悲観 27% 低価格ジムに会員を取られ、家賃だけが残る 利益 2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 42 円8 億円
会員の活動量は10年で1割減り、価格は1.22倍にとどまる。賃借料は固定費で、人件費は物価で増える。クラブの利益率は2.5%まで下がる。
介護リハビリと自治体受託は1.1倍に伸びるが、利益率は4%どまりだ。
営業利益は12億円、純利益は2億円。営業利益率は1.6%で、2023年3月期の1.7%を下回る。利払いが3.5〜5%の借り換えで増え、純利益はほぼ残らない。
財務制限条項に抵触する年が出て、借入の条件が厳しくなる。配当はほぼ出せず、立て直しは長引く。A種優先株の請求権が普通株の価値を削る。
閉店と改装の費用が先に出て、投資の余力は細る。家賃は物価の分だけ更新で上がる店もあり、利益率は下がり続ける。
- スポーツクラブ(直営のフィットネスクラブ・スクール):数量 90.0(会員・利用者の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.22(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0)。月会費・スクール料金の改定を含む)→ 売上 615 億円・営業利益 15 億円。活動量 90(今 100)× 価格 1.22 倍、利益率 2.5%
- 介護リハビリ・受託(自治体・学校)・その他:数量 110(受託・リハビリの活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.25(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 122 億円・営業利益 5 億円。活動量 110(今 100)× 価格 1.25 倍、利益率 4.0%
倍率:稼ぐ力は純利益 2 億円 × 11 倍で約 22 億円にとどまり、A 種優先株 20 億円の請求権を引くと普通株にはほとんど残らない。事業の継続を前提にした選択権の価値として、自己資本 104 億円に PBR 0.077 を掛けて約 8 億円とした。市場の倍率ではなく、稼ぐ力と優先株の請求権から置いた。
確率:24時間ジムなど低価格の競合が、中価格帯のクラブから会員を奪い続ける。過去6年に3回の赤字があり、有利子負債は重い。中立に次ぐ厚さで置く。
悲観 15% 資金繰りが詰まり、閉店と減損の連鎖で優先株に食われる 利益 −9 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 16 円3 億円
構造的な負けになる。会員の活動量は25%減り、価格は1.10倍にとどまる。賃借料は会員数と関係なく残り、営業赤字が続く。
閉店が相次ぎ、差入保証金は原状回復費と相殺されて半分ほどしか戻らない。減損で自己資本が50億円ほど減る。
借入は財務制限条項に抵触し、金利と条件が悪化する。A種優先株、転換社債、銀行借入の返済が先になり、普通株主の取り分はほとんど残らない。
事業は小さくなって続くが、株主にとっては選択権の価値だけになる。
高齢者向けのリハビリ施設と自治体の受託は残り、事業全体の存続は保たれる。ただ、普通株主に回る分は残らない。
- スポーツクラブ(直営のフィットネスクラブ・スクール):数量 75.0(会員・利用者の活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.10(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0)。月会費・スクール料金の改定を含む)→ 売上 462 億円・営業利益 −2 億円。活動量 75(今 100)× 価格 1.10 倍、利益率 -0.5%
- 介護リハビリ・受託(自治体・学校)・その他:数量 90.0(受託・リハビリの活動量(2026/03 を 100 とした指数))× 価格 1.15(活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0))→ 売上 92 億円・営業利益 1 億円。活動量 90(今 100)× 価格 1.15 倍、利益率 1.0%
倍率:赤字の筋書きなので PBR で置く。優先株と借入の請求権が先で、普通株の取り分は選択権の価値の約 3 億円。今の自己資本 97 億円ではなく、減損後の自己資本 45 億円に PBR 0.067 を掛けた。
確率:低価格ジムの攻勢と感染症のような急な休業が重なり、財務制限条項に抵触して借入の条件が悪化する形。2021年3月期に営業赤字46億円、最終赤字87億円を出した実績があり、自己資本比率は17%と薄い。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
スポーツクラブ(直営のフィットネスクラブ・スクール)
全国約230のスポーツクラブを賃借で運営し、会員の月会費、スイミングなどのスクール、物販で稼ぐ。小型店・屋外フィットネスを含む。
| 数量会員・利用者の活動量(2026/03 を 100 とした指数) | 価格活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0)。月会費・スクール料金の改定を含む | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.00 | 560 | 22 |
| 10 年後 中立 | 100 | 1.30 | 728 | 26 |
取り方:会社は単一セグメントで開示する。売上 649.3 億円のうち、直営クラブを 560 億円、リハビリ・受託ほかを 89 億円と推定した(施設数 232 対 87+9 と、受託の単価の低さから見た推定)。会員数の開示が無く指数で置く。利益は推定で、直営クラブの利益率を約 3.8% とした。
介護リハビリ・受託(自治体・学校)・その他
介護予防のリハビリ施設 87、自治体の体育施設や学校のプールの受託運営、ホームフィットネスなどを手がける。
| 数量受託・リハビリの活動量(2026/03 を 100 とした指数) | 価格活動量 100 あたりの売上の指数(今を 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.00 | 89 | 4 |
| 10 年後 中立 | 130 | 1.34 | 155 | 9 |
取り方:売上は推定 89 億円。受託・リハビリは設備投資が小さく、利益率は約 4% と推定した。
リスクと懸念
財務の薄さと財務制限条項
自己資本比率は17%で、2028年満期の転換社債15億円と銀行借入に財務制限条項がある。経常赤字が2期続くか、純資産が前期の75%未満になると抵触する。2026年3月期は純資産が2割超減った。抵触すれば借入の条件が悪化し、立て直しの原資が尽きる。
賃借料という固定費
ほとんどのクラブは賃借で、差入保証金は119億円ある。賃借料は会員数に関係なく払う。新リース会計(2028年3月期)で賃借の約束が貸借対照表に載り、純負債は見かけ以上に膨らむ。閉店しても原状回復費がかかる。
低価格ジムとの競争
24時間ジムは月会費が安く、若い世代と初心者を取り込んだ。中価格帯の総合型は会員を奪われ、月会費を上げにくい。人件費と光熱費は物価で上がるので、転嫁できなければ利益率が下がる。
計画の未達
旧中計(2024〜2027年度)を達成不能として取り下げた。過去6年のうち3回が赤字で、2021年3月期は最終赤字87億円だった。新中計の初期2年は修復期間で、営業利益35億円(2030年)は未達の恐れがある。
優先株・転換社債・新株予約権
A種優先株20億円は普通株に先立つ請求権で、転換すれば株数が増える。転換社債15億円と新株予約権15億円も加えると、株数は最大で約1.3倍。普通株の1株あたりの価値は、希薄化と請求権の両方で削られる。
感染症・災害による休業
施設型の事業は、感染症や災害で休業すると、収入が止まっても賃借料と人件費は残る。2021年3月期の営業赤字は46億円。再発すれば、薄い財務は耐えられない。
取得した施設の黒字化
東急スポーツシステムの8施設を2026年7月に譲り受け、楓の風も取得した。取得した施設が黒字にならなければ、のれんや減損が出る。不採算店の閉鎖が先行すれば、費用が先に出る。
今後の分かれ目
- 27年3月期の営業利益が18億円以上で着地し、純利益が黒字になったら
- やや楽観の確率を上げる。立て直しの初年度として、中計の道筋が裏づけられる。
- 経常赤字が続き、財務制限条項に抵触する年が出たら
- やや悲観・悲観の確率を上げる。借入の条件悪化と、希薄化を伴う増資の可能性が出る。
- 東急から譲り受けた8施設が1年で黒字化したら
- 好立地の取得が成功した証拠で、会員の活動量と利益率を上に直す。
- 月会費の値上げが退会を増やさずに通り、会員数が増え続けたら
- 価格が物価並みに近づく。やや楽観の確率を上げる。
- A種優先株・転換社債が株に変わる発表があったら
- 株数が増える。希薄化を価値に反映し直す。
- 新リース会計の導入で、リース負債の大きさが開示されたら
- 純負債が見かけ以上に重いかどうかが確認できる。余り資産と床を見直す。
見ておくもの
- 会員数・退会率と、クラブの数
- 営業利益率と、不採算店の閉鎖の進み具合
- 自己資本比率と、財務制限条項への抵触の有無
- A種優先株・転換社債の転換と、新株予約権の行使
- 差入保証金の残高と、リース負債(新リース会計)
倍率と資本コストの決め方
今の株価から逆算せず、先に会員の活動量 × 価格、受託・リハビリの活動量 × 価格でセグメントを積み、本部費を引いた。セグメントの売上と利益は開示が無く、推定で配分し、全社の営業利益に合わせた。倍率は事業の ROE(中立で7%、k を下回る)から式で出した。A種優先株20億円は普通株に先立つ請求権として、中立の価値から引いた。悲観の床は、保証金の戻りと現金から借入と優先株を引いた額で、ほぼ0に近い。過去の PBR の底は使っていない。リースは SCHEMA §1-9に従い、賃借料は営業費用に入れた形で10年を置き、2028年3月期からの新リース会計で営業利益は少し増え、純有利子負債はリース負債の分だけ増える形の変化は、今と同じ家賃を費用に入れた形でそろえた。悲観では家賃が固定費として残る。今の時価総額と比べたのは最後で、市場の PER に寄せていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.05→14.46 倍・やや楽観 PER 9.55→12.21 倍・中立 PER 6.84→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。