結論
船場は、店舗・オフィス・ホテルの内装を設計から施工まで請け負う会社である。大手百貨店や高級ブランドの店づくりが得意で、台湾とシンガポールにも拠点を持つ。
筆者の結論は、10 年の本質価値が今の時価総額をやや下回る、というものだ。2025 年 12 月期の営業利益 23 億円は、上場以来の最高だった。営業利益率 7.0% は過去 12 年の山にあたる。ここを前提に高い値は付けられない。
強みは 2 つある。受注残が 84 億円と 29% 増え、オフィスや余暇施設の受注が 72% 伸びていること。もう 1 つは、借金がなく、現金に余裕があることだ。
弱みは、利益が人に頼る点にある。職人と施工管理の人件費は毎年上がり、2026 年の中間期は営業利益が 48% 減った。案件は価格を競う入札型で、物価を価格に乗せきれない年も出る。
株主の 4 割を握るリヤ興産が動かない限り、余った現金が配当に回る速さも限られる。配当は利益の 5 割を目安とし、それ以上の追加還元の実績はまだ無い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「悪くない普通の会社」である。デザイン力のある内装会社だが、受注は案件ごとの競争で、堀は深くない。
本当の利益(オーナー利益)は、設備投資がほとんど要らないので、純利益 15 億円にほぼ等しい。資産を食わずに稼ぐ点は評価できる。ただ、事業を続けるために毎年、人を採って育てなければならない。人件費の上昇は、利益率に直接響く。
現金の厚さは安全域になる。余った現金は 50 億円ほどあり、時価総額の 3 割にあたる。ただ、追加で戻る保証は弱い。
経営は堅実だが、攻めの資本配分は見えない。持ち続けたい会社かと問われれば、利益率が 7% を保てるなら持ちたいが、10 年を通じて保てると言い切れない。今の値段は、山の利益を前提に付いている。
筆者がいちばん気にするのは、人の採用で先に費用が出る構造だ。利益が出る前に人件費が増え、回収は受注しだいになる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎは、商業施設などの内装の企画・設計・施工である。単一の事業で、売上は 2025 年 12 月期に 328 億円だった。市場の分野は 3 つに分かれる。専門店が 105 億円、大型店・複合商業施設が 120 億円、オフィス・余暇施設等が 103 億円だ。
専門店は、高級ブランドや飲食・物販の新装・改装を受ける。大型店・複合商業施設は、百貨店の改装や大型の複合施設の仕事で、案件が大きく、年ごとの波も大きい。オフィス・余暇施設等は、働き方の見直しで増えたオフィスの改装と、ホテル・ジムなどの余暇施設で、足元でいちばん伸びている。
海外は売上の約 12% で、台湾の長期の大型開発案件の進捗が支えている。
数量は、客が決める。店を出す・改装する意思決定は、小売やデベロッパーの投資計画で決まり、会社は受注を積み上げるしかない。受注残 84 億円は売上の 3 か月分ほどで、国内のゼネコンのような数年先まで埋まる事業ではない。短いサイクルで稼ぐ事業である。会社は中期経営計画で、人材・サービス領域の拡大・海外の深耕を 5 本柱に掲げる。
優良さと弱いところ
強みは、設計から施工まで 1 社で完結できることだ。デザインの提案力で、高級ブランドや百貨店の信頼を得ている。2025 年 12 月期の営業利益率 7.0% と ROE 10.4% は、同業の中でも高い方だ。
弱みは、2 つある。1 つは、入札と見積もりで値が決まり、物価の上昇を価格に乗せきれない年がある点だ。もう 1 つは、人の力に頼る点だ。施工管理の人員を 38 名増やした 2026 年の中間期には、人件費が先に増え、営業利益が 48% 減った。
過去の実績も、安定しているとは言えない。営業利益は 2019 年に 13 億円あったが、2020〜21 年の感染症の時期は 4〜5 億円まで落ちた。出店の投資が止まれば、すぐ数字に出る事業だ。
借金がなく、自己資本比率は 66% と厚い。ただ、財務の厚さは堀ではない。経営の資本配分は、配当性向 5 割を守る堅実な型で、買収で価値を壊す心配は小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
店舗や商業施設の内装市場は、広告・販促の費用と同じく景気に左右される。国内の総広告費は 2025 年に 8 兆円を超え、そのうち展示・ディスプレイなどのプロモーションメディアは 1.7 兆円と、3 年続けて伸びた。インバウンドと大型イベントが背景だ。
競争相手は、内装・展示の最大手の乃村工藝社、丹青社、ゼネコンの内装部門、設計事務所系の会社だ。船場は売上 330 億円で、この中では中堅にあたる。高級ブランドの店舗や百貨店の改装に強い。
構造の変化は 3 つある。第一に、店舗の数は減るが、1 店あたりの投資は増える。体験を売る店への改装が続く。第二に、オフィスやホテルなど、商業以外の空間への投資が広がっている。第三に、施工の人手不足だ。職人の賃金は年 3% 前後で上がり、工期の長期化と原価の上昇が利益を圧迫する。
生成 AI は、デザインの下図や見積もりの作業を効率化するが、現場で組み上げる施工は置き換えにくい。人の移動や店の来訪が続く限り、リアルの空間への需要は残る。
景気の谷では、出店の計画が先に止まる。2020〜21 年の感染症の時期は、同業各社の利益が大きく落ちた。一方、立ち直りも速く、投資が戻ると受注が一気に増える。
資本政策と M&A
会社は、中期経営計画の期間中は、配当性向 50% 以上を目安とする。2025 年 12 月期の配当性向は 53.5%、2026 年の予想も 52% 台だ。自社株買いの実績はほとんどない。
買収の歴史は目立たず、成長投資は人材・システム・提携にとどまる。現金は 97 億円あるが、仕入債務 52 億円を払う運転資金が大半を占める。株主の 41% をリヤ興産が持つため、現金を追加で戻す力は、筆頭株主の意向に左右される。
TOB の可能性は、筆頭株主がいる分だけ限られる。
余った現金が配当に回るには、筆頭株主の同意が要る。中期経営計画の終わる 2027 年の後に、還元の方針が見直されるかが次の焦点だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
受注残は 84 億円と 29% 増え、オフィス・余暇施設の受注は 72% 伸びた。オフィスの改装とホテルの新設が続き、商業施設以外の仕事が増えている。台湾では長期の大型開発案件が進み、海外の売上は 39 億円まで伸びた。
2026 年の中間期の減益は、人員を 38 名増やした先行投資で、大型案件が下期に集中するためだ。会社は通期の営業利益 23.5 億円の予想を据え置き、受注残は前年より 24% 多い。中期経営計画では、2027 年に売上 400 億円・営業利益 25 億円・ROE 10% を目指す。
財務は強い。借金がなく、現金は 97 億円ある。余った現金が時価総額の 3 割を占めるなら、事業の価値は小さな値で買えている。配当は利益の 5 割を守り、増配が続く。上場以来の最高益を更新しており、営業利益率が 6% 台で定着する可能性は十分ある。
人員の増強は、大型案件を取るための準備だ。1 人あたりの売上が上がれば、人件費率は中期で下がる。設計から施工まで 1 社で担う強みが、価格競争を避ける力になる。
慎重な見方
2025 年 12 月期の営業利益率 7.0% は、過去 12 年で最高の水準にある。2020〜21 年には 2% 前後まで落ち、2018 年の山の 4.5% からも 2 年で半分になった。出店と改装は企業の設備投資で、景気が悪くなれば真っ先に止まる。
2026 年の中間期は、売上が 4% 減り、営業利益が 48% 減った。人件費と原価の上昇を価格に乗せきれていない。会社の通期予想は下期の売上が 219 億円と上半期の 1.4 倍になる前提で、達成には余裕がない。
専門店と大型店の分野では、受注残が減っている。大型店・複合商業施設の受注残は 42% 減った。オフィス・余暇の伸びが続く保証はない。
現金は仕入債務を払うための運転資金で、追加の還元は筆頭株主の意向しだいだ。ROE が資本コストをわずかに上回るだけの会社に、高い倍率は付けられない。
人員を増やした分の人件費は、先に確実に出る。受注が計画に届かなければ、利益率は 5% 台前半まで下がる。同業の乃村工藝社や丹青社も、同じ人手不足と原価高に直面している。
どちらに重みを置いたか
強気の主張は、受注残とオフィス・余暇の伸びに根拠がある。ただ 10 年の価値は、利益率が 7% 近くを保てるかで決まる。人件費の上昇が続く事業で、過去 12 年の山を前提にはできない。慎重な主張の方が重いと判断した。
確率は中立に 35%、やや悲観を 25%、悲観を 12% と、悲観側を少し厚くした。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 2,717 円291 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 693 円74 億円)。 今の値に割り戻すと 1,765 円189 億円、今との差 +16.3%、 期待の年率 +8.4%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 4,679 円501 億円 | 1,047 円112 億円 | +277.2% | +14.2% | 458 円49 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,906 円418 億円 | 897 円96 億円 | +216.5% | +12.2% | 961 円103 億円 |
| 中立 | 35% | 3,220 円344 億円 | 767 円82 億円 | +162.6% | +10.1% | 1,395 円149 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,409 円151 億円 | 580 円62 億円 | +31.0% | +2.7% | 497 円53 億円 |
| 悲観 | 12% | 682 円73 億円 | 140 円15 億円 | −45.8% | −5.9% | 99 円11 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,717 円291 億円 | 693 円74 億円 | +124.6% | +8.4% | 3,410 円365 億円 |
今の株価時価総額 1,518 円162 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:オフィス・余暇施設が伸び続け、利益率が 7% 近くで定着する 利益 25 億円 · PER 17.5 倍 · 株価時価総額 4,679 円501 億円
オフィスの改装とホテル・ジムなどの余暇施設の投資が続き、船場の受注が 10 年にわたって伸びる。人員への先行投資が実り、1 人あたりの売上が上がる。設計から施工まで一貫した提案力で、高付加価値の案件を取り、価格転嫁も通る。台湾とシンガポールの案件も育つ。営業利益率は過去の山の 7% 近くで定着する。大型店の分野は百貨店の改装が続き、横ばいを保つ。配当は利益の 5 割を守って増え、余った現金の一部も配当に回る。それでも、事業は案件ごとの競争のままで、利益の質は変わらない。顧客の信頼が深まり、紹介による受注が増える。
- 専門店(ブランド店・飲食・物販):数量 20.0(施工面積(千㎡・推定))× 価格 7.59(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 152 億円・営業利益 11 億円。面積 20 千㎡。営業利益率 7.2%
- 大型店・複合商業施設:数量 28.0(施工面積(千㎡・推定))× 価格 5.52(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 155 億円・営業利益 9 億円。面積 28 千㎡。営業利益率 5.6%
- オフィス・余暇施設等:数量 28.0(施工面積(千㎡・推定))× 価格 6.90(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 193 億円・営業利益 15 億円。面積 28 千㎡。営業利益率 7.8%
倍率:事業の純利益 24 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)55 億円。全体の PER 17.49 倍、時価総額 477 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 12 年の山の利益率 7% 近くを 10 年保つ筋書きで、人件費の上昇を価格で吸収できる必要がある。足元の受注は強いが、確率は低めにした。
やや楽観 20% やや楽観:会社の計画に近い営業利益率 6% 台で巡航する 利益 21 億円 · PER 16.8 倍 · 株価時価総額 3,906 円418 億円
オフィス・余暇施設が柱になり、専門店も堅調で、大型店は減るものの下げ止まる。人員増の効果が出て、1 人あたりの売上が上がる。物価と人件費の上昇は、ほぼ価格で吸収できる。営業利益率は 6% 台で巡航する。海外は台湾を中心に着実に伸びる。配当は利益の 5 割を守り、現金は少しずつ増える。売上は 450 億円ほどで、会社が 2027 年に目指す 400 億円の延長にある。海外の売上は 50 億円台まで伸びる。出店の意思決定は景気に左右されるが、大きな谷は来ず、受注は計画どおりに積み上がる。会社は人員の採用を続けながら、教育で生産性を高める。
- 専門店(ブランド店・飲食・物販):数量 19.5(施工面積(千㎡・推定))× 価格 7.37(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 144 億円・営業利益 10 億円。面積 19.5 千㎡。営業利益率 6.8%
- 大型店・複合商業施設:数量 26.0(施工面積(千㎡・推定))× 価格 5.36(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 139 億円・営業利益 7 億円。面積 26 千㎡。営業利益率 5%
- オフィス・余暇施設等:数量 25.0(施工面積(千㎡・推定))× 価格 6.70(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 168 億円・営業利益 12 億円。面積 25 千㎡。営業利益率 7%
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.8% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)55 億円。全体の PER 16.78 倍、時価総額 386 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注残が 29% 増え、オフィス・余暇の伸びが続く。会社が目指す 6.25% に近い水準は、十分にありうる。
中立 35% 中立:人件費と競争で利益率は 5% 台に戻り、受注の波の中で巡航する 利益 17 億円 · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 3,220 円344 億円
店舗の数は減るが、オフィスや余暇施設の仕事が増え、全体の面積は専門店が少し減り、大型店が大きく減り、オフィス・余暇が増える。価格は物価並みに上がる。人件費も同じ率で上がるため、営業利益率は 5.5% に落ち着く。感染症の時期のような谷はなく、受注の波の中で巡航する。海外は台湾を中心に現状を保つ。純利益は 17 億円ほどで、配当を 5 割払い、残りは現金と運転資金に回る。大きな成長も大きな失敗もない 10 年になる。受注残は売上の 3 か月分前後で推移し、年ごとの波は受注の質で吸収する。物価と人件費の上昇は価格にほぼ転嫁されるが、競争のために利益の上乗せまでは取れない。人員の採用と育成は続き、固定費は毎年少しずつ重くなる。
- 専門店(ブランド店・飲食・物販):数量 18.1(施工面積(千㎡・推定))× 価格 7.37(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 133 億円・営業利益 8 億円。面積 18.1 千㎡。営業利益率 6%
- 大型店・複合商業施設:数量 25.6(施工面積(千㎡・推定))× 価格 5.36(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 137 億円・営業利益 6 億円。面積 25.6 千㎡。営業利益率 4.5%
- オフィス・余暇施設等:数量 22.7(施工面積(千㎡・推定))× 価格 6.70(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 152 億円・営業利益 9 億円。面積 22.7 千㎡。営業利益率 6%
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.1% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)55 億円。全体の PER 15.93 倍、時価総額 309 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2025 年 12 月期の山の 7.0% を下回り、会社の計画 6.25% よりも低い 5.5%。過去 12 年の中央値より高く、山より低い水準で、最も重く置いた。
やや悲観 25% やや悲観:店舗投資が細り、価格競争で営業利益率が 3% 台に下がる 利益 10 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 1,409 円151 億円
大型店と専門店の投資が細り、オフィス・余暇の伸びでは補いきれない。案件の競争が強まり、価格転嫁が進まない。人員を増やしたのに受注が付いてこず、人件費の重さが残る。営業利益率は 3% 台に下がる。会社は借金がなく、配当性向 5 割を守るが、利益そのものが減るので配当も減る。現金は積み上がらず、運転資金と配当で目減りする。海外は台湾の大型案件が終わり、小さくなる。受注残は薄くなり、先の売上の見通しも立てにくくなる。原価と人件費の上昇を転嫁しきれない年が続き、粗利益が薄くなる。事業の再編を迫られる年も出る。
- 専門店(ブランド店・飲食・物販):数量 17.1(施工面積(千㎡・推定))× 価格 7.37(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 126 億円・営業利益 5 億円。面積 17.1 千㎡。営業利益率 4%
- 大型店・複合商業施設:数量 22.0(施工面積(千㎡・推定))× 価格 5.36(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 118 億円・営業利益 3 億円。面積 22 千㎡。営業利益率 2.5%
- オフィス・余暇施設等:数量 19.5(施工面積(千㎡・推定))× 価格 6.70(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 131 億円・営業利益 6 億円。面積 19.5 千㎡。営業利益率 4.5%
倍率:事業の ROE 約 6% は k 7.75% 以下なので、正当化 PER の上限は 1÷k = 11.8 倍。稼ぐ力が落ち、利益の質も低い。8.0 倍に置いた。余った現金は谷で食う前提で今の 0.75 倍とし、戻り方 0.5 で足した。
確率:過去 12 年のうち営業利益率が 3% 台以下だった年が 5 回ある。人件費の上昇が価格に乗らない年が続く姿は、十分にありうる。悲観側を少し厚くした。
悲観 12% 悲観:店舗投資の縮小と価格競争で、利益がほぼ消える 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 682 円73 億円
店舗の数が減り、大型店の改装投資は大きく落ちる。同業と価格を争い、受注単価が物価に追いつかない。施工の人件費は上がり続け、人員を絞っても追いつかない。営業利益率は 0% 近くまで下がり、赤字の年も出る。リヤ興産は支えるが、現金を戻す余裕は無くなり、配当は大きく減る。残る価値は、持っている現金と運転資本の回収に近い、もう優良ではなくなった 10 年になる。人員の整理で費用を抑えるが、受注の減りを埋めきれない。リヤ興産は支えるが、増資や追加の支援には応じない。事業を続ける価値は、現金と回収できる資産でほぼ測られる。
- 専門店(ブランド店・飲食・物販):数量 14.5(施工面積(千㎡・推定))× 価格 6.88(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 100 億円・営業利益 1 億円。面積 14.5 千㎡。営業利益率 0.5%
- 大型店・複合商業施設:数量 17.0(施工面積(千㎡・推定))× 価格 5.00(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 85 億円・営業利益 −2 億円。面積 17 千㎡。営業利益率 -2%
- オフィス・余暇施設等:数量 15.0(施工面積(千㎡・推定))× 価格 6.25(面積 1 千㎡あたり売上(億円))→ 売上 94 億円・営業利益 1 億円。面積 15 千㎡。営業利益率 1%
倍率:赤字の筋書きなので、売れる資産で測る。現金 97 億円から税・賞与の支払い約 11 億円を引いた約 86 億円と、売上債権・仕掛品の回収約 13 億円を合わせた約 99 億円を床とし、今の自己資本 146 億円の 0.5 倍に置いた。仕入債務の見合いは運転資金として使う。
確率:2020〜21 年に営業利益が 8 割落ちた前例があり、店舗の数の減少と人手不足、AI・ネットでの来店の置き換えが重なる余地を 1 割残した。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
専門店(ブランド店・飲食・物販)
高級ブランド店舗・飲食店・物販店の新装と改装。1 件あたりは小さく、数が多い。
| 数量施工面積(千㎡・推定) | 価格面積 1 千㎡あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 19.0 | 5.50 | 105 | 8 |
| 10 年後 中立 | 18.1 | 7.37 | 133 | 8 |
取り方:売上は決算短信の市場分野別販売実績。面積は開示がなく、内装の単価を 1 ㎡あたり約 55 万円と置いた推定。利益は単一セグメントのため開示がなく、全社の営業利益 23.05 億円を分野の性格(案件の大きさ・競争)で配分した推定。
大型店・複合商業施設
百貨店の改装や大型の複合商業施設の内装。案件が大きく、年ごとの波も大きい。
| 数量施工面積(千㎡・推定) | 価格面積 1 千㎡あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 30.1 | 4.00 | 121 | 7 |
| 10 年後 中立 | 25.6 | 5.36 | 137 | 6 |
取り方:売上は決算短信の市場分野別販売実績(120.5 億円)。大型店は 1 ㎡あたり約 40 万円と置いた推定。利益は全社の営業利益を分野の性格で配分した推定で、競争が厳しい分野なので利益率は低めに置いた。
オフィス・余暇施設等
オフィスの改装、ホテル、ジム、インフラ施設など商業以外の空間づくり。足元でいちばん伸びている。
| 数量施工面積(千㎡・推定) | 価格面積 1 千㎡あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 20.6 | 5.00 | 103 | 8 |
| 10 年後 中立 | 22.7 | 6.70 | 152 | 9 |
取り方:売上は決算短信の市場分野別販売実績(103.1 億円、前期比 46.6% 増)。1 ㎡あたり約 50 万円と置いた推定。利益は全社の営業利益を分野の性格で配分した推定で、付加価値が高いため利益率は高めに置いた。
リスクと懸念
利益率の山からの反動
2025 年 12 月期の営業利益率 7.0% は過去 12 年で最高。2026 年の中間期は営業利益が 48% 減った。山の利益を前提にした見方は危うい。
人手不足と人件費の上昇
施工管理と職人の人件費は年 3% 前後で上がり続ける。2026 年中間期の人員は 592 名と 38 名増え、人件費が先に重くなった。価格に乗せきれない契約が続くと、利益率が下がる。
出店・改装投資の景気感応度
店舗や商業施設の投資は、企業の設備投資に連動する。感染症の時期の 2020〜21 年は、営業利益が 2 割前後まで落ちた。景気後退で最初に止まる支出の 1 つだ。
案件の大型化と下期への偏り
大型店・複合商業施設は案件が大きく、検収が下期に集中する。2026 年は下期売上が 219 億円と上期の 1.4 倍の前提で、1 件の遅れで年の利益が動く。
大型店分野の受注の減り
大型店・複合商業施設は受注残が 42% 減り、専門店も 9% 減った。オフィス・余暇施設の伸びでこの分を補えるかが、次の 2 年の焦点になる。
筆頭株主と現金の戻り方
リヤ興産が 41% を持つ。余った現金の追加還元や自社株買いの実績は無く、配当性向 5 割を超えて戻す約束もない。現金の価値が表に出るかは、筆頭株主の意向しだいだ。
今後の分かれ目
- 2026 年 12 月期の営業利益が会社予想の 23.5 億円に届く
- 人員増の先行投資が回収できる見通しになり、やや楽観の筋書きに近づく。
- 2027 年に中計の営業利益 25 億円・ROE 10% が達成される
- 利益率 6% 台で定着する見方が強まる。ただ、中立の PER は上限に近づくだけで、資本コストを超える度合いは小さい。
- オフィス・余暇施設の受注が 2 年続けて前年を割る
- 伸びの柱が止まり、やや悲観に近づく。大型店の落ち込みを補えなくなる。
- リヤ興産が持株を売却する、またはTOBを発表する
- 買い付けに上乗せが付く可能性がある。ただ本質価値は動かず、少数株主の取り分は筆頭株主の判断で決まる。
- 配当性向を 7 割に引き上げる、または自社株買いを始める
- 余った現金が株主に戻る道が開き、戻り方を 0.5 から引き上げて見直せる。
- 施工の人件費が年 5% を超えて上がる
- 価格に乗せきれず、営業利益率が 4% 台まで下がる。悲観側に近づく。
見ておくもの
- 受注残の金額と、オフィス・余暇施設の受注の伸び
- 営業利益率(2026 年通期の予想は 6.4%)
- 人員数と人件費の増え方
- 配当性向と、現金の追加還元の有無
- リヤ興産の持株の動き
倍率と資本コストの決め方
3 つの市場分野ごとに施工面積と単価を置き、10 年の利益を積んだ。その時点の ROE と資本コスト 7.75% から、正当化 PER の上限を出し、その 7〜8.5 割に置いた。中立の営業利益率は 5.5% で、過去 12 年の山 7.0% と、会社が 2027 年に目指す 6.25% のどちらよりも低い。余った現金は、仕入債務と税・賞与の支払い、運転資金の余裕を除いた 55 億円で、戻り方は 0.5 とした。今の PER・PBR は使っていない。オフィスの賃借のリースは小さく、新リース会計基準(2027 年 12 月期から)で BS の形が変わっても利益は変わらないので、10 年後の数字は今の形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.5→17.49 倍・やや楽観 PER 12.5→16.78 倍・中立 PER 11.9→15.93 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.0% を足した 8.5%。筆頭株主の存在や人手不足は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 7.75%。