結論
ホウライは 1928 年創業の複合企業で、利益の柱は二つある。一つは損保・生保の代理店で、法人の火災・賠償保険などを扱い、手数料で年 4.6 億円の利益を出す。もう一つは都内の賃貸ビル・住宅で、堀留・池袋・巣鴨・五反田などに持つ物件から 7.6 億円の利益を得る。売上で最大の千本松牧場(那須塩原の観光牧場と乳製品・ソフトクリーム)は、2025 年春の全面改装で来場者が 100 万人を超えたが、利益は 2.6 億円と薄い。那須のゴルフ場 2 つは赤字が続く。本社費 8 億円を引くと、2025/09 期の営業利益は 6.2 億円、純利益は 5.0 億円。自己資本は 99 億円あり、ROE は 5% ほどにとどまる。資本コスト 8.5% を下回るので、利益を積み上げるほど 1 株の価値が薄まる形になる。株価は PBR 0.87 倍・PER 17 倍で、PBR は 1 倍を割るが、稼ぐ力に比べると安くない。中立の筋書きは、物価で家賃と手数料が少し上がり、牧場は改装の効果を保つが、ゴルフと本社費は物価で重くなる姿で、10 年後の営業利益は 7.8 億円。都内の土地の含みは開示が無く数えていないので、その分だけ控えめに出ている点に注意。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、良い事業とは言いにくい。保険の手数料と家賃は安定して入るが、どちらも値段を自分で決められない。資本 99 億円で 5 億円しか稼がないので、利益を内部にためても 1 株の価値はあまり増えない。土地の含みは魅力に見えるが、会社が土地を売って株主に戻す気配は無く、含みは株主の手には届きにくい。経営は堅実で、借入は少なく、中計の目標も前倒しで達成した。牧場の改装は客を集め、経営に工夫はある。ただ、ゴルフの赤字と預り金の返還、代理店の手数料の見直しという重しがある。今の株価は PBR 0.87 倍で、資産の面からは安く見えるが、稼ぐ力から見ると PER 17 倍は高い。土地を売る・ゴルフを手放すなど資本の使い方が変わる時まで、待つのがよい会社とみる。株主から見ると、配当の 2 割より多くを内部にためる理由が、今の事業の中には見当たらないのが一番の不満になる。
何で稼ぐ会社か
事業は四つ。保険は損保・生保の代理店で、法人の取引先と個人の契約を合わせて、取り扱う保険料は推定で年 100 億円近い。手数料率は 12% 前後で、売上 11.7 億円に対して利益率は 39% と高い。人が契約をとって更新するので、元手はほとんど要らない。不動産は都内の賃貸ビルと賃貸住宅で、五反田の銀行の入るビル、三田・池尻大橋・秋葉原・西大井のマンションなどを持つ。売上 12.9 億円・利益 7.6 億円で、利益率は 59%。古くから持つ土地が多く、帳簿の土地は全社で 91 億円ある。千本松牧場は那須塩原の 800 ヘクタール余りの牧場で、観光施設・レストラン・乳製品の製造と販売、外の商業施設のソフトクリーム店(6 店)を営む。売上 28 億円は全社の 46% だが、利益率は 9% と低い。ゴルフはホウライカントリー倶楽部と西那須野カントリー倶楽部の 2 コースで、売上 8.5 億円・営業損失 0.3 億円。会員の入会預り金を抱え、会員権を買い取ると営業外に消却益が出る。従業員は 155 人と臨時 125 人。
優良さと弱いところ
強みは都内の賃貸と保険代理店の安定。家賃は景気で大きくは振れず、法人の保険は毎年の更新で続く。どちらも元手を追加で使わずに利益を出す。弱みは三つ。第一に資本が重い。自己資本 99 億円に対して純利益 5 億円で、ROE は過去 10 年で 2〜6% にとどまる。土地とゴルフ場・牧場に資本が寝ていて、稼ぎに比べて大きい。第二に値段を決める力が弱い。手数料率は保険会社が決め、2024 年からの損保の不祥事を受けて代理店の手数料の見直しが進む。家賃は周りの相場で決まる。第三にゴルフは長く赤字で、プレーする人の高齢化で先細りが心配される。牧場は改装で客を集めたが、利益率は 1 割に届かない。全体として、安定はしているが資本に見合う稼ぎを出せていない会社で、価値は稼ぐ力より持っている土地に寄っている。ただし借入は少なく、配当を減らした年もほとんど無いので、守りは固い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
保険代理店の業界は大きく変わりつつある。損保の大手 4 社が保険料の調整で処分を受け、金融庁は代理店の手数料の決め方の見直しと、保険会社からの出向や便宜の供与の是正を求めた。手数料を規模で多く払う仕組みが改まれば、中くらいの代理店の取り分は細るおそれがある。一方で、企業の保険は火災・賠償・サイバーと種類が増え、相談に乗れる代理店の価値は残る。都内の賃貸は、オフィスは空室が落ち着き、住宅は家賃が上がっている。建築費が高く新しい供給が細るので、古くから持つ物件には追い風だが、修繕費も上がる。観光牧場は国内の日帰りの客が中心で、天候や景気で客数が振れる。那須は首都圏から近く、インバウンドの効果は小さい。ゴルフ場は全国で来場者が 2019 年を上回った年もあるが、プレーする人の高齢化で長い目では減る見方が多い。会員権の値段は下がり、預り金の返還を求められるゴルフ場が多い。同じ組み合わせの上場の同業は無く、比べる相手は事業ごとにばらばらになる。物価が上がる中で、家賃・保険料・入場料はいずれも少しずつ上がるが、人件費と修繕費も同じく上がるので、利益率が広がるとは限らない。
資本政策と M&A
配当は 2021 年から毎年増やし、2025/09 期は分割後で年 1 億円ほど、配当性向は 2 割。自社株買いはしていない。純負債は 12 億円で、借入は賃貸ビルを担保にした長期のもの。ゴルフの入会預り金と賃貸の保証金で 50 億円の預り金を抱え、会員権を買い取るたびに減らしている。政策保有の上場株は 77 銘柄で 7 億円ある。大株主は室町ビルサービス・帝国倉庫・室町殖産・三井住友銀行で 3 割を持ち、持ち合いに近い安定株主になる。株主優待は 3 月と 9 月に牧場のアイスの引換券と、300 株以上にゴルフの割引券。自社の品と施設なので、年の費用は 1 億円を大きく下回るとみて、還元には足していない。中計 2026 の利益の目標は 1 年早く達成した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
第一に、都内の賃貸の家賃は上がり始めた。建築費が高く新しい供給が細る中、古くから持つ物件は家賃を上げやすく、償却は昔の値段のままなので利益率が上がる。第二に、千本松牧場の改装は当たり、来場者は 100 万人を超えた。ソフトクリーム店を外の商業施設に増やす計画は、ブランドを元手の少ない形で広げる。第三に、保険の手数料の見直しは大手の代理店の取り分を削る方に効き、法人の顧客と長く付き合う中くらいの代理店はむしろ顧客を得る余地がある。第四に、会員権の買い取りで預り金を減らせば、ゴルフの重しは軽くなり、消却益も出る。最後に、都内の土地の含みは帳簿に出ておらず、PBR 0.87 倍は時価で見た資産を大きく下回る。創立 100 年の 2028 年に向けて、資本の使い方を変えるきっかけもありうる。ROE が低くても、配当を毎年増やし中計の目標を前倒しで達成した経営は、資本の使い方を変える力も持つとみる。今の株価はそうした変化の芽を数えておらず、上に振れる余地を残している。
慎重な見方
第一に、資本の重さが変わらない。ROE 5% は資本コストを大きく下回り、利益をためるほど PBR は下がりやすい。土地の含みがあっても、売らない限り株主には届かない。第二に、保険の手数料は保険会社が決め、金融庁の見直しで代理店の取り分は下がる方向にある。利益の 4 割近くを稼ぐ柱が細れば、全社の利益は大きく減る。第三に、牧場の改装の効果は年とともに薄れる。観光の客数は天候と景気で振れ、人件費と原料の乳の値段は上がる。利益率 9% の事業は、少しの費用増で赤字に近づく。第四に、ゴルフは来場者が減り、預り金の返還の求めが続く。返還に現金を取られ、コースを手放す時は損が出るおそれもある。最後に、PER 17 倍は会員権の消却益など一時的な利益を含んだ値で、ふだんの稼ぐ力から見ると高い。株主の 3 割は持ち合いに近い安定株主で、資本の使い方を変えるよう迫る声は出にくい。土地の含みが株主に届く道は細く、PBR 1 倍割れは長く続きうる。
どちらに重みを置いたか
中立の筋書きでの価値は今の時価総額をやや下回る。賃貸と保険の安定は認めるが、ROE が資本コストを大きく下回り、値段を決める力も弱い。都内の土地の含みは数えておらず、それを株主に戻す動きが出れば見直す。今は割高寄りとみて、資本の使い方の変化を待つ。配当を増やしてきた点と借入の少なさは評価するが、価値の根っこは稼ぐ力ではなく資産にあり、その資産が株主に戻る道筋はまだ見えない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 1,669 円70 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 304 円13 億円)。 今の値に割り戻すと 940 円39 億円、今との差 −55.9%、 期待の年率 −0.8%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,824 円118 億円 | 429 円18 億円 | +52.6% | +4.3% | 325 円14 億円 |
| やや楽観 | 22% | 2,075 円87 億円 | 358 円15 億円 | +14.1% | +1.3% | 535 円22 億円 |
| 中立 | 38% | 1,684 円71 億円 | 310 円13 億円 | −6.5% | −0.7% | 758 円32 億円 |
| やや悲観 | 20% | 1,098 円46 億円 | 239 円10 億円 | −37.3% | −4.6% | 267 円11 億円 |
| 悲観 | 10% | 706 円30 億円 | 167 円7 億円 | −59.0% | −8.5% | 87 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,669 円70 億円 | 304 円13 億円 | −7.5% | −0.8% | 1,973 円83 億円 |
今の株価時価総額 2,132 円89 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 家賃の上昇と牧場の拡大 利益 10 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 2,824 円118 億円
都内の家賃は建築費の高さで上がり続け、古い物件の賃料も 10 年で 3 割上がる。償却は昔の値段のままなので、不動産の利益率は 60% に上がる。千本松牧場は改装の効果を保ち、ソフトクリーム店を外に 15 店まで広げ、来場者と外の売上を合わせて 1 人あたりの売上は物価を上回って伸びる。保険は手数料の見直しで大手が顧客を手放し、法人の取り扱いを増やす。ゴルフは会員権の買い取りを進め、わずかに黒字になる。本社費は物価で増えるが、全社の営業利益は 13.6 億円になる。利益をためても配当を増やし、ROE は 6.5% まで上がる。
- 保険(損保・生保の代理店):数量 135(取り扱う保険料(億円・年、推定))× 価格 12(手数料率(%))→ 売上 16 億円・営業利益 7 億円。取り扱う保険料 135 億円(1.38 倍。法人の顧客を増やす)× 手数料率 11.5%(見直しで少し下がる)、利益率 42%
- 不動産(都内の賃貸ビル・住宅):数量 33.0(貸している床(千m²、推定))× 価格 5.60(1 m² あたりの年間の賃料(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 11 億円。3.3 万 m²(建て替えで少し増やす)× 5.6 万円(1.30 倍。家賃の上昇)、利益率 60%
- 千本松牧場(観光牧場・乳製品・ソフトクリーム店):数量 135(来場者(万人・年。外の店の売上も 1 人あたりに含める))× 価格 3.80(1 人あたりの売上(千円))→ 売上 51 億円・営業利益 7 億円。135 万人(外の店を 15 店に)× 3.8 千円(1.36 倍)、利益率 13%
- ゴルフ(那須の 2 コース):数量 7.5(来場者(万ラウンド・年、推定))× 価格 14(1 ラウンドあたりの売上(千円。会費込み))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。7.5 万ラウンド(少し減る)× 14 千円(1.32 倍)、利益率 3%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 118 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:家賃・牧場・保険の三つがそろって伸びる必要があり、10%。
やや楽観 22% 物価に乗って少しずつ伸びる 利益 7 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 2,075 円87 億円
家賃は物価並みに上がり、空室は少ないまま。保険は手数料率が少し下がるが、企業の保険の種類が増えて取り扱う保険料が伸びる。牧場は改装の効果が少しずつ薄れるが、外の店を増やして来場者と売上を保つ。ゴルフは赤字をなくす。本社費は人件費の上昇で 10.5 億円に増える。営業利益は 9.7 億円で、今の 1.6 倍になるが、自己資本も 146 億円に積み上がり、ROE は 5% のまま。保険は大手の再編で顧客を得る場面もあるが、手数料率の低下と打ち消し合う。牧場は改装の効果を外の店で補い、ゴルフは会員権の買い取りで預り金を減らす。
- 保険(損保・生保の代理店):数量 125(取り扱う保険料(億円・年、推定))× 価格 11(手数料率(%))→ 売上 14 億円・営業利益 6 億円。125 億円(1.28 倍)× 11.3%、利益率 40%
- 不動産(都内の賃貸ビル・住宅):数量 31.0(貸している床(千m²、推定))× 価格 5.30(1 m² あたりの年間の賃料(万円))→ 売上 16 億円・営業利益 10 億円。3.1 万 m² × 5.3 万円(1.23 倍)、利益率 59%
- 千本松牧場(観光牧場・乳製品・ソフトクリーム店):数量 120(来場者(万人・年。外の店の売上も 1 人あたりに含める))× 価格 3.70(1 人あたりの売上(千円))→ 売上 44 億円・営業利益 5 億円。120 万人 × 3.7 千円(1.32 倍)、利益率 11%
- ゴルフ(那須の 2 コース):数量 7.2(来場者(万ラウンド・年、推定))× 価格 14(1 ラウンドあたりの売上(千円。会費込み))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。7.2 万ラウンド × 13.5 千円(1.28 倍)、利益率 0%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.1% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 87 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:家賃と手数料が物価並みに上がれば届く姿で、22%。
中立 38% 安定の柱と重い資本が続く 利益 6 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,684 円71 億円
家賃は物価並みに上がり、10 年で 3 割。償却は昔の値段のままだが、修繕と建て替えの費用は物価で上がるので、不動産の利益率は 55% と今より少し下がる。保険は手数料率が見直しで 11% に下がり、取り扱う保険料の伸びで売上を保つ。牧場は改装の効果が薄れて来場者は 110 万人、利益率は 9% のまま。ゴルフは赤字が少し残る。本社費は 9.8 億円。営業利益は 7.8 億円、純利益は 6.0 億円で、会員権の消却益は預り金が減るので細る。配当は利益に合わせて増やすが、性向は 2 割台のままで、自己資本は 141 億円まで積み上がる。ROE は 4% に下がる。
- 保険(損保・生保の代理店):数量 120(取り扱う保険料(億円・年、推定))× 価格 11(手数料率(%))→ 売上 13 億円・営業利益 5 億円。120 億円(1.22 倍。保険料が物価並みに上がる分は数量に入る)× 11%(価格は手数料率で、見直しで下がる)、利益率 39%
- 不動産(都内の賃貸ビル・住宅):数量 30.0(貸している床(千m²、推定))× 価格 5.60(1 m² あたりの年間の賃料(万円))→ 売上 17 億円・営業利益 9 億円。3.0 万 m²(横ばい)× 5.6 万円(1.30 倍。物価並み)、利益率 55%(修繕費の上昇)
- 千本松牧場(観光牧場・乳製品・ソフトクリーム店):数量 110(来場者(万人・年。外の店の売上も 1 人あたりに含める))× 価格 3.50(1 人あたりの売上(千円))→ 売上 39 億円・営業利益 3 億円。110 万人 × 3.5 千円(1.25 倍)、利益率 9%
- ゴルフ(那須の 2 コース):数量 7.0(来場者(万ラウンド・年、推定))× 価格 13(1 ラウンドあたりの売上(千円。会費込み))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。7.0 万ラウンド(1 割減)× 12.5 千円(1.18 倍。プレー料金は長く上がっておらず、物価並みには上げにくい)、利益率 −3%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 71 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今の事業の形が続く姿で、いちばん起こりやすいとみて 38%。
やや悲観 20% 手数料が細り牧場の効果が薄れる 利益 4 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 1,098 円46 億円
金融庁の見直しで保険の手数料率は 10% 近くまで下がり、法人の顧客の一部は大手の直販に移る。家賃は少し上がるが、修繕費の上昇で利益率は 55% に下がる。牧場は改装の効果が消え、来場者は今の 100 万人に戻り、人件費と乳の値段の上昇で利益率は 6% に下がる。ゴルフは来場者が減り、赤字が広がる。本社費の削減で全体の落ち込みを抑えるが、営業利益は 4.7 億円に下がる。純利益は 3.7 億円に下がり、ROE は 3% を割る。配当は据え置きで、自己資本は積み上がっても、稼ぎがそれに見合わない形が続く。
- 保険(損保・生保の代理店):数量 108(取り扱う保険料(億円・年、推定))× 価格 10(手数料率(%))→ 売上 11 億円・営業利益 4 億円。108 億円 × 10.3%(見直しで下がる)、利益率 37%
- 不動産(都内の賃貸ビル・住宅):数量 30.0(貸している床(千m²、推定))× 価格 4.70(1 m² あたりの年間の賃料(万円))→ 売上 14 億円・営業利益 8 億円。3.0 万 m² × 4.7 万円(1.09 倍)、利益率 55%
- 千本松牧場(観光牧場・乳製品・ソフトクリーム店):数量 100(来場者(万人・年。外の店の売上も 1 人あたりに含める))× 価格 3.10(1 人あたりの売上(千円))→ 売上 31 億円・営業利益 2 億円。100 万人 × 3.1 千円(1.11 倍)、利益率 6%
- ゴルフ(那須の 2 コース):数量 6.5(来場者(万ラウンド・年、推定))× 価格 12(1 ラウンドあたりの売上(千円。会費込み))→ 売上 7 億円・営業利益 −1 億円。6.5 万ラウンド × 11.5 千円、利益率 −7%
倍率:ROE 2.8% と低く、上限 11.8 倍の 76% の 9 倍。稼ぐ力が細る姿なので中立より低い。
確率:手数料の見直しは進んでおり、牧場の客足も振れやすいので 20%。
悲観 10% 保険と牧場が崩れゴルフが重荷 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 706 円30 億円
保険会社が代理店を集約し、手数料率が 9.5% に下がって法人の顧客も減る。家賃は横ばいで、古いビルの空室が増える。牧場は客足が減り、乳の値段と人件費に押されて利益が消える。ゴルフは来場者が減って赤字が広がり、預り金の返還に現金を取られる。営業利益は赤字に近づき、純利益は会員権の消却益と配当でかろうじて黒字。価値は稼ぐ力ではなく、持っている資産で支えられる。賃貸ビルは担保に入っており、借入を返せば手元に残る分は限られる。配当は減らさざるを得ず、株主に戻るのは資産を売った時の残りだけになる。10 年で 1 割ほどの見込み。
- 保険(損保・生保の代理店):数量 95.0(取り扱う保険料(億円・年、推定))× 価格 9.50(手数料率(%))→ 売上 9 億円・営業利益 3 億円。95 億円 × 9.5%、利益率 30%
- 不動産(都内の賃貸ビル・住宅):数量 28.0(貸している床(千m²、推定))× 価格 4.40(1 m² あたりの年間の賃料(万円))→ 売上 12 億円・営業利益 6 億円。2.8 万 m²(空室)× 4.4 万円、利益率 50%
- 千本松牧場(観光牧場・乳製品・ソフトクリーム店):数量 80.0(来場者(万人・年。外の店の売上も 1 人あたりに含める))× 価格 2.90(1 人あたりの売上(千円))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。80 万人 × 2.9 千円、利益率 0%
- ゴルフ(那須の 2 コース):数量 5.0(来場者(万ラウンド・年、推定))× 価格 11(1 ラウンドあたりの売上(千円。会費込み))→ 売上 6 億円・営業利益 −1 億円。5 万ラウンド × 11 千円、利益率 −15%
倍率:稼ぐ力がほぼ無いので、今の自己資本 99 億円に PBR 0.30 倍を掛ける。中立の PBR 0.43 倍より低い。
確率:代理店の再編・天候の不順・ゴルフの撤退が重なる姿で、10%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
保険(損保・生保の代理店)
損保・生保の代理店。法人の火災・賠償・自動車の保険と個人の保険を扱い、保険会社から手数料を受け取る。
| 数量取り扱う保険料(億円・年、推定) | 価格手数料率(%) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 98.0 | 12 | 12 | 5 |
| 10 年後 中立 | 120 | 11 | 13 | 5 |
取り方:売上 11.73 億円 ÷ 手数料率 12% 前後で取り扱う保険料を 98 億円と推定。利益率 39%。
不動産(都内の賃貸ビル・住宅)
都内の賃貸ビルと賃貸住宅、千本松の土地での太陽光。古くから持つ土地が多い。
| 数量貸している床(千m²、推定) | 価格1 m² あたりの年間の賃料(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 30.0 | 4.31 | 13 | 8 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 5.60 | 17 | 9 |
取り方:売上 12.92 億円。物件の一覧から貸している床を 3 万 m² と推定し、1 m² あたりの年の賃料を割り戻した。利益率 59%。
千本松牧場(観光牧場・乳製品・ソフトクリーム店)
那須塩原の観光牧場。レストラン・乳製品の製造と販売、外の商業施設のソフトクリーム店。
| 数量来場者(万人・年。外の店の売上も 1 人あたりに含める) | 価格1 人あたりの売上(千円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 100 | 2.80 | 28 | 3 |
| 10 年後 中立 | 110 | 3.50 | 39 | 3 |
取り方:売上 27.98 億円。改装後の来場者 100 万人で割った 1 人あたりの売上(乳製品の外への販売と外の店を含む)。利益率 9%。
ゴルフ(那須の 2 コース)
ホウライカントリー倶楽部と西那須野カントリー倶楽部。会員の入会預り金を抱える。
| 数量来場者(万ラウンド・年、推定) | 価格1 ラウンドあたりの売上(千円。会費込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 8.0 | 11 | 8 | 0 |
| 10 年後 中立 | 7.0 | 13 | 9 | 0 |
取り方:売上 8.46 億円。2 コースの来場者を年 8 万ラウンドと推定(1 コース 4 万前後)。営業損失 0.34 億円。
リスクと懸念
代理店の手数料の見直し
金融庁は損保の代理店の手数料の決め方を見直すよう求めている。手数料率が下がれば、利益の 4 割近くを稼ぐ保険の利益が細る。
資本の重さ
自己資本 99 億円に対して純利益 5 億円で、ROE は資本コストを大きく下回る。土地を売るなど資本の使い方を変えない限り、PBR は上がりにくい。
ゴルフの預り金の返還
ゴルフの入会預り金を抱え、会員から返還を求められると現金を取られる。来場者が減ればコースの価値も下がり、手放す時は損が出るおそれがある。
牧場の客足と原料の値段
観光の客数は天候と景気で振れる。改装の効果が薄れ、乳の値段や人件費が上がれば、利益率 9% の事業はすぐ赤字に近づく。
建物の古さと修繕費
都内の賃貸ビルには古いものがある。建て替えや大きな修繕には今の建築費がかかり、帳簿の償却より多くの現金が要る。
今後の分かれ目
- 賃貸ビルを売って自社株買いや大きな配当に回したら
- 土地の含みが株主に届く証拠として、戻り方と PBR の見方を上に直す。
- 保険の手数料率が下がり、保険の利益が 2 期続けて減ったら
- やや悲観の確率を上げる。
- 牧場の来場者が 2 年続けて 100 万人を保ち、外の店が増えたら
- 中立の牧場の来場者と利益率を上に直す。
- ゴルフ場の 1 つを手放したら
- 売った値段と預り金の扱いを見て、損と赤字の減り方を筋書きに入れる。
見ておくもの
- 保険の利益と手数料率の見直しの動き
- 賃貸ビルの家賃と空室
- 千本松牧場の来場者とソフトクリーム店の数
- ゴルフの来場者と預り金の残高
- 配当性向と自社株買いの有無
倍率と資本コストの決め方
今の株価から逆に倍率を置かないよう、筋書きは事業ごとの数量と値段から積み上げた。中立の PER は ROE と資本コストの関係から置き、過去の PER の幅は見ていない。土地の含みは開示が無いので数えず、悲観の床の資産だけ帳簿で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→11.76 倍・やや楽観 PER 11→11.76 倍・中立 PER 10→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。7.5% + 1.0% = 8.5%。β は 0.66 と低いが、小さな会社で事業ごとの重しがあり、同じ組み合わせの同業が無いので、事業の中身から置いた。