結論
アビストは、自動車メーカーや部品メーカーを中心に、3次元CADを使った機械設計やソフトウェア開発を請け負う技術サービス会社である。筆者の結論は「割高」だ。専門技術者の育成と長年の顧客関係には価値があるが、売上のほぼすべてを人の作業時間に依存する収益構造に、10年先まで高い価値を認めることは難しい。
2025年9月期の売上は106億円、営業利益は約10億円だった。設計開発アウトソーシング事業が売上の99%を占め、その中では請負契約が約6割、技術者派遣が約4割である。請負業務の一人月売上高は2026年9月期第3四半期に85万7,000円となり、契約単価の改善も進んでいる。稼働率は95%を超え、目先の需要は堅調だ。これまでの経営実績を単純に延長すれば、安定成長する技術者集団に見える。
しかし、これからの10年は過去と異なる。AIエージェントが設計図面の作成、仕様確認、解析、プログラム作成を自動化すると、顧客が必要とする外部技術者の工数そのものが減る。構想設計、実機検証、顧客や部品メーカーとの調整には人間が残るが、CAD操作や定型的な設計変更で請求できる時間は減少しうる。会社自身が設計自動チェックなどの技術を開発していることも、この変化がすでに始まっている証拠である。
救いは財務である。2025年9月期には純現金が約41億円あり、借入依存は小さい。安定配当の実績も評価できる。ただし、2018年に約18%あった全社営業利益率は近年9%前後となり、蓄積した自己資本ほど稼ぐ力は伸びていない。過去の雇用調整助成金を巡る内部統制上の不備も、経営の評価を慎重にする理由だ。
10年後の中立では、値上げが進んでも請求できる実質工数が減るため、営業利益は現在を下回ると考える。5つの筋書きから求めた現在の本質価値は約62億円で、比較基準の時価総額約133億円を約53%下回る。財務の安全性と株式の安全域は別物であり、現状の価格には長く持つ株主に必要な余裕が乏しい。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、アビストの価値は技術者の頭数ではなく、顧客が代わりを見つけられない設計判断をどれだけ担っているかで決まる。製造現場の制約を理解し、設計の初期段階から仕様を決められる人材には価値がある。顧客との信頼関係も、一度築けば数年にわたり収入を支えうる。そうした仕事が会社の中心に残るなら、10年後も社会に必要とされる事業である。
ただし、事業の必要性と企業の取り分は同じではない。AIエージェントが図面作成や解析を短時間で済ませれば、顧客は開発を続けながら外部委託費を減らせる。アビストが効率化の利益を顧客と分け合い、成果物の価値に応じた料金を取れるかが問われる。現時点では多くの収入が人月に依存しているため、顧客の効率化がそのまま株主利益の増加になるとは言えない。
再投資の実績も慎重に見る必要がある。2018年9月期の純利益は約11億円で、その後の自己資本は増えた。しかし2025年9月期の純利益は約6.5億円にとどまる。過去の好況時に比べて利益が低下した点を、景気循環だけで説明することは難しい。新たに投じた資本が十分な超過収益を生み続ける会社とは、まだ判断できない。
純現金を厚く保ち、配当を継続してきた経営姿勢には価値がある。一方で、3Dプリント事業の撤退や過年度の内部統制上の不備は、経営者の判断と監督機能を無条件には信用できない理由である。株主にとって必要なのは、売上の拡大よりも、現金を無理な新規事業に投じず、残す事業の収益率を上げる規律だ。
筆者は、専門設計への集中と資本配分の改善が見えるまで、アビストを広い堀を持つ企業とは評価しない。財務の強さによって倒産リスクが小さいことは魅力だが、弱まる可能性のある稼ぐ力に高い値段を払っては、安全域を失う。現在の時価総額は、AIによる工数減少を十分に織り込んでいるとは考えにくい。
何で稼ぐ会社か
アビストの稼ぎの中心は、自動車の設計開発工程に技術者を提供することである。顧客にはデンソー、トヨタ紡織、ダイハツ工業、豊田合成、ジェイテクト系企業などがあり、自動車以外にもキヤノンや各種製造業との取引実績を持つ。機械設計に加え、電子制御、組込みソフトウェア、解析、3D-CAD教育も手掛ける。自動車の電動化や安全機能の高度化は、設計対象を増やす追い風になる。
収益契約は請負と派遣に分かれる。請負ではアビスト側が技術者を管理し、設計成果物を納入する。2025年9月期の請負売上は61.28億円で、技術者の専門性と案件の難度が単価を左右する。派遣では顧客側が作業を指揮し、派遣した技術者の稼働時間に応じて収入を得る。同年度の派遣売上は43.27億円である。請負は品質管理や業務効率化を自社で進められるが、派遣は顧客の人員計画に収益がより直接的に左右される。
会社の強みはCAD操作そのものではない。製品の構想段階から設計に参加し、メーカーとサプライヤーの間で仕様や形状、製造可能性を調整できることにある。製品の安全性、寸法公差、材料、製造工程を理解して初めて成立する仕事であり、顧客との継続的な関係が必要になる。ただし、会社が独占的な設計データベースや業界共通の基盤を保有しているわけではない。
設計開発以外の収益は小さい。2025年9月期の美容・健康商品製造販売事業は約0.50億円、不動産賃貸事業は約0.60億円だった。水素水などの飲料製造販売は株主優待とも結びついている。不動産賃貸は三鷹市の保有物件の一部を貸す事業で、利益の安定性は比較的高いものの、全社の成長を左右する規模ではない。
2024年3月には3Dプリント事業から撤退し、2025年にはベトナム子会社を設立した。現在は設計自動チェック、干渉チェック、ARを使った形状比較などに経営資源を向けている。これらが成果物への課金を増やし、人月依存を下げられるかが、事業の性質を変える最大の機会となる。
優良さと弱いところ
アビストには中程度の競争上の強みがある。最大の根拠は、顧客の開発工程への入り込み方だ。自動車部品は安全性、製造性、耐久性を同時に満たす必要があり、構想段階から参加した設計者を途中で交代させるには引き継ぎの負担が生じる。若手技術者を教育し、ベテランが顧客との仕様調整を担う組織も、一朝一夕には作れない。2025年9月期の技術者年間平均稼働率95.4%と、2026年の単価改善は、その実力を示す材料である。
しかし、この強みを価格決定権のある堀とまでは呼べない。主要顧客は購買力の大きい自動車メーカーと部品メーカーであり、設計業務は内製化や競合への発注変更が可能だ。解約率の低さ、複数年にわたる切替費用、独占的な設計データの所有など、強い堀を裏付ける開示は確認できない。単価上昇も、人材不足と賃金上昇に対応する性格が強い。
資本効率には明らかな変化がある。2016〜2018年には営業利益率が17〜18%台、ROEが20%前後に達した。その後は売上が増えても利益が伸び悩み、2025年9月期のROEは8.8%となった。自己資本を積み上げてきた一方、増えた資本に見合う利益の増加は十分ではない。増分の資本収益率が継続的に資本コストを超えると判断する根拠は弱い。
財務面では、純現金約41億円、自己資本比率約76%という厚みがある。景気後退で顧客の開発予算が減っても、借り換えに追われず技術者を維持できる余力は強みだ。ただし、2026年6月末には投資有価証券の減少を主因として純資産が71億円台となった。現金と有価証券を同じ確実性の資産として評価すべきではない。
2021〜2024年9月期については、雇用調整助成金の申請に関する問題から内部統制報告書が訂正された。2025年9月期には内部統制が有効と報告されているが、再発防止策が長期にわたり機能するかは監視が必要だ。企業文化を強みとする会社だけに、会計と法令遵守に対する信頼は欠かせない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の技術者派遣・設計開発受託市場は、人材不足と製品開発の複雑化を背景に拡大してきた。テクノプロの業界資料によれば、2023年の国内技術者派遣市場の推定規模は約2.8兆円である。これには情報処理、製造技術、建設など幅広い職種が含まれる。アビストの設計開発売上約105億円をこの広い市場に対比するとシェアは0.3〜0.4%程度となり、会社が市場全体を左右する立場にはない。受託設計と派遣の市場範囲が完全には一致しないため、このシェアは概算である。
競合にはテクノプロ、メイテックグループ、オープンアップグループ、アルプス技研、フォーラムエンジニアリングなどがある。広い技術系人材サービス市場では、テクノプロが約7.6%、メイテックが約4.7%、アルプス技研が約1.6%という推計がある。アビストは規模で劣るが、機械設計と3D-CADを中心とする特定顧客への深い関与で競争している。今後も大型案件の獲得と技術者採用では、資金力のある大手が有利になりやすい。
10年の需要には二つの逆向きの力が働く。自動車の電動化、運転支援、軽量化、組込み制御の高度化は設計対象を増やす。一方、AIエージェントは同じ設計作業に必要な時間を減らし、メーカー自身による設計の内製化を容易にする。特に図面作成、仕様書との照合、反復的な形状変更、ソフトウェア実装では、発注する人月が減りやすい。
アビストの主力は、このうち人月・工数で売る型に当たる。AI代替の中立前提は、10年の実質数量を0.55〜0.75倍、名目価格を物価上昇の1.34倍以下とする。構想設計や実機検証など人間が責任を負う作業も残るため、工数がゼロになるわけではない。しかし、AIが生産性を高めるほど外部に請求できる時間が減るという矛盾を抱える。
会社が開発する設計自動化ツールは、この矛盾への対抗策である。自社の原価を下げるだけでなく、顧客に成果物やソフトウェアとして販売できれば、同じ人数から生む収益を増やせる。ただし、開示されているのは共同開発や社内利用、顧客提案の段階が中心であり、独立した商用売上の規模は確認できない。市場規模の拡大をそのままアビストの工数増加と考えることは避ける。
先の10年では、実質の市場工数が減りながら単価は上昇する構造を中心とする。顧客との共同設計に強い企業は市場平均より粘る可能性があるが、単純な人員増と価格転嫁を組み合わせた過去の成長率を延長することはできない。資本効率の改善がなければ、売上が名目で維持されても株主価値は伸びにくい。
資本政策と M&A
資本配分の評価は、安定した配当を続けてきた点では良好だが、再投資の実績では厳しくなる。2025年9月期の年間配当総額は約4.1億円で、純利益約6.5億円に対する配当性向は約63%だった。会社は当期純利益の35%以上を配当する方針を掲げているが、実際には利益が弱い年度にも配当を維持してきた。大型の自社株買いは近年の株主還元の中心ではなく、株数の大幅な減少も見られない。
2025年11月に示された中期経営計画の進捗資料では、2027年9月期の売上高125億円、営業利益13億円、営業利益率10.4%、純利益9.1億円を目標としている。2026年9月期については、人材育成や内部統制強化のため売上高112億円、営業利益8.5億円、純利益5.9億円に計画を引き下げた。ROE、DOE、総還元性向、自社株買い金額についての具体的な数値目標はない。還元の明確な数字の約束は配当性向35%以上である。
株主優待には自社の水素水とポイント制度がある。2025年9月期の株主優待引当金は約0.50億円であり、年間の優待原価の近似値として扱う。10年の還元額には、各筋書きの配当・自社株買いに加え、優待の継続費用を含めた。優待は株主への経済的な還元だが、定価表示の金額ではなく会社側の費用で評価する。
設備投資では、過去に3Dプリントへ進出したものの、2024年3月に撤退している。2023年には美容・健康事業の子会社を吸収合併し、2025年にはベトナム子会社を設立した。大規模な買収を繰り返す会社ではないが、非中核事業への投資が高い収益を生んだとは言い難い。2025年9月期は営業キャッシュフロー約4.5億円に対し投資キャッシュフローが約3.4億円の流出となり、配当を十分に賄う自由現金は生まれていなかった。
今後は、新規の人員採用と既存技術者の再教育に投じる資本が、資本コストを超える増分利益を生むかを重視する。AIによって必要工数が減るなら、余剰資金を規模拡大に使うより、堅実な配当や合理的な自社株買いに回す方が望ましい。なお、大株主上位10者の持株比率は約37%であり、強い支配と還元実績欠如を理由に現金価値を半減する条件には当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
自動車の設計は、図面を作るだけの仕事ではない。製造可能性、安全性、品質保証、部品メーカーとの調整など、人間が責任を負う判断が数多く残る。アビストは構想設計の段階から参加し、長年の顧客関係を築いている。技術者の年間平均稼働率が95%を超え、2026年も契約単価の改善が進んでいる事実は、同社の技術サービスが顧客に必要とされていることを示している。
AIは収益を奪うだけではない。自社内の図面チェック、干渉確認、設計断面作成を自動化すれば、同じ人数でより難しい案件を処理できる。電動化、軽量化、組込み制御の高度化によって、製品開発の難しさは増している。アビストが単純作業から構想設計や解析へ人員を移せば、AIによる工数削減を専門性の向上で部分的に補える。ベトナムでの開発体制も、国内の人手不足を補う選択肢となる。
財務の強さも見逃せない。純現金が約41億円あり、自己資本比率も高い。競合が借入や採用難に苦しむときでも、アビストは人材育成と技術開発を続けられる。長期の配当実績に加え、現金を過度に増やさず還元する姿勢が強まれば、株主に帰属する現金収入は大きくなる。
さらに、2027年9月期の中期計画は、売上高125億円と営業利益13億円を目指している。会社が構想設計・解析・ソリューション販売へ事業を移し、この計画を超える収益力を維持できれば、工数依存の弱点は徐々に小さくなる。今後10年の製品開発需要が大きく増えなくても、顧客から選ばれる技術者集団として高い収益率を取り戻す道は残っている。
慎重な見方
最大の弱点は、顧客の生産性向上がアビストの売上減少につながりうることだ。請負と派遣を合わせた売上の大部分は、技術者がどれだけ稼働したかによって決まる。AIエージェントによるCAD操作、設計変更、仕様照合、プログラム作成の自動化が進めば、メーカーは従来より少ない工数で同じ開発成果を得られる。高い稼働率と単価改善という現在の強みが、将来の収入を保証しない。
顧客側の交渉力も強い。自動車メーカーや大手部品メーカーは、自社で設計・解析基盤を整え、AIツールを導入できる資金とデータを持つ。アビストが開発した設計自動化技術についても、顧客に売った後に継続課金できる独自基盤となる保証はない。むしろ発注者から工数削減を求められる可能性がある。大手のテクノプロやメイテックも教育と高難度案件への集中を進めるため、限られた案件を巡る競争は強まる。
過去の資本効率の低下はすでに警告を発している。2016〜2018年の好業績期には営業利益率が17〜18%台だったが、近年は9%前後にとどまる。自己資本は厚くなったものの、利益は以前の水準を取り戻していない。AI以前から利益率の低下が見られる以上、将来の生産性向上がすべて株主のものになると期待するのは危険だ。
資本配分にも疑問が残る。3Dプリント事業の撤退は、長期間の投資が十分な成果を生まなかったことを示す。2021〜2024年の内部統制報告書の訂正は、財務の規律を評価する際の減点材料となる。現金や不動産には価値があるが、それらを少数株主が自由に換金できるわけではない。工数減少が続き、再投資の収益率も低下すれば、厚い資産を保有していても株式の本質価値は小さくなる。
どちらに重みを置いたか
技術者集団としての専門性と財務の厚みは評価できる。しかし、10年先の取り分を考えると、工数課金への依存と過去の資本効率低下を重く見るべきだ。会社の設計自動化技術には期待するが、独立した大きな商用収益はまだ確認できない。確率は上側25%、中立36%、下側39%と慎重側に寄せた。中立の数量減少にAIの影響を織り込んでいるため、確率や資本コストで機械的に再度差し引いてはいない。下側を厚くした理由は、自動車関連顧客への依存、工数課金からの転換実績不足、資本配分と内部統制の不確実性である。現在の時価総額には、こうした不確実性に対する十分な安全域がない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,122 円84 億円(+ 還元の換算額還元の合計 957 円38 億円)。 今の値に割り戻すと 1,491 円59 億円、今との差 −55.1%、 期待の年率 −0.9%(資本コスト 9.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 3,913 円156 億円 | 1,508 円60 億円 | +63.3% | +6.0% | 379 円15 億円 |
| やや楽観 | 18% | 3,025 円120 億円 | 1,257 円50 億円 | +29.0% | +3.1% | 771 円31 億円 |
| 中立 | 36% | 2,228 円89 億円 | 1,030 円41 億円 | −1.9% | −0.2% | 1,173 円47 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,464 円58 億円 | 779 円31 億円 | −32.4% | −4.6% | 561 円22 億円 |
| 悲観 | 14% | 967 円38 億円 | 427 円17 億円 | −58.0% | −9.5% | 195 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,122 円84 億円 | 957 円38 億円 | −7.3% | −0.9% | 3,079 円123 億円 |
今の株価時価総額 3,320 円132 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 専門設計に集中し、AIを原価低減に生かす 利益 10 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,913 円156 億円
自動車の電動化と安全機能の高度化によって、構想設計、機械解析、組込み制御の難度が上がり続ける。アビストは顧客の開発初期工程で重要な判断を担い、メイテックやテクノプロなどとの競争でも高難度案件を確保する。技術者の育成と案件選別が進み、価格交渉で専門性が評価される。市場全体の設計工数はAIによって減るが、同社の相対シェアは維持される。
設計自動チェックや干渉確認の自動化が、請負事業の作業原価を下げる。技術者を削減するよりも、高難度案件へ配置し直すことに成功する。2024年に3Dプリント事業から撤退した後は大型の不採算投資を避け、ベトナム拠点を含めた人員配置も効率化する。成果物課金の比率は高まるが、独立したAIソリューション売上が確認されていないため、予測には新規AI製品の急成長を加えない。
現金を過度に積み上げず、配当や必要な自社株買いを続ける。内部統制の改善も定着し、追加の大きな費用を要しない。かつての利益率には届かなくても、専門設計の付加価値と原価管理によって収益性が改善する。10年後も利益を生む技術者集団として残る筋書きである。
- 設計開発アウトソーシング・請負:数量 7,090(年間の請負技術者稼働人月(人月))× 価格 0.01(請負技術者一人月当たり売上(億円))→ 売上 80 億円・営業利益 16 億円。AI代替下でも請負人月を現在の約98%維持し、単価は物価相当の1.34倍。高難度案件の選別で利益率20%。
- 設計開発アウトソーシング・技術者派遣:数量 6,080(年間の派遣技術者稼働人月(人月))× 価格 0.01(派遣技術者一人月当たり売上(億円))→ 売上 55 億円・営業利益 9 億円。派遣人月は現在の95%、単価は1.34倍。技術領域の高度化と高稼働率で利益率17%。
- 3D-CAD教育・解析等その他:数量 82.0(年間の教育・解析等に相当する受託人月(人月換算))× 価格 0.01(受託人月当たり売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。教育・解析の人月換算は横ばい。価格は物価並みの上昇。
- 美容・健康商品製造販売:数量 9,000(水素水30本入りケースに相当する年間販売数量(ケース換算))× 価格 0.00(ケース換算当たりの会社売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。販売ケース換算は1.5倍、価格は物価並み。製造効率改善を見込む。
- 不動産賃貸:数量 12.0(年間の賃貸契約月数(月))× 価格 0.07(1か月当たり賃貸売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。年間12か月の入居を維持。賃料は1.30倍。
倍率:資本コストk=7.75%、10年より先の名目成長g_long=0%。AIエージェント代替によって人月型事業の将来工数が減るため、物価3%を長期成長率として使わない。正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)はg=0のため1/k=12.90倍となる。専門設計の強みは10年後の利益に反映し、倍率へ重複加算しない。余剰現金25億円の税後利息相当0.35億円を純利益から除き、事業利益9.64億円×12.9倍に余剰現金25億円を加えた。
確率:顧客との共同設計、単価改善、技術者教育、設計自動化がすべて順調に進む筋書き。ただし商用AIソリューションの大きな売上実績は未確認であるため、請求工数の増加を前提にせず確率も限定する。
やや楽観 18% 工数減少を単価改善と高難度案件で補う 利益 7 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,025 円120 億円
自動車メーカーの開発投資は大幅には減らない。電動化や制御機能の高度化による追加の仕事は、AIによる作業時間短縮とおおむね相殺される。アビストは従来型のCAD操作から解析、構想設計、組込みソフトウェアへ技術者を移し、主要顧客との関係を維持する。競合の大手企業も同じ領域を狙うため、実質の稼働人月は現在より少なくなる。
請負業務では設計自動化による原価削減が進み、価格交渉でもインフレ相当の引き上げを実現する。派遣業務は顧客のAI導入に伴う発注減を受けるが、専門性の高い技術者の単価が上昇して収入の減少を抑える。人員採用は従来より慎重になり、教育は人数を増やすためではなく一人当たりの付加価値を高めるために使われる。
2027年9月期の中期計画が目指す収益性は一定程度定着する。ただし、10年後の成長が続くわけではなく、顧客への価格転嫁にも限界がある。配当は維持しつつ、利益の一部を教育と自動化投資に回す。財務基盤を傷つけずに業態転換を進めるが、強い独占的な堀までは形成されない筋書きである。
- 設計開発アウトソーシング・請負:数量 6,150(年間の請負技術者稼働人月(人月))× 価格 0.01(請負技術者一人月当たり売上(億円))→ 売上 70 億円・営業利益 13 億円。請負人月は現在の85%、単価は1.34倍。設計効率化を原価改善に結びつける。
- 設計開発アウトソーシング・技術者派遣:数量 5,250(年間の派遣技術者稼働人月(人月))× 価格 0.01(派遣技術者一人月当たり売上(億円))→ 売上 47 億円・営業利益 7 億円。派遣人月は82%、単価は1.32倍。専門職の確保で価格下落を防ぐ。
- 3D-CAD教育・解析等その他:数量 66.0(年間の教育・解析等に相当する受託人月(人月換算))× 価格 0.01(受託人月当たり売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託人月換算は約80%、単価は1.30倍。
- 美容・健康商品製造販売:数量 7,500(水素水30本入りケースに相当する年間販売数量(ケース換算))× 価格 0.00(ケース換算当たりの会社売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。ケース換算販売は25%増。価格は1.30倍。
- 不動産賃貸:数量 12.0(年間の賃貸契約月数(月))× 価格 0.07(1か月当たり賃貸売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。既存賃貸を継続し、賃料は1.30倍。
倍率:k=7.75%、g_long=0%であり、長期の正当化PER上限は1/k=12.90倍。中立より高い営業利益率は、高難度案件の増加と原価削減を反映したものであり、倍率でも重複して評価しない。事業の純利益は7.00-0.35=6.65億円。これに12.9倍を適用し、余剰現金25億円を帳簿の価値で加える。
確率:顧客の開発需要は維持され、AIによる工数削減も段階的に進む。構想設計などの専門業務への移行で収益力を一定程度保つが、売上の大部分は依然として人月課金にとどまると考える。
中立 36% AIで請求工数が減り、値上げでは補い切れない 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,228 円89 億円
自動車産業の開発活動そのものは続くが、その進め方は大きく変わる。AIエージェントが図面作成、設計変更、仕様との照合、単純な解析を担い、顧客が発注する工数を減らす。アビストは構想設計や部品メーカーとの調整を続けるものの、以前と同じ人数を長期間稼働させる必要はなくなる。業界全体の実質工数が減る中、顧客への依存度が高い同社のシェアもやや低下する。
請負業務では、高難度案件を維持しつつも年間人月が約3割減る。派遣は顧客の内製化やAI活用の影響が大きく、年間人月が約35%減少する。単価は上昇するが、派遣では物価上昇ほど十分に転嫁できない。会社は採用抑制、自然減、拠点再編によって販管費を削減する。しかし人材教育、品質管理、内部統制の費用をすべて消すことはできず、全社営業利益率は現在より低下する。
設計自動チェックやAR関連技術は社内で使われ、顧客向けの小規模な販売も生まれるが、人月課金に代わる大きな収益源にはならない。新規大型買収は行わず、純現金を保持しながら利益水準に応じて配当を調整する。会社は存続するが、かつての成長企業ではなく、限られた専門設計領域を守る成熟企業としての10年になる。
- 設計開発アウトソーシング・請負:数量 5,065(年間の請負技術者稼働人月(人月))× 価格 0.01(請負技術者一人月当たり売上(億円))→ 売上 56 億円・営業利益 10 億円。請負人月は現在の70%。価格は1.30倍で、実質の発注工数減少を名目単価上昇が補い切れない。
- 設計開発アウトソーシング・技術者派遣:数量 4,160(年間の派遣技術者稼働人月(人月))× 価格 0.01(派遣技術者一人月当たり売上(億円))→ 売上 35 億円・営業利益 5 億円。派遣人月は65%。価格は1.25倍と物価上昇を下回る。顧客の内製化と交渉力を反映。
- 3D-CAD教育・解析等その他:数量 53.0(年間の教育・解析等に相当する受託人月(人月換算))× 価格 0.01(受託人月当たり売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。教育・解析の受託工数は約65%、単価は1.22倍。
- 美容・健康商品製造販売:数量 6,300(水素水30本入りケースに相当する年間販売数量(ケース換算))× 価格 0.00(ケース換算当たりの会社売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。ケース換算数量は5%増、単価は1.28倍。競争を考慮して利益率9%。
- 不動産賃貸:数量 12.0(年間の賃貸契約月数(月))× 価格 0.07(1か月当たり賃貸売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。稼働月数は維持し、賃料は1.30倍。
倍率:資本コスト7.75%、g_long=0%。10年後の事業ROEは余剰現金を除いても資本コスト以下となる。追加投資による価値創造を認めず、正当化PER上限を1/k=12.90倍とする。事業の純利益は4.42-0.35=4.07億円。余剰現金25億円を別建てで加えるため、現金利息にPERを重複適用しない。現在や過去の市場PERは参照していない。
確率:専門設計の需要は残るが、CAD作図、検証、ソフトウェア開発でAI代替が進む。物価上昇に伴う単価改定と工数減少が併存する、最も自然な中心の見込みとする。
やや悲観 25% 顧客の内製化が進み、規模を縮めて存続する 利益 3 億円 · PER 11.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,464 円58 億円
主要自動車メーカーが設計データとAIツールを自社の開発工程に深く組み込み、従来外部に委託していた作図や解析の多くを内製化する。アビストは構想設計や顧客との調整で一定の役割を残すが、請負案件は規模が小さくなる。派遣技術者の需要も減り、競合のメイテックやテクノプロとの間で高難度案件を奪い合う状況になる。
価格交渉は続けられるものの、顧客の工数削減要求が強く、名目単価は物価ほど上がらない。受注の減少に合わせて支店や管理機能を集約し、採用を抑え、退職者を補充しないことで固定費を削減する。こうした再編が進むため会社全体では小幅な利益を維持できるが、技術者の育成規模は縮み、成長企業としての性格は失われる。
経営陣は非中核事業への新たな投資を控え、現金の維持を優先する。配当は初期には維持するが、利益が減るにつれて減額する。投資有価証券や一部設備の減損を経験しても、直ちに資金繰りが行き詰まる状況ではない。株主の価値は、技術サービスの成長性よりも、残る利益と現金をどれだけ守れるかに左右される。
- 設計開発アウトソーシング・請負:数量 4,300(年間の請負技術者稼働人月(人月))× 価格 0.01(請負技術者一人月当たり売上(億円))→ 売上 44 億円・営業利益 7 億円。請負人月は現在の約59%、単価は1.20倍。案件規模縮小と値上げ圧力の弱さを反映。
- 設計開発アウトソーシング・技術者派遣:数量 3,450(年間の派遣技術者稼働人月(人月))× 価格 0.01(派遣技術者一人月当たり売上(億円))→ 売上 27 億円・営業利益 3 億円。派遣人月は約54%、価格は1.15倍。固定費削減を進めても利益率は13%に低下。
- 3D-CAD教育・解析等その他:数量 45.0(年間の教育・解析等に相当する受託人月(人月換算))× 価格 0.01(受託人月当たり売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。教育・解析の人月換算は約55%、価格は1.15倍。
- 美容・健康商品製造販売:数量 5,400(水素水30本入りケースに相当する年間販売数量(ケース換算))× 価格 0.00(ケース換算当たりの会社売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量は90%、単価は1.20倍。競争と固定費で利益はほぼゼロ。
- 不動産賃貸:数量 12.0(年間の賃貸契約月数(月))× 価格 0.06(1か月当たり賃貸売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。年間の入居は維持、賃料は1.23倍、利益率は30%。
倍率:資本コスト7.75%、長期名目成長率0%から、稼ぐ力の上限は1/k=12.90倍である。ただしこの筋書きでは事業の規模縮小が続き、契約・顧客基盤の不確実性が増すため、やや悲観側は11.2倍とする。現金は谷で一部使用すると考え、25億円の75%に相当する18.75億円を評価。純利益2.89億円から現金利息相当0.2625億円を除き、残る事業利益に11.2倍を適用して現金価値を加える。
確率:自動車関連顧客によるAI活用と設計業務の内製化が中立より速く進む。ただし純現金と設計ノウハウがあり、大幅な人員調整ができれば黒字を維持する余地はある。
悲観 14% AIによる設計工数の代替で競争力が崩れる 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 967 円38 億円
AIエージェントがCADデータの作成、仕様照合、設計変更、解析、ソフトウェア実装を統合的に処理できるようになる。自動車メーカーは開発の責任者と少数の専門設計者だけを社内外に残し、作業工数の大部分を自動化する。アビストは蓄積してきた顧客関係を維持できず、請負も派遣も大幅に縮小する。競合大手の技術者教育と設計基盤にも押され、独自に選ばれる理由が弱くなる。
請負人月は現在の半分以下となり、派遣の年間稼働人月も大幅に減る。契約単価の引き上げは顧客の交渉力に阻まれ、物価上昇ほど進まない。採用停止や拠点閉鎖を行っても、退職対応費用、品質管理、残存する設備の維持費などをすぐには削減できない。売上が半分近くになる中で、営業損失が続く会社へ変わる。
経営陣は大規模な新規投資をやめ、現金と売却可能資産を守る方向へ転換する。投資有価証券の評価損や拠点再編に伴う損失によって自己資本も減少する。初期の数年間に配当を行う余力はあるが、後半には大幅な減配または停止が必要となる。事業価値は小さくなり、株主価値の中心は現在の純現金と不動産などを保全できるかどうかに移る。
これは一時的な景気後退ではなく、技術変化によって従来の収益方式が競争力を失う筋書きである。10年後には現在の企業規模に戻る合理的な根拠が乏しく、残存資産を上限ではなく防衛的な床として評価する。
- 設計開発アウトソーシング・請負:数量 3,330(年間の請負技術者稼働人月(人月))× 価格 0.01(請負技術者一人月当たり売上(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 3 億円。請負人月は46%、単価は1.08倍。高難度案件以外の受注が大幅に減る。
- 設計開発アウトソーシング・技術者派遣:数量 2,560(年間の派遣技術者稼働人月(人月))× 価格 0.01(派遣技術者一人月当たり売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。派遣人月は40%、価格は1.05倍。顧客の内製化と低い稼働率が重荷になる。
- 3D-CAD教育・解析等その他:数量 33.0(年間の教育・解析等に相当する受託人月(人月換算))× 価格 0.01(受託人月当たり売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。教育・解析の受託人月は約40%、単価横ばい。
- 美容・健康商品製造販売:数量 4,000(水素水30本入りケースに相当する年間販売数量(ケース換算))× 価格 0.00(ケース換算当たりの会社売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。販売ケース換算は約67%、単価は1.05倍。小規模事業の固定費が残る。
- 不動産賃貸:数量 6.0(年間の賃貸契約月数(月))× 価格 0.06(1か月当たり賃貸売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。入居は年間6か月に低下、賃料は1.25倍。賃貸収益の安定性も失う。
倍率:継続的な営業赤字となり、純利益にPERを適用しても適切な価値を表せない。過去の市場PBRや将来積み上がった自己資本を床の倍率の分母に使わず、2025年9月期の現在の自己資本74.0億円に0.52倍を適用して38.48億円とする。0.52倍は市場の谷の倍率ではなく、現金と売却可能資産の保全価値から判断した資産評価である。10年後の自己資本62.5億円を掛けるものではない。
確率:AIによる設計作業の自動化、顧客の内製化、価格交渉力の低下が同時に進む構造的敗北の筋書き。深刻な縮小でも純現金と売却可能資産は残ると考え、資産の床を評価する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
設計開発アウトソーシング・請負
機械設計、3D-CAD、解析、システム開発などを自社の指揮命令で請け負う。成果物契約だが、売上の実態は技術者の稼働工数と一人月単価に強く連動する。
| 数量年間の請負技術者稼働人月(人月) | 価格請負技術者一人月当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 7,235 | 0.01 | 61 | 12 |
| 10 年後 中立 | 5,065 | 0.01 | 56 | 10 |
取り方:2025年9月期有価証券報告書の請負契約売上6,127,979千円を使用。2026年9月期第3四半期説明会における請負一人月売上高85.7万円と前年同期比+1万円から、2025年の単価を84.7万円と推定した。売上61.28億円÷0.00847億円で約7,235人月を逆算した。2025年通期平均単価そのものは開示されていないため、前年同四半期の値を代理指標とする。営業利益12億円は設計開発アウトソーシング事業全体の利益18.39億円を、請負の方が高い付加価値を持つとの前提で配分した分析上の推計値であり、会社開示の部門別利益ではない。AIエージェント代替の型は人月・工数型。
設計開発アウトソーシング・技術者派遣
自社雇用の機械設計・電気電子・情報系技術者をメーカーなどへ派遣する。派遣先の指揮命令による稼働時間が収益の中心になる。
| 数量年間の派遣技術者稼働人月(人月) | 価格派遣技術者一人月当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 6,400 | 0.01 | 43 | 6 |
| 10 年後 中立 | 4,160 | 0.01 | 35 | 5 |
取り方:2025年9月期有価証券報告書の派遣契約売上4,326,744千円を使用。2026年9月期第3四半期説明会の派遣一人月売上高72.8万円、前年同期比+5.2万円から2025年単価を67.6万円と推定し、年間約6,400人月を逆算した。派遣・請負の合計人月は約13,635人月、年間平均約1,136人の稼働に相当する。2025年9月期の期末技術者数1,200人、年間平均稼働率95.4%と大きく矛盾しない。営業利益は推計配分であり、会社開示の派遣単独利益ではない。AIエージェント代替の型は人月・工数型。
3D-CAD教育・解析等その他
3D-CAD教育、解析、設計関連の小規模サービスなど、請負契約・派遣契約以外に分類される収益。
| 数量年間の教育・解析等に相当する受託人月(人月換算) | 価格受託人月当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 82.0 | 0.01 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 53.0 | 0.01 | 0 | 0 |
取り方:2025年9月期有価証券報告書の設計開発アウトソーシング事業における『その他』62,835千円を使用した。教育受講人数や解析案件数は開示されていないため、請負・派遣合計の2025年同四半期一人月単価76.6万円を代理単価として約82人月相当に換算した。実際の契約人数や案件数を示すものではない。技術者教育と解析受託の双方に人月・工数型のAIエージェント代替リスクを適用する。
美容・健康商品製造販売
水素水等の飲料・健康商品の製造販売。一般顧客向け販売や卸売のほか、株主優待品との関係を持つ。
| 数量水素水30本入りケースに相当する年間販売数量(ケース換算) | 価格ケース換算当たりの会社売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 6,000 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 6,300 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:2025年9月期有価証券報告書の美容・健康商品製造販売事業売上49,640千円を使用。会社は商品別ケース販売数量を開示していない。公式の水素水1ケース30本という販売単位を用い、卸売・その他商品を含む年間売上を約6,000ケース相当、会社売上単価約8,273円とした分析上の換算である。小売定価12,600円をそのまま会社売上とはしていない。実際の水素水出荷ケース数ではない。営業利益は約0.23億円。人月・席課金型のAIエージェント代替は直接当てはまらない。
不動産賃貸
東京都三鷹市の保有不動産の一部を企業向けに賃貸する事業。
| 数量年間の賃貸契約月数(月) | 価格1か月当たり賃貸売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 12.0 | 0.05 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 12.0 | 0.07 | 1 | 0 |
取り方:2025年9月期有価証券報告書の不動産賃貸売上60,050千円を12か月で割り、月額約500万円とした。三鷹市の保有物件の賃貸部分であり、床面積の増加は中立では見込まない。賃貸損益は約0.216億円、賃貸部分の帳簿価額は約7.26億円、時価は約8.17億円。建物の既存減価償却は取得原価に基づくため一律に物価連動させない。人月・席課金型のAIエージェント代替は直接当てはまらない。
リスクと懸念
AIエージェント代替による請求工数の縮小
設計開発売上の大部分は請負・派遣の人月と単価に依存する。AIによって図面作成、仕様照合、プログラム作成などの作業時間が短縮されると、顧客は同じ成果をより少ない外部工数で得られる。顧客に成果物の価値で請求できる方式へ移行しなければ、技術革新の便益が発注側に移り、アビストの売上が縮小する。中立の数量減少とg_long=0%に反映し、資本コストの寿命項目には重複させていない。
自動車関連顧客への依存
取引先には自動車メーカーや部品メーカーが多く、開発計画、研究開発費、設計業務の内製化によって受注が変動する。電動化とソフトウェア化は新しい仕事を生む反面、機械設計の単純作業を減らす。メーカーがAIと自社データを結び付けた設計環境を整備すれば、アビストが請け負う仕事の範囲は想定以上に狭くなりうる。
技術者採用と賃金上昇
専門性の高い技術者は不足しており、採用競争と処遇改善には継続的な費用がかかる。2026年には単価上昇が進んでいるが、今後も賃金を上回る価格改定を実現できる保証はない。受注が減少する局面では、雇用を維持するための固定的な人件費が利益を圧迫する。採用難だけでなく、採用しすぎた場合の損失にも注意が必要だ。
過去の内部統制上の不備と偶発費用
雇用調整助成金の申請に関する問題を受け、2021〜2024年9月期の内部統制報告書と過年度決算が訂正された。2025年9月期には内部統制が有効とされているが、再発防止策の継続的な実効性を確認する必要がある。返納に付随する追加的な加算金や延滞金などが確定すれば、一時的な資金流出と信頼低下が生じる可能性がある。
資本配分の失敗と事業撤退
3Dプリント事業は設備投資と事業化を進めた後、2024年3月に撤退した。新しいデジタルソリューションの開発も、商用収益が大きく立ち上がるまでは投資回収の不確実性を伴う。現在の純現金は株主価値の支えであるが、収益性の低い新規事業や買収に使われると、利益と資産の両方が減る。投資後の収益率を開示し、資本配分の規律を守れるかが重要になる。
配当維持と現金流出の両立
年間約4億円の配当は株主に魅力がある一方、営業利益が縮小すれば利益に対する負担が大きくなる。2025年9月期の自由現金収支は約1億円にとどまり、当期の配当額より小さかった。利益が落ちても配当を長期に据え置けば、財務の安全性を損なう。逆に減配すれば株主への現金還元が減り、現在の株式価値を支える理由の一つが弱まる。
投資有価証券と不動産の評価
2025年9月期末には約11.9億円の投資有価証券があったが、2026年6月末には約5.4億円減少している。保有金融資産は現預金より価値が変動しやすい。賃貸不動産も鑑定時価が直ちに換金可能額になるわけではなく、金利上昇によって収益還元価値が低下する。純現金、投資資産、不動産を重複して本質価値に加えないことが重要である。
今後の分かれ目
- 請負・派遣の一人月売上高が継続的に上がり、同時に技術者稼働人月も維持されるなら
- 中立の数量減少前提を緩和する。単価上昇だけでなく、顧客が購入する工数が減っていないことを確認できれば、専門設計の堀が想定より強いと判断できる。
- 設計自動チェックやAR・AIソリューションの外部売上が金額として開示され、継続的に増加するなら
- 人月課金から成果物・製品課金への転換を評価する。既存の人月売上を置き換えただけでなく、独立した収益と利益が増えた場合に限り、10年後の利益とg_longを上方修正する。
- 請負の稼働人月が前年比で連続して減少し、単価上昇でも請負売上の減少を防げなくなったら
- AI代替や顧客内製化が想定より速いと判断し、やや悲観・悲観側の数量前提に近づける。顧客の研究開発費減少による一時的な受注減との区別を行う。
- 2027年9月期の営業利益13億円・利益率10.4%の中期計画を達成し、その後も維持できたら
- 原価管理と単価改定の実行力を再評価する。ただし、人月数量が長期的に減り始めていないかを併せて確認し、短期の計画達成だけで将来の高い成長率を認めない。
- 技術者採用と管理部門の増員が続く一方、売上総利益が伸びなくなったら
- 固定費負担が増していると判断し、中立以下の営業利益率を下げる。採用人数よりも稼働人数、売上総利益、販管費を重視する。
- 過年度の助成金問題に関して追加の大きな費用や内部統制上の不備が判明したら
- 会社固有のガバナンスリスクとして悲観側の確率を引き上げ、現金の防衛的価値も見直す。景気や技術による利益の縮小とは分けて評価する。
- 配当性向の高止まりを是正し、余剰現金を合理的な自社株買いや増配で株主に還元するなら
- 株主の手元に戻る現金の確実性を高く評価する。逆に収益性の低い新規事業への大型投資や買収が再開されれば、余剰現金の評価と経営の資本配分を再検討する。
見ておくもの
- 請負・派遣別の年間稼働人月と一人月売上高。単価上昇と請求工数の増減を必ず分けて確認する。
- 技術者数、年間平均稼働率、新卒採用者の配属期間、退職率、高難度案件の構成。
- 請負売上高比率と、構想設計・解析・組込みソフトウェア領域の受注構成の推移。
- 設計自動チェック、干渉チェック、Diff AR等の外部顧客向け売上と利益の金額。
- 2027年9月期中期計画の売上125億円、営業利益13億円、利益率10.4%の達成状況。
- 営業キャッシュフローから設備投資・無形資産投資を引いた自由現金と、配当・株主優待の費用。
- 内部統制の改善状況、助成金に関する追加費用、投資有価証券と現預金の変動。
倍率と資本コストの決め方
企業価値は現在の市場PERや過去のPBRに合わせていない。2025年9月期の請負61.28億円、派遣43.27億円を起点に、稼働人月と名目単価へ分けた。中立ではAIエージェント代替の工数減少を請負70%、派遣65%の数量で表し、単価はそれぞれ1.30倍、1.25倍として物価上昇を二重計上していない。資本コストは基本7.5%に事業の質+0.25%を加えた7.75%。10年より先の人月市場が実質で縮むことからg_longは0%とし、楽観〜中立のPERは正当化式の上限12.9倍をそのまま採用した。AIによる同じ収益縮小をkの寿命や倍率の追加割引で再度差し引いていない。
営業利益の計算では2025年の設計事業利益と全社費用を分離した。10年の全社費用は物価上昇と人員・拠点の縮小を両方反映し、減価償却を一律に1.34倍にはしていない。新リース会計による表示変更が生じても、家賃を営業費用に含める現在の形へそろえる。余剰現金25億円は事業利益と分け、現金利息相当を利益から控除した。投資有価証券と賃貸不動産は現金に重複計上せず、悲観の資産床で換金可能性を保守的に評価した。
悲観では将来の自己資本62.5億円に床のPBRを掛けず、現在の自己資本74億円を基準に評価した。10年後の各筋書きの時価総額と還元を、資本コスト7.75%でそれぞれ10年末と期間中間に割り引いた確率加重価値は約62.1億円である。比較基準の時価総額132.7億円との差は約-53.2%となる。数字を現在の株価に寄せる調整は行っていない。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債利回り3%と株式リスクプレミアム4.5%による基本7.5%に、事業の質による+0.25%を加えた。規模や株価βは用いない。内部統制や特定顧客への依存は、追加の資本コストではなく筋書きと確率に反映した。