結論
ソーバルは、ソニー、富士通、キヤノンなどの製品開発や企業システムを支える独立系の技術者集団である。筆者の結論は「やや割高」だ。大手顧客との長い取引と豊富な現金は確かな強みだが、開発に費やす時間を売る商売が十年後も同じ単位で買われるとは限らない。新しい技術を使いこなす力と、技術者の人数に比例する売上を守る力は別物である。
2026年2月期の売上は約90億円で、営業利益は約7億円だった。2027年2月期の会社計画は売上100億円だが、これは理創とプリサイスの買収効果を含む。最新の上期はAI活用による効率改善で好調だったものの、会社は通期利益を引き上げていない。大型の受託案件は検収の前倒しで一時的に数字が強く見えることもあるため、この好調をそのまま十年先に伸ばすのは危うい。
価値の支えは財務だ。2026年2月期の純現金は約38億円あり、その後も定期預金への振り替えを除けば資金余力は大きい。もっとも、そのお金は少数株主が自由に引き出せる財布ではなく、人員確保や次の買収にも使われる。会社の価値を測る際は、使われずに残る現金と、働いて得る利益を分けたい。
中立の十年後は、開発単価が上がっても必要な工数が減り、売上と利益は足元を下回る見通しとした。高付加価値の組込み開発は比較的粘るが、Web開発、業務システム、簡易マニュアルは顧客の内製化とAIエージェント代替にさらされる。強気の筋書きでは利益率が改善して現在の価値を上回れるが、その成功を当然視する値段ではない。確率を織り込んだ本質価値は約51億円で、足元の時価総額約71億円より三割弱低い。
バリュー投資の観点から
長く株主でいるなら、十年後にもこの会社に必要な仕事が残るかを最初に問いたい。ソーバルは顧客が物を作り、業務を動かすための技術を提供している。組込み機器の安全性や顧客の古いシステムを理解する力は今後も役立つ。しかし、役に立つことと、現在と同じ人月を買ってもらえることは違う。ソフトウェア開発の生産性が上がるほど、同じ顧客を支えるために必要な人員は減りうる。
オーナーの利益を見る時は、顧客との契約を維持するための採用、教育、設備、情報管理の費用を引かなければならない。研究開発や人員への投資が少なく見える財務諸表でも、技術者の能力更新は毎年必要な再投資だ。近年の利益の一部を配当に回し、残りを現金に積んできた規律には価値がある。他方で、蓄積した現金を買収によって高収益の利益源に換える手腕は、まだ十年間の実績として立証されていない。
この会社には、独占的な基盤、強いネットワーク、乗り換えに数年かかる顧客データの正本が見当たらない。組込みの顧客関係を高く評価しても、全社の堀を強いと呼ぶには証拠が足りない。将来の開発量が読みにくい以上、今の二桁ROEを永続する前提で買うことは避けたい。
現金の多さは悲観時の損失を和らげるが、清算が約束されていない株の安全域そのものではない。現在の値段で十年後の事業縮小と配当を引き受ける余裕があるか。筆者が重視するのは、AI関連の受注額だけでなく、顧客一件から生まれる成果報酬と現金収益の増え方である。それが確認できれば、会社への評価を上げる理由になる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心はエンジニアリング事業という会計上の単一セグメントだ。ただし経営資料は、Web・アプリケーション、業務系、組込み、開発支援、AIの五つの分野で売上と営業利益を示している。2026年2月期はWeb・アプリが約41億円、業務系が約12億円、組込みが約30億円を占めた。技術者が顧客先に入る派遣だけでなく、会社が開発案件を請け負う契約が約八割を占める。請負契約だからといって利益の源が工数から独立した製品になるわけではない。
Web・アプリ分野はクラウド、スマートフォン、顧客向けの業務画面を開発する。業務系では企業の基幹システムやSalesforce、SAPなどの導入・改修を支える。組込みではカメラ、映像機器、自動運転、物流・産業機器のソフトを開発し、製品の実機検証や品質の確認に顧客との共同作業が要る。簡単なプログラムや画面の実装は自動化されるが、安全性や製品固有の仕様を最終的に保証する仕事は残りやすい。
開発支援はマニュアル制作、統計解析などを担う。簡易マニュアルの需要減は会社自身が認めており、AIによる置き換えが既に数字に表れている。AI分野は機械学習、データ解析、関連する開発・コンサルティングを行うが、2026年2月期の売上は約1.7億円で全体の二%弱にすぎない。社内でAIを使って生産性を上げる効果と、顧客から新しく報酬を受け取れる事業は区別が要る。
大手顧客の比重が高く、2027年2月期上期はソニーグループが売上の約四分の一を占めた。キヤノンとの受託関係は1980年代から続くが、取引の長さだけでは値上げを通せるとは言えない。顧客に開発予算と仕様決定権があり、案件の採否や外注量の見直しが売上を左右する。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、大手の製造・IT企業の機密性が高い開発工程に長く入り込み、仕事の進め方を知っていることだ。キヤノンとの取引の歴史、ソニーや富士通などへの継続的な納入、組込みからクラウドまでの技術範囲は、新規参入企業に簡単にはまねできない。顧客が担当技術者を入れ替えれば、仕様の伝達や試験をやり直す費用がかかる。この切り替えの手間は小さいながらも堀、つまり競争相手を遠ざける力になっている。
ただし、決定的な堀とは呼べない。契約の大半は受託・派遣であり、顧客が製品ごとの専用ソフトや業界共通の基盤を同社に預け続けなければならない構造ではない。解約率、規制対応に必要な移行年数、価格改定による粗利改善の実績といった強い証拠も開示されていない。高い市場シェアや独占製品を持つ会社とは異なり、売るのは主として技能と稼働時間である。
2015年から十年の売上は大きく伸びていないが、資本を厚く積み上げながら営業黒字を維持してきた。設備負担が軽く、歴史的なROEも二桁を保つ年が多かった。今後は人手を増やすだけで売上が増える時代ではなく、顧客から成果の価値に応じた報酬を得られるかが増分の資本効率を決める。受託案件の不採算化や人材採用費の上昇は、ソフトウェア会社でも簡単に利益を消してしまう。
現金が多いので財務的な生存力は高い。しかし、現金を本業の高い収益率で再投資できるとはまだ証明されていない。買収で人数を買い足しても、生産性の高い契約に変換できなければ利益の厚みは増さない。堀は「弱い」と評価し、AIの影響を資本コストではなく工数の変化として考えた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の情報サービス産業は大きい。情報サービス産業協会の統計では、2024年の業界売上は約33.6兆円で、そのうち受注ソフトウェアが53.5%を占める。単純計算で受託ソフトの市場は約18兆円だ。ソーバルの売上をすべて同じ分母に載せてもシェアは約0.05%であり、価格や市場規模を左右する立場ではない。Web開発、業務システム、組込みの厳密な市場別シェアは公表されていないため、事業全体の規模感と分野ごとの人数・単価を合わせて見る必要がある。
競争相手には、システナ、富士ソフト系の開発会社、SCSK、TISといったシステム開発企業や、メイテックなどの技術者供給企業がいる。システナの2026年3月期売上は約944億円、メイテックグループは約1,377億円で、ソーバルより事業規模が大きい。受託ソフト約18兆円を仮の分母とすると、両社の全社売上の比率は約0.53%と約0.77%だ。ただし両社の売上には別のサービスも含むため、これらを厳密なシェアとはしない。大企業ほど多数の技術者を大口案件に投入しやすく、特定の顧客領域では小さな会社の専門性が対抗手段になる。
国内のデジタル投資や古いシステムの更新需要は、目先の発注を支える。人材不足も単価交渉の追い風だが、これは需要の量と外注される工数が同じように増えることを意味しない。AIエージェントが設計補助、コード生成、検証、マニュアル作成を引き受ければ、顧客が必要とする成果物は増えても人月の請求は減りうる。人を送り込むことで解消していた不足は、ソフトウェアと顧客の内製チームが埋める。
組込みは製品実機への適合、リアルタイム制御、品質保証があるため相対的に残る。ただし大手自動車メーカーの投資方針で仕事が一気に変わる。ソーバルも自動車関連の弱さを物流システム関連で補っている。十年先は市場全体の名目売上が成長しても、同社が取れる仕事量とシェアがその速度で増えるとは見込まない。
資本政策と M&A
資本配分には守りの強さと課題が同居する。2026年2月期の自己資本は約45億円、純現金は約38億円で、財務的な余裕が大きい。2027年2月期上期には現金同等物が約28億円に減ったが、約8億円を定期預金に振り替え、プリサイス取得に約2億円を使った影響が大きい。定期預金まで含めないと資金が急減したように見える。
2022年には品質評価事業を譲渡し、2025年末に理創、2026年春にプリサイスを子会社化した。理創の取得対価は約1.9億円で、プリサイスには約2.1億円の買収資金が流出した。補完的な技術者を増やす狙いは理解できるが、2026年10月の説明会では買収二社の個別業績や投資回収期間を開示する予定はないと説明した。のれんの償却額が変われば会計利益も動くため、案件別の増分利益と取得資金の収益率を追いたい。
中期経営計画は2027年2月期売上100億円とAI売上10億円が柱だ。同年度の単年度予想には営業利益6.5億円、純利益4.2億円があるが、中期計画としてのROE、DOE、配当性向、総還元性向、自社株買い額には数字の約束がない。足元の年間配当は約2.6億円で、2027年2月期も同水準を予定する。さらにQUOカードの株主優待があり、その費用を年約0.08億円と推定して十年間の還元に含めた。優待の正確な費用総額は未開示なので推計である。
大株主上位十者の比率は2026年2月末で約66%と高い。ただし過去五年の配当性向の中央値は五割を超えるので、余剰現金が全く戻らないと決めつけない。配当維持は評価する一方、利益が細る場合にまで固定配当を続けるかは別の論点だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ソーバルは約四十年にわたり製造業の開発現場で使われてきた。キヤノンとの長い取引、ソニー・富士通などへの安定納入は、人を採って送り込めばすぐに再現できる関係ではない。契約のおよそ八割は請負であり、設計から検収までの責任を持つ仕事が多い。顧客にとって仕様を理解する技術者を失うことは、納期遅延や再試験という実損につながる。
AIが開発工数を減らしても、その効率化の成果を請負の利益として取り込める可能性がある。直近上期ではAI活用による生産性向上が増益に寄与したと会社が説明している。組込みは物流、産業機器、映像処理の実機検証が不可欠で、一般的な生成コードだけでは品質を保証できない。大口顧客に深く入る小さな技術者集団は、単価を上げながら規模を守れる余地がある。
現金の厚さも強い。自己資本比率は高く、景気悪化に耐えながら人材教育や小規模買収を続けられる。理創とプリサイスの買収によって技術と顧客を補えれば、Web・業務系の案件を組込みやAIと組み合わせた受託に広げられる。規模が大きくなくても、買収資金を少額ずつ投じて利益の増分を上げる経営なら価値を高められる。
理想的な十年は、実質工数をほぼ維持したまま物価相当の単価改定を通し、生産性向上を利益率に残す形になる。これは足元の財務の安全性と、会社が公表したAI活用の成果から考えれば、全く絵空事とは言えない。
慎重な見方
最も気になるのは、会社が売っているものの大半が「完成したソフトウェア」ではなく「開発する人の時間」だということだ。請負比率が高くても、契約価格は見積もった人員と作業時間を土台に決まる。AIエージェントでコード作成、試験、資料作成が自動化されれば、顧客は同じ仕事に従来ほど多くの人月を支払わなくなる。顧客自身が少人数の開発部門でシステムを更新する選択肢も増える。
この変化は新規競合の参入と同時に起こる。システナやSCSKなどの大手は、共通の開発基盤を整え、AIで減った仕事を顧客に価格で返せる。ソーバルには共同利用の基盤や高い解約障壁を裏付ける定量開示がない。取引が長い大手顧客ほど、発注管理と原価管理の力が強い。ソニーグループへの依存がなお約四分の一あることも交渉力を弱める。
会社自身が簡易マニュアル制作の需要減を認め、AI事業はまだ売上の二%弱である。中期計画のAI売上十億円には大きな未達が残っている。顧客にAIを使うことで開発者が減り、会社には小さなコンサル売上だけが残る構図を避けられるとは限らない。自動運転関連の案件が顧客の投資方針で変動した事実は、組込みでも受注量が保障されないことを示す。
成長を買収で補う戦略も、労働力を束ねるだけなら投下資本利益率を下げかねない。配当維持は当面の利回りを支えるが、利益が減れば現金を使うことになる。現金の床は大きいものの、清算も大幅還元も約束されていない。十年後の稼ぐ力に比べれば、今日の値段には楽観がまだ含まれている。
どちらに重みを置いたか
事業の継続と財務の安全性では強気の意見に分がある。しかし、十年間の受託工数を誰がどれだけ買うかという問いでは慎重な意見の方が具体的である。AIを自ら使う利益と、AIに顧客の発注量を奪われる影響は相殺されるとは限らない。下側の確率を上側より厚くしたのは、この収益構造に加え、大口顧客への依存と買収の収益率が未検証だからだ。中立でも工数は縮むので、確率に同じ減少を機械的に重ねたわけではない。期待価値が時価総額を下回るとの結論を優先する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 869 円68 億円(+ 還元の換算額還元の合計 300 円24 億円)。 今の値に割り戻すと 643 円51 億円、今との差 −27.9%、 期待の年率 +3.2%(資本コスト 7.2%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,763 円139 億円 | 496 円39 億円 | +153.2% | +11.3% | 181 円14 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,366 円108 億円 | 407 円32 億円 | +98.8% | +8.3% | 301 円24 億円 |
| 中立 | 33% | 904 円71 億円 | 333 円26 億円 | +38.6% | +3.9% | 408 円32 億円 |
| やや悲観 | 27% | 470 円37 億円 | 216 円17 億円 | −23.1% | −3.0% | 185 円15 億円 |
| 悲観 | 15% | 470 円37 億円 | 153 円12 億円 | −30.2% | −4.0% | 93 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 869 円68 億円 | 300 円24 億円 | +31.0% | +3.2% | 1,169 円92 億円 |
今の株価時価総額 892 円70 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 請負の成果を利益として取り込む 利益 8 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,763 円139 億円
顧客の開発量は伸びるが、ソーバルはむやみに人数を増やさず、難しい設計と検証に技術者を集中させる。組込みでは物流・産業機器に加えてカメラの画像処理や自動運転関連の高度な案件が増える。長く付き合うソニーやキヤノンとの共同開発が次の製品世代にも残り、顧客は外注先を大きく入れ替えない。Webと業務系も、AIが生成したコードを安全に組み込む仕事を受託できる。
AIの生産性改善は契約金額の値下げに全て吸収されず、納期短縮と不具合削減が利益として残る。理創とプリサイスが追加した技術者と顧客を生かし、検収を伴う請負案件の採算管理が改善する。自社のAIエージェント製品が大規模に売れるという未確認の飛躍は想定せず、AI分野も有償工数は足元以下にとどまる。
稼ぐ力が高まった分だけ配当と自社株買いを増やし、残った資金は選別した小型買収に振り向ける。十年後に現在のような技術者を擁しながら、請求単価が物価並みに上がり、会社全体の営業利益率が九%台に改善する筋書きである。
- WEB/アプリケーション:数量 392(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.14(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 54 億円・営業利益 5 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率98%、名目単価1.34倍。売上53.96億円、営業利益率9.5%。
- 業務系システム:数量 105(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.14(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率95%、名目単価1.34倍。売上14.98億円、営業利益率10.0%。
- 組込み:数量 295(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.14(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 41 億円・営業利益 4 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率100%、名目単価1.34倍。売上40.78億円、営業利益率11.0%。
- 開発支援:数量 45.0(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.13(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率90%、名目単価1.34倍。売上5.70億円、営業利益率2.0%。
- AI・データ解析:数量 12.0(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.19(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率100%、名目単価1.34倍。売上2.30億円、営業利益率12.0%。
倍率:AIエージェント代替により十年以降の名目g_long=0%、資本コストk=7.25%。正当化PERは(1−g/RONIC)/(k−g)=1/0.0725≈13.79倍で、堀は弱い。現在の市場のPERを参照せず上限そのものを使用。利益8.30億円には余剰現金30億円の税後利息1.4%相当が約0.42億円含まれるため、事業純利益を分離し、事業利益×13.79+10年後余剰現金30億円(戻り方1.0)で値付けした。
確率:受託工数の維持と値上げの同時実現は、AI活用の効率改善と組込みの高難度化が噛み合う場合に限られる。個別採算や成果報酬移行の定量実績はまだ乏しく、低い確率とした。
やや楽観 17% 高度な組込みとAI支援が下支え 利益 6 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,366 円108 億円
ソニー、富士通、キヤノンなどの主要顧客は調達先を一斉に変えず、信頼のある技術者には難度の高い仕事を残す。Web・アプリは基本的な画面開発の外注を減らすが、顧客システムとの結合や運用上の制約を満たす仕事が続く。組込みでは産業・物流機器向けが自動車の予算変動を補い、実機の試験工程が競争力を保つ。
一括請負の設計とAIを利用した内部開発が進み、従来の人月で受注するより少ない人数で納品できる。顧客の価格引下げ要請もあるため、利益率の上昇は穏やかにとどまる。AI部門は受注の実績を積むが、自社基盤への課金より顧客向けの開発支援が中心である。
既存の配当を維持しながら増益の一部を追加還元する。小型買収の費用は発生するが、技術領域と顧客が補完される分は営業利益に残る。十年後の売上は名目では足元を上回り、組込みと業務系の採算が会社全体を支える姿になる。
- WEB/アプリケーション:数量 340(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.14(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 46 億円・営業利益 4 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率85%、名目単価1.32倍。売上46.10億円、営業利益率8.0%。
- 業務系システム:数量 90.2(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.14(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率82%、名目単価1.30倍。売上12.55億円、営業利益率9.0%。
- 組込み:数量 266(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.14(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 36 億円・営業利益 3 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率90%、名目単価1.32倍。売上36.15億円、営業利益率9.0%。
- 開発支援:数量 37.5(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.12(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率75%、名目単価1.25倍。売上4.43億円、営業利益率0.0%。
- AI・データ解析:数量 11.4(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.19(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率95%、名目単価1.32倍。売上2.16億円、営業利益率10.0%。
倍率:AIエージェント代替により十年以降の名目g_long=0%、資本コストk=7.25%。正当化PERは(1−g/RONIC)/(k−g)=1/0.0725≈13.79倍で、堀は弱い。現在の市場のPERを参照せず上限そのものを使用。利益6.04億円には余剰現金30億円の税後利息1.4%相当が約0.42億円含まれるため、事業純利益を分離し、事業利益×13.79+10年後余剰現金30億円(戻り方1.0)で値付けした。
確率:組込み・物流案件の増加と生成AIによる費用削減は実績があり、利益率回復は可能。ただし実質工数の減少を抑え切るには顧客の予算維持が必要だ。
中立 33% 受注は続くが必要な人月が減る 利益 3 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 904 円71 億円
製造業と企業システムの保守・更新は続き、ソーバルの社名と技術者は顧客に認識され続ける。キヤノンなどとの長期取引も大半は残る。しかし新規案件では、AIエージェントが設計書の作成、コード生成、単体試験を担い、従来必要だった人月が減る。顧客の情報システム部門にも内製化の余力が生まれ、外注比率はじわりと下がる。
組込みは実機に合わせた検証や顧客固有の制約が残り、Web・業務系よりも工数減少が緩やかになる。簡易マニュアルは自動化が進み、開発支援は小さくなる。AI部門は顧客向けの受託開発を保つが、汎用AIエージェントの製品を持つわけではなく、既存三分野の落ち込みを埋めるほどにはならない。
会社は物価上昇の一部を単価に転嫁し、社員の賃金も引き上げる。単価の伸びより有償工数の減少が勝り、売上と営業利益は足元を下回る。配当と優待は概ね保つ一方、投資先を厳選する。自己資本は緩やかに増えるため、十年後のROEは過去の二桁水準に戻らない。
- WEB/アプリケーション:数量 272(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.13(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 35 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率68%、名目単価1.26倍。売上35.21億円、営業利益率5.5%。
- 業務系システム:数量 71.5(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.13(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率65%、名目単価1.26倍。売上9.64億円、営業利益率6.0%。
- 組込み:数量 212(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.13(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 28 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率72%、名目単価1.30倍。売上28.48億円、営業利益率7.0%。
- 開発支援:数量 27.5(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.11(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率55%、名目単価1.20倍。売上3.12億円、営業利益率-2.0%。
- AI・データ解析:数量 9.0(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.19(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率75%、名目単価1.30倍。売上1.68億円、営業利益率7.0%。
倍率:AIエージェント代替により十年以降の名目g_long=0%、資本コストk=7.25%。正当化PERは(1−g/RONIC)/(k−g)=1/0.0725≈13.79倍で、堀は弱い。現在の市場のPERを参照せず上限そのものを使用。利益3.40億円には余剰現金30億円の税後利息1.4%相当が約0.42億円含まれるため、事業純利益を分離し、事業利益×13.79+10年後余剰現金30億円(戻り方1.0)で値付けした。
確率:大手顧客との継続取引と純現金は下支えだが、主力の人月受託にデジタル省力化が効く。工数が10年でWeb約3割、業務約3分の1減ることを中心とした。
やや悲観 27% 大口顧客が外注工程を圧縮 利益 1 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 470 円37 億円
大手顧客がAIエージェントを社内の開発基盤に組み込み、外注するのは設計判断と最終検査だけになる。Webや業務系では仕事が半減し、残った案件も顧客の価格査定が厳しくなる。ソーバルの技術者が突然不要になるわけではないが、待機期間が増え、再教育に費用がかかる。採用を抑えても給与と事務所の固定費はすぐに減らせない。
組込みは画像処理と物流の一部を保つものの、自動車関連のソフトウェア開発方針が変わり、発注量が縮む。開発支援の簡易マニュアル制作はAIに代替され、AI部門の小規模な相談業務では人員を吸収しきれない。理創とプリサイスの統合費用は、共通顧客の開拓が遅れたため負担として残る。
営業利益率は大きく低下する。配当も据え置きを続けられず、途中で縮小する。一方、現金と売掛金の回収価値が残るので、事業の利益だけで会社の値段をゼロにはしない。厳しいが存続可能な十年である。
- WEB/アプリケーション:数量 200(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.12(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 25 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率50%、名目単価1.20倍。売上24.65億円、営業利益率2.0%。
- 業務系システム:数量 55.0(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.13(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率50%、名目単価1.20倍。売上7.06億円、営業利益率3.0%。
- 組込み:数量 177(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.13(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率60%、名目単価1.23倍。売上22.46億円、営業利益率4.0%。
- 開発支援:数量 20.0(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.10(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率40%、名目単価1.10倍。売上2.08億円、営業利益率-7.0%。
- AI・データ解析:数量 6.6(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.17(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率55%、名目単価1.20倍。売上1.14億円、営業利益率-5.0%。
倍率:受託工数減少で利益率が崩れ、将来の収益を恒久的とみなせないため換価可能資産を基準とする。全社純利益1.11億円から余剰現金26億円の税後利息0.364億円を除くと事業純利益は約0.75億円となる。これに正当化PER13.79倍を掛け、余剰現金26億円を加えた稼ぐ力の価値は約36.3億円である。一方、換価可能資産の税後回収額は37億円と見積もるため、大きい方の37億円を時価総額とする。PBRは現在の自己資本45.2億円を分母として37÷45.2=0.818584倍であり、十年後の自己資本56.75億円には掛けない。従来の43億円は両方の価値を超えていたため修正した。過去の市場PBRは根拠に使っていない。
確率:下に寄せる理由:ソニーが上期売上の24.7%を占め、EV投資の判断変更でトヨタ関連の順位が下がった。発注元主導の工数削減と買収の固定費増が重なる可能性を重く見た。
悲観 15% 工数販売の優位を失い採算割れ 利益 −1 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 470 円37 億円
AIエージェントが大手顧客の標準開発環境に組み込まれ、設計からテストまでの作業が少人数で完結する。ソーバルに残るのは少数の難しい案件と過去のソフトの保守だけになる。従来の請負や派遣は価格面で競争力を失い、Webと業務系の稼働人員は大幅に減る。ソニーや富士通が委託先を再編し、長い取引関係も新規案件の保証にならない。
組込みでも顧客の共通ソフトウェア基盤が普及し、実機試験の一部まで自動化される。自動車と映像機器の開発案件が重なって減り、物流向けだけでは穴を埋められない。開発支援とAIの受託も価格を維持できず、買収した人員の配置転換や事務所の整理が必要になる。資産の一部を減損する可能性がある。
十年後の営業は赤字になる。配当と優待の多くは途中で縮小または停止し、残る資金で契約の整理を進める。それでも厚い現金と換金できる流動資産があり、直ちに倒産する姿ではない。株主にとっての価値は収益成長ではなく、負債清算後に残る資産の回収可能性が中心になる。
- WEB/アプリケーション:数量 140(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.11(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率35%、名目単価1.10倍。売上15.82億円、営業利益率-2.0%。
- 業務系システム:数量 38.5(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.12(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率35%、名目単価1.08倍。売上4.45億円、営業利益率-3.0%。
- 組込み:数量 118(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.12(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率40%、名目単価1.12倍。売上13.63億円、営業利益率0.0%。
- 開発支援:数量 12.5(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.09(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率25%、名目単価1.00倍。売上1.18億円、営業利益率-14.0%。
- AI・データ解析:数量 4.2(顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質))× 価格 0.16(請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替に対する実質人年の残存率35%、名目単価1.10倍。売上0.66億円、営業利益率-15.0%。
倍率:事業は赤字であり、継続収益を正の倍率で評価することは適切ではない。余剰現金20億円だけでは、回収可能な売掛債権等を含む換価可能資産の価値を表せないため、floor_assets_okuの37億円を時価総額とした。現在の自己資本45.2億円に対するPBRは37÷45.2=0.818584倍である。十年後の自己資本52.95億円を分母には用いない。やや悲観と時価総額が一致するのは、両者とも事業の収益価値ではなく共通の資産床に達するためであり、期間中の還元額には差がある。従来の38億円は資産床37億円を上回っていたため修正した。過去の市場PBRは参照していない。
確率:下に寄せる理由:機密性の高い組込みを含めて顧客が開発基盤を共通化し、ソーバルへの発注が減る複合的な失敗を無視できない。純現金があるので倒産の確率は低いが事業価値の毀損はあり得る。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
WEB/アプリケーション
スマホアプリ、クラウド、Webアプリの受託設計・開発。AIエージェント代替の「人月・工数」の型。
| 数量顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質) | 価格請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 400 | 0.10 | 41 | 4 |
| 10 年後 中立 | 272 | 0.13 | 35 | 2 |
取り方:【事実】2026年2月期決算説明資料における当分野の売上41.09億円、営業利益4.31億円を使った。会計上は単一セグメントだが経営資料が5分野を区分。【推計】従業員978人に対し総有償人年を867人年とし、売上構成と難易度からこの分野に400人年を割り振った。請求可能人年は会社の開示値ではなく売上からの逆算で、外部委託や間接人員を含む不確実性がある。単価は売上÷推定有償人年で年1027万円。国内受注ソフト市場18兆円を共通の規模比較に使うと売上の代理シェアは約0.023%。国全体の受注ソフト市場はJISA2024年の情報サービス売上33.6兆円×受注ソフト53.5%=約17.98兆円と計算した。
業務系システム
基幹業務、Salesforce・SAPなどの設計、改修、保守。AIエージェント代替の「人月・工数」の型。
| 数量顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質) | 価格請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 110 | 0.11 | 12 | 1 |
| 10 年後 中立 | 71.5 | 0.13 | 10 | 1 |
取り方:【事実】2026年2月期決算説明資料における当分野の売上11.77億円、営業利益1.15億円を使った。会計上は単一セグメントだが経営資料が5分野を区分。【推計】従業員978人に対し総有償人年を867人年とし、売上構成と難易度からこの分野に110人年を割り振った。請求可能人年は会社の開示値ではなく売上からの逆算で、外部委託や間接人員を含む不確実性がある。単価は売上÷推定有償人年で年1070万円。国内受注ソフト市場18兆円との比で約0.0065%にすぎず、大手SIとの交渉力には差がある。国全体の受注ソフト市場はJISA2024年の情報サービス売上33.6兆円×受注ソフト53.5%=約17.98兆円と計算した。
組込み
映像・物流・自動車・産業機器の制御ソフトと実機検証。実物を扱う工程はあるが、請求の中心はソフト開発の工数である。
| 数量顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質) | 価格請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 295 | 0.10 | 30 | 2 |
| 10 年後 中立 | 212 | 0.13 | 28 | 2 |
取り方:【事実】2026年2月期決算説明資料における当分野の売上30.43億円、営業利益1.53億円を使った。会計上は単一セグメントだが経営資料が5分野を区分。【推計】従業員978人に対し総有償人年を867人年とし、売上構成と難易度からこの分野に295人年を割り振った。請求可能人年は会社の開示値ではなく売上からの逆算で、外部委託や間接人員を含む不確実性がある。単価は売上÷推定有償人年で年1032万円。組込みだけの比較可能な市場統計はない。国内受注ソフト18兆円を代理分母にした比率は約0.017%で、真の分野シェアではない。国全体の受注ソフト市場はJISA2024年の情報サービス売上33.6兆円×受注ソフト53.5%=約17.98兆円と計算した。
開発支援
マニュアル制作、統計解析、EC関連制作など。AIエージェント代替の「人月・工数」「制作」の型。
| 数量顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質) | 価格請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 50.0 | 0.09 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 27.5 | 0.11 | 3 | 0 |
取り方:【事実】2026年2月期決算説明資料における当分野の売上4.73億円、営業利益-0.11億円を使った。会計上は単一セグメントだが経営資料が5分野を区分。【推計】従業員978人に対し総有償人年を867人年とし、売上構成と難易度からこの分野に50人年を割り振った。請求可能人年は会社の開示値ではなく売上からの逆算で、外部委託や間接人員を含む不確実性がある。単価は売上÷推定有償人年で年946万円。分野固有の母数が未開示のため受注ソフト18兆円を参考にした規模比は約0.0026%。簡易マニュアルは既に減少している。国全体の受注ソフト市場はJISA2024年の情報サービス売上33.6兆円×受注ソフト53.5%=約17.98兆円と計算した。
AI・データ解析
機械学習と生成AI利用の受託・相談業務。独自AIエージェント製品の継続課金ではなく人月型。
| 数量顧客への有償開発・支援の人年換算(人年、実質) | 価格請求売上/有償人年(億円、人年当たりの名目単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 12.0 | 0.14 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 9.0 | 0.19 | 2 | 0 |
取り方:【事実】2026年2月期決算説明資料における当分野の売上1.72億円、営業利益0.01億円を使った。会計上は単一セグメントだが経営資料が5分野を区分。【推計】従業員978人に対し総有償人年を867人年とし、売上構成と難易度からこの分野に12人年を割り振った。請求可能人年は会社の開示値ではなく売上からの逆算で、外部委託や間接人員を含む不確実性がある。単価は売上÷推定有償人年で年1433万円。人員内訳は未公表で、売上1.72億円から有償12人年を試算。国内受託ソフト18兆円との単純比は約0.001%だがAI専用市場のシェアではない。国全体の受注ソフト市場はJISA2024年の情報サービス売上33.6兆円×受注ソフト53.5%=約17.98兆円と計算した。
リスクと懸念
AIエージェント代替による人月縮小
事業のほぼ全てが受託・派遣を通じた技術者の工数に依存する。コード生成や自動試験を顧客が自ら使えば、成果物が増えても外注人月は減る。簡易マニュアルの需要減は既に開示されている。中立の数量と十年後以降の名目成長率にこの変化を反映し、資本コストの寿命加算には重ねていない。
ソニーなど上位顧客への集中
2027年2月期上期のソニーグループ向けは売上の24.7%で、富士通とキヤノンを合わせると約47%となる。顧客の研究開発方針や外注先の絞り込みが同時に起これば、会社の営業努力だけで失った工数を補うのは難しい。長い取引関係は守りだが、独占契約ではない。内製化の進展も確認したい。
組込みの自動車投資と製品世代
画像処理や産業機器のソフトは実機検証が要るものの、発注量は製品開発の周期に左右される。自動運転関連では顧客の投資方針変更で一部受注が鈍り、トヨタグループが主要顧客上位から外れた。物流向けへの分散が続くかを確認したい。新規の実機開発で競合との受注競争にも直面する。
小型M&Aの採算と買収資金の使い方
理創、プリサイスの買収は顧客と技術者の補完を狙うが、個別の売上、利益、回収期間は公表されていない。買収で人数を買い足してもAIで人月需要が減るなら投資収益率は下がる。のれんの償却・減損や買収後の管理費が現金の厚さを削り得る。技術者の定着率も買収価値を左右する。
配当固定と現金の使途
年間の普通配当は約2.6億円で、最近の純利益の半分以上に当たる。利益が縮む筋書きでは従来と同じ配当を維持すると現金が流出する。大株主の保有比率が高く、余剰現金の売却・清算や大規模な自社株買いを少数株主が決めることはできない。安定配当だけで余剰現金が全額還元されるとは限らない。
不採算請負と賃金・事務所の固定負担
一括請負は生産性改善の利益を取り込める一方、仕様変更や検収遅延が起きると人件費を先に負担する。大手顧客の価格交渉力は強く、賃上げが単価に遅れれば採算が悪化する。賃借事務所の固定費と技能更新費用は、売上が減った年にも急には削れない。請負案件の赤字化が全社利益を押し下げる危険がある。
今後の分かれ目
- 2028年以降、業務請負の案件利益率が毎年上昇し、追加の工数を雇わずに売上が伸びたら
- AI効率化の利益を受注価格に残せた証拠になる。Web・業務系の有償人年減少と営業利益率を上方修正し、楽観側の重みを増やす。
- AI分野の独立した継続収入や成果報酬の売上・解約率が開示され、複数年の実績が確認できたら
- 人月と異なる堀の証拠として当該分野の数量・単価とg_longを再検討する。単なる社内AIの使用だけでは改めない。
- ソニーグループ向け売上構成比が2割を割り、他の製造業顧客が穴を埋めたら
- 単一顧客への依存が下がるため、下側確率のうち顧客集中に由来する部分を見直す。受託工数の構造減は別に保つ。
- 組込みの有償稼働人数と案件粗利が四半期を通じて減り続けたら
- 実機検証の残存需要が想定より弱いと判断し、組込みの数量を中立からやや悲観へ寄せる。
- 理創・プリサイスの取得額に対する増分営業利益・現金収支の実績が示されたら
- 買収の増分ROICが資本コストを超えるかを確かめ、純現金の事業転用に価値を認めるか決める。
- 配当が利益減でも据え置かれ、営業CFを超える支払いが続いたら
- 現金床を低くし、戻り方と悲観側の還元・自己資本を見直す。反対に増配か大規模自社株買いが実行されれば現金の還元可能性を確認できる。
見ておくもの
- 会社開示の五分野(Web/業務系/組込み/開発支援/AI)の売上と営業利益の推移
- 2027年2月期売上100億円とAI分野売上10億円の中期目標の達成状況
- 業務請負79.4%・派遣20.6%の比率、案件の検収・不採算の発生
- ソニー24.7%、富士通11.0%、キヤノン10.8%という主要顧客比率の推移
- 理創・プリサイスの買収後ののれん償却、営業CF、回収期間の開示
- 現金同等物と定期預金を合算した残高、配当と株主優待・自社株買いの推移
- 顧客へのAI駆動開発の成果報酬、直接受注額、技術者の有償稼働率
倍率と資本コストの決め方
基準の株価900円・株数7,867,235株は添付のfactsから採用し、現在時価総額約70.81億円との比較は最後に行った。最新上期の現金同等物の減少には定期預金への振替8億円があり、これを失われた現金とは扱わない。数量は人年実数の代理として978人のうち867有償人年を分野別に推定し、物価は価格のみに反映した。AIエージェント代替は人月型の数量とg_longだけに適用し、kのlifeで二重に割り引かない。楽観から中立のPERは名目g=0%、k=7.25%の式から13.79倍とした。余剰現金の利息は事業利益から除いて加え直し、今の株式市場の倍率には寄せていない。2027年以降の新リース会計では使用権資産・リース負債が載るが、賃借料を費用にした従来型の損益で十年後をそろえた。悲観の資産床は過去の株価・PBRでなく換金できる流動資産から算定した。やや悲観は稼ぐ力約36.3億円より資産床37億円が大きいため、時価総額を43億円から37億円へ修正した。悲観も資産床37億円を超えないよう38億円から37億円へ修正した。修正後の十年本質価値は約50.58億円で、時価総額70.81億円との差は約−28.6%となり、判定はやや割高で変わらない。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式プレミアム4.5%を合算した7.5%を出発点とし、財務の厚さ、値決め力、利益の振れから調整する。