結論
Gunosyはニュースとゲーム攻略の自社媒体で広告収入を得ながら、IPゲームやアプリ外決済に投資する会社である。筆者の結論は「やや割安」だ。ただし成長する広告会社としてではなく、インドのslice Small Finance Bankに保有する少数株式の回収可能額に着目した評価である。
2019年5月期に約150億円あった売上は、2026年5月期に約64億円へ縮んだ。ゲームエイトには海外の利用規模があるものの、ニュースアプリは利用者の時間をSNSやAIに奪われている。2027年3月にはKDDIとの共同運営も終了予定で、過去の広告利益率への回復を当然視できない。
一方、sliceは預金と貸出を行う銀行となった。2026年9月の資金調達で報じられた評価額は約4億5,000万ドルで、約12%の保有比率を使うとGunosy持分は約81億円に当たる。ただし、未上場株の取引評価額と、税金を払った後に売却できる金額は違う。与信費用や増資、IPO後の売却制限を見誤れない。
中立では、メディアの広告表示数量が大きく減り、ゲーム運営や決済の伸びもそれを一部しか補わない。継続事業のROEは資本コストに届かず、価値の中心は銀行持分である。上側3筋書きでは2036年までに持分を段階売却すると仮定し、税後の実現益を期間中の自己資本と株主還元へ反映した。未売却の評価益を余剰現金に混ぜていない。
加重した本質価値は約86.5億円で、基準時価総額約74億円を約17%上回る。ただし、売却の延期や銀行価値の悪化で安全域は消えやすい。保有資産の魅力と既存株主に届く現金は別物であり、確信度は低い。2026年10月時点ではTOB、MBO、上場廃止予定や継続企業の前提に関する注記は確認されていない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の目では、この会社には二つの異なる価値が混じる。広告媒体は、毎年新しく利用者の注意を集め続けなければ稼げない。ニュースを要約する技術の参入障壁は低く、ゲーム攻略情報もAIが直接回答するようになる。過去の売上縮小を単なる景気循環と考え、現在の利益を10年後へ機械的に伸ばすべきではない。
ゲームエイトの閲覧規模には可能性がある。攻略を読んだ人が商品購入まで同じ導線に残れば、広告単価だけを競う媒体から脱する余地がある。ただし欲しい証拠はPVの多さではなく、継続取引件数と広告費を差し引いた限界利益だ。数字が出るまで新規事業に高い価値を払わない。
sliceの持分は事業価値より資産回収の問題である。未上場株には日々の市場価格がなく、少数株主は売却時期も自己資本政策も決められない。上側ではIPO後の段階売却を仮定して税後の現金を評価したが、会社の実行約束ではない。将来の増資やロックアップによって回収額が下がる危険を残す。
経営の資本配分には評価できる面もある。2026年の大型自社株取得は株主への還元意思を示した。しかしゲームや企業向けサービスへの投資損失が続けば、現金という安全域は薄くなる。買収後のROICと、sliceを売った後に実際に配った金額こそ成績表である。
現在の時価総額には一定の安全域があるが、強固な堀が十年持続する会社とは違う。銀行の成長よりも、税後利益の現金化と旧株主への帰属を確かめるべきだ。売却が遅れるほど、待つ時間のコストは増える。経営の資本配分がその時間を補うだけの成果を生むかが結論を左右する。
何で稼ぐ会社か
収益の土台は広告を売る自社メディアだ。「グノシー」「ニュースライト」とゲーム攻略サイト「ゲームエイト」が閲覧者を集め、広告表示や送客から対価を得る。2026年5月期のメディア事業は売上54.70億円、営業利益11.63億円だった。広告制作を受託する代理店とは違い自社媒体を売るが、単価は広告主の予算と配信市場の競争に左右される。
ゲームエイトは国内外の攻略情報を蓄積している。認証基盤企業Authleteは2025年9月、月間約5億PVと4,200万UUの利用規模を紹介した。ただし、これはGunosy全体の有料顧客数ではない。検索やAI回答によって閲覧者が減れば広告価値も下がるため、ゲーム内商品の購買へ送客する導線を強めている。
2025年5月に子会社化したGホールディングスは、「ハイキュー!!」などのIPを使うゲームを手掛ける。2026年5月期の売上は9.44億円、営業損失は2.12億円だった。版権料、開発、運営、宣伝の負担が重く、発売タイトル数が増えても利益は比例しない。2027年5月期には「ハイキュー!! TOUCH AND CONNECT」や「弱虫ペダル」の新作が加わった。
新事業のSCはゲームエイトからアプリ外の購買に誘導し、決済・送客手数料を得る。IR Hubは企業の開示作業、CORPATHは管理部門のAI活用を支援する。ただし新規事業の2026年5月期売上は約0.3億円で、主力の稼ぎにはほど遠い。取引件数、契約社数、手数料が公表されない部分は推定と分ける。
sliceへの投資は連結売上と別の価値だ。Gunosyはインド銀行の約12%を持つ少数株主で、銀行の預金や貸出、利益は連結メディアの業績に含まれない。価値実現の経路は上場後の株式売却、税引後の現金回収、そこからの株主還元である。銀行の成長をメディア事業の営業利益に足すことはできない。
優良さと弱いところ
ゲームエイトの攻略情報と海外の利用者基盤には蓄積の強みがある。月間5億PVという規模は短期間では築きにくく、人気ゲームの更新情報をそろえる編集力にも価値がある。共通IDとアプリ外決済が定着すれば、記事閲覧から購買までを自社でつなげられる。ただし検索から来る利用者は移りやすく、値上げ後の維持率や独占的なデータ権利は確認できない。
ニュース配信の堀はさらに弱い。ダウンロード累計は利用者の定着を示さず、情報の要約は検索、SNS、生成AIで代替できる。KDDIとの共同運営終了も数量が減る具体的な契約上の出来事だ。広告主は別の媒体へ容易に予算を移せるため、値上げ力を認めにくい。
資本効率も安定していない。2019年5月期の営業利益23億円を頂点に、売上減少や投資損失が続いた。過去10年のROE中央値は約2.2%と資本コストを大きく下回る。純現金は事業の存続力を高めるが、増分ROICの高さを証明しない。固定費削減の定着か、SCの限界利益の積み上がりが必要だ。
sliceには銀行免許、預金基盤、決済機能や与信データという参入障壁がある。ただし、それを直接保有するのはインドの銀行であってGunosyではない。少数株主のGunosyは増資、売却時期、還元を一方的には決められない。銀行の競争優位とGunosy株主が受け取れる金額は区別しなければならない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の広告市場は名目では拡大している。電通による2025年の国内総広告費は8兆623億円で、インターネット広告の比率が初めて半分を超えた。しかし国内媒体が一様に伸びるわけではない。Google、Meta、LINEヤフー、TikTok、YouTubeが利用者の時間と広告予算を競い、ニュース一覧型アプリの立場は弱まる。
メディア売上54.7億円を国内インターネット広告費約4兆円と単純に比べると約0.14%になるが、海外攻略広告などを含むため厳密な国内シェアではない。広告表示回数と実現単価は全社にわたり開示されず、数量と価格を代理変数で推定した。攻略分野ではGameWithなどと競争するが、最大の脅威は検索結果とAI回答が閲覧経路を変えることだ。
AIエージェント代替は事業によって異なる。ニュースとゲームエイトは自社媒体型で、AIの要約による来訪減が数量を押し下げる。IR Hubは席課金や操作画面の業務ソフトに近く、翻訳と定型作業が置き換わる。CORPATHの人的支援も工数縮小の対象となる。一方、SCの購買・決済は実取引が残る。2025年12月施行のスマホソフトウェア競争促進法は機会を広げるが、市場全体を自社の売上と見なせない。
インドの銀行市場ではsliceの競合にAU Small Finance Bank、Ujjivan Small Finance Bank、Equitas Small Finance Bankがある。sliceの2026年6月末預金約5,765億ルピーに対し、Ujjivanは同年3月末で約4兆5,668億ルピーだった。市場全体に対するsliceの預金シェアは概算0.03%未満で、規模はまだ小さい。低コストで預金を集めても貸倒や増資が重なれば株主利益にならない。
会社資料によればsliceの2026年6月期に相当する四半期の純収益は前年同期比41%増、自己資本規制比率CRARは約18%だった。総不良債権比率は約4.4%で、今後の成長には与信管理が伴う。銀行の収益拡大を投資価値へ変えるには、自己資本の増加と持分の希薄化を測り、最終的な税後回収額まで確認する必要がある。
資本政策と M&A
Gunosyは広告一本足からの脱却を目指し、2025年5月にIPゲーム事業のGホールディングスを完全子会社化した。しかし2026年5月期の同事業は赤字だった。新規M&Aについては余剰現金20億円以内、取得2年後のROICがWACC超、連結純負債対EBITDA3倍以内という条件を掲げる。
2027年5月期を対象とする中期目標はEBITDA9億円、既存事業ROIC15%以上、投資IRR30%超である。中長期には時価総額1,000億円も目指すが、直近の会社営業利益予想は0.5~2.5億円である。時価総額目標を本質価値の根拠には用いない。
株主還元はDOE3%以上の安定配当を基本とし、将来は5%を目指す。投資先売却の実現利益の20%以上を還元する方針もある。上側3筋書きではslice持分の売却を条件として、DOE配当と税後売却益の約2割の追加還元を合わせた10年間の額を100億円、64億円、45億円と想定する。会社が売却額や時期を約束したわけではない。
2026年8月にはKDDIから355万株を約12.88億円で取得した。これは基準株数と8月末の自己資本87.93億円に反映済みで、将来還元には重複計上しない。2026年8月発行の最大316.2万株相当の有償新株予約権は、sliceの評価額条件を満たしたときに希薄化を生む。上側では行使代金を資産へ加え、旧株主持分の低下も反映した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
sliceが銀行免許と預金基盤を得たことは、単なるフィンテック株式を保有する場合とは違う。資本規制を満たして貸出を拡大できれば、利息収入と利用者の金融取引の積み重ねが十年単位の成長源になる。2026年9月に報じられた資金調達額が示す評価水準は出発点にすぎず、同行が2028~2029年の上場目標を達成すれば、Gunosyが少数持分を段階的に処分する道も開く。売却益の一部を配当や買戻しで還元する方針はすでにあり、保有株の含み益が株主に移る経路を全く想像できないわけではない。
ゲームエイトには、攻略情報を継続して更新してきた編集体制と海外の大量の訪問者がいる。検索依存が弱点でも、閲覧者に直接商品を販売するSCの導線が定着すれば、情報を無料で配るだけの媒体より収益の守りは強くなる。GホールディングスのIPゲームも、既存タイトルから得る知見が新作の採算改善に生きる余地がある。ニュースの量的縮小を止められなくとも、収益性の高い事業を選んで固定費を整理する経営には道がある。
強い筋書きでは、sliceの持分売却が税引前で数百億円に達し、売却益を一度だけ帳簿資本へ認識したうえで大きな株主還元を行う。条件付き新株予約権が行使されても、会社へ払込金が入り、旧株主はなお大部分の持分を保つ。銀行の成長を広告事業のPERへ掛ける必要はない。外部から取得した持分の利益が現金に変わるという、確認可能な取引に価値の根拠を置けるからだ。
慎重な見方
金融資産が大きいことは、少数株主がその値段で売却できることを保証しない。sliceの株式は未上場で、Gunosyは約12%を持つにすぎない。インドの銀行監督下で貸出を増やせば、貸倒引当と規制自己資本への追加出資が必要になる。IPOの延期、追加増資、売却制限が重なれば、報道された資金調達時の評価額を税後回収額に置き換えることはできない。上側の筋書きでは売却が完了するが、それは実績でなく仮定である。
本業の弱さはもっとはっきりしている。ニュースアプリは大規模な広告基盤とSNSに利用者を奪われ、KDDIとの契約終了も決まっている。ゲームエイトの閲覧量が大きくても、その訪問経路を握るのはGoogleなどの検索基盤だ。生成AIが攻略の答えを直接返すようになれば、広告が表示される機会そのものが減る。単価は入札市場が決めるため、閲覧数の減少を値上げだけで補うのは難しい。IR HubやCORPATHにもAIエージェント代替の圧力がある。
買収したゲームの利益が広告宣伝費や版権料を回収できなければ、金融資産は時間とともに失われる。DOE配当も赤字を埋めるものではなく、原資となる純資産を減らす。銀行持分を大きく見込んでいる間に事業の赤字が続き、実際には売却の窓が開かなければ、最終的に残るのは税後処分できる資産の床だけとなる。事業のROEは資本コストに届かず、上側の回収が遅れるだけで十年間の割引負担は重くなる。
どちらに重みを置いたか
sliceには銀行として成長する余地があるが、旧株主が税後回収額を受け取るには上場後の売却と還元が必要だ。KDDIとの契約終了に加え、銀行の与信費用、未上場少数持分の換金制約が重なるため、やや悲観と悲観の合計を43%とし、上側の27%より厚くした。AIエージェント代替の影響は事業数量と長期成長率で評価し、確率で重ねて引いていない。中立30%にも段階売却という条件がある。加重価値は時価総額を約17%上回るが、安全域は現金化の成否に左右される。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 658 円135 億円(+ 還元の換算額還元の合計 186 円38 億円)。 今の値に割り戻すと 423 円87 億円、今との差 +34.3%、 期待の年率 +12.1%(資本コスト 8.3%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,639 円335 億円 | 441 円90 億円 | +560.4% | +25.3% | 166 円34 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,090 円223 億円 | 299 円61 億円 | +341.0% | +19.1% | 264 円54 億円 |
| 中立 | 30% | 672 円137 億円 | 220 円45 億円 | +183.2% | +13.1% | 268 円55 億円 |
| やや悲観 | 27% | 293 円60 億円 | 83 円17 億円 | +19.5% | +2.0% | 102 円21 億円 |
| 悲観 | 16% | 244 円50 億円 | 34 円7 億円 | −11.5% | −1.3% | 45 円9 億円 |
| 加重平均 | 100% | 658 円135 億円 | 186 円38 億円 | +168.0% | +12.1% | 844 円173 億円 |
今の株価時価総額 315 円64 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% sliceが大きく成長し、購買事業も成立 利益 9 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,639 円335 億円
sliceはインドのデジタル銀行として預金と貸出を増やし、与信費用を抑えて資本収益率を高める。2028~2029年を目指す上場が実現した後、Gunosyは2036年までに持分を段階的に売却し、税引き前で約460億円を回収する。これは売却に成功する強気の想定であり、銀行の利益をGunosyの継続的な営業利益に加えてはいない。売却益は期間中の一過性の純利益として自己資本に反映し、実現利益からの追加還元も行う。
ニュースアプリはKDDIとの共同運営を失うが、予想型コンテンツや熱心な利用者向けの体験へ転換する。ゲームエイトは検索からの流入減を海外展開と購買導線で補い、広告の実現単価も維持する。SCの年間取引は130万件規模まで増え、閲覧者を高額な広告で獲得し直さず購買へ導く仕組みが育つ。
ゲーム事業では有力IPを継続して確保し、年間4本相当のタイトルが安定稼働する。新作の宣伝負担が落ち着き、連結営業利益は約14億円へ回復する。通常配当と銀行持分の売却益からの還元が進み、10年間の還元総額は100億円になる。ただし銀行の成功によって有償新株予約権の70%が行使され、旧株主の取り分は約90.2%へ薄まる。
- ニュースアプリ・国内広告:数量 20.0(年間広告表示回数(億回、非開示のため推計))× 価格 1.50(広告1表示当たりの実現売上(円、送客収入等を含む推計))→ 売上 30 億円・営業利益 7 億円。KDDI契約終了後も参加型コンテンツが一部を補い、広告表示数量は現在の80%。単価上昇は10年の物価上昇以内。
- ゲームエイト攻略メディア:数量 60.0(年間ページビュー(億PV、外部事業者公表値を起点))× 価格 0.54(1PV当たりの実現売上(円、広告・送客混合の推計))→ 売上 32 億円・営業利益 9 億円。海外と固定利用者の伸びで年間60億PVを維持。単価上昇は物価の範囲内。
- Gホールディングス・IPゲーム:数量 4.0(年間の有効稼働タイトル数(タイトル換算、推計))× 価格 6.00(有効稼働タイトル1本当たり年間売上(億円))→ 売上 24 億円・営業利益 4 億円。4本相当のIPゲームが継続稼働し、開発・広告費を吸収。
- SC・アプリ外決済と送客:数量 130(年間成立取引件数(万件、推計))× 価格 0.07(1万件当たりの実現手数料売上(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。年間130万件の購買取引を獲得。拡大理由は実決済の採用であり、AI広告制作の成長ではない。
- IR Hub・企業向け業務支援:数量 30.0(年間有料契約換算社数(社、推計))× 価格 0.01(1契約換算当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。契約数量は維持。価格上昇は物価の範囲内で、人的支援への過大な利益期待は持たない。
倍率:資本コストk=8.25%、長期名目成長率g=1%、堀は弱く超過利回りの残存割合は3分の1。売却後の余剰金融資産316億円に対応する税後利息4.424億円を平常時の純利益9億円から控除すると、事業純利益は4.576億円となる。事業用自己資本は354.15−316=38.15億円、事業ROEは約12.0%、RONICは約9.50%、正当化PERは約12.34倍であり、採用する12.13倍はその範囲内にある。slice株式の税前売却額460億円と取得簿価37億円の差に税率30%を見込み、売却益296.1億円を期間中に実現させた場合の2036年自己資本と、売却後に残る余剰資産316億円を対応させる。通常の事業利益を生む継続企業価値と売却で得た現金を一度ずつ数え、時価総額は(9−316×0.014)×12.13+316=371.50688億円とする。売却を条件にすること自体が強気の不確実性である。
確率:sliceの銀行経営が与信費用を制御しながら成長し、IPO後に高値で持分売却する必要がある。SCとIPゲームの成功も重なり、さらに新株予約権による希薄化を受ける。複数の成功条件が要るため8%に限る。
やや楽観 19% 銀行の上場価値が顕在化し、既存事業も持ち直す 利益 5 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,090 円223 億円
sliceは2028~2029年の上場目標をおおむね実現し、その後の株式売却によりGunosyは2036年までに税前約280億円を回収する。投資先の預金拡大と規制自己資本の維持には進展があるが、銀行が国内大手のような支配的地位を得るわけではない。売却益は期間中の一過性利益として自己資本に加える一方、2036年の継続的な純利益には混ぜない。評価額条件の最初の段階が達成され、一部の新株予約権が行使される。
国内ニュース広告の数量は減るが、運営体制を小さくして黒字を維持する。ゲームエイトは海外の利用者と広告収入を守り、ゲーム攻略から購買までの導線を育てる。SCの年間取引は60万件となり、事業規模はまだ小さいが収益源の一つとして根付く。
Gホールディングスは年間3本相当の有力タイトルを運営し、先行投資期から営業黒字へ転じる。連結営業利益は約6.7億円、平常時の純利益は約5億円となる。DOEに沿う配当と銀行の実現利益の一部を還元し、10年の還元は64億円とする。ただし権利行使で旧株主の取り分は約95.6%へ低下する。
- ニュースアプリ・国内広告:数量 18.0(年間広告表示回数(億回、非開示のため推計))× 価格 1.43(広告1表示当たりの実現売上(円、送客収入等を含む推計))→ 売上 26 億円・営業利益 5 億円。国内広告表示数量は28%減。単価の上昇は物価の範囲内。
- ゲームエイト攻略メディア:数量 52.0(年間ページビュー(億PV、外部事業者公表値を起点))× 価格 0.52(1PV当たりの実現売上(円、広告・送客混合の推計))→ 売上 27 億円・営業利益 6 億円。海外展開によって減少を抑え、年間52億PVを維持。
- Gホールディングス・IPゲーム:数量 3.0(年間の有効稼働タイトル数(タイトル換算、推計))× 価格 5.70(有効稼働タイトル1本当たり年間売上(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。年間3本相当が稼働し、運営の採算が改善。
- SC・アプリ外決済と送客:数量 60.0(年間成立取引件数(万件、推計))× 価格 0.06(1万件当たりの実現手数料売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。年間60万件の決済・送客に拡大。
- IR Hub・企業向け業務支援:数量 27.0(年間有料契約換算社数(社、推計))× 価格 0.01(1契約換算当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AI代替で契約数は減るが、製品の改善によって単価を一部維持。
倍率:資本コスト8.25%に対し、余剰金融資産の税後利息208×1.4%=2.912億円を除いた事業純利益は2.088億円、事業用自己資本は235.37−208=27.37億円で、事業ROEは約7.6%とkを下回る。したがってPERは1÷k=約12.12倍を上限とする。2036年までにsliceの持分を税前280億円で売却できた場合、帳簿37億円からの差益243億円の30%を税金とし、税後売却益170.1億円を期間中の累積純利益へ計上する。還元総額64億円を差し引いた期末自己資本235.37億円と余剰金融資産208億円は整合する。時価総額は(5−208×0.014)×12.12+208=233.30656億円で、投資先の銀行利益をPERへ重ねていない。
確率:sliceの上場と持分売却が進み、税後利益と還元が現金として確定する想定である。銀行の成長率、追加増資、売却タイミングとIPゲームの黒字化がそろう確率は中立より低い。
中立 30% メディアは縮むが、sliceが資産価値を支える 利益 2 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 672 円137 億円
国内ニュース広告は大きく減る。KDDIとの共同運営が終わり、AIがニュースの要約や情報検索を担うことで、広告表示回数は現在の半分弱になる。ゲームエイトも検索からの流入を失うが、海外利用者や攻略情報の更新需要が残り、ニュース事業より数量減少は小さい。広告単価の上昇も物価に追い付かず、全社メディア売上は今より縮小する。
Gホールディングスは複数の人気IPを運営し、利益率は一桁ながら黒字へ転じる。SCは年間22万件程度の取引が定着するが、巨大なアプリ外決済市場で目立ったシェアを取れない。IR HubはAIエージェント代替による契約数量の減少を受け、人的な業務支援からも大きな利益は生まれない。
sliceは銀行として預金を増やす一方、信用コストと増資の負担が成長を相殺する。2036年までに段階的な持分売却を実行できた場合の税前回収額は約170億円にとどまり、これが本筋の重要な条件となる。税引き後の売却益は期間中の自己資本に反映するが、2036年の平常時純利益に重ねない。DOE配当と売却益に基づく追加還元を合わせて45億円を株主へ払い、残る現金を守る。売却の遅延や価格悪化は下側の筋書きで見る。
- ニュースアプリ・国内広告:数量 12.0(年間広告表示回数(億回、非開示のため推計))× 価格 1.28(広告1表示当たりの実現売上(円、送客収入等を含む推計))→ 売上 15 億円・営業利益 4 億円。広告表示回数は現在の48%。KDDI契約終了、利用者減少、AIによる要約で流入減。
- ゲームエイト攻略メディア:数量 44.0(年間ページビュー(億PV、外部事業者公表値を起点))× 価格 0.51(1PV当たりの実現売上(円、広告・送客混合の推計))→ 売上 22 億円・営業利益 6 億円。年間PVは現在の73%。単価上昇も10年間の物価上昇を下回る。
- Gホールディングス・IPゲーム:数量 2.6(年間の有効稼働タイトル数(タイトル換算、推計))× 価格 5.10(有効稼働タイトル1本当たり年間売上(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。新作は増えるが、IP使用料と広告費が利益率を制限する。
- SC・アプリ外決済と送客:数量 22.0(年間成立取引件数(万件、推計))× 価格 0.06(1万件当たりの実現手数料売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。実決済の採用により取引件数が増えるが、対象市場の1%にも届かない小規模事業。
- IR Hub・企業向け業務支援:数量 24.0(年間有料契約換算社数(社、推計))× 価格 0.01(1契約換算当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の席課金型として契約数量0.8倍、単価1.1倍。人的な業務支援の収益拡大は先取りしない。
倍率:資本コストk=8.25%に対し、余剰金融資産132億円の税後利息1.848億円を除いた事業純利益は0.452億円、事業用自己資本は154.03−132=22.03億円で、事業ROEは約2.1%にとどまる。再投資で超過利益を生まないため、正当化PERは1÷k=約12.12倍を上限とする。slice持分を2036年までに税前170億円で売却した場合の取得原価37億円との差133億円に税率30%を適用し、実現税後利益93.1億円を期間中の累積純利益へ含める。将来の余剰金融資産132億円は銀行株式の売却代金、既存現金、その他の金融資産から、実際の還元45億円と必要な運転資金を控除した想定である。2036年の平常時純利益2.3億円に一時売却益は含めない。時価総額は(2.3−132×0.014)×12.12+132=137.47824億円で、銀行株式の資産価値を二重計上しない。
確率:KDDI契約終了とニュース広告縮小を既に中立の数量に織り込み、sliceの段階売却に成功して税後利益を一部還元できる想定である。下に寄せる理由:投資先は銀行規制による資本増強と与信費用を負担し、Gunosyは少数持分の売却時期を制御できない。広告へのAI影響は各筋書きの数量と長期成長率に織り込み、確率には重ねない。
やや悲観 27% 広告の競争力が失われ、銀行資産に依存する 利益 −4 億円 · PBR 1.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 293 円60 億円
ニュースアプリはKDDIとの提携終了を補えず、利用者の時間がSNSやAIの回答画面へ移る。国内広告表示は大きく減り、残った広告単価も弱含む。ゲームエイトの国内攻略記事は検索流入を失い、海外の成長も鈍る。ゲーム攻略という需要はなくならないが、その収益を検索広告だけで回収する仕組みは弱くなる。
ゲーム運営は新作を出しても広告費と版権料を十分に回収できず、収益は不安定になる。SCは一部タイトルへ導入されるものの、Apple、Google、ゲーム会社自身の課金経路と競争し、大きな手数料市場を取れない。IR Hubの翻訳や定型開示も汎用AIに置き換わり、新規事業全体の赤字は残る。
slice自体は銀行として存続する。2036年のGunosy持分には税前約135億円の価値があるとみるが、銀行株式を十分に現金化できないまま、既存事業の損失が続く。連結営業利益は赤字となり、会社の時価総額は銀行持分の回収可能額と残存金融資産を中心に評価される。配当は前半に続くものの、後半には縮小する。
- ニュースアプリ・国内広告:数量 8.0(年間広告表示回数(億回、非開示のため推計))× 価格 1.20(広告1表示当たりの実現売上(円、送客収入等を含む推計))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。広告表示数量は現在の32%。再投資を削っても固定費負担が残る。
- ゲームエイト攻略メディア:数量 30.0(年間ページビュー(億PV、外部事業者公表値を起点))× 価格 0.47(1PV当たりの実現売上(円、広告・送客混合の推計))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。年間PVは半減。AI回答と競合媒体が検索流入を奪う。
- Gホールディングス・IPゲーム:数量 1.5(年間の有効稼働タイトル数(タイトル換算、推計))× 価格 4.80(有効稼働タイトル1本当たり年間売上(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。稼働タイトルが減り、版権料と固定費を回収できない。
- SC・アプリ外決済と送客:数量 5.0(年間成立取引件数(万件、推計))× 価格 0.05(1万件当たりの実現手数料売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。独自決済の採用が限定的で、販促費を回収できない。
- IR Hub・企業向け業務支援:数量 20.0(年間有料契約換算社数(社、推計))× 価格 0.01(1契約換算当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。席課金と人的支援がAIエージェントに代替される。
倍率:連結純利益が赤字なのでPERによる持続利益の評価を採らず、現在の回収可能資産を基準とした資産型の評価を採用する。equity_oku50億円は将来の利益を積み上げた大きな自己資本ではなく、現在の純現金と売れる投資資産から構成する税後の保守的な資産床である。PBR1.2で60億円とし、銀行株式が床を上回る価値を残す部分のみを評価する。確認として、事業の純利益-4億円に低ROE企業の上限PER1÷8.25%を掛け、10年後の余裕資産118億円を加えた額は約69.5億円であり、60億円はこれを超えない。中立の換算PBRよりも低い。現在の自己資本約106.5億円に対する換算PBRは60÷106.5=約0.56倍であり、中立の137.48÷154.03=約0.89倍を下回る。表示上の1.2倍は床として特定した50億円に対する倍率である。
確率:下に寄せる理由:ニュースアプリの利用者減少とKDDI提携終了が既に進み、ゲーム攻略の検索流入もAIの回答によって失われやすい。銀行の価値が一定程度残っても、それを事業損失と株主還元で消費する経路が現実的である。AIの数量縮小は個別の筋書きに含め、同じ減少率を確率へ機械的に重ねていない。
悲観 16% 媒体価値が崩れ、sliceも回収難に陥る 利益 −7 億円 · PBR 1.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 244 円50 億円
AIによる情報要約が普及し、ゲーム攻略記事やニュース記事を直接読む習慣が細る。ゲームエイトの強みだった検索流入も大幅に減り、広告単価の競争が激しくなる。ニュースアプリは小さな残存顧客向けのサービスになり、広告収入だけで全社の管理費を支えられない。
Gホールディングスのゲームは新作が定着せず、版権料、開発費、宣伝費の負担が続く。SCはアプリ外決済市場に参入するものの、ゲーム会社による直販と大手決済サービスに押される。企業向けのIR HubとCORPATHも、AIエージェントの標準機能に置き換えられて顧客から十分な対価を取れない。
sliceでは貸出の延滞と与信費用が増え、必要な増資も重なる。Gunosy保有株式の価値は低下し、上場しても投資家が期待した価格では売却できない。長期の営業損失で現金を取り崩し、配当は早い段階で縮小する。ただし、現時点の資金と処分可能な投資資産から一定の残余を回収できるとみて、株主価値をゼロにはしない。この時点では優良な媒体企業としての地位は失われている。
- ニュースアプリ・国内広告:数量 7.5(年間広告表示回数(億回、非開示のため推計))× 価格 0.95(広告1表示当たりの実現売上(円、送客収入等を含む推計))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。現在の広告表示数量の30%、単価も低下し、利益はほぼ消える。
- ゲームエイト攻略メディア:数量 25.0(年間ページビュー(億PV、外部事業者公表値を起点))× 価格 0.44(1PV当たりの実現売上(円、広告・送客混合の推計))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。検索流入と広告収入が減り、攻略情報の更新負担が残る。
- Gホールディングス・IPゲーム:数量 1.1(年間の有効稼働タイトル数(タイトル換算、推計))× 価格 4.70(有効稼働タイトル1本当たり年間売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 −1 億円。版権取得と新作開発が十分に回収されない。
- SC・アプリ外決済と送客:数量 2.4(年間成立取引件数(万件、推計))× 価格 0.04(1万件当たりの実現手数料売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。決済取引の拡大に失敗し、単価も下落する。
- IR Hub・企業向け業務支援:数量 15.0(年間有料契約換算社数(社、推計))× 価格 0.01(1契約換算当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AIエージェントが資料翻訳と定型作業を代替し、数量も単価も縮小する。
倍率:継続的な営業赤字では利益に正のPERを掛けて価値を出すことができない。資産の売却可能額だけを評価し、現在の純現金と売れる投資資産の税後・費用後の床50億円に対応する評価用自己資本50億円へPBR1倍を掛ける。これは将来の累積利益から膨らませた自己資本ではない。営業損失を放置した会社に高いPBRを認めたのではなく、投資資産の残余価値による床を採用した。銀行の流動化に失敗しても会社の継続と一部資産の換金は可能という前提であり、倒産の場合の最低回収を保証するものではない。現在の自己資本約106.5億円に対する換算PBRは50÷106.5=約0.47倍であり、中立の約0.89倍より低い。表示上の1.0倍は現在回収できると仮定した資産床50億円に対するものである。
確率:検索広告の構造的縮小に加え、IPゲームへの投資損失とインド銀行の信用コスト上昇が重なる筋書きである。媒体事業には戻りにくい構造変化があり、銀行株式も流動性の低い少数持分なので無視できない確率を与えた。ただし現時点では多額の純負債や継続企業の前提に関する注記はないため、倒産に近い筋書きとは区別する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ニュースアプリ・国内広告
グノシー、ニュースライト、auサービスTodayなどの広告・送客収入。KDDIとの共同運営は2027年3月で終了予定。
| 数量年間広告表示回数(億回、非開示のため推計) | 価格広告1表示当たりの実現売上(円、送客収入等を含む推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 25.0 | 1.20 | 30 | 6 |
| 10 年後 中立 | 12.0 | 1.28 | 15 | 4 |
取り方:会社の2026年5月期メディア売上54.70億円から、ゲームエイト分の推定24.70億円を引いた30.00億円を国内ニュース等の暫定売上とした。会社の過去の四半期別Gunosy Adsとゲームエイトの売上構成を参考にした推定であり、事業別の公式年次売上ではない。実広告表示回数と単価は非開示のため、25億回×1回1.2円という数量・価格の代理変数に分解した。2026年5月期のKDDI向け全社売上7.64億円は別途確認でき、2027年3月の共同運営終了を将来数量に織り込んだ。AIエージェント代替の分類は『自社の媒体・プラットフォームの広告枠』である。
ゲームエイト攻略メディア
ゲーム攻略情報の国内外メディア。広告表示と広告主への送客で稼ぐ。購買手数料を得るSC事業とは分ける。
| 数量年間ページビュー(億PV、外部事業者公表値を起点) | 価格1PV当たりの実現売上(円、広告・送客混合の推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 60.0 | 0.41 | 25 | 5 |
| 10 年後 中立 | 44.0 | 0.51 | 22 | 6 |
取り方:2025年9月の認証基盤提供会社Authleteの導入事例は、ゲームエイトの規模を月間5億PV、4,200万UUと説明している。PVを12倍し年間約60億PVとした。ゲームエイト単体の2026年5月期売上とPV単価は直接開示されていないため、過去の四半期売上構成から24.70億円を仮配賦し、1PV約0.412円を逆算した。これは実際の広告RPMを測定した数字ではなく、海外売上や手数料を含む売上換算単価である。AIエージェント代替の分類は『自社媒体の広告枠』であり、中立では検索・AI回答による流入減を数量に織り込む。
Gホールディングス・IPゲーム
ハイキュー!!、弱虫ペダルなどの版権を使ったスマートフォンゲームの企画、運営、ライセンス。
| 数量年間の有効稼働タイトル数(タイトル換算、推計) | 価格有効稼働タイトル1本当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 2.0 | 4.72 | 9 | −2 |
| 10 年後 中立 | 2.6 | 5.10 | 13 | 1 |
取り方:2026年5月期のGホールディングス事業売上9.44億円、営業損失2.12億円は会社開示を採用した。個別ゲームの課金者数、ライセンス料率、年間売上が未開示のため、既存タイトルの稼働を2本相当とした分析上の数量代理変数を置き、1本当たり4.72億円とした。タイトル換算は実際の発売本数や課金者数の開示ではなく、新作と既存作の収益寄与を合わせて比較するための単位である。実際の利益は広告宣伝費、版権料、運営費で大きく変わる。ゲーム自体はAIによる人月・席課金の直接代替型には当たらない。
SC・アプリ外決済と送客
ゲームエイトの訪問者をアプリ外の購買へ誘導し、決済・送客の手数料を得る新規事業。
| 数量年間成立取引件数(万件、推計) | 価格1万件当たりの実現手数料売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 2.4 | 0.05 | 0 | −1 |
| 10 年後 中立 | 22.0 | 0.06 | 1 | 0 |
取り方:新規事業の2026年5月期売上約0.30億円をSCとIR Hub等に分けた公式金額は非開示である。SCへ0.12億円、IR Hub等へ0.18億円を暫定配分した。SCの取引件数とテイクレートも非開示なので、年間2万4,000件、1件当たり手数料500円という実証待ちの仮定であり、確定実績として扱わない。会社はスマホソフトウェア競争促進法の全面施行後、有名IPタイトルへの導入を説明している。分類は実取引型のプラットフォームで、AIによる広告制作・運用や席課金の直接代替とは区別した。
IR Hub・企業向け業務支援
上場企業の開示資料の翻訳、検索、作成支援。新たなCORPATHは管理部門のAI活用を支援する。
| 数量年間有料契約換算社数(社、推計) | 価格1契約換算当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 30.0 | 0.01 | 0 | −1 |
| 10 年後 中立 | 24.0 | 0.01 | 0 | 0 |
取り方:2026年5月期新規事業約0.30億円から、SCの暫定0.12億円を除いた0.18億円をIR Hubなどへ配分した。会社は2027年5月期第1四半期の累計契約社数が前年同期の約4倍と説明するが、実数は示していない。したがって30社×年60万円は公式の顧客数・料金ではなく、数量と単価を分離するための仮定である。CORPATHは2026年9月に正式提供を開始したため、2026年5月期の売上へ遡及計上しない。AIエージェント代替ではIR Hubを『席課金・操作画面の業務SaaS』、CORPATHの人的支援を『人月・工数』に分類する。中立のIR契約数量は0.8倍、契約単価は1.1倍であり、人的支援の事務工数は0.55~0.75倍の範囲を基本とし、新たな収益寄与を先取りしない。
リスクと懸念
AIエージェント代替と検索流入の減少
ニュースアプリとゲーム攻略情報は、利用者が文章を読み、広告を見る行動から収入を得る。生成AIが検索結果や質問への回答を完結させれば、情報への需要が残っても媒体への訪問は減る。IR Hubの翻訳・開示作業やCORPATHの人的支援も代替対象になる。影響は将来の広告表示数量、契約数、実現単価と長期成長率に反映した。同じ理由を資本コストの寿命や確率へ機械的に重ねていない。
KDDIとの提携解消
KDDI向けの2026年5月期売上は約7.64億円で、全社の約12%を占めた。auサービスTodayの共同運営契約は2027年3月末で終了する予定である。会社の2027年5月期予想には減収影響が織り込まれているが、2028年5月期以降は通期での事業規模縮小と固定費の吸収が課題になる。業務提携終了後に残る媒体だけで利益を生めるかが重要である。
sliceの与信費用と追加増資
sliceは成長するインド銀行市場へ参入したが、預金と貸出を増やすだけでは株主利益にならない。与信費用、顧客獲得費、規制自己資本の必要額が増えれば、既存株式の価値と保有比率は薄まる。2026年に報じられた資金調達時の企業評価額は過去の高値から大きく低下しており、銀行化が常に高い市場評価をもたらすわけではない。
未上場株式の流動性と評価額
Gunosyはsliceの約12%を持つが、支配株主ではない。IPOは2028~2029年を目標とするもので、実現の約束ではない。仮に上場して市場価格が付いても、大口の少数持分を一度に売れるとは限らない。銀行株式の時価評価、売却税、ロックアップ、追加出資の可能性を無視すると、帳簿上の資産と既存株主が受け取れる現金を取り違える。上側3筋書きで2036年までに売却するのは将来仮定であり、会社が全持分の処分や税後回収額を約束したわけではない。
新株予約権による成功時の希薄化
2026年発行の有償新株予約権は最大316.2万株で、sliceの評価額に複数の期限付き条件を設けている。銀行価値が大幅に上昇したときほど、経営者らに新株取得の権利が生じる。払込金は会社へ入るものの、既存株主の取り分は減少する。資産価値の上昇だけを株価へ反映し、希薄化を考慮しない計算は過大評価になる。
IPゲームへの買収資金と広告費の投入
Gホールディングスは有力な版権を扱うが、利用者の定着と課金はゲームごとに大きく異なる。新作が不調でも開発費と版権料は戻らず、発売時の広告宣伝費も利益を圧迫する。2026年5月期に既に営業損失を計上しているため、単に発売本数が増えることを成長と見なせない。投下資本に対する利益が資本コストを超えない買収の追加は、現金の安全域を損なう。
低ROEのまま続く資本還元
DOEを基準に配当する場合、当期純利益が少なくても一定の現金が社外へ出る。過去のROEは低く、投資利益が現金で戻る時期も確定していない。企業の存続に十分な現預金があることと、同じ金額を全て株主に配れることは別である。純現金の減少、新規事業の先行損失、投資先の増資への対応が重なれば、還元方針は将来変更を迫られる可能性がある。
今後の分かれ目
- sliceが2028~2029年に上場し、Gunosyの保有比率と売却可能時期が確認できたら
- 銀行持分の税後回収可能額と売却時期を実測に置き換える。上場価格だけでなく増資、ロックアップ、支配株主との条件を確認し、実際に売却益が計上されれば期間中の自己資本と株主還元を同じ範囲で改める。
- sliceの預金は増えても不良債権比率や与信費用が継続して上昇したら
- 銀行持分の長期価値を引き下げる。貸出額ではなく、信用費用控除後の利益と自己資本増加率で評価を修正し、やや悲観と悲観の確率を上げる。
- KDDI提携終了後も国内メディアの営業利益が安定して残ったら
- ニュースアプリの残存広告表示回数と固定費削減の実績を確認する。黒字が広告単価の一時回復でなく持続的なコスト構造によるものであれば、中立の営業利益を上方修正する。
- ゲームエイトの検索流入や年間PVが想定を大きく下回ったら
- AIエージェント代替による数量減少が想定より早いと判断する。ゲームエイトの媒体収入とSCへの送客可能件数を同時に下げ、銀行資産に依存する度合いを高く見積もる。
- SCの年間成立取引件数と1件当たり純手数料が開示され、広告費を上回る限界利益が確認できたら
- 単なる市場規模の期待ではなく、取引件数と実現単価から新規事業の成長を再計算する。ゲーム攻略媒体との相互送客による顧客獲得費の優位が確認できれば、SC事業の利益率を引き上げる。
- Gホールディングスで新作の売上は伸びても継続的な赤字が続いたら
- 発売タイトル数の増加を利益成長の根拠に使わず、ライセンス料と販促費を含む増分ROICを引き下げる。追加M&Aを予定するなら必要な現金を余剰資産から控除する。
- sliceの条件付き新株予約権が行使可能となり実際に行使されたら
- 行使された株数だけ既存株主の取り分を引き下げ、会社が受け取る行使代金を資産に加える。銀行の評価額条件を満たしたこと自体を、無条件の株主価値上昇とは解釈しない。
見ておくもの
- sliceの四半期預金額、貸出残高、純利益、不良債権比率、自己資本規制比率
- sliceのIPO申請、追加資金調達の価格、Gunosyの完全希薄化後保有比率
- slice株式の売却・評価替え・現金配当とGunosy株主への還元額
- ニュースアプリのMAU、広告表示回数、実現広告単価とKDDI契約終了後の売上
- ゲームエイトの国内外PV、検索流入依存度、広告売上とSCへの送客件数
- SCの成立取引件数、取扱高、手数料率、広告・決済費用控除後利益
- Gホールディングスのタイトル別売上、宣伝費、IPライセンス料と増分ROIC
- IR Hubの実契約社数、解約率、平均契約単価とCORPATHの人的稼働時間
- 現預金、投資有価証券、DOE、自社株取得額、条件付き新株予約権の行使状況
倍率と資本コストの決め方
現在時価総額から銀行の売却額や利益倍率を逆算していない。媒体は広告回数×単価、ゲームは稼働タイトル数×売上、SCは決済件数×手数料で積み上げ、AIエージェント代替は数量・単価と長期成長率にのみ反映した。
上側3筋書きではsliceを2036年までに売却すると明示し、取得簿価37億円との差益に税率30%を適用した実現益を、期間中の累積純利益と自己資本に計上した。自己資本は順に354.15、235.37、154.03億円となり、最終余剰金融資産316、208、132億円はいずれもその90%以下である。将来の平常時純利益に売却益を再計上していない。
下側は今売れる資産の税後価値50億円を床とし、現在の自己資本に対する換算PBRは中立より低い。倍率は資本コストと継続事業のROEから決め、過去や同業の市場倍率を使っていない。還元は共通の5年目受領近似であり、実際の売却遅延は価値を押し下げる。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%、株式リスクプレミアム4.5%、事業の品質調整+0.75%を合計した資本コスト8.25%。株価のβと時価総額の小ささは上乗せしない。純現金があり継続企業の前提に疑義はないため、経営危機の特別上乗せも行わない。
同じ業種(サービス業)の AI 分析
読んだ資料
- Gunosy 2027年5月期第1四半期決算説明資料(2026年10月14日、3事業の業績、slice、KDDI、株主還元)
- Gunosy 2026年5月期有価証券報告書全文(連結業績、メディア、ゲーム、主要取引先、投資資産)
- Gunosy 有償新株予約権発行のお知らせ(2026年8月、slice評価額条件と潜在株式数)
- Moneycontrol:sliceの2026年9月資金調達と約4億5,000万ドルの評価額に関する報道
- Authlete:Game8の共通ID導入事例と月間PV・UUの公表値
- 電通:2025年日本の広告費
- Ujjivan Small Finance Bank:2026年3月期の預金額と銀行事業の規模