結論
ダイサンは大阪の足場の会社だ。戸建て住宅の外壁を塗る時に組む「ビケ足場」を設計し、組み、売る。筆者の結論は「割高寄り」。足場の仕事そのものは消えないが、人手と値段の綱引きで利益が薄く、自己資本利益率(ROE)が長く資本コストを下回っているからだ。
2026 年 4 月期は売上 111 億円に対し、営業利益は 3 億円弱にとどまった。中期計画は 2029 年 4 月期に営業利益 10 億円を掲げるが、前の計画も同じ 10 億円を掲げて 1 億円に届かなかった。
明るい材料は二つある。住宅のリフォームと塗り替えの需要は新築ほど減らない。シンガポールのプラント保守は伸びている。それでも、今の値段は帳簿の 6 割と安く見えるが、稼ぐ力から見るとまだ高い。
帳簿の 6 割という安さは、利益が資本コストに届かない会社では割安の印にならない。帳簿に積んだ利益 1 億円が、市場では 1 億円の値打ちを持たないからだ。筆者は、値上げが元請けに通ると数字で示されるまでは、今の値段に安全域は無いと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ダイサンは「必要とされるが、儲からない」事業に見える。足場は家を直すたびに要り、仕事が消えることはない。しかし値段を決めるのは元請けで、職人の賃金が上がるたびに利幅が削られる。
オーナーとしての利益は、純利益の 2〜3 億円から資材と拠点の更新に要る投資を引いた残りで、配当を払うとほとんど残らない。今の値段は帳簿の 6 割だが、ROE が 4〜5% の会社の帳簿は額面どおりの価値を持たない。
筆者が持ち続けたいと思う条件は一つだ。人手不足が足場の値段を押し上げ、ダイサンがそれを元請けに渡せると数字で示すこと。中期計画の 10 億円に近づけば見方を変える。
もう一つの道は、溜めた現金と自社株の使い方だ。発行済みの 16% にあたる自社株を消し、配当を厚くすれば、低い ROE でも株主の取り分は増える。創業家が株を固めている今の形では、その動きは期待しにくい。
何で稼ぐ会社か
売上の 3 分の 2 は国内の足場の施工だ。ハウスメーカーや塗装会社から、住宅の新築や外壁の塗り替えのたびに足場の設計と組み立てを請け負う。自社の職人に加え、協力会社の施工も束ねる。1 棟あたりの単価は小さく、件数を積む商売だ。
1 割強は足場の資材の製造と販売、レンタルだ。ビケ足場の資材と、次世代の足場「レボルト」を同業の施工会社に売り、貸す。資材の値上がりで、買うより借りる需要が増えている。
残る 2 割強がシンガポールの海外事業だ。2019 年に買った Mirador グループが、石油化学プラントの保守で足場と保温、電気の工事を請け負う。2026 年 4 月には配管工事の Penguin 社も買い、プラントの保守を広げている。利幅は国内より厚い。
どの事業も、利益は職人を何人確保できるかで決まる。人手が足りなければ仕事を断り、人を増やせば固定費が膨らむ。
決算の年度は 4 月 20 日で締める珍しい形で、2026 年 4 月期の売上は 111 億円、営業利益は 3 億円弱だった。2027 年 4 月期は売上 120 億円を見込むが、買収と人の手当てで利益はほぼ横ばいの見通しだ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは薄い。ビケ足場は業界で広く使われる形式で、ダイサンの専売ではない。住宅の足場は地場の施工会社が無数にあり、元請けのハウスメーカーに値段を決められやすい。
強みを挙げるなら、関西を中心とした施工の網と、職人を育てる仕組みだ。外国人の技能人材を早くから受け入れ、足場の技能講習も外に提供している。人手が足りない時代に、職人を抱えていること自体が一つの資産になる。
資本効率は低い。ROE は 2020 年以降、6% を超えた年がない。会社自身が株主資本コストを 2〜4% と見積もっているが、筆者はこれを低すぎると見る。目標と実績の差も大きく、資本の使い方への信頼はまだ積み上がっていない。
財務は堅い。自己資本比率は 56% で、借金とほぼ同じだけの現金を持つ。ただ、堅い財務は谷を越える力にはなっても、稼ぐ力の代わりにはならない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
足場の需要は、建物を建てる時と直す時の二つから生まれる。新築の住宅は人口と世帯の減少で細り、着工は 10 年で 2 割ほど減るとみる。一方で、築 20〜30 年の家の外壁や屋根の塗り替えは、空き家が増えても底堅い。住宅の足場の件数は、新築の細りを塗り替えが半分ほど埋める形で、ゆっくり減っていく。
値段は人手で決まる。足場の職人は高齢化し、若い人が入ってこない。人件費が物価より速く上がり、足場の単価もそれに引っ張られて上がる。ただ、元請けのハウスメーカーは値上げを渋り、上がった人件費を全部は渡してくれない。2022〜2023 年にダイサンが値上げ交渉で想定を下回り、赤字に沈んだのはこのためだ。
資材の面では、安全の規制が強まり、手すりの先行設置ができる新しい足場への切り替えが進む。レボルトのような次世代の足場は、レンタルで広がる余地がある。
シンガポールのプラント保守は、石油化学の設備が古くなるほど仕事が増える。外国人労働者の受け入れ枠と賃金が利益を左右する。競合は現地の中小の工事会社が多く、日系の顧客をつかめるかが分かれ目になる。
資本政策と M&A
配当は配当性向 30% か、自己資本に対する配当の率(DOE)2% の高い方を下限とする。利益が細っても配当が自己資本の 2% は出る仕組みで、年 1.4 億円ほどを払う。発行済みの株の 16% を自社株で持つが、消却はしていない。
大株主は創業家の資産会社の和顔で 18.5%、ほかに創業家の個人、取引先と従業員の持株会が並ぶ。安定株主が半分近くを握り、外の株主の声は届きにくい。
成長の手段はシンガポールの買収だ。Mirador は育ちつつあるが、買ってから利益が出るまで 5 年かかった。Penguin 社の買収額は 2.5 億円と小さく、大きな賭けはしていない点は評価できる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
人手不足は足場の会社の味方になる。職人がいなければ家の塗り替えも直しもできない。職人を抱える会社に仕事が集まり、値段は上がる。ダイサンは外国人の技能人材を早くから育て、施工の網を持っている。
塗り替えの需要は、築年数の古い家が増えるほど厚くなる。新築が減っても、足場の件数はそれほど減らない。レボルトのレンタルも、資材を買えない中小の施工会社に広がる。
シンガポールは利幅が厚く、Penguin 社の買収で配管まで請け負えるようになった。プラントの保守は景気に左右されにくい。中期計画の営業利益 10 億円に近づけば、ROE は 8% を超え、今の値段は安く見える。
財務も堅い。借金とほぼ同じだけの現金を持ち、谷が来ても配当を続けられる。自己資本の 6 割という値段は、事業がこのまま続くだけでも低すぎる、という見方もできる。創業家にとっても、配当と自社株の扱いを変えれば値段はすぐ動く。その一手で、低い ROE の見え方も変わる。
慎重な見方
前の中期計画は営業利益 10 億円を掲げて 1 億円に届かなかった。同じ数字をまた掲げても、信じる理由は乏しい。2026 年 4 月期も会社の見通しを 3 割下回り、2027 年 4 月期の 1 四半期目は赤字だった。
人手不足は両刃の剣だ。職人の賃金が上がっても、元請けのハウスメーカーは値上げを全部は受け入れない。2022〜2023 年の赤字はまさにこれで起きた。人を増やせば固定費が重くなり、仕事が減った時に赤字が深くなる。
新築の住宅は細り続ける。海外はシンガポールの石油化学に偏り、外国人労働者の規制と賃金に振られる。ROE は資本コストに届かず、創業家と持株会が株を固めているので、外から資本の使い方を変える力も働かない。
帳簿の 6 割という値段も安くはない。ROE が 4% の会社なら、帳簿の半分ほどが正しい値段になる。財務の堅さは、稼がない資本が眠っていることの裏返しでもある。眠った資本は、株主にとっては値打ちが低い。
どちらに重みを置いたか
数字の裏づけは慎重な見方の方が強い。計画の未達が続き、ROE は長く資本コストを下回っている。人手不足が値上げにつながる筋も理屈では通るが、元請けへの値上げが通った実績はまだ乏しい。確率は中立を 4 割とし、やや悲観をやや楽観と同じ重さに置いた。楽観は、前の計画の大きな未達を踏まえて 1 割未満にとどめた。海外の伸びは本物なので、悲観は 1 割強に抑えた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/04 期)
確率で加重した株価時価総額 669 円43 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 195 円12 億円)。 今の値に割り戻すと 451 円29 億円、今との差 −17.2%、 期待の年率 +4.7%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,567 円101 億円 | 265 円17 億円 | +236.2% | +12.9% | 147 円9 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,026 円66 億円 | 234 円15 億円 | +131.2% | +8.7% | 252 円16 億円 |
| 中立 | 40% | 624 円40 億円 | 203 円13 億円 | +51.6% | +4.3% | 331 円21 億円 |
| やや悲観 | 20% | 310 円20 億円 | 172 円11 億円 | −11.6% | −1.2% | 96 円6 億円 |
| 悲観 | 12% | 221 円14 億円 | 94 円6 億円 | −42.2% | −5.3% | 38 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 669 円43 億円 | 195 円12 億円 | +58.4% | +4.7% | 863 円55 億円 |
今の株価時価総額 545 円35 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 人手不足が値段を押し上げ、計画に届く 利益 8 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 1,567 円101 億円
足場の職人の不足が深まり、住宅の塗り替えも直しも職人を抱える会社に集まる。ダイサンは外国人の技能人材を職長に育て、施工の網を広げる。値上げが元請けに通り、1 棟の単価は物価より 1 割近く速く上がる。
レボルトのレンタルは中小の施工会社に広がり、資材の出荷は 4 割増える。シンガポールは Penguin 社と合わせて配管から足場まで一括で請け負い、作業員は 400 人を超える。営業利益は中期計画の 10 億円を超え、ROE は 8% に届く。自社株の消却と配当の上乗せも進み、株主の取り分は今の 3 倍近くになる。
- 足場の施工(国内):数量 3.8(施工棟数(万棟・推定))× 価格 29(1 棟あたりの施工単価(万円))→ 売上 111 億円・営業利益 8 億円。3.83 万棟 × 28.9 万円(物価 1.34 倍 × 値上げ 1.08)、利益率 7%
- 足場資材の製造・販売・レンタル:数量 0.6(資材の出荷(万トン・推定))× 価格 42(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 23 億円・営業利益 2 億円。0.55 万トン × 41.8 万円、利益率 7%
- 海外(シンガポールのプラント保守):数量 420(現場の作業員(人・推定))× 価格 0.13(1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 56 億円・営業利益 4 億円。420 人 × 1,340 万円、利益率 7%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.4 倍。全体の PER 13.4 倍、時価総額 100 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:前の計画が大きく外れた会社で、値上げと海外の両方が当たる必要があるので 1 割未満。
やや楽観 20% 塗り替えと海外が支え、利益は倍に 利益 5 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 1,026 円66 億円
新築の足場は減るが、塗り替えが件数を支え、棟数は今と同じ水準を保つ。値上げは人件費の伸びを少し上回る分だけ通り、1 棟の単価は物価より 4% 速く上がる。
レボルトのレンタルが少しずつ広がり、資材の売上は 1.7 倍になる。シンガポールは作業員を 380 人に増やし、利幅 6% を保つ。営業利益は 7 億円台と今の 2 倍半に増えるが、ROE は 6% 台で資本コストにはまだ届かない。それでも、配当は今の倍近くまで増え、帳簿の 7 割前後の値段は保てる。中期計画の半分ほどに届く姿で、経営の言葉が少し信じられるようになる。
- 足場の施工(国内):数量 3.7(施工棟数(万棟・推定))× 価格 28(1 棟あたりの施工単価(万円))→ 売上 102 億円・営業利益 6 億円。3.65 万棟 × 27.9 万円、利益率 5.5%
- 足場資材の製造・販売・レンタル:数量 0.5(資材の出荷(万トン・推定))× 価格 40(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。0.5 万トン × 40.2 万円、利益率 5%
- 海外(シンガポールのプラント保守):数量 380(現場の作業員(人・推定))× 価格 0.13(1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 51 億円・営業利益 3 億円。380 人 × 1,340 万円、利益率 6%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 66 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:人手不足による値上げは一部で通り始めており、海外も伸びている。計画の半分ほどに届く姿は無理がない。
中立 40% 件数は細り、利益は薄いまま 利益 3 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 624 円40 億円
新築の着工は 10 年で 2 割減り、塗り替えがその半分を埋める。施工の棟数は 5% 減る。職人の賃金は上がり、単価も物価並みに上がるが、利幅は 4% にとどまる。
資材の売上はレンタルの広がりで 1 割増える。シンガポールは Penguin 社を合わせて作業員を 330 人に増やし、利幅 5% を保つ。営業利益は 4〜5 億円で、ROE は 4% 台にとどまる。配当は自己資本の 2% を払い続け、帳簿は少しずつ厚くなるが、株主の取り分はあまり増えない。会社は小さく堅い足場の会社として続くが、資本コストに届く年はほとんど来ない。
- 足場の施工(国内):数量 3.5(施工棟数(万棟・推定))× 価格 27(1 棟あたりの施工単価(万円))→ 売上 93 億円・営業利益 4 億円。3.47 万棟 × 26.8 万円(物価 1.34 倍)、利益率 4%
- 足場資材の製造・販売・レンタル:数量 0.4(資材の出荷(万トン・推定))× 価格 40(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。0.44 万トン × 40.2 万円、利益率 4%
- 海外(シンガポールのプラント保守):数量 330(現場の作業員(人・推定))× 価格 0.13(1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 44 億円・営業利益 2 億円。330 人 × 1,340 万円、利益率 5%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 40 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新築の細りと塗り替えの底堅さが打ち消し、値上げは人件費の上昇で消える。過去 10 年の姿の延長で、いちばん起こりやすい。
やや悲観 20% 値上げが通らず、利益が消える 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 310 円20 億円
職人の賃金は上がり続けるが、元請けのハウスメーカーは値上げを受け入れない。新築の減りも速く、施工の棟数は 15% 減る。人を抱えたまま件数が減り、国内の施工の利幅は 2% に落ちる。
資材は同業の安値に押され、レンタルも伸びない。シンガポールは石油化学の設備投資が冷え、利幅 2.5% に沈む。営業利益はほぼ 0 で、配当は自己資本の 2% を守るのがやっとだ。帳簿の価値は残るが、稼ぐ力はほとんど無い。2022〜2023 年の赤字の年が、形を変えて何年も続く姿だ。創業家と持株会が株を固めたまま、現金は事業の穴埋めに使われていく。
- 足場の施工(国内):数量 3.1(施工棟数(万棟・推定))× 価格 27(1 棟あたりの施工単価(万円))→ 売上 83 億円・営業利益 2 億円。3.10 万棟 × 26.8 万円、利益率 2%
- 足場資材の製造・販売・レンタル:数量 0.4(資材の出荷(万トン・推定))× 価格 38(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。0.38 万トン × 38.2 万円、利益率 1%
- 海外(シンガポールのプラント保守):数量 260(現場の作業員(人・推定))× 価格 0.13(1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 34 億円・営業利益 1 億円。260 人 × 1,300 万円、利益率 2.5%
倍率:稼ぐ力(純利益÷k)は 4 億円ほどしかない。床は売れる資産で、今の自己資本 57 億円の 0.35 倍の 20 億円。現金と売掛金から借金を引いた残りと、足場の資材を同業に売った値段が目安。中立の PBR 0.43 倍より低い。
確率:2022〜2023 年に同じ形で赤字に沈んだ実績があり、確からしさは低くない。
悲観 12% 職人が集まらず、事業が縮む 利益 −3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 221 円14 億円
若い職人がまったく入らず、外国人の技能人材も賃金の高い国へ流れる。ダイサンは仕事を断るしかなく、施工の棟数は 3 割減る。元請けは値上げを受け入れず、自社で足場を組む会社も出てくる。国内の施工は赤字に沈む。
資材の販売は同業の在庫処分に押され、シンガポールも保守の予算が絞られる。営業利益は赤字が続き、配当は減らす。拠点を売り、資材を手放して縮むしかなく、価値は今の自己資本の 4 分の 1 ほどになる。足場の仕事は残っても、それを担うのは別の会社だ。仕事は大手の足場会社や元請けの自前の部隊に移っていく。
- 足場の施工(国内):数量 2.6(施工棟数(万棟・推定))× 価格 25(1 棟あたりの施工単価(万円))→ 売上 64 億円・営業利益 −1 億円。2.56 万棟 × 25 万円(値上げが物価に届かない)、利益率 −2%
- 足場資材の製造・販売・レンタル:数量 0.3(資材の出荷(万トン・推定))× 価格 36(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。0.3 万トン × 36 万円、利益率 −2%
- 海外(シンガポールのプラント保守):数量 200(現場の作業員(人・推定))× 価格 0.13(1 人あたりの年間売上(億円))→ 売上 25 億円・営業利益 0 億円。200 人 × 1,250 万円、利益率 0%
倍率:赤字で稼ぐ力は無い。床は売れる資産で、今の自己資本 57 億円の 0.25 倍の 14 億円。赤字が続いて現金が減った後に、資材と拠点を売った値段の税後とみた。
確率:人手不足が値上げでなく受注の断りに向かえば、件数も利益も同時に縮む。悲観は 1 割強とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
足場の施工(国内)
住宅の新築・塗り替え向けにビケ足場を設計し組み立てる。
| 数量施工棟数(万棟・推定) | 価格1 棟あたりの施工単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 3.7 | 20 | 73 | 3 |
| 10 年後 中立 | 3.5 | 27 | 93 | 4 |
取り方:2025/04 期の施工サービス 72.3 億円(補足資料)から 2026/04 期を 73 億円と推定。棟数の開示はなく、戸建ての足場 1 棟 20 万円前後として割った。営業利益は粗利 3 割弱から販管費を売上に比べて配った推定。
足場資材の製造・販売・レンタル
ビケ足場・レボルトの資材を同業に売り、貸す。
| 数量資材の出荷(万トン・推定) | 価格1 トンあたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 0.4 | 30 | 12 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.4 | 40 | 18 | 1 |
取り方:2025/04 期の製商品販売 11.8 億円から 12 億円と推定。鋼製の足場資材の売上を 1 トン 30 万円前後として割った推定。
海外(シンガポールのプラント保守)
石油化学プラントの保守で足場・保温・電気・配管の工事を請け負う。
| 数量現場の作業員(人・推定) | 価格1 人あたりの年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 255 | 0.10 | 26 | 2 |
| 10 年後 中立 | 330 | 0.13 | 44 | 2 |
取り方:2025/04 期の海外 23.6 億円(粗利 7.2 億円)から 2026/04 期を 25.5 億円と推定。作業員の数は開示がなく、1 人年 1,000 万円の売上として割った。
リスクと懸念
値上げが通らない
元請けのハウスメーカーと塗装会社が値段を決め、職人の賃金の上昇を全部は渡してくれない。2022〜2023 年は値上げ交渉が想定を下回り、営業赤字に沈んだ。同じことが繰り返せば利益は消える。
職人の確保
足場の職人は高齢化し、若い人が入らない。外国人の技能人材に頼る比重が上がるほど、受け入れの制度と円の価値に振られる。人が集まらなければ仕事を断るしかない。
新築住宅の減少
人口と世帯の減少で、新築の着工は 10 年で 2 割ほど減る。塗り替えが底堅くても、足場の件数全体は細っていく。
海外の偏り
海外はシンガポールの石油化学プラントの保守に集中している。設備投資の冷え込みや、外国人労働者の規制の強化があると、利幅の厚い事業がそのまま揺れる。
計画の未達
前の中期計画は営業利益 10 億円を掲げて 1 億円に届かなかった。今の計画も同じ 10 億円を掲げる。目標と実績の差が続けば、資本の使い方への信頼はさらに下がる。
今後の分かれ目
- 営業利益が 2 年続けて 5 億円を超えたら
- 値上げが元請けに通り始めたとみて、やや楽観の確率を上げる。
- 2027 年 4 月期が会社の見通しを再び大きく下回ったら
- 人件費を値段に渡せない構造が続いているとみて、やや悲観に寄せる。
- シンガポールの海外の売上が 40 億円を超え、利幅 6% を保ったら
- 海外が全社の利益の柱になったとみて、楽観側を厚くする。
- 自社株 16% の消却や、配当性向の引き上げを発表したら
- 溜まる現金が株主に戻る道が開けたとみて、戻り方を見直す。
- 足場の安全規制が強まり、手すり先行型の足場が義務になったら
- レボルトのレンタルの追い風になる。資材の伸びを上げてよい。
見ておくもの
- 施工サービスの売上と粗利率
- 海外事業の売上と利益
- 中期計画(2029/04 期 営業利益 10 億円)への進み具合
- 新設住宅着工と塗り替えの件数
倍率と資本コストの決め方
倍率は k 7.75%(基本 7.5% に循環と値決めで +0.5%)と、各筋書きの ROE から式で出した。中立の ROE は 4.3% で k に届かないので PER の上限は 1÷k の 12.5 倍、その 8 割を使った。悲観側は今の自己資本に掛けた PBR で、純現金と売れる資産の税後を床にした。今の PBR や過去の PER は見ていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→13.4 倍・やや楽観 PER 10.6→12.9 倍・中立 PER 10→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。