結論
コンヴァノは、ネイルサロン「ファストネイル」の会社だった。いまの稼ぎ頭は別にある。美容クリニック向けの運営・マーケティング支援(コンサルティング)と、糸リフトなど医療資材の卸だ。売上は前期の 32 億円から 155 億円に跳ね、会社は 2027 年 3 月期の営業利益を 90 億円と見込む。
筆者の結論は割高である。足元の利益は本物だが、売上の 6 割強が、2025 年 6 月にできたばかりの一般社団法人 1 先に偏っている。契約の中身も開示されていない。この関係が 10 年続くと決めてかかることはできない。
中立の筋書きでは、10 年後の純利益は今期予想の半分ほどに落ち着く。美容医療に規制の目が向く中で、高い利益率は競争と値下げ交渉に削られていくと見るからだ。
良い点もある。ビットコインから撤退して約 81 億円を回収し、社債の繰上償還と自己株式の取得に充てた。財務は堅い。それでも今の時価総額約 630 億円は、利益がほぼ続く前提に近く、払う値段に安全域は乏しい。
分かれ目は、売上の最大の取引先との関係と、糸リフトの独占的な販売権が続くかどうかだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、この会社の悩みは「何が続くのか」が見えないことだ。
資本をあまり使わず、現金を生む点は魅力がある。純現金で、借金に頼る危うさも小さい。ここは評価できる。
だが、オーナーとして持ち続けたいかと問われれば、慎重になる。利益の大半が、設立 1 年ほどの取引先 1 社と、独占の条件が見えない輸入代行から生まれている。事業に堀があるのか、たまたま良い顧客に当たっただけなのか、決算の数字からは区別がつかない。美容医療の規制が強まる方向にあることも、利益の持続性にとっては重荷だ。
経営の資本配分は、これから見極める段階にある。ビットコインでの失敗は小さくない。損を確定して撤退した姿勢は良いが、同じ経営陣が M&A と AI の新規事業に資金を振り向ける。
安全域は薄い。利益が今期予想のまま続くなら今の値段は妥当に見えるが、筆者は半分に落ち着く姿を中心に置く。その前提では、今の時価総額に見合う価値はない。分かりにくい事業には、確信度を下げて向き合うのが筋だ。
何で稼ぐ会社か
事業は大きく 4 つに分かれる。稼ぎの順に、コンサルティング、ヘルスケア、ネイル、そして投資・AI だ。
コンサルティングは、美容クリニックの開院から運営、広告までを手伝う仕事で、2026 年 3 月期の売上は約 84 億円、セグメント利益は約 29 億円。2025 年 10 月に作った AI・データ分析の子会社も担う。売上の 6 割強は、自由診療クリニックの運営を支援する一般社団法人メディカルアライアンス 1 先向けとされる。
ヘルスケアは、医療機関向けの診療材料の卸だ。韓国メーカーの糸リフト素材「T-Mesh」の日本での独占輸入代行や、ヒアルロン酸注入剤の輸入を手がける。売上は約 23 億円で、利益率が 6 割を超える。導入クリニックは 300 院から 600 院規模へ増える見込みだ。
ネイルは本来の事業で、店舗は 73(うちフランチャイズ 5)。客単価は数千円台で、料金は 7 段階。売上は約 32 億円だが、利益は約 3 億円にとどまる。
投資・AI は、中小企業の M&A 助言や投資、AI 事業を含む。前期はビットコインの評価損 48 億円で、セグメントは大きな赤字になった。2025 年 11 月に「最大 2 万 1,000 ビットコインを持つ」計画を取り下げ、2026 年 8 月に全量を売却した。
優良さと弱いところ
優良さの評価は割れる。数字の質は高いが、続く理由が見えにくい。
強みは、立ち上がりの速さと利益率だ。コンサルのセグメント利益率は 3 割を超え、ヘルスケアは 6 割を超える。新たな工場も店も要らず、資本をあまり使わない。糸リフトは条件付きとはいえ独占の販売権を持つ。財務は純現金で、親会社の持ち分比率は 2026 年 6 月末で 69%に上がった。
弱みは 3 つある。1 つ目は顧客の集中だ。最大の取引先は設立 1 年ほどの一般社団法人で、条件は外から見えない。2 つ目は、売り手が価格を決められないことだ。取引先が強ければ、利益率は交渉で削られる。3 つ目は規制だ。厚生労働省は 2025 年 8 月、美容医療の違法例を示して自治体に対応を求めた。糸リフトは広告で自由に打ち出せない。
経営の資本配分にも不安が残る。ビットコインへの大型投資は、評価損 48 億円と取締役の退任で終わった。ただ、損を確定させて撤退し、資金を株主に返す決断は評価できる。
筆者は、いまの高い利益を「堀のある利益」とはまだ呼べないと見る。堀があるかは、取引先が分散した時に分かる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
追い風は確かにある。自由診療の美容医療は、SNS の広告とともに利用者が増えた。クリニックは集客と運営の外注を増やしており、コンヴァノはそこに入り込んだ。
ただし、この市場は 10 年のあいだに姿を変える。まず規制だ。2025 年 8 月の厚生労働省の通知は、無資格者の施術や医療広告の違反を違法例として挙げ、自治体に立入検査などを求めた。医療法の改正で、美容医療を行う医療機関には報告義務も課される。広告で集客するクリニックほど、運営の手間と費用は重くなる。
次に競争だ。クリニックの運営支援や広告の代行は、参入の壁が低い。大手クリニックグループは、支援会社に頼らず自前で広告運用の部隊を持つこともできる。糸リフトは素材メーカーも多く、韓国の製造元が別の代理店を探せば、独占は揺らぐ。
ネイルは成熟市場で、人手不足が利益を圧迫する。アクセルマークの連結化で美容・健康の EC にも足をかけたが、まだ収益への寄与は見えない。
市場は伸びる。しかし伸びる市場と、その中で今の利益率を守れることは別の話だ。筆者は、利益率が時間とともに平均に近づくと見る。
資本政策と M&A
資本の使い方は、この 1 年で大きく変わった。
2025 年 8 月に掲げたビットコインの大量保有は、2025 年 11 月に取り下げた。2026 年 3 月期に約 48 億円の評価損を出し、最後は 2026 年 8 月に全量を売って、約 81 億円を回収した。うち 25 億円は社債の繰上償還に回る。
2026 年 8 月には、最大 45 億円・4,500 万株の自己株式の取得を決めた。新株予約権の行使で株を持った大株主から、市場を通さず一括で買い取る形だ。上限まで取ると、筆頭株主の株式会社NT の議決権比率は約 67.5%に上がる。2026 年 11 月には 10 株を 1 株にする株式併合も控える。
買収は動き出した。2026 年 7 月にアクセルマークを約 9 億円で連結子会社にし、30 億円の融資枠も確保した。M&A の目利きの腕は、これから問われる。
前期の配当は赤字の中で出した少額で、水準は低い。支配株主が 6 割を超える会社で、少数株主への還元がどこまで続くかは、まだ分からない。
点検済み:中立の営業利益率16.8%は過去の山(10.3%)を超えるが、会社の来期・再来期予想(33%台)よりずっと低く、会社予想の半分ほどに置いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
利益はすでに出ている。2026 年 4〜6 月期だけで営業利益は 19 億円、会社の通期予想 90 億円に対して 2 割を超えた。通期予想は、ビットコイン関連の収益や未確定の M&A を含まない保守的な前提だと会社は説明している。
成長の仕組みも見える。500 院を超える医療機関のネットワークを足場に、糸リフトやヒアルロン酸の卸、AI を使った発注や採用などの商品を横に広げられる。AI の商品は月額課金で、積み上がれば利益の質が上がる。
ビットコインという最大の不安材料は消えた。81 億円を回収し、社債を前倒しで返し、自己株式の取得で株主に返す。支配株主の持ち分が 67%まで上がれば、経営の判断も速くなる。アクセルマークの買収を足がかりに、ヘルスケア分野の M&A を重ねれば、利益の柱は増える。
美容医療の市場自体は、人手不足とクリニックの増加で外注の需要が続く。規制が強まるほど、法令対応を代行できる会社の価値は上がる。取引先が 1 社に偏る点も、ネットワークの拡大で薄まっていく。今期予想の水準が 10 年続く姿は、決して無理な前提ではない。
慎重な見方
利益の出どころが危うい。売上の 6 割強が、設立 1 年ほどの一般社団法人 1 先向けだ。売上は 1 年で 5 倍近くになったが、契約の期間も条件も外から見えない。この取引先が内製化したり、他社に切り替えたり、取引条件を見直したりすれば、売上は一気に崩れる。
利益率の高さにも説明がつかない。コンサルは 3 割台、卸は 6 割台。参入の壁が低い仕事で、これほどの利益率が 10 年続いた例は少ない。糸リフトの独占も「条件付き」で、韓国メーカーの意向ひとつで動く。
規制の流れも不利だ。厚生労働省が 2025 年に違法例を明示し、美容医療機関に報告義務が課される。広告で集客するクリニックの運営は重くなり、外注への支払い余力が細る。
経営にも不安が残る。ビットコイン 2 万 1,000 個の計画を掲げ、1 年足らずで取り下げ、評価損 48 億円を出した。その同じ経営陣が、AI と M&A に資金を回している。支配株主が 67%を握ると、少数株主の意見は届きにくくなる。
足元の利益は、平均に戻る前の最も良い時期のものだ。この数字を 10 年伸ばす前提で値段を付けるのは危うい。
どちらに重みを置いたか
どちらの言い分にも根拠はある。ただ、10 年という長さでは、慎重な見方が強い。いまの利益は 1 年余りの実績で、顧客の偏りと規制という変えにくい弱みを抱える。強気の見方が頼る「ネットワークの拡大」は、まだ数字で裏づけられていない。
そこで確率は、今期予想の水準を保つ筋書き(やや楽観・楽観)に 3 割、利益が半分ほどに落ち着く中立に 3 割台、利益が大きく削られる側(やや悲観・悲観)に 3 割台半ばを置いた。利益がほとんど消える悲観にも、1 割を超える確率を割いた。
この確率で 10 年後を重ねると、価値は今の時価総額の半分ほどにとどまる。強気の見方が全て実現する楽観でも、割り戻した価値は今を上回るにすぎない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 93 円462 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 44 円218 億円)。 今の値に割り戻すと 70 円349 億円、今との差 −32.0%、 期待の年率 +2.9%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 276 円1,376 億円 | 91 円454 億円 | +256.4% | +13.6% | 29 円146 億円 |
| やや楽観 | 22% | 173 円864 億円 | 67 円335 億円 | +133.5% | +8.8% | 53 円264 億円 |
| 中立 | 34% | 81 円402 億円 | 47 円234 億円 | +23.8% | +2.2% | 43 円216 億円 |
| やや悲観 | 22% | 18 円92 億円 | 19 円97 億円 | −63.3% | −9.5% | 8 円41 億円 |
| 悲観 | 14% | 8 円38 億円 | 10 円50 億円 | −82.8% | −16.1% | 2 円12 億円 |
| 加重平均 | 100% | 93 円462 億円 | 44 円218 億円 | +32.5% | +2.9% | 136 円680 億円 |
今の株価時価総額 103 円514 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 取引先が広がり、AI とヘルスケアの商品が積み上がる 10 年 利益 93 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 276 円1,376 億円
取引先が分散し、クリニックの支援が 480 院ほどに広がる。AI の分析と広告運用が成果の見える形で定着し、1 院あたりの売上も物価を上回って伸びる。コンサルの利益率は 3 割を保つ。
糸リフトは製造元との関係が続き、導入クリニックが 1,000 院に届く。ヒアルロン酸や新しい素材を横に広げ、卸の利益率は 5 割台を守る。
AI の商品は月額課金で積み上がり、M&A も 2 件が当たる。ネイルは 110 店で利益率が 1 割を超える。規制は強まるが、法令対応を代行できる会社として顧客を増やす。
10 年後の営業利益は約 145 億円。今期予想を大きく超える。会社が掲げる成長の筋書きが、ほぼ全て実現した姿だ。
- コンサルティング(美容クリニック向けの運営・マーケティング支援):数量 480(支援先クリニック数(院、年平均に直した推定))× 価格 0.62(1 院あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 296 億円・営業利益 95 億円。480 院×1 院あたり 0.62 億円、利益率 32%
- ヘルスケア(診療材料・糸リフトの卸):数量 1,000(導入クリニック数(院、年平均の推定))× 価格 0.09(1 院あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 86 億円・営業利益 47 億円。1,000 院×0.086 億円、利益率 55%
- ネイル(ファストネイル):数量 110(店舗数(店、年平均))× 価格 0.70(1 店あたり年間売上(億円))→ 売上 77 億円・営業利益 9 億円。110 店×0.70 億円、利益率 11%
- 投資・AI・新規事業(M&A 助言、AI、買収子会社):数量 20.0(収益を生む案件・事業数(件、推定))× 価格 3.00(1 件あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 60 億円・営業利益 15 億円。20 件×3.0 億円、利益率 25%
倍率:事業の純利益 93 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 23.4% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 13.5%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍。全体の PER 14.8 倍、時価総額 1,376 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:取引先の偏りを解き、糸リフトの独占を保ち、規制の逆風もしのぐという複数の条件が同時に揃う必要がある。揃えば利益は今期予想を大きく上回るが、実績が 1 年余りの事業に高い確率は置けない。
やや楽観 22% 今期予想の水準を保ち、緩やかに伸びる 10 年 利益 61 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 173 円864 億円
最大の取引先との関係は続くが、取引先は少しずつ増える程度にとどまる。支援先は 380 院、1 院あたり売上は物価並みの伸びで、コンサルの利益率は 3 割弱に下がる。
糸リフトの独占は保たれ、導入クリニックは 850 院に増える。卸の利益率は 5 割弱で落ち着く。ネイルは 95 店で 1 割の利益率を保つ。
AI・投資は 15 件の案件で小さな黒字に届く。規制で広告が重くなる分は、運営支援の需要の増加が打ち消す。
10 年後の営業利益は約 94 億円。今期予想とほぼ同じ水準を、名目で保つ姿だ。実質では目減りするが、事業の柱が 2 つ残る。
- コンサルティング(美容クリニック向けの運営・マーケティング支援):数量 380(支援先クリニック数(院、年平均に直した推定))× 価格 0.58(1 院あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 220 億円・営業利益 62 億円。380 院×0.58 億円、利益率 28%
- ヘルスケア(診療材料・糸リフトの卸):数量 850(導入クリニック数(院、年平均の推定))× 価格 0.08(1 院あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 70 億円・営業利益 34 億円。850 院×0.082 億円、利益率 48%
- ネイル(ファストネイル):数量 95.0(店舗数(店、年平均))× 価格 0.68(1 店あたり年間売上(億円))→ 売上 65 億円・営業利益 7 億円。95 店×0.68 億円、利益率 10%
- 投資・AI・新規事業(M&A 助言、AI、買収子会社):数量 15.0(収益を生む案件・事業数(件、推定))× 価格 2.90(1 件あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 44 億円・営業利益 8 億円。15 件×2.9 億円、利益率 18%
倍率:事業の純利益 61 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.0% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 11.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.0 倍。全体の PER 14.01 倍、時価総額 855 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026 年 4〜6 月期の営業利益が通期予想の 2 割を超え、足元の勢いは強い。取引先との関係が続き、規制も致命傷にならない筋書き。ただし集中は解けず、成長はなだらかにとどまるとみて、中立より低い確率にした。
中立 34% 高い利益率が競争と交渉で削られ、利益が半分ほどに落ち着く 10 年 利益 29 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 81 円402 億円
支援先は 260 院と、足元の年換算(約 500 院)の半分ほどに落ち着く。最大の取引先が値下げを求め、他社も参入し、コンサルの利益率は 2 割ほどへ下がる。
糸リフトは導入が 650 院まで増えるが、素材メーカーが別の代理店を探し、独占は崩れる。卸の利益率は 4 割に下がる。
ネイルは 85 店で、人件費を価格に転嫁しながら 1 割弱の利益率を守る。AI・投資は 12 件で、わずかな黒字にとどまる。
10 年後の営業利益は約 47 億円で、今期予想の半分ほどだ。事業は残るが、足元の突出した利益率は過去のものになる。筆者はこの姿が最もありそうだと見る。
- コンサルティング(美容クリニック向けの運営・マーケティング支援):数量 260(支援先クリニック数(院、年平均に直した推定))× 価格 0.54(1 院あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 139 億円・営業利益 31 億円。260 院×0.536 億円(物価並み)、利益率 22%
- ヘルスケア(診療材料・糸リフトの卸):数量 650(導入クリニック数(院、年平均の推定))× 価格 0.08(1 院あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 51 億円・営業利益 20 億円。650 院×0.078 億円、利益率 40%
- ネイル(ファストネイル):数量 85.0(店舗数(店、年平均))× 価格 0.67(1 店あたり年間売上(億円))→ 売上 57 億円・営業利益 5 億円。85 店×0.67 億円、利益率 8%
- 投資・AI・新規事業(M&A 助言、AI、買収子会社):数量 12.0(収益を生む案件・事業数(件、推定))× 価格 2.75(1 件あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 33 億円・営業利益 3 億円。12 件×2.75 億円、利益率 10%
倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.4% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍。全体の PER 13.08 倍、時価総額 379 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:実績が 1 年余りで、取引先の偏りと規制という弱みが残る事業。一方、足元の利益は本物で、すぐに消える理由も見当たらない。利益が今期予想の半分に落ち着くという、平均への戻りを中心に置く。
やや悲観 22% 最大の取引先が離れ、規制で市場も細る 10 年 利益 7 億円 · PBR 0.7 倍 · 株価時価総額 18 円92 億円
最大の取引先が内製化を進め、支援先は 150 院まで減る。コンサルの 1 院あたり売上は物価に追いつかず、利益率は 1 割台に落ちる。
糸リフトは厚生労働省の規制で広告と施術の条件が厳しくなり、導入は 400 院で止まる。製造元が別の代理店を増やし、卸の利益率は 2 割台に下がる。
ネイルは人件費の上昇で利益がほぼ消える。AI・投資は先行投資を回収できず、赤字が残る。アクセルマークなど買収した会社の収益も伸びず、M&A は期待に届かない。
10 年後の営業利益は約 10 億円。ためた現金と回収できる債権が価値の中心で、稼ぐ力は細る。優良な事業とは呼べなくなる。
- コンサルティング(美容クリニック向けの運営・マーケティング支援):数量 150(支援先クリニック数(院、年平均に直した推定))× 価格 0.50(1 院あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 75 億円・営業利益 11 億円。最大の取引先が離れ 150 院、利益率 14%
- ヘルスケア(診療材料・糸リフトの卸):数量 400(導入クリニック数(院、年平均の推定))× 価格 0.08(1 院あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 31 億円・営業利益 8 億円。規制で導入は 400 院、利益率 25%
- ネイル(ファストネイル):数量 70.0(店舗数(店、年平均))× 価格 0.64(1 店あたり年間売上(億円))→ 売上 45 億円・営業利益 2 億円。70 店、人件費で利益率 4%
- 投資・AI・新規事業(M&A 助言、AI、買収子会社):数量 8.0(収益を生む案件・事業数(件、推定))× 価格 2.60(1 件あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 21 億円・営業利益 −1 億円。8 件、先行投資で赤字
倍率:ROE 5.0% は k 8.5% 以下なので、PER の上限は 1÷k = 10.5 倍で、稼ぐ力は純利益 7 億円 ÷ k = 約 74 億円。床は現金・売れる債権の税後で約 80 億円。床の倍率は今の自己資本(108.9 億円)に掛け、PBR 0.73 倍で稼ぐ力と床の大きい方(約 80 億円)に置いた。
確率:売上の 6 割強が 1 社に偏り、規制も強まる方向にある事業で、取引先の内製化や切り替えが起きる可能性は低くない。ただ、他のクリニックを取り込んで下げ止める余地もあるとみて、悲観より厚く置いた。
悲観 14% 取引先を失い、規制と競争で収益の柱が消える 10 年 利益 −5 億円 · PBR 0.8 倍 · 株価時価総額 8 円38 億円
最大の取引先との取引が止まり、支援先は 30 院まで減る。AI・データ分析の子会社の売上は消え、コンサルの利益はほぼ無くなる。
糸リフトは製造元との独占が切れ、規制で施術が絞られ、導入は 150 院まで落ちる。卸の利益はわずかになる。
ネイルは 50 店に縮み、赤字が残る。AI や投資は損失の処理に追われる。M&A で買った会社の価値も落ちる。
営業利益は 10 年後に約 6 億円の赤字。ビットコインの売却資金で買った自己株式と前半の配当で、現金の一部は株主に渡った。残りも事業の整理で減る。価値の中心は、残った現金と売れる資産だけになる。
- コンサルティング(美容クリニック向けの運営・マーケティング支援):数量 30.0(支援先クリニック数(院、年平均に直した推定))× 価格 0.45(1 院あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。取引先を失い 30 院、利益はほぼ無し
- ヘルスケア(診療材料・糸リフトの卸):数量 150(導入クリニック数(院、年平均の推定))× 価格 0.07(1 院あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。独占が切れ 150 院、利益率 5%
- ネイル(ファストネイル):数量 50.0(店舗数(店、年平均))× 価格 0.60(1 店あたり年間売上(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 −1 億円。50 店に縮み赤字
- 投資・AI・新規事業(M&A 助言、AI、買収子会社):数量 4.0(収益を生む案件・事業数(件、推定))× 価格 2.40(1 件あたり年間売上(億円、推定))→ 売上 10 億円・営業利益 −3 億円。4 件、損失の処理
倍率:営業赤字で PER は使えない。価値は、残った現金と売れる資産の税後。自己資本 48 億円のうち、事業の整理で回収できる額を約 38 億円とみて、PBR 0.8 倍(38 億円)に置いた。稼ぐ力はゼロに近いので、これ以上の値は置かない。
確率:最大の取引先の離脱、糸リフトの独占の消滅、規制の強化が重なる必要があり、起これば事業の柱が 2 本とも崩れる。実績が短く条件も見えない事業なので、1 割を超える確率を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
コンサルティング(美容クリニック向けの運営・マーケティング支援)
クリニックの開院・運営・広告・コールセンターの支援と、AI・データ分析の子会社が担うマーケティング支援。
| 数量支援先クリニック数(院、年平均に直した推定) | 価格1 院あたり年間売上(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 211 | 0.40 | 84 | 29 |
| 10 年後 中立 | 260 | 0.54 | 139 | 31 |
取り方:支援先の院数は開示が無い。会社は「500 院超の医療機関ネットワーク」と説明し、2026 年 4〜6 月期の売上 51 億円を年に直すと約 204 億円、500 院で割ると 1 院あたり約 0.40 億円になる。2026 年 3 月期は後半に立ち上がったため、売上 84.4 億円を 0.40 億円で割った 211 院を年平均の院数とした。10 年後の 1 院あたり売上は物価で 1.34 倍が基本。
ヘルスケア(診療材料・糸リフトの卸)
シンクスヘルスケアによる、クリニック向けの診療材料の卸、ヒアルロン酸注入剤の輸入、糸リフト素材の独占輸入代行。
| 数量導入クリニック数(院、年平均の推定) | 価格1 院あたり年間売上(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 400 | 0.06 | 23 | 16 |
| 10 年後 中立 | 650 | 0.08 | 51 | 20 |
取り方:導入クリニックは 2025 年末に 400 院超、2026 年 3 月末に 600 院規模と会社が説明している。2026 年 3 月期の年平均を 400 院とし、売上 23.4 億円で割ると 1 院あたり約 0.0585 億円。2026 年 4〜6 月期の売上 8.7 億円を年に直し 600 院で割っても約 0.058 億円で整合する。10 年後の 1 院あたり売上は物価で 1.34 倍が基本。 数量は実物(導入クリニック数)で、名目の市場の伸びからは置いていない。
ネイル(ファストネイル)
ジェルネイル専門のサロン「ファストネイル」の直営・フランチャイズ。73 店(2026 年 3 月末)。
| 数量店舗数(店、年平均) | 価格1 店あたり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 65.0 | 0.50 | 33 | 3 |
| 10 年後 中立 | 85.0 | 0.67 | 57 | 5 |
取り方:期末 73 店(フランチャイズ 5 店を含む)、2026 年 3 月期の年平均を 65 店とすると、売上 32.5 億円で 1 店あたり約 0.5 億円。2026 年 4〜6 月期の売上 9.1 億円を年に直し 73 店で割っても約 0.5 億円。客単価は物価で 10 年 1.34 倍が基本。店舗は賃借で家賃は固定の約束になる(IFRS 16 で貸借対照表にはすでに載っている)。
投資・AI・新規事業(M&A 助言、AI、買収子会社)
虎ノ門キャピタルの M&A 助言・投資、AI 事業、アクセルマークなどの新規事業。暗号資産の損益も含む。
| 数量収益を生む案件・事業数(件、推定) | 価格1 件あたり年間売上(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8.0 | 2.05 | 16 | −29 |
| 10 年後 中立 | 12.0 | 2.75 | 33 | 3 |
取り方:開示は事業ごとの件数を出さないため、売上 16.4 億円を約 8 件に割った推定。2026 年 3 月期のセグメント損失 29 億円は、暗号資産の評価損 48.5 億円を含む。評価損を除くと約 19.5 億円の黒字だが、投資の売却益など繰り返しにくい分を含むので、10 年の筋書きではこの水準を引き継がない。アクセルマーク(2026 年 7 月連結)の売上は未確認なので数えず、利益ゼロとみる。1 件あたり売上は物価で 1.34 倍が基本。 数量は実物(案件・事業の数)で、名目の市場の伸びからは置いていない。
リスクと懸念
最大の取引先への依存
売上の 6 割強が、2025 年 6 月にできた一般社団法人メディカルアライアンス 1 先向けとされる。契約の期間・価格・解約の条件は開示されていない。取引先が内製化や他社への切り替えに動けば、コンサルの売上と利益は短期間で大きく落ちる。コンヴァノとの資本・人的な関係も、確認できる範囲では分からない。
美容医療への規制の強まり
厚生労働省は 2025 年 8 月の通知で、美容医療の違法例を示して自治体に対応強化を求めた。医療法の改正で、美容医療を行う医療機関には安全管理の報告義務も課される。糸リフトは広告で自由に打ち出せない。規制が広告と集客を重くすれば、クリニックの外注費の余力も、材料の需要も細る。
糸リフトの独占が条件付き
韓国 HM Solution 社との独占輸入代行は「適正な販売数量・品質の条件を満たすこと」が前提で、期間は非開示。製造元が別の代理店と組んだり、数量の条件を満たせなくなったりすれば、利益率 6 割台の卸は崩れる。素材は製造元に握られており、価格を決める力は弱い。
新しい事業の短い実績
コンサルの中心となる AI・データ分析の子会社は 2025 年 10 月の設立で、実績は 1 年に満たない。四半期ごとの売上が 1 年で 5 倍以上になった一方、継続課金か単発かの区別すら開示されていない。利益が積み上がる型なのか、案件の山なのかを判断する材料が足りない。
資本配分と支配株主
ビットコインの大型投資は評価損 48 億円と取締役の退任で終わった。いまは M&A(アクセルマーク約 9 億円、30 億円の融資枠)と AI に資金を向ける。支配株主のNTは議決権の 61%を持ち、自己株式の取得で約 67.5%まで上がる。少数株主の意見が届きにくく、還元の方針も支配株主の判断に左右される。
ネイルの人件費
ファストネイルは売上の 2 割を占めるが、利益は 1 割にも満たない。2026 年 4〜6 月期は新規出店の人件費と償却で赤字になった。店は賃借で、家賃は売上が落ちても減らない固定の約束だ。人手不足で人件費が上がれば、この事業は稼ぐより足を引っ張る。
今後の分かれ目
- 最大の取引先との契約が更新され、期間や条件が開示される
- 売上の見通しが固まり、10 年のやや楽観・楽観の確度が上がる。
- 売上に占める最大の取引先の割合が 5 割を下回る
- 利益の源が分散し、中立の筋書きの利益水準を引き上げる材料になる。
- 最大の取引先が内製化・他社への切り替えを進める
- コンサルの売上が急減し、10 年のやや悲観・悲観の筋書きに近づく。
- 厚生労働省が美容医療の広告や施術にさらに踏み込んだ規制を設ける
- クリニックの集客と外注費が細り、コンサルと糸リフトの両方の数量が落ちる。
- 糸リフトの独占輸入代行の期間・条件が変わる、または製造元が代理店を増やす
- ヘルスケアの高い利益率が崩れ、利益は中立より下に寄る。
- AI の商品が月額課金の売上として積み上がる
- 利益の質が上がり、倍率の上限に近づく。
- 追加の M&A で高い値段を払う、または新規事業の赤字が膨らむ
- 現金が目減りし、資本配分への信頼が下がる。やや悲観に寄る。
見ておくもの
- 四半期の売上に占める最大の取引先の割合と、契約の期間・条件の開示
- コンサルの利益率(2026 年 4〜6 月期は約 31%)と、継続課金・単発の内訳
- ヘルスケアの導入クリニック数と糸リフトの独占条件の動き
- 美容医療に関する厚生労働省の通知・医療法の運用
- 自己株式の取得の進み具合と、NT の議決権比率
倍率と資本コストの決め方
利益は、10 年後の事業ごとの院数・店舗数と 1 院あたり売上(物価で 10 年 1.34 倍が基本)で積んだ。支援先の院数は開示が無く、会社が言う 500 院超と四半期の売上からの推定である。自己資本は今の 108.9 億円に純利益の合計を足し、還元(自己株式の取得 45 億円を含む)を引いて流した。倍率は正当化 PER の式で出した。今の株価・PER は使っていない。2026 年 3 月期の純利益のうち、暗号資産の評価損 48.5 億円は一過性として、起点を 43 億円にならした。株数は、台帳の併合後の数(4,986 万株)が価格と合わないため、併合前の 4.99 億株で時価総額 628 億円とした。新リース会計基準は、IFRS の会社なのですでに貸借対照表に載っている。10 年後の数字は家賃を営業費用に近い形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.7→14.8 倍・やや楽観 PER 10.8→14.01 倍・中立 PER 10.6→13.08 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。