結論
エフビー介護サービスは、長野県を地盤に福祉用具のレンタルと、グループホームなどの介護施設を運営する会社だ。2026 年 3 月期の売上は 115 億円、営業利益は 6.3 億円。売上の 43% が福祉用具、57% が介護である。
筆者の結論は、今の値段はやや割安というものだ。純利益は 4.6 億円だが、減損を出した年で、会社は 2027 年 3 月期に営業利益 7.4 億円を見込む。時価総額は 32 億円と、10 年の稼ぎに対して低く見える。
強みは、借金を減らしながら稼ぐ力を伸ばしてきたことだ。純有利子負債は 6 年で 46 億円から 6 億円に減った。営業キャッシュフローは 13 億円ある。自己資本比率は 42% と、まだ厚くない。
課題は、公定価格の事業で人件費の上昇を価格に乗せにくいことだ。営業利益率は過去 7 年で 5〜7% にとどまる。ここを超えるとは置けない。
見るべきは、買収と新設が採算に合うかどうかだ。中期計画は 2029 年 3 月期に売上 150 億円を掲げる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は地味だが悪くない。需要は高齢化で確実に増え、利益は景気に左右されにくい。借金は 6 年で 40 億円減り、稼いだお金が着実に株主へ戻っている。
筆者が評価するのは、資本の使い方だ。借入の返済を進めつつ、配当と自社株買いで発行済み株数を約 9% 減らした。時価総額が小さい会社でこれを続けるのは珍しい。
もう 1 つ、公募に強い地元の会社である点は、新規参入が限られる分だけ守りが固い。
気になるのは、価格を自分で決められないことだ。介護報酬も福祉用具の貸与価格も、国が枠を決める。人件費が上がっても、価格に乗せるのは後になる。営業利益率は 5〜7% にとどまり、これ以上は置けない。
派手さはなく、じっと持って配当と買い戻しを受け取る種類の会社である。ただし、規模が小さいので、減損や不採択の影響は大きい。
何で稼ぐ会社か
事業は 2 つある。2026 年 3 月期の売上 115 億円の内訳は、福祉用具が 49.7 億円、介護が 65.6 億円だ。セグメント利益は福祉用具 3.2 億円、介護 3.1 億円である。
福祉用具は、介護保険で使うベッドや車いす、手すりなどを貸し出す事業だ。専任の専門相談員が、営業・提案・納品・点検まで一人で受け持つ。2025 年 6 月には、同業の 2 事業所を 1.2 億円ほどで取得した。
介護は、認知症の人が少人数で暮らすグループホームが中心になる。ほかに介護付き有料老人ホーム、デイサービスなどがある。グループホームの売上は 6.8% 増えたが、有料老人ホームは 1.6% 減った。施設の一部で 1.4 億円の減損も出た。
施設は土地を借りて、建物を自前で建てるのが基本である。地域密着型は自治体の公募で出店が決まるため、地元に根を張った会社が採択されやすい。連結の従業員は約 1,000 人である。上場時の開示では、傘下に小さな調剤薬局もあった。
売上の増え方は、既存の事業所の稼働の積み上げと、同業の事業所や施設の取得で決まる。福祉用具は 2026 年 3 月期に 2 事業所を加え、グループホームも 1 か所を新設した。
優良さと弱いところ
同社の強みは、居宅の福祉用具と施設の介護をひとつの地域でそろえていることだ。利用者の相談から退院後の住まいまで同じ会社が受け持つ。地域に根を張った会社は、公募でも採択されやすい。
弱みは 3 つある。第 1 に、価格を自分で決められない。介護報酬は法令で決まり、福祉用具にも貸与価格の上限が設けられた。第 2 に、人件費の比重が重い。介護職員も専門相談員も、同業や医療機関と取り合いになる。第 3 に、小さな会社である。施設の数が限られ、1 か所の不調が全体に響く。
堀、つまり他社にまねされにくい強みは、強いとは言えない。福祉用具の事業所は全国に 7,000 を超え、シェアは 1% ほどだ。筆者は、残る割合を普通の水準でみる。
経営は、上場時の開示では会長兼社長の一族が大株主で、安定株主の役を果たす。意思決定は速い。借入は減り、配当と自社株買いも続けている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
介護の需要は、2035 年まで確実に増える。75 歳以上の人口は、団塊世代が入る 2025 年以降も増え続ける。福祉用具の貸与費用は 2023 年度に約 4,300 億円で、12 年で 2 倍になった。ただし事業所数は 7,000 から 7,800 の間で横ばいに近く、小さな事業者の再編が進む。
福祉用具には、制度の見直しの波がある。貸与価格の全国平均と上限が定められ、価格の自由度は小さい。軽度の人向けに、貸与と販売を選べる制度も始まった。
グループホームは、介護報酬の改定で収入が決まる。賃金の上昇に報酬が追いつくかが、10 年の分かれ目だ。同社が使う地域密着型の公募枠は、自治体が数を絞るので、新規参入が限られる。一方で建築費は高く、開設の採算は以前より厳しい。
10 年の中立では、件数も利用者も 1 割ほど増え、価格は物価並みに改定される。人手不足が深まれば、稼働を絞る施設が出る。AI は記録・請求などの事務で効くが、食事や入浴の介助、福祉用具の納品・点検は人の手が要る。人の置き換えによる利益の縮みは、ここでは見ない。
資本政策と M&A
還元は積極的だ。2026 年 3 月期の配当性向は約 20%。2027 年 3 月期は配当を 13% ほど増やす計画である。方針は、自己資本比率が 50% に届くまで、連結配当性向 25% を目安にする。
自社株買いも続けている。2025 年 3 月から 12 月にかけて立会外取引で 3 回実施し、発行済み株数は約 9% 減った。自己株は全て消却した。
資本の使い方は、借入の返済と新設・買収が中心だ。営業キャッシュフロー 13 億円に対し、投資は 4 億円、返済と還元で 8 億円を出した。現金は 19 億円、借入は 25 億円ある。
純現金はなく、純有利子負債は 6 億円。土地の賃借料は固定の約束で、2028 年 3 月期から新しいリース会計が始まると、借入の見かけが増える。親会社はおらず、買収の話も出ていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
需要は確実に増える。75 歳以上の人口は今後も増え続け、福祉用具の貸与費用は 12 年で 2 倍になった。同社は居宅と施設の両方を持ち、地元に根を張って公募でも強い。2026 年 3 月期は売上・経常利益が過去最高で、2027 年 3 月期は営業利益が 17% 増える予想だ。
財務は着実に良くなっている。純有利子負債は 6 年で 46 億円から 6 億円に減った。営業キャッシュフローは 13 億円ある。借入に頼らず、小さな買収と新設を進められる。配当は 13% 増える計画で、自社株買いで株数も減った。
福祉用具は、小さな事業者の再編が進む。後継者のいない事業所を買い増せば、件数はほぼ確実に増える。同社は 2025 年 6 月にも 2 か所を取得した。ここで利益率を保てれば、10 年で営業利益は 10 億円に届く。
時価総額は 32 億円。純利益は 4.6 億円で、減損の分を除けば 5 億円台である。10 年で稼ぎが 1.4 倍になるだけで、今の値段は割安に映る。
慎重な見方
価格を決められない事業だ。介護報酬は国が決め、福祉用具の貸与価格にも上限がある。賃金の上昇は先に来て、価格の改定は後に来る。営業利益率は過去 7 年で 5〜7% にとどまり、2026 年 3 月期は営業利益が 3.8% 減った。
人手の制約が重い。介護職員も専門相談員も取り合いで、受け入れを絞る施設が出る。グループホームの新設は自治体の公募で決まり、不採択もある。有料老人ホームの売上は 1.6% 減り、1.4 億円の減損も出た。
建築費が上がり、新設の採算は悪化している。土地は借り物で、長期の賃料は固定費として残る。2028 年 3 月期からの新リース会計で、借入の見かけも増える。自己資本比率は 42% で、まだ厚くない。
小さな会社だ。時価総額が 32 億円では、売買は薄く、減損や不採択の影響が大きい。値段が安いのは、この規模の小ささと価格の自由度の小ささを映しているのではないか。配当の増額も、利益が増える前提の約束にすぎず、報酬の改定次第で止まりうる。
どちらに重みを置いたか
需要の確かさと、借金を減らして株主に戻す姿勢は本物だ。ただ、公定価格と人手の制約が利益率の上限を決める。強気の見方がやや強いと判断し、確率は楽観側を 27%、悲観側を 35% とした。慎重な見方の中身は、価格の自由度と規模の小ささで、需要そのものを疑う内容ではない。そのため、悲観の確率は大きくは寄せなかった。やや割安の根拠は、10 年の稼ぎと還元の積み上がりである。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,904 円95 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 713 円17 億円)。 今の値に割り戻すと 2,391 円58 億円、今との差 +92.3%、 期待の年率 +14.0%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 6,799 円166 億円 | 1,046 円26 億円 | +531.1% | +20.2% | 549 円13 億円 |
| やや楽観 | 20% | 5,450 円133 億円 | 911 円22 億円 | +411.7% | +17.7% | 1,272 円31 億円 |
| 中立 | 38% | 4,885 円119 億円 | 800 円20 億円 | +357.4% | +16.4% | 2,160 円53 億円 |
| やや悲観 | 24% | 1,727 円42 億円 | 517 円13 億円 | +80.5% | +6.1% | 538 円13 億円 |
| 悲観 | 11% | 611 円15 億円 | 267 円7 億円 | −29.3% | −3.4% | 97 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,904 円95 億円 | 713 円17 億円 | +271.4% | +14.0% | 4,617 円112 億円 |
今の株価時価総額 1,243 円30 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 件数が増え、報酬も物価に追いつく 利益 9 億円 · PER 17.2 倍 · 株価時価総額 6,799 円166 億円
福祉用具は、同業の小さな事業所を買い増して件数を伸ばす。介護はグループホームの新設が公募で採択され続け、利用者は今の 1.3 倍になる。
介護報酬と貸与価格が物価に近い水準で改定され、人件費の上昇も価格に乗せられる。利益率は福祉用具が 7%、介護が 6.5% に乗る。会社の中期計画が掲げる売上 150 億円・営業利益 10 億円を、10 年で大きく超える姿だ。
営業利益は 13 億円、純利益は 9 億円ほど。ただし、これは報酬改定が物価と賃金の上昇に追いつき、M&A が高値づかみにならないという 2 つの条件が揃った時に限る。利益率は過去 7 年の山(7% 台)に並ぶ水準で、これ以上は置けない。
- 福祉用具:数量 258,750(貸与件数(品目・推定))× 価格 3.22(1 件あたり年間売上(万円))→ 売上 83 億円・営業利益 6 億円。件数 1.25 倍・貸与価格 1.34 倍
- 介護:数量 2,431(利用者数(人・推定))× 価格 470(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 114 億円・営業利益 7 億円。利用者 1.3 倍・単価 1.34 倍
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.5% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.2 倍。全体の PER 17.17 倍、時価総額 158 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:同業の買収が割安にまとまり、公募も取り続け、報酬の改定が賃金に追いつく。3 つが同時に要るため、7% にとどめた。
やや楽観 20% 件数の増加と買収が着実に進む 利益 8 億円 · PER 16.5 倍 · 株価時価総額 5,450 円133 億円
福祉用具の件数は 15% 増え、小さな事業所の買収も着実に進む。介護はグループホームの新設で利用者が 18% 増える。価格は物価に近い 1.3 倍前後で改定される。
福祉用具の利益率は 6.8%、介護は 6% に上がる。減損を出した施設の立て直しと、補助金を使った新設が噛み合う姿だ。会社が足元で示す増収増益の流れを、そのまま 10 年続ける筋書きに近い。
営業利益は 11 億円、純利益は 7.5 億円。配当は純利益の 25% を目安に増え、自社株買いも小さく続く。自己資本比率は 50% に近づく。ただし新設の投資は建築費が高く、利回りは今の施設ほど出ない。
- 福祉用具:数量 238,050(貸与件数(品目・推定))× 価格 3.17(1 件あたり年間売上(万円))→ 売上 76 億円・営業利益 5 億円。件数 1.15 倍・貸与価格 1.32 倍
- 介護:数量 2,207(利用者数(人・推定))× 価格 456(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 101 億円・営業利益 6 億円。利用者 1.18 倍・単価 1.30 倍
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.5% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.5 倍。全体の PER 16.52 倍、時価総額 124 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の増収増益と、買収・新設を続ける会社の方針に沿った筋書き。中期計画の水準には届くとみて 20% を置いた。
中立 38% 件数は 1 割増え、利益率は今の水準にとどまる 利益 7 億円 · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 4,885 円119 億円
福祉用具は件数が 1 割増え、貸与価格は物価の 1.3 倍に近い改定を受ける。介護は新設と買収で利用者が 1 割増える。地域密着型は自治体の公募で出店が決まるため、増え方は緩やかだ。
人件費の上昇が価格の改定に遅れ、利益率は今の水準(福祉用具 6.5%、介護 5.8%)に近いまま推移する。減損を出した施設は立て直しが進むが、全体を押し上げるほどではない。
営業利益は 10 億円、純利益は 6.7 億円ほど。会社の中期計画(2029 年 3 月期に営業利益 10 億円)と比べると、到達は 7 年遅れの姿である。借入は返済が進み、配当は純利益の 25% を目安に増える。
- 福祉用具:数量 227,700(貸与件数(品目・推定))× 価格 3.12(1 件あたり年間売上(万円))→ 売上 71 億円・営業利益 5 億円。件数 1.1 倍・貸与価格 1.30 倍
- 介護:数量 2,057(利用者数(人・推定))× 価格 449(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 92 億円・営業利益 5 億円。利用者 1.1 倍・単価 1.28 倍
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.0% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.2 倍。全体の PER 16.19 倍、時価総額 108 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027 年 3 月期の会社予想(営業利益 7.4 億円)から、物価並みの改定と緩やかな件数の増加で積み上がる流れ。利益率は過去 7 年の山を超えない。
やや悲観 24% 貸与価格と報酬が賃金に追いつかず、利益率が縮む 利益 4 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 1,727 円42 億円
福祉用具の貸与価格は上限制度で頭を押さえられ、改定は物価の半分ほどしか乗らない。販売への移行が進み、レンタルの件数も横ばいにとどまる。
介護は人手不足で受け入れを絞り、グループホームの新設は採算の悪い地域に偏る。報酬改定は賃金の上昇に追いつかず、利益率は福祉用具が 5%、介護が 3.8% まで下がる。減損が続く年も出る。
営業利益は 6 億円と今とほぼ同じで、物価を考えれば実質で 4 分の 3 に縮む。純利益は 3.8 億円。配当は純利益の 3 割を保つが、自社株買いは止まる。借入の返済は続き、財務は崩れない。起きやすい筋書きである。
- 福祉用具:数量 211,140(貸与件数(品目・推定))× 価格 2.88(1 件あたり年間売上(万円))→ 売上 61 億円・営業利益 3 億円。件数 1.02 倍・貸与価格 1.20 倍
- 介護:数量 1,870(利用者数(人・推定))× 価格 421(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 79 億円・営業利益 3 億円。利用者横ばい・単価 1.20 倍
倍率:ROE は約 5.5% で k 7.5% に届かない。RONIC は約 6.6% まで下がり、式の PER は約 10.5 倍。新たに投じる資本の稼ぎが k を下回り、純利益も物価を考えれば縮むので、上限の 1÷k(約 12.9 倍)には近づけず、約 8.5 倍に置いた。
確率:報酬の改定は賃金の上昇より遅れがちで、福祉用具の貸与価格にも上限制度がある。足元の減損と合わせ、起きやすい筋書きとして 24% を置いた。
悲観 11% 制度の締め付けと人手不足で稼働が落ちる 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 611 円15 億円
福祉用具の貸与価格は上限制度でさらに抑えられ、販売への移行も進んで件数が 5% 減る。介護は人手不足で稼働を落とし、利用者は 8% 減る。報酬改定は賃金に届かず、地域密着型の公募でも不採択が続く。
福祉用具の利益率は 3%、介護は 1.5% まで落ちる。土地を賃借しているため、撤退しても長期の賃料が固定費として残る。建物は用途が限られ、売っても帳簿を大きく割る。
営業利益は 2.6 億円、純利益は 1.2 億円。配当は純利益の 25% に細り、自社株買いは止まる。借入が重くなる前に会社は新設を止めるが、少数株主に戻る価値は大きく削られる。
- 福祉用具:数量 196,650(貸与件数(品目・推定))× 価格 2.64(1 件あたり年間売上(万円))→ 売上 52 億円・営業利益 2 億円。件数 5% 減・貸与価格 1.10 倍
- 介護:数量 1,720(利用者数(人・推定))× 価格 386(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 66 億円・営業利益 1 億円。利用者 8% 減・単価 1.10 倍
倍率:稼ぐ力は純利益 1.2 億円(÷ k で約 15 億円)まで。建物は賃借地の上にあり売却価値は薄いので、今の自己資本 39.2 億円に約 0.38 倍(約 15 億円)を掛けた。
確率:貸与価格の上限・販売への移行と、人手不足による稼働の低下が重なる構造的な負け。小さな会社で施設の数も限られるため、11% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
福祉用具
介護保険で使うベッド・車いす・手すりなどを貸し出し、販売もする。専任の相談員が営業から納品・点検までを受け持つ。
| 数量貸与件数(品目・推定) | 価格1 件あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 207,000 | 2.40 | 50 | 3 |
| 10 年後 中立 | 227,700 | 3.12 | 71 | 5 |
取り方:売上 49.74 億円・セグメント利益 3.20 億円は開示値。貸与件数は推定で、1 件あたりの年間売上を 年 2.4 万円(月 0.2 万円ほど)と仮定して約 20.7 万件と置いた。販売の分も含む。
介護
グループホームを中心に、介護付き有料老人ホーム・デイサービスなどを運営する。
| 数量利用者数(人・推定) | 価格1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,870 | 351 | 66 | 3 |
| 10 年後 中立 | 2,057 | 449 | 92 | 5 |
取り方:売上 65.59 億円・セグメント利益 3.13 億円(減損 1.4 億円を含む)は開示値。利用者数は推定で、施設とデイを合わせた 1 人あたりの年間売上を 350 万円ほどと仮定して約 1,870 人と置いた。
リスクと懸念
価格を自分で決められない
介護報酬は国が決め、福祉用具の貸与価格にも上限がある。賃金の上昇に改定が遅れると、利益率が縮む。営業利益率は過去 7 年で 5〜7% にとどまり、緩衝材が薄い。
人手の確保
介護職員も福祉用具の専門相談員も、同業や医療機関と取り合いになる。人が足りなければ受け入れを絞るしかなく、稼働と売上が落ちる。賃金を上げれば利益が削られる。
公募と新設の採算
地域密着型の新設は自治体の公募で決まる。不採択なら成長が止まる。建築費は高騰し、新しい施設の利回りは今の施設より低くなりやすい。
減損
2026 年 3 月期は介護の施設で 1.4 億円の減損を出した。有料老人ホームの売上は減っている。入居が進まない施設が続くと、減損は繰り返される。
賃借地と新リース会計
土地を借りる施設が多く、撤退しても長期の賃料の約束が残る。2028 年 3 月期から新リース会計で借入の見かけが増え、自己資本比率の見え方も変わる。
規模の小ささ
時価総額が 32 億円の小さな会社で、売買は薄い。大きな減損や不採択、制度の変更が起きた時に株価が動きやすい。買収の話は今のところ出ていない。
今後の分かれ目
- 同業の福祉用具事業所の買収が続く
- 件数が増え、中立の件数を押し上げる。買収価格と利益率を見て判断する。
- 介護報酬の改定が賃金の上昇を上回る
- 利益率が上がり、楽観側の確率を上げる。
- 福祉用具の貸与価格の上限が引き下げられる、または販売への移行が広がる
- 福祉用具の売上が減り、やや悲観の確率を上げる。
- グループホームの公募で不採択が続く
- 新設が止まり、中立の利用者の伸びを下げる。
- 追加の減損や施設の閉鎖が出る
- 介護の利益率が落ち、やや悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 福祉用具の件数と買収の動き
- 介護報酬と貸与価格の改定
- グループホームの新設と公募の結果
- 人件費と離職の動き
- 配当性向と自社株買い
倍率と資本コストの決め方
倍率は式(正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)、k 7.5%、g 4%)と事業の経済性だけで置いた。ROE が k を上回る筋書きは、中立の下限(1÷k の約 12.9 倍)以上で上限の約 9 割までに置き、k に届かない筋書きは式の値の 8 割ほどに置いた。今の株価・過去の PER・PBR は使っていない。10 年後は、土地の賃借料を営業費用に入れた今と同じ形で置いた。新リース会計(2028 年 3 月期)で営業利益は増え、借入は見かけで増えるが、価値は変えない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.4→17.17 倍・やや楽観 PER 13→16.52 倍・中立 PER 12.9→16.19 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.25 を足した(決まり v2)。規模の小ささと公募の不採択リスクは k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.75% → 7.50%。